JP5407163B2 - ペースト組成物およびそれを用いた高熱伝導率樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、半導体素子やモジュールなどの、放熱を要する素子や部品などの接着やモールドなどに用いることができる、熱伝導率が大きい樹脂組成物を形成するためのペースト組成物に関する。
電子部品の小型化、高性能化に伴い、半導体素子やモジュールなど、内蔵部品からの発熱量が増大する傾向にある。そのため、電子部品の放熱を考慮した設計が重要となっている。電子部品の放熱性を改良するためには、熱伝導率の高い樹脂組成物を用いて絶縁層などを形成する方法が有効である。
樹脂組成物の熱伝導率を高める方法として、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化アルミニウムなどの熱伝導率が大きい粒子を含有させるものが知られている(特許文献1〜3)。特許文献1〜3には非感光性の液状エポキシ樹脂に窒化アルミニウム粒子を充填させる技術が開示されているが、これらは耐熱性を高くすることが難しく、感光性を有する材料とすることができない。また、分散が不十分で空隙を発生しやすく、空隙は水分が通りやすいために高熱伝導樹脂組成分を絶縁材として用いる場合に電極間のイオンマイグレーション発生などの絶縁劣化を生じやすいという問題があった。
一方、窒化アルミニウムや窒化ホウ素などの無機フィラーを感光性樹脂に分散させて用いる概念が特許文献4、5に示されているが、具体的に実現する方法、組成が示されていない。
特開2005−320479号公報(請求項1) 特開2002−322372号公報(請求項1) 特開2003−206469号公報(請求項1) 特開2002−353631号公報(請求項5) 特開2007−122024号公報(請求項7)
上記のとおり、高熱伝導率微粒子が分散したペースト組成物を製造する場合、従来公知の方法を用いると、該ペースト組成物を硬化させた絶縁膜などの高熱伝導率樹脂組成物において、良好な分散性が得られず、絶縁特性が劣化することがあった。また、感光性を有する材料を得ることができなかった。
すなわち本発明は、(A)窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素および窒化硼素からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子、(B)下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、および(C)有機溶媒を含み、(A)無機粒子の平均粒子径が0.01〜5μmであるペースト組成物。
すなわち本発明は、(A)窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素および窒化硼素からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子、(B)下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、および(C)有機溶媒を含むペースト組成物。
Figure 0005407163
(上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
Figure 0005407163
(上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
また本発明は、該ペースト組成物を硬化させてなる高熱伝導率樹脂組成物である。
本発明のペースト組成物は、硬化させることにより高熱伝導率樹脂組成物を製造することができ、得られた高熱伝導率樹脂組成物は優れた絶縁信頼性を有し、高温高湿負荷試験において良好な耐性を発揮する。また、本発明のペースト組成物は、感光性を有しており、高精細なパターン加工が可能である。
本発明のペースト組成物は、(A)窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、窒化硼素、から選択される少なくとも1種の無機粒子、(B)下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、および(C)有機溶媒を含む
Figure 0005407163
(上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
Figure 0005407163
(上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
以下、特に断らないかぎり、上記(B)の化合物を「化合物A」とする。
本発明のペースト組成物において、化合物Aは無機粒子を分散させる働きを有する。化合物Aの構造を表す一般式(1)〜(4)における、RとRで挟まれた部位が無機粒子と相互作用して、化合物Aが無機粒子の表面を覆うと考えられる。また、無機粒子表面を覆う化合物Aの重合性基は無機粒子の外側に向き、ペースト組成物中にある有機溶媒や他の化合物などと親和して、無機粒子を安定に分散させると考えられる。
化合物A中の重合性基は、光または熱により、重付加反応やラジカル反応等によって重合を進めることができる有機基である。本発明のペースト組成物は、化合物Aが重合に関与するため、硬化が速やかにかつ確実に進行する。
