JP2002353631A - 回路基板とその製造方法 - Google Patents

回路基板とその製造方法

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JP2002353631A
JP2002353631A JP2001158704A JP2001158704A JP2002353631A JP 2002353631 A JP2002353631 A JP 2002353631A JP 2001158704 A JP2001158704 A JP 2001158704A JP 2001158704 A JP2001158704 A JP 2001158704A JP 2002353631 A JP2002353631 A JP 2002353631A
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electrical insulator
hole
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metal
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Mitsuhiro Matsuo
光洋 松尾
Hiroyuki Handa
浩之 半田
Koichi Hirano
浩一 平野
Seiichi Nakatani
誠一 中谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な放熱特性を有する回路基板において、
スルーホール形成のための貫通孔をドリルによって形成
する際、ドリル刃の磨耗度合いが著しく、穴あけ加工時
の生産コストが増大した。 【解決手段】 回路基板のスルーホール105を形成す
る部分に、絶縁基板のほぼ全体に形成された第1の電気
絶縁物102に対して、少なくともスルーホール105
の周囲にフィラー充填率の低い第2の電気絶縁物103
を絶縁基板中に配置することで、貫通孔に隣接する第1
の電気絶縁物102の厚みを薄くした。これにより、ド
リル刃が絶縁層を掘削する面積を減少させ、ドリル刃の
磨耗度合いを低く抑えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機フィラーと熱
硬化性樹脂を絶縁層に用いた高熱伝導性を有する回路基
板に関するものであり、さらに詳しくは、多層基板の層
間接続用のためのスルーホールのための貫通孔の生産性
を向上できる回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器における軽薄短小の要求
から、半導体素子や電子部品を高密度に実装する回路基
板が安価に供給されることが強く要求されている。この
要求を満足させるための回路基板には、配線の微細化と
スルーホール等による層間接続を用いた多層化で配線密
度を向上させることが必要不可欠とされている。
【0003】この一例としてガラス‐エポキシ樹脂によ
る両面プリント基板は、一般的な基板として幅広く用い
られている。両面プリント基板を成形するには、まずガ
ラス繊維で織った布に半硬化のエポキシ樹脂を含浸させ
たプリプレグ材の両面に銅箔に代表される金属箔を張り
あわせた金属張り積層板を形成する。その後、スルーホ
ールのための貫通孔をドリルなどで形成した後、金属張
り積層板をめっき槽にいれてめっき処理をおこない、貫
通孔内部に導電膜を形成する。最後に両面の金属箔を加
工して導体回路パターン以外の領域を除去することで形
成される。
【0004】その一方で、基板の発熱密度の上昇が顕著
になっている。その場合、素子の発熱により基板内部に
熱がこもりやすくなり、部品の信頼性に支障をきたす恐
れがあり、これを解決するためには、放熱性に富んだ回
路基板が必要不可欠となる。そのため近年、絶縁基板の
材料として熱硬化性樹脂に無機フィラーを高充填した高
熱伝導性を有する電気絶縁物を用いることで放熱性に富
んだ基板が開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高熱伝
導性を有する電気絶縁物の内部には、セラミックフィラ
ー等の高い硬さを有する無機フィラーを含むためにスル
ーホールのための貫通孔を形成する際に、ドリル刃の磨
耗が著しくなっていた。特に絶縁層の厚みが増加した
り、無機フィラーの充填比率が増加すると、ドリルの磨
耗度合いは、一層顕著なものとなる。結果として、通常
のガラス‐エポキシ樹脂による両面プリント基板に比べ
て貫通孔の加工生産性は著しく低下し、生産コストが増
大してしまう。
【0006】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、絶縁基板の厚み方向における両面に導体
回路パターンが形成され、基板の厚み方向に対面する任
意の導体回路パターン間がスルーホールを介して電気的
に接続されていて、その絶縁基板はほぼ全体に形成され
た第1の電気絶縁物と少なくともスルーホールの周囲に
形成された第2の電気絶縁物から構成されている回路基
板である。これにより貫通孔を形成する部分に隣接する
第1の電気絶縁物の厚みを回路基板全体の厚みに対して
十分薄くなることを特徴とする回路基板の構造を提供す
る。この手法によれば、ドリルが貫通孔加工時に絶縁樹
脂混合物に接触する面積が減少してドリルの刃が磨耗す
る度合いを減少させることが可能となる。さらにドリル
刃の寿命を長くすることが可能あり、その結果、電子部
品の取り付け用リード線の挿入孔やスルーホール付き回
路基板における貫通孔の加工生産性は飛躍的に向上し、
生産コストの削減に大いに貢献できる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、絶縁基板の厚み方向における両面に導体回路
パターンが形成され、基板の厚み方向に対面する任意の
導体回路パターン間がスルーホールを介して電気的に接
続されている回路基板において、前記絶縁基板はほぼ全
体に形成された第1の電気絶縁物と少なくともスルーホ
ールの周囲に形成された第2の電気絶縁物から構成され
