JP3883220B2 - 透湿性シート及びそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

透湿性シート及びそれを用いた吸収性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透湿性及び防水性のある透湿性シート及びそれを用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、透湿性及び防水性シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に40重量部以上の無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが知られている。また、上記微多孔性シートとしては、特公平5−38011号公報において、特定の結晶性ポリマー(ポリプロピレン等)と特定の化合物(鉱物油等)とを溶融混練し、シート成形(冷却)過程で相分離を起こさせたシートを延伸して得られる微多孔性シートも提案されている。
上記微多孔性シートは、通気性及び透湿性に優れ、結露現象を生じないため壁紙や包装用シート等に好適に用いられている。また、上記微多孔性シートは、更に柔軟性を付与することにより、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材として使用することができるものである。
【0003】
上記微多孔性シートに柔軟性を付与するには、一般にオレフィン樹脂として線状低密度ポリエチレンを用いることが提案されている。しかしながら、単に上記低密度ポリエチレンに無機充填剤を多量に混合し、シート状に成形した後、一軸または二軸に延伸して得られる微多孔性シートは、シート強度に問題があり、特に吸収性物品の裏面材として用いた場合には、要求される引き裂き強度、耐モミ強度を満足し得ないという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、上述の微多孔性シートに不織布をホットメルト接着剤等を用いて接着して強度を向上させる方法が提案されているが、該方法では、引き裂き強度は向上するものの、耐モミ強度が不十分で、着用中の人体の動きによって微孔が起点になって亀裂が伝播拡大し、液防漏性が無くなってしまうという問題がある。
【0005】
また、特開平6−134000号公報では特定のポリウレタンシートと伸縮性不織布とを積層してなる無孔の伸縮性透湿性シートが提案されている。
【0006】
しかし、上記ポリウレタンシートは、使用するイソシアネートによって下記する如き種々の問題が生じる。
即ち、上記イソシアネートとして芳香族イソシアネートを用いた場合、該イソシアネートと反応してポリウレタンをなすポリオール等との反応性が高いため、ポリウレタンシート中における未反応イソシアネート残存量は少ないものの、該ポリウレタンシートが自然条件で保存しても激しく黄変するため、例えば吸収性物品等に用いた場合に商品価値を著しく損なうという問題がある。
【0007】
また、上記イソシアネートとして、非芳香族イソシアネートを用いた場合、得られるポリウレタンシートは黄変し難いものの、非芳香族イソシアネートの反応性が劣るため、未反応イソシアネートが残存し、例えば吸収性物品等に用いた場合に、該未反応イソシアネートが皮膚を激しく刺激するという問題がある。
【0008】
また、芳香族イソシアネート及び非芳香族イソシアネートのいずれを用いた場合においても、これらのイソシアネートは、空気中の水分によっても反応してウレア結合を造るが、高分子化反応後期における水との反応はウレア結合に至らずアミンとして残存するため、該アミンが皮膚を激しく刺激しカブれる等の問題がある。また、ポリウレタンシートが分解するとアミンを生成し、吸収性物品等に用いた場合に皮膚刺激の基となる(特に、無孔で透湿性を発現する上記ポリウレタンシートは、吸収性物品に用いた場合の吸水により通常のポリウレタンより分解され易いものである。)。また、ウレタン化反応に使用されるアミン触媒も同様に皮膚刺激の基となる。
要するに、上記ポリウレタンシートは、吸収性物品等人体に直接接触する用途には好ましくないものである。
【0009】
上述の如く、従来の微多孔性シートでは、人体に対する安全性、並びに柔軟性、強度特に耐モミ強度、透湿性及び耐水圧等の所望の物性を全て満足するに至っていないのが現状である。
【0010】
また、特開平1−141669号公報には、透湿性のコポリエーテルエステルからなるシートを使用した吸収性物品が開示されている。
しかし、上記シートを吸収性物品の裏面材として用いた場合には、裏面材に要求される性能を実用上要求されている程度に満足することができなかった。