本発明においては、化合物A自体が光や熱によって重合し、高熱伝導率樹脂組成物のマトリックス樹脂となる。したがって、本発明で用いる化合物Aは無機粒子の分散剤としての機能と、マトリックス樹脂としての機能を併せ持つものである。重合性基を持たない分散剤により、無機粒子をマトリックス樹脂中に分散させた場合は、有機溶媒の脱離やマトリックス樹脂の重合によりマトリックス樹脂が硬化収縮する際に、無機粒子が移動して集まり、樹脂と粒子の間に空隙が生じることが考えられる。これに対し、本発明のペースト組成物においては、化合物Aが無機粒子を捕捉した状態で重合するため、高熱伝導率樹脂組成物中においても無機粒子の分散性を良好に保つことができる。したがって、高熱伝導率樹脂組成物中に存在する粒子凝集に起因する空隙が少なくなる。さらに、化合物Aは重合することで耐熱性が向上するため、高熱伝導率樹脂組成物製造時や製造後プロセスにおける加熱処理によって分解、脱離しにくくなるため、高熱伝導率樹脂組成物中の空隙をより低減することができる。したがって、膜の強度を大きいものすることができたり、絶縁層などの用途で用いる場合にリーク電流が極めて小さく良好な絶縁信頼性を実現することができる。特に、高温高湿環境において高熱伝導率樹脂組成物中の空隙を通って水が組成物内部に浸入することによるイオンマイグレーションの発生を低減することができるので、良好な絶縁信頼性を得ることができる。
さらに、ペースト組成物中の化合物Aを光により硬化させることで、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を行うことができる。この場合、露光部では化合物Aが無機粒子を捕捉した状態で重合するため、無機粒子を起点とした強固なネットワークが形成され、現像時の露光部の膨潤や溶解が抑えられるので、明瞭なパターン形状を実現できる。また、未露光部においては、化合物Aと無機粒子との親和性が良好であり、現像時に無機粒子が凝集することなく高い分散性を保つために、未露光部の現像液への溶出が速やかであり、現像時の残渣を低減することができる。また、現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合は、化合物A自体のアルカリ水溶液に対する溶解性が良好であるため、未露光部が速やかに溶解して明瞭なパターンを形成することができる。
一般式(1)〜(4)におけるRが水素原子であると末端がカルボキシル基となり、無機粒子の分散性がより良好となり、絶縁信頼性がより向上するので好ましい。
化合物Aの重合性基は、無機粒子を良好に分散させる目的から、ペースト組成物に含まれる有機溶媒や他の化合物との親和性が良好なものが好ましい。これらのものとしては、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基、エポキシ基などが挙げられる。特に、化合物Aの構造を表す一般式(1)〜(4)におけるRは下記一般式(6)で示されるものが好ましい。
Figure 0005407163
(上記一般式(6)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。また、nは1〜3の整数である。)
一般式(6)中の重合性基は、Rが水素原子の場合はアクリレート基であり、Rがメチル基の場合はメタクリレート基である。アクリレート基またはメタクリレート基は不飽和結合を有し、光照射や加熱によりラジカル重合をさせることが可能である。光によりラジカル重合をさせる際に、フォトマスクを介して光を照射するフォトリソグラフィー法を適用して、配線パターンなどを形成することができる。Rが水素原子であるアクリレート基の方が、重合性がより良好となり好ましい。
一般式(1)〜(4)で表される化合物の中でも、Rが水素原子でありRが一般式(6)で表される1価の基であり、nが2である化合物が好ましい。この化合物を用いると無機粒子の分散性がより良好となる。また、ペースト組成物を硬化させる際に分散した無機粒子が凝集せずに分散状態を保つので、得られる高熱伝導組成物の熱伝導率が均一になる。このため、発熱体からの均一な熱拡散が可能となる。
本発明に用いられる一般式(1)〜(4)で表される化合物Aの具体例としては、下記に表されるような、共栄社化学(株)製の“HOA−HH”(商品名、一般式(1)で表され、Rが水素原子であり、Rが一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)、“HOA−MPL”(商品名、一般式(4)で表され、Rが水素原子であり、Rが一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)、“HOA−MPE”(商品名、一般式(4)で表され、Rが一般式(5)で表されるものであり、mが2である。また、Rが一般式(6)で表されるものであり、Rが水素原子であり、nは2である。)が挙げられる。
Figure 0005407163
特に、“HOA−MPL”は無機粒子を極めて良好に分散することができ、絶縁信頼性がより向上する。本発明で用いる化合物Aは1種類でもよく、また複数種用いてもよい。
本発明のペースト組成物において、化合物Aの含有量は、無機粒子100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であることが好ましい。化合物Aの無機粒子100重量部に対する含有量が1重量部以上であると、無機粒子の分散性が良好となり、ペースト組成物から得られる高熱伝導率樹脂組成物の絶縁信頼性や現像性が向上する。一方、化合物Aの無機粒子100重量部に対する含有量が20重量部以下であると、化合物A自体の特性により高熱伝導率樹脂組成物の耐熱性や熱伝導率が低下することを抑えることができる。
