JP5109553B2 - 感光性樹脂組成物およびそれを用いた誘電体組成物、半導体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびそれを用いた誘電体組成物、半導体装置 Download PDF

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実装基板やウェハレベルパッケージなどの半導体を用いるシステム用の基板やパッケージに内蔵するキャパシタ用の層間絶縁膜として用いる高誘電率材料を形成するための感光性樹脂組成物やそれらを用いて作製した誘電体組成物、半導体装置に関する。
電子機器の小型化、軽量化、低コスト化のために、モジュールやパッケージの実装の高密度化が進められている。高密度実装の一つの手段として、キャパシタなどの受動部品をモジュール基板内、実装基板内やトランジスター作製後の半導体ウェハ上に作り込む方法がある。キャパシタの静電容量は層間絶縁材料の誘電率に比例するため、大容量化には誘電率が大きい層間絶縁材料を用いることが有利である。従来、高誘電率粒子を樹脂中に分散したペーストを用いて、これを塗布、乾燥、硬化させて高誘電率の層間絶縁膜を得るという方法が知られている(特許文献1参照)。
一方、層間絶縁膜を形成する材料に感光性を有する材料を用いると、フォトリソグラフィーにより層間絶縁膜のパターン形成を容易に行うことができ、感光性アクリル樹脂に高誘電率粒子や導電性粒子を混合した材料を用いて、フォトリソグラフィー法により高誘電率層間絶縁膜のパターン形成を行う技術がある(特許文献2〜7参照)。また、感光性エポキシ樹脂や感光性フェノール樹脂と高誘電率粒子を用いる技術も知られている(特許文献8、9参照)。しかし、半導体ウェハ上に形成するウェハレベルパッケージなどでは、高誘電率層間絶縁膜形成後に200〜300℃の高温プロセスを経る場合があり、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いた材料では耐熱性が不十分である場合が多い。
そこで高耐熱性であるポジ型のポリイミドに感光性を付与し、平均粒子径0.05μm未満の高誘電率超微粒子を分散した組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により層間絶縁膜のパターン形成を行い、キャパシタを作製する技術がある(特許文献10参照)。しかしながら、平均粒子径が0.05μm未満となるような超微粒子の凝集を完全に解し、良好な分散を達成することは非常に困難であり、凝集粒子間に微少な空隙が残りやすくなる。さらに空隙の存在は誘電率を大きくすることに対し大きな妨げとなるばかりでなく、リーク電流の増加、耐電圧の低下の要因となる。このような材料を層間絶縁膜とするキャパシタは各特性の不安定性の要因となったり、キャパシタの高信頼性を得ることが困難である。また、高誘電率超微粒子の充填量の増加に伴い、フォトリソグラフィー法による層間絶縁膜のパターン形成時に残渣が生じやすくなり、残渣のないパターン形成が困難である。
国際公開04/090912号パンフレット(特許請求の範囲) 特開2000−30534号公報(特許請求の範囲) 特開2003−288813号公報(特許請求の範囲) 特開平6−202323号公報(特許請求の範囲) 特開2002−365794号公報(特許請求の範囲) 特開2002−365796号公報(特許請求の範囲) 特開2003−57811号公報(特許請求の範囲) 特開2004−339260号公報(特許請求の範囲) 特開2004−14297号公報(特許請求の範囲) 特開2003−287883号公報(特許請求の範囲)
かかる状況に鑑み、本発明は、実装基板やウェハレベルパッケージなどの半導体を用いるシステム用の基板やパッケージに内蔵するキャパシタ用層間絶縁膜のリーク電流が小さく、耐電圧低下が少なく、フォトリソグラフィーにより残渣が発生しないパターン形成が容易にできる感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物の製造方法を提供し、さらにトランジスター、当該感光性樹脂組成物から得られる誘電体組成物が形成された半導体素子、電極からなるキャパシタを有する半導体装置を提供する。
すなわち本発明は、分散液と樹脂溶液とが混合された感光性樹脂組成物であって、分散液が(a)平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下であるペロブスカイト型結晶構造あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する比誘電率が50以上の高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(c)有機溶剤を混合し、分散メディアとして金属、セラミックス、ガラスのいずれかの種類から選択される平均粒子径0.02mm以上0.1mm以下のビーズを用いて、前記無機粒子を分散させて得られるものであり、樹脂溶液が(d)ポリイミドと(e)不飽和結合含有重合性化合物を有している感光性樹脂組成物であり、それを脱有機溶剤、固化して得られる誘電体組成物、およびそれを用いた半導体装置である。
本発明の感光性樹脂組成物によれば、キャパシタ用層間絶縁膜をフォトリソグラフィーにより残渣が発生しないパターンを形成することができ、得られた絶縁膜は、高耐熱性、高耐電圧性でリーク電流が小さい優れた特性を有する。
さらに本発明の感光性樹脂組成物を用いた半導体装置は、従来半導体装置を実装する基板に形成していたキャパシタを半導体装置上に形成することができるため、寄生インダクタンスの原因となる半導体装置から基板に実装されたキャパシタまでの配線が不要になる。このことはシステムの高速化や高密度化に寄与する。
本発明は、分散液と樹脂溶液とが混合された感光性樹脂組成物であって、分散液が(a)平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下であるペロブスカイト型結晶構造あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(c)有機溶剤を混合し、分散メディアとして金属、セラミックス、ガラスのいずれかの種類から選択される平均粒子径0.02mm以上0.1mm以下のビーズを用いて、前記無機粒子を分散させて得られるものであり、樹脂溶液が(d)ポリイミドと(e)不飽和結合含有重合性化合物を有している感光性樹脂組成物である。
感光性樹脂組成物には、アルカリ現像でポジ型を形成する場合、アルカリ現像でネガ型を形成する場合、有機現像でネガ型を形成する場合がある。本発明のように無機粒子を含んでいる感光性樹脂組成物は、無機粒子には他材料に対する接着力が殆どないため、樹脂単体に比べ他の材料との接着力が弱くなりやすい。このため、パターン加工を行う場合は、現像時のパターン脱離抑制が課題となりやすい。ネガ型はポジ型と比べて、露光時に光を当てた部位が現像で溶解せずに残りパターンが形成されるため、露光条件によりパターンとして残る部分の反応の進め具合を制御し、その部分と基板等との接着力を制御することができる。また、無機粒子を含んでいる感光性樹脂組成物は、無機粒子が樹脂成分の感光を妨げる要因となるため、無機粒子を有さない場合よりも感光性樹脂組成物と被着体の界面において露光が不十分になりやすく、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いた場合に、被着体表面に残渣が起こりやすい。また、有機現像でネガ型を形成することもできるが、有機現像は環境問題の点で好ましくない。以上の点より、アルカリ現像でネガ型を形成するものが好ましい。
本発明に用いられる(d)ポリイミドは、アルカリ現像でネガ型を形成するポリイミドであれば、特に限定されないが、下記一般式(1)〜(4)で表される一種以上のポリイミドを用いることが好ましい。
一般式(1)〜(4)において、Rは4〜14価の有機基、Rは2〜12価の有機基、R10およびR12は、水素原子またはフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基および炭素数1〜20までの有機基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有する有機基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R11は環状でない2価の有機基を表す。Xはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の芳香族基または環状脂肪族基を表す。Yはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基を表す。nは3〜200の範囲を表す。m、αおよびβはそれぞれ独立に0〜10の整数を表す。
Xは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の芳香族基または環状脂肪族基である。Xは、フェノール性水酸基またはチオール基を有することが好ましい。
Yはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基である。好ましくはフェノール性水酸基またはチオール基を少なくとも一つ有する1価の有機基である。
nはポリマーの構造単位の繰り返し数を示している。nは、3〜200の範囲であり、好ましくは5〜100である。nが3〜200の範囲であれば本発明の感光性樹脂組成物の厚膜での使用が可能になり、かつアルカリ現像液に対する十分な溶解性を付与し、パターン加工を行うことができる。
上記一般式(1)〜(4)において、Rは酸二無水物由来の構造成分を表しており、4価〜14価の有機基である。なかでも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。
酸二無水物としては具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、および下記に示した構造の酸二無水物などを挙げることができる。
15は酸素原子、C(CF、C(CHおよびSOより選ばれる基を、R16およびR17は、それぞれ水素原子、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
上記一般式(1)〜(4)において、Rは、ジアミン由来の構造成分を表しており、2〜12価の有機基である。中でも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンおよび下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。
ここで、R15は酸素原子、C(CF、C(CHおよびSOより選ばれる基を、R16〜R19はそれぞれ水素原子、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(1)〜(4)において、R10およびR12は、それぞれ水素原子、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基および炭素数1〜20の有機基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有する有機基を表している。得られる感光性樹脂組成物溶液の安定性からは、R10およびR12は水素原子または炭素数1〜20の有機基が好ましい。アルカリ水溶液の溶解性より見ると、R10およびR12はアルカリ可溶性基であるフェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基が好ましい。
本発明においては、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基と、水素原子やアルキル基を混在させることができる。
このR10およびR12のアルカリ可溶性基と水素原子や有機基の量を調整することで、ポリイミドのアルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、適度な溶解速度を有したネガ型感光性樹脂組成物を得ることができる。R10およびR12の5モル%〜100モル%がアルカリ可溶性基であることが好ましい。またR10およびR12の炭素数が20を越えるとアルカリ水溶液に溶解しなくなる。以上よりR10およびR12は、水素原子または炭素数1〜20までの炭化水素基を少なくとも1つ以上含有し、その他はアルカリ可溶性基であることがより好ましい。
一般式(1)および(2)において、−N−(R11−Xは、下記一般式(6)で示される構造が好ましい。
また、一般式(3)および(4)の構造成分である−CO−(R11−Yは、下記一般式(7)または(8)で示される構造が好ましい。一般式(7)および(8)で表される末端封止基は、いずれか一方のみを含んでも、両方を含んでもよい。
一般式(6)〜(8)において、R11は環状でない2価の有機基を表し、中でも−CR2526−、−CHO−および−CHSO−からなる群より選ばれる2価の基であることが好ましい。R25およびR26は水素原子、水酸基および炭素数1〜10の炭化水素基からなる群より選ばれる1価の基を示す。また、R20およびR21は、それぞれ水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基および炭素数1〜10の炭化水素基からなる群より選ばれた基であり、少なくとも一つは水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基である。R22は水素原子および炭素数1〜10の炭化水素基からなる群より選ばれる1価の基を表す。なかでも水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基またはt−ブチル基である。R23およびR24は、それぞれ、水素原子および炭素数1〜4の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基、あるいは、R23とR24が直接結合した環構造を表す(例えばナジイミド環など)。A、EおよびGは、それぞれ炭素原子または窒素原子であり、各々同じでも異なっていてもよい。mは0〜10の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。lは0または1であり、好ましくは0である。uは0または1であり、好ましくは0である。vは1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。wは0または1である。xおよびyは、それぞれ0または1である。
一般式(1)および(2)において、−N−(R11−Xは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する。