即ち、吸収性物品の裏面材としては、例えば、生理用ナプキンにおいては、ショーツから引き剥がす際にシート剛性が必要とされ、また、サイドフラップを有する生理用ナプキンにおいては、剛性、ボリューム、及び肌触りの良さ等が要求されるが、上記公報において提案されている上記シートではこれらの要求を満足していなかった。
【0011】
従って、本発明の目的は、シート強度、特に耐モミ強度に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等を有し、更に、人体への安全性及び変質等に対する安定性の高い透湿性シートを提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、吸収した体液を漏らさず気化放出して、ムレること無く、快適な装着感を与える吸収性物品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定のブロック共重合ポリエステル樹脂により形成されてなる無孔の透湿性樹脂膜と不織布及び/または紙とを積層した透湿性シートが、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0014】
本発明は、ハード成分及びソフト成分からなるブロック共重合ポリエステル樹脂により形成されてなる無孔の透湿性樹脂膜を、不織布及び/または紙と積層してなり、記ブロック共重合ポリエステル樹脂は、そのメルトフローインデックスが1〜25であり且つ平衡水分率0.50%〜0.90%であり、また、上記ハード成分のガラス転移点温度(Tg)が50℃以上、上記ソフト成分のガラス転移点温度(Tg)が20℃以下であることを特徴とする吸収性物品の裏面材用の透湿性シートを提供するものである。
【0015】
また、本発明は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなる吸収性物品において、上記裏面材が、上記透湿性シートにより形成されていることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、先ず本発明の透湿性シートについて詳述する。
【0017】
本発明の透湿性シートに用いられる上記透湿性樹脂膜は、特定のブロック共重合ポリエステル樹脂により形成されてなる無孔の透湿性樹脂膜である。
上記透湿性樹脂膜は、その膜厚が好ましくは5〜100μmであり、透湿度が好ましくは0.5g/100 cm 2 ・Hr以上、更に好ましくは1.0〜2.5g/100 cm 2 ・Hrであり、耐水圧が好ましくは2m以上であり、耐モミ強度が好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上、最も好ましくは120分以上である。
【0018】
上記透湿性樹脂膜を形成する上記の特定のブロック共重合ポリエステル樹脂は、ハード成分とソフト成分とからなるブロック共重合体である。
【0019】
上記ハード成分としては、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させて得られるポリエステル等が好ましく挙げられる。
上記ジカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられ、上記ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、パラキシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレノキサイド2モル付加物等の芳香族ジオール等が挙げられ、それぞれ使用に際しては、単独若しくは混合物として用いることができる。
【0020】
また、上記ジカルボン酸成分と上記ジオール成分とは、少なくともいずれか一方に芳香族環を有するものを用いて組み合わせるのが好ましく、また繰り返し単位の平均分子量は、上記芳香族環に連結した1エステル基当り、180以下、好ましくは160以下となるように上記ジカルボン酸成分と上記ジオール成分とを選択して組合せるのが好ましい。
【0021】
また、上記ソフト成分としては、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルが用いられる。
上記ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が用いられ、上記脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0022】