上述したように、本発明のペースト組成物は、化合物Aが重合して高熱伝導率樹脂組成物中のマトリックスを形成するが、その他にもマトリックスを形成する樹脂を含有してもよい。このとき用いられる樹脂として、ポリアミック酸、ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シロキサン樹脂などの、重合性基を有する熱硬化型あるいはUV硬化型の樹脂が挙げられる。また、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂など重合性基を持たない樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数種を適当な比にて用いてもよい。
プロセス中で耐熱性などが要求される用途では、上記樹脂の中でも、熱硬化型樹脂やUV硬化型樹脂など重合性基を有する樹脂や、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂が好ましい。中でも、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体であることが好ましい。また、マトリックス樹脂にUV硬化型の樹脂を選定すると、フォトリソグラフィー法によるパターニングが実現でき好ましい。ただし、エポキシ樹脂などをカチオン重合させる場合、カチオン活性種が無機粒子に吸着し、重合反応が遅くなることがある。したがって、ラジカル重合に適したアクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂が好ましい。
本発明のペースト組成物において、化合物Aと樹脂の混合比は任意に設定できるが、ペースト組成物中の有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して、化合物Aと樹脂の含有量の和は10重量%以上30重量%以下であることが好ましい。化合物Aと樹脂の含有量の和が、ペースト組成物中の有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して10重量%以上であると、得られる高熱伝導率樹脂組成物の絶縁信頼性や現像性が向上する。また、耐クラック性や基板との接着性も向上する。化合物Aと樹脂の含有量の和が、ペースト組成物中の有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して15重量%以上であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。化合物Aと樹脂の含有量の和が、ペースト組成物中の有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して30重量%以下であると、得られる高熱伝導率樹脂組成物の熱伝導率を大きくすることができ、また、低線膨張率および高弾性率を実現できる。化合物Aと樹脂の含有量の和が、ペースト組成物中の有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して20重量%以下であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。
本発明のペースト組成物は、化合物Aや樹脂の重合を促進するために、ラジカルやカチオン、アニオンなどの活性種を発生する重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤としては、光照射や加熱処理により活性化するものがあり、用途に応じて使い分けることが可能である。ペースト組成物を膜状に形成し、フォトリソグラフィー法によりパターン加工をする場合は、光照射により活性化する重合促進剤を用いる。UV光照射によりラジカルを発生する重合促進剤としては、オキシム系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。また、UV光照射によりカチオンを発生する重合促進剤としては、ホスフォニウム系、スルフォニウム系、ヨードニウム系などが挙げられる。
本発明のペースト組成物は、窒化アルミニウム(AIN)、窒化珪素(Si)、炭化珪素(SiC)および窒化硼素(BN)からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子を含有する。これらの材料の熱伝導率は、焼結体でも粒子でも製造方法や履歴に依存し、粒子の場合は粒径の影響も受けるが、焼結体の場合、温度30℃において、典型的にはそれぞれ170、40、60、150W/m・K程度であることが知られている。
これらの値は一般的な樹脂材料の熱伝導率0.1〜0.3W/m・Kに比べ、いずれも非常に大きい値である。これらの高熱伝導性と絶縁性を合わせもつ無機粒子を樹脂に充填することにより、高熱伝導性と高い絶縁性を有する組成物を得ることができる。より好ましい無機粒子としては、熱伝導率が大きいことから窒化アルミニウムが挙げられる。窒化アルミニウム粒子としては、三井化学(株)製:商品名“MAN−2”、“MAN−10”、“MAN−2A”、(株)トクヤマ製:窒化アルミニウムパウダー、商品名“F”、“H”、東洋アルミニウム(株)製:商品名“トーヤルナイトスーパーJシリーズ、”“トーヤルナイトスーパーFLシリーズ”などがある。窒化アルミニウム粒子の表面処理や表面コートで耐水性を向上させたものも好ましく用いることができる。また、無機粒子は焼結助剤などの添加物を含んでいてもよい。
無機粒子の製造方法は、固相反応法、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法、しゅう酸塩法などの方法が挙げられる。無機粒子の形状は、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状などが挙げられるが、特に、球状あるいは略球状であることが好ましい。球状あるいは略球状の無機粒子は、最も比表面積が少ないために混合時に無機粒子の凝集や樹脂流動性低下などを生じにくいからである。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。