ていることを特徴としており、これにより次のような作
用を有する。即ち、スルーホールのための貫通孔を絶縁
基板に形成するにあたり、貫通孔周囲に第2の電気絶縁
物を絶縁基板内部に配置することで、貫通孔形成部にお
ける絶縁基板中の第1の電気絶縁物を貫通する距離を可
能な限り短くでき、ドリル刃の磨耗を低く抑えることが
可能となる。これにより、ドリル刃の交換回数が減少
し、生産コストの削減に貢献することができる。また、
スルーホールを形成することにより、パターン間の立体
的な接続が可能となり、機器における小型かつ高密度な
実装が可能となる。
【0008】本発明の請求項2または3に記載の発明
は、請求項1に係る回路基板であって、電気絶縁物は少
なくとも樹脂組成物と無機フィラーから構成されてお
り、第2の電気絶縁物には無機フィラーが含まれていな
いか、または、第1の電気絶縁物に比べて無機フィラー
の重量比率が低いことを特徴し、これにより次のような
作用を有する。即ち、第2の電気絶縁物における無機フ
ィラーの重量比率を低くすることで、スルーホールのた
めの貫通孔の形成が容易になり、かつ無機フィラーを含
有することで高熱伝導を維持しながら、スルーホールが
形成されるため、スルーホールが形成される導体回路パ
ターン周囲の温度上昇を低く押さえることが可能であ
る。
【0009】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
2または3に記載の回路基板に関わり、第1の電気絶縁
物には無機フィラーが70〜95重量%含有されている
ことを特徴し、これにより次のような作用を有する。即
ち、無機フィラーの充填率が70重量%よりも低い場合
には、回路基板の熱伝導性が低下し、高熱伝導性を有す
る回路基板の材料として不適になる。また、無機フィラ
ーの充填率が95重量%よりも高い場合には、フィラー
同士を結着させる樹脂組成物の量が低下するため、硬化
後の回路基板の機械的強度や絶縁性が悪くなる。
【0010】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
2または3に記載の回路基板に関わり、前記無機フィラ
ーとして、ガラス、SiC、アルミナ、シリカ、マグネシ
ア、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素のうちから選
ばれた少なくとも一つを含むものを用いることを特徴と
することを特徴とし、これにより次のような作用を有す
る。即ち、アルミナ、窒化アルミニウムを用いた場合に
は、熱伝導性に優れた回路基板となる。また、マグネシ
アを用いた場合には、熱伝導度が良好になるだけでな
く、かつ熱膨張係数を大きくすることができる。さらに
は、シリカ(特に、非晶質シリカ)であれば、熱膨張係
数が小さく、かつ、軽量で誘電率の小さい回路基板とす
ることができる。また、これら無機フィラーの粒径が
0.1〜100μmの範囲にあることが好ましい。粒径
が小さすぎても大きすぎても、粉体組成物を加熱加圧し
て硬化させた場合の無機フィラーの充填率が低下し、熱
伝導基板の放熱性が悪化するだけでなく、回路基板と半
導体素子の熱膨張係数の差が大きくなり、基板の材料と
して適さなくなる。
【0011】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
2または3に係る回路基板であって、前記第2の電気絶
縁物に金属フィラーを加えたことを特徴としており、こ
れにより次の作用を有する。即ち第2の電気絶縁物に金
属フィラーを混合することで導電性を有し、第2の電気
絶縁物が形成されている回路パターンの周辺における電
気抵抗を小さくすることが可能である。
【0012】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
2または3に係る回路基板であって、第2の電気絶縁物
に含まれる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂または感光性樹
脂にて構成されていることを特徴としており、これによ
り次の作用を有する。即ち、樹脂組成物としてエポキシ
系樹脂、フェノール系樹脂もしくはシアネート系樹脂の
うちの少なくとも一つを含む熱硬化性樹脂を用いること
で、高温時における電気絶縁性に優れた回路基板を得る
ことができる。特に、エポキシ系樹脂は、半導体封止樹
脂やプリント基板等で良く知られているように、電気特
性ばかりでなく、耐薬品性、機械的性能(強度等)に優
れた材料である。また感光性樹脂においても耐熱性を有
するものを用いれば、第2の電気絶縁物を微細な形状に
加工することが可能である。
【0013】本発明の請求項8に記載の発明は、本回路
基板を実現するための製造方法について、少なくとも無
機フィラーと樹脂組成物からなる第1の電気絶縁物をシ
ート状にする工程と、前記シート状の第1の電気絶縁物
における厚み方向の両面に金属箔を配置し、その一方の
金属箔における第1の電気絶縁物と接する表面におけ
る、少なくともスルーホールが形成される場所に、任意
の形状を有する第2の電気絶縁物が形成される工程と、
前記第2の電気絶縁物が絶縁基板の内部に埋設されるよ
うに熱プレスで加熱加圧して金属張り積層板を成形する
工程と、前記金属張り積層板の第2の電気絶縁物が形成
されている部分の厚み方向に対して貫通孔を形成する工
程と、前記貫通孔を形成した金属張り積層板に対して、
めっき処理を施してスルーホールを形成する工程と、前
記金属張り積層板の表面にパターンニングを施すことに
より、導体回路パターンを形成する工程とからなる。
【0014】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
8に係る回路基板の製造方法であって、前記金属箔にお
けるシート状の第1の電気絶縁物と接する面には、任意
の形状を有する第2の電気絶縁物が形成されていること
を特徴としており、これにより次の作用を有する。即
ち、金属張り積層板を構成する片面のみならず両面の金
属箔における第1の電気絶縁物と接する面に、第2の電
