本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性ポリイミド、(B)不飽和結合含有重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)熱架橋性化合物および(E)屈折率が1.55〜1.75のガラス粒子を含有する感光性樹脂組成物である。
本発明の感光性樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液に容易に溶解するが、露光後はアルカリ現像液に不溶になるネガ型のパターンを形成することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、既に閉環したポリイミドを含有するため、ポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物と比較して、加熱あるいは適当な触媒により、ポリイミド前駆体を閉環反応によりポリイミドに転換する必要がない。それ故、本発明の感光性樹脂組成物は、高温処理が不要であり、かつ、イミド閉環反応による硬化収縮起因のストレスが小さいので、ポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物よりも容易に厚膜を形成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は(A)アルカリ可溶性ポリイミドを含有する。ここで言うアルカリ可溶性とは、2.38%テトラメチルアンモニウム水溶液への溶解度が、0.1g/100mL以上となることである。
本発明の感光性樹脂組成物で用いられる(A)アルカリ可溶性ポリイミドは、末端を封止することが好ましい。これによりポリマーの繰り返し単位数を小さくすることができ、繰り返し単位数が大きいものと比べ、微細パターンの加工性が良好となる。
また本発明の感光性樹脂組成物で用いられる(A)アルカリ可溶性ポリイミドは、主鎖末端にフェノール性水酸基を有することが好ましい。これによりアルカリ可溶性をより向上させることができる。主鎖末端へのフェノール性水酸基の導入は、末端封止剤にフェノール性水酸基を持たせることにより行うことができる。このようなポリイミドとしては、特に限定されるものではないが、下記一般式(1)または(2)表されるポリイミドであることが好ましい。
式中、Xはフェノール性水酸基を少なくとも一つ有する1価の有機基を表し、Yはフェノール性水酸基を少なくとも一つ有する2価の有機基を表す。
また、R1は4〜14価の有機基を表し、R2は2〜12価の有機基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を表す。また、αおよびβはそれぞれ独立に0〜10の整数を表す。
nはポリマーの構造単位の繰り返し数を示している。nは3〜200の範囲であり、好ましくは5〜100である。nが3〜200の範囲であれば、感光性樹脂組成物の厚膜での使用が可能になり、かつアルカリ現像液に対する十分な溶解性を付与し、パターン加工を行うことができる。
上記一般式(1)および(2)において、R1はテトラカルボン酸二無水物由来の構造成分を表す。なかでも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、および下記に示した構造の酸二無水物などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
ここで、R5は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2およびSO2より選ばれる基を、R6およびR7は、それぞれ、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。
上記一般式(1)および(2)において、R2はジアミン由来の構造成分を表しており、2〜12価の有機基である。なかでも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンおよび下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
ここで、R8は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2およびSO2より選ばれる基を、R9〜R12はそれぞれ、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。
これらのうち、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンおよび下記に示した構造のジアミンなどが好ましい。
ここで、R8は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2およびSO2より選ばれる基を、R9〜R12はそれぞれ、水酸基およびチオール基より選ばれる基を表す。
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でR2にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
一般式(1)および(2)において、R3およびR4は、それぞれ独立にフェノール性水酸基を表している。このR3およびR4のアルカリ可溶性基の量を調整することで、ポリイミドのアルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、適度な溶解速度を有したネガ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
一般式(1)において、Xは末端封止剤である1級モノアミンに由来する。末端封止剤として用いられる1級モノアミンとしては、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノールなどが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(2)において、Yは末端封止剤であるジカルボン酸無水物に由来する。末端封止剤として用いられる酸無水物としては、4−カルボキシフタル酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、シス−アコニット酸無水物などが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
