JP5115854B2 - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁気ディスクに関し、特にコンピュータの外部記憶装置等として用いられる磁気記録媒体に関する。
磁気記録媒体の一種である磁気ディスクの表面には、ヘッドスライダ/磁気ディスク間の固体接触によるダメージを防ぐため、一般に、磁性層上に保護層および潤滑層がこの順に設けられている。たとえば、磁性層上に、カーボンを含む保護層が形成され、該保護層上に、パーフルオロポリエーテル(PFPE)系化合物と呼ばれるフッ素系潤滑剤を含む潤滑層が、たとえば0.5−2.0nm程度の厚さで塗布されている。
磁気ディスクは、様々な環境下で使用されることが多くなってきている。磁気ディスク装置内で使用されている各種の接着剤およびプラスチック材料等の有機材料からは、揮発性有機系ガス、酸性ガス等がある程度の割合で放出されている。高温高湿環境下で磁気ディスクを使用すると、放出された有機系ガスが磁気ディスクの潤滑層の潤滑剤と相互作用を起こし、ヘッドスライダへの潤滑剤、有機化合物の付着・堆積を促進することが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1は、磁気ディスクに強制的に有機系コンタミネーションを生じさせるための高温高湿環境として、特に、60℃、80%r.h.の条件を開示している。
特許文献1では、前記現象が磁気ディスクの表面エネルギーと密接な関係があることに着目し、ヘッドスライダへの潤滑剤の付着・堆積を防止するために、磁気ディスク表面を不活性化させる着想を開示している(特許文献1参照)。特に、用いる潤滑剤自体の表面張力を下げることによって、磁気ディスクの真実臨界表面張力を下げることができることを開示している。
一方、磁気ディスクへの潤滑剤の塗布は、一般に、ディップコート法により行われている。ディップコート法は、タスクタイムを考慮すると優れた方法である。しかしながら、磁気ディスク引き上げ時に、磁気ディスク自体が塗液(潤滑剤溶液)の液面に振動を与えることがある。その結果、筋状の凸部(以下、「ルブライン」(Lubricant ununiformity)と称す。)などの凹凸が形成され、潤滑層が平坦とならないことがある。
磁気ディスクの記録密度向上に伴って、ヘッドスライダの浮上量に10nmを下回る値が求められるようになっている。また、求められる浮上量はさらに低減する傾向がある。そのため、ヘッドスライダと磁気ディスクとの間欠的な接触が不可避な状態となっている。特に、磁気ディスク上における潤滑層のルブラインがヘッドスライダと接触することで、ヘッドスライダの浮上姿勢を乱す恐れがある。また、潤滑層のルブラインと接触したヘッドスライダの表面に潤滑剤が付着・堆積し、ヘッドスライダの浮上姿勢を乱すことがある。その結果、ヘッドスライダが磁気ディスク表面へ接触・墜落する可能性が高まる。
特開2005−221403号公報
本発明が解決しようとする課題は、磁気ディスク上に形成される潤滑層の表面の凹凸を緩和して、磁気ヘッドスライダと潤滑層のルブライン(筋状の凸部)との接触を回避し、磁気ヘッドスライダの安定走行を維持することにある。
上記問題を解決するために、本発明は、
(A)少なくとも非磁性基板および磁性層を含む磁気ディスク基板を提供する工程と、
(B)前記磁気ディスク基板の前記磁性層側の面上にパーフルオロポリエーテル系化合物を含む潤滑剤溶液を塗布することにより潤滑層を配設する工程と、
(C)前記潤滑層が配設された前記磁気ディスク基板を、温度50℃以上かつ相対湿度60%以上の条件で高温高湿処理することにより、前記潤滑層の表面を平坦化する工程と
を含むことを特徴とする磁気ディスクの製造方法を提供する。
工程(A)において前記磁気ディスク基板が前記磁性層上に保護層をさらに含み、工程(B)において前記潤滑剤溶液を前記保護層上に塗布してもよい。
また、本発明は、上記方法によって製造され、潤滑層の表面粗さRmaxが0.3nm以下である磁気ディスクを提供する。
本発明の製造方法を用いることで、従来技術に比較して、潤滑層の表面の凹凸が緩和された磁気ディスクを提供することが可能となる。また、本発明の磁気ディスクは、磁気記録装置に組み込まれた際に、ヘッドスライダの接触・墜落の可能性を低減しつつ、ヘッドスライダの浮上高さを減少させることを可能にする。したがって、本発明の磁気ディスクは、高い記録密度での磁気記録を可能にする。
以下、本発明の方法について詳細に説明する。本発明においては、
(A)少なくとも非磁性基板および磁性層を含む磁気ディスク基板を提供する工程と、
