JP2005035582A - 食品包装材 - Google Patents

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Hiroyuki Mitsuzuka
裕行 三塚
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Abstract

【課題】透気性及び透湿性が良好であるほか、湿潤状態における構成材料の剥離強度が優れたものであるため、食品の加熱処理あるいは燻製製造の包装に好適に使用することができる食品包装材を提供すること。
【解決手段】通気性繊維素材2の一面に透湿性樹脂層3を備えた食品包装材であって、前記透湿性樹脂層3の一部が前記通気性繊維素材2に含浸し、湿潤状態における前記通気性繊維素材2と前記透湿性樹脂層3との剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とする食品包装材1。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品包装材に関する。更に詳しくは、通気性繊維素材に対して、透湿性樹脂層の一部が通気性繊維素材に含浸されている食品包装材に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、ハム、ソーセージ等の包装用ケーシングとしては、羊、豚、牛などの腸が古くから用いられてきたが、大きさに制限があること、ピンホール発生などの問題がある。このため、これら天然物のかわりにコラーゲンのフィルムやセルロース系フィルムが用いられてきている。しかし、これらのフィルムは製造が困難であると共にヒートシール性がないため、筒状体の形成が困難である。かかる食品包装材としては、包装される食品の保存性の向上や、スモーク風味の付与を考慮して、通気性(透気性)及び透湿性に優れ、ヒートシールが可能で、任意のサイズに加工可能な材料であることが望まれている。
【0003】
また、食品包装材料の分野においては、紙や不織布等の多孔質材料や、フィルム等の材料が広く用いられているが、水分の多い食品を加熱処理あるいは薫製処理するにあたって水分の移動をできる限り抑制したい場合には、前記した材料をそのまま適用することは必ずしも得策とはいえなかった。
すなわち、例えば、紙や不織布等の多孔質材料を使用した場合にあっては、含水率の高い調味料を含む食肉を薫製処理等する際には、肉汁を含んだ液体が必要以上に多孔質材料を通過して、包装材の内部や表面まで浸透した状態で固化してしまうため、包装材を除去するとスモークによる着色層が同時に剥離されてしまい、着色層やフレーバー成分が製品にあまり残らないなどの問題を生じる場合があった。
【0004】
一方、通常の透湿性の低いフィルムを用いた場合には、薫製処理等を行った場合にスモーク成分の透過が不十分となってしまい、その結果、色付きや香りの付与が不十分になるという問題点があり、これらをそのまま用いることは困難であった。従って、前記した材料を適用する場合にあっては、これらの材料を貼り合わせて、積層体の形態としたものとして用いられることが多かった。
【0005】
そして、食品包装材をかかる積層体の形態としたものとしては、例えば、繊維径が3〜20ミクロンの繊維からなり、目付けが5〜50g/mの不織布に、厚みが5〜50ミクロンの透湿防水性膜を複合したことを特徴とする食品包装材についての技術が提案されていた(例えば、特許文献1)。本文献には、当該食品包装材が、水分の過度の移動を抑制するがスモーク成分等のガス成分の移動が可能で取り扱いに優れるため、食品の加熱処理や薫製製造に好適に用いることができる旨が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−144061号公報(〔請求項1〕、〔0034〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記文献に記載されるような食品包装材は、透気性及び透湿性について十分でなかったことに加えて、湿潤状態における剥離強度に劣るものであり、例えば、筒状包装体は、肉の充填に先立って、充填をスムースにするために水に漬けられる。この湿潤状態において、包装する薫製食肉等から剥がす際に生じるデラミネーション(層間剥離現象:通称デラミ)が生じてしまうという問題があった。さらに、肉の充填時における空気抜きが不十分であり、密着性の向上のために多数の微細孔明け加工を必要とするものであった。従って、現状にあっては、加熱処理や薫製処理等を必要とする食品の包装材料としては必ずしも満足のいくものは得られていなかった。
【0008】
本発明の目的は、包装材料としての透気性及び透湿性が良好であるほか、湿潤状態における当該包装材料を構成する通気性素材と該通気性素材と積層される層との剥離強度が優れたものであるため、湿潤時あるいは包装する薫製食肉等から剥がす際に生じるデラミネーションを防止することができ、いわゆるケーシング材料をはじめとする、食品の加熱処理あるいは薫製製造の包装に好適に使用することができる食品包装材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明の食品包装材は、通気性繊維素材の一面に透湿性樹脂層を備えた食品包装材であって、前記透湿性樹脂層の一部が前記通気性繊維素材に含浸し、湿潤状態における前記通気性繊維素材と前記透湿性樹脂層との剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の食品包装材は、前記したように、通気性繊維素材の一面に透湿性樹脂層を備えるものである。
通気性繊維素材の形態としては、特に制限はないが、例えば、湿式不織布、乾式不織布、織布、レーヨン紙などが用いられる。本発明の食品包装材においては、特に、製造が容易で安価に流通している不織布が好ましい。特に、熱可塑性樹脂を多数のノズルから紡糸しつつランダムなウェブを形成する、いわゆるスパンボンド不織布が強度、伸び、柔軟性、安価などの点で好ましい。
