JP5109218B2 - 共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、各種粉体の分散剤として有用なポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位、および無水マレイン酸に基づく構成単位を有する共重合体を、良好な色相で再現性よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を構成単位とするポリカルボン酸化合物系共重合体は、分散剤、増粘剤、混和剤、コーティング剤、凝集剤、多価金属イオン捕捉剤、接着剤、化粧品基材等の多くの用途に用いられている。その製造方法に関しては、溶媒存在下でラジカル重合を行うのが一般的であるが、特にセラミックス電子部品原料粉体の分散剤としては、焼成後の金属塩などが残存すると、電気容量の低下、破壊電圧の低下など電気的特性に悪影響を及ぼすことから、より精密で、高性能なセラミックス電子部品用には強熱残分の極めて少ない分散剤の要求が強くなっている。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を構成単位とするポリカルボン酸化合物系共重合体は、溶媒として水を用いる水系での重合が一般的であるが、原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物の種類によっては水への溶解性により水系での重合ができない場合や、水系で有効な重合開始剤の殆どが塩であり灰分として残存するため、強熱残分の残存による悪影響が敬遠されるセラミックス電子部品製造用の分散剤としては使用ができなかった。そのため、水への溶解性により水系で重合できない場合や、水系で用いる重合開始剤などに由来する灰分の残存を敬遠するセラミックス電子部品製造などの分散剤として使用する共重合体を重合する場合は、水系での重合以外の溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系や溶媒を用いない無溶剤系でのラジカル重合が行われている。
【0003】
しかし、ラジカル重合を行った場合、重合物の物性が製造ロット毎にばらついたり、色相がばらつくなどの問題があり、得られた共重合体は分散剤として本来有するべき効果を発揮しない場合もあり、目的とする共重合体を再現性良く製造することが難しかった。例えば、セラミックス粉体などの分散では、スラリー粘度が一定の範囲に収まることができないため、スラリーの成形工程にトラブルが生じる原因となり、分散剤のロット毎に添加量を調整したり、スラリーの配合を調整するなど作業効率の低下をもたらす要因となる。
また、目的とする性能に達しない共重合体は、追加反応等で目的とする性能を発揮させることも可能な場合もあるが、使用できない共重合体については廃棄するなど、無駄も多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物の製造時の反応触媒としては、アルキレンオキシド付加反応の際には、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラートなどのアルカリ触媒や、金属ハロゲン化物、半金属ハロゲン化物などのルイス酸触媒が使用され、アルキルエーテル化やアルケニルエーテル化の反応の際には、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラートなどアルカリ金属化合物を使用して製造される。
アルキレンオキシドの付加反応時に使用するアルカリ触媒やルイス酸触媒の化学当量数に比べて、アルキルエーテル化またはアルケニルエーテル化の反応時に使用するアルカリ触媒の当量数の方が多いためアルキルまたはアルケニルエーテル化反応後に残存する不純物の大部分がアルカリ触媒に由来するものある。種々の方法を用いて、これらの不純物を除去している。
例えば、残存する不純物を中和し、生じる塩をろ過することにより除去することができる。また、活性炭、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、活性白土、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどを用いた吸着処理によって残存する触媒等の不純物を除去することができる。しかしながら、これらの方法によって残存する不純物の除去を試みても、処理条件によっては、目的の不純物が十分に除去されず、特にエーテル化反応などアルカリ金属化合物を比較的多量に用いる反応後には、不純物が十分に除去できていない場合もあり、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物の不純物が数百ppmを超える場合もあった。
