JP2010100718A - 樹脂組成物、その製造方法およびそれを用いた磁性体組成物 - Google Patents

樹脂組成物、その製造方法およびそれを用いた磁性体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲル化することなく、分散性が良好で、乾燥や硬化時においても剥がれやクラックが発生しない樹脂組成物を提供する。
【解決手段】磁性体無機粒子、特定の構造を有するエステル化合物、有機溶媒および分散メディアを混合する工程と、該混合物中の前記磁性体無機粒子を粉砕および/または解砕させた後、分散メディアを除去する工程と、分散メディアを除去した後の混合物を濾過して得られる濾物を樹脂溶液と混合する工程で得られる樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、パソコン、自動車、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器、高度道路情報システム、無線LANなどに内蔵するインダクタ用コアや電磁波吸収体などを形成する樹脂組成物およびそれを硬化させてなる磁性体組成物に関する。
近年、インターネット利用を始めとして、パソコン、自動車、携帯電話や携帯情報端末、フラットパネルテレビ、ゲーム機器、高度道路情報システム、無線LANなど、GHz帯の高周波を利用した情報通信機器等が普及してきている。高周波は信号にノイズを発生させて情報伝達を悪化させたり、またその高周波に伴い電磁波が情報機器から放射され、他の電子機器への誤作動を引き起こしたりする可能性が指摘されている。それらに対応する為、高周波ノイズを除去し、かつ電圧を安定化させる役割を担うインダクタが情報通信機器に内蔵されている。高透磁率を持つコアをインダクタに挿入することで、インダクタンスをさらに向上させることができる。コアとしては磁性体金属や磁性体セラミックスあるいは樹脂中に磁性体無機粒子を充填したものが利用されている。また、電磁波吸収体に関しても同様で、吸収性がよく、小スペースで軽量であるものが要求され、樹脂中に磁性体無機粒子を高充填したものが利用されている。
最近は、高集積化に伴って、さらに微粒化された磁性体粉末が要求され、それらを樹脂に分散させる技術が重要な要素となりつつある。一般に、磁性体無機粒子を分散させた樹脂を作製する場合、磁性体無機粒子と樹脂を直接混錬する方法が取られている。
例えば、フェライト粉末や分散剤、バインダをボールミルで混錬する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、粒径や分散剤、バインダの種類によっては、ゲル化する可能性があり、また、ボールミルの強度によっては、バインダの化学構造が破壊され、樹脂組成物の溶媒乾燥時や硬化時に、基板から剥がれたり、クラックが発生したりする可能性があった。また、フェライト粉末等を先にボールミルを使用して混合粉砕し、その後、バインダ等を添加する方法がある(特許文献2)。しかし、この方法でも、バインダを添加した際に、磁性体粒子が微粒化のものであれば、ゲル化しやすく、また樹脂組成物の溶媒乾燥時や硬化時に、基板からの剥がれやクラック等が発生する可能性があった。
特開2006−49931 特開2005−252128(0042)
上記のとおり、磁性体無機粒子が分散された樹脂組成物を作製する場合、従来公知の方法では、粉砕および/または解砕した磁性体無機粒子に、樹脂を添加した段階で、ゲル化しやすいといった課題があった。また、磁性体無機粒子と樹脂を一緒に混錬した状態では、混錬の強度によっては、樹脂が化学構造を破壊され、乾燥や硬化時に剥がれやクラックが発生するといった可能性があった。
かかる状況に鑑み、本発明は、ゲル化することなく、さらには、乾燥や硬化時においても剥がれやクラックを発生することの無い分散性の良好な樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、磁性体無機粒子、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、有機溶媒および分散メディアを混合する工程と、該混合物中の前記磁性体無機粒子を粉砕および/または解砕させた後、分散メディアを除去する工程と、分散メディアを除去した後の混合物を濾過して得られる濾物を樹脂溶液と混合する工程で得られる樹脂組成物である。
Figure 2010100718
(上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
Figure 2010100718
(上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
また、本発明は、該樹脂組成物を硬化させてなる磁性体組成物である。
本発明によれば、ゲル化することなく、分散性が良好で、乾燥や硬化時においても剥がれやクラックが発生しない樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、磁性体無機粒子、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、有機溶媒および分散メディアを混合する工程と、該混合物中の前記磁性体無機粒子を粉砕および/または解砕させた後、分散メディアを除去する工程と、分散メディアを除去した後の混合物を濾過して得られる濾物を樹脂溶液と混合する工程で得られる。
Figure 2010100718
(上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
Figure 2010100718
(上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
なお、濾物とは、濾過後にフィルター上に残った成分のことをいう。以下、特に断らないかぎり、上記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物を「化合物A」とする。
本発明の樹脂組成物において、化合物Aは磁性体無機粒子を分散させる働きを有する。化合物Aの構造を表す一般式(1)〜(4)における、RとRで挟まれた部位が磁性体無機粒子と相互作用して、化合物Aが磁性体無機粒子の表面を覆うと考えられる。また、磁性体無機粒子表面を覆う化合物Aの重合性基は磁性体無機粒子の外側に向き、樹脂組成物中にある有機溶媒や他の化合物などと親和して、磁性体無機粒子を安定に分散させると考えられる。
化合物A中の重合性基は、光または熱により、重付加反応やラジカル反応等によって重合を進めることができる有機基である。本発明の樹脂組成物は、化合物Aが重合に関与するため、硬化が速やかにかつ確実に進行する。このように、化合物Aは磁性体無機粒子の分散剤としての機能と、樹脂組成物中のマトリックス樹脂としての機能を併せ持つものである。
重合性基を持たない分散剤により磁性体無機粒子をマトリックス樹脂中に分散させた場合は、有機溶媒の脱離やマトリックス樹脂の重合によりマトリックス樹脂が硬化収縮する際に、磁性体無機粒子が移動して集まり、樹脂と粒子の間に空隙が生じることが考えられる。これに対し、本発明の樹脂組成物においては、化合物Aが磁性体無機粒子を捕捉した状態で重合するため、熱硬化後の磁性体組成物中においても磁性体無機粒子の分散性を良好に保つことができる。したがって、磁性体組成物中に存在する粒子凝集に起因する空隙が少なくなる。さらに、化合物Aは重合することで耐熱性が向上するため、樹脂組成物製造時や製造後プロセスにおける加熱処理によって分解、脱離しにくくなるため、磁性体組成物中の空隙をより低減することができる。そのため、硬化時の剥がれやクラックを抑制することができる。
一般式(1)〜(4)におけるRが水素原子であると末端がカルボキシル基となり、磁性体無機粒子の分散性がより良好となる。
化合物Aの重合性基は、磁性体無機粒子を良好に分散させる目的から、樹脂組成物に含まれる有機溶媒や他の化合物との親和性が良好なものが好ましい。これらのものとしては、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基、エポキシ基などが挙げられる。特に、化合物Aの構造を表す一般式(1)〜(4)におけるRは下記一般式(6)で示されるものが好ましい。
Figure 2010100718
(上記一般式(6)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。また、nは1〜3の整数である。)