本発明に用いられる(A)成分のポリイミドは、一般式(1)または(2)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であっても良い。その際、一般式(1)または(2)で表される構造単位をポリイミド全体の30重量%以上含有していることが好ましい。さらに、好ましくは60重量%以上である。30重量%以上であれば、熱硬化時の収縮を抑えることができ、厚膜作製に好適である。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリイミドの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
(A)成分のポリイミドは、ジアミンの一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、公知の方法を利用して合成することができる。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。その後、得られたポリイミド前駆体を、公知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法を利用してポリイミドを合成することができる。
また、(A)成分のポリイミドのイミド化率は、例えば、以下の方法で容易に求めることができる。ここで、イミド化率とは、前記のようにポリイミド前駆体を経てポリイミドを合成するにあたって、ポリイミド前駆体のうち、何モル%がポリイミドに転換しているかを意味する。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーについて、350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前と熱処理後の1377cm−1付近のピーク強度を比較する。熱処理後のポリマーのイミド化率を100%として、熱処理前のポリマーのイミド化率を求める。ポリマーのイミド化率は90%以上であることが好ましい。
(A)成分のポリイミドに導入された末端封止剤は、以下の方法で検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリイミドを、酸性溶液に溶解して、ポリイミドの構成単位であるアミン成分とカルボン酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定する。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリイミドを直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13CNMRスペクトルを用いて測定しても、検出可能である。
本発明の感光性樹脂組成物で用いられる(A)アルカリ可溶性ポリイミドの含有量は、感光性樹脂組成物固形分中全重量中、10〜60重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、良好な、現像性、パターン加工性を得る。
感光性樹脂組成物固形分とは、感光性樹脂組成物中の揮発成分を除いた不揮発成分のことである。感光性樹脂組成物固形分全重量中の各成分の重量割合は、以下の方法で求めることができる。
まずガスクロマトグラフ測定で、感光性樹脂組成物における揮発成分と不揮発成分の重量割合を求める。
また感光性樹脂組成物を溶媒で溶かし、溶媒可溶成分(溶液)と溶媒不溶成分に分離する。次に溶媒可溶成分の溶けた溶液については溶媒を揮発させてから重量を測定し、溶媒不溶成分については、溶媒不溶成分に付着した溶媒を揮発させてから重量を測定する。これにより不揮発成分(固形分)について、溶媒可溶成分(溶液)中のものと溶媒不溶成分のものとの重量割合を求める。
ここで溶媒可溶成分が溶けた溶液中の不揮発成分については、液体クロマトグラフィー法で各成分を分離して、各成分の重量割合を求めることができる。これにより感光性樹脂組成物固形分全重量中の各成分の重量割合を求めることができる。
なお液体クロマトグラフィー法で各成分を分離した後の各成分の同定は、赤外分光測定法、核磁気共鳴分析法、質量分析法、ガスクロマトグラフ/質量分析法などで行うことができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)不飽和結合含有重合性化合物を含有する。重合性化合物としては例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の不飽和二重結合官能基および/またはプロパギル基等の不飽和三重結合官能基が挙げられ、これらの中でも共役型のビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基が重合性の面で好ましい。また、重合反応による架橋点が多いとパターンにクラックが生じる点から、その官能基が含有される数としては、1〜6であることが好ましく、それぞれは同一の基でなくとも構わない。
(B)不飽和結合含有重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−ジアクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールA ジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールA ジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