また、上記ブロック共重合ポリエステル樹脂は、上記ハード成分が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステル又は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとのポリエステルであり、上記ソフト成分が、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるのが好ましい。
具体的には、上記ハード成分は、テレフタル酸、フタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、好ましくはフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及び/又はテトラメチレングリコール、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール及びテトラメチレングリコールからなる群から選択される一種以上とのポリエステルであるのが望ましい。また、上記ソフト成分は、ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコール及び/またはポリテトラメチレングリコールであるのが望ましい。
【0023】
また、上記ハード成分のガラス転移点温度(Tg)は、50℃以上、上記ソフト成分のガラス転移点温度(Tg)は、20℃以下とするのが、被膜強度、非ブロッキング性、透湿性、成形加工性の点から好ましい。
上記ハード成分のTgが50℃未満であると、吸収性物品の裏面材等に用いた場合に、使用/保存温度において形状保持性が劣り、上記ソフト成分のTgが20℃を超えると、使用温度における透湿度が低下するので、上記範囲とするのが好ましい。
ここで、上記ガラス転移点温度(Tg)は、DSCで測定することにより得られる値である。
【0024】
また、上記ブロック共重合ポリエステル樹脂の分子量、並びに上記ハード成分及び上記ソフト成分の組成比は、ハード成分として用いるジカルボン酸成分及びジオール成分の種類及び分子量、また、ソフト成分として用いるポリエーテル及び/又はポリエステルの種類及び分子量、更にはハード成分とソフト成分との繰り返し数によって異なるが、上記ブロック共重合ポリエステル樹脂全体として、メルトフローインデックス(MFI)が、1〜25、好ましくは5〜18、平衡水分率が、0.50〜0.90%となるように、上記分子量及び上記組成比を調節するのが被膜強度、非ブロッキング性、透湿性及び成形加工性等の点において好ましい。
【0025】
上記MFIが1未満であると、溶融成形等成形加工性が劣り、25を超えると、常温でも粘着性が強くブロッキングが生じたり、膜形状保持性が劣るので、上記範囲内とするのが好ましい。
また、上記平衡水分率が0.30%未満であると、透湿度が低くなり、1.40%を超えると、弾性率が低下して形状保持性が劣り、また粘着性が強くブロッキングが生じるので上記範囲内とするのが好ましい。
ここで、上記MFIは、ASTMD1238に準拠して測定した200℃における値である。
また、上記ブロック共重合ポリエステル樹脂のうち結晶融点が180℃を超えるものについての上記MFIは、ASTMD1238に準拠して測定した230℃における値であり、該値が上述の範囲であるのが好ましい。
また、上記平衡水分率は、23℃/0%RHに48時間保存した時の重量をW0 、23℃/65%RHに48時間保存した時の重量をW1 とした時、〔(W1 −W0 )×100〕/W0 で示される値である。
【0026】
上記ブロック共重合ポリエステル樹脂を調製するには、上記ハード成分と上記ソフト成分とを、通常公知のエステル交換反応させる等して容易に得ることができる。
【0027】
本発明において用いられる上記ブロック共重合ポリエステル樹脂は、これ自身は勿論のこと、該ブロック共重合ポリエステル樹脂の分解生成物も皮膚刺激を与えることのない安全なものであり、経時着色が全く無く、変質も起こり難い樹脂であり、吸収性物品等の衛生品用の材料等として優れた素材である。
【0028】
上記ブロック共重合ポリエステル樹脂により上記透湿性樹脂膜を形成するには、公知の方法により容易に形成することができる。
【0029】
而して、本発明の透湿性シートは、上記の無孔の透湿性樹脂膜を、不織布及び/または紙と積層してなる。
【0030】
本発明の透湿性シートについて、図1を参照して説明すると、図1(a)に示す本発明の透湿性シート4は、上記の無孔の透湿性樹脂膜(上記透湿性樹脂膜からなる層)4Aの上面側に不織布(紙)(不織布及び/又は紙からなる層)4Bが積層されている。
また、図1(b)に示す本発明の透湿性シート4は、上記の無孔の透湿性樹脂膜(透湿性樹脂膜からなる層)4Aの上面側及び下面側の両側に不織布(紙)(不織布及び/又は紙からなる層)4Bが積層されている。
【0031】