【0011】
また、通気性繊維素材を形成する材料としては、強度や耐熱性の観点からポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
ここで、ポリエステル系樹脂としては、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート及びブチレンテレフタレートのうちの繰り返し単位の少なくとも1種を有するホモポリマーまたはコポリマー及びこれらのポリマーのブレンド物からなる群から選ばれるポリマーであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリマーやこれらの共重合物あるいはブレンド物が挙げられる。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
【0012】
ポリエステル系樹脂からなる繊維から構成される不織布は、例えば、後記する透湿性樹脂層がブロック共重合ポリエステルからなる場合にあっては、両者を積層接着する場合に接着性がよく、積層の前に特別な表面処理などをして接着性を改善するなどの必要がないため好ましい。特に、透湿性樹脂層との接着性の観点から、当該透湿性樹脂層を形成するのに望ましいブロック共重合ポリエステルを使用することと好ましく、この場合、湿潤下において透湿性の高いブロック共重合ポリエステルが膨潤しやすいことから、通気性素材である不織布と膨潤率が異なることによる生じる層間剥離を好適に抑制することができる。
また、化学的な結合力を高めるためには、ブロック共重合体の構成モノマーのうちから、一種あるいは複数のモノマーを選択して重合させたものであることが特に好ましい。
【0013】
なお、ポリエステル系樹脂からなる不織布等の通気性繊維素材は、必要に応じてコロナ処理などを行うことにより、後記する透湿性樹脂層との接着性が更に改善される。また、不織布の原料には、適当な酸化防止剤や耐候材、滑材、着色剤などを、本発明の効果に妨げのない範囲で適宜混合してもよい。
【0014】
また、前記のポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、エチレン、ブテン−1などのモノマーとのランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の重合性単量体との共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、また、ナイロン6(ポリカプロラクタミド)、ナイロン6,6(ポリヘキサメチレンアジポアミド)、ナイロン6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン11(ポリウンデカンアミド)、ナイロン7(ポリ−ω−アミノヘプタン酸)、ナイロン9(ポリ−ω−アミノノナン酸)、ナイロン12(ポリラウリンアミド)などのナイロン系樹脂(ポリアミド系樹脂)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
更には、熱可塑性樹脂からなる繊維以外の他の繊維素材としては、例えば、木材パルプ、楮、みつまた、レーヨン繊維など、溶融しない繊維素材などが挙げられ、これらも好適に使用することができる。
【0016】
また、通気性繊維素材を構成する繊維は複合繊維としてもよく、これにより、食品との剥離性や着色剤やスパイスなどの印刷性を向上させることが可能である。
【0017】
通気性繊維素材の目付量としては、10〜100g/mの範囲内であればよく、20〜70g/mの範囲内であることが好ましい。不織布の目付量が10g/mより小さいと、食品包装材に対する補強効果が十分得られにくいため好ましくなく、また、目付量が100g/mより大きいと、本発明の目的である薄くて軽量な食品包装材とならないだけでなく、食品包装材が硬くなりすぎて、ハム、ソーセージ用の包装材料としては好ましくない。
いずれにしても、不織布等の通気性繊維素材の物性は、用いられるハム、ソーセージなどの用途、サイズなどを考慮して、適宜選択することができる。
【0018】
本発明の食品包装材を構成する通気性繊維素材は、通気性として、JIS L1096に規定されるフラジール形法(A法)に準拠して測定される通気度が、1ml/cm・秒以上であることが好ましく、5ml/cm・秒以上であることが特に好ましい。かかる通気度が1ml/cm・秒より小さいと、本発明の食品包装材の製造にあたり透湿性樹脂を含浸させる際に吸引することが困難となり、透湿性樹脂を良好に含浸させて層間強度が大きい透湿性樹脂層を形成することができなくなる場合がある。更には、食品包装材としての良好な通気性を得ることができなくなる場合があるため好ましくない。
【0019】
本発明の食品包装材を構成する透湿性樹脂層は、前記した通気性繊維素材に対して、加熱状態の透湿性樹脂の一部を含浸させて、通気性繊維素材の一面に層状に形成せしめられるものである。
【0020】
当該透湿性樹脂としては、特に制限はなく、透湿度が5〜10000g/m・24時間程度の熱可塑性樹脂を使用することができるが、特に、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルを使用することが好ましい。
ブロック共重合ポリエステルよりなる樹脂層はソフトセグメント部に水分子を吸着させ、アモルファス樹脂層内部を水分子が浸透あるいは拡散していくことより透湿性が得られるものと推定される。例えば、ソフトセグメントとして、グリコール成分を共重合する量を増やしていくことで透湿度は向上していくが、樹脂自身の強度は低下していく。
ここで、透湿性樹脂となる共重合ポリエステルのハードセグメント成分としては、例えば、芳香族ポリエステルあるいは脂環族ポリエステルあるいはそれらの誘導体あるいはそれらの混合物などから選択すればよい。