気絶縁物を形成しても、同様な効果を有する回路基板を
製造することが可能である。
【0015】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項8または9に記載の回路基板に係わるもので、一様に
平らな金属箔の上に、マスクを用いた印刷工法により第
2の電気絶縁物を形成することを備えており、これによ
り、熱硬化性樹脂と無機フィラーを主成分として構成さ
れる第2の電気絶縁材料を金属箔の上に容易に形成する
ことが可能である。
【0016】本発明の請求項11に記載の発明は、請求
項8または9に記載の回路基板に係わるもので、一様に
平らな金属箔の上に、フォトリソを用いた工法によって
第2の電気絶縁物を形成することを備えている。これに
より、感光性樹脂と無機フィラーを主成分として構成さ
れる第2の電気絶縁物を一様に平らな金属箔上に容易に
形成することが可能であり、フォトエッチングにより露
光、現像することで任意の形状を有する第2の電気絶縁
物を形成することが可能である。
【0017】本発明の請求項12に記載の発明は、本回
路基板を実現するための製造方法について、少なくとも
無機フィラーと未硬化状態の樹脂組成物からなる第1の
電気絶縁物をシート状に加工する工程と、前記無機フィ
ラーと未硬化状態の樹脂組成物から構成される第1の電
気絶縁物のシート状物における、少なくともスルーホー
ルが形成される周囲に貫通孔を形成し、前記貫通孔に第
2の電気絶縁物を充填する工程と、前記貫通孔に第2の
電気絶縁物が充填された第1の電気絶縁物のシート状物
における両面に金属箔を配置して、加熱加圧すること
で、前記シート状物中の樹脂組成物を硬化させて金属張
り積層板を成形する工程と、前記金属張り積層板の第2
の電気絶縁物が形成されている部分の厚み方向に対して
貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成した金属張
り積層板に対して、めっき処理を施してスルーホールを
形成する工程と、前記金属張り積層板の表面の金属箔を
加工して、導体回路パターンを形成する工程とからな
る。
【0018】本発明の請求項12に記載の発明は、請求
項11に記載の回路基板の製造方法に係わり、未硬化状
態である第1の電気絶縁物のシート状物における厚み方
向に形成された開口部に対して、感光性樹脂を含む第2
の電気絶縁物を充填した後、紫外線露光を行うことを特
徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の回路基板にかかる
実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0020】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1によるスルーホールを有する回路基板の構成を示
す断面図である。図1において、本回路基板101は、
第1の電気絶縁物102、第2の電気絶縁物103、導
体回路パターン104、スルーホール105で構成され
る。特にスルーホールを形成したい部分には、選択的に
第2の電気絶縁物を配置するので、ドリル刃が掘削する
第1の電気絶縁基物の厚みを回路基板の厚みに対して十
分薄くすることが可能である。即ち、硬い無機フィラー
を有する第1の電気絶縁物を貫通する距離を短くするこ
とで、ドリル刃の磨耗を少なくし、寿命を長くすること
ができる。
【0021】上記構成において、第1の電気絶縁物は、
少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂と無機フィラーか
らなる絶縁物とをシート状に加工することで、熱伝導性
に優れた絶縁シート材を作製する。この絶縁シート材に
含まれる熱硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂、フェノール
系樹脂若しくはシアネート系樹脂の少なくとも1種類か
ら構成されるのが好ましい。何故なら、これらの樹脂を
用いて回路基板を形成すれば、高温時における電気絶縁
性に優れた回路基板を得ることができるからである。特
に、エポキシ系樹脂は、半導体封止樹脂やプリント基板
等で良く知られているように、電気特性ばかりでなく、
耐薬品性、機械的性能(強度等)に優れた回路基板とな
る。
【0022】また、無機フィラーは、アルミナ、シリ
カ、マグネシア、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素から
選ばれた少なくとも1種の粉末で構成されるのが好まし
い。即ち、アルミナ、窒化アルミニウムを無機フィラー
として用いた場合には、熱伝導性に優れた回路基板とな
る。また、マグネシアでは、熱伝導度が良好になり、か
つ熱膨張係数を大きくすることができる。さらには、シ
リカ(特に、非晶質シリカ)であれば、熱膨張係数が小
さく、かつ、軽量で、さらには、誘電率の小さい回路基
板とすることができる。無機フィラーの添加量は、絶縁
シート材全体の70〜95重量%程度が好ましいが、良
好な熱伝導性を要求される回路基板においては、88重
量%以上の高い無機フィラー充填量にすることが望まし
い。
【0023】第2の電気絶縁物は、少なくとも未硬化状
態の樹脂組成物と無機フィラーからなる絶縁物を一様な
厚みの金属箔上にスクリーン印刷することで形成され
る。この樹脂組成物は、エポキシ系樹脂、フェノール系
樹脂若しくはシアネート系樹脂の少なくとも1種類から
構成されるのが好ましい。
【0024】また、未硬化状態の樹脂組成物として感光
性樹脂を用いて、第2の電気絶縁物を金属箔の一方面に
一様な厚みに塗布した後、マスクパターンを用いて紫外
線露光、現像を施しても同様の効果が得られる。特に、
印刷版で形成するのが難しい形状の場合には、このよう
に感光性樹脂を使用するのが有効である。
【0025】導体回路パターン104は銅などの電気良
導性の金属からなることが望ましい。これら導体回路パ
ターンは電気絶縁物の表面に接着一体化された構造を有
している。そして導体回路パターンの絶縁基板と接着一
体化されている面は粗化されていることが好ましい。こ
