JP5116220B2 - 被覆粒状肥料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
被覆粒状肥料は被覆しない粒状肥料と比較すると、肥料成分が被膜の割合に応じて減少するため、例え多機能であっても割高感は拭えない。一方、被膜の割合が多い(被膜厚みが厚い)ほど溶出コントロールや被膜強度の維持等の品質管理がしやすく、品質の良い被覆粒状肥料を安定的に供給するためには、ある程度の被膜厚みが必要となる。特に、施用後一定期間肥料の溶出が抑制された溶出抑制期間と、一定期間経過後溶出が持続する溶出期間とからなる時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料は、溶出抑制期間中の溶出漏れを厳しく抑えるため、被膜の欠陥(ピンホール等)を解消する目的で被膜厚みを厚くしたり、被膜を薄くして重ね塗りする等の生産性の低い方法によって得られている。
被膜厚みを薄くして被膜の割合を減らすためには、粒状肥料の形状を整え、粒度分布等を揃えるほか、被膜を薄く丁寧に重ね塗りすればピンホールのない緻密な薄い被膜を形成することができるが、更に生産性が低下する。
また、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料に関する多くの技術(例えば、特許文献10参照)も開示されている。
これらはいずれもオレフィン系重合体を被膜の有効成分として開示しているが、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料を、薄い被膜でかつ実用的な生産性で製造できる被膜材料を開示するものではなかった。
(1)表面が被膜によって被覆された被覆粒状肥料であり、該被膜が、下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、及び多糖類ならびにその誘導体から選ばれた1種以上を含有する被膜であり、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.5%未満である。
(c)メルトマスフローレイトが0.01〜2g/10minである。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.0%以下である。
(c)メルトマスフローレイトが0.01〜2g/10minである。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.0%以下である。
(c)メルトマスフローレイトが0.1〜2g/10minである。
第1工程:下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、及び多糖類ならびにその誘導体から選ばれた1種以上を、有機溶媒に溶解及び分散させた被覆用混合物を、流動状態または転動状態にある粒状肥料の表面に噴霧して付着させる工程。
第2工程:粒状肥料の表面に付着した被覆用混合物から有機溶媒を蒸発させ、粒状肥料の表面に被膜を形成する工程。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.5%未満である。
(c)メルトマスフローレイトが0.1〜2g/10minである。
本発明の被覆粒状肥料は、低コストで得られるだけでなく、時限溶出型の溶出パターンの指標であるd1/d2が0.7以上となるため、播種時施肥等の省力化栽培法に最適であり、低コストと高性能とを共に実現した肥料である。また、取り扱い時の衝撃に対する耐性が向上しているため、使用時の初期溶出抑制効果の低下を防止できる。
本発明の被覆粒状肥料は、粒状肥料の全外面を低密度エチレン単独重合体、及び多糖類ならびにその誘導体から選ばれた1種以上を含有する被膜によって被覆した時限溶出型の溶出パターンを有する肥料である。
本発明において「時限溶出型の溶出パターン」とは、施肥後の一定期間内には溶出が抑制され、その期間経過後には速やかな溶出を開始することを意味する。
本発明の被覆粒状肥料において、d1/d2は0.7以上が好ましく、0.7〜2がより好ましく、0.75〜1.5が更に好ましい。また、d1+d2は30〜360(日)であることが好ましい。d1とd2が上記の関係にあると、被覆粒状肥料は特に播種時施肥に適し、育苗時の濃度障害や徒長を生じることがない。
尚、本発明の被覆粒状肥料の被膜は、更に充填材を含有することが好ましい。被膜中の充填材は、温度変化による被膜の膨張や収縮を抑えると共に被膜材料のコスト低減に寄与する。
また、上記溶出パターンの観点から、GPC法によって測定される低密度エチレン単独重合体のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)は(Mz/Mw)>(Mw/Mn)であり、Mz/Mwの値が3以下であることが好ましい。
近年の医薬分野におけるDrug Delivery System(DDS)に対応したNutrient Delivery System(NDS,養分送達システム)の考え方に基き、必要な時に必要な場所に、必要な量の養分(肥料成分)を送達することによって、肥効増強、環境負荷低減、省力化等の達成が期待できる。