尚、図1(a)及び(b)に示す透湿性シートにおいて、上記不織布(紙)4Bは、不織布又は紙のいずれかで形成しても、また両方を用いて形成してもよい。
また、図1(b)に示す透湿性シートにおいては、上面側に不織布を積層し、下面側に紙を積層する等、上面側と下面側とで異なる層を形成してもよい。
【0032】
本発明において上記透湿性樹脂膜に積層される上記不織布としては、通常衛生材料等に用いられている不織布であれば特に制限されることなく用いることができるが、該不織布の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂の一種を通常の溶融紡糸して得られるフィラメント、又は該熱可塑性樹脂の2種以上を用いて形成した芯/鞘構造若しくは半月抱合せ構造等の複合フィラメント等が挙げられる。
そして、上記不織布としては、上記材料を必要に応じて延伸、クリンピング処理し、切断して得られた短繊維を、熱、接着剤等で点接着するか又は水流、針等で交絡させて得られる不織布、即ち、湿式法、乾式法、スパーンレース法等の製造法により得られる不織布が好ましく挙げられる。
更に、スパンボンド法、メルトブローン成形法により直接成形される不織布等も用いることができる。
【0033】
本発明において上記透湿性樹脂膜に積層される上記紙としては、一般に用いられている軟らかい紙であれば特に制限されずに用いることができるが、具体的には、例えば、和紙、ペーパータオル、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等を好ましく挙げることができる。
また、上記紙において用いられる素材は、天然パルプに限らず、該天然パルプと合成パルプとの混合物や、該合成パルプを単独で用いることもできる。
【0034】
上記不織布及び紙は、共に柔軟性、風合いの点から、その坪量が好ましくは5〜200g/m2 、更に好ましくは8〜50g/m2 であるのが望ましく、またその厚さは、好ましくは5〜500μm、更に好ましくは10〜200μmであるのが望ましい。
【0035】
上記透湿性樹脂膜と上記不織布及び/又は紙とを積層して本発明の透湿性シートを製造するには、例えば、下記▲1▼〜▲4▼の方法等により容易に製造することができる。
▲1▼溶融押出成形法により 透湿性樹脂膜を形成しながら不織布等と接着させて積層されたシートを得る方法、
▲2▼ポリエステル樹脂を溶媒に溶解して溶液を得、得られた溶液を剥離性フィルム表面に塗布して塗膜(透湿性樹脂膜)を形成し、該塗膜が半硬化状の時不織布等を供給し圧着させ完全に硬化した後、剥離フィルムを除去して積層されたシートを得る方法、
▲3▼溶融押出または溶液を剥離フィルムに塗布硬化させて得られた透湿性樹脂膜を不織布等に接着剤で接着して積層されたシートを得る方法、
▲4▼熱圧着により、透湿性樹脂膜と不織布等を接着する方法等。
【0036】
また、上記ブロック共重合ポリエステルは、熱安定性も良いので、溶融押出ラミネート法を経済的にも好ましい方法として採用することができる。
また、本発明の透湿シートにおいては、必要に応じて、上記透湿性樹脂膜からなる層4A、上記不織布及び/又は紙からなる層4Bに、それぞれ通常、用いられる安定剤、着色剤を適宜添加することができる。
【0037】
本発明に係る透湿性シートは、樹脂膜を形成し、不織布及び/または紙を片面または両面に積層したシートからなり、層間の接着は樹脂膜の形成過程で樹脂の自着によるか、製膜後に接着剤等で接着するいずれの方法も出来る。また、必要に応じて樹脂膜層及び/または不織布等に安定剤、着色剤が含まれる。
【0038】
本発明のブロック共重合ポリエステルは熱可塑性エラストマーに分類される良好な伸縮性を有する。したがって、不織布素材に伸縮性素材を用いるか、不織布、紙を深絞り加工、捲縮加工等によりみかけ上縮めた状態で積層することにより得られた透湿性シートは良好な伸縮性を有する。
【0039】
また、本発明の透湿シートは、後述するように、本発明の吸収性物品の裏面材として用いることができる他、テントの内張り、レインウェア等のアウトドア用の衣類の内張り等の材料として用いることができる。
【0040】
次に、本発明の吸収性物品について、図2を参照しながら詳細に説明する。
本発明の吸収性物品としての生理用ナプキン1は、図2に示すように、液透過性の表面材2と、防漏性の裏面材4と、これらの両面材2,4の間に配置される吸収体3とからなり、上記裏面材4が、上記透湿性シート(本発明の透湿シート)により形成されている。
また、上記透湿性シートは、その不織布又は紙が積層されてなる面(不織布又は紙の層)が吸収体と当接する(生理用ナプキンの表面側に位置する)ように、なされている。
【0041】