れによりアンカー効果が得られ、電気絶縁物との接着が
良好になり、回路基板の信頼性が向上する。
【0026】スルーホール105は回路基板の表面に形
成される導体回路パターン間を厚み方向に貫くように形
成した貫通孔内部に対して、めっき処理を施すことで形
成する。この貫通孔は、絶縁基板の第2の電気絶縁物が
配置されている部分に形成されるため、貫通孔に隣接す
る第1の電気絶縁物の厚みを回路基板の厚みに対して十
分薄くしている。これにより、貫通孔を形成する際のド
リル刃の摩耗度合いを低く抑えて、穴加工の生産性が高
まる。また、スルーホールを形成することによりパター
ン間の立体的な接続が可能となり、これにより、機器に
おける小型かつ高密度な実装が可能となるだけでなく、
スルーホールを形成することでパターンと樹脂層間の密
着強度が向上する。
【0027】次に、本実施の形態にかかる回路基板の製
造方法を図2(a)〜(g)を用いて以下に示す。ま
ず、図2(a)に示されるように、少なくとも無機フィ
ラーと熱硬化性樹脂から構成される未硬化状態である第
1の電気絶縁物のシート状物201を作成する。本シー
ト状の第1の電気絶縁物は、攪拌混練機により無機フィ
ラーと液状の熱硬化性樹脂、適度の溶剤とを混合しスラ
リー状とする。この攪拌混練機は容器自身を自転させな
がら公転させるもので、混練する樹脂の粘度が比較的高
くても、十分な脱泡作用、分散状態が得られる。スラリ
ー状物は、離型フィルム上にドクターブレード法により
造膜した後、この造膜シートを一定温度下で乾燥させ
た。なお、スラリー状に混合する際に粘度調整用に加え
た溶剤はこの乾燥処理により揮発する。前記乾燥処理に
より適度な粘性を有し、未硬化状態のシート状の絶縁物
が得られた。
【0028】次に図2(b)に示されるように、一様な
厚みを有する金属箔203の一方主面に、第2の電気絶
縁物202を形成する。第2の電気絶縁物202は、金
属箔の上に熱硬化性樹脂を、パターン版を用いて印刷配
置する。また、熱硬化性樹脂の代わりに、感光性樹脂を
用いた第2の電気絶縁物を金属箔上に塗布し、ミラーパ
ターンを用いて露光、現像することでも形成できる。
【0029】その後、図2(c)に示すように、未硬化
状態である第1の電気絶縁物201のシート状物におけ
る両面に対して、一方面には図2(b)で作製した第2の
電気絶縁物つき金属箔を、第1の電気絶縁物201と第
2の電気絶縁物202が相対向するように重ね合わせ配
置した後に、相対的に面方向に対して加圧、加熱するこ
とで電気絶縁物の硬化および金属箔と電気絶縁物との接
着を行って、図2(d)の金属張り積層板204を形成
する。このとき、印刷配置された第2の電気絶縁物20
2の間に第1の電気絶縁物201を押し込むことで絶縁
基板内部に隙間なく樹脂を押し込む。
【0030】このとき、少なくとも貫通孔形成部に存在
する第1の電気絶縁物201の厚み(図2(d)中、符
号tで表示)を、2mm以下に設定することが好まし
い。これは次のような理由による。即ち、厚みtが2m
m以上であると、貫通孔を形成する際に、ドリル刃が掘
削する第1の電気絶縁物が厚くなりドリル刃の磨耗が著
しくなる。また、絶縁基板が厚くなると基板の熱抵抗が
高くなって放熱効率が極端に低下し、場合によっては回
路基板上に実装した電子部品(半導体装置等)の発熱温
度以上まで温度が上昇して、電子部品を破壊させてしま
うことにもなりかねない。以上の理由により、上記厚み
tを2mm以下に設定するのが好ましい。
【0031】そうして、金属張り積層板204は、図2
(e)に示すように、導電層から回路基板の厚み方向に
対して貫通孔205をドリル加工によって形成したのち
に、図2(f)に示されるようにめっきを施し、スルー
ホール206を形成する。めっきの方法としては、公知
の技術で行われるものであればよく、例えば電解銅めっ
きや無電解銅めっきが使用される。その後、金属箔の表
面をエッチングにより加工して、導体回路パターン20
7を形成することで、図2(g)に示すスルーホールを
有する回路基板になる。エッチング方法は、特に限定さ
れず、例えば化学エッチングによる方法が使用できる。
【0032】スルーホールを有する回路基板は以上のよ
うに構成され、かつ製造されるため、次のような利点を
有する。即ち、スルーホール用の貫通孔を金属張り積層
板に形成するにあたり、第1の電気絶縁物を貫通する距
離を可能な限り短くすることでドリル刃の磨耗の度合い
を低く抑え、これにより、ドリル刃の交換回数が減少
し、生産コストの削減に貢献することができる。またこ
の工法によれば、回路基板の厚み方向に対向する任意の
導体回路パターンにスルーホールを形成することが可能
であるために、高密度化実装が可能となり、機器の小型
化に貢献できる。
【0033】(実施の形態2)図3(a)〜(e)は、
本発明における実施の形態2である回路基板の製造方法
である。図3(a)に示すように、201は未硬化状態
であるシート状の第1の電気絶縁物であり、これにおけ
る両面に対して、その一方主面に第2の電気絶縁物20
2を形成された金属箔203を、第1の電気絶縁物と第
2の電気絶縁物が相対向するように重ね合わせ配置す
る。この場合、第2の電気絶縁物202の樹脂組成物に
熱硬化性樹脂を用いれば、金属箔203上に熱硬化性樹
脂をスクリーン印刷により配置することができる。また
熱硬化性樹脂の代わりに、感光性樹脂を成分にもつ第2
の電気絶縁物202を金属箔上に塗布し、ミラーパター
ンを露光、現像することでも形成できる。
【0034】その後、相対的に面方向に加圧、加熱する
ことで電気絶縁物の硬化および金属箔と電気絶縁物との
接着を行って、図3(b)の金属張り積層板204を形
成する。このとき、印刷配置された第2の電気絶縁物2
02の間に第1の電気絶縁物201を押し込むことで、
絶縁基板内部に隙間なく樹脂を押し込む。
【0035】そうして、金属張り積層板204は、図3
(c)に示すように、回路基板の厚み方向に対して貫通
孔205をドリル加工によって形成したのちに、図3
(d)に示されるようにめっきを施し、スルーホール2
06を形成する。めっきの方法としては、公知の技術で