また、同じ処理を複数回行うことにより、100ppm以下まで低減できる場合もあるが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物が劣化したり、吸着剤がポリエーテル中へ溶出することにより不純物が一定レベル以下まで低下できないこともあった。さらに歩留まりが低下し、ろ過後の廃棄物量が増えるなどの問題もあった。
本発明の目的は、無溶剤系または有機溶剤系でポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物と無水マレイン酸をラジカル重合し、分散剤として効果の優れた共重合体を再現性良く製造する方法を提供するものである。
【0005】
【発明を解決するための手段】
上記課題を解決するために、種々のラジカル重合を検討した結果、有機溶剤系または無溶剤系でラジカル重合を行う際に、系内に存在する不純物、特に残存触媒のアルカリ金属化合物が、ラジカル重合に影響を及ぼすことを見出した。
不純物を一定の量まで除去されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を用い、さらに系内の水分を一定量まで低く抑えて共重合を行うことで、分散剤として効果の優れた共重合体を良好な色相で再現性良く製造が出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位、および無水マレイン酸に基づく構成単位を有する共重合体の製造方法において、
アルカリ金属含有量が50ppm以下である式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物およびアルカリ金属含有量が1ppm以下である無水マレイン酸を原料として、かつ、反応系内の水分が0.5%以下の条件で、無溶剤系または有機溶剤系でアルカリ金属含有量が50ppm以下である重合開始剤を用いてラジカル重合によって共重合させることを特徴とする共重合体の製造方法。
1O(AO)n2 (1)
(ただし、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、R2は炭素数1〜22の炭化水素基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数でn=1〜150である。)
(2) 前記(1)記載の製造方法によって得られた共重合体を主成分とする分散剤である。
【0007】
本発明の共重合体の製造方法は、式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物と無水マレイン酸を必須単量体とし、無溶剤系または有機溶剤系でラジカル重合する際に、原料である式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物のアルカリ金属含有量が50ppm以下のものおよびアルカリ金属含有量が1ppm以下である無水マレイン酸を用いて、さらに、反応系内の水分が0.5%以下でアルカリ金属含有量が50ppm以下である重合開始剤を用いてラジカル重合させることで分散剤として効果の優れた共重合体を良好な色相で再現性良く製造することができる。
【0008】
原料である式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に含まれるアルカリ金属含有量が50ppmより多い場合、得られる共重合体の重合率が低くなったり、着色が見られ、再現性良く製造できず、分散剤として使用しても分散効果が低くなる。アルカリ金属含有量は好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
アルカリ金属としては、ルビジウム、セシウム、フランシウム等も含まれるが、触媒としての汎用性、原料への混入の可能性が少ないため、実質的にはリチウム、ナトリウムおよびカリウムの含有量でも規定できる。本発明においてはアルカリ金属含有量はリチウム、ナトリウムおよびカリウムの含有量の合計量とする。
また、共重合する際の反応系の水分が0.5%より多い場合、得られる共重合体の重合率が低くなったり、再現性良く製造できず、分散剤として使用しても分散効果が低くなる。反応系中の水分は好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下である。
【0009】
またもう1つの原料である無水マレイン酸は、通常はリチウム、ナトリウムおよびカリウムのアルカリ金属含有量は1ppm以下であるので、アルカリ金属含有量は通常は問題とならないが、影響を及ぼす程度に含まれる場合は、必要に応じて昇華、再結晶、イオン交換等の公知の処理により、アルカリ金属含有量を低減する。無水マレイン酸のアルカリ金属含有量は1ppm以下である。
【0010】
また、単量体のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に含まれるアルカリ金属含有量は種々の方法により低減することが可能である。