上記生理用ナプキンは、裏面材として、上記透湿性樹脂膜の片面もしくは両面に不織布または紙を積層した本発明の透湿性シートを用いているので、該裏面材が水蒸気を通すためムレることがなく、柔軟なフィット性に富み、人体の動きによる亀裂発生がなく防漏性に優れ快適な装着感を与えるものである。
【0042】
尚、上記の説明においては、生理用ナプキンを例示して説明したが、本発明の吸収性物品はこれに限定されるものではなく、他の吸収性物品、例えば、使い捨ておむつ、吸収パッド等にも適用される。
また、上記表面材2及び上記吸収体3としては、通常公知の材料により形成し通常の表面剤及び吸収体を特に制限なく用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
〔実施例1〕
ブロック共重合ポリエステル樹脂〔東洋紡(株)製、商品名「ペルプレンP−30B」(ハード成分がテレフタル酸とブタンジオールとからなるTg57℃のポリエステルであり、ソフト成分がポリテトラメチレングリコールからなるTg7℃のポリエーテルジオールであるブロック共重合ポリエステル樹脂で、MFR=14、平衡水分量=0.58%)〕をトルエン/クロロホルム混合溶媒=1/1(重量比)に溶解してブロック共重合ポリエステル樹脂の10重量%溶液を得た。
得られた溶液を、剥離処理したポリプロピレン(OPP)フィルム上に乾燥膜厚15μmになるように塗工して塗膜を形成し、該塗膜の表面に薄皮が生成する時に不織布(2デニール、長さ45mmの捲縮を有するポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘構造繊維をエアースルーのヒートポンプ法で坪量20g/m2 、厚さ135μmに成形した不織布)を供給し、乾燥させて、両者を積層した後、OPPフィルムを剥離し、ブロック共重合ポリエステル樹脂層の表面にのみ不織布を積層してなると厚さ145μmの図1(a)に示す構成の本発明の透湿性シートを得た。
【0045】
得られた透湿シートについて、透湿度及び耐水圧を評価した。その結果を下記〔表1〕に示す。尚、透湿度及び耐水圧は下記測定法により測定した。
(測定法)
(1)透湿度;JIS Z0208に準拠して測定
(2)耐水圧;JIS L1092B法に準拠して測定
【0046】
また、上記透湿性シートを用いて、図2に示す生理用ナプキン作成した。即ち、上記透湿シートにより裏面材を形成し、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維からなる坪量20g/m2 の不織布を用いて表面材を形成し、坪量260g/m2 からなる線状パルプを用いて吸収体を形成し、上記透湿シートの不織布の層が吸収体と接するように各部材を接着して、長さ170mm、幅70mmの図2に示す構成の生理用ナプキンを得た。
得られた生理用ナプキンの耐モミ強度及びムレ度を下記の如くして評価した。の結果を下記〔表1〕に示す。
【0047】
(3)耐モミ強度;
得られた生理用ナプキンに馬血6gを注入して吸収させた後、ゴムと鉄製疑骨とからなる成人サイズの人体モデル(該人体モデルは両脚及び股間が人体と同じ動きをする)にショーツを介して通常の装着状態となるように装着し、120歩/minで両脚を動かし際に、馬血が裏面材を漏洩してくる時間を測定して評価した。この際、両脚を動かした時には、ナプキンの長さ方向のほぼ中央部が表面材を上(人体モデル側)にして凸形状になり、且つ、ナプキンの幅方向の両端が脚の動きに追随するので、ナプキン全体に対してモミが働く。また、ナプキン両端が前後に動く距離は約20mmである。
【0048】
(4)ムレ度;
得られた生理用ナプキンを10人のモニターに装着してもらい、以下の基準でムレ度を評価した。
・ムレ感がなくさわやかな感じ・・・・・○
・ややムレ感がある・・・・・・・・・・△
・非常にムレる・・・・・・・・・・・・×
【0049】
〔実施例2〕
実施例1で用いたブロック共重合ポリエステル樹脂と同じブロック共重合ポリエステル樹脂を、通常の溶融ラミネーターにより220℃でTダイより吐出し、引き取り速度20m/minで、坪量25g/m2、厚さ120μmの和紙にラミネートして、樹脂膜厚13μm、全厚さ130μmの図1(a)に示す構成の本発明の透湿性シートを得た。得られた透湿性シートについて実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
また、得られた透湿性シートにより裏面材を形成した以外は、実施例1と同様にして、上記透湿性シートにより裏面材が形成されてなる図2に示す構成の生理用ナプキンを得た。得られた生理用ナプキンについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0050】
〔比較例1〕