これらのうち、特に好ましくは、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールA ジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールA ジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における(B)不飽和結合含有重合性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物固形分中全重量中、5〜40重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、良好なパターン加工性と、良好な耐熱性を得る。
本発明の感光性樹脂組成物は(C)光重合開始剤を含有する。(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4,−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3,4,4,−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドンなどのベンジリデン類、7−ジエチルアミノ−3−ノニルクマリン、4,6−ジメチル−3−エチルアミノクマリン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルメチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリンなどのクマリン類、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプト類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシンなどのグリシン類、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ビス(α−イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)などのオキシム類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンなどのα−アミノアルキルフェノン類、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。
これらの中で、上記のベンゾフェノン類、グリシン類、メルカプト類、オキシム類、α−アミノアルキルフェノン類および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールから選択される化合物の組み合わせが光反応の点から好適である。これらの光重合開始剤は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用される。オキシム類がより好ましく、特に好ましくは、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ビス(α−イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、OXE01、OXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)、N−1919およびNCI−831(商品名、(株)ADEKA製)から選ばれた化合物である。
本発明の感光性樹脂組成物における(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物固形分中全重量中、1〜10重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、良好なパターン加工性を得る。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(D)熱架橋性化合物を含有する。(D)熱架橋性化合物を含有することで、熱処理時に熱架橋反応が起きるため、硬化膜の耐熱性が向上する。(D)熱架橋性化合物の例としては、下記に示した構造で表される熱架橋性基を有する化合物、およびベンゾオキサジン化合物があげられる。
式中、R13は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基またはR14CO基を表す。また、R14は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
熱架橋性基を有する化合物としては、熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましい。特に好ましくは、熱架橋性基を2つ有するものとして、46DMOC、46DMOEP(商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、DMOM−PTBP(商品名、本州化学工業(株)製)、“ニカラック”(登録商標)MX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(商品名、本州化学工業(株)製)など、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)など、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。
下記に本発明で使用するのに特に好ましい代表的な熱架橋性化合物の構造を示した。
本発明の感光性樹脂組成物における(D)熱架橋性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物固形分中全重量中、2〜30重量%の範囲で含むことが好ましい。この範囲であることで、残膜なく良好なパターン加工性を得る。
本発明の感光性樹脂組成物は(E)屈折率が1.55から1.75の範囲のガラス粒子を含有する。
本発明においてガラス粒子を含むのは、ガラス粒子は酸化物の組成の調整により屈折率の調整が行いやすく、感光性有機成分との屈折率整合が容易となるためである。
本発明における(E)ガラス粒子とは、酸化物で、2θ−θの粉末のX線回折測定において、鋭いピーク(半値幅2°以下)を持たない粒子を言う