末端封止剤として用いられる1級モノアミンとは、具体的には、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−o−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。
これらのうち、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(3)および(4)において、−CO−(R11−Yは、末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物に由来する。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれる化合物の具体例は、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物および、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが挙げられる。
これらのうち、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物およびテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(6)で表される成分(一般式(1)および(2)の−N−(R11−X成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の1級モノアミン成分で換算すると、全酸二無水物成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。
一般式(7)および(8)で表される成分(一般式(3)および(4)の−CO−(R11−Y成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれる化合物成分で換算すると、ジアミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜55モル%である。
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で R、Rにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
また、一般式(1)〜(4)の構造中にフッ素原子を有すると、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が付与され、界面のしみこみなどが抑えられるため好ましい。一般式(1)〜(4)で表されるポリイミドそれぞれに対するフッ素原子含有量は、界面のしみこみ防止効果を十分得るために10重量%が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20重量%以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる(d)成分のポリイミドは、一般式(1)〜(4)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であっても良い。その際、一般式(1)〜(4)で表される構造単位をポリイミド全体の10重量%以上含有していることが好ましい。10重量%以上であれば、熱硬化時の収縮を抑えることができ、厚膜作製に好適である。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリイミドの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
(d)成分のポリイミドは、ジアミンの一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換えて、または、酸二無水物を、末端封止剤であるモノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれる化合物に置き換えて、公知の方法を利用して合成することができる。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物と酸無水物、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミンとモノアミンに置換と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。得られたポリイミド前駆体を、公知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する方法、あるいは、完全イミド化したポリマーと、前記ポリイミド前駆体を混合することによって、一部イミド構造を導入する方法を利用してポリイミドを合成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)不飽和結合含有重合性化合物を含有する。不飽和結合含有重合性化合物は、特に限定されないが、好ましくは下記一般式(9)で表される重合性化合物がよい。
は少なくとも一つの芳香環を有する1〜3価の有機基を表し、R〜Rは不飽和結合を有する重合性基を表し、R〜Rは2価の有機基を表す。R〜RおよびR〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、o、pおよびqは0〜1の整数を表し、r、sおよびtはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。ただしo+p+q≧1である。
一般式(9)で表される重合性化合物が芳香環を有することで、キュア後の膜の強度が改善される。Rの具体例としては、下記に示した構造を挙げることができる。
27はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基または水酸基を表し、zはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。これらの中でも特にビスフェノール骨格を有するものが好ましい。
一般式(9)のR〜Rは不飽和結合を有する重合性基を表し、o、p、qは0〜1の整数を表す。ただしo+p+q≧1である。R〜Rの例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合含有基およびプロパルギルなどの不飽和三重結合含有基が挙げられる。これらの中でも共役型のビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基が重合性の面で好ましい。
また、R〜Rは2価の有機基を表す。該重合性化合物が分子内にOR(i=5〜7)の繰り返し構造を有するため、光硬化後およびキュア後の膜が柔軟性を失わず、キュア膜の伸度が改善される。繰り返しの数(r、sおよびt)は1〜10である。繰り返しの数が10を越えるとパターンがうまく形成されなくなり、かつ膜の強度が低下する。
〜Rは、炭化水素基であることが好ましい。好ましい炭化水素基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ネオペンチレン基、またはこれらに水酸基が置換したものなどが挙げられる。また、R〜Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、またそれぞれ繰り返し単位ごとに同じであっても異なっていてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における(e)不飽和結合含有重合性化合物の含有量は、ポリイミド100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、相溶性の点から5〜150重量部とすることがより好ましい。この含有量を5重量部以上とすることで、現像時の膜の露光部の溶出を防ぎ、現像後に十分な残膜を得ることができる。また、この含有量を200重量部以下とすることで、膜形成時の膜の白化を抑えつつ、十分な残膜を得ることができる。
本発明では、さらに脂環式炭化水素基を含有する不飽和結合含有重合性化合物を用いてもよい。このような脂環式炭化水素基を含む重合性化合物を用いると、脂環式炭化水素基の疎水性のため、現像性が改善され、微細なパターンを高解像度で得ることができる。不飽和結合を有する官能基としては例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合を有するものおよびプロパルギルなどの不飽和三重結合を有するものなどが挙げられる。これらの中でも共役型のビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基が重合性の面で好ましい。
脂環式炭化水素基の例としては、シクロヘキサン構造、ジシクロペンタジエン構造、トリシクロデカン構造などを含む基が挙げられる。脂環式炭化水素基を含む不飽和結合含有重合性化合物の好ましい例としてはシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートなどが挙げられる。これらの中で、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルアクリレートおよびイソボルニルメタクリレートが好ましい。
また、(e)不飽和結合含有重合性化合物に加えて、他の重合性化合物を添加することもできる。そのような化合物の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
一般式(9)で表される重合性化合物と脂環式炭化水素基を含有する不飽和結合含有重合性化合物を併用する場合、その含有量は各々の合計値がポリイミド100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、相溶性の点から5〜150重量部とすることがより好ましい。この含有量を5重量部以上とすることで、現像時の膜の露光部の溶出を防ぎ、現像後に十分な残膜を得ることができる。また、この含有量を200重量部以下とすることで、膜形成時の膜の白化を抑えつつ十分な残膜を得ることができる。
本発明ではさらに光重合開始剤を用いてもよい。具体例としてはベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4,−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3,4,4,−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドンなどのベンジリデン類、7−ジエチルアミノ−3−ノニルクマリン、4,6−ジメチル−3−エチルアミノクマリン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルメチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリンなどのクマリン類、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプト類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシンなどのグリシン類、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ビス(α−イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)、OXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社)などのオキシム類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンなどのα-アミノアルキルフェノン類、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。これらの中で、上記のベンゾフェノン類、グリシン類、メルカプト類、オキシム類、α−アミノアルキルフェノン類および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールから選択される化合物の組み合わせが光反応の点から好適である。これらの光重合開始剤は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用される。
光重合開始剤を用いる場合、その含有量は、ポリイミド100重量部に対して、通常、1種類につき0.1〜40重量部が好ましく、2種以上を組み合わせる場合は、総量で0.2〜60重量部であることが好ましい。
本発明では、さらに熱架橋性化合物を含有してもよい。熱架橋性化合物を含有することで、熱処理時に熱架橋反応が起きるため、収縮率を小さくすることができる。熱架橋性化合物の例としては、一般式(5)で表される熱架橋性基を有する化合物、およびベンゾオキサジン化合物があげられる。
13は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基またはR14CO基を表す。また、R14は、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
熱架橋性基を有する化合物としては、熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましい。特に好ましくは、熱架橋性基を2つ有するものとして、46DMOC、46DMOEP(商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、DMOM−PTBP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(商品名、本州化学工業(株)製)など、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)など、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。
このような熱架橋性化合物の含有量としては、ポリイミド100重量部に対して、好ましくは0.5〜150重量部であり、さらに好ましくは1〜130重量部の範囲である。ポリイミド100重量部に対する熱架橋性化合物の含有量を150重量部以下にすることで、得られる誘電体組成物の耐熱性を低下させることがない。一方、0.5重量部以上とすることで、十分な架橋による分子量増大効果により、誘電体組成物の耐熱性が向上する。
その他、アルカリ現像性を制御する目的で、フェノール性水酸基を有する化合物を含有してもよく、たとえば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)が挙げられる。
