JP5113904B2 - ガラス容器のワンプレス製造方法 - Google Patents
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Description
特に、特定の分離線を有する分割型の成形型を用いることにより、特定の分離線が目立たず、かつ、所定値以上の最大肉厚部を有するガラス容器であっても、効率的に製造することができるガラス容器のワンプレス製造方法に関する。
例えば、ブローアンドブロー成形法は、ゴブと称する溶融ガラスの塊を粗型内に充填するとともに、この粗型内にブローエアーを吹き込ませることによりパリソンを形成し、次いで、このパリソンを仕上型に移動してリヒートした後、パリソン内部に対してブローエアーを吹き込ませることにより膨らませ、仕上型の形に成形する製造方法である。
また、プレスアンドブロー成形法は、ゴブと称する溶融ガラスの塊を粗型内に充填するとともに、この粗型内にプランジャを挿入してパリソンを形成し、次いで、このパリソンを仕上型に移動してリヒートした後、パリソン内部に対してブローエアーを吹き込ませることにより膨らませ、仕上型の形に成形する製造方法である。
また、これらの成形法においては、ブローエアーを吹き込んで金型成形面にパリソンを圧接させて成形するために、得られるガラス容器の表面に、金型成形面の表面凹凸や、金型内の残留エアーの跡が残ってしまうために、品質が低下してしまうおそれもあった。
一方、ガラス容器の表面に凹凸がついてしまうという問題に対しては、ガラス容器を成形する際に、パリソンの表面と金型とが接触しないようにすることにより防ぐことができる。
より具体的には、ゴブを充填した仕上型内にプランジャを挿入して仕上形状のパリソンを形成するプレス工程と、この仕上形状のパリソンを冷却用金型に移動して、冷却用金型の外部に送風される第2の冷却エアーおよびパリソンの内部に送風される第1の冷却エアーで、パリソンの外周面および内周面をそれぞれ強制的に冷却する冷却工程と、からなるワンプレス製びん方法である。
図22に、仕上形状のパリソンの冷却工程を実施している状態を示す。
すなわち、仕上形状のパリソン350の斜め方向に傾斜した肩部に接触する斜部および口型315aと接触し、分離線(L2)を形成する分離部と、仕上形状のパリソン350の口金部350aと接触する先端部と、を有する突起部312aであって、断面が薄肉片状である突起部312aが、成形型基部312の内面に形成されていた。
よって、仕上形状のパリソンの口金部350aは、口型315aのみならず、成形型基部の一部(突起部)312aを用いて、成形されていた。
また、プレス工程において、かかる突起部が過度に加熱され、それが原因で、仕上形状のパリソンの口金部に、ひび等の不具合が生じやすいという問題が見られた。特に、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの口金部に、かかる不具合が生じやすいという問題が見られた。
さらにまた、薄肉片状の突起部が過度に加熱されることから、当該突起部の機械的強度が低下し、使用中に、金型破損しやすいという問題も見られた。
一方、突起部に対応する成形型箇所に、側方から選択的に冷却エアーを当てて、薄肉片状の突起部のみを冷却しようとする試みもなされているが、成形型全体の温度分布が大きくなりやすいという新たな問題が生じることとなった。そのため、ガラス容器の最終的な歩留まりが低下するという問題も見られた。
すなわち、本発明は、良好な外観性を有するガラス容器を安定的に生産できるガラス容器のワンプレス製造方法を提供することを目的とする。
(A)所定の分離線を境にして、二分割する成形型基部および口型を含むとともに、ゴブから仕上形状のパリソンを成形するための成形型を用いて、ゴブを投入した後、プランジャを挿入して、ワンプレスで、胴部および口金部、並びにその間の肩部を備えた仕上形状のパリソンを成形するプレス工程と、
(B)仕上形状のパリソンを、口型によって把持した状態で、仕上形状のパリソンの口金部を支持する支持部、仕上形状のパリソンの底部を載置する載置部、および仕上形状のパリソンを内部冷却するためのブローヘッドを有する冷却用金型に移送する移送工程と、
(C)ブローヘッドから、仕上形状のパリソンの内周面に沿って第1の冷却エアーを吹き付けるとともに、載置部に設けた吹出口から、仕上形状のパリソンの外周面を冷却する第2の冷却エアーを、仕上形状のパリソンの外周面に沿って送風することによって、仕上形状のパリソンをガラス容器とする冷却工程と、
を順次に実施するガラス容器のワンプレス製造方法であって、
プレス工程(A)において、分離線が、仕上形状のパリソンの口金部と、胴部との間の肩部に位置する成形型を用いることを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法が提供される。
このように、特定の分離線(肩割線)を有する成形型を用いることにより、分離線に対応した跡が目立たなくなるばかりか、火炎研磨処理等を実施して、かかる分離線に対応した跡を消すこともできる。
また、特定の分離線を有する成形型を用いることにより、成形型基部の内面に形成されていた薄肉片状の突起部を省略することができる。したがって、かかる突起部に起因した加熱問題や、金型破損問題、さらには冷却問題を一気に解決することができる。
また、冷却工程(C)において、第1の冷却エアーと、第2の冷却エアーとを併用することにより、冷却用金型内の仕上形状のパリソンを均一かつ効率的に冷却することができるばかりか、仕上形状のパリソンから放出される遠赤外線についても、効果的に吸収することができる。
よって、所定値以上の最大肉厚部を有する仕上形状のパリソンであっても、ワンプレスにて成形し、良好な外観性を有するガラス容器を安定的かつ効率的に生産することができる。
このように、所定の成形型基部を用いることにより、薄肉片状の突起部がないことから、それが過度に加熱されて、仕上形状のパリソンの口金部に、ひび等の不具合が生じやすいという問題を確実に解消することができる。
また、薄肉片状の突起部がないことから、当該突起部の機械的強度が低下し、金型破損しやすいという問題についても確実に解消することができる。
さらに、薄肉片状の突起部がないことから、選択的に冷却する必要もなく、ガラス容器の歩留まりが向上し、製造コストを低下させることができる。
このように、所定位置にガイド部材が設けてあることにより、二分割された状態の口型を結合させる際の位置精度を、効果的に向上させることができる。
このように、バネ材を介して、所定位置にガイド部材が設けてあることにより、移送工程(B)を実施し、口型を開いた時であっても、バネ材の働きで、ガイド部材がセンタリングされ、仕上形状のパリソンを、精度良く所定位置に載置することができる。