本発明における(E)ガラス粒子の屈折率測定は、ベッケ法により行うことができる。屈折率は露光波長で測定することが効果を確認する上で正確であり、本発明における(E)ガラス粒子の屈折率測定は、波長436nmで行う。ところで、一般に絶縁体として用いられるガラスは、1.5〜1.9程度の屈折率を有している。有機成分の屈折率が無機成分の屈折率と大きく異なる場合は、無機成分と感光性有機成分の界面での反射・散乱が大きくなり、精細なパターンが得られない。ポリイミドの屈折率は1.55〜1.75であるため、無機成分(ガラス)の屈折率を1.55〜1.75にすることにより、無機成分と有機成分の屈折率を整合させることができる。好ましくは、屈折率1.60〜1.70である。
本発明の(E)ガラス粒子の組成は特に限定されるものではないが、屈折率、化学耐久性、絶縁性の観点から硼酸、珪酸または硼珪酸を骨格とするガラスが好ましい。化学耐久性の観点からSiO2を1〜80重量%の範囲で配合することが好ましい。副骨格として、Al2O3、Bi2O3、ZnO、TiO2、ZrO2などを含むこともできる。化学耐久性、ガラス硬度、ガラスの屈折率調整の関係から、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaOなども含むことができる。
本発明の感光性樹脂組成物で用いられる(E)屈折率が1.55〜1.75のガラス粒子の体積基準分布の中心粒子径は、0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.2〜2.0μmであることがより好ましい。0.1〜3.0μmの範囲とすることで、効率よく粉末を得られ、また膜の平滑性をより良くすることができる。
ガラス粒子の粒子径は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラック粒度分析計 MODEL MT3000)を用いて測定した値であり、測定は試料1g程度をとり、精製水中で1〜3分間40Wの出力の超音波で分散させて行う。体積基準分布の中心径は50%体積粒径である。
本発明の感光性樹脂組成物で用いられる(E)のガラス粒子を感光性樹脂組成物固形分中全重量中、30〜80重量%含むことが好ましく、40〜70重量%含むことがより好ましい。この範囲であることにより、金属である銅とより同等の熱膨張係数を示す膜を形成することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は着色剤をさらに含有することもできる。着色剤を含有することで、有機電界発光素子の絶縁層に用いた場合は、発光エリアからの迷光を防止する作用があり、回路基板用のソルダーレジストに用いた場合は、基板上の回路配線を隠す目隠しの作用がある。本発明に用いられる着色剤としては、染料、熱発色性染料、無機顔料、有機顔料などがあげられる。また、着色剤としては、前記(A)成分を溶解する有機溶剤に可溶で、かつ、(A)成分と相溶するものが好ましい。
さらに、必要に応じて、感光性樹脂組成物と基板との密着性を向上させる目的で界面活性剤を含有しても良い。
また、シリコンウェハーなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤、チタンキレート剤などを感光性樹脂組成物に添加することもできる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、増感剤、溶解調整剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
次に本発明の感光性樹脂フィルムについて説明する。本発明の感光性樹脂フィルムは、本発明の感光性樹脂組成物からなる。
本発明の感光性樹脂フィルムは、例えば感光性樹脂組成物溶液(ワニス)を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。
感光性樹脂組成物溶液は、感光性樹脂組成物に有機溶剤を添加することで得られる。ここで使用される有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解するものであればよい。
有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、感光性樹脂組成物ワニスを濾紙やフィルターを用いて濾過しても良い。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径10μm〜50μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成フィルムは支持体上に形成される。その際用いられる支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体と感光性樹脂フィルムとの接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂フィルムは、感光性樹脂フィルムを保護するために、膜上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から感光性樹脂フィルム表面を保護することができる。
保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等が挙げられる。保護フィルムは、感光性樹脂フィルムと保護フィルムが容易に剥離しない程度となるものが好ましい。
感光性樹脂組成物を支持体に塗布する方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、3.0μm以上100μm以下であることが好ましい。
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂フィルムが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、50℃、60℃、70℃で各1分ずつ熱処理してもよい。
また本発明の感光性樹脂フィルムは、フィルム厚さ25μm、波長436nmでの透過率が10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましい。透過率が10%以上であることにより膜の奥にまで光がより十分届き、パターン切れがより少なくなる。