本発明では、ペースト組成物中の無機粒子の含有量は、有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分に対して、40〜95重量%が好ましく、より好ましくは、50重量%以上85重量%以下である。ペースト組成物中の固形成分に対する無機粒子の含有量が40重量%以上であると、無機粒子を含有することにより高熱伝導組成物の熱伝導率が大きくなるという効果が顕著になる。無機粒子の含有量が95重量%以下であると高熱伝導組成物が脆くなりにくい。無機粒子の含有量が50重量%以上であると、半導体用接着組成物の熱膨張係数が十分小さくなり、温度変化に対する信頼性が向上する。無機粒子の含有量が85重量%以下であると、高熱伝導組成物の接着力が十分大きくなり、接着剤として用いる場合に信頼性の高い接着が達成されやすくなる。
無機粒子は、平均粒子径0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。無機粒子の平均粒子径が0.01μm以上であると、空隙を発生させないように、無機粒子を樹脂中に分散させやすくなる。無機粒子の平均粒子径が0.1μm以上であると、結晶性が十分となるため、無機粒子が本来有する高熱伝導性を発揮しやすくなる。20〜30μmのバンプを有する半導体チップの接続を行う場合には高熱伝導組成物の膜厚も同様に20〜30μmとなり、この様な場合に無機粒子の平均粒子径が5μm以下であると、高熱伝導組成物の面方向の熱伝導率分布が均一になりやすい。無機粒子の平均粒子径が3μm以下であると、高熱伝導組成物中での無機粒子の沈降が起きにくくなり、膜厚方向の熱伝導率を大きくしやすくなる。膜厚方向に無機粒子の濃度が低い部分があるとその部分の熱伝導率が律則となり、熱伝導率が低下しやすい。
ここでいう平均粒子径とは、数平均粒子径を指す。ペースト組成物中の無機粒子は、凝集が完全にほぐれた1次粒子の状態にあるものと、複数個の1次粒子が凝集した状態(2次粒子)にあるものが存在する。ここで、ペースト組成物中の無機粒子の粒子径とは、凝集していない1次粒子はその粒子の粒子径であり、1次粒子が凝集したものはその凝集体の粒子径である。
なお、本発明の無機粒子の平均粒子径の測定は、高熱伝導組成物の硬化薄膜の超薄切片に対するXMA測定、および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により行うことができる。この超薄切片には、高熱伝導組成物の硬化薄膜を、膜厚方向に断面を切り出したものを用いる。無機粒子とポリイミドなどの有機物では電子線に対する透過率が異なるので、TEM観察像中で無機粒子と有機物はコントラストの違いにより識別できる。複数種の無機粒子が使用されている場合の各無機粒子の同定は、XMA測定に基づく元素分析および電子線回折像観察による結晶構造解析により行うことができる。TEM観察像の画像解析から、無機粒子とポリイミドなどの有機物の面積の分布を求め、無機粒子像の断面を円形と近似して面積から粒子径を算出できる。この粒子径の評価は倍率5000倍と40000倍のTEM画像について行えばよい。算出された粒子径の分布を倍率が5000倍のTEM画像において0.1μm刻みのヒストグラム、倍率が40000倍のTEM画像において0.01μm刻みのヒストグラムで表す。得られたヒストグラムの各カラムに対し、その中心値と度数の積を求める。次にそれらの積の和を度数の総和で除したものを平均粒子径とする。なお、粒子径分布の評価は、TEMのかわりに走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、上記と同様の解析を行うことによってもできる。
一般に無機粒子の粒成長や焼結などの一次粒子の形状変化が起きる温度は、ポリイミドなどの樹脂の硬化温度より遙かに高い場合が殆どであるので、そのような場合は、無機粒子をポリイミドなどに分散させる前の原料段階で無機粒子の粒子径を評価してもよい。この場合、無機粒子を直接、前記と同様のTEMやSEMを用いて観察し、それにより得られた観察像の画像解析により求めることができる。
本発明の無機粒子の表面処理を行ってもよく、シラン系、チタン系、アルミニウム系などの各種カップリング剤、脂肪酸などによる処理のほか、ロジン処理、酸性処理、塩基性処理などが挙げられる。
本発明のペースト組成物は有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。
本発明のペースト組成物はシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を含有することにより、フォトリソグラフィー法によるパターン加工において露光部のパターンの細りや剥がれを低減し、クラックの発生を抑制できるため、明瞭なパターン形状を実現できる。また、未露光部の残渣をより低減することもできる。一般に、シランカップリング剤には無機材料と有機材料との接着性を向上させる効果があることが知られている。本発明においても、組成物中の樹脂成分と無機成分との接着性や、組成物中の樹脂成分とシリコンウエハーなどの無機基板との接着性を向上させ、フォトリソグラフィー法によるパターン加工において露光部のパターンの細りや剥がれを低減し、クラックの発生を抑制するという効果が期待できる。一方、フォトリソグラフィー法によるパターン加工における未露光部の残渣を低減する効果に関しては、以下のような理由が考えられる。未露光部に現像液が接触すると、樹脂や化合物Aなどが溶出し、また、化合物Aに捕捉された無機粒子も溶出する。現像時に化合物Aが無機粒子から脱離すると、表面がむき出しになった無機粒子が互いに凝集し、その近傍の樹脂なども凝着し、現像残渣となる。しかし、シランカップリング剤が存在すると、シランカップリング剤が無機成分である無機粒子と有機成分である化合物Aの結合力をより強固にするため、現像時の無機粒子の分散性が保たれ、組成物が速やかに溶出し、残渣が生じにくくなる。
シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、無機粒子100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が無機粒子100重量部に対して0.1重量部以上であれば、上記のようなフォトリソグラフィー法における現像性の向上の効果が大きくなる。また、シランカップリング剤の含有量が無機粒子100重量部に対して5重量部以下であれば、シランカップリング剤自体の特性により高熱伝導率樹脂組成物の熱伝導率が低下することを抑えることができる。
また、本発明のペースト組成物は、化合物A以外の分散剤を含有してもよい。化合物A以外の分散剤の含有量は、無機粒子100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下であることが好ましい。化合物A以外の分散剤の含有量が、0.5重量部以上であれば、無機粒子の分散性を向上させる効果が顕著であり、20重量部以下であれば、ペースト組成物から得られる高熱伝導率樹脂組成物の耐熱性や熱伝導率が低下することを抑えることができる。
その他、本発明のペースト組成物には、pH調整剤、界面活性剤、湿潤剤、重合促進剤、重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
次に、本発明のペースト組成物の製造方法について詳細に説明する。無機粒子(2次粒子、凝集状態のものを含む)、化合物A、有機溶媒、および必要に応じて他の樹脂やシランカップリング剤などを所定の分量で混合し、攪拌する。混合直後は、無機粒子の表面を空気の層が覆っているため、無機粒子と有機溶媒との濡れが十分でなく、粘度が増加する場合がある。その場合は、無機粒子と有機溶媒が完全に濡れるまで、回転羽根などで時間をかけて攪拌することが好ましい。
化合物Aや、必要に応じて加える樹脂、シランカップリング剤などは、無機粒子との混合の際に、当初から全量を加えておいてもよいし、当初は一部のみを加えておき、後で残りの量を加えてもよい。分散処理前にこれらの物質を加えておくと、分散処理後に加える場合と比較して、ペースト組成物中の物質を均一に混合することができる。一方で、ペースト組成物の粘度が上がり分散処理の効率が悪くなる、あるいは分散処理後のペースト組成物の保存安定性が悪くなるなどのことが生じる場合がある。また、後から残りの量を加える場合は、分散処理後にその全量を加えてもよいし、分散処理中のペースト組成物の粘度などの性状を測定しながら、徐々に加えることもできる。
混合、攪拌後、分散メディアを加えて無機粒子の分散処理を行う。無機粒子を分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波分散、ボールミル、ロールミル、クレアミックス、ホモジナイザー、メディア分散機などの方法を用いることができるが、特に、分散性の点でボールミル、ホモジナイザー、ビーズミルを用いることが好ましい。
分散メディアとしてビーズを用いる場合は、金属製、セラミック製、ガラス製のものを好ましく使用できる。これらの具体的な材質としては、ステンレス、鉄、銅、クロム、ニッケル、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、ケイ酸ガラス、石英などが挙げられる。特に、硬度が高いジルコニア製ビーズが好適に使用できる。ジルコニアとしては強度が大きいことからイットリア安定化ジルコニアを用いることが好ましい。
作製したペースト組成物を硬化させて、重合体中に無機粒子が分散した高熱伝導率樹脂組成物を製造することができる。例えば、ペースト組成物をある被着体(例えば基板)に塗布し、有機溶媒を除去し、加熱処理や光照射などによりペースト組成物を硬化させ、高熱伝導率樹脂組成物を製造することができる。また、光照射により硬化するペースト組成物を用いた場合は、フォトリソグラフィー法により、所望のパターン形状を有する高熱伝導率樹脂組成物を製造することができる。ただし、本発明の高熱伝導率樹脂組成物は焼結体ではないので、樹脂を完全に分解、除去する必要はなく、電子部品の耐熱温度範囲内(例えば、500℃以下の温度)で加熱することが好ましい。
シリコンウエハーなどの被着体とペースト組成物との接着性を高めるために、被着体表面にシランカップリング剤などによる表面処理を施すことができる。例えば、シランカップリング剤などをイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルなどの有機溶媒に0.5から20重量%溶解させた溶液を、回転塗布、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などにより被着体へ塗布する。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度で加熱することで、基板とシランカップリング剤との反応を進行させる。また、被着体を高温で加熱し、被着体表面の吸着水などを取り除くことも表面処理方法として有効である。この場合、例えば80℃から400℃の温度にて行うことができる。