一般式(6)中の重合性基は、Rが水素原子の場合はアクリレート基であり、Rがメチル基の場合はメタクリレート基である。アクリレート基またはメタクリレート基は不飽和結合を有し、光照射や加熱によりラジカル重合をさせることが可能である。Rが水素原子であるアクリレート基の方が、重合性がより良好となり好ましい。
一般式(1)〜(4)で表される化合物の中でも、Rが水素原子でありRが一般式(6)で表される1価の基であり、nが2である化合物が好ましい。この化合物を用いると磁性体無機粒子の分散性がより良好となる。また、樹脂組成物を硬化させる際に分散した磁性体無機粒子が凝集せずに分散状態を保つので、剥がれやクラック等の無いインダクタ用コアや電磁波吸収体を形成することができる。
本発明に用いられる一般式(1)〜(4)で表される化合物Aの具体例としては、下記に表されるような、共栄社化学(株)製の“HOA−HH”(商品名、一般式(1)で表され、Rが水素原子であり、Rが一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)、“HOA−MPL”(商品名、一般式(4)で表され、Rが水素原子であり、Rが一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)、“HOA−MPE”(商品名、一般式(4)で表され、Rが一般式(5)で表されるものであり、mが2である。また、Rが一般式(6)で表されるものであり、Rが水素原子であり、nは2である。)が挙げられる。
Figure 2010100718
特に、“HOA−MPL”は磁性体無機粒子を極めて良好に分散することができるため、フォトリソグラフィーによるパターン加工性の精細度が向上する。本発明で用いる化合物Aは1種類でもよく、また複数種用いてもよい。
次に、磁性体無機粒子について説明する。本発明に用いられる磁性体無機粒子としては、軟磁性金属やフェライト、強磁性金属などが挙げられる。強磁性金属や軟磁性金属は抵抗が小さく、高周波帯域では渦電流の発生により急激に透磁率が低下するといった特徴がある。フェライトは軟磁性金属に比べ抵抗は高いものの、材料本来の透磁率が小さいといった特徴がある。本発明においては、カルボニル鉄、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Al−Si合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライト、Srフェライトなどの粉末を用いることが好ましい。これらの中でも、Ni−Znフェライト、Baフェライト、Srフェライト、カルボニル鉄粉末を特に好ましく用いることができる。
磁性体無機粒子の製造方法としては、固相反応法、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法、しゅう酸塩法、乾式法、湿式法、共沈法および噴霧熱分解法などが挙げられる。得られた磁性体無機粉末は、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、遊星式ボールミル等によって粉砕され、目的の粒径を有する磁性体無機粒子が得られる。
磁性体無機粒子の形状としては、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状などが挙げられるが、特に、限定されるものではない。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。
本発明において磁性体無機粒子は、凝集が完全にほぐれた1次粒子の状態にあるものと、複数個の1次粒子が凝集した状態(2次粒子)にあるものが存在する。2次粒子は粉砕および/または解砕前に多く見られるが、粉砕および/または解砕後の樹脂組成物中にも、完全にほぐしきれなかった2次粒子がいくらかは存在することもある。本発明において、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の粒子径とは、凝集していない1次粒子はその粒子の粒子径であり、1次粒子が凝集したものはその凝集体の粒子径である。また、本発明において、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の平均粒子径とは、存在する1次粒子および/または凝集体の粒子径の平均を算出したものをいう。樹脂組成物中の磁性体無機粒子の平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、粒子径の数平均を計算する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の磁性体無機粒子は、粉砕および/または解砕前後で、平均粒子径が変化するが、粉砕および/または解砕前の平均粒子径は、0.2μm以上100μm以下で、粉砕および/または解砕後の平均粒子径は、0.2μm以上10μm以下が好ましい。粉砕および/または解砕前で、平均粒子径が100μm以下であると、粉砕および解砕するのに時間が掛からない。
また、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕後の平均粒子径が10μm以下であると、フォト加工性が良好で、微細なパターンが可能となる。一方、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕後の平均粒子径が0.2μm以上であると、粒子の体積に対する比表面積が小さくなるため、粒子の分散性は良好となる。
なお、本発明においては、化合物Aの存在により樹脂組成物の硬化時に無機粒子が凝集することがないため、磁性体組成物中の磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕後の平均粒子径は樹脂組成物中の無機粒子の平均粒子径と同じである。
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。磁性体無機粒子(2次粒子、凝集状態のものを含む)、化合物A、および有機溶媒を所定の分量で混合し、分散メディアの存在下、磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕を行う。粉砕および/または解砕方法としては、ボールミル、ホモジナイザー、ビーズミル、遊星式ボールミルなどを用いる方法が挙げられる。粉砕または解砕するための分散メディアには、微小ビーズを用いる。本発明においては、ビーズの平均粒子径が0.5mm以上5mm以下のものを用いることが好ましい。ビーズの平均粒子径が5mm以下である場合、磁性体無機粒子がビーズと接触する頻度が高く、十分な分散効果が得られる。ビーズの平均粒子径が0.5mm以上である場合、個々のビーズの持つ運動量が十分大きく、磁性体無機粒子の凝集をほぐすのに十分なせん断応力が得られる。また、処理時間は、粉砕および/または解砕する前の磁性体無機粒子の種類とビーズの粒径等によって、最適時間が決まるが、50時間以内が好ましい。さらに、粉砕および/または解砕する処理時間やパワーが強すぎると、得られた濾物を用いて作製した樹脂組成物の体積抵抗率が低下するおそれが生じる。
磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕時の化合物Aの含有量は、磁性体無機粒子100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることが好ましい。化合物Aの磁性体無機粒子100重量部に対する含有量が1重量部以上であると、磁性体無機粒子の分散性が良好となり、50重量部以下であると、粉砕および/または解砕の速度を速くすることができる。
磁性体無機粒子の粉砕および/または解砕時に用いられる有機溶媒の例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
次に、磁性体無機粒子の分散液を濾過して分散メディアを除去し、磁性体無機粒子の分散液だけを得、さらにこの分散メディア除去後の混合物を濾過して濾物を得る。