膜厚が異なる場合の透過率換算について、Lambert−beerの法則を用いて行える。入射光をI0、透過光をI、透過率をT、媒質のモル吸光係数をε、濃度をc、膜厚をlとして次式となる。
Abs=log10(I0/I)=log10(100/T)=εcl
T=100/10εcl
ある膜厚の透過率Tを測定して、定数εcを求め、膜厚25μmを代入することで、膜厚25μmでの透過率が換算できる。
次に本発明の絶縁膜について説明する。本発明の絶縁膜は、感光性樹脂組成物または本発明の感光性樹脂フィルムを加熱硬化して形成される。また体積抵抗率1015Ωcm以上、表面抵抗率1015Ω/□以上、絶縁破壊電圧250kV/mm以上示す絶縁膜であることが好ましい。
次に、本発明の感光性樹脂フィルムをパターン加工し、絶縁膜を形成する方法について、例を挙げて説明する。
まず、本発明の感光性樹脂フィルムを用いて、基板上に感光性樹脂組成物被膜を形成する方法について説明する。感光性樹脂フィルムは、保護フィルムを有する場合にはこれを剥離し、感光性樹脂フィルムと基板が対向するように、熱圧着により貼り合わせる。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。熱圧着温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、熱圧着時に感光性フィルムが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、熱圧着温度は150℃以下が好ましい。
基板としては、例えば、シリコンウェハー、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
次に、上記方法によって形成された感光性樹脂フィルム上に、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。感光性樹脂フィルムが積層された支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、感光性樹脂フィルムから支持体を剥離せずに露光を行ってもよい。
パターンを形成するには、露光後、現像液を用いて未露光部を除去する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを含有してもよい。
現像は上記の現像液を被膜面にスプレーする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかける、基板を回転させながら現像液をスプレーするなどの方法によって行うことができる。現像時間や現像ステップ現像液の温度といった、現像時の条件は、未露光部が除去される条件であればよく、微細なパターンを加工するためや、パターン間の残渣を除去するために、未露光部が除去されてからもさらに現像を行うことが好ましい。
現像後は水にてリンス処理をしてもよい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
現像時のパターンの解像度が向上するなど、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理をする工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜120℃の範囲がより好ましい。時間は5秒〜数時間が好ましい。
現像後、120℃から400℃の温度を加えて硬化する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より250℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。この際、加熱温度は150℃以上、300℃以下の温度が好ましく、180℃以上、250℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱処理によって得られる硬化膜(絶縁膜)は耐熱性に優れていることが重要である。ここで言う耐熱性とは、熱重量測定装置により熱重量減少を測定し、測定開始時重量に対し、重量減少が5%となった時の温度のことであり、硬化膜(絶縁膜)の耐熱性が300℃以上であることが好ましく、330℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましい。
次に、本発明の感光性樹脂フィルムをパターン加工し、他部材に熱圧着する方法について、例を挙げて説明する。
まず、上記と同様の方法でパターン加工まで実施する。パターン形成後、感光性樹脂組成物被膜中に残存する溶媒、揮発分、水を低減する観点から、60〜200℃の範囲で加熱乾燥することが好ましい。時間は1分〜数時間が好ましい。
このようにして得られたパターン加工された感光性樹脂組成物被膜が形成された基板を基板や他部材に熱圧着する。熱圧着温度は樹脂のガラス転移温度以上であればよく、100〜400℃の温度範囲が好ましい。また圧着時の圧力は0.01〜10MPaの範囲が好ましい。時間は1秒〜数分が好ましい。
熱圧着後、120℃から400℃の温度を加えて硬化し絶縁膜を得る。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より250℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。この際、加熱温度は150℃以上、300℃以下の温度が好ましく、180℃以上、250℃以下であることがさらに好ましい。
このように熱圧着して得られた接着体はその接着強度は、接着信頼性の観点から40MPa以上であることが望ましい。より望ましいのは50MPa以上である。
本発明の硬化膜(絶縁膜)の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができるが、特に膜状であることが好ましい。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。もちろん、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、または、放熱機能付与など、用途にあわせたパターン形成を行うこともできる。
