JP7315127B1 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物フィルム、硬化物、これらを用いた電子部品 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物フィルム、硬化物、これらを用いた電子部品 Download PDF

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Abstract

優れたパターン加工性を有し、硬化物の耐圧性(弾性率)に優れる感光性樹脂組成物を提供する。(A)ポリイミド、(B)カチオン重合性化合物、(C)光カチオン重合開始剤、及び(D)結晶性シリカを含有し、ネガ型の感光性を有する、感光性樹脂組成物である。

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物フィルム、硬化物、これらを用いた電子部品に関する。より詳しくは、表面弾性波(SAW:Surface acoustic wave)フィルターやバルク弾性波(BAW:Bulk acorstic WAVE)フィルターなどの高周波フィルターの中空構造体の屋根材として、好適に用いられる感光性樹脂組成物に関する。
感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィー技術によって微細加工が可能であることから、配線基板の絶縁膜として広く使用されている。さらに感光性樹脂組成物をフィルム状に成形した材料では、フィルム状である特徴を活かし、電子部品の中空構造体形成のための屋根材への適用が進んでいる。近年では、中空構造体の屋根を形成する感光性樹脂組成物フィルムに対し、微細な貫通孔を形成するためのパターン加工性、封止工程に耐える耐圧性が要求されている。
耐圧性向上のために無機フィラーを添加し、弾性率を高める手法が提案されており、中でも特許文献1で提案された、感光性樹脂組成物と屈折率を整合させたガラスフィラーを添加する技術は、フィラー添加による耐圧性向上に加え、露光に用いる光の散乱を抑制し、パターン加工性も両立できることが期待されている。
また、解像性向上のために化学増幅型の光カチオン重合系でパターンを形成する手法が提案されており、中でも特許文献2で提案された、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリベンゾオキサゾールからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を有する感光性樹脂組成物の技術が、パターン加工性および耐圧性を両立できることが期待されている。
特開2015-118194号公報 国際公開第2021/059843号
しかしながら、特許文献1に記載された感光性樹脂組成物では、解像性が不足しており、微細なパターンを形成することが難しく、十分なパターン加工性を有することが困難であった。また特許文献2に記載された感光性樹脂組成物では、硬化物の弾性率が低く、十分な耐圧性を有することが困難であった。
かかる状況に鑑み、筆者らは、鋭意検討した結果、ポリイミドおよび結晶性シリカを有するネガ型の光カチオン重合系の感光性樹脂組成物とすることによって、優れたパターン加工性を有し、硬化物の耐圧性(弾性率)に優れることを見出した。
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
(A)ポリイミド、(B)カチオン重合性化合物、(C)光カチオン重合開始剤、及び(D)結晶性シリカを含有し、
ネガ型の感光性を有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
本発明の感光性樹脂脂組成物は、優れたパターン加工性を有し、硬化物の耐圧性(弾性率)に優れたネガ型の感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物フィルム、硬化物、これらを用いた電子部品を提供するものである。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド、(B)カチオン重合性化合物、(C)光カチオン重合開始剤、及び(D)結晶性シリカを含有し、ネガ型の感光性を有することを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
本発明の感光性樹脂組成物はネガ型であることが好ましい。後述する中空構造体の屋根を形成する際に、屋根部分となる露光部が光により固まるために屋根が強固となり、工程中で屋根が破損することを抑制できる。またネガ型とすることにより、ポジ型と比較して光硬化前の感光性樹脂組成物を低粘度にすることができるため、屋根を形成する際のラミネート性に優れる。
(A)ポリイミド
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミドを含有することにより、フィルム状にする際の製膜性に優れ、また硬化物の弾性率に優れる。
(A)ポリイミドは、その重量平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1,000以上200,000以下であることが好ましい。重量平均分子量を1,000以上とすることで、成膜性に優れる。重量平均分子量を200,000以下とすることで、パターン加工時の現像性に優れる。なお、本発明における(A)ポリイミドの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によって測定し、ポリスチレン換算で算出する。また(A)ポリイミドは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(A)ポリイミドは、その分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造であることが好ましい。前記(A)ポリイミドの分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造であることによって、分子鎖末端が、カチオン重合の阻害官能基となり得る、アミン末端構造を保有しない分子構造とすることができ、結果として、ポリイミドを用いた際においても、十分なカチオン重合性を発現することができる点で好ましい。
ここで、(A)ポリイミドの分子鎖末端におけるカルボン酸残基に由来する構造とは、ポリイミドを構成し得る、カルボン酸残基に由来する有機基であり、テトラカルボン酸または酸無水物、酸二無水物等に由来する構造を言う。上記の中でも特に、(A)ポリイミドの分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構造であることが好ましい。分子鎖末端がテトラカルボン酸二無水物に由来する構造であると、熱硬化前の感光性樹脂組成物の保存安定性が向上する点で好ましい。一方、硬化物として、末端のカルボン酸無水物基が反応性官能基となり、熱硬化後の耐熱性や耐薬品性が向上する点で好ましい。
また、(A)ポリイミドは、主鎖に脂環構造を有することが好ましい。(A)ポリイミドが、主鎖に脂環構造を有することにより、露光波長に対する感光性樹脂組成物の光透過率が高くなり、20μm以上の厚膜での加工が容易となる。更に理由は定かではないが、カチオン重合の反応性が高くなり、硬化物の耐薬品性が向上する点で好ましい。また、脂環式の構造を有することで、ポリイミドの屈折率を比較的に低くすることが可能であり、後述する(D)結晶性シリカの屈折率に近づく。それによって、フィラーである(D)結晶性シリカを添加しても、透明性が保たれ、微細なパターン加工が可能となる。
本発明の感光性樹脂組成物は、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)ポリイミドを含むことが好ましく、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない高分子化合物を含むことも可能である。なお、本発明の感光性樹脂組成物において、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない(A)ポリイミドを含む場合には、その含有量は少ないほど好ましく、具体的には、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造となった(A)ポリイミドの合計100質量部に対して、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造とはなっていない(A)ポリイミドの含有量は0質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましく、0質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。
更に、(A)ポリイミドは、アルカリ可溶性であることが好ましい。アルカリ可溶性であると、パターン加工時の現像で、環境負荷の要因となる有機溶媒を使用することなく、アルカリ水溶液で現像をすることができるため好ましい。ここで言うアルカリ可溶性とは、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液100gに対して、25℃で0.1g以上溶解するものを指す。