分散メディアを除去する方法としては、真空濾過、加圧濾過、大気濾過などがあるが、その中でも大気濾過が好ましい。分散メディアはメッシュフィルター等により捕捉される。フィルターの捕捉径は、利用する分散メディアの直径よりも小さければ良い。ただし、磁性体無機粒子が除去されない程度の捕捉径のフィルターを用いる。次に、分散メディアを除去した後に得られた磁性体無機粒子の分散液を濾過する方法としては、真空濾過、加圧濾過等があるが、これに限定されるものではない。加圧濾過の場合は、圧力は0.1〜0.4Mpaが好ましい。また、濾過フィルターは、捕捉径0.1〜10μmのメンブレムフィルターが好ましい。捕捉径が0.1μmより小さいと、フィルターが詰まり、濾過が難しくなる。また捕捉径が10μmより大きいと、濾物として得たい磁性体無機粒子が濾過で流れてしまう。
このように、濾過をすることで、粉砕および/または解砕時に、磁性体無機粒子に被膜しなかった残りの化合物Aや、ゲル化を引き起こす恐れのある磁性体無機粒子の微粒化されすぎたものなどを除去することができ、それらを取り除いた磁性体無機粒子を樹脂溶液に分散することで、乾燥時にも剥がれやクラックが発生しない分散性の良好な樹脂組成物を作製することが可能となる。また、樹脂組成物中に余分な分散剤が存在しないため、硬化時の剥がれやクラックを抑制できる。
次に、得られた濾物を所定量の樹脂溶液と混合して樹脂組成物を得る。このとき、樹脂組成物が均質になるようにするために、ボールミルやロールミルを用いた混錬処理を行う。このような処理を行える装置としては、例えば、3本ロール(EXAKT(株)製、model−50)等がある。3本ロールは、高せん断応力を持つため、樹脂組成物をより均質にすることができる。また、混錬処理を行う前に、得られた濾物自体を、乳鉢で捏ねる等の方法を行ってもよい。そうすることで、さらに分散性が向上する。
また、混合処理により樹脂組成物中に気泡が混入した場合は、静置する、減圧下に置く、あるいは攪拌脱泡機を用いるなどして気泡を除去すると、組成物を用いて製造する磁性体組成物中への気泡の混入を避けることができる。
このとき必要に応じさらに他の物質を混合してもよい。また、樹脂組成物の粘度を調整するために、さらに有機溶媒を添加したり、加熱や減圧により有機溶媒を適量除去してもよい。また、加熱処理や光照射により化合物Aや樹脂の重合反応を適度に進行させてもよい。
上記の方法によれば、磁性体無機粒子の表面が分散剤により効率よく覆われ、樹脂溶液を混合した後も分散状態が維持された樹脂組成物が得られる。良好な分散状態の樹脂組成物は、磁性体無機粒子同士の相互作用が弱いため、基板上に塗布して乾燥させるときに剥がれやクラックを生じない。また、樹脂組成物が感光性を有している場合は、光透過性に優れるため、良好なパターン加工性を示す。また、この樹脂組成物を硬化させて得られる磁性体組成物は、磁性体無機粒子を樹脂中により密に充填することができ、硬化時に剥がれやクラックを生じることもない。さらに、この磁性体組成物を用いたインダクタ用コアや電磁波吸収体は良好な高周波特性を示す。
本発明では、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の含有量は、有機溶媒などの揮発成分を除いた固形成分中、30重量%以上75重量%以下であることが好ましい。ただし、濾物中の磁性体無機粒子の量を正確に計ることは困難であるため、本発明においては、樹脂組成物中の磁性体無機粒子の含有量は、濾物/(濾物+樹脂組成物中の固形物)×100(重量%)で定義される。磁性体無機粒子の含有量が30重量%以上であると、得られる磁性体組成物の透磁率を大きくすることができる。磁性体無機粒子の含有量が75重量%以下であると、フォトリソグラフィーによるパターン加工性の精細度が向上する。
樹脂組成物の硬化は用いる樹脂の種類により熱硬化、光硬化のいずれも可能であるが、本発明においては熱硬化によることが好ましい。樹脂組成物を熱硬化させて、磁性体組成物を作製する場合の雰囲気は、大気中、窒素中、酸素中、水素中等が考えられるが、これに限定されるものではない。樹脂がポリイミド樹脂および/またはポリイミド前駆体の場合は、窒素雰囲気で加熱することが好ましい。磁性体組成物は焼結体ではないので、樹脂を完全に分解、除去する必要はなく、電子部品の耐熱温度範囲内(例えば、500℃以下の温度)で加熱することが好ましい。実際には各樹脂に適切な温度で、加熱することが好ましいが、さらに好ましくは、200℃以下で加熱することである。200℃より高い温度であると、磁性体無機粒子を被覆していた化合物Aが分解し、硬化時に剥がれやクラックが発生するおそれがある。また、体積抵抗率が減少する可能性がある。また、光硬化させる場合は、樹脂組成物中に光硬化剤を含有させるのが好ましい。
本発明に用いられる樹脂溶液に用いられる樹脂としては、ポリアミック酸、ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シロキサン樹脂などの、重合性基を有する熱硬化型あるいは光硬化型の樹脂が挙げられる。また、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂など重合性基を持たない樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数種を適当な比にて用いてもよい。上記樹脂の中でも、耐熱性に優れたポリイミド樹脂あるいは/またはポリイミド前駆体を含有することが好ましい。さらに好ましくは、すでにイミド化された既閉環ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。既閉環ポリイミド樹脂を用いる場合は、イミド化に必要な高い温度の熱硬化が必要ないため、分散剤の分解を防ぐことができる。
上記ポリイミドとしては、特に限定されないが、下記一般式(7)〜(10)で表される一種以上のポリイミドを用いることが好ましい。
Figure 2010100718
一般式(7)〜(10)において、Rは4〜14価の有機基、Rは2〜12価の有機基、R10およびR12は、水素原子またはフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基および炭素数1〜20までの有機基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有する有機基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R11は環状でない2価の有機基を表す。Xはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の芳香族基または環状脂肪族基を表す。好ましくは、フェノール性水酸基またはチオール基である。
Yはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基を表す。好ましくはフェノール性水酸基またはチオール基を少なくとも一つ有する1価の有機基である。
nはポリマーの構造単位の繰り返し数を示している。nは、3〜200の範囲であり、好ましくは5〜100である。nが3〜200の範囲であれば本発明の樹脂組成物の厚膜での使用が可能になり、かつアルカリ現像液に対する十分な溶解性を付与し、パターン加工を行うことができる。m、αおよびβはそれぞれ独立に0〜10の整数を表す。
上記一般式(7)〜(10)において、Rは酸二無水物由来の構造成分を表しており、4価〜14価の有機基である。なかでも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることが好ましい。
酸二無水物としては具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物などを挙げることができる。
上記一般式(7)〜(10)において、Rは、ジアミン由来の構造成分を表しており、2〜12価の有機基である。中でも芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
一般式(7)〜(10)において、R10およびR12は、それぞれ水素原子、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基および炭素数1〜20の有機基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有する有機基を表している。得られる樹脂組成物の安定性からは、R10およびR12は水素原子または炭素数1〜20の有機基が好ましい。アルカリ水溶液の溶解性より見ると、R10およびR12はアルカリ可溶性基であるフェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる基が好ましい。