このようなフェノール性水酸基を有する化合物の含有量としては、ポリイミド100重量部に対して、好ましくは1〜60重量部であり、さらに好ましくは3〜50重量部の範囲である。
本発明で用いられる(a)高誘電率無機粒子は、一次粒子における平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下であり、0.2μm以下がより好ましい。平均粒子径が0.06μm以上では、感光性樹脂組成物膜と被着体との間で十分な接着力が得られ、現像時にパターンの剥離が起こりにくい。平均粒子径が0.4μm以下では、この粒子を有する感光性樹脂組成物を硬化して得られる誘電体組成物をキャパシタの層間絶縁層とした場合に、薄い層を得やすくなり、キャパシタの静電容量がこの層の厚さに反比例するため、大きな容量のキャパシタを得やすくなる。平均粒子径が0.2μm以下では、この粒子を有する感光性樹脂組成物を硬化して得られる誘電体組成物の表面粗度が小さくなり、面内での膜厚ばらつきが小さくなるため、静電容量分布が均一な薄膜キャパシタを形成しやすくなる。
本発明の感光性樹脂組成物及びその誘電体組成物中に含まれる(a)高誘電率無機粒子の平均粒子径の測定は、誘電体組成物からなる膜を形成し、その薄膜の膜厚方向に膜断面を切り出した超薄切片に対してX線マイクロアナライザー(XMA)測定、および透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行うことにより測定できる。高誘電率無機粒子と樹脂で電子線に対する透過率が異なるので、TEM観察像中で高誘電率無機粒子と樹脂はコントラストの違いにより識別できる。複数種の高誘電率無機粒子が使用されている場合の各高誘電率無機粒子の同定はXMA測定に基づく元素分析および電子線回折像観察による結晶構造解析を行うことにより可能である。このようにして得られた高誘電率無機粒子と樹脂の面積の分布を画像解析により求め、高誘電率無機粒子の断面を円形と近似して面積から粒子径を算出できる。粒子径の評価は倍率5000倍と40000倍のTEM画像について行えばよい。算出された粒子径の分布を倍率が5000倍のTEM画像において0.1μm刻みのヒストグラム、倍率が40000倍のTEM画像において0.01μm刻みのヒストグラムで表し、度数が極大値となる級の中心値を平均粒子径とする。なお、粒径分布の評価法としては上記の方法でTEMの代わりに走査型電子顕微鏡(SEM)を用いても良い。
一般に(a)高誘電率無機粒子の粒成長や焼結などの一次粒子の形状変化が起きる温度は、樹脂の硬化温度より遙かに高い場合が殆どであるので、そのような場合は、(a)高誘電率無機粒子を樹脂に分散させる前の原料段階でペロブスカイト型結晶構造を有する(a)高誘電率無機粒子の粒子径を評価してもよい。この場合、(a)高誘電率無機粒子を直接、前記と同様のTEMやSEMを用いて観察し、それにより得られた観察像の画像解析により求めることができる。
また、上記以外にも、(a)高誘電率無機粒子の液体中でのブラウン運動による散乱光の揺らぎを測定する動的光散乱法、(a)高誘電率無機粒子を電気泳動させたときの散乱光のドップラー効果を測定する電気泳動光散乱法、照射した超音波の減衰状態を求める超音波減衰分光法などによって平均粒子径を測定することができる。レーザー回折式、レーザー散乱式の粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製LA−920、(株)島津製作所製SALD−1100、日機装(株)製MICROTRAC−UPA150やシスメックス(株)製ゼータサイザーナノZS等がある。
(a)高誘電率無機粒子の誘電特性としては、比誘電率が50〜30000のものを用いることが好ましい。比誘電率が50以上の高誘電率無機粒子を用いると比誘電率が十分大きい誘電体組成物が得やすくなる。また、比誘電率が30000以下のものでは、比誘電率の温度依存性が小さくなる傾向があるため、好ましい。ここでいう高誘電率無機粒子の比誘電率とは、高誘電率無機粒子を原料粉末として、加熱、焼成して得られる焼結体の比誘電率をさす。焼結体の比誘電率は、例えば以下の手順によって測定する。高誘電率無機粒子をポリビニルアルコールのようなバインダー樹脂、有機溶剤もしくは水を混合して、ペースト状組成物を作製したのち、ペレット成型器の中に充填して、乾燥させ、ペレット状固形物を得る。そのペレット状固形物を、例えば900〜1200℃程度で焼成することにより、バインダー樹脂を分解、除去し、高誘電率無機粒子を焼結させ、無機成分のみからなる焼結体を得ることができる。このとき、焼結体の空隙は十分小さく、理論密度と実測密度から計算した空隙率が1%以下となっていることが必要である。この焼結体ペレットに上下電極を形成し、静電容量および寸法の測定結果から、比誘電率を計算する。
(a)高誘電率無機粒子は、ペロブスカイト型結晶構造、あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する。これらのものとしては、例えばチタン酸バリウム系、チタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系、二酸化チタン系、などを挙げることができる。チタン酸バリウム系とは、チタン酸バリウム結晶内の一部の元素を他の元素で置換したり、結晶構造内に他の元素を侵入させたりした、チタン酸バリウムを母材とする固溶体を含めた総称である。その他のチタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系もいずれも同様で、それぞれを母材とする固溶体を含めた総称である。
なお、ペロブスカイト型結晶構造、あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する高誘電率無機粒子は、これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができるが、少なくとも2種の異なる平均粒子径を有する高誘電率無機粒子が同一化学組成である方が誘電特性の点から、好ましい。特に、高い比誘電率を有する誘電体組成物を得る場合には、商業的利便性との両立の点から、主としてチタン酸バリウムからなる化合物を用いることが好ましい。但し、誘電特性や温度安定性を向上させる目的で、シフター、デプレッサー剤などを少量添加して用いてよい。
高誘電率無機粒子の作製方法は、固相反応法、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法、しゅう酸塩法などの方法が挙げられる。最大の平均粒子径を有する高誘電率無機粒子の作製方法としては、高い比誘電率と品質安定性の点から、固相反応法、あるいはしゅう酸塩法を用いることが好ましい。また、最小の平均粒子径を有する高誘電率無機粒子の作製方法は、小粒径化が容易であるという理由から、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法、アルコキシド法のいずれかを用いることが好ましい。
高誘電率無機粒子の形状は、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状などが挙げられるが、特に、球形あるいは略球形であることが好ましい。球状あるいは略球状の高誘電率無機粒子は、最も比表面積が少ないために充填時に高誘電率無機粒子凝集や樹脂流動性低下などを生じにくいからである。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いることができる。
低線膨張係数、および高比誘電率を得るためには、これらの高誘電率無機粒子を高充填率で樹脂に含有させることが望ましい。
本発明で用いられる(c)有機溶剤は、樹脂を溶解するものを適宜選択することができる。(c)有機溶剤は、例えば、エチレングリゴールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、メトキシメチルブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、トリクロロエチレンなどや、これらのうちの1種類以上を含有する有機溶剤混合物が好ましく用いられる。なかでも、乳酸エチルは、塗布性が良好になる点で好ましい。
また沸点120℃以上の有機溶剤を用いると、スピンコーターで感光性樹脂組成物の塗布を行った場合に、有機溶剤の揮発速度が十分遅いために均一な膜を得やすくなる。有機溶剤の沸点が160℃以上では、空隙の発生が抑制されて、誘電体組成物の比誘電率を高くすることができる。高誘電率無機粒子の含有率が大きい場合に、沸点が160℃より低いと、有機溶剤の揮発速度が速いため、熱処理時の物質移動による緻密化が追いつかず、空隙部が増加し、誘電体組成物の比誘電率が低下する場合がある。高誘電率無機粒子を高充填する場合に空隙発生をより少なくするという点では、有機溶剤の沸点はより好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、本発明で用いられる有機溶剤は、沸点300℃以下であることが好ましく、より好ましくは280℃以下である。沸点が280℃より高くなると、脱有機溶剤のための処理が高温となり、高温化によって樹脂が分解し、誘電特性の劣化などが起こる。また300℃より大きくなると、樹脂の分解がより激しくなり、機械強度の低下が起きる。有機溶剤の沸点が180℃より低いと、180〜200℃の比較的低温で硬化させることができる樹脂を用いた場合にも、180〜200℃での硬化を行うための熱処理で有機溶剤を完全に取り除きやすくなるため、低温硬化を行う場合に好ましい。硬化熱処理時に有機溶剤が完全に抜け切れていない場合、電極金属層などが積層された後に行われるハンダリフローなどのより高温での熱処理工程で有機溶剤が脱離による膨れが生じることがあり、好ましくない。
本発明でいう沸点とは、1気圧、即ち1.013×10N/mの圧力下での沸点である。沸点の測定は公知の技術を用いて行うことができ、特に限定されないが、例えば、Swietoslawskiの沸点計を用いることで測定できる。
本発明の感光性樹脂組成物中の全有機溶剤量は、組成物全量の35重量%以下であることが好ましい。好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。また1重量%以上が好ましい。有機溶剤量が35重量%以下では、乾燥時の有機溶剤揮発による空隙の発生が抑制されて、誘電体組成物の比誘電率を高くすることができる。また吸湿の原因となりうる空隙量が小さいために、湿度、水分の影響による物性変化が小さくできる。さらに保存耐久性が優れている。有機溶剤量が35重量%より多いと、有機溶剤を除去する乾燥工程および熱硬化工程で空隙部が増加し、誘電体組成物の比誘電率が低下することが多い。有機溶剤量が30重量%以下では、より空隙の発生を抑制することができ、有機溶剤量が25重量%以下では、さらに空隙の発生を抑制することができ、高誘電率無機粒子の充填率が大きくなるにつれてその効果が大きくなる。有機溶剤量が1重量%未満では有機溶剤が少ないため、感光性樹脂組成物の粘度や均一性が損なわれる。
なお、感光性樹脂組成物中の高誘電率無機粒子の充填率が高くなるにつれて、上記有機溶剤量による影響は大きくなり、高誘電率無機粒子が感光性樹脂組成物に含まれる固形分の80重量%以上の場合に、本発明の効果が特に大きい。
本発明の感光性樹脂組成物中に含まれる固形分中に占める高誘電率無機粒子の含有量は70重量%以上が好ましく、75重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。また、90重量%以下が好ましく、より好ましくは85重量%以下である。高誘電率電無機粒子の含有量が70重量%以上であると誘電体組成物の比誘電率を大きくすることが容易になり、75重量%以上であると比誘電率をさらに大きくすることができるばかりでなく、誘電体組成物の弾性率が向上し、誘電体組成物の強度面での信頼性が向上する。80重量%以上では、誘電体組成物の比誘電率の増大ばかりでなく、熱膨張係数が十分小さくなり、誘電体組成物を層間絶縁膜として用いたキャパシタの場合では、金属電極やキャパシタを組み込む実装基板やシリコン基板との熱膨張係数差が小さくなり、信頼性や安定性の高いキャパシタが得られる。90重量%以下であると高誘電率無機粒子が含有されているにもかかわらず、感光性による微細なパターニングが容易となる。85重量%以下では、高誘電率無機粒子を有する感光性樹脂組成物を硬化して得られる誘電体組成物のピンホールなどのリーク部分が抑制され、リーク電流が減少、耐電圧が増大した薄膜キャパシタを形成しやすくなる。
なお、固形分とは、(a)高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(d)ポリイミド、(e)不飽和結合含有重合性化合物およびその他添加剤などの本発明の誘電体組成物を得るための熱処理により揮発や分解しない成分を合わせたものをいう。したがって、本発明の感光性樹脂組成物中に含まれる固形分中に占める高誘電率無機粒子の含有量とは、該感光性樹脂組成物を脱有機溶剤、固化して得られる誘電体組成物において、該誘電体組成物全体に占める高誘電率無機粒子の含有量に一致する。
本発明では高誘電率無機粒子の分散性を向上させるために、高誘電率無機粒子表面の水酸基と反応し、粒子表面を覆うことができることから、(b)リン酸化合物を用いる。リン酸化合物としては、ビックケミー・ジャパン(株)製:商品名“Dysperbyk−111”、同じく“BYK−W9010”など、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチルなどのリン酸アルキルやリン酸アクリレートが挙げられる。また(b)リン酸化合物は組成物へ添加してもよく、また高誘電率無機粒子の表面処理剤として用いてもよい。
(b)リン酸化合物の含有量は(a)高誘電率無機粒子に対して0.6重量%以上9重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、{0.35/(D2/3)}重量%以上{1.37/(D2/3)}重量%以下である。ここでDは高誘電率無機粒子の平均粒子径を単位(μm)で表した場合の数値に等しいものであり、0.06≦D≦0.4である。例えば、平均粒子径が0.4μmである場合は、D=0.4で、無次元の数値である。
高誘電率無機粒子の粒子径が小さくなると共に、高誘電率無機粒子の比表面積が大きくなり、高誘電率無機粒子の比表面積が大きくなると共に高誘電率無機粒子の表面を覆うためのリン酸化合物も多く必要になるが、(b)リン酸化合物の含有量が(a)高誘電率無機粒子に対して{0.35/(D2/3)}重量%以上であると、凝集が解された粒子の表面を適切な量で覆うことができ、粒子の再凝集を阻害し、高誘電率粒子の良好な分散を維持することができる。また(b)リン酸化合物の含有量が高誘電率無機粒子に対し{1.37/(D2/3)}重量%以下であると、リン酸化合物量が多くなることによる誘電率の低下の影響を小さいものに留めることができるため、得られる誘電体組成物の誘電率を大きくしやすくなる。