アルカリ可溶性を発現するために、(A)ポリイミドは、アルカリ可溶性の官能基を有することが望ましい。アルカリ可溶性の官能基とは酸性を有する官能基であり、具体的には、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。上記、アルカリ可溶性の官能基の中でも、感光性樹脂組成物の保存安定性や、導体である銅配線への腐食等の問題から、アルカリ可溶性の官能基はフェノール性水酸基であることが好ましい。つまり(A)ポリイミドは、分子鎖内にフェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましい。また、(A)ポリイミドの分子内にフェノール性水酸基を有することで、後述する(D)結晶性シリカの分散性が向上する。
(A)ポリイミドの分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造(有機基)としては、芳香族酸二無水物、脂環式酸二無水物、脂肪族酸二無水物などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
本発明において、前記(A)ポリイミドは、一般式(1)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0007315127000001
(一般式(1)中、Xは2~10価の有機基を示し、Yは2~4価の有機基を示す。t,uはそれぞれ独立に0~4の整数である。)
一般式(1)中のYは2価~4価の有機基を示し、ジアミン由来の有機基を表している。
前記(A)ポリイミドの一般式(1)中のYは、フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有させることで、樹脂のアルカリ現像液への適度な溶解性が得られるため、露光部と未露光部の高いコントラストが得られ、所望のパターンが形成できる。
フェノール性水酸基を有するジアミンの具体的な例としては、例えば、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、2,2’-ジトリフルオロメチル-5,5’-ジヒドロキシル-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-5,5’-ジヒドロキシベンジジンなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1~10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0007315127000002
Figure 0007315127000003
一般式(1)中のYは、前記以外の芳香族を有するジアミン残基を含んでもよい。これらを共重合することで、耐熱性が向上できる。芳香族を有するジアミン残基の具体的な例としては、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1~10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
また、上記一般式(1)中、Xはカルボン酸残基を表しており、2価~10価の有機基である。
前記カルボン酸残基としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することが好ましい。つまり(A)ポリイミドは、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することが好ましい。カルボン酸残基、つまり(A)ポリイミドが、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することにより、露光波長に対する感光性樹脂組成物の光透過率が高くなり、20μm以上の厚膜での加工が容易となる。更に理由は定かではないが、(A)ポリイミドが脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有することにより、芳香族酸二無水物と比較して、カチオン重合の反応性が高くなり、硬化物の耐薬品性が向上する点で好ましい。また、脂環式の構造を有することで、ポリイミドの屈折率を比較的に低くすることが可能であり、後述する(D)結晶性シリカの屈折率に近づく。それによって、フィラーである(D)結晶性シリカを添加しても、透明性が保たれ、微細なパターン加工が可能となる。
更に、脂環式テトラカルボン酸二無水物の中でも、硬化物とした際の耐薬品性が向上し、イオンマイグレーション耐性が向上する点から、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。
また、本発明における(A)ポリイミドは下記一般式(2)または(3)の少なくとも一方で表される化合物に由来する構造を有することが好ましい。
Figure 0007315127000004
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)
(A)ポリイミドが前記一般式(2)または(3)で表される化合物に由来する構造を有することで、樹脂骨格が屈曲性を有することで、硬化前の感光性樹脂組成物として、有機溶剤への溶解性が高く、組成物中において樹脂の析出が発生し難く、保存安定性に優れる点から好ましい。
また、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基の具体的な例としては、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-4メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-7メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
また、前記カルボン酸残基としては、前記多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物を含んでもよい。具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
前記一般式(1)で表される構造のモル比は、重合する際に用いるモノマーのモル比から算出する方法や、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、得られた樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物におけるポリアミド構造やイミド前駆体構造、イミド構造のピークを検出する方法において確認できる。
分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)ポリイミドは、重合の際に用いるジアミンに対して酸無水物の含有量を多くすることで得ることができる。その際、(A)ポリイミドのカルボン酸残基の合計を100モル%とした場合、アミン残基の合計は60モル%以上98モル%以下であることが好ましい。つまり(A)ポリイミドは、カルボン酸残基の合計を100モル%とした場合に、アミン残基の合計を60~98モル%として重合させて得られる化合物であることが好ましい。アミン残基の合計が60モル%以上であると、重量平均分子量が1,000以上となり易く、フィルム状にする際の製膜性に優れ、98モル%以下であると末端がアミン残基となる高分子化合物が含有される割合が小さくなり、カチオン重合反応が進行し易くなり、硬化物の耐薬品性が向上する。
分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)ポリイミドを得る別の方法として、一般に末端封止剤として用いられる化合物の中から特定の化合物、具体的には、酸無水物を用いることによっても得る事ができる。
また、(A)ポリイミドの分子鎖末端をフェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ビニル基、エチニル基、またはアリル基を有する酸無水物の末端封止剤により封止することで、前記(A)ポリイミドのアルカリ水溶液に対する溶解速度や得られる硬化物の機械特性を好ましい範囲に容易に調整することができる。また、複数の末端封止剤を反応させ、複数の異なる末端基を導入してもよい。
末端封止剤としての酸無水物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
これらの末端封止剤を導入した(A)ポリイミドは、分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)ポリイミドとなる。そして分子鎖末端がカルボン酸残基に由来する構造である(A)ポリイミドを得るために用いることのできる末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された(A)ポリイミドを、酸性溶液に溶解し、構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRにより、本発明に使用された末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂成分を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C-NMRスペクトルで測定することによっても、容易に検出できる。
本発明において、(A)ポリイミドは、たとえば、次の方法により合成されるが、これに限定はされない。ポリイミド構造は、ジアミンの一部を末端封止剤である1級モノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、公知の方法で合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。その後、公知のイミド化反応法を利用してポリイミドを合成することができる。