行われるものであればよく、例えば電解銅めっきや無電
解銅めっきが使用される。
【0036】その後、金属箔の表面をエッチング加工に
より導体回路パターン207を形成することで、図3
(e)に示すスルーホールを有する回路基板になる。エ
ッチングの方法は、特に限定されず、例えば化学エッチ
ングによる方法が使用できる。
【0037】スルーホールを有する回路基板は以上のよ
うに構成され、かつ製造されるため、次のような利点を
有する。即ち、スルーホール形成用の貫通孔を金属張り
積層板に形成するにあたり、貫通孔形成部にフィラー充
填率の低い第2の電気絶縁物を選択的に配置すること
で、ドリル刃が第1の電気絶縁物を貫通する距離を可能
な限り短くする。これにより、ドリル刃の磨耗の度合い
を低く抑えることが可能であり、生産コストの削減に貢
献することができる。そして、貫通孔形成に重要な役割
を果たす第2の電気絶縁物にも無機フィラーが含まれる
ことから、良好な熱伝導性を維持した回路基板が作製で
きる。また、この工法により、回路基板おけるスルーホ
ールを形成することが可能であるために、高密度化実装
が容易となり、機器の小型化に貢献できる。
【0038】(実施の形態3)図4(a)〜(d)、お
よび図5(a)〜(e)は、本発明における実施の形態
3であるスルーホール付き回路基板の製造方法を示す断
面図である。図4(a)において、少なくとも無機フィ
ラーと熱硬化性樹脂から構成される未硬化状態であるシ
ート状の第1の電気絶縁物301における両面に、有機
フィルム302を備えている。次に、図4(b)に示す
ように、有機フィルムを備えた第1の電気絶縁物301
のシート状物における厚み方向に任意の形状の開口部3
03を形成する。この開口部は、回路基板におけるスル
ーホールを形成したい部分に対して選択的に形成され
る。その後、図4(c)に示すように、開口部に第2の
電気絶縁物304を充填した後に、有機フィルム302
をはがして第2の電気絶縁物304を形成された第1の
電気絶縁物のシート状物305を作製する。
【0039】次に図5(a)に示されるように、第2の
電気絶縁物304を形成された第1の電気絶縁物のシー
ト状物305における厚み方向の両面に金属箔(汎用銅
箔)306を配置して、相対的に面方向に加圧、加熱す
ることで電気絶縁物の硬化および金属箔と電気絶縁物と
の接着を行って、図5(b)の金属張り積層板307を
形成する。そうして、図5(c)に示すように、金属張
り積層板307の第2の電気絶縁物304が形成されて
いる部分に対して厚み方向に貫く貫通孔308をドリル
加工によって形成したのちに、図5(d)のようにめっ
き処理を施して貫通孔内部に導電膜309を形成する。
この工程により、金属張り積層板の上下面をスルーホー
ルにより電気的に接続された構造になる。めっき工程が
完了した積層板は、図5(e)に示されるように、その
表面をエッチング加工することにより導体回路パターン
310が形成された回路基板311になる。
【0040】スルーホールを有する回路基板は以上のよ
うに構成され、かつ製造されるため、つぎのような利点
を有する。即ちスルーホール用の貫通孔を積層板に形成
するにあたり、貫通孔形成部に第2の電気絶縁物を選択
的に配置することで、ドリル刃が第1の電気絶縁物を貫
通する距離を可能な限り短くする。これにより、ドリル
刃の磨耗の度合いを低く抑えることが可能であり、ドリ
ル刃の交換回数が減少し、生産コストの削減に貢献する
ことができる。また、第2の電気絶縁物に無機フィラー
を含むことにより、良好な熱伝導性を維持した回路基板
が作製される。さらにこの工法により、回路基板におけ
るスルーホールの形成が容易であるために、高密度化実
装が可能となり、機器の小型化に貢献できる。
【0041】
【実施例】以下、具体的実施例に基づいて本発明をさら
に詳細に説明する。
【0042】(実施例1)本発明の熱伝導基板の作製に
際し、まず、無機フィラーと未硬化状態の熱硬化性樹脂
からなる第1の電気絶縁物におけるシート状物の作製方
法について述べる。本実施例に使用したシート状の第1
の電気絶縁物は、攪拌混練機により無機フィラーと液状
の熱硬化性樹脂、適度の溶剤を混合しスラリーとする。
この攪拌混練機は容器自身を自転させながら公転させる
もので、混練する樹脂の粘度が比較的高くても、十分な
脱泡作用、分散状態が得られる。本実施例に使用したシ
ート状の第1の電気絶縁物は無機フィラーとしてAl2
O3(90重量%(昭和電工(株)製「AS−40」
(商品名)))を用い、エポキシ樹脂(9.5重量%
(日本レック(株)製、「NVR−1010」(商品
名)))を主成分とし、ブチルカルビトール0.5重量
%の組成に、粘度調整用のメチルエチルケトンとを加え
て混合した。混合したスラリー状物を、離型フィルムと
して厚み75μmの表面にシリコンによる離型処理を施
されたポリエチレンテレフタレートフィルム上にドクタ
ーブレード法でギャップ約750μmに造膜して、次に
この造膜シートを温度が125℃で15分間放置し乾燥
させた。なお、スラリー状に混合する際に粘度調整用に
加えたメチルエチルケトンはこの乾燥処理により揮発す
る。前記乾燥処理により適度な粘性を有し、未硬化状態
の厚み400μmを有するシート状の第1の電気絶縁物
が得られた。
【0043】次に、熱硬化性樹脂と無機フィラーを主成
分とする第2の電気絶縁物を第1の電気絶縁物と同じ手
法によって作製した。本実施例に使用した第2の電気絶
縁物は、無機フィラーとしてAl2O3(50重量%
(昭和電工(株)製「AS−40」(商品名)))を用
い、エポキシ樹脂(49.5重量%(日本レック(株)
製、「NVR−1010」(商品名)))を主成分と
し、ブチルカルビトール0.5重量%の組成に、粘度調
整用のメチルエチルケトンとを加えて混合した。混合し
たスラリー状物を、厚み75μmの汎用銅箔上にスクリ
ーン印刷でギャップ約750μmに造膜して、次にこの
造膜シートを温度が125℃で15分間放置し乾燥させ
た。なお、スラリー状に混合する際に粘度調整用に加え
たメチルエチルケトンはこの乾燥処理により揮発する。
前記乾燥処理により適度な粘性を有し、未硬化状態の厚