本発明においては、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基と、水素原子やアルキル基を混在させることができる。
一般式(7)および(8)において、−N−(R11−Xは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する。
末端封止剤として用いられる1級モノアミンとは、具体的には、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−o−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。
これらのうち、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(9)および(10)において、−CO−(R11−Yは、末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物に由来する。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物およびモノ活性エステル化合物から選ばれる化合物の具体例は、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物および、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが挙げられる。
これらのうち、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物およびテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
また、一般式(7)〜(10)の構造中にフッ素原子を有すると、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が付与され、界面のしみこみなどが抑えられるため好ましく、例えば、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が好ましい。
一般式(7)〜(10)で表されるポリイミドそれぞれに対するフッ素原子含有量は、界面のしみこみ防止効果を十分得るために10重量%が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20重量%以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いられるポリイミドは、一般式(7)〜(10)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であっても良い。その際、一般式(7)〜(10)で表される構造単位をポリイミド全体の10重量%以上含有していることが好ましい。10重量%以上であれば、熱硬化時の収縮を抑えることができ、厚膜作製に好適である。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリイミドの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
本発明に用いられるポリイミド前駆体としては、好ましくはテトラカルボン酸二無水物とジアミンを、非プロトン性極性溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸およびそのエステルが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物では3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリイミド前駆体の耐熱性の点から、特に好ましい具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
またジアミンとしてはパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)パラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)メタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンが挙げられる。
それらの中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジアミノジフェニルエーテルや1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等を配合したものが好ましいが、これに限定されるものではない。
なお、上記の樹脂は本発明の樹脂組成物中のマトリックスを形成するものであるが、これらとは別に、化合物A自体も重合して組成物中のマトリックスを形成することができる。
本発明の樹脂組成物は、磁性体無機粒子に被覆した化合物Aと樹脂の重合を促進するために、ラジカルやカチオン、アニオンなどの活性種を発生する重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤としては、光照射や加熱処理により活性化するものがあり、用途に応じて使い分けることが可能である。その他、本発明の樹脂組成物には、pH調整剤、界面活性剤、湿潤剤、重合促進剤、重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができる。樹脂組成物中の有機溶媒の含有量は、10重量%以上80重量%以下であることが好ましい。
樹脂組成物の粘度は磁性体粉末、有機溶媒などの含有量によって適宜調整されるが、その範囲は一般的に2〜200Pa・s(パスカル・秒)である。例えば、ガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
樹脂組成物の粘度を調整するために用いられる有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、γ−ブチルラクトン、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
本発明の樹脂組成物は、不飽和結合含有重合性化合物を含有しても良い。不飽和結合含有重合性化合物は、加熱および/または光により硬化させることができる。特に、光硬化性を利用することで、樹脂にネガ型の感光性を付与することができる。不飽和結合含有重合性化合物は、特に限定されないが、好ましくは下記一般式(11)で表される重合性化合物がよい。
Figure 2010100718
は少なくとも一つの芳香環を有する1〜3価の有機基を表し、R〜Rは不飽和結合を有する重合性基を表し、R〜Rは2価の有機基を表す。R〜RおよびR〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、o、pおよびqは0〜1の整数を表し、r、sおよびtはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。ただしo+p+q≧1である。
一般式(11)で表される重合性化合物が芳香環を有することで、加熱後の膜の強度が改善される。Rの具体例としては、下記に示した構造を挙げることができる。
Figure 2010100718
27はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基または水酸基を表し、zはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。これらの中でも特にビスフェノール骨格を有するものが好ましい。
一般式(11)のR〜Rは不飽和結合を有する重合性基を表し、o、p、qは0〜1の整数を表す。ただしo+p+q≧1である。R〜Rの例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合含有基およびプロパルギルなどの不飽和三重結合含有基が挙げられる。これらの中でも共役型のビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基が重合性の面で好ましい。
また、R〜Rは2価の有機基を表す。該重合性化合物が分子内にOR(i=5〜7)の繰り返し構造を有するため、光硬化後および加熱後の膜が柔軟性を失わず、加熱後の膜の伸度が改善される。繰り返しの数(r、sおよびt)は1〜10である。繰り返しの数が10を越えるとパターンがうまく形成されなくなり、かつ膜の強度が低下する。