ペースト組成物を塗布する被着体は、例えば、金属、シリコンウエハー、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものから選択できるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。
また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
ペースト組成物を被着体に塗布する方法としてはスピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーターなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
次に基板上に塗布したペースト組成物膜から有機溶媒を除去する。有機溶媒を除去する方法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱乾燥や真空乾燥などが挙げられる。加熱乾燥は50℃から180℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
有機溶媒を除去した後に、用いたペースト組成物中の化合物Aあるいは樹脂の硬化機構に応じて、加熱処理や光照射などによりペースト組成物の硬化反応を進行させる。この場合、光照射後に加熱処理をするなど硬化を完全に進めるために複数の処理を組み合わせてもよい。加熱処理温度は120℃から400℃の範囲内で、一定温度あるいは段階的に昇温し、処理時間は5分から5時間の範囲で実施することができる。また、加熱処理を100℃以上で行う場合は、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合体の酸化を抑制するので好ましい。また、酸素により活性が失われるラジカルを発生させる重合促進剤を用いた組成で硬化を行う場合も、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合を阻害しないので好ましい。
有機溶媒除去後のペースト組成物膜上に、フォトリソグラフィー法によりパターン加工を行う場合は、所望のパターンを有するマスクを通して露光する。露光に用いられる光源としては水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
露光後、現像液を用いて未露光部を除去することによって所望のパターン形状を有する高熱伝導率樹脂組成物が得られる。アルカリ現像を行う場合の現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは複数種添加してもよい。また、これらのアルカリ水溶液に界面活性剤を添加したものを現像液として使用することもできる。界面活性剤を添加した現像液を用いると、現像時に未露光部のペースト組成物が基板上に残渣として残ることを低減することができ好ましい。界面活性剤としては、エーテル型非イオン性界面活性剤“エマルゲンA60”(商品名、花王(株)製)などが挙げられる。
有機現像を行う場合の現像液としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの極性溶媒を単独あるいは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、水、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどと組み合わせた混合溶液が使用できる。
現像は、基板を静置または回転させながら上記の現像液を塗膜面にスプレーする、基板を現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。
現像後、水によるリンス処理を施してもよい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。また、現像後に露光部の硬化を完全に進めるために加熱処理を行ってもよい。
高熱伝導率樹脂組成物の空隙率は、小さいほど好ましい。空隙率が小さいと膜体積中に占める無機粒子の割合が大きくなり、熱伝導率が大きい高熱伝導率樹脂組成物が得られやすい。また空隙率が小さいと熱伝導率の均一性が高くなり、さらには曲げ強さの低下などが起こらない。
本発明の高熱伝導率樹脂組成物の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができるが、特に膜状であることが好ましい。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中のペースト組成物および高熱伝導率樹脂組成物の評価は以下の方法により行った。
<ペースト組成物中の無機粒子の平均粒子径の測定方法>
カーボン蒸着したコロジオン膜上に、ペースト組成物を滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡“H−7100FA”(商品名、日立製作所(株)製)にて無機粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフト“FlvFs”(商品名、(株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
<高熱伝導率樹脂組成物の膜厚の測定方法>
触針式段差計“サーフコム1400”(商品名、(株)東京精密製)を用いて測定を行った。膜厚の測定はランダムに3箇所の位置にて測り、その3点の平均値を膜厚とした。測長は1mm、走査速度は0.3mm/sとした。