みが400μmを有するシート状の第2の電気絶縁物が
得られた。
【0044】このようにして作製された未硬化状態であ
る第1の電気絶縁物のシート状物における両面に対し
て、第2の電気絶縁物が形成された汎用銅箔を、図2
(c)に示すように第2の電気絶縁物202が相対向す
るように重ね合わせ配置した後に、熱プレスを用いて、
150℃の温度で25Kg/cm2の圧力で加熱加圧し
た。これにより、第2の電気絶縁物202の間隙に第1
の電気絶縁物201が流れ込み、充填され、図2(d)
のような構造の金属張り積層板204に成形できた。
【0045】この後、金属張り積層板204をさらに1
75℃の温度で3時間加熱し、電気絶縁物中の熱硬化性
樹脂を完全硬化させた。次に、金属張り積層板の厚み方
向を貫くように口径0.4mmの貫通孔をNCドリルに
よって形成した。その場合、貫通孔形成は、第2の電気
絶縁物材料が配置されている部分に選択的に施された。
その後、無電解銅めっきによって、貫通孔内部に導電膜
を形成し、最後に金属張り積層板表面をエッチングによ
りパターンニングすることでスルーホールを有する回路
基板208を作製した。
【0046】この際、スルーホールに隣接される第1の
電気絶縁物の厚みtが0.5mmと1.4mmの2種類の
回路基板を作製し、貫通孔作成時におけるドリル刃の寿
命を比較した。この際、絶縁厚みtが1.4mmの場合
は、1000回の穴あけ作業でドリル刃の交換を余儀な
くされたが、絶縁厚みtが0.5mmの場合は、600
0回までの穴あけ作業が可能となった。よって、貫通孔
に隣接する絶縁層の厚みが薄くなることで、ドリル刃の
寿命は飛躍的に向上していることが分かった。また、こ
の基板のスルーホールを介して対向しているパターン間
の抵抗値を測定したところ、0.1Ω以下であった。ま
た、その接続性を評価するために、ピーク温度240℃
のリフロー装置に10回通してから同様に抵抗値を測定
したが、変化は認められなかった。また、−40〜12
5℃の熱サイクル試験を500回行った後でも、同様に
抵抗値に変化が認められなかった。このことから、スル
ーホールの接続信頼性が高いことが明らかになった。
【0047】(実施例2)本発明における回路基板につ
いての実施例について述べる。まず、実施例1で作製し
たものと同様の方法で第1の電気絶縁物を作製した。混
合した組成としては無機フィラー:Al2O3(AS−
40、昭和電工(株)、平均粒径12μm)88重量
%、熱硬化性樹脂:エポキシ樹脂(XNR5002、長
瀬チバ(株)製)11.5重量%にMEKを加えて粘土
を低下させた後、実施例1と同様にしてPETフィルム
上の造膜して、シート状の第1の電気絶縁物を作製し
た。
【0048】次に、厚み35μmの汎用銅箔の一方面に
ドライフィルムレジスト(日立化成工業製 H−S93
0−30)によりロールラミネート装置を用いて、レジ
スト膜を形成する。次にドライフィルムを形成した金属
箔に紫外線露光装置を用いて、第2の電気絶縁物の形状
が描写されたフィルムマスクを介して密着露光を行っ
た。その後、露光した金属箔上のドライフィルムレジス
トを現像液中で処理して、露光されたレジスト部分は、
紫外線によって硬化され残り、第2の電気絶縁物が形成
されるが、フィルムマスクにより露光されなかった部分
のレジストは除去され、銅箔が露出した状態になる。な
お、銅箔の表面には、電気絶縁物との接着性を向上させ
るために、予め黒化処理などの粗面化処理を施しておく
ことが好ましい。
【0049】この他にも第2の電気絶縁物の形成方法と
しては、感光性樹脂をスクリーン印刷やスピンコート
法、カーテンコート法による方法も採用することができ
る。このように作製された未硬化状態の第1の電気絶縁
物と所望の形状に加工された第2の電気絶縁物を有する
銅箔を図3(a)に示すように配置して、熱プレスによ
り150℃の温度で25Kg/cm2の圧力で加熱加圧し
て、図3(b)の金属張り積層板を成形できた。
【0050】この後、金属張り積層板をさらに175℃
の温度で3時間加熱し、絶縁物中の熱硬化性樹脂を完全
硬化させた。次に、金属張り積層板の両面に形成されて
いる銅箔の間を貫くように口径0.4mmの貫通孔をN
Cドリルによって形成した。その際、貫通孔形成は、第
2の電気絶縁物が配置されている部分に対して選択的に
施された。その後、無電解銅めっきによって、貫通孔内
部に導電膜を形成し、最後に金属張り積層板表面をエッ
チング加工することで、図3(e)に示されるスルーホ
ールを有する回路基板を作製した。
【0051】この際、スルーホールに隣接される第1の
電気絶縁物の厚みtが0.5mmと1.4mmの2種類の
回路基板を作製し、貫通孔作成時におけるドリル刃の寿
命を比較した。この際、絶縁厚みtが1.4mmの場合
は、1500回の穴あけ作業でドリル刃の交換を余儀な
くされたが、絶縁厚みtが0.5mmの場合は、900
0回までの穴あけ作業が可能となった。よって、貫通孔
に隣接する電気絶縁物の厚みが薄くなることで、ドリル
刃の寿命は飛躍的に向上していることが分かった。ま
た、この基板のスルーホールを介して対向しているパタ
ーン間の抵抗値を測定したところ、0.1Ω以下であっ
た。また、その接続性を評価するために、ピーク温度2
40℃のリフロー装置に10回通してから同様に抵抗値
を測定したが、変化は認められなかった。また、−40
〜125℃の熱サイクル試験を500回行った後でも、
同様に抵抗値に変化が認められなかった。このことか
ら、スルーホールの接続信頼性が高いことが明らかにな
った。
【0052】(実施例3)本発明におけるスルーホール
を有する回路基板について、その実施例について述べ
る。実施例1で作製したものと同様の方法で第1の電気
絶縁物を作製した。本実施例に使用したシート状の第1
の電気絶縁物は無機フィラーとしてAl2O3(88重
量%(昭和電工(株)製「AS−40」(商品名)))
を用い、エポキシ樹脂(11.5重量%(日本レック
(株)製、「NVR−1010」(商品名)))を主成
分とし、ブチルカルビトール0.5重量%の組成に、粘
度調整用のメチルエチルケトンとを加えて混合した。混
合したスラリー状物を、離型フィルムとして、厚み75