なお、従来の成形型は、仕上形状のパリソンの口金部に相当する位置に、所定の分離線(以下、首割り線と称する場合がある。)があったため、移送工程(B)を実施し、仕上形状のパリソンを冷却用金型に移送した際に、仕上形状のパリソンを、口型によって把持した状態で、冷却用金型を閉じることができる。したがって、バネ材を介したガイド部材が設けられていない場合であっても、仕上形状のパリソンの載置場所を、一定化することができる。よって、移送工程(B)を実施した際の、冷却用金型における仕上形状のパリソンの載置場所のずれは、肩割り線を有する成形型を用いた場合の問題と捉えることができる。
このように口型の位置きめ部材が、所定位置に設けてあることにより、口型と、成形型基部と、の間における位置精度が高まるとともに、全体としてガラス容器の歩留まりを著しく向上させることができる。
このように、所定の肉厚部を有する仕上形状のパリソンであっても、ワンプレスにて成形できるとともに、均一かつ効率的に冷却することができ、良好な外観性を有するガラス容器として、安定的かつ効率的に生産することができる。
このように、所定量の飽和水蒸気を含んだ第1の冷却エアーを用いることにより、冷却用金型内の仕上形状のパリソンを均一かつ効率的に冷却することができるばかりか、仕上形状のパリソンから放出される遠赤外線についても、効果的に吸収することができる。
このような熱交換器を用いることにより、所定温度および相対湿度を有する第1の冷却エアーを効率的かつ安価に得ることができる。
特に、外気をそのままエアー吸入口に取り入れた場合であっても、所定温度および相対湿度を有する第1の冷却エアーを効率的に得ることができることから好適な熱交換器である。
(A)所定の分離線を境にして、二分割する成形型基部および口型を含むとともに、ゴブから仕上形状のパリソンを成形するための成形型を用いて、ゴブを投入した後、プランジャを挿入して、ワンプレスで、胴部および口金部、並びにその間の肩部を備えた仕上形状のパリソンを成形するプレス工程と、
(B)仕上形状のパリソンを、口型によって把持した状態で、仕上形状のパリソンの口金部を支持する支持部、仕上形状のパリソンの底部を載置する載置部、および仕上形状のパリソンを内部冷却するためのブローヘッドを有する冷却用金型に移送する移送工程と、
(C)ブローヘッドから、仕上形状のパリソンの内周面に沿って第1の冷却エアーを吹き付けるとともに、載置部に設けた吹出口から、仕上形状のパリソンの外周面を冷却する第2の冷却エアーを、仕上形状のパリソンの外周面に沿って送風することによって、仕上形状のパリソンをガラス容器とする冷却工程と、
を順次に実施するガラス容器のワンプレス製造方法であって、
図1に示すように、プレス工程(A)において、分離線L1が、仕上形状のパリソン50の口金部50aと、胴部50bとの間の肩部に位置する成形型10を用いることを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法である。
以下、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法の実施形態を、対象となるガラス容器、およびワンプレス製造方法を実施するためのガラス容器の製造装置とともに、具体的に説明する。
なお、成形型において得られる、冷却用金型で冷却される前までのガラス容器を仕上形状のパリソンと呼び、冷却用金型において所定温度まで冷却された状態の仕上形状のパリソンを、ガラス容器と呼ぶこととする。
ガラス容器の外観形状は特に制限されるものでなく、用途に応じて、矩形状のガラスびん、円筒状のガラスびん、異形のガラスびん、矩形状のガラス箱、円筒状のガラス箱、異形のガラス箱等が挙げられる。
また、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法は、一回のプレスで仕上形状を形成する方法であることから、びん口と、容器本体との内径が実質的に等しいガラス容器を対象とすることができる。
すなわち、このようなガラス容器であれば、化粧品等のクリーム状物であっても取り出しやすくなり、使い勝手を向上させることができる。
このようなガラス容器であれば、分離線に対応した跡がさらに目立たなくなるばかりか、肩部に存在する分離線に対応した跡につき、火炎研磨処理等を実施して、消すことができる。
また、図2(b)は、図2(a)に示すガラス容器50の断面図である。
さらに、図2(c)は、図2(a)に示すガラス容器50の口金部50aの周囲に沿って全面的または部分的に、溝部50cを備えたガラス容器50を示している。
この理由は、このような溝部50cを備えることによって、かかる溝部50cを通って、金型内部に残留するエアーが外部に抜けやすくなるとともに、口金部50aの成形性が向上するためである。
なお、かかる溝部50cの幅を、通常、0.1〜2mmの範囲内の値とするとともに、かかる溝部50cの深さを、0.1〜1mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、図2(d)は、胴部50bを、図2(a)のような垂直面ではなく、傾斜面として構成したガラス容器50を示している。
なお、図2(d)における傾斜面は、肩部から底部に向かって窄まる態様となっているが、例えば、肩部から底部に向かって広がる態様の傾斜面等であってもよく、特に限定されるものではない。
一方、最大肉厚部(t2)の厚さが過度に厚くなると、ワンプレス製造方法で安定的に作成することが困難となることから、最大肉厚部の厚さを1〜5cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.2〜3cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ガラス容器における最大肉厚部(t2)の厚さは、ガラス容器の底部や側面、あるいは、図2(b)に具体的に示すように、角部から、ガラス容器の内面に至るまでの最短距離を意味している。
(1)基本構成
ガラス容器の製造装置は、基本的に、図3に示すように、インディビジュアルセクションマシーン(ISマシーン)100を使用することができる。
但し、ゴブが充填される従来の粗型の変わりに成形型10を使用するとともに、当該成形型10で仕上形状に成形されたパリソンを冷却用金型20に移した後、ブローヘッド27と、冷却用金型20とを用いて、パリソンを冷却するように構成されている。
すなわち、従来のリヒート工程やブロー工程を省略することにより、一回のプレスで仕上形状のパリソンを形成した後、当該仕上形状のパリソンを冷却するだけで、ガラス容器を製造することができるガラス容器の製造装置である。