なお、2種の平均粒子径の高誘電率無機粒子を有する場合、本発明の感光性組成物中に含まれる(b)リン酸化合物の含有量が(a)高誘電率無機粒子に対して{a/(a+b)}×{0.35/(D 2/3)}+{b/(a+b)}×{0.35/(D 2/3)}重量%以上、{a/(a+b)}×{1.37/(D 2/3)}+{b/(a+b)}×{1.37/(D 2/3)}重量%以下であることが好ましい。D、Dは高誘電率無機粒子の平均粒子径を単位(μm)で表した場合の数値と等しいものであり、0.06≦D、D≦0.4である。a、bは本発明の感光性組成物中に含まれる平均粒子径D、Dの高誘電率無機粒子の重量比である。
また、リン酸化合物の他にさらに分散性を向上させるために、高誘電率無機粒子の表面処理、分散剤の添加、界面活性剤の添加、有機溶剤の添加などを行ってもよい。高誘電率無機粒子の表面処理としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系などの各種カップリング剤、脂肪酸などによる処理のほか、ロジン処理、酸性処理、塩基性処理などが挙げられる。また、分散剤としては、カルボン酸、脂肪酸、およびそれらのエステル類などの酸基を有する分散剤などが挙げられる。
そのほか、本発明の感光性樹脂組成物には、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の界面活性剤、多価カルボン酸などの湿潤剤、両親和性物質、高立体障害の置換基を有する樹脂など、必要に応じて、安定化剤、分散剤、沈降防止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。また、分散時または分散後の系の極性は、有機溶剤の添加で制御することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は(a)ペロブスカイト型結晶構造あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有し、かつ平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下である高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(c)有機溶剤を混合し、分散メディアとして金属、セラミックス、ガラスのいずれかの種類から選択される平均粒子径0.02mm以上0.1mm以下のビーズを用いて作製された分散液と、(d)ポリイミド、(e)不飽和結合含有重合性化合物を有する樹脂溶液を混合して作製する。
本発明で用いられる(a)高誘電率無機粒子は平均粒子径が小さいため、粒子間の凝集を解して均一な分散を達成するため、分散メディアに微小ビーズを用いる。(a)高誘電率無機粒子の平均粒子径は0.06μm以上0.4μm以下であるため、分散メディアにはビーズの平均粒子径が0.02mm以上0.1mm以下のものを用いる。分散メディアのビーズの平均粒子径が0.03mm以上である場合と0.06mm以下である場合は、より有効である。ビーズの平均粒子径が0.1mm以下である場合、ビーズの間を分散液が通過する際に、高誘電率無機粒子がビーズと接触する頻度が高く、十分な分散効果が得られる。さらに高い分散効果を得るためには、ビーズの平均粒子径は0.06mm以下であることが好ましく、分散処理後の高誘電率無機粒子の凝集体の粒子径が小さくなりやすい。この効果は、(a)高誘電率無機粒子の平均粒子径が0.1μm以下の場合に特に大きい。ビーズの平均粒子径が0.02mm以上である場合、個々のビーズの持つ運動量が十分大きく、高誘電率無機粒子の凝集を解くのに十分なせん断応力が得られる。高誘電率無機粒子の凝集体にさらに強いせん断応力を与えるためには、ビーズの平均粒子径は0.03mm以上であることが好ましい。この方法を用いて作製された感光性樹脂組成物を硬化して形成された誘電体組成物は、高誘電率無機粒子を樹脂中により密に充填することができ、この誘電体組成物を膜に用いたキャパシタはリーク電流が小さく、耐電圧が大きい。
まず、高誘電率無機粒子の分散液の製造方法についての例を以下に記す。高誘電率無機粒子、リン酸化合物、有機溶剤を所定の分量で混合し、攪拌する。混合直後は、高誘電率無機粒子の表面を空気の層が覆っているため、高誘電率無機粒子と有機溶剤との濡れが十分でなく、粘度が増加する場合がある。この場合は、高誘電率無機粒子と有機溶剤が完全に濡れるまで、回転羽根などで時間をかけて攪拌するのが好ましい。
高誘電率無機粒子、リン酸化合物、有機溶剤を混合、攪拌した後、ビーズミルにて高誘電率無機粒子の分散処理を行う。まず、ビーズミルのベッセル内に平均粒子径が0.02mm以上0.1mm以下の範囲の所定粒子径のビーズを所定量投入し、ローターを回転させながら、分散液に用いるものと同じ有機溶剤をベッセル内へ送液/循環させビーズ洗浄を行う。洗浄時に有機溶剤の汚れが目立つ場合は、新しい有機溶剤と入れ替え、有機溶剤の汚れが目立たなくなるまで洗浄を続ける。ビーズ洗浄後、循環させた有機溶剤を回収し、次いで、上記高誘電率無機粒子、リン酸化合物、有機溶剤の混合液をベッセル内へ送液/循環させ分散処理を行う。初めにベッセル内から送出される分散液は、ベッセル内に残留した有機溶剤により濃度が薄くなっているため、ベッセルの大きさに応じて、ベッセル内から送出される分散液の濃度が一定になるまで初流を除去する。分散処理は一度に小さいビーズで実施してもよく、段階的にビーズの大きさを小さいものへと変えて行ってもよく、いずれにも限定されない。例えば、本発明の平均粒子径が0.02mm以上0.1mm以下のビーズを用いた分散処理(本分散)に先立ち、前分散処理を行っても良い。前分散処理としては、例えば、平均粒子径が0.5mmのビーズで高誘電率無機粒子の凝集体の平均粒子径が1次粒子径の数倍程度になるまで分散を行うことなどが挙げられる。前分散処理をホモジナイザーやボールミルで行い、本分散をビーズミルで行うなど、前分散処理と本分散処理を異なる装置にて行ってもよい。ビーズミルにおいては、サンプルをミル本体へチューブを通して送液する方式のものが多く、前分散処理をビーズミルで行うと、粒子径の大きな粒子が送液チューブ中で目詰まりする場合がある。前分散処理をホモジナイザーなど別の装置で行うと、これを避けることができる。
前分散処理をホモジナイザーで行う場合は、例えば、回転刃の先端の周速を1〜10m/sにして、1時間程度処理する。ホモジナイザー処理中は熱が発生するため、氷浴中で処理することが好ましい。用いることができるホモジナイザーとしては、“エクセルオート”((商品名)(株)日本精機製作所製)などが挙げられる。
前分散処理をボールミルで行う場合は、例えば、高誘電率無機粒子、リン酸化合物、有機溶剤を総量800gとなるように容量1リットルのセラミックス製かポリエチレン製などのサンプル瓶に投入し、更に所定粒子径のビーズを800〜2000g投入し、ボールミル架台上で回転数100〜600rpmで1時間以上攪拌する。
分散処理時の分散液の粘度は高誘電率無機粒子の分散性や分散処理の効率に影響するので、分散処理の経過に伴う分散液の粘度変化を把握することが好ましい。例えば、一定時間ごとに分散液をサンプリングし、粘度測定をすることにより、粘度の経時変化を把握することができる。分散処理時に分散液の粘度が上昇した場合は、循環させている分散液中に有機溶剤やリン酸化合物、分散剤、pH調整剤などを適量加えて、粘度を低下させることもできる。
分散処理時の分散液の温度は、ベッセル外部を冷却する冷却水の温度や流量、分散液の循環速度により制御できる。分散液の温度上昇は、分散処理時の分散液の粘度が高い場合に発生しやすい。分散液の温度上昇が大きすぎる場合には、分散液の変質が起きることがある。
分散液の固形分濃度は10重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。また、分散液の固形分濃度は85重量%以下であることが好ましく、より好ましくは80重量%以下である。本発明の分散液の固形分濃度とは、分散液全量に対して分散液中に含まれる有機溶剤以外の成分の割合である。分散液の固形分濃度が10重量%以上であると、粘度の低い分散液を作製することが可能となり、分散処理時もビーズとの摩擦などにより発生する熱量が少ないため、分散液を構成する材料が変質しにくくなる。分散液の固形分濃度が30重量%以上であると、分散液と樹脂液を混合した感光性樹脂組成物を用いて誘電体組成物の膜を形成した時に1μm以上の厚膜を形成しやくなる。また、分散液の固形分濃度が85重量%以下であると、遠心分離によるフィルタリング方式のビーズミルを用いた場合に、ビーズが分離されやすい。さらに、分散液の固形分濃度が80重量%以下であると、分散液の粘度が低く、分散液中の高誘電率無機粒子とビーズが頻度よく接触するため、高誘電率無機粒子の凝集体を解きやすくなる。
ビーズミルのローターの回転周速は一定でもよく、分散処理時に段階的に変更してもよい。ローターの回転周速は分散処理時の分散液の温度に影響を与える場合があるので、分散処理時に回転周速を変更する場合は、分散液の温度上昇が大きくなりすぎないようにするのが好ましい。また、ビーズを遠心分離によりフィルタリングする方式のビーズミルの場合は、ローターを回転する前に送液ポンプを作動し、分散液の循環を開始すると、ベッセル内から送出する分散液中にビーズが混入することがあるので、ローターを回転した後に送液ポンプを作動するようにする。
分散処理時間は高誘電率無機粒子や有機溶剤、リン酸化合物などの分散液を構成する材料の種類や組成比により適宜設定する。例えば、一定時間ごとに分散液をサンプリングし、分散液中での高誘電率無機粒子の平均粒子径を測定することは、分散状態の経時変化を把握でき、分散処理の終了時点を判断することができるので好ましい。分散性が良好な組成の場合は、30分程度の分散処理時間で十分であるが、組成によっては、分散処理を24時間以上行ってもよい。分散処理時間が長い場合は、有機溶剤などの分散液を構成する材料が揮発することにより、分散液の組成比が変化し、分散性が変化する場合があるので、そのような場合は、適宜必要な成分を添加し、組成を調整する。本分散液の製造方法によって、分散液中の高誘電率無機粒子を効率良く分散することができ、粒度分布が一次粒子径付近まで分散しやすい。
ビーズの平均粒子径の評価は、例えば以下のような方法で行うことができる。ビーズは光学顕微鏡を用いて観察を行うことができる。ガラスなどの透明板の上にビーズ(サンプル)を載せ、透明板の下側から光を当て透過光像を対物レンズを通して観察し、ビーズの粒子径を評価する。任意の100個のビーズの観察を行い、それぞれのビーズに対して求めた粒子径の平均値をビーズの平均粒子径とすることができる。ビーズの粒子径は、ビーズの観察像に対し各種の画像処理ソフトを用いた球形近似を行うことで求めることができる。具体的には、顕微鏡の接眼レンズ部の代わりに取り付けたCCDカメラによるデジタル画像をコンピューター上で画像処理することにより行う。このようなCCDカメラとしては(株)フローベル製のADP−240があり、このような画像処理ができるソフトとしては(株)フローベル製のFlvFsなどがある。
分散メディアであるビーズとしては、金属製、セラミック製やガラス製のものを使用する。これらの具体的な材質としては、ステンレス、鉄、銅、クロム、ニッケル、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、珪酸ガラス、石英などが挙げられる。特に、硬度が高いジルコニア製ビーズが好適に使用できる。ジルコニアとしては強度が大きいことからイットリア安定化ジルコニアを用いることが好ましい。
本発明におけるビーズを用いた分散方法は特に限定されないが、用いる装置としては、ボールミル、ホモジナイザー、ピンロータービーズミルなどが挙げられ、寿工業(株)製の“ウルトラアペックスミル”(商品名)やアシザワ・ファインテック(株)製の“スターミル”(商品名)などが微小粒子の分散に特に好適なものとして挙げられる。これらの2種のビーズミルにおいては、高誘電率無機粒子の分散が行われるベッセルと呼ばれる部位が、外壁を形成する円筒形のステーターと、ステーターの中心で回転するローターによって形成される。そして、高誘電率無機粒子と有機溶剤とを混合した分散液を、ステーターとローターとの間を送液する。ローターからは放射状に複数のブレードが突出している。ベッセル内に分散メディアであるビーズを充填し、ローターを回転させることにより、ブレードによりビーズが攪拌され、それに伴い、ビーズが分散液中の高誘電率無機粒子にせん断応力を与え、高誘電率無機粒子が微小粒子に分散される。一度ベッセル内を通過した分散液を循環させ、繰り返しベッセル内へと送液することで、分散液中の高誘電率無機粒子の凝集を徐々に解し、分散を進める。
分散液に含まれる高誘電率無機粒子は一次粒子あるいは凝集体として存在するものであるが、本発明においては分散液中に存在するときの高誘電率無機粒子の大きさは、分散液中で幾つかの高誘電率無機粒子の一次粒子が凝集した状態のものを体積基準で分布にしたときのメジアン径(50%粒子径)である。分散液は、メジアン径が一次粒子径以上一次粒子径の2倍未満の状態で有機溶剤中に高誘電率無機粒子が分散された状態になるよう分散処理を行うことが好ましい。
分散液中での高誘電率無機粒子の平均粒子径を測定する方法としては、レーザーによる静的光散乱方式や動的光散乱方式が挙げられるが高精度で評価する場合は、動的光散乱方式を用いる方が好ましい。この方式による粒子径測定装置として、例えば、日機装(株)製の“ナノトラック”UPA−EX150(商品名)が挙げられる。
ビーズミルのベッセル内のビーズ充填量は、ベッセル容積の20容積%以上の場合と85容積%以下の場合が好ましい。ビーズの充填量が20容積%以上である場合、近接するビーズの間隙が狭いため分散液中の高誘電率無機粒子がビーズに接触する頻度が高く、分散が短時間で効率よく進行する。さらにこの効果を高めるために、ビーズの充填量は50容積%以上であることがより好ましい。一方、ビーズの充填量が85容積%以下である場合、近接するビーズの間に十分な間隙が存在するため、分散液がベッセル内に詰まることなくスムーズに送液することができる。また、ビーズの充填量が85容積%以下である場合、ビーズ同士、あるいはビーズとベッセルのステーターやローターとの摩擦により発生する熱量が少ないため、分散液を構成する材料が変質しにくい。また、遠心力によりビーズをフィルタリングする方式のビーズミルにおいて、ビーズの充填量が多くなると、フィルタリング機能が十分に働かず、ベッセルから回収した分散液中にビーズが混入する可能性が大きくなるが、ビーズの充填量が85容積%以下である場合は、ビーズの混入がないか、あるいは非常に小さくて済む。さらにこの効果を大きく奏するために、ビーズの充填量は75容積%以下であることがより好ましい。