μmの表面にシリコンによる離型処理を施されたポリエ
チレンテレフタレートフィルム上にドクターブレード法
でギャップ約750μmに造膜した。次に、この造膜シ
ートを温度が125℃で15分間放置し乾燥させた。な
お、スラリー状に混合する際に粘度調整用に加えたメチ
ルエチルケトンはこの乾燥処理により揮発する。前記乾
燥処理により適度な粘性を有し、未硬化状態の厚み40
0μmを有するシート状の第1の電気絶縁物が得られ
た。
【0053】次に、図4(a)に示すとおり、未硬化状
態の第1の電気絶縁物におけるスラリー状物の上に離型
フィルムを配置して、図4(b)のようにスルーホール
を形成したい部分に対して選択的に開口部を形成して、
図4(c)に示すように、その開口部に第2の電気絶縁
物を充填する。ここで充填される第2の電気絶縁物は、
無機フィラーとしてAl2O3(50重量%(昭和電工
(株)製「AS−40」(商品名)))を用い、エポキ
シ樹脂(49.5重量%(日本レック(株)製、「NV
R−1010」(商品名)))を主成分とし、ブチルカ
ルビトール0.5重量%の組成に、粘度調整用のメチル
エチルケトンとを加えて混合したものである。
【0054】その後、有機フィルムを剥離することによ
って、図4(d)に示される未硬化状態の厚みが400
μmで、任意の部分に第2の電気絶縁物が配置されてい
るシート状の第1の電気絶縁物が得られた。このように
作製された任意の部分に第2の電気絶縁物が配置された
シート状の第1の電気絶縁物における両面に、汎用銅箔
を図5(a)のように配置して、熱プレスにより150
℃の温度で25Kg/cm2の圧力で加熱加圧して、図5
(b)の金属張り積層板を成形できた。
【0055】この後、金属張り積層板をさらに175℃
の温度で3時間加熱し、電気絶縁物中の熱硬化性樹脂を
完全硬化させた。次に、図5(c)に示すように、金属
張り積層板の厚み方向に貫くように口径0.4mmの貫
通孔をNCドリルを用いて穴あけ加工を行う。その場
合、貫通孔形成は、第2の電気絶縁物が配置されている
部分に対して選択的に施された。その後、無電解銅めっ
きによって、貫通孔内部に導電膜を形成し(図5
(d))、最後に金属張り積層板表面をエッチング加工
することで、図5(e)に示されるスルーホールを有す
る回路基板を作製した。
【0056】この際、回路基板の厚みが0.5mmと1.
4mmの2種類の回路基板を作製し、貫通孔作成時にお
けるドリル刃の寿命を比較した。この際、絶縁厚みtが
1.4mmの場合は、1200回の穴あけ作業でドリル
刃の交換を余儀なくされたが、絶縁厚みtが0.5mm
の場合は、7500回までの穴あけ作業が可能となっ
た。よって、貫通孔に隣接する絶縁層の厚みが薄くなる
ことでドリル刃の寿命は飛躍的に向上していることが分
かった。また、この基板のスルーホールを介して対向し
ているパターン間の抵抗値を測定したところ、0.1Ω
以下であった。また、その接続性を評価するために、ピ
ーク温度240℃のリフロー装置に10回通してから同
様に抵抗値を測定したが、変化は認められなかった。ま
た、−40〜125℃の熱サイクル試験を500回行っ
た後でも、同様に抵抗値に変化が認められなかった。こ
のことから、スルーホールの接続信頼性が高いことが明
らかになった。
【0057】また、今回の各実施の形態を用いて貫通孔
を形成すれば、片面基板において、電子部品の取り付け
用のリード線や外部接続回路との接続端子の挿入孔とし
ても利用できる。よって、この発明は、上記実施の形態
に限ることなく、その他、この発明の要旨を逸脱しない
範囲で種々の変形を実施しえることは勿論のことであ
る。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の回路基板
によれば、絶縁基板の厚み方向に対向する両面に回路パ
ターンが形成されているスルーホールを有する回路基板
において、前記絶縁基板はほぼ全体に形成された第1の
電気絶縁物と少なくともスルーホールの周囲に形成され
た第2の電気絶縁物から構成されている。この電気絶縁
物は樹脂組成物と無機フィラーを主成分として、第2の
電気絶縁物に含まれる無機フィラーの重量比率は、第1
の電気絶縁物に比べて低いことを特徴としている。これ
によりスルーホールのための貫通孔形成時に、ドリル刃
の磨耗度合いを低く抑えながらドリル加工することが可
能である。
【0059】本発明の最大の優位性は、絶縁基板の貫通
孔に隣接する部分に第2の電気絶縁物を配置すること
で、フィラー充填率の高い第1の電気絶縁物の厚みを回
路基板の厚みに対して薄くすることにある。これによ
り、ドリル刃が第1の電気絶縁物を掘削する領域が少な
くなり、ドリル刃の磨耗を低く抑えることが可能であ
る。そのため、生産性が飛躍的に向上させたスルーホー
ル付き回路基板を提供でき、かつ基板の大幅なコストダ
ウンが実現される。また、スルーホールを形成すること
により、パターン間の立体的な接続が可能となり、機器
における小型かつ高密度な実装が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態1によるスルーホー
ルを有する回路基板を示す断面図
【図2】本発明における実施の形態1による回路基板の
製造方法の工程別断面図
【図3】本発明における実施の形態2による回路基板の
製造方法の工程別断面図
【図4】本発明における実施の形態3による回路基板の
製造方法の工程別断面図
【図5】本発明における実施の形態3による回路基板の
製造方法の工程別断面図
【符号の説明】
101,208,311 回路基板 102 第1の電気絶縁物 103 第2の電気絶縁物 104,207,310 導体回路パターン 105 スルーホール 201,301 第1の電気絶縁物 202,304 第2の電気絶縁物 203,306 金属箔 204,307 金属張り積層板 205,308 貫通孔 206 スルーホール(導体めっき層) 302 有機フィルム 303 開口部 305 第2の電気絶縁物を形成された第1の電気絶縁