したがって、口部と容器本体との内径が等しいような、特定形状のガラス容器を、容易かつ連続的に製造することができる。
また、図1に示す成形型10は、プランジャ18によるプレス成形により、精度良く、しかも高い生産性でガラス容器としての仕上形状のパリソン50を形成するための金型である。
そして、分離線L1が、仕上形状のパリソン50の口金部50aと、胴部50bとの間の肩部に位置する成形型10を用いることを特徴としている。
この理由は、このように、特定の分離線を有する分割型の成形型を用いることにより、従来、図23に示すように、成形型基部312の内面に形成されていた薄肉片状の突起部312aを省略することができるためである。すなわち、従来の成形型基部に設けてある突起部に起因した加熱問題や、金型破損問題、さらには冷却問題を一気に解決することができる。
よって、所定値以上の最大肉厚部を有する仕上形状のパリソンであっても、ワンプレスにて成形し、良好な外観性を有するガラス容器を安定的かつ効率的に生産することができる。
この理由は、所定の成形型基部を用いることにより、所定の突起部がないことから、それが過度に加熱されて、仕上形状のパリソンの口金部に、ひび等の不具合が生じやすいという問題を確実に解消することができるためである。
また、薄肉片状の突起部がないことから、当該突起部の機械的強度が低下し、金型破損しやすいという問題についても確実に解消することができる。
さらに、薄肉片状の突起部がないことから、選択的に冷却する必要もなく、ガラス容器の歩留まりが向上し、製造コストを低下させることができる。
この理由は、所定位置にガイド部材が設けてあることにより、二分割された状態の口型を結合させる際の位置精度を、効果的に向上させることができるためである。
すなわち、図4(a)〜(c)に示すように、ガラス容器における口金部を形成することとなる口型15は、結合及び二分割を繰り返した場合であっても、特に高い寸法精度が求められるためである。
具体的に説明すると、二分割された状態の口型15の凹部と、ガイド部材16と、を嵌合させた状態で、二分割された状態の口型15を結合させることにより、その位置精度を効果的に向上させることができるようになる。
この理由は、バネ材を介して、所定位置にガイド部材が設けてあることにより、移送工程(B)を実施し、図5(b)に示すように口型15を開いた時であっても、バネ材16aの働きで、ガイド部材16がセンタリングされ、仕上形状のパリソンを、所定位置に精度良く載置することができるためである。
すなわち、バネ材を介したガイド部材が設けられていない場合には、図7(a)〜(c)に示すように移送工程(B)を実施した際に、冷却用金型20における仕上形状のパリソン50の位置が、載置場所22の所定位置(中心線L3)から、ずれやすくなるためである。
より具体的に説明すると、図7(b)に示すように、本発明においては、冷却用金型20を、移送されてきた仕上形状のパリソン50の両側方より接近させるに際して、口型15が障害物となってしまう。
したがって、仕上形状のパリソン50に対して冷却用金型20を接近させる前に、仕上形状のパリソン50を、口型15によって載置場所22の所定位置に載置し、かつ、口型15を仕上形状のパリソン50近傍から回避させる必要が生じる。
それ故、仕上形状のパリソン50は、冷却用金型20によって支持されていない状態で、載置場所22上に、載置されることとなり、結果として所定位置からずれやすくなる。
よって、かかるずれの発生を抑制するためのバネ材を介したガイド部材を設けることが有効となる。
すなわち、バネ材を介したガイド部材16を設けた場合であれば、口型15を仕上形状のパリソン50近傍から回避させた場合であっても、例えば、バネ16a等によって所定位置(中心線L4)を保持可能なガイド部材16により、仕上形状のパリソン50を安定的に載置場所22の所定位置に導くことができる。
したがって、冷却用金型20によって支持されていない状態であるにもかかわらず、安定的に載置場所22の所定位置に、仕上形状のパリソン50を載置することが可能となる。
なお、図においては示していないが、バネ材を介したガイド部材16と、仕上形状のパリソン50とは、単に相互の表面にて接触しているのではなく、わずかに嵌合した状態となっており、かかる嵌合が、バネを介したガイド部材16による仕上形状のパリソン50のセンタリングに寄与している。
この理由は、巻きバネを用いることにより、高温条件下での耐久性を著しく向上させることができるためである。
この理由は、このように口型の位置きめ部材が、所定位置に設けられてあることにより、口型と、成型型基部と、の間における位置精度が高まるとともに、全体としてガラス容器の歩留まりを著しく向上させることができるためである。
すなわち、図2に示すような四角柱状の胴部を有するガラス容器を製造するためには、円柱状の胴部を有するガラス容器を製造する場合と異なり、図10(a)〜(b)に示すように、口型15及び成形型基部12におけるそれぞれの対応箇所を、正確に一致させる必要が生じる。
より具体的には、口型15において形成されるガラス容器の肩部における四角形の角と、成形型基部12において形成されるガラス容器の胴部における四角形の角とが、それぞれ一致していない場合、図2に示すような四角柱状の胴部を有するガラス容器を製造するための成形型として機能し得ないためである。
なお、位置きめ部材30の材質は、特に制限されるものではなく、所定の強度を有する材質であればよい。
また、形状及び大きさについても特に限定されるものではなく、成形型基部12に設けられた凹部30´と嵌合可能であればよい。
例えば、材質をステンレスとして、図9(b)に示すようにボルト30aによって口型15に固定し、大きさとしては、例えば、突出部分の長さを15mm、幅を10mmとすることができる。
まず、かかる成形型は、鉄や鉄合金、真鋳、銅−ニッケル合金等からなり、その形状は、製造するガラス容器の外形形状に応じて、適宜変更することができる。同様に、プランジャについても、成形型と同様の材料を用いて構成することができ、また、製造するガラス容器の内部形状に応じてその形状を適宜変更することができる。
これらの成形型及びプランジャを用いて、成形型の内部に溶融ガラス(ゴブ)を充填するとともに、ゴブが充填された成形型にプランジャを挿入することによって、びん口(口部)と容器本体との内径が同じような特定形状のガラス容器の仕上形状を容易に形成することができる。
したがって、空気導入路を介して導入された冷却エアーは、クーラーの先端部およびその近傍に設けてある多数の吹き出し孔から、まず間隙に導入される。