硬化膜(絶縁膜)の膜厚は、任意に設定することができるが、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
次に本発明の多層配線基板について説明する。本発明の多層配線基板は本発明の絶縁膜を有することを特徴とする。本発明の感光性樹脂フィルムを用いて、例えば以下の製造方法により得ることができる。
まず上記の方法で、本発明の感光性樹脂フィルムを基板上でパターン加工して絶縁膜を形成し、本発明の絶縁膜を有する基板を得る。この本発明の絶縁膜を有する基板の基板上すなわち基板の絶縁膜形成側であって絶縁膜を有していない部分、または絶縁膜上すなわち基板の絶縁膜形成側であって絶縁膜を有する部分に、配線を形成する。形成方法としては、パネルメッキ法、サブトラクティブ法、アディティブ法等の公知の方法が挙げられる。ダマシン法を用いても良い。
次に、配線形成面にさらに本発明の絶縁膜を用いた絶縁層を形成し、ダマシン法またはデュアルダマシン法を利用して、ビア穴層/配線層を形成する。その後、必要な配線層の層数に対応するサイクル数を行うことにより、所望の多層配線基板を得ることができる。
本発明の感光性樹脂フィルムは、順テーパーまたは矩形状のパターンが得られるため、導体の埋まり込みが十分であり、導体間の接続が十分にとれ、多層配線基板の最外部層と最下層との導通が確認できる。
本発明の感光性樹脂フィルムおよびそれらから得られる絶縁膜の用途は特に限定されないが、例えば、実装基板やウェハレベルパッケージなどの半導体を用いるシステム用の基板やパッケージに内蔵する表面保護膜、層間絶縁膜、回路基板の配線保護絶縁膜などのレジスト、多種の電子部品、装置への適用が可能である。また、その優れた耐熱性から、特に永久レジスト、すなわち、パターン形成された層間絶縁膜として好ましく用いられる。更には、パターン形成後の基板、ガラス、半導体素子等と被着体とを熱圧着することで接着剤用途に好適に用いることができる。
以下に、一例として本発明の感光性樹脂組成物、本発明の感光性樹脂フィルム、本発明の感光性樹脂フィルムを用いて形成した絶縁膜、本発明の感光性樹脂フィルムを用いて製造された多層配線基板について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に、実施例で用いた原料を、以下に示す。
<合成したポリイミドのイミド化率>
まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認した。次に、そのポリマーについて、350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前と熱処理後の1377cm−1付近のピーク強度を比較した。熱処理後のポリマーのイミド化率を100%として、熱処理前のポリマーのイミド化率を求めた。
<ガラス粒子のX線回折測定>
ガラス粒子を専用ホルダーにセットし、Bruker製D8 advanceで、スキャンスピード毎分1°、測定範囲3°から60°まで、2θ−θ測定を行った。
<ガラス粒子の体積基準分布の中心粒子径>
ガラス粒子をMicrotrac社製MT3000で測定した。測定は試料1g程度をとり、精製水中で1〜3分間40Wの出力の超音波で分散させて行った。体積基準分布50%体積粒径を中心粒子径とした。
<ガラスの屈折率測定>
ガラス粒子から30φ錠作製機でペレットを作製し、ガラス粒子の軟化点から+0℃〜+200℃高い温度で、10分から120分間焼成焼結させ、徐冷し、なるべく気泡が入らないように、溶融ガラスペレットを作製した。作製したペレットを90°断面を研磨して出し、Vブロック法にて、株式会社島津製KPR−200にて測定した。波長436nmの値を屈折率とした。
<解像度の評価>
各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体の保護フィルムを剥離し、該剥離面を、シリコンウェハー基板上に、ラミネート装置(タカトリ株式会社製、VTM−200M)を用いて、ステージ温度80℃、ロール温度80℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.2Mpaの条件でラミネートし、PETフィルム/感光性樹脂フィルム/シリコンウェハー基板の積層体を作製した。そして、支持体フィルムであるPETフィルムを剥離した後、露光装置にL/S=50/50、40/40、30/30μmのパターンを有するマスクをセットし、マスクと感光性樹脂フィルムの露光ギャップ100μmの条件下で、超高圧水銀灯のL39フィルター透過光を、露光量400mJ/cm2(h線換算)で露光を行った。露光後、ディップ現像にて、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を用いて未露光部を除去し、水にてリンス処理をした。現像時間は、未露光部が完全に溶解した時間の2倍の時間とした。この様にして得られたパターンを、光学顕微鏡(NIKON社製ECLIPSE L300)を用いて倍率200倍にて観察し、パターンのラインにツマリ等の異常のない場合の最小のサイズを解像度の評価とした。また、パターンのラインのL/S=50/50μmが現像できていないもの、または、現像時にパターンがシリコンウェハー基板上に残らなかったものを×とした。
<パターン形状の評価>
上記方法でパターンが形成されたシリコンウェハー基板を、パターンと垂直になるようにカットし、パターン断面を露出させた。その後、光学顕微鏡(NIKON社製ECLIPSE L300)を用いて倍率1000倍にて、L/S=50/50のパターン断面の底端部を観察し、パターン形状の評価を行った。結果は、パターン断面形状が順テーパーであるもの(テーパー角<89度)を◎とし、矩形であるもの(テーパー角=89〜91度)を○とし、逆テーパーであるもの(テーパー角>91度)を×とした。また、L/S=50/50μmが現像できていないもの、または、パターンが残らなかったものについては、本評価は行わなかった。