ビーズミルのローターの回転周速は5m/s以上15m/s以下であることが好ましく、より好ましくは5m/s以上10m/s以下である。本発明における回転周速とは、ローターから突出しているブレードの先端が回転するときの速度である。回転周速が5m/s以上である場合、平均粒子径0.4μm以下に分散するのに十分なせん断応力が得られる。また、回転周速が5m/s以上である場合、ビーズを遠心力によりフィルタリングする方式のビーズミルにおいて、回収した分散液中にビーズが混入しにくい。一方、回転周速が15m/s以下である場合、ビーズ同士、あるいはビーズとベッセルのステーターやローターとの摩擦による発熱量は少ないため、分散液が変質しにくい。この効果は、分散液の粘度が100mPa・s以下の場合に効果が大きい。また、回転周速が10m/s以下である場合、ビーズと高誘電率無機粒子が接触した際の粒子の破砕を抑えることができる。ビーズミルのローターの回転周速が10m/s以下で分散した分散液を用いて作製された感光性樹脂組成物を硬化して形成された誘電体組成物は、破砕を抑えた高誘電率無機粒子を樹脂中に密に充填することができ、この誘電体組成物を膜にしたキャパシタは、高い比誘電率が得られやすい。この効果は、分散液の粘度が30mPa・s以下かつ高誘電率無機粒子の平均粒子径が0.1μm以上の場合に効果が大きい。
分散処理時の分散液の温度は10℃以上40℃以下であることが好ましい。ここで、分散処理時の分散液の温度は、ベッセルから送出された直後の分散液の温度とする。分散液温が40℃以下である場合、分散液中の有機溶剤の揮発量は少なく、分散液中の高誘電率無機粒子や有機成分の濃度変化は少ない。液温が40℃よりも高いと、分散液組成の濃度変化が生じ、分散液の分散性が悪くなる場合がある。例えば、分散液の分散性はpHにより影響を受けることがあるが、分散液のpH値は分散液組成の濃度変化により変化する。したがって分散液の温度制御は分散液のpH値、また分散液中の高誘電率無機粒子の分散性を制御する重要な条件の1つである。また、分散液中に温度により化学反応する材料や、温度により変質する材料を含有する場合は、温度変化により分散液が有する特性が変化するため、分散時の温度制御を行うことが好ましい。さらにこの効果を高めるために、分散液の温度は35℃以下であることが好ましい。一方、分散処理時の分散液の温度が10℃よりも低い場合、ベッセルから送出した分散液を回収する容器内に結露が生じ、分散液中に水分が混入し、分散液の特性を劣化させる可能性があるため、分散処理時の分散液の温度は10℃以上であることが好ましい。また、分散液の温度が10℃以上であると、分散液の粘度が低くなるため、ビーズの運動エネルギーの減損が避けられ、分散効率が高くなる。さらにこの効果を高めるためには、分散液の温度は20℃以上であることがより好ましい。
分散処理時の分散液の粘度は、1mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。ここで、分散処理時の分散液の粘度は、ベッセルから送出された分散液をサンプリングし、サンプリングから5分後に測定した際の粘度とする。測定温度は25℃とする。粘度測定は、例えば、東機産業(株)製の粘度計RE−115Lを用いて行うことができる。ビーズミルのベッセル内のビーズは回転するローターのブレードから運動エネルギーを獲得し、分散液中の高誘電率無機粒子と接触することにより、せん断応力を発生する。しかし、分散液の粘度が高い場合は、ビーズが高誘電率無機粒子へ接触する前に、有機溶剤中で運動エネルギーが大きく減損し、高誘電率無機粒子に十分なせん断応力を与えることができない場合がある。分散処理時の分散液の粘度が100mPa・s以下である場合は、上記問題を回避することができる。さらにこの効果を高めるために、分散処理時の分散液の粘度は、20mPa・s以下であることがより好ましい。一方、分散液の粘度が1mPa・s以上であれば、製造した分散液と樹脂とを混ぜて作製する感光性樹脂組成物の粘度が低くならず、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し膜状の樹脂組成物を製造する場合、連続膜を形成しやすくなる。
次に、上記の高誘電率無機粒子分散液の製造方法によって得られた分散液と、樹脂、もしくは樹脂と有機溶剤を有する樹脂溶液とを含有する感光性樹脂組成物の製造方法について説明する。
分散液と樹脂、もしくは樹脂と有機溶剤を有する樹脂溶液の混合は、樹脂、もしくは樹脂と有機溶剤を有する樹脂溶液中に分散液を所定量となるまで注入してもよいし、分散液中に樹脂、もしくは樹脂と有機溶剤を有する樹脂溶液を所定量となるまで注入してもよい。この際の樹脂溶液の態様は、液状樹脂であっても、固形樹脂を有機溶剤に溶かした樹脂溶液であってもよい。また、この際の樹脂と有機溶剤を有する樹脂溶液の態様は、液状樹脂もしくは固形樹脂を有機溶剤に溶かした樹脂溶液であってもよい。
また、分散液、樹脂溶液、液状樹脂、分散液と樹脂溶液を混合した感光性樹脂組成物のいずれか、またはすべてを濾紙やフィルターを用いて濾過しても良い。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径0.4μm〜10μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
所定量の高誘電率無機粒子を有する分散液と樹脂溶液を混合して得られた感光性樹脂組成物を、さらに均質になるようにするために、ボールミルやロールミルを用いることができる。また、混合処理により感光性樹脂組成物中に気泡が混入した場合は、静置する、あるいは攪拌脱泡機を用いるなどして、気泡を除去すると、感光性樹脂組成物を用いて製造する樹脂組成物中への気泡の混入を抑制することができる。
本発明の誘電体組成物を得る方法として、例えば、感光性樹脂組成物をある被着体(例えば基板)に塗布し、脱有機溶剤し、露光、現像、樹脂硬化のための熱処理を行うことにより、所望のパターン形状を有する、誘電体組成物を得る方法が挙げられる。但し、本発明の誘電体組成物は焼結体ではないので、樹脂を完全に分解、除去する必要はなく、電子部品の耐熱温度範囲内、例えば、500℃以下の温度で加熱することが好ましい。
さらにシリコンウェハなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤などを感光性樹脂組成物に0.5から10重量%添加したり、下地基板をこのような薬液で前処理したりすることもできる。
被着体表面を処理する場合、シランカップリング剤などをイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの有機溶剤に0.5から20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などを行う。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度をかけることで、基板とカップリング剤との反応を進行させる。
また、被着体を高温で熱処理し、被着体表面の吸着水などを取り除くことも表面処理方法として有効である。この場合の熱処理温度は、例えば80℃から400℃の温度を用いることができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いて誘電体組成物のパターンを形成する方法について説明する。
感光性樹脂組成物を塗布する被着体は、例えば、シリコンウェハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものから選択できるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。
また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
感光性樹脂組成物を被着体に塗布する方法としてはスピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーターなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
次に感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂組成物膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃から180℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
次に、この感光性樹脂組成物膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
誘電体組成物のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて未露光部を除去することによって達成される。現像液としては、アルカリ現像液で行う場合、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。
有機溶剤で現像を行う場合、このときの現像液としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの極性溶剤を単独あるいは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、水、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどと組み合わせた混合溶液が使用できる。
現像は上記の現像液を塗膜面にスプレーする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかける、基板を回転させながら現像液をスプレーするなどの方法によって行うことができる。
現像時のパターンの解像度が向上したり、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理をする工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間が好ましい。
現像後は水にてリンス処理をしてよい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
現像後の膜厚減少が0.7μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以下である。現像後の膜厚減少が0.7μm以下であると薄膜化する場合に現像後の膜厚の変動による誤差が小さくなりやすく好ましい。また、0.5μm以下であると、大径基板上に形成した場合に、面内で膜厚のばらつきの影響を小さくしやすい。
現像後、紫外線を未露光部に100mJ/cmから4000mJ/cm照射する工程を入れても差し支えない。さらに、120℃から400℃の温度を加えて誘電体組成物にする。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
誘電体組成物の空隙率は、小さいほど好ましい。空隙率が小さいと膜体積中に占める高誘電率無機粒子の割合が大きくなり、比誘電率が30以上の誘電体組成物が得られやすい。また空隙率が小さいと絶縁抵抗の低下やリーク電流の増大、曲げ強さの低下などが起こらない。
本発明の誘電体組成物の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができるが、特に膜状であることが好ましい。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。もちろん、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、または、放熱機能付与など、用途にあわせたパターン形成を行うこともできる。
誘電体組成物から膜を形成する場合の膜厚は、静電容量が所望の値を満たす範囲内で任意に設定することができるが、0.5μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。また、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。キャパシタとして大きな静電容量を確保するには膜厚が薄い方が好ましいが、0.5μmより薄い場合にはピンホールなどが発生しやすく、電気的絶縁が得られにくくなる。1.5μm以上では、誘電体組成物のピンホールなどの欠陥部分が抑制され、リーク電流を小さくすることができる。また、耐久性促進テストであるPCT(プレッシャークッカーテスト)後に誘電正接が増大しにくい。また、膜厚が10μmを越えると、十分なキャパシタ性能を得るために大きな比誘電率が必要となる上、実装密度向上が難しくなることがある。5μm以下では、静電容量の大きいキャパシタが得やすくなり、デカップリングキャパシタとして用いた場合に、デカップリングキャパシタとして十分な機能を果たすことができる。
誘電体組成物の膜厚の面内ばらつきは、平均値に対して5%以下であることが好ましい。膜厚の面内ばらつきが平均値に対して5%以下であると、キャパシタの静電容量の面内ばらつきが小さくなり、静電容量分布が均一なキャパシタが得やすくなる。
膜厚の面内ばらつきの特定方法は、触針式の段差計、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡など、用途に合わせて適宜選択することができる。また、誘電体組成物上に金属層が形成されているなど、上記方法では測定ができない場合は、断面サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)観察により膜厚を求めることができる。断面サンプルを作製すると、本発明の誘電体組成物と金属層との界面でコントラストの異なる層を検出することができ、界面を特定することができる。また、コントラスト差が小さく界面が特定できない場合は、断面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて組成分析することによって界面位置を特定することも可能である。得られた界面から各部の膜厚を求めの膜厚の面内ばらつきを求めることができる。
誘電体組成物の表面粗度Raは0.02μm以上0.1μm以下であることが好ましい。表面粗度Raが0.02μmより大きいと、誘電体組成物上に積層される層と十分な密着力を得やすくなる。表面粗度Raが0.1μmより小さいと、誘電体組成物の凹凸が静電容量分布の均一性に与える影響が小さくなり、静電容量分布が均一なキャパシタを得やすくなる。
表面粗度Raは、算術平均粗さであり、抽出曲線から基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線をX軸、縦倍率の方向をY軸として抽出曲線をy=f(x)で表したときに、下記式(1)で求めることができる。表面凹凸の抽出曲線のモデル図を図1に示す。