そして、冷却エアーは、間隙を通って、プランジャ要素の内部を均一に冷却しながら、外部に出ていくが、その過程で、プランジャ18の全体を所定温度に冷却することができる。
この理由は、このように成形型の温度を所定範囲内の値とすることによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンにおいて過度に歪を生じさせることなくワンプレスにて成形し、それを冷却した場合に発生するパリソンにおける外観劣化や表面凹凸数を低減することができるためである。
より具体的には、成形型の温度が400℃未満となると、パリソンの成形性が過度に低下し、冷却工程で、パリソンにおける外観劣化が生じたり、表面凹凸の発生数が増加したりする場合があるためである。
一方、成形型の温度が700℃を超えると、パリソンの成形性や冷却性が不十分になって、逆に、冷却工程で、パリソンにおける外観劣化が生じたり、表面凹凸の発生数が増加したりする場合があるためである。
したがって、成形型の温度を450〜680℃の範囲内の値とすることがより好ましく、500〜650℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図7及び8等に示す冷却用金型20は、仕上形状のパリソン50を内部に保持して、当該パリソン50を冷却するために使用される金型である。
かかる冷却用金型20は、図11(b)にその一例を示すように、パリソン50の口部50aを支持する支持部21と、パリソン50の底部が載置される載置部22と、を備えている。
この図11(b)に例示する冷却用金型20は、パリソン50の側面に対応する位置に配置される仕上型26と、仕上型26における口部に相当する位置に備えられた支持部21と、載置部としての底型22と、から構成されている。
この冷却用金型については、成形型と異なり、仕上形状のパリソンを冷却するだけであって、かつ、仕上形状のパリソンと側方では直接接触しないことから、通常、鋳物、鉄合金、真鋳等からなり、その形状についても、製造するガラス容器の外形形状に応じて、適宜変更することができる。
但し、冷却用金型の内面に、ニッケル合金等からなるライニングを設けたり、離型剤を塗布したりすることもできる。
かかる支持部21を備えた仕上型26は、図12に示すように、例えば、二分割された二つの構成要素からなり、仕上形状のパリソン50を挟み込むような構成とされている。
また、支持部21によって、仕上形状のパリソン50の口金部50aを支持するとともに、パリソン50の外周面と仕上型26とが接しないように、パリソン50の外周面と仕上型26との間に間隙が設けられるように配置される。
これによって、パリソンの口金部以外に冷却用金型を接触させることがないため、冷却する際のガラス容器の温度にばらつきが生じることを防ぐことができる。
また、かかる支持部21は、図11(b)に示すように、ブローヘッド27に接しないように配置されており、第1の冷却エアー41を効率的に排出できるように構成されている。
この理由は、下方側から吹出された第2の冷却エアーを、パリソンの外周面と仕上型の間隙における、パリソンの底部分から口部分に至るすべての間隙を挿通させることができ、パリソン全体を均一に冷却させることができるためである。したがって、製造されるガラス容器の品質を向上させることができる。
また、第2の冷却エアーの排出孔として、仕上型に対して内部加工を施す必要がなくなるために、構成を簡略化することができ、冷却用金型の製造コストを低く抑えることができる。
かかる底型22は、図13(a)〜(b)に示すように、第2の冷却エアー43を送風する送風孔24と、仕上形状のパリソンの外周面と仕上型との間に設けた間隙に対して挿通させる第2の冷却エアーを、パリソンに直接吹き付けることなく、パリソンの下方側から吹出させるための第2吹出口25とを備えている。
したがって、第2の冷却エアーの風圧によって、仕上形状に成形されたパリソンを変形させることを防ぐことができる。
また、第2吹出口から吹出された第2の冷却エアーを、パリソンと、仕上型との間隙に挿通させることができ、それにより、パリソンの内側面及び外周面から、効率よくかつ均一に冷却させることができる。
さらに、仕上型の内側面の表面状態や温度状態にかかわらず、得られるガラス容器の表面に不要な凹凸等が形成されることがなくなるため、得られるガラス容器の品質を向上させることができる。
この理由は、パリソンの外周面と仕上型との間隙に対して、複数箇所から第2の冷却エアーを供給することができ、パリソンを効率的に冷却させることができるためである。
また、第2吹出口25を複数備える場合に、当該第2吹出口25を、載置部22の周囲に沿って、均等に配置することが好ましい。
この理由は、仕上形状のパリソンの外周面に対して均一に第2の冷却エアーを挿通させることができるため、製造されるガラス容器の厚さ等を均一化して、品質を向上させることができるためである。
この理由は、このように冷却用金型の内部における仕上形状のパリソンの表面温度を所定範囲内の値とすることによって、所定値以上の最大肉厚部を有する仕上形状のパリソンをワンプレスにて成形し、それを冷却した場合に発生するパリソンにおける外観劣化や表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
より具体的には、冷却用金型の温度が500℃未満となると、パリソンを過度に冷却することになって、パリソンにおける外観劣化が生じたり、表面凹凸の発生数が増加したり、さらには、第1の冷却エアーおよび第2の冷却エアーを過度に使用することになって、経済的に不利となる場合があるためである。
一方、冷却用金型の温度が800℃を超えると、パリソンの冷却が不十分になって、逆に、後工程で、パリソンにおける外観劣化が生じたり、表面凹凸の発生数が増加したりする場合があるためである。
したがって、冷却用金型の温度を550〜780℃の範囲内の値とすることがより好ましく、600〜750℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)成形工程
まず、図14(a)に示すように、成形型10を設置し、当該成形型10の中にファンネル12を介してガラスゴブ31を投入する。
次いで、図14(b)〜(c)に示すように、ファンネル12の代わりにバッフル13を装着した後、ガラスゴブ31が充填された成形型10に対してプランジャ18を挿入する。そして、パリソン50の表面が一定形状を保持する程度に冷却されるまで、そのままの状態を維持する。
かかる成形工程において、所望の仕上形状のパリソンが形成される。
次いで、図15に示すように、成形型及びプランジャを抜き取った後、仕上形状のパリソン50を、アーム17a付きの回転装置17によって180度回転移動させ、冷却用金型20に収容する。