<残膜率の評価>
上記解像度の評価で、露光、現像を行った後の露光部の残膜率を以下の式によって算出した。なお膜厚の測定は、光学顕微鏡(NIKON社製ECLIPSE L300)を用いて倍率1000倍にて断面の厚さを測定した。
残膜率(%)=(現像後の膜厚/感光性樹脂フィルムの膜厚)×100
残膜率は85%以上が好ましい。
<膜の表面粗さ評価>
上記解像度の評価で、露光、現像を行った後の露光部の残膜の表面粗さをkeyence株式会社製レーザー顕微鏡VK−8500にて測定した。表面粗さRaが0.10μm以下であることが好ましい。
<耐熱性の評価>
上記解像度の評価で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/シリコンウェハー基板の積層体のPETフィルムを剥離し、超高圧水銀灯を用いて、露光量1000mJ/cm2(i線換算)で露光処理を行った後、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製、INL−60)を用いて、N2雰囲気下、200℃で60分間熱処理し、硬化膜を得た。得られたシリコンウェハー基板上の硬化膜を47%フッ化水素酸に室温で7分間浸した後、水道水で洗浄し、硬化膜をシリコンウェハー基板から剥離した。このようにして剥離した硬化膜を、熱重量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6200)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱重量減少を測定し、測定開始時重量に対し重量減少5%の時の温度を耐熱性とした。
<絶縁抵抗性>
各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体の保護フィルムを剥離し、該剥離面を、L/S=10μm/10μmの銅櫛歯電極上に、真空ラミネートにより貼り合せた。次いで、超高圧水銀灯のL39フィルター透過光を、露光量400mJ/cm2(h線換算)で露光を行った後、イナートオーブンを用いて、N2雰囲気下、200℃で60分間熱処理し、評価用サンプルを作製した。得られた評価用サンプルの電極間に、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で、電圧20Vを印加し続け1000時間の絶縁信頼性試験を行った。抵抗値は、1000時間まで1010Ω以上で合格とする。銅櫛歯電極には、厚さ0.4μmの熱酸化膜とその上に厚さ0.8μmの窒化珪素膜が形成されたシリコンウェハー上に、厚さ0.08μmのクロム下地電極とその上に厚さ10μmの銅電極がパターン加工されたものを用いた。
<銅はがれ評価>
図1を用いて説明する。まず、シリコンウェハー100上に、スパッタリングにより密着層としてのNi層(10nm、図示せず)とその上に導体層(銅)101としての無電解銅めっき層(10μm)を形成した。
その後、各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体の保護フィルムを剥離し、該剥離面を、導体層(銅)101上に真空ラミネートにより貼り合せた。そして、露光、支持体フィルムであるPETフィルムを剥離した後、現像によりビア穴を形成し、イナートオーブンで加熱処理を行うことにより、ビア穴層102の硬化を行い、ビア穴層102を有する基板を得た(図1(a))。
次いで、各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体の保護フィルムを剥離し、該剥離面を、上記ビア穴層102上に真空ラミネートにより貼り合せを行い、露光、支持体フィルムであるPETフィルムを剥離した後、現像により配線穴層103となるパターン(スペース部)を形成し、イナートオーブンで加熱処理を行い配線穴層103の硬化を行い、ビア穴/配線穴を有する基板を得た(図1(b))。
次いで、該ビア穴/配線穴を有する基板にスッパタリングにより、密着層としてのNi層(厚さ10nm、図示せず)を形成した後、電解銅めっきを行い、ビア穴、配線穴を銅めっきで充填させた。その後、化学機械研磨(CMP)により不要な部分の銅めっきの除去、ならびに、絶縁膜表面の平坦化を行い、銅めっきで充填されたビア層/配線層を有する基板を得た(図1(c))。
その後、上記方法の銅めっきで充填されたビア層/配線層の形成を1サイクルとして、3回繰り返し、ビア層、配線層がそれぞれ4層ずつ積層した合計8層の多層配線基板を作製した。
作製した多層配線基板の最外部配線層と最下層の導体層間の抵抗値を、テスターを用いて確認した。すべての導体層間の導通が確認できれば、合格、導通してない部分があれば、不合格と評価した。
<銅剥がれ評価2>
上記のようにして、作製した多層配線基板を室温から約15分かけて125℃まで昇温し、15分間保温した後、−55℃まで約20分間かけて冷却し、15分間保温した。その後、再び約20分かけて125℃まで昇温し、15分間保温した。このサイクルを1000回行った。処理後の基板の最外部配線層と最下層の導体層間の抵抗値を、テスターを用いて確認した。すべての導体層間の導通が確認できれば、合格、導通してない部分があれば、不合格と評価した。
<線熱膨張係数の測定>
各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体の保護フィルムを剥離したものを2つ作製した。次に該剥離面同士を60℃でラミネートし、PETフィルム/感光性樹脂フィルム/PETフィルムの積層体を作製した。これを繰り返すことにより、厚さ約100μmの感光性樹脂フィルムを得た。これをSIMADZU社製TMA−60を用いて昇温速度10℃/minで測定した。50℃から100℃の傾きを線熱膨張係数とした。
<透過率の測定>
各実施例および比較例で作製したPETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体(感光性樹脂フィルム厚さ25μmの膜)を保護フィルムと支持フィルムであるPETフィルムを剥がして、日立製作所製U−3010を用いての波長436nmの透過率を測定した。透過率は10%以上が良い。