表面粗度Raの測定、及び抽出曲線の特定方法は、触針式の段差計、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡など、用途に合わせて適宜選択することができる。
また、誘電体組成物膜上に金属層が形成されているなど、上記方法では測定ができない場合は、断面サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)観察により抽出曲線を特定することができる。断面サンプルを作製すると、本発明の誘電体組成物と金属層との界面でコントラストの異なる層を検出することができ、抽出曲線を特定することができる。また、コントラスト差が小さく、界面が特定できない場合は、断面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて組成分析することによって界面位置を特定し、抽出曲線を特定することも可能である。得られた抽出曲線から式(1)を用いて表面粗度Raを求めることができる。
本発明の感光性樹脂組成物及び誘電体組成物膜の用途は特に限定されないが、例えば、高誘電率層としてプリント配線基板の内蔵キャパシタ用層間絶縁材料に用いられる他、多層基板の層間絶縁膜、周波数フィルター、無線用アンテナ、電磁シールドなど、多種の電子部品、装置への適用が可能である。
本発明の誘電体組成物は、キャパシタ用層間絶縁材料として好ましく使用される。誘電体組成物を用いてキャパシタ用層間絶縁材料を形成する方法は特に限定されない。例えば、上記したように、基板上に誘電体組成物の膜を形成した後、適宜電極を形成することで得ることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は感光性を有していることから、微細パターンを有するキャパシタの形成が可能であり、トランジスターが形成された半導体素子上にキャパシタを設けることができる。そのため、寄生インダクタンスの原因となる半導体装置から基板に実装されたキャパシタまでの配線が不要になり、システムの高速化や高密度化に寄与する。
本発明の誘電体組成物を用いて作製したキャパシタ用層間絶縁材料の面積あたりの静電容量としては、5nF/cm以上の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、10nF/cm以上の範囲にあることが好ましい。5nF/cmより小さい静電容量では、デカップリングキャパシタとして用いた場合に、システム全体の電源系との分離を十分に行うことができず、デカップリングキャパシタとして十分な機能を果たすことができない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性樹脂組成物の評価は以下の方法により行った。
(1)分散液の粘度測定
分散液の粘度測定は、粘度計RE−115L(東機産業(株)製)を用いて25℃で測定した。
(2)高誘電率無機粒子の分散液中の粒度分布
分散液の粒度分布は、粒度分布測定装置マイクロトラックUPA150(日機装(株)製)を用いて測定した。粒度分布は、50%径、90%径の値を用いた。50%径とは、粉体の集合の全体積を100%として累積カーブを求めた時に、その累積カーブが50%となる点の粒子径、累積中位点(メジアン径)である。90%径とは、その累積カーブが90%となる点の粒子径である。
(3)膜厚の測定方法
東京精密(株)製サーフコム1400を用いて触針式で測定を行った。膜厚の測定はランダムに3点を測り、その3点の平均値を膜厚とした。測長は1mm、走査速度は0.3mm/sとした。
(4)膜厚の面内ばらつきの測定方法
6インチのシリコンウェハ上に誘電体組成物膜を形成し、ウェハ中心から0、20、40、60mmの位置、ウェハ中心を軸にして90°おきに4カ所測定し、計15カ所の平均を膜厚の平均値とした。1カ所の膜厚とは、測定点を中心として左右に5mmずらした計3点を測定した平均値である。面内のばらつきは以下の式に従って算出した。
面内ばらつき(%)=(膜厚の最大値−膜厚の最小値)÷膜厚の平均値×100 。
(5)表面粗度Ra
東京精密(株)製サーフコム1400を用いてJIS B0601−1982に準じて触針式で測定を行った。
(6)リーク電流
シリコンウェハ上にチタン、銅の順にスパッタし、被着体を作製した。チタンの膜厚は100nm、銅の膜厚を500nmとした。上記、被着体上に感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布し、適宜加熱、露光、ベーク、現像、キュアし、上記被着体上に誘電体組成物の膜を形成した。誘電体組成物の膜厚は0.4μm〜12μmの範囲とした。この誘電体組成物の膜上に蒸着法によりアルミニウム電極を形成した。アルミニウム電極は、厚さ300nmの面積5mmの円形パターンの電極である。銅電極とアルミニウム電極に挟まれた部分が測定対象となる。銅電極とアルミニウム電極の間に1V〜100Vの電圧を印加し、電圧印加20秒後の電流を測定した。この測定にはケースレーインスツルメンツ(株)製、エレクトロメータ/高抵抗システム6517A型を用いた。
実施例1
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)30.03g(0.082モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール2.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、200℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られたポリマー粉体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。次に、このポリマー粉体10gに光重合開始剤のOXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)1.4g、重合禁止剤の0.5%フェノチアジン溶液0.6g、熱架橋性化合物のHMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)、濃度20%)8.6g、PDBE−250(商品名、(株)日本油脂製。重合性不飽和二重結合を有する化合物)5.1g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(重合性不飽和二重結合を有する化合物)0.6gをジアセトンアルコール5.1g、乳酸エチル3.7gに溶解した溶液を攪拌脱泡し、さらに保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液A−1を得た。分散液の粘度を粘度計RE−115L(東機産業(株)製)を用いて25℃で測定した。結果は表1に示した。
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)72重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)1428重量部の順に混合し、分散液B−1Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−1Aをベッセル内に送液、循環させた。ジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)の粒子径に関する検査報告書にあるメーカー値は平均粒子径0.537mmである。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−1Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)の粒子径に関する検査報告書にあるメーカー値は平均粒子径0.058mmである。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−1Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−1Cを得た。さらに分散液B−1Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−1Dを得た。
100重量部の分散液B−1Dと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−1を作製した。感光性樹脂組成物C−1のフィラー充填率(C−1のうちの固形分全量に占める無機粒子の量)は83.8重量%であった。
スパッタリング法により、厚さ10nmのCr膜、厚さ100nmのCu膜を、この順に積層形成した4インチシリコンウェハ上に感光性樹脂組成物C−1をスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で3分間プリベークした。次に露光装置(ユニオン光学(株)製PEM−6M)に500/500、250/250、100/100、50/50、40/40、30/30、25/25、20/20、15/15μmのラインアンドスペース(L/S)マスクをセットし、サンプルとマスクの間を密着条件下で、露光量500mJ/cm(365nmの強度)で露光を行った。露光後、ホットプレートを用いて120℃で1分間ベークした。現像は、滝沢産業(株)製AD−2000のスプレー型現像装置を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.15MPaで現像液を10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。現像後の膜を光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下、200℃で60分間熱処理し、パターン形成された誘電体組成物膜を得た。膜厚測定を行ったところ、誘電体組成物膜の膜厚は、2μmであった。現像前後の測定結果から求めた現像による膜厚減少は0.3μmであった。誘電体組成物膜のラインアンドスペース(L/S)パターンを光学顕微鏡を用いて確認したところ、L/Sが15/15μmまで残渣を生じずにパターン形成されていることを確認した。
次に、別途面積6cm×6cm、厚さ0.3mmのアルミニウム基板の全面に感光性樹脂組成物C−1をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で3分間プリベークし、露光量500mJ/cm(365nmの強度)で露光を行い、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下、200℃で60分間熱処理し、アルミニウム基板上に誘電体組成物からなる膜を得た。続いてこの膜上に蒸着法によりアルミニウム電極を形成した。アルミニウム電極は、直径10mmの円形パターンの測定用電極と内径11.5mmのリング状パターンのガード電極である。誘電体組成物膜の膜厚は5μm〜10μmの範囲とした。測定用電極とアルミニウム基板に挟まれた部分が測定対象領域となる。測定対象領域の周波数1MHzにおける静電容量をインピーダンスアナライザ4294Aおよびサンプルホルダー16451B(共にアジレントテクノロージー(株)製)を用いて測定した。比誘電率は静電容量と測定対象領域の寸法から算出した。この膜の測定周波数1MHzにおける比誘電率は32、誘電正接は0.03であった。
さらに、6インチシリコンウェハ基板上に感光性樹脂組成物C−1をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で3分間プリベークし、露光量500mJ/cm(365nmの強度)で露光を行い、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下で200℃で60分間硬化させ、6インチシリコンウェハ基板上に誘電体組成物膜を得た。膜厚の面内ばらつきは±0.1μm以内であった。表面粗度Raは、0.02μmであった。
また、スパッタリング法により、厚さ100nmのTi膜、厚さ500nmのCu膜を、この順に積層形成した6インチシリコンウェハ上に感光性樹脂組成物C−1をスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で3分プリベークした。次に露光装置(ユニオン光学(株)製PEM−6M)にマスクをセットし、サンプルとマスクの間を密着条件下で、露光量500mJ/cm(365nmの強度)で露光を行った。露光後、120℃で1分間ベークした。現像は、滝沢産業(株)製AD−2000のスプレー型現像装置を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.15MPaで現像液を10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。現像後の膜を光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下、200℃で60分間熱処理し、30mm□のランドパターン形成された誘電体組成物膜を得た。誘電体組成物膜上に蒸着法により面積5mmの円形パターンの電極を形成した。銅電極とアルミニウム電極の間に1V〜100Vの電圧を印加し、電圧印加20秒後の電流値を測定した結果を表2に示した。
また、上記、アルミニウム/誘電体組成物/Cu/Ti/シリコンウェハで構成されるリーク電流測定サンプルを超薄切片法を用いて膜厚方向に切り出し、膜断面サンプルD−1を作製した。超薄切片法によって切り出した膜断面サンプルの厚みは0.06μmである。この膜断面サンプルについて透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、画像解析から高誘電率無機粒子の含有比率を計算した。得られたTEM画像を図2に示す。倍率は100000倍である。この膜断面の1800nm□の面積に含まれる高誘電率無機粒子の含有率を画像解析から計算した。画像解析の方法は、得られたTEM画像を、画像解析ソフト(Matrox Inspector)を用いて2値化し、面積内に占める高誘電率無機粒子の量を計算した。2値化は、得られたTEM画像のコントラストを256階調にわけ、180の値をしきい値とした。2値化したTEM画像を図3に示す。2値化後の黒色部分を高誘電率無機粒子として計算した高誘電率無機粒子の含有比率は82.6%であった。
実施例2
ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.03mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−1Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで4時間分散し、分散液B−1Eを得た。さらに分散液B−1Eを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−1Fを得た。なお、上述のジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、TZ−B30、寸法φ0.03mm)の平均粒子径については、メーカー粒度分布測定値から求めたところ、0.028mmである。
100重量部の分散液B−1Fと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−2を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例3
ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.1mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−1Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−1Gを得た。さらに分散液B−1Gを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−1Hを得た。ジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.1mm)の粒子径に関する検査報告書にあるメーカー値は平均粒子径0.113mmである。
100重量部の分散液B−1Hと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−3を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例4
乳酸エチル250重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)36重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)714重量部の順に混合し、ホモジナイザーを用いて氷冷下で1時間混合し、分散液B−2Aを得た。ホモジナイザーのカップ内にはジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を714重量部充填し、混合分散した。次にウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−2Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−2Bを得た。さらに分散液B−2Bを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−2Cを得た。
100重量部の分散液B−2Cと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−4を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例5
ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−1Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−3Bを得た。さらに分散液B−3Bを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−3Cを得た。
100重量部の分散液B−3Cと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−5を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例6
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)44重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)1456重量部の順に混合し、分散液B−4Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−4Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−4Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−4Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−4Cを得た。さらに分散液B−4Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−4Dを得た。
100重量部の分散液B−4Dと22.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−6を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例7
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)44重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−02:平均一次粒子径0.2μm)1456重量部の順に混合し、分散液B−5Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−5Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−5Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−5Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−5Cを得た。さらに分散液B−5Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−5Dを得た。
100重量部の分散液B−5Dと22.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−7を作製した。
現像は、滝沢産業(株)製AD−2000のスプレー型現像装置を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.15MPaで現像液を10秒間噴霧、15秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧、15秒間浸漬現像を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。現像工程以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例8
乳酸エチル800重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)6重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−02:平均一次粒子径0.2μm)1194重量部の順に混合し、分散液B−6Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−6Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−6Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−6Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−6Cを得た。さらに分散液B−6Cを保留粒子径6μmのフィルターを用いて加圧濾過したが、すぐに目詰まりして濾過ができないため、10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−6Dを得た。
100重量部の分散液B−6Dと21.6重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−8を作製した。
現像は、滝沢産業(株)製AD−2000のスプレー型現像装置を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.15MPaで現像液を10秒間噴霧、15秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧、15秒間浸漬現像を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。現像工程以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例9
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)112重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、Cabot Corp.製、K−Plus16、平均一次粒子径0.06μm)1388重量部の順に混合し、分散液B−7Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−7Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−7Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−7Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで3時間分散し、分散液B−7Cを得た。さらに分散液B−7Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−7Dを得た。
100重量部の分散液B−7Dと22.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−9を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例10
乳酸エチル450重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)50重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)1500重量部の順に混合し、分散液B−8Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−8Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−8Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−8Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−8Cを得た。さらに分散液B−8Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−8Dを得た。
100重量部の分散液B−8Dと10.3重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−10を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例11
100重量部の分散液B−1Dと50.4重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−11を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例12
100重量部の分散液B−1Dと35.4重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−12を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例13
100重量部の分散液B−1Dと15重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−13を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例14
100重量部の分散液B−1Dと4.9重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−14を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
実施例15〜17
感光性樹脂組成物C−1を用いて、膜厚0.4μm、5μm、12μmの誘電体組成物からなる膜を作製した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示した。
比較例1
100重量部の分散液B−2Aと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−15を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表4に示した。また、実施例1と同様に膜断面サンプルD−2について透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、画像解析から高誘電率無機粒子の含有率を求めた。得られたTEM画像を図4、2値化したTEM画像を図5に示す。2値化後の黒色部分を高誘電率無機粒子として計算した高誘電率無機粒子の含有率は72.9%であった。
比較例2
乳酸エチル250重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)36重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)714重量部をポリエチレン製の容積500mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れずに回転数200rpmで4時間回転混合して、分散液B−9を得た。
100重量部の分散液B−9と19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−16を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表4に示した。
比較例3
