JP5115426B2 - 回転速度検出装置付転がり軸受ユニット - Google Patents
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Description
(1) エンコーダ19に対するセンサ20の位置決め精度を確保しにくい。
(2) カバー18の強度の確保と磁束の透過性の確保とを両立させにくい。
以下、これら(1)(2)に就いて順番に説明する。
上記センサ20の出力信号を、上記エンコーダ19の回転に伴って十分に変化させる為には、このエンコーダ19に対する上記センサ20の位置決め精度を十分に高くする必要がある。これに対して図10に示した従来構造の場合には、上記センサ20を上記ナックル9に支持固定しており、上記エンコーダ19とこのセンサ20との間に存在する部材が多いので、上記位置決め精度を確保しにくい。特に、外輪4とナックル9との間の位置決め精度は、回転速度検出の面からは十分に高いとは言えず、上記センサ20の出力信号の変化量を確保する面からは不利である。特許文献2〜3に記載された構造も、同様の問題がある。
上記カバー18を構成する非磁性板として特許文献1には、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板、高機能樹脂が記載されている。一方、上記カバー18には、自動車の走行に伴って跳ね上げられた小石等が勢い良くぶつかって大きな衝撃荷重が加わる事がある。この様な衝撃荷重に拘らず、上記カバー18が損傷する事を防止する為には、このカバー18をステンレス鋼板製とする事が好ましい。そして、ステンレス鋼板製とする場合には、前記エンコーダ19の被検出面と上記センサ20の検出部との間で磁束が流れる様にすべく、非磁性であるオーステナイト系のステンレス鋼板を使用する必要がある。ところが、オーステナイト系のステンレス鋼は、跳ね石等に伴う機械的衝撃に基づいて生じるマルテンサイト変態により、次第に磁性を帯びる事がある。そして、上記カバー18を構成するステンレス鋼板が磁性を帯びた場合には、上記エンコーダ19の被検出面と上記センサ20の検出部との間に磁束が流れなくなって、回転速度検出を行えなくなる。
特許文献1〜5の何れにも、この様な問題に対処する為の技術は記載されていない。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用状態で、ナックル等の懸架装置の一部に支持されて回転しない。
又、上記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、上記外輪の内径側にこの外輪と同心に支持されたもので、外周面のうちでこの外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に、車輪を支持する為の回転側フランジを設けている。
又、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
又、上記エンコーダは、軸方向内側面の磁気特性を円周方向に関して交互に変化させて成る円環状で、上記ハブの軸方向内端部にこのハブと同心に支持されている。
又、上記カバーは、非磁性金属板製で、上記外輪の軸方向内端部に支持固定されて、この外輪の軸方向内端開口部のうち、少なくとも上記エンコーダの軸方向内側面と対向する外径寄り部分を、全周に亙って塞いでいる。
更に、上記センサは、その検出部を上記エンコーダの軸方向内側面に、上記カバーを介して対向させている。
又、上記カバーの外面(転動体を設置した内部空間とは逆の面で、軸方向に関しては内側面)のうちで、少なくとも径方向位置が上記センサの検出部から外れた部分を、弾性材により覆っている。そして、少なくともこのセンサの検出部が対向する部分は、この弾性材を、薄く乃至は省略している。
更に、この弾性材のうちで薄く乃至は省略している部分を除く部分の表面を、上記センサの検出部の先端面よりも軸方向内側に存在させている。言い換えれば、この検出部の先端面と上記弾性材とを、径方向に重畳させている。
更に、本発明の場合には、上記外輪の円周方向に関して上記センサの両側面に、この円周方向に突出した張り出し部を設ける。そして、上記段差面をこの張り出し部を含む部分に、上記外輪の周面に合致する曲率半径を有する部分円弧面として形成する。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記カバーを構成する非磁性金属板をオーステナイト系のステンレス鋼板とし、上記弾性材をゴムとする。
従動輪用の転がり軸受ユニットに関して実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、上記弾性材が薄く乃至は省略された部分を、外輪と同心に、全周に亙り円環状に設ける事ができる。
又、転がり軸受ユニットが従動輪用又は駆動輪用である場合には、請求項4に記載した発明の様に、上記弾性材が薄く乃至は省略された部分を、円周方向の一部にのみ設ける事が好ましい。
先ず、上記エンコーダに対する上記センサの位置決め精度の確保は、このセンサを外輪の軸方向内端部に支持固定する事により図れる。即ち、この外輪と上記エンコーダを支持固定するハブとは、何れも転がり軸受ユニットの構成部材であり、互いの位置関係は精度良く定められ、事後的に変化する事も殆どないか、仮にあっても、極く少ない。しかも、上記ハブに対する上記エンコーダの位置決めは、回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの製造工場で、上記外輪を基準として行える。即ち、上記センサの位置決めと上記エンコーダの位置決めとを、何れも上記外輪を基準として行える。この為、このエンコーダに対する上記センサの位置決め精度を確保し易い。
しかも本発明の場合には、上記外輪の径方向に関する上記センサの位置決めを図り易くでき、更に、このセンサの取付位置が、上記外輪に対し傾斜方向に不正になる事を防止し易くなる。
図1〜7は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニット1aの特徴は、回転速度検出装置3を構成するカバー18a及びセンサ20aの取付部の構造にある。転がり軸受ユニット2の構造及び作用に就いては、前述の図10に示した構造を含めて、従来から広く知られている構造と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略し、以下、本例の特徴部分、及び、先に説明しなかった部分を中心に説明する。尚、図1には保持器15、15(図10参照)を省略しているが、実際の場合には、本発明を実施する場合にも、各転動体6、6は、保持器により転動自在に保持する。