線状低密度ポリエチレン〔「ウルトゼックス2520F」、商品名、三井石油化学工業(株)製〕100重量部、表面処理炭酸カルシウム(1.1ミクロン)150重量部、及びポリエステル樹脂(トリメチロールプロパン/アジピン酸/ステアリン酸=2モル/1モル/4モルからなるポリエステル樹脂、SV=240、AV=1、OHV=8)5重量部からなる混合物を、溶融混練してインフレーション成形機にて膜厚50μmのシートに成形し、通常のロール延伸機を使用して50℃で2.3倍に延伸し、80℃でアニーリングして全面白化した45μmのシートを得た。得られたシートについて実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
また、得られたシートにより裏面材を形成した以外は、実施例1と同様にして、上記シートにより裏面材が形成されてなる図2に示す構成の生理用ナプキンを得た。得られた生理用ナプキンについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0051】
〔比較例2〕
実施例2で用いたブロック共重合ポリエステル樹脂に代えて、低密度ポリエチレン〔「ショウレックスL137」、商品名、昭和電工(株)製、ρ=0.926,MI=3〕を用い、吐出時の樹脂温度を320℃とした他は、実施例2と同様にして樹脂膜厚さ13μm、全厚み130μmの積層体シート(透湿性シート)を得た。得られた積層体シートについて実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
また、得られた積層体シートにより裏面材を形成した以外は、実施例1と同様にして、上記積層体シートにより裏面材が形成されてなる図2に示す構成の生理用ナプキンを得た。得られた生理用ナプキンについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003883220
【0053】
【発明の効果】
本発明の透湿シートは、シート強度、特に耐モミ強度に優れ、且つ透湿性、耐水圧性等を有し、更に、人体への安全性及び変質しない安定性の高いものである。
本発明の吸収性物品は、吸収した体液を漏らさず気化放出して、ムレること無く、快適な装着感を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、吸収性物品の裏面材に用いられる本発明の透湿性シート断面図である。
【図2】 図2は、本発明に係わる透湿性シートを用いた吸収性物品の一実施例を示し、該吸収性物品の一部切欠して示した斜視図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品
2 表面材
3 吸収体
4 裏面材
4A 透湿性樹脂膜
4B 不織布(紙)

Claims (4)

  1. ハード成分及びソフト成分からなるブロック共重合ポリエステル樹脂により形成されてなる無孔の透湿性樹脂膜を、不織布及び/または紙と積層してなり、記ブロック共重合ポリエステル樹脂は、そのメルトフローインデックスが1〜25であり且つ平衡水分率0.50%〜0.90%であり、また、上記ハード成分のガラス転移点温度(Tg)が50℃以上、上記ソフト成分のガラス転移点温度(Tg)が20℃以下であることを特徴とする吸収性物品の裏面材用の透湿性シート。
  2. 上記ハード成分が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステル又は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとのポリエステルであり、上記ソフト成分が、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の透湿性シート。
  3. 上記ハード成分が、フタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール及びテトラメチレングリコールからなる群より選択される1種以上とのポリエステルであり、上記ソフト成分が、ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコール及び/又はポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする請求項2記載の透湿性シート。
  4. 液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなる吸収性物品において、上記裏面材が、請求項1〜のいずれか1項記載の透湿性シートにより形成されていることを特徴とする吸収性物品。
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