また、ソフトセグメント成分としては、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコール、脂肪族ポリエステルなどから選択すればよい。ブロック共重合体ポリエステルは、弾性があり伸びが比較的大きいために食材の形状に対する追随性が良好な場合が多く、この観点から当該樹脂を適用することが好ましい。
【0021】
かかるハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルは、融点が150〜230℃の間にあり、メルトフローレート(MFR)が10〜150g/10分(230℃)の範囲内にあることが好ましい。
前記したブロック共重合体ポリエステルの融点は、ソフトセグメントの構造と構成比率により決定されるが、透湿度を所望の値に設定するためにはこの温度域にあることが好ましい。また、本発明で使用される共重合ポリエステルは180〜230℃前後で加工することが透湿性樹脂層の加工性の点から特に好ましい。
すなわち、透湿性樹脂層の厚みの変動を小さくするためにはこの範囲のメルトフローレート(MFR)にあることが好ましく、その一方でMFRが10g/10分より小さくなると、透湿性樹脂層を本発明の目的とする薄さに成形することが困難となる場合があり、一方、MFRが150g/10分より大きくなると、いわゆるサージングなどの影響により層厚みの幅変動が大きくなりやすい場合があり好ましくない。
【0022】
また、透湿性樹脂の他の例としては、それ自体透湿性を有するポリエーテルブロックを有する熱可塑性樹脂(エラストマー)を好適に使用することができる。
ここで、ポリエーテルブロックを有する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。
【0023】
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを少なくとも含有する重合体であり、下記(I)〜(III)のような反応性末端基を有するポリエーテル単位と、反応性末端基を有するポリアミド単位との共重縮合で得られる。
(I)ジカルボン酸末端を有するポリオキシアルキレン単位と、ジアミン鎖末端を有するポリアミド単位、
(II)ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族α,ω−ジヒドロキシポリオキシアルキレンのシアノエチル化および水素化で得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレン単位とジカルボン酸末端を有するポリアミド単位、
(III)ポリエーテルジオールとジカルボン酸末端を有するポリアミド単位。この場合に得られる重合体はポリエーテルエステルアミドである。ここで、ジカルボン鎖末端を有するポリアミド単位は、たとえばジカルボン酸鎖制限剤の存在下でラクタムまたはジカルボン酸のα,ω−アミノカルボン酸とジアミンとを縮合して得られる。ポリアミドブロックとしてはポリアミド12が好ましい。
【0024】
また、ポリウレタン系エラストマーとしては、下記(IV)〜(VI)の3つの基本成分を反応することにより鎖状に形成されるものである。
(IV)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール(分子量は500〜5000)。
(V)メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)またはトリレンジイソシアネート(TDI)などのジイソシアネート。
(VI)グリコール(エタンジオール)、1−4ブタンジオールまたは1,4−フェニレンビス−β−ヒドロキシルエーテルなどの鎖延長剤としての低分子量ジオール。
【0025】
なお、本発明で用いられる透湿性樹脂には、通常、フィルムの製膜等で使用されている無機充填剤、有機充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料などの添加剤を、本発明の効果を妨げない範囲に応じて適宜添加することができる。
【0026】
そして、透湿性樹脂層の厚さとしては、10〜70μmの範囲内とすることが好ましく、15〜50μmの範囲内とすることが特に好ましい。
ここで、透湿性樹脂層の厚さが10μmより小さいと、透湿性樹脂が通気性
繊維素材中に十分に含浸されないため、当該通気性繊維素材との間の十分な剥離強度が得られない場合がある。一方、透湿性樹脂層の厚さが70μmより大きいと、透湿性樹脂を構成する熱可塑性樹脂の溶融が不十分となり、吸引処理により透湿性樹脂を含浸させる際に効率よく大気圧に対する負圧が生じず、略均一に良好に効率よく含浸させることができなくなる。従って、良好な複合一体化構造を得ることができなくなり、更には、層間強度も低下する場合がある。
【0027】
そして、本発明の食品包装材は、透湿性樹脂層の一部が通気性繊維素材に含浸していることを特徴とするものである。
ここで、透湿性樹脂層の一部が通気性繊維素材に含浸している状態にするには、種々の手段を用いることができるが、例えば、下記のような手段を用いればよい。
【0028】
すなわち、まず、押出ラミネート装置等により押し出された透湿性樹脂を、通気性繊維素材の所定の面に重ね合わせて積層状態とする。なお、かかる積層状態にするためには、あらかじめフィルムの形状とした透湿性樹脂を、公知のラミネート装置等で重ね合わせてもよい。
そして、通気性繊維素材における透湿性樹脂が重ね合わされた面および/またはその反対側の面から、例えば、加熱ロール、赤外線ヒータ等の公知の加熱手段、及び吸引ポンプ等の公知の吸引手段が設けられた加熱吸引手段を用いて、前記した透湿性樹脂が積層された通気性繊維素材に対して加熱吸引処理を施せばよい。
なお、赤外線ヒータ等による加熱温度は、特に制限はなく、使用される通気性繊維素材を構成する材料や透湿性樹脂の種類等により適宜決定すればよいが、例えば、170〜400℃程度とすればよい。かかる加熱吸引処理等が施されることにより、透湿性樹脂の一部が通気性繊維素材に含浸された状態で積層されて、透湿性樹脂層が形成される。