(B)前記磁気ディスク基板の前記磁性層側の面上にパーフルオロポリエーテル系化合物を含む潤滑剤溶液を塗布することにより潤滑層を配設する工程と、
(C)前記潤滑層が配設された前記磁気ディスク基板を、温度50℃以上かつ相対湿度60%以上の条件で高温高湿処理することにより、前記潤滑層の表面を平坦化する工程と
を含む方法によって、磁気ディスクを製造する。以下に、各工程を説明する。
A.磁気ディスク基板を提供する工程
まず、本発明の方法を適用するための磁気ディスク基板を提供する。本発明の磁気ディスク基板には、非磁性基板上に少なくとも磁性層を積層してなるハードディスク等の磁気ディスクの形態を有するものを使用することができる。磁気ディスク基板は、任意選択的に、非磁性基板と磁性層との間にこれら以外の層、たとえば、非磁性下地層、軟磁性層、シード層、中間層などをさらに有していてもよい。また、任意選択的に、磁性層上に保護層を有していてもよい。以下に、本発明の磁気ディスク基板の各構成要素について説明する。
(1)非磁性基板
非磁性基板は、磁気ディスクに従来から用いられているものであれば特に限定されない。たとえば、アモルファスガラス、強化ガラス、結晶化ガラスまたはセラミックスなどの材料、またはこれらの複合材料からなる基板を用いることができる。また。従来から汎用的に使用されている、アルミ合金などの基板上に無電解メッキによりNi−Pなどの非磁性金属層(メッキ層)を形成したものであってもよい。
(2)非磁性下地層
任意選択的に有していてもよい非磁性下地層は、たとえば、Ta、Ti、またはCrTi合金のようなCrを含む非磁性材料を用いて形成される。通常の場合、非磁性下地層は、0.5nm以上20.0nm以下の膜厚を有することが望ましい。
(3)軟磁性層
任意選択的に有していてもよい軟磁性層は、たとえば、FeTaC、センダスト(FeSiAl)合金などの結晶性材料;FeTaC、CoFeNi、CoNiPなどの微結晶性材料;またはCoZrNd、CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を用いて形成される。軟磁性層は、磁気ディスク表面に垂直な方向の磁化を記録する場合(垂直磁気記録を行う場合)に、磁性層に垂直方向磁界を集中させるための層である。軟磁性層の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造および特性によって最適値が変化するが、生産性との兼ね合いから、おおむね10nm以上500nm以下であることが望ましい。
(4)シード層
任意選択的に有していてもよいシード層は、たとえば、面心立方格子構造を有する金属または合金、TaあるいはTa合金を用いて形成される。面心立方格子構造を有する金属または合金としては、Cu、Pd、Pt、Niまたはこれらのうち1つ以上を含む合金;NiFe、NiFeNb、NiFeCr、NiFeSi、NiFeBなどのようなパーマロイ系材料;CoNiFe、CoNiFeNb、CoNiFeCr、CoNiFeSi、CoNiFeBなどのようなパーマロイ系材料にCoを更に添加した材料;Co;あるいはCoB、CoSi、CoNi、CoFeのようなCo基合金等を用いることができる。シード層は、磁性層の結晶構造を制御するのに充分な膜厚を有することが望ましく、通常の場合、3nm以上50nm以下の膜厚を有することが望ましい。
(5)中間層
任意選択的に有していても良い中間層は、たとえば、Ru、Ruを主成分とする合金、Co、またはCoを主成分とする合金を用いて形成される。また、これらの金属または合金を積層したものであってもよい。中間層は、通常0.1nm以上30nm以下の膜厚を有する。このような範囲内の膜厚とすることによって、磁性層の磁気特性や電磁変換特性を劣化させることなしに、高密度記録に必要な特性を磁性層に付与することが可能となる。
(6) 磁性層
本発明に必須である磁性層は、好適には、少なくともCoとPtを含む合金の強磁性材料を用いて形成することができる。垂直磁気記録を行うためには、磁性層の材料の磁化容易軸(六方最密充填(hcp)構造のc軸)が、記録媒体表面(すなわち磁気ディスク基板の主表面)に垂直方向に配向していることが必要である。磁性層は、たとえばCoPt、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTaなどの合金材料を用いて形成することができる。磁性層の膜厚は、特に限定されるものではない。しかしながら、生産性および記録密度向上の観点から、磁性層は、好ましくは30nm以下、より好ましくは15nm以下の膜厚を有する。