より具体的には、仕上形状のパリソン50は、その口金部50aを、アーム17aに接続された、成形型10の一部である口型15によって支持された状態で回転移動されるとともに、冷却用金型20内に収容保持される。
次いで、少なくとも二分割された冷却用金型20が、仕上形状のパリソン50の側方から移動してきて、当該仕上形状のパリソン50の外周面と、冷却用金型20との間に、所定の幅を有する間隙35が設けられた状態で、少なくとも二分割された冷却用金型20が閉じて、仕上形状のパリソン50の周囲を包囲する。
なお、図5や図6に示すように、口型15の内部に、ガイド部材16が設けてあり、かつ、かかるガイド部材16が、バネ材16aを介して、口型15の内部に装着してあることにより、口型15を開いた時であっても、バネ材16aの働きで、ガイド部材16がセンタリングされ、仕上形状のパリソン50を、精度良く所定位置に載置することができる。
次いで、ブローヘッドから、仕上形状のパリソンの内周面に沿って第1の冷却エアーを吹き付けるとともに、載置部に設けた吹出口から、仕上形状のパリソンの外周面を冷却する第2の冷却エアーを、仕上形状のパリソンの外周面に沿って送風することによって、仕上形状のパリソンをガラス容器とする冷却工程を実施する。
すなわち、図16(a)に示すように、冷却用金型20の上方にブローヘッド27を配置する。このとき、ブローヘッド27は、パリソン50の口金部50aやパリソンの口金部50aを支持する支持部21から離間して配置される。
次いで、図16(b)に示すように、仕上形状のパリソン50の内部に対して、冷却用金型20の上方に配置されたブローヘッド27を介して、所定の第1の冷却エアー41を吹き込ませる。
同時に、パリソン50の外周面と、冷却用金型20との間に設けた間隙35に対して、パリソン50の下方側から、パリソン50に直接吹き付けることなく第2の冷却エアー43を吹き込ませる。
これによって、仕上形状のパリソン50を、外周面と内側面とから効率的に冷却して、ガラス容器として仕上げることができる。
次いで、第1の冷却エアー41について、詳しく説明する。
まず、ブローヘッドから、仕上形状のパリソンの内部に対して、温度を20〜60℃、かつ相対湿度を80〜100%の範囲内の値に調整した第1の冷却エアーを導入し、仕上形状のパリソンの内周面に沿って送風する。
すなわち、第1の冷却エアーの温度および相対湿度をこのような範囲内の値に制御することによって、第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を所定範囲の値とすることができる。
よって、所定の水蒸気を含んだ冷却エアーを用いることにより、冷却用金型内のパリソンを均一に冷却することができるばかりか、パリソンから放出される遠赤外線についても、効果的に吸収することができる。
一方、仕上形状のパリソンの外周面からも、同時に第2の冷却エアーによって冷却されるため、特定の第1の冷却エアーと相俟って、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンをワンプレスにて成形し、それを冷却した場合であっても、その際に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数を低減することができる。
但し、より含有水蒸気量のばらつきを狭くでき、その結果、効率的かつ均一、さらには経済的に、仕上形状のパリソンを冷却できることから、第1の冷却エアーの温度を35〜50℃、かつ相対湿度を85〜99%の範囲内の値に調整することがより好ましく、第1の冷却エアーの温度を38〜50℃、かつ相対湿度を90〜98%の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
図17(a)は、横軸に、第1の冷却エアーの温度(℃)を採ってあり、縦軸に、ガラス容器の内面温度(℃)を採ってある。また、ラインAが、第1の冷却エアーの相対湿度が80〜100%Rhの場合の特性図である。一方、ラインBが、第1の冷却エアーの相対湿度が80%Rh未満の場合の特性図である。
かかる図17(a)に示す特性曲線(ラインAおよびラインB)から明らかなように、第1の冷却エアーの相対湿度が80〜100%Rhの場合、すなわち、ラインAが示すように、第1の冷却エアーの温度が約20〜50℃であるのにかかわらず、ガラス容器の内面温度は約700℃とほぼ一定温度である。
それに対して、第1の冷却エアーの相対湿度が80%Rh未満の場合、すなわち、ラインBが示すように、第1の冷却エアーの温度(20〜50℃)によって、ガラス容器の内面温度が大きく変化するとともに、その値は、少なくとも720℃以上と高い値である。
よって、第1の冷却エアーの相対湿度を80〜100%Rhに制御するとともに、所定温度の第1の冷却エアーを使用することにより、ガラス容器の内面温度を所定範囲内の値、例えば、680〜710℃の範囲に精度良く制御することができる。
かかる図17(b)に示す特性曲線(ラインAおよびラインB)から明らかなように、第2の冷却エアーの相対湿度が80〜100%Rhの場合、すなわち、ラインAが示すように、第2の冷却エアーの温度(30〜50℃)にかかわらず、ガラス容器の内面温度は630〜670℃程度である。
それに対して、第2の冷却エアーの相対湿度が80%Rh未満の場合、すなわち、ラインBが示すように、第2の冷却エアーの温度によって、ガラス容器の内面温度が大きく変化するとともに、その値は、少なくとも690℃以上と高い値である。
よって、第2の冷却エアーの相対湿度を80〜100%Rhに制御するとともに、所定温度の第2の冷却エアーを使用することにより、ガラス容器の内面温度を所定範囲内の値、例えば、630〜680℃の範囲に精度良く制御することができる。
図18は、横軸に、第1の冷却エアーにおける相対湿度(%Rh)を採ってあり、縦軸に、ガラスの内面温度(℃)を採ってある。
そして、かかる図18から明らかなように、第1の冷却エアーの相対湿度が80%Rh未満では、相対湿度の値変化によって、ガラス容器の内面温度が大きく変化すると言える。例えば、第1の冷却エアーの相対湿度が50%Rhでは800℃程度であり、相対湿度が70%Rhであっても、730℃程度である。
それに対して、第1の冷却エアーの相対湿度が80%Rhを超えた場合、相対湿度の値変化に伴うガラス容器の内面温度の変化は相当小さくなっている。例えば、第1の冷却エアーの相対湿度が80%Rhでは約720℃であり、相対湿度が90%Rhでは約710℃であり、相対湿度が100%Rhでは、約700℃である。