【0029】
このようにして、加熱溶融状態の透湿性樹脂を通気性繊維素材を介して押出して重ね合わせて加熱吸引処理等することによって、透湿性樹脂の一部が通気性繊維素材に含浸するとともに、通気性繊維素材の表面に対して溶融した透湿性樹脂層が、多数の微孔が開いた状態で積層されて透湿性樹脂層が形成されるため、透気性に優れた層となり、その結果、透気性に優れる食品包装材を得ることが可能となる。
【0030】
透湿性樹脂層は、含浸された厚さが5μm以上となる条件で形成される。ここで、含浸された厚さが5μmより少ない場合には、通気性繊維素材内に十分に含浸されず、十分な層間強度が得られない場合がある。
【0031】
このようにして構成される本発明の食品包装材は、湿潤状態における通気性繊維素材と透湿性樹脂層との間の剥離強度が2N/15mm巾以上であることを特徴とし、4N/15mm巾以上であることが好ましい。
湿潤状態における通気性繊維素材と透湿性樹脂層との間の剥離強度が2N/15mm巾以上である場合には、湿潤状態においても優れた剥離強度を保持することができ、ケーシング材料として適用した場合であっても、肉充填前のケーシングの湿潤処理時や、包装する薫製食肉等から剥がす際に生じるデラミネーションを確実に防止することができる。一方、湿潤状態の剥離強度が2N/15mm巾より小さい場合にあっては、湿潤状態での剥離強度が不十分であるため、かかるデラミネーションが生じてしまう場合があり実用性がない。
ここで、「湿潤状態」とは、例えば、約40℃の温水に約10分間程度浸漬させた状態をいい、また、剥離強度は、例えば、引張強度を200mm/分として、前記した湿潤状態の条件から取り出して、JIS K6854に規定されるT−PEEL法に準拠して剥離試験を行った場合の、15mm巾あたりの最大強度を求めればよい。
【0032】
また、本発明の食品包装材は、通気性繊維素材と含浸された透湿性樹脂層との間の標準状態での剥離強度が、2N/15mm巾以上であることが好ましく、4N/15mm巾以上であることが特に好ましい。ここで、剥離強度が2N/15mm巾より小さい場合には、例えば、熱圧着(ヒートシール)等により筒状または袋状の食品包装袋を形成した場合にあっては、通気性繊維素材と透湿性樹脂層との層間剥離により破袋してしまう場合がある。
ここで、「標準状態」とは、例えば、温度が約23℃、湿度が約60%RHの状態をいい、また、剥離強度は、例えば、引張強度を200mm/分として、前記した通常状態における条件において、JIS K6854に規定されるT−PEEL法に準拠して剥離試験を行った場合の、15mm巾あたりの最大強度を求めればよい。
【0033】
本発明の食品包装材は、各種食品の包装材として好適に使用することができるが、例えば、ハム、ソーセージ、ベーコン、魚肉製錬品等の食肉類、魚肉類、チーズ類等の食品や薫製食品を包装する材料として使用され、前記した食品を包装する、いわゆるケーシング材料として適用することが好ましい。
本発明の食品包装材を薫製食品を包装するケーシング材料として適用して、薫製品を調製する方法としては、例えば、食品包装材を背貼りや好ましくは封筒貼りすることにより筒状にして、一端をヒートシール等の手段により封止する。そして、この状態で約40℃の温水に入れて、湿潤状態とし、材料を軟らかくした後、味付けされた肉を充填して、他端をクリップ等によりかしめた後、薫製処理を行う等の方法により、薫製食品を調製すればよい。
【0034】
かくして得られる本発明の食品包装材によれば、透気性及び透湿性に優れるとともに、透湿性樹脂の一部が通気性繊維素材に含浸された状態で積層されて形成されるようにするため、湿潤状態における通気性繊維素材と透湿性樹脂層との間の剥離強度を2N/15mm以上とすることができる。従って、通気性繊維素材と透湿性樹脂層との間で大きな層間強度が得られ、水分や油分を含んだ湿潤時においても、通気性繊維素材と透湿性樹脂層との層間剥離を抑制することができ、例えば、食肉等を包装するケーシング材料として用いた場合に、食品充填前処理としての湿潤処理時において、更には当該食肉からケーシング材料を剥がす際に生じるデラミネーションを確実に防止することができる。
【0035】
本発明の食品包装材は、透気性能として、JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定される透気度が0.1〜50秒/100ccであることが好ましく、1〜30秒/100ccであることが特に好ましい。この透気度は、肉充填時の空気抜けを容易にし、結果として肉とケーシングの密着が良好となり、外観、品質に優れたハム製品が得られる。また、本発明では、この空気抜けのための孔明け二次加工を特に要しないことも可能となる。この本発明によれば、透気性能として、JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定される透気度が0.1〜50秒/100ccであるため、透気性能に優れた食品包装材となり、例えば、ケーシング材料として適用した場合にあっては、スモーク成分等の移動が適度に行われることとなり、その結果、薫製調理時の色付けや味付けを良好なものとすることができる。
【0036】
本発明の食品包装材は、透湿性能として、JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度が500g/m・24hr以上であることが好ましく、1000g/m・24hr以上であることが特に好ましい。
この本発明によれば、透湿性能として、JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度が500g/m・24hr以上であるため、透湿性能に優れた食品包装材となり、例えば、ケーシング材料として適用した場合においても、スモーク成分等のガス成分が好適に移動可能とする一方で、過度の水分の移動を抑制することができる。
【0037】
本発明の食品包装材は、通気性繊維素材が不織布であることが好ましい。