本発明において、(A)ポリイミドは、上記の方法で重合させた後、多量の水またはメタノールおよび水の混合液などに投入し、沈殿させて濾別乾燥し、単離することが好ましい。乾燥温度は40~100℃が好ましく、より好ましくは50~80℃である。この操作によって未反応のモノマーや、2量体や3量体などのオリゴマー成分が除去され、熱硬化後の膜特性を向上させることができる。
本発明で用いる(A)ポリイミドのイミド化率は、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。(A)ポリイミドのイミド化率を50%以上とすることで、熱硬化時の閉環率の変化を抑制し、低応力化の効果が得られる。本発明における、イミド化率は、例えば以下の方法で容易に求めることができる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm-1付近、1377cm-1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理したもののイミド化率を100%のサンプルとして赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前後の樹脂の1377cm-1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前樹脂中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求める。
また本発明の感光性樹脂組成物の樹脂成分(後述する(D)結晶性シリカ及びその他の無機成分を除いた有機成分)100質量%中、(A)ポリイミドは20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。(A)ポリイミドの量が多いほど、フィルムの成膜性、硬化物の弾性率に優れる。一方、感光性樹脂組成物の樹脂成分100質量%中、(A)ポリイミドは95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、60質量%以下であることが最も好ましい。(A)ポリイミドの量が少ないほど、カチオン重合反応が進行し易くなり、パターン加工時の感度、硬化物の耐薬品性が向上する。
(B)カチオン重合性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)カチオン重合性化合物を含有する。(B)カチオン重合性化合物は、環状エーテル化合物(エポキシ化合物及びオキセタン化合物等)、エチレン性不飽和化合物(ビニルエーテル及びスチレン類等)、ビシクロオルトエステル、スピロオルトカーボネート及びスピロオルトエステル等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、公知のもの等が使用でき、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が含まれる。
芳香族エポキシ化合物としては、少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のフェノール(フェノール、ビスフェノールA、フェノールノボラック及びこれらのアルキレンオキシド付加体した化合物)のグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個のシクロヘキセンやシクロペンテン環を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる化合物(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、等)が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコール又はこのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテル(1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等)、脂肪族多塩基酸のポリグリシジルエステル(ジグリシジルテトラヒドロフタレート等)、長鎖不飽和化合物のエポキシ化物(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等)が挙げられる。
オキセタン化合物としては、公知のもの等が使用でき、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシプロピル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、公知のカチオン重合性単量体等が使用でき、脂肪族モノビニルエーテル、芳香族モノビニルエーテル、多官能ビニルエーテル、スチレン及びカチオン重合性窒素含有モノマーが含まれる。
脂肪族モノビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル及びシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
芳香族モノビニルエーテルとしては、2-フェノキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル及びp-メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
多官能ビニルエーテルとしては、ブタンジオール-1,4-ジビニルエーテル及びトリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン及びptert-ブトキシスチレン等が挙げられる。
カチオン重合性窒素含有モノマーとしては、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルピロリドン等が挙げられる。
ビシクロオルトエステルとしては、1-フェニル-4-エチル-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び1-エチル-4-ヒドロキシメチル-2,6,7-トリオキサビシクロ-[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
スピロオルトカーボネートとしては、1,5,7,11-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン及び3,9-ジベンジル-1,5,7,11-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
スピロオルトエステルとしては、1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン、2-メチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン及び1,4,6-トリオキサスピロ[4.5]デカン等が挙げられる。
(B)カチオン重合性化合物は、単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
これらのカチオン重合性化合物のうち、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテルが好ましく、さらに好ましくはエポキシ化合物及びオキセタン化合物、特に好ましくはエポキシ化合物である。
カチオン重合性化合物は、常温(20度)で液状であることが好ましい。常温で液状であることにより、(A)ポリイミドとの相溶性が向上し、微細なパターン加工性が得られる点で好ましい。さらに、官能基当量が80g/eq.以上であることが好ましい。官能基当量が大きいほど、硬化物を柔軟にすることが可能である。一方で、官能基当量が、160g/eq.以下であることが好ましく、130g/eq.以下であることがより好ましく、100g/eq.以下であることがさらに好ましい。官能基当量が小さいほど、硬化物の弾性率を向上することが可能である。
常温で液状である多官能エポキシ化合物であって、エポキシ当量が80g/eq.以上、160g/eq.以下であるエポキシ化合物としては、例えばTEPIC-VL、(商品名、日産化学(株)製)、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ショウフリーBATG、ショウフリーPETG(商品名、いずれも昭和電工(株)製)等があげられる。
また、本発明における(B)カチオン重合性化合物は、脂肪族化合物であることが好ましい。(B)カチオン重合性化合物として脂肪族化合物を有することで、樹脂成分が後述する(D)結晶性シリカの屈折率に近づく。それによって、フィラーである(D)結晶性シリカを添加しても、透明性が保たれ、微細なパターン加工が可能となる。
(A)ポリイミドと(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、(B)カチオン重合性化合物の含有量を30~70質量%であることが好ましい。(B)カチオン重合性化合物の含有量は、(A)ポリイミドと(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。(B)カチオン重合性化合物が多いほど、十分なカチオン硬化性を示し、パターン加工時の感度が向上する。一方、(B)カチオン重合性化合物の含有量は、(A)ポリイミドと(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。(B)カチオン重合性化合物が少ないほど、フィルムの成膜性、硬化物の弾性率に優れる。(B)カチオン重合性化合物の含有量は、より好ましくは40~60質量%としたときに、感光性樹脂組成物の樹脂成分が後述する(D)結晶性シリカの屈折率に近づく。それによって、フィラーである(D)結晶性シリカを添加しても、透明性が保たれ、微細なパターン加工が可能となる。