よって、第1の冷却エアーの相対湿度を80〜100%Rhに制御するとともに、所定温度(20〜50℃)の第1の冷却エアーを使用することによって、ガラス容器の内面温度を所定範囲内の値、例えば、約700〜720℃の範囲に精度良く制御することができる。
この理由は、かかる温度差が15℃を越えると、含有水蒸気量のばらつきが大きくなったり、マニホールドから冷却エアーを分配した後の温度ばらつきもさらに大きくなったりするために、得られるガラス容器の形状が不均一になる場合があるためである。
したがって、冷却エアーの噴射温度の最高温度と最低温度との差を12℃以内の値とすることがより好ましく、冷却エアーの噴射温度の最高温度と最低温度との差を10℃以内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、このように第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を、所定範囲内の値に制限してあることから、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンをワンプレスにて成形し、それを冷却した場合に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
より具体的には、第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量が15g/m3未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの外周面からの冷却が不十分となる場合があるためである。一方、第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量が130g/m3を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を20〜100g/m3の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80g/m3の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
この理由は、このように第1の冷却エアーの温度を調整することによって、例えば、冬場における相対湿度が低い外気を用いたような場合であっても、確実に、相対湿度を所定範囲内の値に調節することができるためである。
したがって、例えば、50〜100℃に昇温させた後、降温させて、温度20〜60℃の範囲内の値に調整することが好ましく、60〜90℃に昇温させた後、降温させて、温度20〜60℃の範囲内の値に調整することがより好ましい。
この理由は、このように第1の冷却エアーの噴射時間を制限することによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンを十分に冷却することができるとともに、製造上の歩留まりを高めることができるためである。
より具体的には、第1の冷却エアーの噴射時間が1秒未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの冷却が不十分となる場合があるためであり、逆に、第1の冷却エアーの噴射時間が10秒を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第1の冷却エアーの噴射時間を2〜8秒の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜6秒の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
この理由は、このように第1の冷却エアーの噴射速度を制限することによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンを十分に冷却することができるとともに、冷却の際に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
より具体的には、第1の冷却エアーの噴射速度が1リットル/秒未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの冷却が不十分となる場合があるためであり、逆に、第1の冷却エアーの噴射速度が50リットル/秒を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第1の冷却エアーの噴射速度を5〜30リットル/秒の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜25リットル/秒の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
この理由は、エアー吸入口85から吸入されたエアー88がエアー通過路83を通過する間に、エアー通過路83の周囲に備えられた冷却部81の冷媒95によって冷却され、エアー排出部87から排出される構成であることにより、所定温度および相対湿度を有する第1の冷却エアーを効率的かつ安価に得ることができるためである。
また、エアー吸入口85から導入されたエアーが、冷却部81と対向するように配置できるため、さらに効率的にエアーを冷却することができるためである。
特に、外気をそのままエアー吸入口に取り入れた場合であっても、所定温度および相対湿度を有する第1の冷却エアーを効率的に得ることができることから好適な熱交換器である。
このとき、必要に応じて氷を混合することも好ましい。この理由は、外気温度が高いときには、水の温度も上昇してしまい、エアーを冷却する効率が低下する場合があるためである。したがって、氷を混合することによって、水の温度の上昇を防止することができる。
この理由は、このように第2の冷却装置を備えて熱交換器の冷媒(水)の温度を制御することにより、冷却用エアーの温度調節および飽和蒸気量の調節が容易になるためである。
すなわち、ガラス容器の製造装置が配置されている環境において、例えば、夏場に30℃、80%Rh程度になったりすることがあるが、その場合、第2の冷却装置200によって、冷却用エアーの温度を露点(例えば、26℃)以下に制御することができるためである。
したがって、冷却用エアー中に含まれる凝縮水によるガラス容器の破損を効率的に防止することができる。
また、所定量の水蒸気のみを含む冷却用エアーを用いることができるため、冷却効率を極めて高くすることができ、ガラス容器の製造効率を飛躍的に向上させることができる。
さらに、基本的に水蒸気のみを含む冷却用エアーを用いるため、得られるガラス容器の表面平滑性についても向上することが判明している。