この本発明によれば、食品包装材を構成する通気性繊維素材が不織布であるため、当該不織布は安価で製造でき、また、可撓性を有し、軽量でかつ機械的強度が比較的強いことから、得られる食品包装材の汎用性の向上および利用分野の拡大を容易に図ることができる。
【0038】
本発明の食品包装材は、透湿性樹脂がハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合体樹脂よりなることが好ましい。
この本発明によれば、食品包装材を構成する透湿性樹脂がハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合体樹脂よりなるため、食品包装材の透湿性をより良好なものとすることを可能として、その結果、前記の効果をより好適に享受することができる。
【0039】
本発明の食品包装材は、薫製食品用包装材であることが好ましい。
本発明の食品包装材は、前記したように、透気性能及び透湿性能が良好な材料であるとともに、湿潤状態での通気性繊維素材と透湿性樹脂層との剥離強度が優れるという効果を奏することができるため、薫製食品用包装材として適用することにより、かかる効果を最大限に発揮することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の食品包装材の一態様を示した断面図である。図1中、1は食品包装材、2は通気性繊維素材、3は透湿性樹脂層、4は含浸部、をそれぞれ示す。
【0041】
本実施形態における食品包装材1は、図1に示されるように、通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3からなり、かつ、当該透湿性樹脂層3を構成する透湿性樹脂の一部が、通気性繊維素材2に含浸されて含浸部4を形成しているものである。
【0042】
本実施形態における通気性繊維素材2は、構成材料をポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂としたスパンボンド不織布(ポリエステルスパンボンド不織布2a)を採用している。
【0043】
また、かかるポリエステルスパンボンド不織布2aの目付量は、30g/mである。ポリエステルスパンボンド不織布2aの目付量は、10〜100g/mの範囲内であることが好ましく、20〜70g/mの範囲内であることが特に好ましい。不織布2aの目付量がかかる範囲内であれば、食品包装材1に対する補強効果にも優れるほか、食品包装材1が硬くなることを防止できる。
【0044】
ポリエステルスパンボンド不織布2aの通気性能としては、JIS L1096に規定されるフラジール形法(A法)に準拠して測定される通気度が約200ml/cm・秒である。ポリエステルスパンボンド不織布2aの通気度は、1ml/cm・秒以上であることが好ましく、5ml/cm・秒以上であることが特に好ましい。不織布2aの通気度がかかる値以上であれば、食品包装材1の製造にあたって、透湿性樹脂を含浸させる際に吸引することが容易に行うことができ、その結果、透湿性樹脂を良好に含浸させて層間強度が大きい透湿性樹脂層3を形成することができ、また、食品包装材1としても、良好な透気性能を得ることができる。
【0045】
一方、透湿性樹脂層3は、構成材料である透湿性樹脂として、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合体ポリエステル(以下、単に「ブロック共重合ポリエステル」とする場合もある)を採用しており、かかるブロック共重合体ポリエステルの融点は174℃、 メルトフローレート(MFR)は、34g/10分(230℃)である。
【0046】
ブロック共重合体ポリエステルからなる透湿性樹脂層3の厚さは、約30μmである。透湿性樹脂層3の厚さは、10〜70μmの範囲内であることが好ましく、15〜50μmの範囲内であることが特に好ましい。透湿性樹脂層3の厚さがかかる範囲内であれば、通気性繊維素材2中に透湿性樹脂の一部が含浸部4として十分にかつ均一に含浸された状態となるため好ましい。
【0047】
透湿性樹脂層3の透湿性能として、JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度が約4500g/m・24hrである。透湿性樹脂層3の透湿度は500g/m・24hr以上であることが好ましく、1000g/m・24hr以上であることが特に好ましい。透湿性樹脂層3の透湿度が500g/m・24hr以上であることにより、食品包装材1全体としての透湿性を良好なものとすることができ、例えば、ケーシング材として適用した場合にあっては、スモーク成分等のガス成分が好適に移動可能とする一方、過度の水分の移動を抑制することができる食品包装材1を提供することができるため好ましい。
【0048】
本実施形態の食品包装体1は、透湿性樹脂である共重合ポリエステルが、透湿性樹脂層3として通気性繊維素材2であるポリエステルスパンボンド不織布2aの一面に積層して構成されるものである。
そして、かかる透湿性樹脂層3は、加熱状態のブロック共重合ポリエステルがポリエステルスパンボンド不織布2aに重ね合わせるとともに、ポリエステルスパンボンド不織布2aにおけるブロック共重合ポリエステルが重ね合わされた面と反対側の面から加熱吸引処理が施されて、かかるブロック共重合ポリエステルの一部がポリエステルスパンボンド不織布2aに含浸して、含浸部4が設けられた状態で積層されて形成されることになる。
【0049】
以下、前記した図1の構成における食品包装材1の製造方法の一態様について、図2に示した製造装置を用いて説明する。
図2に示す製造装置10は、繰り出し部11と、単軸押出成形機13、押出ラミネートダイス14及び冷却ローラ15を備える押出ラミネート装置12と、加熱部18及び吸引部19を備える加熱吸引装置17と、巻取部20を基本構成とする。
【0050】
このうち、繰り出し部11は、ロール状に巻き取られた通気性繊維素材2を長手方向の一端側から繰り出すはたらきをする。