図8は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、センサ20bを構成するホルダの一部を、このホルダの軸方向外側面に形成した段差面28aを外輪4の外周面に係合させた状態で、この外輪4の外周面に設けた静止側フランジ8に対しねじ止め固定している。この場合でも、上記ホルダの一部を上記外輪4の軸方向内端面に突き合わせ、この外輪4の軸方向内端面を基準として、上記センサ20bの位置決めを図る。このセンサ20b固定用のねじ26を螺合させる為に、上記静止側フランジ8に形成したねじ孔29aは、この静止側フランジ8を軸方向に貫通する状態で形成している。この為、このねじ孔29aの加工時に発生する切り屑等の排出を、能率良く行える。尚、このねじ孔29aの両端開口に関して、上記静止側フランジ8の軸方向両側面を、上記外輪4の中心軸に対し直角方向に存在する平面とすれば、上記ねじ孔29aを加工する為のドリル刃やタップ等の工具を突き抜け易くして、工具寿命延長によるコスト低減を図れる。又、本例の場合には、弾性材25を、カバー18bのうちの底板部23の外面にのみ被覆している。円筒部24の外周面には弾性材を被覆せず、この円筒部24の外周面と上記外輪4の内端部内周面との間の水密を、これら両周面同士の金属接触でのみ図っている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図9は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第2例と同様に、弾性材25をカバー18bのうちの底板部23の外面にのみ被覆している。但し、本例の場合には、円筒部24の外周面と外輪4の軸方向内端部内周面との間の水密を、この外輪4の軸方向内端部内周面に係止した、Oリング32により図っている。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
2 転がり軸受ユニット
3 回転速度検出装置
4 外輪
5 ハブ
6 転動体
7 外輪軌道
8 静止側フランジ
9 ナックル
10 ハブ本体
11 内輪
12 かしめ部
13 内輪軌道
14 回転側フランジ
15 保持器
16 内部空間
17 シールリング
18、18a、18b カバー
19 エンコーダ
20、20a、20b センサ
21 支持環
22 エンコーダ本体
23 底板部
24 円筒部
25 弾性材
26 ねじ
27 先端部
28、28a 段差面
29、29a ねじ孔
30 張り出し部
31 薄く乃至は省略する部分
32 Oリング
33 段差面
Claims (5)
- 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用状態で懸架装置に支持されて回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、この外輪の内径側にこの外輪と同心に支持され、外周面のうちでこの外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設けたハブと、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、軸方向内側面の磁気特性を円周方向に関して交互に変化させて成り、上記ハブの軸方向内端部にこのハブと同心に支持された、円環状のエンコーダと、上記外輪の軸方向内端部に支持固定されて、この外輪の軸方向内端開口部のうち、少なくとも上記エンコーダの軸方向内側面と対向する外径寄り部分を全周に亙って塞いだ、非磁性金属板製のカバーと、その検出部を上記エンコーダの軸方向内側面に、このカバーを介して対向させたセンサとを備えた回転速度検出装置付転がり軸受ユニットに於いて、このセンサは上記外輪の軸方向内端部に、この外輪に対し直接、支持固定されており、上記カバーの外面のうちで、少なくとも径方向位置が上記センサの検出部から外れた部分が弾性材により覆われており、少なくともこのセンサの検出部が対向する部分は、この弾性材が薄く乃至は省略されており、この弾性材のうちで薄く乃至は省略されている部分を除く部分の表面が、上記センサの検出部の先端面よりも軸方向内側に存在しており、このセンサの軸方向外側面に段差面が設けられており、この段差面と上記外輪の周面とを係合させる事により、この外輪の径方向に関する上記センサの位置決めが図られており、この外輪の円周方向に関してこのセンサの両側面に、この円周方向に突出した張り出し部が設けられており、上記段差面がこの張り出し部を含む部分に、上記外輪の周面に合致する曲率半径を有する部分円弧面として形成されている事を特徴とする回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
- カバーを構成する非磁性金属板がオーステナイト系のステンレス鋼板であり、弾性材がゴムである、請求項1に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
- 転がり軸受ユニットが従動輪用であり、弾性材が薄く乃至は省略された部分が、外輪と同心に、全周に亙り円環状に設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
- 転がり軸受ユニットが従動輪用又は駆動輪用であり、弾性材が薄く乃至は省略された部分が、円周方向の一部にのみ設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
- カバーは、円形で平板状の底板部と、この底板部の外周縁から軸方向外方に直角に折れ曲がった円筒部とを備えたもので、この円筒部を外輪の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する事により、この外輪に対し上記カバーを固定しており、上記円筒部のうちで上記底板部寄りの軸方向内端部の外径が、この底板部から遠い側部分の外径よりも小さくなっており、この底板部の軸方向内側面を覆っている弾性材の一部が上記円筒部の軸方向内端部外周面にも被覆されていて、この円筒部を上記外輪の軸方向内端部に内嵌した状態で、上記弾性材の一部が上記円筒部の軸方向内端部外周面と上記外輪の軸方向内端部内周面との間で、全周に亙り弾性的に圧縮されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
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