また、該低密度エチレン単独重合体の結晶化温度は105℃以下、融点は85〜120℃が好ましい。低密度エチレン単独重合体の結晶化温度、融点は示差走査熱量分析装置(DSC)によって測定される。結晶化温度が105℃以下であれば、噴霧する過程において、噴霧ノズルの閉塞が起きにくい。また、融点が上記の範囲であれば、被膜を形成する過程で粒状肥料同士が融着することもなく、噴霧ノズルから出た被覆用混合物中の低密度エチレン単独重合体が糸を引いて被覆不能となることもない。
被覆粒状肥料の被膜に含まれる低密度エチレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は3〜6、重量平均分子量(Mw)は100,000〜300,000であり、分子量10,000以下の成分の含有量は3.5%未満、好ましくは3.0%以下である。
尚、該低密度エチレン単独重合体の破断強度は、押出成形による樹脂加工におけるフィルムの引取方向(MD)、垂直方向(TD)のいずれの値でも良い。
本発明で被覆用混合物に用いられる低密度エチレン単独重合体は、気相法、スラリー法等の製造プロセスやチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて製造することができる。
本発明では該低密度エチレン単独重合体として、市販の低密度ポリエチレン(LDPE)の中から上記の諸条件を満足するものを選択して用いることができる。
エチレン共重合体の使用量は、低密度エチレン単独重合体の性能を損なわない範囲内で使用できるが、所期目的の達成とコストの観点から低密度エチレン単独重合体の5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
また、前記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと1種以上のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、低密度エチレン単独重合体との相溶性が高いプロピレンや1−ブテンとの共重合体が好ましい。
デンプンとしては、トウモロコシ、タピオカ、小麦、馬鈴薯、米、甘藷由来のものが使用できる。また、これらのデンプンを加工したα化デンプン等の加工デンプンを用いてもかまわない。また、デンプン表面をシリコーン樹脂等で処理して、分散性や流動性を改良したシリコーン処理デンプン等も使用できる。
これらの多糖類またはその誘導体は、単独でも使用できるし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる充填材の粒径は、100μm以下が好ましく、1〜50μmがより好ましい。粒径が上記の範囲であると、粒径が大きすぎて製膜時に被膜が剥離したり、被覆用混合物が噴霧ノズル等に詰まる等の問題も起きにくい。充填材は、粒径が被膜の厚みより大きくて被膜表面から一部分が突出する場合でも、被膜に一部分が取り込まれて接着している状況であれば、所期の目的は達成される。
尚、被膜における充填材分散の変動係数とは、1粒の被覆粒状肥料の被膜の切断面において、膜厚方向を縦、膜表面に対して平行方向を横とし、該被膜の切断面から任意に、縦×横=20μm×50μmの範囲を10箇所、任意に抽出した20粒について走査型電子顕微鏡で観察し、各箇所に存在する充填材数を計測し、その計測結果から求めた(該変動係数=標準偏差/平均値×100)ものである。
これらの中でも、水溶解度が大きく環境流出しやすい窒素質肥料が好ましく、肥料成分当たりの単価が安い尿素がより好ましい。
円形度係数=(4π×粒状肥料の投影面積)/(粒状肥料投影図の輪郭の長さ)2
尚、本発明における円形度係数は100個のサンプルについての平均値である。
第1工程:前述の低密度エチレン単独重合体、及び多糖類ならびにその誘導体から選ばれた1種以上を、有機溶媒に溶解及び分散させた被覆用混合物を、流動状態または転動状態にある粒状肥料の表面に噴霧して付着させる工程。
第2工程:粒状肥料の表面に付着した被覆用混合物から有機溶媒を蒸発させ、粒状肥料の表面に被膜を形成する工程。
これらの工程の詳細は、例えば特公昭60−3040号公報の実施例の項に開示されている。
また、下記式で示される絞り円盤の開口率は、10〜70%が好ましく、特に20〜60%が好ましい。
開口率(%)=(噴出孔上部面積の合計/穿孔前の円盤の上部面積)×100
開口率が上記の範囲であれば、絞り円盤の上面に粒状肥料が堆積固結せず、絞り作用が十分で、所期の気体の噴流速度が得られる。
1.物性の測定方法
実施例及び比較例の低密度エチレン単独重合体の物性評価は、下記測定方法によって行った。
(1)メルトマスフローレイト(MFR);JIS K 7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠した。
(2)密度;JIS K 7112に準拠した。試料1gをプレス温度180℃、加圧1kg/cm2の条件にて予熱2分間行った後、脱泡を数回繰り返し、プレス温度180℃、加圧150kg/cm2の条件にて4分間の加温加圧後に、20〜30℃/minの割合で冷却して、試料の前処理を行った。前処理を行った試料2〜3mgを切り出し超音波洗浄機にて脱泡後、層内温度密度23±0.1℃に保持した測定範囲0.916〜0.947g/cm3の密度勾配管中に、投入し沈降が完全に停止したときの値を密度とした。