〜Rは、炭化水素基であることが好ましい。好ましい炭化水素基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ネオペンチレン基、またはこれらに水酸基が置換したものなどが挙げられる。また、R〜Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、またそれぞれ繰り返し単位ごとに同じであっても異なっていてもよい。
本発明の樹脂組成物における不飽和結合含有重合性化合物の含有量は、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、相溶性の点から5〜150重量部とすることがより好ましい。この含有量を5重量部以上とすることで、現像時の膜の露光部の溶出を防ぎ、現像後に十分な残膜を得ることができる。また、この含有量を200重量部以下とすることで、膜形成時の膜の白化を抑えつつ、十分な残膜を得ることができる。
本発明ではさらに光重合開始剤を用いてもよい。具体例としてはベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4,−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3,4,4,−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドンなどのベンジリデン類、7−ジエチルアミノ−3−ノニルクマリン、4,6−ジメチル−3−エチルアミノクマリン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルメチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリンなどのクマリン類、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプト類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシンなどのグリシン類、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ビス(α−イソニトロソプロピオフェノンオキシム)イソフタル、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)、OXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社)などのオキシム類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンなどのα-アミノアルキルフェノン類、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。これらの中で、上記のベンゾフェノン類、グリシン類、メルカプト類、オキシム類、α−アミノアルキルフェノン類および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールから選択される化合物の組み合わせが光反応の点から好適である。これらの光重合開始剤は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用される。
光重合開始剤を用いる場合、その含有量は、ポリイミド100重量部に対して、通常、1種類につき0.1〜40重量部が好ましく、2種以上を組み合わせる場合は、総量で0.2〜60重量部であることが好ましい。
本発明では、熱架橋性化合物を含有するのが好ましい。熱架橋性化合物を含有することで、熱処理時に熱架橋反応が起きるため、収縮率を小さくすることができる。
熱架橋性基を有する化合物としては、熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましい。特に好ましくは、熱架橋性基を2つ有するものとして、46DMOC、46DMOEP(商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、DMOM−PTBP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(商品名、四国化成工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(商品名、本州化学工業(株)製)など、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(商品名、(株)三和ケミカル製)など、6つ有するものとしてニカラックMW−30HM、ニカラックMW−100LM(商品名、(株)三和ケミカル製)、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。
このような熱架橋性化合物の含有量としては、ポリイミド100重量部に対して、好ましくは0.5〜150重量部であり、さらに好ましくは1〜130重量部の範囲である。ポリイミド100重量部に対する熱架橋性化合物の含有量を150重量部以下にすることで、得られる樹脂組成物の耐熱性を低下させることがない。一方、0.5重量部以上とすることで、十分な架橋による分子量増大効果により、樹脂組成物の耐熱性が向上する。
また、本発明の樹脂組成物はポジ型の感光性を有していてもよい。ポジ型の感光性を付与するためには、ナフトキノンジアジド化合物や光酸発生剤を用いることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる樹脂溶液は、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体に、不飽和結合含有重合性化合物や光重合開始剤、熱架橋性化合物、溶媒等をミキサー等で混合した後、フィルターで濾過したものを利用するのが好ましい。濾過する方法としては、真空濾過、加圧濾過、大気濾過等があるが、この中でも加圧濾過が好ましい。加圧濾過の場合は、圧力は0.1〜0.4Mpaが好ましく、また、濾過フィルターは、捕捉粒子径0.5〜5μmのメンブレムフィルターが好ましい。
次に、本発明の樹脂組成物が感光性を有している場合に、これを用いてパターニングされた磁性体組成物を得る方法をさらに詳細に説明する。樹脂組成物を塗布する被着体は、例えば、シリコンウエハー、ガラス類、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものから選択できるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリイミド樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。
また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、フェライト基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体、樹脂や磁性体無機粒子などを含有する高透磁率材料などが挙げられる。
次に、基板上に樹脂組成物を塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター、スピンナー等の一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、樹脂組成物の粘度を選ぶことによって調整できる。乾燥と加熱による収縮を考慮して、乾燥後の厚みが好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは5〜40μmになるように塗布する。
通常、塗布した樹脂組成物を熱処理(ベーク)する。ベークの温度および時間は樹脂組成物の組成によって異なるが、50〜150℃で5分〜30分程度が好ましい。また、ベークは対流式ベーク炉やIRベーク炉で行うことが望ましい。