なお、第2の冷却装置200の構成についても特に制限されるものではないが、例えば、冷媒の圧縮機、凝縮機、蒸発機、循環装置等を含むことが好ましい。
次いで、第2の冷却エアーについて、詳しく説明する。
図13(b)に示す構成の底型22の場合、第2の冷却エアー43が、パリソン50の特定の箇所に集中的に吹付けられることがない。
したがって、第2の冷却エアー43によって仕上形状のパリソン50を変形させることがないことから、ガラス容器の品質を著しく向上させることができる。
これにより、冷却用金型の内面によって跳ね返された第2の冷却エアーによってパリソンを変形させることもないため、パリソンの仕上形状をより確実に維持することができる。
これによって、第2の冷却エアー43を用いて、パリソン50の外周面全体を冷却させることができるために、不均一な温度差によるガラス容器の品質の低下を防止することができる。
そこで、かかる冷却エアーの圧力の好ましい値は、製造するガラス容器の種類によって変わるものの、一例として、比較的小さい化粧品等に使用されるガラス容器を製造する場合には、第2の冷却エアーの圧力を0.05〜0.20MPaの範囲内の値とするとともに、第1の冷却エアーの圧力を0.05〜0.20MPaの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように第2の冷却エアーの温度が、所定範囲に制限してあることによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンをワンプレスにて成形し、それを冷却した場合に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
なお、第2の冷却エアーについても、一旦、所定温度に昇温させた後、降温させて、温度20〜80℃の範囲内の値に調整することにより、例えば、冬場における相対湿度が低い外気を用いたような場合であっても、確実に、相対湿度を所定範囲内の値に調節することができる。
この理由は、このように第2の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を、所定範囲内の値に制限してあることから、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンをワンプレスにて成形し、それを冷却した場合に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
より具体的には、第2の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量が10g/m3未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの外周面からの冷却が不十分となる場合があるためである。一方、第2の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量が130g/m3を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第2の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を15〜100g/m3の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80g/m3の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
なお、第2の冷却エアーについても、第1の冷却エアーと同様に、一旦、所定温度に昇温させた後、降温させて、温度20〜60℃の範囲内の値に調整することにより、例えば、冬場における相対湿度が低い外気を用いたような場合であっても、確実に、相対湿度を所定範囲内の値に調節することができる。
この理由は、このように第2の冷却エアーの噴射時間を制限することによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンを十分に冷却することができるとともに、製造上の歩留まりを高めることができるためである。
より具体的には、第2の冷却エアーの噴射時間が1秒未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの外周面からの冷却が不十分となる場合があるためである。一方、第2の冷却エアーの噴射時間が10秒を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第2の冷却エアーの噴射時間を2〜8秒の範囲内の値とすることがより好ましく、噴射時間を3〜6秒の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
なお、第2の冷却エアーの噴射時間は、第1の冷却エアーの噴射時間と同一時間とすることが好ましい。
この理由は、このように第2の冷却エアーの噴射速度を制限することによって、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンを十分に冷却することができるとともに、冷却の際に発生するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸数をさらに低減することができるためである。
より具体的には、第2の冷却エアーの噴射速度が1リットル/秒未満の値になると、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンの外周面からの冷却が不十分となる場合があるためである。一方、第2の冷却エアーの噴射速度が50リットル/秒を超えると、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、第2の冷却エアーの噴射速度を2〜30リットル/秒の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜20リットル/秒の範囲内の値に調整することがさらに好ましい。
次いで、図16(c)に示すように、冷却されたガラス容器50は、冷却用金型やブローヘッドを外して、取り出される。
そして、冷却用金型20から取り出されたガラス容器50は、通常、図3に示すデッドプレート57の上で、冷却されることが好ましい。
この理由は、デッドプレート上で、ガラス容器を外面から徐々に冷却することによって、効果的にガラス容器を冷却することができるためである。
したがって、所定温度になったガラス容器50は、次いで、図3に示すコンベヤ59により、徐冷装置(図示せず)に導入されて、そこで、室温付近まで、温度が低下させられることになる。