物のシート状物 309 スルーホールめっき(導電膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/00 H05K 3/00 K R 3/42 610 3/42 610A (72)発明者 平野 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中谷 誠一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E317 AA24 BB12 CC31 CD27 CD32 GG16 GG17 5E346 AA12 AA15 AA32 AA42 CC01 CC09 CC13 CC32 DD12 DD32 FF04 GG15

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基板の厚み方向における両面に導体回
    路パターンが形成され、基板の厚み方向に対面する任意
    の導体回路パターン間がスルーホールを介して電気的に
    接続されている回路基板において、 前記絶縁基板は、ほぼ全体に形成された第1の電気絶縁
    物と、少なくともスルーホールの周囲に形成された第2
    の電気絶縁物とから構成されていることを特徴とする回
    路基板。
  2. 【請求項2】回路基板において、電気絶縁物は少なくと
    も樹脂組成物と無機フィラーから構成されており、第2
    の電気絶縁物には無機フィラーが含まれていないことを
    特徴とする請求項1に記載の回路基板。
  3. 【請求項3】回路基板において、電気絶縁物は少なくと
    も樹脂組成物と無機フィラーから構成されており、第2
    の電気絶縁物には、第1の電気絶縁物に比べて無機フィ
    ラーの重量比率が低いことを特徴とする請求項1に記載
    の回路基板。
  4. 【請求項4】回路基板において、第1の電気絶縁物には
    無機フィラーが70〜95重量%含有されていることを
    特徴とする請求項2または3に記載の回路基板。
  5. 【請求項5】回路基板において、無機フィラーとして、
    ガラス、SiC、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化ア
    ルミニウム、および窒化ホウ素のうちから選ばれた少な
    くとも一つを含むものを用いることを特徴とする請求項
    2または3に記載の回路基板。
  6. 【請求項6】回路基板において、第2の電気絶縁物に金
    属フィラーを加えたことを特徴とする請求項2または3
    に記載の回路基板。
  7. 【請求項7】回路基板において、第2の電気絶縁物に含
    まれる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂または感光性樹脂に
    て構成されていることを特徴とする請求項2または3に
    記載の回路基板。
  8. 【請求項8】少なくとも無機フィラーと樹脂組成物から
    なる第1の電気絶縁物をシート状にする工程と、 前記シート状の第1の電気絶縁物における厚み方向の両
    面に金属箔を配置し、その一方の金属箔における第1の
    電気絶縁物と接する表面に、少なくともスルーホールが
    形成される場所に、任意の形状を有する第2の電気絶縁
    物が形成される工程と、 前記第2の電気絶縁物が絶縁基板の内部に埋設されるよ
    うに熱プレスで加熱加圧して金属張り積層板を成形する
    工程と、 前記金属張り積層板の第2の電気絶縁物が形成されてい
    る部分の厚み方向に対して貫通孔を形成する工程と、 前記貫通孔を形成した金属張り積層板に対して、めっき
    処理を施してスルーホールを形成する工程と、 前記金属張り積層板の表面にパターンニングを施すこと
    により、導体回路パターンを形成する工程とを含むこと
    を特徴とする回路基板の製造方法。
  9. 【請求項9】金属箔におけるシート状の第1の電気絶縁
    物と接する面には、任意の形状を有する第2の電気絶縁
    物が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の
    回路基板の製造方法。
  10. 【請求項10】金属箔の一方面上に、マスクを用いた印
    刷工法により第2の電気絶縁物を形成することを特徴と
    する請求項8または9に記載の回路基板の製造方法。
  11. 【請求項11】金属箔の一方面上に、フォトエッチング
    工法によって感光性樹脂を含む第2の電気絶縁物を形成
    することを特徴とする請求項8または9に記載の回路基
    板の製造方法。
  12. 【請求項12】少なくとも無機フィラーと未硬化状態の
    樹脂組成物からなる第1の電気絶縁物をシート状に加工
    する工程と、 前記無機フィラーと未硬化状態の樹脂組成物からなる第
    1の電気絶縁物のシート状物における、少なくともスル
    ーホールが形成される周囲に開口部を形成し、前記開口
    部に第2の電気絶縁物を充填する工程と、 前記貫通孔に第2の電気絶縁物が充填された第1の電気
    絶縁物のシート状物における両面に金属箔を配置して、
    加熱加圧することで、前記シート状物中の樹脂組成物を
    硬化させて金属張り積層板を成形する工程と、 前記金属張り積層板の第2の電気絶縁物が形成されてい
    る部分の厚み方向に対して貫通孔を形成する工程と、 前記貫通孔を形成した金属張り積層板に対して、めっき
    処理を施してスルーホールを形成する工程と、 前記金属張り積層板の表面の金属箔を加工して、導体回
    路パターンを形成する工程とを含む回路基板の製造方
    法。
  13. 【請求項13】未硬化状態である第1の電気絶縁物のシ
    ート状物における厚み方向に形成された開口部に対し
    て、感光性樹脂を含む第2の電気絶縁物を充填した後、
    紫外線露光を行うことを特徴とする請求項12に記載の
    回路基板の製造方法。
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