塗布・熱処理した樹脂組成物を、露光、現像することで、パターンを形成することが可能である。この場合の露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、近赤外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で、紫外線が好ましく、その光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらの中でも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、通常5〜1000W/mの出力の超高圧水銀灯を用いて0.01〜30分間露光を行う。特に、露光量0.02〜1J/cm程度の露光を行うことが好ましい。
現像方法としては、浸漬法やスプレー法、シャワー法、ブラシ法などが挙げられ、これらの中でもシャワー法が均一な現像を実現できる点で好適である。シャワー法で現像を行う際の現像液の流量、圧力は現像液の種類、濃度によっても異なるが、流量は50ml/分〜200ml/分が好ましく、100ml/分〜170ml/分がより好ましい。圧力は0.05MPa〜0.2MPaが好ましく、1kg/分〜1.6kg/分がより好ましい。
現像液は、樹脂組成物中の有機成分が溶解または分散可能な有機溶媒や水溶液を使用する。また、有機溶媒含有水溶液を使用してもよい。樹脂組成物中にカルボキシル基やフェノール性水酸基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液でも現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できる。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液のアルカリ成分の濃度は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり好ましくない。現像時の現像液の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
また、現像時に、現像液中で超音波処理を行うことも可能である。そうすることで、残渣が減らすことができる。
また、現像液は、樹脂組成物の塗布膜への塗れ性改善、現像の均一性や残渣の低減などのために、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の含有量は、0.01〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
上記のような方法により、基板上に厚さ5〜100μmの樹脂組成物のパターンを形成することができる。
磁性体組成物の体積抵抗率は、1×1010Ωcm以上であることが好ましい。1×1010Ωcm以上であると、絶縁性が良好であり、リーク電流を抑制することが可能となる。例えば、一般に球状フェライト粒子は、体積抵抗率が1×10〜1×1010Ωcmであり、これらを樹脂に分散させて磁性体組成物を作製する場合、磁性体無機粒子が凝集していると、磁性体組成物の体積抵抗率が、フェライト粒子の体積抵抗率と同等の値を示す場合があり、良好な絶縁性が得られない。より好ましくは1×1011Ωcm以上であり、この場合には絶縁性が特に良好となる。
本発明の磁性体組成物の形態は特に限定されず、膜状、棒状、球状など、用途に合わせて選択することができる。ここでいう膜とは、フィルム、シート、板、ペレットなども含まれる。もちろん、導通のためのビアホール形成、インピーダンスや静電容量あるいは内部応力の調整、または、放熱機能付与など、用途にあわせた加工を行うこともできる。
本発明の樹脂組成物および磁性体組成物の用途は特に限定されないが、例えば、高透磁率を有するインダクタ用コアや電磁波吸収体として、多種の電子部品、装置への適用が可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の平均粒子径、樹脂組成物および磁性体組成物の評価は以下の方法により行った。
<樹脂組成物中の磁性体無機粒子の平均粒子径の測定方法>
カーボン蒸着したコロジオン膜上に、樹脂組成物を滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡“H−7100FA”(商品名、日立製作所(株)製)にて磁性体無機粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフト“FlvFs”(商品名、(株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子(1次粒子および/または凝集体)に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
<樹脂組成物および磁性体組成物の剥れやクラックの観察用基板作製>
樹脂組成物および磁性体組成物の剥れやクラック観察用基板は、まず、シリコン基板上に樹脂組成物をスピンナーで塗布した後、フォトマスクを用いて、露光・現像を数回行い、ホール径150μm、厚み80μmのパターンを形成した。露光には“PEM−6M”(商品名、ユニオン光学(株)製)を用いた。その後、イナートオーブン“INL−60”(商品名、光洋サーモシステム(株)製)を用いて窒素雰囲気下、表1〜3に示す熱硬化温度で1時間加熱処理を行い、観察用基板を作製した。
<感光性の樹脂組成物についてのビア加工率の評価方法>
感光性の樹脂組成物を、スピンナーを用いて、2000rpm30秒でシリコン基板上に塗布し、100℃で15分間保持して乾燥した。その後、φ50μmのパターンを有するフォトマスクを利用し、0.5kW出力の超高圧水銀灯で露光量は0.5J/cmで紫外線露光した。
現像は、滝沢産業(株)製AD−2000のスプレー型現像装置を用い、100rpmで回転しながら、スプレー圧力0.10MPaで現像液を120秒間噴霧、現像液の除去、10秒間噴霧を繰り返した後、水にてリンス処理した。現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を使用した。
ビアパターン100個のうち、パターンが形成された割合をビア加工率(%)として評価した。ここでいうパターンが形成されたとは、顕微鏡500倍の倍率で観察した場合に、ビアパターン内にSi基板が観察される状態を示す。ビア加工率が95%以上の場合を良、95未満を不良とした。ビア加工率が良のものは、光透過性に優れていることを示しており、良好な分散状態であることを示すものである。
<磁性体組成物の体積抵抗率の測定方法>
まず、樹脂組成物をCr膜付きシリコン基板上に塗布した後、有機溶媒を乾燥除去した。次いで、イナートオーブン“INL−60”(商品名、光洋サーモシステム(株)製)を用いて窒素雰囲気下で加熱処理し、磁性体組成物を得、さらに、磁性体組成物の上に、Au電極(電極面積1cm)を蒸着した。Au電極とCr膜付きシリコン基板間で、DC電圧5Vを印加し、その時得られた抵抗値から、体積抵抗率を求めた。体積抵抗率は、“絶縁抵抗計6517A”(商品名、ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用いて測定した。磁性体組成物の膜厚は、サンプル断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察から測定し、20μmの時の体積抵抗率を得た。
<磁性体無機粒子I>
BASFジャパン(株)製Fe粉末“カルボニル鉄SM” 粉砕および/または解砕前の平均粒子径 2.5μm
<磁性体無機粒子II>
DOWAエフテック(株)製フェライト粉末“EWA−23” 粉砕および/または解砕前の平均粒子径 2.8μm
<磁性体無機粒子III>
戸田工業(株)製フェライト粉末“FRX−952” 粉砕および/または解砕前の平均粒子径 0.9μm
<磁性体無機粒子IV>
戸田工業(株)製フェライト粉末“BSN−125” 粉砕および/または解砕前の平均粒子径 7.8μm。
<樹脂溶液I>