(3)分子量分布(Mz/Mw、Mw/Mn)
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定。標準ポリスチレンは東ソー社製を用い、溶出時間と分子量の検量線を用いて重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)を求め、分子量分布Mw/Mn、Mz/Mwを求めた。
装置:ウォーターズ社製GPC−150C型
カラム:東ソー社製 GMH−HT6(7.5mmID×60cm)
移動相:オルトジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1ml/min
検出器:示差屈折計
(4)低分子成分
上記分子量分布の測定と同様に行い、分子量分布曲線を作成し、分子量10,000以下の占める面積を求め、分子量分布全体の面積で除して比率を求めた。
(5)結晶化温度、融点
試料5±0.5mgを示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製DSC−7)を用い、10℃/minで200℃迄昇温して溶融し、200℃で5分間保持した後、降温速度10℃/minで−30℃迄降温して10分保持し、次いで昇温速度10℃/minで昇温する際の吸熱曲線を求め融点とした。更に、昇温速度10℃/minで昇温して、200℃で5分間保持した後、溶融状態から降温速度10℃/minで冷却する過程におけるDSCの発熱のピーク温度を結晶化温度とした。
(6)破断強度;JIS Z 1702に準拠した。L/Dが22の40mmφ単軸押出機に直径180mmφインフレーション用ダイスを用い、押出温度200℃、引張速度15〜20m/minの速度にてフィルム成形を行った。フィルムの引取方向をMD、垂直方向をTDとし、チューブ状のフィルム成形物を得た。このフィルムをダンベル1号で打ち抜き、標線間を10cm、厚みを3カ所測定し最小値を厚みとした。環境温度23℃の恒温室にて48時間放置し、ストログラフ(東洋精機製作所製 R−3)を用いて引張速度200mm/minで破断する迄の最大荷重を測定し、この測定値を断面積で割った値を破断強度とした。
(7)伸び率;JIS Z 1702に準拠した。破断強度の測定において、破断する迄の標線間の伸びを伸び率とした。
LDPE1:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M2504」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE2:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M2713」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE3:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M1920」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE4:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M2004」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE5:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M2206」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE6:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M1703」(旭化成ケミカルズ社製)。
LDPE7:低密度ポリエチレン 商品名「サンテック−LD M2270」(旭化成ケミカルズ社製)、表1の物性値はカタログ値。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、商品名「エバフレックス360」(三井デュポンポリケミカル社製)。
コーンスターチ:粒径12〜18μm。
タルク:平均粒径10μm。
SA:ヘキサオキシエチレンノニルフェニルエーテル。
Fe:ステアリン酸鉄(III)(キシダ化学社製、試薬グレード、純度99%以上)
実施例及び比較例で用いた被覆粒状肥料の製造装置1の構成は、図1のフローシートと同様であり、噴流塔1は塔径(内径)600mm、高さ5,000mm、円錘角50度の形状を有し、粒状肥料投入口15及び被覆粒状肥料排出口13を有する。噴霧ノズル2はフルコン型一流体スプレーノズル、3は粒状肥料(芯材)である。6は固気分離器、7は冷却凝縮器である。8はルーツ型ブロワー、12はヒーターである。9は攪拌機付の被覆用混合物調整槽(溶解槽)であり、10はダイヤフラム型送液ポンプである。14はガイド管(直径150mm、長さ880mm、フッ素樹脂被覆品)、11は整流缶である。21は絞り円盤である。