前述の下地層、軟磁性層、シード層および中間層および磁性層の形成は、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法などを含む)、真空蒸着法など当該技術において知られている任意の方法を用いて実施することができる。
また、非磁性酸化物または非磁性窒化物のマトリクス中に磁性結晶粒子が分散されているグラニュラー構造を有する材料を用いて、磁性層を形成してもよい。用いることができるグラニュラー構造を有する材料は、CoPt−SiO、CoCrPt−TiO2、CoCrPtO、CoCrPt−SiO、CoCrPt−Al、CoPt−AlN、CoCrPt−Siなどを含むが、これらに限定されるものではない。グラニュラー構造を有する材料を用いた場合、磁性層内で近接する磁性結晶粒間の磁気的分離を促進し、ノイズの低減、SNRの向上および記録分解能の向上といった磁気記録特性の改善を図ることができる。
(7)保護層
任意選択的に有していても良い保護層は、その下にある磁性層以下の各構成層を保護するための層である。保護層は、カーボン(ダイヤモンドカーボン、アモルファスカーボンなど)、あるいは磁気記録媒体保護層用の材料として知られている種々の薄層材料を用いて形成することができる。耐摩耗性の観点からは、力学的強度の高いダイヤモンドライクカーボンおよびアモルファスカーボンを用いることが好ましい。保護層は、一般的に、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法などを含む)、真空蒸着法、CVD法などを用いて形成することができる。通常の場合、保護層は、0.5nm以上5.0nm以下の膜厚を有することが望ましい。
B.潤滑層を配設する工程
本発明において必須である潤滑層は、記録/読み出し用ヘッドが磁気記録媒体に接触している際の潤滑を付与するための層である。磁気ディスク基板の磁性層上(または存在する場合は保護層上)に潤滑剤溶液を塗布することにより潤滑層を配設する。本明細書中において「潤滑層」とは、塗布された潤滑剤溶液から溶媒が揮発および/または乾燥して形成される溶媒を含まない層を総称するものとする。
具体的には、まず、潤滑剤を溶媒に溶解させて塗液としての潤滑剤溶液を調製する。該潤滑剤溶液を、ディップコート法を用いて前記磁性層上(存在する場合は保護層上)に塗布することにより、潤滑層を配設する。
((潤滑剤))
本発明で用いることのできる潤滑剤は、フッ素系潤滑剤であり、極性末端基を有するフッ素系潤滑剤であることが好ましい。フッ素系潤滑剤の例は、パーフルオロポリエーテル系化合物を含む。極性末端基の例は、ヒドロキシル末端基、カルボキシル末端基、エステル等の極性末端基を含む。本発明においては、磁気ディスク用の潤滑剤として一般に用いられる極性末端基を有するパーフルオロポリエーテル系化合物を用いることが望ましく、極性末端基はヒドロキシル末端基であることが望ましい。たとえば、ソルベイ・ソレクシス株式会社(Solvay Solexis K.K.)製Fomblin Z−tetraol、Fomblin Z−dol、および株式会社松村石油研究所(Matsumura Oil Research Corp.)製のMoresco Phosparol A20Hなどのフォンブリン系、あるいはダイキン工業社製Demnum−SA(商標登録)などのデムナム系のような潤滑剤を使用することができる。
((溶媒))
本発明で用いることのできる溶媒は、本発明の潤滑剤を溶解させてディップコート法に使用することのできるものであればよく、特に限定されない。たとえば、HFE−7200(住友3M社製)、Vertrel XF(三井デュポンフロロケミカル社製)などを用いることができる。
C.潤滑層の表面を平坦化する工程
工程(B)により潤滑層が配設された磁気ディスク基板を、温度50℃以上かつ相対湿度60%以上の条件で高温高湿処理する。本明細書中において「高温高湿処理」とは、温度50℃以上かつ相対湿度60%以上の温湿度環境下に磁気ディスク基板を置くことを言う。高温高湿処理により、潤滑層が流動して、潤滑層の表面が平坦化される。
本発明における潤滑層の表面の平坦化は、潤滑層の磁気ディスク基板上における流動特性を利用したものである。この流動特性は、一般に、潤滑層が配設された磁気ディスク基板が置かれる周囲環境条件(温度および相対湿度)の影響を大きく受ける。潤滑層の所望の平坦化を得るために、本発明の工程(C)においては、50℃以上かつ60%r.h.以上の温湿度条件を用いる高温高湿処理をすることができる。