また、押出ラミネート装置12は、繰り出し部11より繰り出される通気性繊維素材2の一面側に、フィルム状の透湿性樹脂をラミネートさせるものであり、かかる押出ラミネート装置12は、溶融する透湿性樹脂を押し出す単軸押出成形機13、当該単軸押出成形機13から押し出された透湿性樹脂をフィルム状に通気性繊維素材2の一面に押し出し積層させる押出ラミネートダイス14、及び積層する通気性繊維素材2および透湿性樹脂を加圧しつつ冷却してラミネートさせる冷却ローラ15が備えられている。
【0051】
加熱吸引装置17は、透湿性樹脂がラミネートされた通気性繊維素材2を加熱吸引して、透湿性樹脂の一部を通気性繊維素材2内に含浸させるものであり、かかる加熱吸引装置17は、ラミネートされた透湿性樹脂に対向しこの透湿性樹脂を加熱溶融させる加熱部18、及び通気性繊維素材2の透湿性樹脂がラミネートする側と反対側に対向し通気性繊維素材2を介してラミネートされた透湿性樹脂を吸引する吸引部19を備えられている。
【0052】
巻取部20は、加熱吸引装置17から送られてくる食品包装材1の移動方向である下流側に位置して配設されている。この巻取部20は、加熱吸引装置17にて透湿性樹脂が通気性繊維素材2に含浸されて透湿性樹脂層3が形成され通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3とが複合一体化された食品包装材1を巻き取るものである。
【0053】
本発明の食品包装材1は、前記した図2に示す製造装置10を用いて、例えば下記の手順にて製造することができる。
すなわち、まず、通気性繊維素材2であるポリエステルスパンボンド不織布2aを、繰り出し部11により押出ラミネート装置12に繰り出す。
繰り出されたポリエステルスパンボンド不織布2aの一面に対して、透湿性樹脂である共重合ポリエステル樹脂が、押出ラミネート装置12における単軸押出成形機13から溶融押出されて、押出ラミネートダイス14により積層される。そして、積層状態の通気性繊維素材2および透湿性樹脂は、冷却ローラ15により加圧冷却して、ラミネートされることになる。
【0054】
更には、共重合ポリエステル樹脂がラミネートされた通気性繊維素材2を、加熱吸引装置17の加熱部18にてラミネートされた透湿性樹脂(共重合ポリエステル樹脂)を加熱溶融しつつ、通気性繊維素材2の当該共重合ポリエステル樹脂が積層されていない側から吸引部19にて吸引して、共重合ポリエステル樹脂を通気性繊維素材2に含浸させて、当該樹脂の一部を含浸部4として通気性繊維素材2と複合化した透湿性樹脂層3が形成される。
そして、通気性繊維素材2の一面に透湿性樹脂層3が形成された食品包装材1は、巻き取り部20にて巻き取られることになる。この吸引条件の調整によっては、透湿性樹脂層3を貫通する微孔を多数形成することができる。
【0055】
前記の製法により得られた本実施形態の食品包装材1の、通気性繊維素材2であるポリエステルスパンボンド不織布2aとブロック共重合体ポリエステルからなる透湿性樹脂層3との剥離強度は、湿潤状態においては、10N/15mm巾以上であり、通常状態においては、10N/15mm巾以上である。
また、本実施形態の食品包装材1の、JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定される透気度は、約3秒/100ccであり、JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度は、約4500g/m・24hrである。
【0056】
そして、本実施形態に係る食品包装材1は、ハム、ソーセージ、ベーコン、魚肉製錬品等の食肉類、魚肉類、チーズ類等の食品を包装する、いわゆるケーシング材料として適用することが好ましい。
【0057】
前記した本発明の実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
(1)通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3とを備える食品包装材1において、透湿性樹脂層3の一部が前記通気性繊維素材に含浸した状態で積層されて形成されており、湿潤状態における通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3との間の剥離強度を2N/15mm以上とすることができる。このため、湿潤状態においても、通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3との間で大きな層間強度が得られ、水分や油分を含んだ湿潤時であっても、通気性繊維素材2と透湿性樹脂層3との層間剥離が生じにくくなり、例えば、食品包装材1を食肉等を包装するケーシング材料として用いた場合において、特に肉充填前の湿潤処理時、当該食肉から食肉包装材1(ケーシング材料)を剥がす際に生じるデラミネーションを防止することができる。
【0058】
また、加熱溶融状態の透湿性樹脂を通気性繊維素材2を介して加熱吸引処理を施すため、透湿性樹脂の一部が通気性繊維素材2に含浸して含浸部4を形成するとともに、通気性繊維素材3の表面に対して溶融した透湿性樹脂が、孔が開いた状態で積層されて透湿性樹脂層3が形成されることとなる。従って、透湿性樹脂層3が透気性に優れた層となるため、食品包装材1全体としても、透気性及び透湿性に優れるものとなる。
【0059】
(2)JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定される透気度が0.1〜50秒/100ccであるため、透気性能に優れた食品包装材1を提供することができ、例えば、食品包装材1をケーシング材料として適用したした場合においても、肉の充填が空気を押し出して確実になされ、スモーク成分等の移動が適度に行われることとなり、薫製調理における色合いや色付け、及び味付けを良好に行うことができる食品包装材1を提供可能とする。
【0060】