このように構成することにより、デッドプレートについても、冷却装置から導入した冷却エアーによって強制的に冷却することができ、装置全体として、ガラス容器を安価かつ効率的に冷却することができるためである。
したがって、後述するマニホールドから、当該デッドプレートまで、冷却エアー用の配管をさらに設けることが好ましい。
なお、デッドプレートは、耐熱性や放熱性に優れていることから、カーボン等を材料として、厚さ5〜7mmの平板として構成することが、より好ましい。
デッドプレートで冷却をされながら、徐冷装置に導入されて、そこで、室温付近まで、温度が低下させられることになる。
1.ガラス容器の製造
図3に示すガラス容器のワンプレス製造装置において、図1に示す金型を用いて、図2(c)に示す外形を有するソーダ石灰ガラス製のガラス容器を20000個製造した。
すなわち、ゴブをシャーカットした時のガラス温度は約1100℃であり、ゴブを成形金型に導入したとき(ゴブイン)の温度は約900℃であり、パリソンを成形する際の成形金型の温度は、その間に900〜700℃に下降したことを示している。
そして、作成した冷却エアーを、冷却配管を介して、マニホールドに導入し、次いで、噴射時間1.5秒、噴射速度:10リットル/秒の条件で、それぞれ第1の冷却エアー及び第2の冷却エアーとして用いた。
温度: 30℃
相対湿度:100%Rh
第2の冷却エアー
温度: 30℃
相対湿度:100%Rh
(1)外観性
図2(c)に示すとおりのガラス容器の外観(内面および外面)に製造されたか否かを目視観察し、20000個のガラス容器中、その内面についての外観上の合格品の個数、およびその外面についての外観上の合格品の個数、すなわち、それぞれ歩留まりを測定して、以下の基準で外観性を評価した。
◎:外観上の歩留まりが99%以上である。
○:外観上の歩留まりが90%以上である。
△:外観上の歩留まりが80%以上である。
×:外観上の歩留まりが80%未満である。
図1に示すガラス容器の肩丈(t1)を測定し、平均値、標準偏差を算出した。
すなわち、20000個のガラス容器から、任意に10個のガラス容器を取り出した。
次いで、それぞれのガラス容器における合計4箇所の測定ポイント(p1〜p4)の肩丈(t1)を、デプスノギスを用いて測定した。
これらの測定ポイント(p1〜p4)ごとの測定結果を、表1及び図21に示す。
比較例1においては、図1に示す金型のかわりに、図23に示すように、分離線が、仕上形状のパリソンの口金部と、胴体との間の肩部に位置する成形型を用いるとともに、表1に示すように、第1の冷却エアーにおける温度および相対湿度と、第2の冷却エアーにおける温度及び相対湿度を変えたほかは、実施例1と同様に、仕上形状のパリソンを作製して、評価した。得られた結果を表1及び図21に示す。
なお、図23に示す従来の金型を用いたほかは、冷却エアーの条件についても実施例1と同様の条件とした場合についても、別途、実施及び評価を行った。
その結果、ガラス容器の内面における外観性は多少向上するものの、寸法のばらつきについては、何ら低減させることができず、故にガラス容器の外面における外観性についても未だ不十分であることが確認された。
実施例2〜5では、表1に示すように、第1の冷却エアーにおける温度および相対湿度と、第2の冷却エアーにおける温度および相対湿度を変えたほかは、実施例1と同様に、ワンプレス製造方法で20000個のガラス容器を製造して、評価した。得られた結果を表1に示す。
すなわち、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法によれば、金型の熱損傷等が少なくなるばかりか、所定値以上の最大肉厚部を有するパリソンにおける外観劣化や、表面凹凸の発生を効果的に防止できるようになった。
Claims (8)
- (A)分離線を境にして、二分割する成形型基部および口型を含むとともに、ゴブから仕上形状のパリソンを成形するための成形型に対して、前記ゴブを投入した後、プランジャを挿入して、ワンプレスで、胴部および口金部、並びにその間の肩部を備えた仕上形状のパリソンを成形するプレス工程と、
(B)前記仕上形状のパリソンを、前記口型によって把持した状態で、前記仕上形状のパリソンの口金部を支持する支持部、前記仕上形状のパリソンの底部を載置する載置部、および前記仕上形状のパリソンを内部冷却するためのブローヘッドを有する冷却用金型に移送する移送工程と、
(C)前記ブローヘッドから、前記仕上形状のパリソンの内周面に沿って第1の冷却エアーを吹き付けるとともに、前記載置部に設けた吹出口から、前記仕上形状のパリソンの外周面を冷却する第2の冷却エアーを、前記仕上形状のパリソンの外周面に沿って送風し、前記仕上形状のパリソンをガラス容器とする冷却工程と、
を順次に実施するガラス容器のワンプレス製造方法であって、
前記プレス工程(A)において、前記分離線が、前記仕上形状のパリソンの口金部と、胴部との間の肩部に位置する成形型を用いることを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法。 - 前記成形型基部の内面が、突起部を有しない垂直面または傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記口型の内部に、ガイド部材が設けてあることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記ガイド部材が、バネ材を介して、前記口型の内部に装着してあることを特徴とする請求項3に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記口型が、二分割するとともに、当該二分割する分離線に接触して、前記口型の位置きめ部材が設けてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記仕上形状のパリソンが、厚さ0.8cm以上の最大肉厚部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記第1の冷却エアーに含まれる含有水蒸気量を15〜130g/m3の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
- 前記第1の冷却エアーの温度および相対湿度が、エアー吸入口と、エアー通過路と、冷却エアー排出口と、エアー通過路の周囲に、冷媒による冷却部と、を備えた熱交換器によって調整してあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
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