透過率の観点から、(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、脂肪族化合物である(B)カチオン重合性化合物の含有量が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。一方で、耐熱性の観点から(B)カチオン重合性化合物の含有量は、(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、90質量%以下であることが好ましい。
(C)光カチオン重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)光カチオン重合開始剤を含有する。(C)光カチオン重合開始剤を含有することにより、光照射部と光未照射部でカチオン重合の進行のコントラストをつけることができ、任意の現像液で感光性樹脂組成物を溶解させることで、パターン形成が可能である。
(C)光カチオン重合開始剤としては、公知の化合物を、特に限定なく使用することができるが、スルホニウム塩であることが好ましい。(C)光カチオン重合開始剤について具体的には、例えば芳香族ヨードニウム錯塩と芳香族スルホニウム錯塩等を挙げることができる。芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの(C)光カチオン重合開始剤は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
上記(C)光カチオン重合開始剤の含有量は、上記(B)カチオン重合性化合物を100質量部とした場合、0.3質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、0.7質量部以上がさらに好ましい。これにより、カチオン重合性化合物が十分な硬化性を示し、パターン加工性を向上させることができる。一方、感光性樹脂組成物の硬化前の保存安定性が向上する点から、(B)カチオン重合性化合物を100質量部とした場合、(C)光カチオン重合開始剤の含有量は15質量部以下が好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましい。
(D)結晶性シリカ
本発明の感光性樹脂組成物は、無機フィラーとして(D)結晶性シリカを含有する。無機物である(D)結晶性シリカを含有することにより、感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の弾性率が向上し、中空構造体の屋根材として適応した場合の耐圧性を向上することができる。また、本発明における樹脂成分と(D)結晶性シリカの屈折率差が小さいため、光散乱を抑制し、解像性の向上が可能である。一方で非晶性シリカの場合では、樹脂との屈折率差が大きくなり、光散乱が生じることで解像性の低下が生じる。また、(D)結晶性シリカのほうが非晶性シリカに比べて、硬度が高いことから中空構造体の屋根材として適応した場合の耐圧性を向上することができる。また、(D)結晶性シリカのほうが非晶性シリカに比べて、熱伝導率が高いことから電子部品つまり高周波フィルターに適用した際に、放熱性を向上することができる。また、(D)結晶性シリカのほうが非晶性シリカに比べて、カチオン重合を阻害するシラノール基の数が少ない傾向にあるため、パターン加工時のカチオン重合を阻害せず、パターン形成が良好になる。
(D)結晶性シリカの有無の確認方法としては、X線回折により結晶性の有無を確認することが可能であり、蛍光X線分析等の組成分析手法によりシリカであるかを確認することができる。
絶縁信頼性の観点から、(D)結晶性シリカを121℃飽和水蒸気圧条件で20時間抽出処理をした抽出液から検出される導電率(121℃20h導電率)は、30μS/cm以下であることが好ましい。
(D)結晶性シリカの平均粒子径は0.1~3.0μmであることが好ましい。(D)結晶性シリカの平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、0.8μm以上であることがさらに好ましい。平均粒子径が大きいほど、現像時の残渣を低減することが可能であり、解像性が向上する。一方で、(D)結晶性シリカの平均粒子径は3.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがさらに好ましい。(D)結晶性シリカの平均粒子径が小さいほど、パターンの断面を滑らかにすることができ、のちのメッキ工程が容易となる。
また、(D)結晶性シリカの最大粒子径が0.5~9.0μmであることが好ましい。(D)結晶性シリカの最大粒子径は0.5μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましい。(D)結晶性シリカの最大粒子径が大きいほど、現像時の残渣を低減することが可能であり、解像性が向上する。一方で、(D)結晶性シリカの最大粒子径は9.0μm以下であることが好ましく、7.5μm以下であることがより好ましく、6.0μm以下であることがさらに好ましい。最大粒子径が小さいほど、パターンの断面を滑らかにすることができ、のちのメッキ工程が容易となる。
本発明における(D)結晶性シリカの平均粒子径および最大粒子径は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラック粒度分析計 MODEL MT3000)を用いて測定した、50%体積粒径となる値と100%体積粒径となる値である。測定は、試料1g程度をとり、精製水中で1~3分間40Wの出力の超音波で分散させて行う。(D)結晶性シリカの形状が球状でない場合は、レーザー回折散乱法で得られた平均粒子径及び最大粒子径は、体積相当球の直径を表すが、(D)結晶性シリカがいかなる形状であっても、平均粒子径及び最大粒子径は、上記範囲であることが好適である。(D)結晶性シリカの形状としては、球状、針状、繊維状、無定形の粒状、板状、破砕状などが挙げられるが、特に限定されない。
感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際に、前記(D)結晶性シリカの含有量が30~80質量%であることが好ましい。(D)結晶性シリカの含有量は、弾性率などの機械特性や耐薬品性向上の観点から、感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際に、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることが最も好ましい。一方で、(D)結晶性シリカの含有量は、伸度向上の観点から、感光性樹脂組成物の固形分の総質量100質量%に対して、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
また、(D)結晶性シリカを感光性樹脂組成物中に分散させるため、必要に応じてシランカップリング剤による表面処理を行ってもよい。つまり本発明の感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤によって表面処理が施された(D)結晶性シリカを用いることが好ましい。シランカップリング剤としては、公知のものを適用することができる。中でも、カチオン重合を阻害せずに、パターン加工時の感度が良好になる、(D)結晶性シリカが、エポキシ基、スチリル基、イソシアヌレート基、酸無水物基、カルボン酸基、炭素数1~10のいずれかのアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを有するシランカップリング剤によって表面処理が施されていることが好ましく、官能基としてはフェニル基を有することがより好ましい。一方で、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基は、カチオン硬化阻害を引き起こすため、含まないことが好ましい。
これらの好ましいシランカップリング剤の例としては、信越化学工業製の2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM-303)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-402)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE-402)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE-403)、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(KBM-4803)、p-スチリルトリメトキシシラン(KBM-1403)、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(KBM-9659)、トリス-(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(KBE-9659)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(X-12-967C)、メチルトリメトキシシラン(KBM-13)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22)、フェノルトリメトキシシラン(KBM-103)、ジメトキシジフェニルシラン(KBM-202SS)、n-プロピルトリメトキシシラン(KBM-3033)、ヘキシルトリメトキシシラン(KBM-3063)、デシルトリメトキシシラン(KBM-3103C)、メチルエトキシシラン(KBE-13)、ジメチルジエトキシシラン(KBE-22)、フェニルトリエトキシシラン(KBE-103)、n-プロピルトリエトキシシラン(KBE-3033)、ヘキシルトリエトキシシラン(KBE-3063)、オクチルトリエトキシシラン(KBE-3083)などを用いることができる。(D)結晶性シリカの表面処理は、(D)結晶性シリカに対してシランカップリング剤の原液または希釈液を添加し撹拌する乾式表面処理、または溶媒中に分散した(D)結晶性シリカにシランカップリング剤の原液または希釈液を添加し撹拌する湿式表面処理によって行うことができる。生産性の観点から乾式表面処理であることが好ましい。