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)14重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−05:平均一次粒子径0.5μm)1486重量部の順に混合し、分散液B−10Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−10Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−10Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−10Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−10Cを得た。さらに分散液B−10Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−10Dを得た。
100重量部の分散液B−10Dと10.3重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−17を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表4に示した。
比較例4
乳酸エチル1400重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)78重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、戸田工業(株)製、T−BTO−030R:平均一次粒子径0.03μm)522重量部の順に混合し、分散液B−11を得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−11Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速8m/sで1時間分散後、分散液B−11Bを得た。ベッセル内のビーズを回収し、新たにジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填した。ビーズ交換後、ローターを回転させながら、分散液B−11Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで2時間分散し、分散液B−11Cを得た。さらに分散液B−11Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−11Dを得た。
100重量部の分散液B−11Dと10.3重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−18を作製した。実施例1と同様にして評価を行ったが、現像時にパターンが剥離してしまい、現像工程を必要とする評価はできなかった。それ以外の結果は表4に示した。
比較例5
乳酸エチル500重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)72重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)1428重量部の順に混合し、分散液B−12Aを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.015mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−12Aをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速12m/sで12時間分散し、分散液B−12Bを得た。さらに分散液B−12Bを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−12Cを得た。
100重量部の分散液B−12Cと19.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−19を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表4に示した。
実施例18
トランジスターが形成された6インチシリコンウェハ上に、感光性ポリイミド(商品名フォトニースPW1200、東レ(株)製)を用いて、フォトリソグラフィーによる孔加工によりシリコンウェハ上に電極パッドの直上に50μm径のビアホールを有する厚さ2μmの絶縁層を形成した。次にセミアディティブ法で厚さ5μm、500μm角のキャパシタ下部電極を作製した。なお、キャパシタ下部電極を形成する際のシード層はスパッタリング法でNi−Cr層形成して用いた。電極層は、シード層上に電解めっきにより形成した銅層を用いた。
キャパシタ下部電極上に、感光性樹脂組成物C−1を塗布し、誘電体組成物からなる誘電体組成物膜を形成した。膜の作製条件は実施例1と同様にした。続いて、アルミニウムを蒸着し、キャパシタの上部電極を形成した。そしてダイシング装置を用いて、チップ単位に切断し、キャパシタが内蔵された半導体装置を得た。
実施例19
乳酸エチル800重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)57.1重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−01:平均一次粒子径0.1μm)1142.9重量部の順に混合し、分散液B−13Aを得た。分散液B−13Aをボールミル架台上でボールを入れず、200prmで回転させて行う回転混合を行い、さらに、超音波洗浄機で3分間超音波をかけて分散液B−13Bを得た。ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−13Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速2m/sで1時間分散後、分散液B−13Cを得た。さらに分散液B−13Cを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−13Dを得た。
100重量部の分散液B−13Dと15.3重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−20を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表6に示した。
実施例20
ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製)のベッセル内にジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.05mm)を0.4kg充填し、ローターを回転させながら、分散液B−13Bをベッセル内に送液、循環させた。ローターの周速2m/sで2時間分散し、分散液B−13Eを得た。さらに分散液B−13Eを保留粒子径10μmと6μmのフィルターを用いて加圧濾過し、分散液B−13Fを得た。
100重量部の分散液B−13Fと15.3重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−21を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表6に示した。
実施例21
ローターの周速を5.7m/sで行った以外は、実施例19と同様にして分散液B−13G、感光性樹脂組成物C−22を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表4に示した。
実施例22
ローターの周速を5.7m/sで行った以外は、実施例20と同様にして分散液B−13H、感光性樹脂組成物C−23を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示した。
実施例23
ローターの周速を9.5m/sで行った以外は、実施例19と同様にして分散液B−13I、感光性樹脂組成物C−24を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示した。
実施例24
ローターの周速を9.5m/sで行った以外は、実施例20と同様にして分散液B−13J、感光性樹脂組成物C−25を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示した。
実施例25
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)30.03g(0.082モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール2.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、200℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られた樹脂粉体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。イミド化率は100%であった。次に、この樹脂粉体10gに光重合開始剤の1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)1.4g、重合禁止剤の0.5%フェノチアジン溶液0.6g、熱架橋性化合物の“NIKALAC”(登録商標)MW−100LM(商品名、(株)三和ケミカル製)1.7g、重合性不飽和二重結合を有する化合物PDBE−250(商品名、(株)日本油脂製)5.1g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート0.6gをジアセトンアルコール5.4g、乳酸エチル10.3gに溶解した溶液を攪拌脱泡し、さらに保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、ネガ型感光性ポリイミド組成物のワニスA−2を得た。
100重量部の分散液B−1Dと19.1重量部の樹脂溶液A−2をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−26を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示した。
比較例6
乳酸エチル250重量部、リン酸化合物(リン酸エステル骨格を有するコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)22重量部、チタン酸バリウム(BaTiO、堺化学工業(株)製、BT−02:平均一次粒子径0.2μm)728重量部の順に混合し、ホモジナイザーを用いて氷冷下で1時間混合し、分散液B−14Aを得た。ホモジナイザーのカップ内にはジルコニアボール((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.5mm)を728重量部充填し、混合分散した。100重量部の分散液B−14Aと22.1重量部の樹脂溶液A−1をポリエチレン製の容積250mlのサンプル瓶に入れて、ボールミル架台上でボールを入れず分散液と樹脂溶液のみを入れて1時間、200rpmで回転させて行う回転混合を行い、感光性樹脂組成物C−27を作製した。実施例1と同様にして評価を行った。結果は表4に示した。
抽出曲線のモデル図 膜断面サンプルD−1のTEM画像 膜断面サンプルD−1の2値化したTEM画像 膜断面サンプルD−2のTEM画像 膜断面サンプルD−2の2値化したTEM画像
符号の説明
1 抽出曲線 f(x)

Claims (7)

  1. 分散液と樹脂溶液とが混合された感光性樹脂組成物であって、分散液が(a)平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下であるペロブスカイト型結晶構造あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する比誘電率が50以上の高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(c)有機溶剤を混合し、分散メディアとして金属、セラミックス、ガラスのいずれかの種類から選択される平均粒子径0.02mm以上0.1mm以下のビーズを用いて、前記無機粒子を分散させて得られるものであり、樹脂溶液が(d)ポリイミドと(e)不飽和結合含有重合性化合物を有している感光性樹脂組成物。
  2. (d)ポリイミドが一般式(1)〜(4)で表される構造を主成分とするポリマーであることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
    (Rは4から14価の有機基、Rは2から12価の有機基、R10、R12は水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1から20までの有機基より選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、同じでも異なっていてもよい。R11は2価の有機基を示す。Xはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の芳香族基または環状脂肪族基を示す。Yは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価有機基を示す。nは3から200までの範囲を示す。m、α、βは0から10までの整数を示す。)
  3. (b)リン酸化合物の含有量が(a)高誘電率無機粒子に対して0.6重量%以上9重量%以下である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物を、脱有機溶剤、固化して得られる誘電体組成物であって、(a)高誘電率無機粒子の量が誘電体組成物の70重量%以上90重量%以下である誘電体組成物。
  5. トランジスターが形成された半導体素子上に、膜厚0.5μm以上10μm以下の請求項4記載の誘電体組成物からなる層と電極を有するキャパシタが形成されている半導体装置。
  6. ビーズミルのベッセルに、平均粒子径0.02mm以上0.1mm以下のビーズと、(a)平均粒子径が0.06μm以上0.4μm以下であるペロブスカイト型結晶構造あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する比誘電率が50以上の高誘電率無機粒子、(b)リン酸化合物、(c)有機溶剤を充填し、ビーズミルのローターを回転させ有機溶媒中に前記無機粒子を分散した分散液を作製し、次いで、(d)ポリイミドと(e)不飽和結合含有重合性化合物を有する樹脂溶液を混合する請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  7. ビーズミルのローターの回転周速が5m/s以上15m/s以下であることを特徴とする請求項6記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
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