前記温湿度条件の範囲内において、温度および相対湿度のうちの少なくとも1つを変動させることにより、潤滑層の流動特性を制御することができ、その結果、潤滑層の表面粗さRmax(最大高さ)を制御することができる。磁気ヘッドの浮上特性の観点から、潤滑層のRmaxを0.30nm以下にすることが望ましい。
また、潤滑層が配設された磁気ディスク基板を高温高湿処理する時間も、潤滑層の得られる表面粗さRmaxに影響を与えうる。潤滑層の良好な表面粗さRmaxを得るためには、処理時間は30分間以上であることが好ましい。なお、処理時間を増加させていくと、たとえば1時間以上の処理時間で、表面粗さRmaxはほぼ定常値に達する。
本発明の別の態様は、上記方法により製造され、潤滑層の表面粗さRmaxが0.3nm以下である磁気ディスクである。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、下記実施例は例示であり、本発明を制限することを意図するものではない。
(実施例1)
以下の工程に従い、磁気ディスクを製造した。
(1)磁気ディスク基板の提供
非磁性基板(材料Al合金からなる直径95mmの磁気ディスク用基板)を準備した。前記非磁性基板上に、スパッタ法を用いて、膜厚2nmのCrTiからなる下地層、膜厚50nmのCoZrNbからなる軟磁性層、膜厚5nmのCoNiFeSiからなるシード層、膜厚10nmのRuからなる中間層、および膜厚15nmのCoCrPt−SiOとCoCrPrBとからなる磁性層を順次形成した。続いて、プラズマCVD法を用いて、膜厚4.0nmの非晶質カーボン保護層を形成して、磁気ディスク基板を得た。
(2)潤滑層の配設
潤滑剤としてのFomblin Z−tetraol(ソルベイ・ソレクシス株式会社製)を、溶媒としてのVertrel XF(三井デュポンフロロケミカル社製)に溶解させて、潤滑剤溶液(濃度150ppm)を調製した。上記(1)で得られた磁気ディスク基板に対して、潤滑剤溶液に浸漬(480秒間)させる工程、および次いで2.0mm/secの速度で引上げる工程を含むディップコート法で潤滑剤溶液を塗布することにより、膜厚1.2nmの潤滑層が配設された磁気ディスクを得た。
(3)潤滑層の平坦化
上述の工程(2)で得られた磁気ディスクを、VENA社製VC−10チャンバー内において70℃、80%r.h.の条件下で処理して、磁気ディスクの潤滑層の表面を平坦化させた。処理時間を、10,30,60および120分間の範囲で変動させた。
(実施例2)
上述の工程(3)における処理条件について、温度を10,25,40,50および70℃の範囲、および湿度を40,60および80%r.h.の範囲で変動させ、および処理時間を60分間に限定した以外は実施例1と同様にして、実施例2の磁気ディスクを得た。なお、温度70℃かつ湿度80%r.h.の条件は、実施例1に相当する。
(評価項目および評価)
上記工程に従って作製した磁気ディスクについて、以下の項目を評価した。
1.潤滑層の分布
SRA(Surface Reflectance Analyzer:HDI社(HDI Instrumentation, Inc.)製走査型エリプソメータ)により、各温湿度処理前後における磁気ディスク基板上の潤滑層の分布を測定した。実施例1についての結果を図1(処理前)および図2(処理後)に示す。
実施例1について、図1および図2に示されるように、70℃および80%r.h.の温湿度環境下での60分間にわたる処理後の磁気ディスクは、処理前と比較してルブラインがほぼ消失していた(目視による官能評価)。また、実施例2について、50℃以上かつ60%r.h.以上の温湿度環境下で60分間にわたって処理した場合も、同様の結果が得られた。しかしながら、温度40℃以下で処理した場合、または温度40℃以上であっても湿度40%r.h.以下で処理した場合には、処理後においてルブラインが依然として確認された。したがって、温度50℃以上かつ湿度60%r.h.以上の高温高湿処理(60分間)により、磁気ディスクの潤滑層の凹凸が良好に緩和されたことがわかる。
2.潤滑層の膜厚変動量および表面粗さRmax
各環境下での処理前後の潤滑層の分布を定量的に比較するため、磁気ディスクの半径位置40mmにおける周方向(中心角55°の範囲)での潤滑層の膜厚変動量[nm]を、上記SRAにより測定した。また、中心角55°の範囲での膜厚変動量の最大幅、すなわち潤滑層の凹凸の最大高さとして、表面粗さRmaxを日本工業規格(JIS B0601−1982)に従って測定した。結果を、図3から図5および第1表に示す。