(E)分散剤
さらに(D)結晶性シリカを感光性樹脂組成物中に分散させるため、(E)分散剤を含有することが好ましい。(E)分散剤としては、公知のものを適用することができる。中でも、(E)分散剤のアミン価が0であり、酸価が10~400であることが好ましい。アミン価を0とすることでカチオン重合を阻害せずに、パターン加工性が良好になり、酸価を10~400とすることで、(D)結晶性シリカの分散性を向上しつつ、腐食性を抑制できるためである。アミン価が0の(E)分散剤として、カルボン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤、硫酸エステル系分散剤、リン酸エステル系分散剤であるアニオン性分散剤と、エステル系分散剤、エーテル系分散剤、エステルエーテル系分散剤などの非イオン性分散剤が例示される。この中でも(D)結晶性シリカへの吸着性が高いことからアニオン性分散剤であることが好ましく、その中でもスルホン酸系分散剤、硫酸エステル系分散剤、リン酸エステル系分散剤であることがさらに好ましい。吸着性が高いと(D)結晶性シリカの分散性が良好になる。さらに、(D)結晶性シリカ同士が(E)分散剤を介してネットワークを形成し、感光性樹脂組成物ワニスにチキソ性が発現することで、膜厚が安定した厚膜の感光性樹脂組成物フィルムを作製しやすくなる。感光性樹脂組成物ワニスのチキソ性に関しては、回転速度を変更して粘度を測定することで確認することが可能であり、チキソ性を示す場合は回転速度が速いほど粘度が低下していく。腐食性を低減する観点からは、カルボン酸系分散剤、リン酸エステル系分散剤、非イオン性分散剤が好ましい。そのため、吸着性および腐食性のバランスからリン酸エステル系分散剤が最も好ましい。
(E)分散剤の酸価としては、(D)結晶性シリカへの吸着性が向上する観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。また、(E)分散剤の酸価としては、腐食性を低減する観点から400以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましい。
(E)分散剤の重量平均分子量としては、(D)結晶性シリカの分散性の向上および感光性樹脂組成物ワニスへのチキソ性発現の観点から、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上がさらに好ましい。また、(E)分散剤の重量平均分子量としては、塗料に混ざりやすくなり、分散剤としての効果が発揮されるため、100000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、50000以下がさらに好ましい。
(E)分散剤の含有量は、(D)結晶性シリカの分散性向上の観点から、感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際に、0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、0.20質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、(E)分散剤の含有量は、弾性率向上の観点から、感光性樹脂組成物の固形分の総質量100質量%に対して、2.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることがさらに好ましく、0.30質量%以下であることが最も好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線を吸収し、吸収した光エネルギーを光酸発生剤に供与するために増感剤を使用してもよい。増感剤としては、例えば、1位と4位にアルコキシ基を有するナフタレン化合物(1,4-ジアルコキシ-ナフタレン誘導体)、9位と10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のC1~C4のアルコキシ基が挙げられる。9,10-ジアルコキシ-アントラセン誘導体は、さらに置換基を有していても良い。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1~C4のアルキル基やスルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル等のC1~C4のアルキルが挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、熱架橋剤を含有してもよく、アルコキシメチル基、メチロール基を有する化合物が好ましい。
アルコキシメチル基またはメチロール基を有する例としては、例えば、DML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DML-BisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標)MX-290、NIKALAC MX-280、NIKALAC MW-100LM、NIKALAC MX-750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにシラン化合物を含有することができる。シラン化合物を含有することにより、感光性樹脂組成物の密着性が向上する。シラン化合物の具体例としては、N-フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、基材との接着性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を含有してもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、(D’)結晶性シリカ以外の無機フィラーを含有しても良いが、光散乱により解像性が低下するため、(D’)結晶性シリカ以外の無機フィラーは含有しないことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化前の形状は限定されず、例えば、ワニス状やフィルム状などが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物フィルムは、形態をフィルム状としたもの、つまり、本発明の感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物被膜を有する感光性樹脂組成物フィルムであることが好ましい。そのため本発明の感光性樹脂組成物フィルムは、支持体上に形成されたフィルム状、つまり支持体上に本発明の感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物被膜を有する感光性樹脂組成物フィルムであってもよいし、支持体のない態様であってもよい。ワニス状で用いる場合は、(A)~(D)成分および必要に応じ加えられる成分を有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。また、感光性樹脂組成物フィルムは、例えば本発明の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物組成物を用いて感光性樹脂組成物フィルムを作製する方法について説明する。本発明の感光性樹脂組成物フィルムは感光性樹脂組成物の溶液(ワニス)を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。感光性樹脂組成物ワニスは、感光性樹脂組成物に有機溶剤を添加することで得られる。ここで使用される有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解するものであればよい。