<高熱伝導率樹脂組成物の現像性の評価方法>
基板上に、一定のラインアンドスペース(L/S)で配列する直線群を1つのユニットとし、ラインアンドスペースの値が異なる10種類のユニットにパターン加工された高熱伝導率樹脂組成物からなる膜を得た。各ユニットのラインアンドスペースの値は500/500、250/250、100/100、50/50、40/40、30/30、25/25、20/20、15/15、10/10μmとした。高熱伝導率樹脂組成物のパターンを光学顕微鏡を用いて観察し、パターン間に残渣がなく、かつパターン剥がれのない最小のラインアンドスペースを持つパターンを確認し、この最小のラインアンドスペースの値を現像可能なL/Sとした。
<熱伝導率の評価方法>
樹脂成分を完全に硬化させたサイズが直径10mm、厚さ3mmである高熱伝導率樹脂組成物のサンプルを作製し、熱拡散率をレーザーフラッシュ法で30〜100℃の範囲で測定した。装置にはアルバック理工(株)製TC−7000を用いた。比熱を示差走査熱量計(エスアイアイテクノロジー(株)製DSC6100)を用いて測定し、アルキメデス法により、比重を測定した。熱拡散率と比熱と密度の積としての熱伝導率を算出した。
<絶縁信頼性の評価方法>
厚み1μmの酸化膜が形成されたシリコンウエハー上に、電極材料としてTiN厚さ0.1μm/Al99.5%-Cu0.5%合金厚み0.6μmがこの順にラインアンドスペース(L/S)が20μm/10μmで櫛歯状形成されたものを電極を「Al櫛歯電極」とし用いた。
厚み0.4μmの熱酸化膜と厚さ0.8μmのSiNx膜が形成されたシリコンウエハー上に、電極材料として厚さ0.08μmのCr/厚さ0.25μm/Cuがこの順にラインアンドスペース(L/S)が10μm/10μmで櫛歯状形成されたものを電極を「Cu櫛歯電極」とし用いた。
Al櫛歯電極、Cu櫛歯電極上に、樹脂成分を完全に硬化させた高熱伝導率樹脂組成物のサンプルを作製し、温度85℃、湿度85%RHに設定された恒温恒湿槽内にサンプルを入れ、槽内環境が安定してから5分経過後、櫛歯電極の両端に電圧を印加し、絶縁抵抗の経時変化を1000時間測定した。印加電圧は、櫛歯のL/Sのスペース10μmに対して20Vの電圧を印加した。
実施例1
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)60.06g(0.164モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.48g(0.01モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール5.4g(0.050モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物62.04g(0.2モル)をNMP60gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水6Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、200℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られたポリマー粉体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。次に、このポリマー粉体20gに光重合開始剤のOXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)2.8g、重合禁止剤の0.5%フェノチアジン溶液1.2g、熱架橋性化合物のHMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)、濃度20%)17.2g、PDBE−250(商品名、(株)日本油脂製。重合性不飽和二重結合を有する化合物)10.2g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(重合性不飽和二重結合を有する化合物)1.2gをジアセトンアルコール10.2g、乳酸エチル7.4gに溶解した溶液を攪拌脱泡し、さらに保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液を得た。
セラミックス容器(フリッチュ(株)製、容量500ml)に、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)33.3g、化合物A“HOA−MPL”(商品名、共栄社化学(株)製、上記一般式(4)で表され、Rが水素原子であり、Rが上記一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)0.89g、無機粒子として窒化アルミニウム(AlN)粒子(平均粒子径1.4μm)89.11gを混合した。
次いで、ジルコニアビーズ((株)ニッカトー製、YTZボール、寸法φ0.4mm)を150g投入した。このセラミックス容器を遊星式ボールミル“P−6型”(商品名、フリッチュ(株)製)を用いて回転数200rpmで2時間攪拌した後、メッシュ付き漏斗でジルコニアビーズを除去し、分散液を得た。
100gの分散液と55.32gの樹脂溶液をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物を得た。また、ペースト組成物中のAlN粒子の平均粒子径は0.6μmであった。