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)30.03g(0.082モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール2.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物31.02g(0.1モル)をNMP30gとともに加えて、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、200℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。得られたポリマー粉体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。次に、このポリマー粉体10gに光重合開始剤のOXE02(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)1.4g、重合禁止剤の0.5%フェノチアジン溶液0.6g、熱架橋性化合物のMW−30HM(商品名、(株)三和ケミカル、濃度10重量%)8.6g、PDBE−250(商品名、(株)日本油脂製。重合性不飽和二重結合を有する化合物)5.1g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(重合性不飽和二重結合を有する化合物)0.6gをジアセトンアルコール5.1g、乳酸エチル3.7gに溶解した溶液を攪拌脱泡し、さらに捕捉粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液Iを得た。
<樹脂溶液II>
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5g、4,4−ジアミノジフェニルエーテル9.5g、N−メチル−2−ピロリドン100gを溶解させ、20℃で、30分以上攪拌させたものに、ピロメリット酸二無水物9.6gと3、3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物0.4gを加えた後、50℃で1時間攪拌した。次いで捕捉粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液IIを得た。
<樹脂溶液III>
4,4−ジアミノジフェニルエーテル9.5g、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5g、N−メチル−2−ピロリドン100gを溶解させ、20℃で、30分以上攪拌させたものに、3、3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を16g添加した後、50℃で1時間攪拌した。その後、ライトエステルDM(共栄社化学(株)製)16g、ミヒラーケトン0.5gを加えて調合し、さらに捕捉粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液IIIを得た。
<樹脂溶液IV>
共栄社化学(株)製エポキシアクリレート“THTA05”100重量部に、ジアセトンアルコールを100重量部混ぜた後、さらに捕捉粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂溶液IVを得た。
<分散剤I>
HOA−MPL(商品名、共栄社化学(株)製、上記一般式(4)で表され、Rが水素原子であり、Rが上記一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)
<分散剤II>
HOA−MPE(商品名、共栄社化学(株)製、上記一般式(4)で表され、Rが一般式(5)で表されるものであり、mが2である。また、Rが一般式(6)で表されるものであり、Rが水素原子であり、nは2である。)
<分散剤III>
HOA−HH(商品名、共栄社化学(株)製、上記一般式(1)で表され、Rが水素原子であり、Rが一般式(6)で表されるものであり、nが2であり、Rが水素原子である。)
<粉砕および/または解砕方法I>
ボールミルMF−101((株)伊藤製作所)
<粉砕および/または解砕方法II>
遊星式ボールミルP−6(フリッチュ社製)。
実施例1
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gをポリプロピレン製の容積100mLのボトルで混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、ろ過を行い、ビーズを除去した。ろ過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物のうち16.6gに、樹脂溶液I 16g(固形物8.2g)を混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行った。その結果、膜厚15μmの樹脂組成物膜に100個のビアパターンが形成されており、100%のビア加工率であった。
次いで、上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定方法に従い、体積抵抗率の測定を行ったところ、6×1010Ωcmであった。また、乾燥後や熱硬化後の剥がれとクラックは観察されなかった。表1〜3に記載の固形物に対する割合は、濾物/(濾物+樹脂組成物中の固形物)×100、あるいは、樹脂組成物中の固形物/(濾物+樹脂組成物中の固形物)×100で計算した。
実施例2〜4
磁性体無機粒子の種類を変えた以外は実施例1と同様の方法で表1に示す組成の組成物を製造し、実施例1と同様にして、ビア加工率、体積抵抗率の測定と、剥がれとクラックの観察を行った。結果を表1に示す。
実施例5〜7
熱硬化温度を変えた以外は実施例1と同様の方法で表1に示す組成の組成物を製造し、実施例1と同様にして、ビア加工率、体積抵抗率の測定と、剥がれとクラックの観察を行った。結果を表1に示す。
実施例8
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gをポリプロピレン製の容積100mLのボトルで混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、ろ過を行い、ビーズを除去した。ろ過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物のうち10.8gに、樹脂溶液II 16g(固形物5.3g)を混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物は、感光性ではないので、ビア加工率の評価を行わなかった。
次いで、上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定方法に従い、体積抵抗率の測定を行ったところ、8×10Ωcmであった。また、乾燥後や熱硬化後の剥がれとクラックは観察されなかった。
実施例9
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gをポリプロピレン製の容積100mLのボトルで混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、ろ過を行い、ビーズを除去した。ろ過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物のうち9.7gに、樹脂溶液III 16g(固形物4.8g)を混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行った。その結果、膜厚15μmの樹脂組成物膜に100個のビアパターンが形成されており、ビア加工率は100%であった。
次いで、上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定方法に従い、体積抵抗率の測定を行ったところ、7×10Ωcmであった。また、乾燥後や熱硬化後の剥がれとクラックは観察されなかった。
実施例10
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gをポリプロピレン製の容積100mLのボトルで混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、ろ過を行い、ビーズを除去した。ろ過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物のうち16.6gに、樹脂溶液IV16g(固形物8g)を混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物は、感光性ではないので、ビア加工率の評価を行わなかった。
次いで、上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定方法に従い、体積抵抗率の測定を行ったところ、1×1010Ωcmであった。また、乾燥後や熱硬化後の剥がれとクラックは観察されなかった。
実施例11、12