Figure 0005115854
図3より、実施例1について、磁気ディスクの潤滑層の分布の断面形状(凹凸の様子)が確認された。第1表に示されるように、70℃、80%r.h.および60分間の処理条件で、潤滑層の表面粗さRmax(最大高さ)は、処理前の0.41nmから処理後の0.20nmへと、ほぼ半減した。
図4および第1表は、実施例1および2について、処理時間60分間の場合の、磁気ディスク基板の処理条件(温度および相対湿度)と潤滑層の表面粗さRmaxとの関係を示す。図4および第1表に示されるように、温度50℃以上かつ湿度60%r.h.以上における処理により、表面粗さRmaxの値は当初の値の75%以下へと大きく低減した。表面粗さRmaxの低減現象は、処理温度および湿度が高いほど顕著に発現した。
したがって、潤滑層が配設された磁気ディスク基板を50℃以上および60%r.h.以上の条件で高温高湿処理することによって(処理時間60分間)、磁気ディスクの潤滑層の凹凸が良好に緩和されることがわかった。また、処理のための温度および相対湿度が高いほど、潤滑層の凹凸の緩和が大きいことがわかった。
図5は、実施例1(処理条件:70℃、80%r.h.)についての、処理時間と潤滑層のRmax値との関係を示す。図5に示されるように、処理時間が増加するにつれてRmaxが低減し、30分(0.5時間)以上にわたって処理することにより表面粗さRmaxの値は当初の値の75%以下へと大きく低減した。また、60分間(1時間)以上の処理時間で、表面粗さRmaxの値はほぼ定常値へと達した。
処理時間については、概して処理時間が長いほど潤滑層の凹凸の緩和の程度が大きいが、処理時間を増加させていくと、表面粗さRmaxの値はほぼ定常値に達することがわかった。なお、定常値に達する時間は、使用される潤滑剤に依存することは、当業者であれば理解されよう。
3.処理条件(温度、相対湿度)と潤滑層の拡散係数との関係
ハーフディップ法により、磁気ディスク基板上に配設された潤滑層の拡散係数を測定した。ハーフディップ法とは、ディップコート法により、ディスクの表面の半分のみ潤滑層の塗布を行い、塗布領域から非塗布領域への潤滑層の流動量から、潤滑層の拡散係数を計算する手法である。工程(3)における磁気ディスク基板の処理条件(温度および相対湿度)と、潤滑層の拡散係数との関係を、図6に示す。
磁気ディスク基板上に配設された潤滑層は、一般に、拡散係数が大きいほど、磁気ディスク基板上での流動性が高い。図6は、処理のための温度および相対湿度がそれぞれ高いほど、潤滑層の拡散係数が大きかったことを示す。特に、温度50℃以上および湿度60%r.h.以上において、拡散係数が顕著に大きく、潤滑層の流動性が良好であった。
本発明に係る磁気ディスク(高温高湿処理前)の潤滑層の凹凸を示す走査型エリプソメータによる測定図である。 本発明に係る磁気ディスク(高温高湿処理後)の潤滑層の凹凸を示す走査型エリプソメータによる測定図である。 本発明に係る磁気ディスクの半径位置40mm(中心角55°の範囲)における潤滑層の分布の断面形状を示す走査型エリプソメータによる測定図である。 本発明に係る磁気ディスクの潤滑層の処理条件(温度および相対湿度)と表面粗さRmaxとの関係を示す図である。 本発明に係る磁気ディスクの潤滑層の処理条件(時間)と表面粗さRmaxとの関係を示す図である。 本発明に係る磁気ディスク基板上に塗布された潤滑層の拡散係数と、処理条件(温度および相対湿度)との関係を示す図である。
符号の説明
1 磁気ディスク
2 ルブライン

Claims (2)

  1. (A)少なくとも非磁性基板および磁性層を含む磁気ディスク基板を提供する工程と、
    (B)前記磁気ディスク基板の前記磁性層側の面上にパーフルオロポリエーテル系化合物を含む潤滑剤溶液を塗布することにより、0.5nm〜2nm(ただし、2nmを除く)の膜厚を有する潤滑層を配設する工程と、
    (C)前記潤滑層が配設された前記磁気ディスク基板を、温度50℃以上、70℃以下、かつ相対湿度60%以上、80%以下の条件で高温高湿処理することにより、前記潤滑層の表面を平坦化する工程と
    を含むことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  2. 工程(A)において前記磁気ディスク基板が前記磁性層上に保護層をさらに含み、工程(B)において前記潤滑剤溶液を前記保護層上に塗布することを特徴とする請求項1に記載の方法。
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