上記ペースト組成物をL/S=20/10μmのAl櫛歯電極、L/S=10/10μmのCu櫛歯電極上に塗布し、大気中でホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥した後、超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いて、50mJ/cmの紫外線を照射し、更に光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下、280℃で60分間熱処理し、膜状の硬化物を得た。温度85℃、相対湿度85%、櫛歯電極間印加電圧20V、1000時間経過後の絶縁信頼性の評価を行ったが、Al櫛歯電極の場合は、1010Ωより大きく、Cu櫛歯電極の場合は、10Ωより大きく、いずれの場合にも抵抗劣化は確認されなかった。また、この硬化物中のAlN粒子の含有率(無機粒子含有率)は70.4重量%であった。硬化物中のAlN粒子の含有率の評価は、熱重量分析により、加熱前室温での硬化物の重量と、硬化物を大気中800℃まで加熱し有機成分を完全に分解蒸発させた後の重量から算出した。
ペースト組成物をスピンコーターを用いて、シリコンウエハー基板上に塗布し、大気中でホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥した。次に、超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)に500/500、250/250、100/100、50/50、40/40、30/30、25/25、20/20、15/15、10/10μmのラインアンドスペース(L/S)マスクをセットし、サンプルとマスクの間を密着条件下で、50mJ/cm(波長365nm換算)の紫外線を照射した。露光後、ホットプレートを用いて120℃で1分間ベークした。現像には、スプレー型現像装置“AD−2000”(商品名、滝沢産業(株)製)を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.15MPaで現像液を10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧、10秒間浸漬現像、現像液の除去、10秒間噴霧を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。現像後の膜を光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンINL−60を用いてN雰囲気下、280℃で60分間熱処理し、パターン形成された高熱伝導率樹脂組成物膜を得た。パターン加工された高熱伝導率樹脂組成物の膜厚は12μmであった。ラインアンドスペース(L/S)パターンを光学顕微鏡を用いて確認したところ、L/Sが15/15μmまでパターン間残渣、パターン剥がれがなく、良好にパターン加工されていることを確認した。また、熱伝導率は1.4W/m・Kであった。
実施例2〜15
表1に示す組成のペースト組成物を実施例1と同様の方法で製造し、これを用いて評価用高熱伝導率樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
比較例1〜4
表1に示す組成のペースト組成物を実施例1と同様の方法で製造し、これを用いて評価用高熱伝導率樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
比較例5
化合物Aの代わりに、重合性基を有しないリン酸化合物(リン酸エステル骨格を有する酸基を持つコポリマー、ビックケミー・ジャパン(株)製、BYK−W9010)を用いた以外は表1に示す組成のペースト組成物を実施例1と同様の方法で製造し、これを用いて評価用高熱伝導率樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
Figure 0005407163

Claims (5)

  1. (A)窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素および窒化硼素からなる群より選択される少なくとも1種の無機粒子、(B)下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、および(C)有機溶媒を含み、(A)無機粒子の平均粒子径が0.01〜5μmであるペースト組成物。
    Figure 0005407163
    (上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
    Figure 0005407163
    (上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
  2. 前記一般式(1)〜(4)におけるRが下記一般式(6)で表される1価の基である請求項1記載のペースト組成物。
    Figure 0005407163
    (上記一般式(6)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。また、nは1〜3の整数である。)
  3. (B)の化合物が前記一般式(4)で表され、一般式(4)中、Rが水素原子であり、Rが前記一般式(6)で表される1価の基であり、一般式(6)中、nが2である請求項2記載のペースト組成物。
  4. さらに、樹脂を含む請求項1〜3のいずれか記載のペースト組成物。
  5. 樹脂がポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体である請求項4記載のペースト組成物。
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