感光性樹脂組成物の原料
(a)アルカリ可溶性ポリイミド
各実施例および比較例で用いたポリイミドは以下の方法により合成した。
(a−1)
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFとする)30.95g(0.0845モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする)100gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。ここに、3−アミノフェノール2.5g(0.02モル)を加え、50℃で2時間攪拌後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られた樹脂粉体のイミド化率は94%であった。
(a−2)
乾燥窒素気流下、BAHF30.03g(0.082モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、4−アミノチオフェノール3.13g(0.025モル)をNMP100gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られた樹脂粉体のイミド化率は94%であった。
(a−3)
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル11.41g(0.057モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)および末端封止剤として、アニリン6.98g(0.075モル)をNMP80gに溶解した。ここに、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、180℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマー粉体のイミド化率は94%であった。
その他に実施例、比較例で用いた各材料は以下のとおりである。
(b)不飽和結合含有重合性化合物
(b−1)BP−6EM(商品名、共栄社化学株式会社製、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート)
(c)光重合開始剤
(c−1)NCI−831(商品名、ADEKA株式会社製)
(d)熱架橋性化合物
(d−1)HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業株式会社製)
(e)ガラス粒子
(e−1)ガラス粒子 SiO2 15重量%、B2O3 30重量%、Bi2O3 13重量%、Li2O 9重量%、BaO 4重量%、ZnO 20重量%、MgO 5重量%、CaO 4重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.5μm、屈折率1.65 )
(e−2)ガラス粒子 SiO2 45重量%、B2O3 20重量%、AL2O3 9重量%、Li2O 15重量%、BaO 5重量%、ZnO 6重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.5μm、屈折率1.58)
(e−3)ガラス粒子 SiO2 20重量%、B2O3 26重量%、Bi2O3 25重量%、BaO 13重量%、ZnO 12重量%、CaO 4重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.5μm、屈折率1.73)
(e−4)ガラス粒子 SiO2 15重量%、B2O3 30重量%、Bi2O3 13重量%、Li2O 9重量%、BaO 4重量%、ZnO 20重量%、MgO 5重量%、CaO 4重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.2μm、屈折率1.65)
(e−5)ガラス粒子 SiO2 15重量%、B2O3 30重量%、Bi2O3 13重量%、Li2O 9重量%、BaO 4重量%、ZnO 20重量%、MgO 5重量%、CaO 4重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径2.7μm、屈折率1.65)
(e−6)ガラス粒子 SiO2 15重量%、B2O3 30重量%、Bi2O3 13重量%、Li2O 9重量%、BaO 4重量%、ZnO 20重量%、MgO 5重量%、CaO 4重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径3.5μm、屈折率1.65)
(e−7)ガラス粒子 SiO2 46重量%、B2O3 21重量%、Al2O3 8重量%、Li2O 3重量%、BaO 5重量%、ZnO 6重量%、K2O 11重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.5μm、屈折率1.53)
(e−8)ガラス粒子 SiO2 15重量%、B2O3 23重量%、Bi2O3 35重量%、BaO 15重量%、ZnO 12重量%(日本山村硝子株式会社製、中心粒子径0.5μm、屈折率1.78)
e−1からe−8までX線回折測定を行ったが、すべて、鋭いピーク(半値幅2°以下)を持たなかった。
実施例1〜8、比較例1〜3
表1に示す重量比で配合した組成物をジアセトンアルコール/乳酸エチル=40/60の重量比率である溶媒に溶解した。溶媒の添加量は、溶媒以外の添加物を固形分とし、固形分濃度が45重量%となるように調整した。
得られた感光性樹脂組成物ワニスを、コンマロールコーターを用いて、厚さ38μmのPETフィルム上に塗布し、75℃で6分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ10μmのPPフィルムをラミネートし、PETフィルム/感光性樹脂フィルム/保護フィルムの積層体を得た。感光性樹脂フィルムの膜厚は25μmとなるように塗工を行った。得られた感光性樹脂フィルムを用いて、前記のように、各評価を行った。結果を表2に示す。