絞り円盤21の詳細を図2に示す。図2において、直径154mm、噴出孔23の内径45mm、噴出孔数4個(開口率34%)、各噴出孔23の中央にそれぞれノズル2を設けたものであった。尚、ノズル2は、絞り円盤21の中心を中心とする直径95mmの円上に配置した。
実施例及び比較例で用いた被覆粒状肥料の製造装置2の構成は、噴流塔1の塔径(内径)を1,300mm、高さを8,500mmにし、他の装置も約2倍にし、固気分離器、冷却凝縮器、ルーツ型ブロワー等機器は噴霧により被覆する上で支障がないようスケールアップした以外は製造装置2の場合と同様である。
製造装置1または2を用いて次の方法により、被覆粒状肥料を製造した。熱せられた気流が噴流塔1の下部から上部に向けて流れ、固気分離器6を通過し、凝縮器7で気流を冷却し、有機溶媒を凝縮回収する。凝縮器7を通過した気流はブロワー8からヒーター12を通過して加熱され高温気流として再度噴流塔1へ導かれるように循環している。
まず、ブロアー8を用いて、噴出孔での気流温度150℃に保持した空気を噴流塔1に送りながら、粒状肥料(芯材)を投入口15から投入し、粒状肥料を噴流状態にする。この際、粒状肥料温度が70±2℃になるように、熱せられた気流の流量及び温度を調節した。気流の流量はブロワー8と整流缶11の間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱せられた気流の温度は、粒状肥料温度や噴流塔出口温度を測定しながら調節した。循環風量は製造装置1で1,000m3/h、製造装置2で3,000m3/hであり、粒状肥料投入量は製造装置1で140kg、製造装置2で1,000kgである。
他方、溶解槽9に表2に示す組成の被膜材料各成分とテトラクロロエチレンを投入し、液温100±2℃で1時間混合撹拌することによって均一な被覆用混合物を調製した。
次いで塔内の粒状肥料が70℃に達したら、被覆用混合物供給ポンプ10を作動させて溶解槽9内の被覆用混合物をノズル2に送って被覆用混合物のスプレーを開始し、被覆率(=(被膜重量/被覆粒状肥料重量)×100)が最終の被覆粒状肥料に対しての8.5%となる迄行い、その後、粒状肥料温度を70℃±2℃に維持することに留意して気流の温度調節をしながら10分間気流のみを吹きつけて乾燥を実施し、乾燥が終了した時点でブロアー8を止めて、被覆された粒状肥料を、抜き出し口13より排出し、有機溶媒を含まない気流により脱溶媒処理を行った後、ホワイトカーボン粉体を被覆する表面処理を経て被覆粒状肥料を得た。
粒状肥料の円形度係数は、NIRECO社製のIMAGE ANAJYZER LUZEX-FSを用いて測定した。測定はランダムに取り出した粒状肥料100個を用いて行った。測定結果は0.994であった。
表2に示した被膜材料組成と製造条件で被覆粒状肥料を製造した。
実施例及び比較例の被覆粒状肥料を10gとあらかじめ25℃に調整をしておいた蒸留水200mlとを250mlの蓋付きポリ容器に投入し、25℃設定のインキュベーターに静置した。7日後、該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる尿素量(尿素溶出量)を定量分析(ジメチルアミノベンズアルデヒド法 「詳解肥料 分析法 第二改訂版」養賢堂)により求めた。水を抜き取った後のサンプルは再度該容器に入れ、該容器に再度蒸留水を200ml投入し同様に静置した。尿素溶出量の積算値が、予め同一ロットの被覆粒状肥料を用いて測定した尿素含有量の80重量%に達する迄この操作を繰り返した。
その後該被覆粒状肥料を乳鉢ですりつぶし、該肥料の内容物を水200mlに溶解後上記と同様の方法で尿素残量を定量分析した。積算尿素溶出量と尿素残量を加えた量を尿素全量とし、水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80重量%溶出率に至る日数を求めた。結果を表3に示す。また、溶出測定開始から5重量%溶出に至る迄の日数を「d1」とし、それ以降80重量%溶出に至る迄の日数を「d2」とした。結果を表3に示した。
一方、比較例1〜12はd1/d2が0.70未満となり、特にd1を40日以上、またはd1とd2の和が100日以上の製品を本発明条件で製造しようとした場合、d2が長くなり栽培期間を超えて溶出し続けることになり、実用的でない。尚、比較例9、10はd1/d2が0.2以下になり時限溶出型にならず、比較例11は被覆率が小さすぎてd1とd2の和が3日で緩効性肥料とはいえず、比較例12は被覆用混合物中の被膜材料濃度を3重量%迄下げて丁寧に噴霧し被覆したが、上述の通りd1/d2が0.70未満となった。
比較例13の場合のような低密度エチレン単独重合体を用いた場合は、被覆率を12重量%、被覆用混合物供給速度を固形分で5kg/hのように被膜を厚くし、ゆっくり丁寧に噴霧し被覆すれば本発明品と同等のものが製造可能であるが、コストがかかりすぎ実用的でない。
背負い形動力散布機(共立社製、DMD−5501−26)を用いて、エンジンスロットル8、シャッター開度10の条件で、被覆粒状肥料10kgを散布し、筒先から10m以上吐出した被覆粒状肥料を回収した。回収した被覆粒状肥料を縮分器により50g迄縮分し、試験前の被覆粒状肥料10gと回収した被覆粒状肥料10gとあらかじめ25℃に調整をしておいた蒸留水200mlと共に250mlの蓋付きポリ容器に仕込み、25℃設定のインキュベーターに静置した。7日後、該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる尿素量(尿素溶出量)を定量分析(ジメチルアミノベンズアルデヒド法 「詳解肥料 分析法 第二改訂版」養賢堂)により求め、溶出率を算出した。散布機試験後の被覆粒状肥料の溶出率から、試験前の被覆粒状肥料の溶出率を差し引いた値を求め、被膜強度の尺度とした。結果を表4に示した。