有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、感光性樹脂組成物ワニスを濾紙やフィルターを用いて濾過しても良い。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径0.4μm~10μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物フィルムは支持体上に形成されて用いられるのが好ましい。支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体と感光性樹脂組成物フィルムとの接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物フィルムは、表面を保護するために、膜上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から感光性樹脂組成物フィルム表面を保護することができる。保護フィルムは特に限定されないが、ポリエステルフィルム、なかでもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、または、ポリオレフィンフィルム、等が挙げられる。保護フィルムは、感光性樹脂組成物フィルムとの接着力が小さいものが好ましい。
感光性樹脂組成物ワニスを支持体に塗布する方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物フィルムが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、70℃、80℃、90℃で各1分ずつ熱処理してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物のワニス、またはそれを用いた感光性樹脂組成物フィルムをパターン加工する方法、および他の部材に熱圧着する方法について、例を挙げて説明する。
まず、本発明の感光性樹脂組成物、またはそれを用いた感光性樹脂組成物フィルムを用いて、基板上に感光性樹脂組成物被膜を形成する方法について説明する。感光性樹脂組成物ワニスを用いる場合は、まずワニスを基板上に塗布する。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、感光性樹脂組成物の固形分濃度および粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下になるように塗布することが好ましい。次に、感光性樹脂組成物ワニスを塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物被膜が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、50~150℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
一方、感光性樹脂組成物フィルムを用いる場合は、保護フィルムを有する場合にはこれを剥離し、感光性樹脂組成物フィルムと基板を対向させ、熱圧着により貼り合わせて、感光性樹脂組成物被膜を得る。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。貼り合わせ温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、貼り合わせ時に感光性樹脂組成物フィルムが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、貼り合わせ温度は150℃以下が好ましい。
いずれの場合にも、用いられる基板は、シリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
次に、上記方法によって形成された感光性樹脂組成物被膜上に、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。感光性樹脂組成物フィルムにおいて、支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、感光性樹脂組成物フィルムから支持体を剥離せずに露光を行ってもよい。
パターンを形成するには、露光後、現像液にて露光部を除去する。現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを含有してもよい。
現像は、上記の現像液を被膜面にスプレーする、被膜面に現像液を液盛りする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬して超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。現像時間や現像ステップ現像液の温度などの現像条件は、露光部が除去されパターン形成が可能な条件であればよい。
現像後は水にてリンス処理を行うことが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
また、必要に応じて現像前にベーク処理を行ってもよい。これにより、現像後のパターンの解像度が向上し、現像条件の許容幅が増大する場合がある。このベーク処理温度は50~180℃の範囲が好ましく、特に60~120℃の範囲がより好ましい。時間は5秒~数時間が好ましい。
パターン形成後、感光性樹脂組成物被膜中には未反応のカチオン重合性化合物やカチオン重合開始剤が残存している。このため、熱圧着あるいは硬化の際にこれらが熱分解しガスが発生することがある。これを避けるため、パターン形成後の感光性樹脂組成物被膜の全面に上述の露光光を照射し、カチオン重合開始剤から酸を発生させておくことが好ましい。こうすることによって、熱圧着あるいは硬化の際に、未反応のカチオン重合性化合物の反応が進行し、熱分解由来のガスの発生を抑制することができる。
現像後、150℃~500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させる。架橋により、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。この加熱処理の方法は、温度を選び、段階的に昇温する方法や、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施する方法を選択できる。前者の一例として、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する方法が挙げられる。後者の一例として室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物フィルムは、感光性樹脂組成物被膜の厚み30μmにおける可視光線透過率が70%以上100%以下であることが好ましく、80%以上100%以下であることがより好ましい、90%以上100%以下であることがさらに好ましい。感光性樹脂組成物被膜の可視光線透過率を70%以上100%以下とすることで、フォトマスクの位置を調整して露光する際に、基板上の位置合わせ用のマークの視認性が良好となり、位置の調整および中空構造体の屋根部分を形成することが容易となる。可視光線透過率とは、紫外可視分光光度計により波長400~800nmの透過率を測定し、平均値化することで算出することができる。
また本発明の感光性樹脂組成物フィルム中の感光性樹脂組成物被膜は、厚み30μmにおいて波長365nmにおける透過率が、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることが最も好ましい。波長365nmにおける透過率が高いほど、パターンの底部にまで露光をすることが可能であり、厚膜のパターン形成が可能になる。一方で、感光性樹脂組成物被膜は、厚み30μmにおいて波長365nmにおける透過率が、80%以下であることが好ましい。波長365nmにおける感光性樹脂組成物被膜の透過率が低いほど、感光性樹脂組成物被膜の感度を向上することができる。
硬化物、中空構造体
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物、または、本発明の感光性樹脂組成物フィルム中の感光性樹脂組成物被膜のいずれかを加熱硬化して得られる硬化物である。
本発明の硬化物は、中空部分を有する構造体(以下、中空構造体という)の屋根部分として好適に用いることができる。つまり中空構造体は、その屋根部分が本発明の硬化物である中空構造体であることが好ましい。中空構造体は、電子部品に設けられた凹部または凸部と屋根部分からなる構造であって、本発明の感光性樹脂組成物フィルムを凹部または凸部に熱圧着することにより形成される。その後、必要に応じ、上記のパターン加工方法によって、不要部を除去し、加熱処理を施すことにより中空構造体の屋根部分として形成することができる。本発明における中空構造体の屋根部分の厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。屋根部分の厚みが10μm以上であると、中空構造体とした際の屋根部分の膜強度が向上する点で好ましく、25μm以上であるとより好ましく、35μm以上であるとさらに好ましく、45μm以上であると最も好ましい。一方、屋根部分の厚みが100μm以下であると、中空構造体を薄くすることができ、電子部品の小型化に寄与する点で好ましく、80μm以下であるとより好ましく、60μm以下であるとさらに好ましい。
さらに、本発明の硬化物を有する中空構造体は、電子部品としての堅牢性を高めるためにモールド樹脂で封止されることが好ましい。つまり本発明における中空構造体は、その外周部が、モールド樹脂で封止された構造であることが好ましい。モールド樹脂によって中空構造体の外周部を封止する際は、一般的にトランスファーモールディング法やコンプレッションモールディング法が用いられる。
本発明の硬化物の180℃における弾性率(180℃における弾性率のことを、以下、180℃弾性率、という)は、4GPa以上であることが好ましく、5GPa以上であることがより好ましく、6GPa以上であることがさらに好ましく、7GPa以上であることが特に好ましい。180℃弾性率を4GPa以上とすることで、屋根材として適用した際に封止工程に耐えることが容易になる。一方で、クラック抑制の観点から、硬化物の180℃弾性率は20GPa以下であることが好ましく、16GPa以下であることがより好ましく、12GPa以下であることがさらに好ましい。180℃弾性率は、動的粘弾性測定装置により測定することができる。