(3)JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度が4500g/m・24hrであるため、透湿性能に優れた食品包装材1を提供することができ、例えば、食品包装材1をケーシング材料として適用した場合においても、スモーク成分等のガス成分の移動が好適に行われる一方、水分の過度の移動を効果的に抑制する食品包装材1を提供可能とする。
【0061】
(4)透湿性樹脂層3を構成する透湿性樹脂が、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステル樹脂よりなるため、食品包装材1の透湿性能を一層良好なものとすることができ、その結果、前記した効果をより好適に享受することを可能とする。
【0062】
(5)通気性繊維素材2としてポリエステルスパンボンド不織布2aを用いることにより、安価で可撓性を有し、軽量でかつ機械的強度が比較的強いことから、汎用性の向上および利用分野の拡大を容易に図ることができる。
【0063】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
【0064】
例えば、前記した実施形態においては、通気性繊維素材2を構成する熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を、また、透湿性樹脂層3を構成する樹脂としてハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステル樹脂を適用した例を示したが、これには限定されず、例えば、それ自体透湿性を有するポリエーテルブロックを有する熱可塑性樹脂エラストマー、具体的には、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどを適用することができる。
【0065】
また、通気性繊維素材2としては、スパンボンド不織布とした例を示したが、これには限られず、紙やほかの不織布、織布などでもよい。また、通気性繊維素材2を構成する繊維としても、熱可塑性樹脂に限られず、木材パルプ、楮、みつまた、レーヨン繊維などの溶融しない繊維素材などに限られず、いずれのものでもできる。
【0066】
更には、通気性繊維素材2に含浸した状態に透湿性樹脂層3を形成する方法としても、図2に示す製造装置10を用いて、透湿性樹脂層3を構成する透湿性樹脂を通気性繊維素材2の一面に押出ラミネートした後、加熱吸引装置17を介して加熱して透湿性樹脂を溶融させつつ吸引して含浸させる構成について説明したが、これには限定されず、例えば、あらかじめ透湿性樹脂を成形加工したフィルム形状のものを透湿性樹脂層3として繰り出すようにして、当該加熱吸引処理を施すようにしてもよい。
【0067】
そして、本実施形態の食品包装体1は、透湿性樹脂である共重合ポリエステルが、透湿性樹脂層3として通気性繊維素材2であるポリエステルスパンボンド不織布2aの一面に積層して構成され、当該透湿性樹脂層3が、図2に示す製造装置10を用いて、加熱状態の透湿性樹脂3であるブロック共重合ポリエステルがポリエステルスパンボンド不織布2aに重ね合わせるとともに、ポリエステルスパンボンド不織布2aにおけるブロック共重合ポリエステルが重ね合わされた面と反対側の面から加熱吸引処理が施されて、かかるブロック共重合ポリエステルの一部がポリエステルスパンボンド不織布2aに含浸して、含浸部4が設けられた状態で積層されて形成される態様を示したが、これには限定されず、透湿性樹脂の一部が通気性繊維素材2に含浸することができるものであれば、その手段や形式は任意のものであってよい。また、例えば、特開平5−69527号公報の図1や図4に示されるような装置を用いて積層してもよい。この場合、加熱装置は当該図に示されるように、減圧装置(吸引手段)の外部に設置してもよく、また、内部に設置してもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構造及び形状は、本発明の目的及び効果を妨げない範囲で他の構造等としてもよい。
【0068】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0069】
〔実施例1〕
通気性繊維素材としてポリエステルスパンボンド不織布 (エクーレ6301A:東洋紡績(株)製、目付 30g/m、融点 250℃、)を用い、また、透湿性樹脂層を構成する透湿性樹脂として、ハードセグメントとソフトセグメントからなるブロック共重合ポリエステル樹脂(ペルプレン(登録商標) GP550:東洋紡績(株)製、MFR 34g/10分(230℃)、融点174℃)を用いた。
そして、図2に示した製造装置を用いて、ポリエステルスパンボンド不織布の一面に対して、前記したブロック共重合ポリエステル樹脂を、押出温度を250℃とし、厚さが30μmとなるように押出ラミネートした後、得られた積層体を加熱吸引装置中の加熱部(赤外線ヒータ)により200℃に加熱し、吸引部による空気吸引により加熱吸引して、ブロック共重合ポリエステル樹脂の一部がポリエステルスパンボンド不織布に含浸された、本発明の食品包装材を得た。
【0070】
〔実施例2〕
通気性繊維素材として、ポリエステルスパンボンド不織布のかわりにPET系経緯直交不織布(ミライフ(登録商標)TY1515E:新日石プラスト(株)製、目付30g/m 融点250℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、本発明の食品包装材を得た。
【0071】
〔比較例1〕
食品包装材の製造において、加熱吸引装置による加熱吸引を行わず、孔明け加工をした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、食品包装材を得た。なお、孔明けは、約2mmピッチで、直径が約0.3mmの孔を明けた。
【0072】
〔試験例1〕