よって、各比較例は機械を用いた施肥法には不向きか、注意が必要であり、用途が限定される。
比較例13は製造時に問題はなかったものの、各比較例と同様に被膜強度が劣る結果となった。これは、MFR値が大きいことが影響していると予測される。
2.噴霧ノズル
3.粒状肥料(芯材)
4.循環気流配管
5.被覆用混合物供給配管
6.固気分離器
7.凝縮器
8.ブロワー
9.溶解槽
10.ポンプ
11.整流缶
12.ヒーター
13.排出口
14.ガイド管
15.粒状肥料投入口
21.絞り円盤
22.円盤主体
23.噴出孔
Claims (9)
- 表面が被膜によって被覆された被覆粒状肥料であり、該被膜が、下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、ならびに多糖類及び多糖類の誘導体から選ばれた1種以上を含有する被膜であり、被膜の割合が被覆粒状肥料に対して5.0〜12重量%であり、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.5%未満である。
(c)メルトマスフローレイトが0.01〜2g/10minである。 - 表面が被膜によって被覆された被覆粒状肥料であり、該被膜が、下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、ならびに多糖類及び多糖類の誘導体から選ばれた1種以上を含有する被膜であり、被膜の割合が被覆粒状肥料に対して5.0〜12重量%であり、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.0%以下である。
(c)メルトマスフローレイトが0.01〜2g/10minである。 - 被膜が、更にエチレン共重合体を含有する、請求項1または2記載の被覆粒状肥料。
- 被膜が、更に充填材を含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の被覆粒状肥料。
- 時限溶出型の溶出パターンが、被覆粒状肥料を25℃の水中に浸漬した場合の肥料成分の溶出率が5重量%に達する迄の期間をd1(日)とし、肥料成分の溶出率が、被覆粒状肥料に含まれる全肥料成分量に対して、5重量%を超えて80重量%に達する迄の期間をd2(日)とした時、d1/d2が0.7以上であり、かつd1+d2が30〜360(日)の範囲である、請求項1〜4のいずれか1項記載の被覆粒状肥料。
- 下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、ならびに多糖類及び多糖類の誘導体から選ばれた1種以上を、有機溶媒に溶解及び分散させた被覆用混合物を、流動状態または転動状態にある粒状肥料の表面に噴霧し付着させ、この付着した被覆用混合物から有機溶媒を蒸発させて得られる、被膜の割合が被覆粒状肥料に対して5.0〜12重量%であり、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.0%以下である。
(c)メルトマスフローレイトが0.1〜2g/10minである。 - 被覆用混合物が、更にエチレン共重合体を含有する、請求項6記載の被覆粒状肥料。
- 下記工程を有する、被膜の割合が被覆粒状肥料に対して5.0〜12重量%であり、時限溶出型の溶出パターンを有する被覆粒状肥料の製造方法。
第1工程:下記(a)〜(c)の物性を有する低密度エチレン単独重合体、ならびに多糖類及び多糖類の誘導体から選ばれた1種以上を、有機溶媒に溶解及び分散させた被覆用混合物を、流動状態または転動状態にある粒状肥料の表面に噴霧して付着させる工程。
第2工程:粒状肥料の表面に付着した被覆用混合物から有機溶媒を蒸発させ、粒状肥料の表面に被膜を形成する工程。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3〜6であり、かつ重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000である。
(b)分子量10,000以下の成分の含有量が3.5%未満である。
(c)メルトマスフローレイトが0.1〜2g/10minである。 - 被覆用混合物の噴霧が、塔内部に垂直なガイド管が設置され、かつ塔下部に複数の噴出孔を有しその開口率が10〜70%である絞り円盤が設置された噴流塔内において、前記絞り円盤の噴出孔を通して下方から噴出する気体により噴流層を形成して流動状態にある粒状肥料の表面に対し、噴出孔の少なくとも1個に下方から上方に向けて挿入されている噴霧ノズルを用いて行われる、請求項8記載の被覆粒状肥料の製造方法。
Priority Applications (1)
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