上記のようなモールディング法は180℃前後に溶解した封止樹脂を6MPa前後の圧力で電子部品の周辺に流し込むことによって形成される。つまりこの封止時に、中空構造体の屋根部分に高温で6MPa前後の圧力がかかることになる。中空構造体の屋根部分として用いられる硬化物の膜強度が低いと、中空構造の屋根部分が撓み構造が崩れることがある。その点、本発明の硬化物を中空構造体の屋根部分として用いた中空構造体は、十分な膜強度を有することから、モールド樹脂の封止工程での電子部品の歩留まりが向上する。
本発明の硬化物の用途は特に限定されないが、例えば、実装基板やウェハレベルパッケージなどの半導体を用いるシステム用の基板やパッケージに内蔵する表面保護膜、層間絶縁膜、回路基板の配線保護絶縁膜などのレジスト、多種の電子部品、装置への適用が可能である。また、その優れた耐熱性から、特に永久レジスト、すなわち、パターン形成された層間絶縁膜や、パターン形成後の基板、ガラス、半導体素子等と被着体とを熱圧着する接着剤用途に好適に用いることができる。
電子部品
本発明の硬化物は、電子部品に好適に用いられ、本発明の硬化物を有する特に好ましい高周波フィルターとしては、SAWフィルター、BAWフィルターが挙げられる。また、本発明の硬化物は、パターン加工性に優れ、且つ信頼性の高い絶縁膜を形成できることから、中空構造体を有する電子部品以外にも好適に用いることができる。
本発明の電子部品は、本発明の硬化物からなる屋根部分を有する中空構造体を備えることが好ましい。特に好ましい中空構造体を有する電子部品としては、高周波フィルターが挙げられる。一方、本発明の中空構造体は高周波フィルター以外の水晶振動子などにも適用することが可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<(D)結晶性シリカの表面処理>
(D)結晶性シリカをミキサーに投入し、6000rpmで30秒攪拌後、表面処理剤であるシランカップリング剤を添加した。その後、6000rpmで3分間攪拌し、(D)結晶性シリカに表面処理を施した。シランカップリング剤の添加量Sとしては、以下の式を満たすように添加した。
S=(α×β)/γ
ここでαは結晶性シリカの質量、βは結晶性シリカの比表面積、γはシランカップリング剤の最小被覆面積を示す。
<(E)分散剤の重量平均分子量の測定>
各(E)分散剤をGPCにより重量平均分子量を測定し、その値を(E)分散剤の重量平均分子量とした。測定条件としては、以下の通りである。
装置名:e2695-2998(日本ウォーターズ社製)
カラム:G4000HXL+G1000HXL(東ソー社製)
カラム温度:30℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
標準物質:ポリスチレン
検出波長:254nm。
<感光性樹脂組成物ワニスのチキソ性>
フィルム化前の感光性樹脂組成物ワニスを、E型粘度計(東機産業(株)、RE215L)により、回転速度0.1rpmの粘度Aと回転速度0.2rpmの粘度Bを測定し、以下の基準によりチキソ性を評価した。
○:粘度A/粘度Bが1.3以上。チキソ性がある。
△:粘度A/粘度Bが1.1以上、1.3未満。チキソ性が少しある。
×:粘度A/粘度Bが1.1未満。チキソ性はない。
<感光性樹脂組成物被膜の膜厚ばらつき>
感光性樹脂組成物フィルムの感光性樹脂組成物被膜の膜厚(保護フィルム、支持フィルムを除いた膜厚)を、5cm間隔で5点測定した。(膜厚の最大値)-(膜厚の最小値)を計算し、膜厚ばらつきの結果とした。(膜厚の最大値)-(膜厚の最小値)が小さいほど、膜厚が安定しており、良好な結果である。
<(D)結晶性シリカの分散性>
感光性樹脂組成物フィルムを10cm□に切り出し、顕微鏡により観察をし、以下の基準で(D)結晶性シリカの分散性を評価した。
○:凝集物なし。(D)結晶性シリカの分散性が良い。
×:凝集物あり。(D)結晶性シリカの分散性が悪い。
<解像性の評価>
感光性樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、感光性樹脂組成物被膜がシリコンウエハに向くように配置し、80℃、0.3MPaの条件で4インチのシリコンウエハ上にロールラミネートした。感光性樹脂組成物フィルム(支持フィルムと感光性樹脂組成物被膜の積層体)に、ビアの径が5、10、15、と5μm刻みで100μmまでのビアパターンが20個配置されたフォトマスクを載せ、超高圧水銀灯を光源とした露光機にて露光量400mJ/cm(i線換算、全波長露光)で露光を行った。露光後、支持フィルムを剥離し、90℃のホットプレートで10分間加熱した。次に、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液を用いて、180秒間のシャワー現像により未露光部を除去し、水にてリンス処理を60秒間行い、その後、スピン乾燥を行った。さらに、イナートオーブンにて200℃、60分の熱処理を行い、シリコンウエハ上にビアパターンが加工された硬化物をシリコンウエハ上に形成した。ビアパターンを顕微鏡で観察し、ビアが開口した最小寸法を解像性とした。開口したサイズが小さいほど、良好な解像性を示している。
<硬化物の180℃弾性率の評価>
感光性樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、感光性樹脂組成物被膜がシリコンウエハに向くように配置し、80℃、0.3MPaの条件で4インチのシリコンウエハ上にロールラミネートした。支持フィルムと感光性樹脂組成物被膜に、超高圧水銀灯を光源とした露光機にて露光量400mJ/cm(i線カットフィルター使用、h線換算)で露光を行った。露光後、支持フィルムを剥離し、イナートオーブンにて200℃、60分の熱処理を行い、シリコンウエハ上に硬化物を形成した。得られた硬化物について、シリコンウエハから剥離し、単膜の硬化物を作製した。この単膜を5mm×40mm に片刃で切り取り、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMS6100)により180℃における弾性率を測定した。なお、この硬化物の測定は、試験モード:引張り、試験温度:室温(23℃)~350℃、昇温速度:5℃/min、試験周波数:1Hz、チャック間距離:10mm、サンプル幅:5mmの条件にて実施した。得られた180℃弾性率を評価結果とした。180℃弾性率が高いほど良好な結果である。
<感光性樹脂組成物被膜の可視光線透過率及び365nm透過率(波長365nmにおける透過率)の評価>
感光性樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、評価用のサンプルとした。このサンプルを紫外可視分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、U-3900)を用いて波長350~800nmの透過率を測定した。可視光線透過率は、波長400~800nmにおける透過率を平均値化することで算出した。なお、この測定は、リファレンス:支持フィルム、スキャンスピード:300nm/min、サンプリング間隔:0.5nmの条件にて実施した。つまり、評価用のサンプルの値とリファレンス(支持フィルム)の値の差をとることで、感光性樹脂組成物被膜の可視光線透過率及び365nm透過率を求めた。透過率が高いほど良好な結果となる。
<(A)ポリイミド>
A-1:
以下の方法により合成した分子鎖末端がカルボン酸残基のアルカリ可溶性ポリイミドを用いた。
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと呼ぶ)(22.25g、0.09モル)をGBL80gに添加し、120℃で攪拌溶解した。次に、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物(30.03g、0.1モル)をGBL20gとともに加えて、120℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。23℃のテトラメチルアンモニウム水溶液(2.38質量%)に対するポリイミドA1の溶解度は、0.1g/100g以上であった。
A-2:
以下の方法により合成した分子鎖末端がカルボン酸残基のアルカリ可溶性ポリイミドを用いた。
乾燥窒素気流下、BAHF(22.25g、0.09モル)をGBL80gに添加し、120℃で攪拌溶解した。次に、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(38.44g、0.1モル)をGBL20gとともに加えて、120℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。次に、反応溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。23℃のテトラメチルアンモニウム水溶液(2.38質量%)に対するポリイミドA1の溶解度は、0.1g/100g以上であった。
<(B)カチオン重合性化合物>
PETG(ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、昭和電工(株)製)、常温において液体、脂肪族化合物、エポキシ当量=90g/eq.