前記の実施例1、2及び比較例1で得られた食品包装材について、「(1)透気度」、「(2)透湿度」、「(3)通気性繊維素材と透湿性樹脂層との間の湿潤状態における剥離強度」、「(4)通常状態での剥離強度」をそれぞれ測定し、比較・評価した。なお、(3)及び(4)の剥離強度は、n=5で測定した。更には、食品包装材をケーシング材料とし、また、食品としてロースハムを包装した場合における実用性の評価として、下記の条件による「(5)ロースハム調理試験」も併せて行い、これも比較・評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(1) 透気度:
JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定した。
【0074】
(2)透湿度:
JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定した。
【0075】
(3)湿潤状態での剥離強度:
試験サンプルを40℃の温水に10分間浸漬させて湿潤状態とした後、引張強度を200mm/分として、JIS K6854に規定されるT−PEEL法に準拠して剥離試験を行った場合の、15mm巾あたりの最大強度を求めた。
【0076】
(4)通常状態での剥離強度:
試験サンプルを室温(23℃)、湿度60%RHで1日間放置して標準状態とした後、引張強度を200mm/分として、JIS K6854に規定されるT−PEEL法に準拠して剥離試験を行った場合の、15mm巾あたりの最大強度を求めた。
【0077】
(5)ロースハム調理試験:
食品包装材を封筒貼りして、一端をヒートシールした。これを40℃の温水に入れて、湿潤、軟らかくした後、味付けされた豚肉800gを充填した。各包装体について、肉の充填は、気泡の発生もなく、スムースに行われた。充填後、他端をクリップでかしめた後、薫製処理を行った。
薫製処理後の豚肉を包装した各食品包装材について、食品包装材を充填した豚肉から剥がしとった場合におけるデラミネーションの発生の有無を確認し、また、肉の薫製色及び香りも確認した。結果を表1に示す。
【0078】
( 結 果 )
【表1】
Figure 2005035582
【0079】
表1の結果から明らかなように、実施例1及び実施例2で得られた本発明の食品包装体は、透気性能及び透湿性能に優れた食品包装材であった。また、剥離強度についても、通常状態はもちろんのこと、湿潤状態においても高い強度を示すものであり、優れた層間剥離性能を有するものであった。更には、食品包装材としての実用性を示すロースハム調理試験においても、湿潤処理時、肉充填時にデラミネーションの発生もなく、肉と包装材との剥離もスムースに行われて包装材のデラミネーションも見られず、かつ、色つきやフレーバーの付与が良好に行われ、市販品と比較しても外観や味、香りが良好なものが得られた。従って、食品包装材として好適に使用できることが確認できた。
【0080】
一方、比較例1で得られた食品包装材は、透気性能、透湿性能及び湿潤状態における剥離強度について本発明の食品包装材より劣る結果であり、かつ、ロースハム調理試験の結果も好ましいものではなく、食品包装材としては適当なものではなかった。また、肉充填時の空気を追い出すために孔加工が必要であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の食品包装材は、透湿性及び透気性に優れるとともに、透湿性樹脂層の一部が前記通気性繊維素材に含浸した状態で積層しており、湿潤状態における通気性繊維素材と透湿性樹脂層との剥離強度を優れたものとすることができる。従って、水分や油分を含んだ湿潤時においても通気性繊維素材と透湿性樹脂層との層間剥離が生じにくくなり、湿潤状態におけるデラミネーションを好適に防止することができる。
【0082】
従って、本発明の包装材は、ハム、ソーセージ、ベーコン等の薫製食肉等の製造時に用いられるケーシング材料等として、有利に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における食品包装材の概要を示す断面図である。
【図2】本発明の食品包装材を製造する製造装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 食品包装材
2 通気性繊維素材
2a ポリエステルスパンボンド不織布
3 透湿性樹脂層
4 含浸部

Claims (6)

  1. 通気性繊維素材の一面に透湿性樹脂層を備えた食品包装材であって、前記透湿性樹脂層の一部が前記通気性繊維素材に含浸し、湿潤状態における前記通気性繊維素材と前記透湿性樹脂層との剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とする食品包装材。
  2. 請求項1記載の食品包装材において、JIS P8117に規定されるガーレ形法に準拠して測定される透気度が0.1〜50秒/100ccであることを特徴とする食品包装材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の食品包装材において、JIS Z0208に規定されるカップ法に準拠して測定される透湿度が500g/m・24hr以上であることを特徴とする食品包装材。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の食品包装材において、前記通気性繊維素材が不織布であることを特徴とする食品包装材。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の食品包装材において、前記透湿性樹脂がハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合体樹脂よりなることを特徴とする食品包装材。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の食品包装材において、薫製食品用包装材であることを特徴とする食品包装材。
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