磁性体無機粒子の比率を変えた以外は実施例1と同様の方法で表2に示す組成の組成物を製造し、実施例1と同様にしてビア加工率、体積抵抗率の測定と、剥がれとクラックの観察を行った。結果を表2に示す。
実施例13、14
分散剤の種類を変えた以外は実施例1と同様の方法で表2に示す組成の組成物を製造し、実施例1と同様にしてビア加工率、体積抵抗率の測定と、剥がれとクラックの観察を行った。結果を表2に示す。
実施例15
磁性体無機粒子II 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gを、遊星式ボールミルの容器に投入し、回転数200rpmで1時間解砕を行った。次いで、ろ過を行い、ビーズを除去した。ろ過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物のうち16.6gに、樹脂溶液I 16g(固形物8.2g)を混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行った。その結果、膜厚15μmの樹脂組成物膜に100個のビアパターンが形成されており、100%のビア加工率であった。
次いで、上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定に従い、体積抵抗率の測定を行ったところ、6×1010Ωcmであった。
実施例16、17
磁性体無機粒子の比率を変えた以外は実施例2と同様の方法で表2に示す組成の組成物を製造し、実施例2と同様にしてビア加工率、体積抵抗率の測定と、剥がれとクラックの観察を行った。結果を表2に示す。
比較例1
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gを混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、得られた磁性体無機粒子の濾過を行い、ビーズを除去した。濾過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液をさらに加圧濾過することなく、樹脂溶液I 16gと混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行ったその結果、膜厚15μmの樹脂組成物膜に92個のビアパターンが形成されており、92%のビア加工率であった。上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定は、硬化時に剥がれが発生した為、中止した。
比較例2
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200gを混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、得られた磁性体無機粒子の濾過を行い、ビーズを除去した。濾過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液を捕捉粒子径0.2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、濾物を得た。得られた濾物に、樹脂溶液I 16gを混合し、3本ロール(EXAKT製M−80)の大ギャップ2回、小ギャップ3回通した後、捕捉粒子径10μmのフィルターを用いて加圧濾過し、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行った。その結果、膜厚15μmの樹脂組成物膜に93個のビアパターンが形成されており、93%のビア加工率であった。上述の磁性体組成物の体積抵抗率の測定は、剥がれが発生した為、中止した。
比較例3
磁性体無機粒子II 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gを混合し、ボールミルで、回転数170rpmで20時間解砕を行った。次いで、得られた磁性体無機粒子の濾過を行い、ビーズを除去した。濾過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液をさらに加圧濾過することなく、樹脂溶液IV16gと混合したところ、ゲル化した。
比較例4
磁性体無機粒子II 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ0.5mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4gを混合し、遊星式ボールミルで、回転数200rpmで1時間解砕を行った。次いで、得られた磁性体無機粒子の濾過を行い、ビーズを除去した。濾過にはメッシュフィルターを利用した。得られた濾液をさらに加圧濾過することなく、樹脂溶液I 16gと混合したところ、ゲル化した。
比較例5、6
磁性体無機粒子を変えた以外は比較例3と同様の方法で表3に示す組成の組成物を製造したが、樹脂溶液を加えたところで、ゲル化した。
比較例7
磁性体無機粒子I 20g、乳酸エチル40g、トレセラムφ2mm(商品名、東レ(株)製ジルコニアビーズ)200g、化合物Aとして分散剤I 4g、樹脂溶液Iを混合し、ボールミルで、回転数170rpmで1時間解砕を行った。次いで、得られた磁性体無機粒子の濾過を行って、ビーズを除去し、樹脂組成物を得た。濾過にはメッシュフィルターを利用した。該樹脂組成物を用いて、上記の方法でビア加工率の評価を行ったところ、乾燥時に、クラックが発生したため、評価を中止した。
Figure 2010100718
Figure 2010100718
Figure 2010100718

Claims (10)

  1. 磁性体無機粒子、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、有機溶媒および分散メディアを混合する工程と、該混合物中の前記磁性体無機粒子を粉砕および/または解砕させた後、分散メディアを除去する工程と、分散メディアを除去した後の混合物を濾過して得られる濾物を樹脂溶液と混合する工程で得られる樹脂組成物。
    Figure 2010100718
    (上記一般式(1)〜(4)中、Rは重合性基を有する1価の基を示す。Rは水素原子または下記一般式(5)で表される1価の基を示す。)
    Figure 2010100718
    (上記一般式(5)中、mは1〜3の整数である。)
  2. 前記一般式(1)〜(4)におけるRが下記一般式(6)で表される1価の基である請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 2010100718
    (上記一般式(6)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。また、nは1〜3の整数である。)
  3. 前記化合物が前記一般式(4)で表され、一般式(4)中、Rが水素原子であり、Rが前記一般式(6)で表される1価の基であり、一般式(6)中、nが2である請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂溶液が、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体を含有する請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂溶液が、不飽和結合含有重合性化合物を含有する請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物。
  6. 磁性体無機粒子、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物、有機溶媒および分散メディアを混合する工程と、該混合物中の前記磁性体無機粒子を粉砕および/または解砕させた後、分散メディアを除去する工程と、分散メディアを除去した後の混合物を濾過して得られる濾物を樹脂溶液と混合する工程を有する樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物を硬化させてなる磁性体組成物。
  8. 請求項6記載の方法で得られた樹脂組成物を硬化させてなる磁性体組成物。
  9. 樹脂組成物の硬化が熱硬化である請求項7または8記載の磁性体組成物。
  10. 硬化温度が200℃以下である請求項9記載の磁性体組成物。
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