BATG(2,2’-ジグリシジルビスフェノールAジグリシジルエーテル、昭和電工(株)製)、常温において液体、芳香族化合物、エポキシ当量=113g/eq.。
Figure 0007315127000005
<(C)光カチオン重合開始剤>
CPI-310FG(スルホニウム塩系光酸発生剤、サンアプロ(株)製)。
<(D)結晶性シリカ>
結晶性シリカ-1(平均粒子径0.7μm、最大粒子径2.8μm、比表面積28m/g、121℃20h導電率23μS/cm)
結晶性シリカ-2(平均粒子径1.1μm、最大粒子径3.9μm、比表面積10m/g、121℃20h導電率17μS/cm)
結晶性シリカ-3(平均粒子径1.6μm、最大粒子径4.6μm、比表面積7m/g、121℃20h導電率19μS/cm)
結晶性シリカ-4(平均粒子径2.1μm、最大粒子径6.5μm、比表面積5m/g、121℃20h導電率19μS/cm)。
なお、「121℃20h導電率」とは、結晶性シリカを121℃飽和水蒸気圧条件で20時間抽出処理をした抽出液から検出される導電率(121℃20h導電率)を意味する。
<(D’)結晶性シリカ以外の無機フィラー>
非晶性シリカ-1(SO-E2、アドマテックス(株)製、平均粒子径:0.5μm、最大粒子径2.0μm)
ガラス-1(酸化ケイ素を45質量%、酸化アルミニウムを25質量%、酸化ホウ素を4質量%、酸化イットリウムを26質量%含有するガラス、平均粒子径1.6μm、最大粒子径5.5μm)。
<フィラーへの表面処理剤>
KBM-3063(ヘキシルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、最小被覆面積378m/g)
KBM-103(フェノルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、最小被覆面積393m/g)
KBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、最小被覆面積330m/g)
KBM-303(2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、最小被覆面積317m/g)。
<(E)分散剤>
GW-1500(カルボン酸系分散剤、共栄社化学(株)製、アミン価0、酸価55、重量平均分子量5000)
BYK-P 105(カルボン酸系分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)、アミン価0、酸価365、重量平均分子量70000)
DISPERBYK-111(リン酸エステル系分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)、アミン価0、酸価125、重量平均分子量6000)
ED153(リン酸エステル系分散剤、楠本化成(株)、アミン価0、酸価55、重量平均分子量40000)。
<増感剤>
UVS-2171(1,4-ジエトキシナフタレン、信越化学工業(株)製)。
実施例1
(A)成分としてA-1(30g)、(B)成分としてPETG(18g)、BATG(12g)、(C)成分としてCPI-310B(2g)、(D)成分として表面処理が施されていない結晶性シリカ-2(16g)、増感剤としてUVS-2171(0.6g)をGBLに添加した。溶媒の添加量は、溶媒以外の添加物を固形分とし、固形分濃度が60質量%となるように調整した。その後、120分間室温にて攪拌し、樹脂成分を溶解した。得られた溶液を、保留粒子径10μmのフィルターを用いて加圧ろ過し、感光性樹脂組成物ワニスを得た。
得られた感光性樹脂組成物ワニスを、コンマロールコーターを用いて、厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、120℃で8分間乾燥を行って感光性樹脂組成物被膜とした後、保護フィルムとして、厚さ25μmのPETフィルムを100℃でラミネートし、感光性樹脂組成物フィルムを得た。感光性樹脂組成物被膜の膜厚は30μmとなるように調整した。得られた感光性樹脂組成物フィルムを用いて、前記のように、解像性、180℃弾性率、可視光線透過率、365nm透過率の評価を行った。結果を表に示す。
実施例2~15、比較例1~3
実施例2~15および比較例1~3では、上述した実施例1における組成を表に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法に沿って処理を行い、これにより、感光性樹脂組成物フィルムを作製した。得られた感光性樹脂組組成物フィルムを用いて、前述の方法により解像性、180℃弾性率、可視光線透過率、365nm透過率を評価し、実施例2~15、比較例1~3の評価結果は表に示した。
実施例16~25
実施例16~25では、上述した実施例1における組成を表に示す組成に変更したこと、および感光性樹脂組成物被膜の膜厚を50μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法に沿って処理を行い、これにより、感光性樹脂組成物ワニスおよび感光性樹脂組成物フィルムを作製した。得られた感光性樹脂組組成物ワニスを用いて、前述の方法によりチキソ性を評価し、得られた感光性樹脂組組成物フィルムを用いて、前述の方法により膜厚ばらつき、(D)結晶性シリカの分散性、180℃弾性率を評価し、実施例16~25の評価結果は表に示した。
Figure 0007315127000006
Figure 0007315127000007
Figure 0007315127000008
Figure 0007315127000009
Figure 0007315127000010
なお、表中の「(B)成分/{(A)成分+(B)成分}(mass%)」は、(A)ポリイミドと(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときの(B)カチオン重合性化合物の含有量を意味する。表中の「(B)成分中の脂肪族化合物量(mass%)」は、(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときの脂肪族化合物である(B)カチオン重合性化合物の含有量を意味する。表中の「フィラー量(mass%)」は、感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際の、(D)結晶性シリカの含有量又は(D’)結晶性シリカ以外の無機フィラーの含有量を意味する。表中の「(E)成分の量(mass%)」は、感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際の、(E)分散剤の含有量を意味する。
表中の「180℃弾性率(GPa)」は、硬化膜についての測定値を意味し、「可視光線透過率(%)」及び「365nm透過率(%)」は感光性樹脂組成物被膜についての測定値を意味する。表中の「チキソ性」は感光性樹脂組成物ワニスでの評価結果を意味し、「膜厚ばらつき(μm)」は感光性樹脂組成物被膜についての評価結果を意味し、「(D)結晶性シリカの分散性」は感光性樹脂組成物フィルムについての評価結果を意味する。

Claims (19)

  1. (A)ポリイミド、(B)カチオン重合性化合物、(C)光カチオン重合開始剤、及び(D)結晶性シリカを含有し、ネガ型の感光性を有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリイミドが、主鎖に脂環構造を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリイミドが、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造を有する、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(A)ポリイミドと前記(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、前記(B)カチオン重合性化合物の含有量が30~70質量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(B)カチオン重合性化合物の合計を100質量%としたときに、脂肪族化合物である(B)カチオン重合性化合物の含有量が60質量%以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(D)結晶性シリカの平均粒子径が0.1~3.0μmである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(D)結晶性シリカの最大粒子径が0.5~9.0μmである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記感光性樹脂組成物の固形分の総質量を100質量%とした際に、前記(D)結晶性シリカの含有量が30~80質量%である、請求項1に感光性樹脂組成物。
  9. 前記(D)結晶性シリカが、エポキシ基、スチリル基、イソシアヌレート基、酸無水物基、カルボン酸基、炭素数1~10のいずれかのアルキル基、及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを有するシランカップリング剤によって表面処理が施されている、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  10. さらに(E)分散剤を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記(E)分散剤のアミン価が0であり、酸価が10~400である、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記(E)分散剤がリン酸エステル系分散剤である、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物被膜を有する感光性樹脂組成物フィルム。
  14. 前記感光性樹脂組成物被膜の厚み30μmにおける可視光線透過率が70%以上100%以下である、請求項13に記載の感光性樹脂組成物フィルム。
  15. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物、請求項13に記載の感光性樹脂組成物フィルム中の感光性樹脂組成物被膜のいずれかを加熱硬化して得られる硬化物。
  16. 180℃における弾性率が4GPa以上である、請求項15に記載の硬化物。
  17. 請求項15に記載の硬化物を有する、電子部品。
  18. 前記硬化物からなる屋根部分を有する中空構造体を備える、請求項17に記載の電子部品。
  19. 前記電子部品が高周波フィルターである、請求項17に記載の電子部品。
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