例えば、以下の方法が挙げられる。
(ア)イオン交換処理によりアルカリ金属イオンを除去する方法。
(イ)アルカリ金属イオンを酸性物質で中和し、生じる中和塩をろ過によりろ別して除去する方法。
(ウ)アルカリ金属イオンを酸性物質で中和後、減圧下で水分を極力除き、生じる中和塩をろ過によりろ別して除去する方法。
(エ)活性炭、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、活性白土や、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどの吸着剤を用いてアルカリ金属イオンを吸着させ、アルカリ金属イオンが吸着した吸着剤をろ過によりろ別して除去する方法。
(オ)アルカリ金属イオンを酸性物質で中和後、減圧下で水分を極力除き、前記(エ)と同様な吸着剤を用いてアルカリ金属イオンを吸着させ、アルカリ金属イオンを吸着した吸着剤と生じた塩をろ過によりろ別して除去する方法。
上記の方法は通常用いられる方法で、適宜選択して行うことができる。
上記の除去方法において、(オ)の方法または、(ウ)の方法の後に(エ)の方法を行う方法が好ましく、(ウ)の方法後に(エ)の方法を行うことがより好ましい。
【0011】
(オ)の方法をさらに具体的に説明する。
エーテル化反応後に系内に残存するアルカリ金属イオンを、酸性の中和剤で中和する。酸性の中和剤の中でも、塩酸、りん酸、硫酸、硝酸などの各種無機酸の水溶液を用いて中和するのが好ましい。また、中和の際に酸性の中和剤を使用する場合には、ステンレスなどの金属製よりもガラス製の容器を使用することが好ましい。中和後は、減圧下にて水分を徐々に取り除くことで、中和塩は徐々に析出する。温度120℃以下、不活性ガス雰囲気下の減圧下で水分を取り除くことが好ましく、特に50〜100℃、不活性ガス雰囲気下の13kPa(100Torr)以下で行うのがさらに好ましい。
このようにして系内の水分を極力除き、中和塩の溶解度を下げたところで、前記(エ)と同様な吸着剤、好ましくはハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどの合成吸着剤を添加して吸着剤処理を行う。吸着剤処理は、温度120℃以下、不活性ガス雰囲気下の減圧下で15分以上かけて処理することが好ましく、特に50〜100℃、不活性ガス雰囲気下の13kPa(100Torr)以下で、30分以上の処理を行うのがさらに好ましい。吸着剤処理により、中和塩として析出しないアルカリ金属イオンを吸着させ、アルカリ金属イオンが吸着した吸着剤と生じた塩をろ過によりろ別してアルカリ金属イオンを除去する。
ろ過に際しては、ろ過助剤を使用することもできるが、水分の少ない物を使用することが好ましく、ろ過助剤としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどの合成吸着剤を使用することもできる。ろ過条件としては、80℃以下、不活性ガス雰囲気下で処理することが好ましい。
(ウ)の方法の後に(エ)の方法を行う処理方法の具体例を説明する。
エーテル化反応後に系内に残存するアルカリ金属イオンを、酸性の中和剤で中和する。酸性の中和剤の中でも、塩酸、りん酸、硫酸、硝酸などの各種無機酸の水溶液を用いて中和するのが好ましい。また、中和の際に酸性の中和剤を使用する場合には、ステンレスなどの金属製よりもガラス製の容器を使用することが好ましい。中和後に静置することにより、下層部に水層部分が分層する場合には、分離した水層部分を除去する方が良い。分層させる場合は、60〜80℃で30間以上静置させるのが好ましい。
中和後または分層した水層の分離後は、減圧下にて水分を徐々に取り除くことで、中和塩は徐々に析出してくる。温度120℃以下、不活性ガス雰囲気下の減圧下で水分を取り除くことが好ましく、特に50〜100℃、不活性ガス雰囲気下の13kPa(100Torr)以下で行うのがさらに好ましい。析出した中和塩を、ろ過により除去する。ろ過に際しては、ろ過助剤を使用することもでき、水分や強熱残分の少ない物を使用することが好ましい。ろ過助剤としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどの合成吸着剤を使用することもできる。ろ過条件としては、80℃以下、不活性ガス雰囲気下で処理することが好ましい。ろ過後のろ液に、前記(エ)と同様な吸着剤を、好ましくはハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸マグネシウムなどの合成吸着剤を添加し吸着剤処理を行う。吸着剤処理は、温度120℃以下、不活性ガス雰囲気下の減圧下で15分以上かけて処理することが好ましく、特に50〜100℃、不活性ガス雰囲気下、13kPa(100Torr)以下で、30分以上の処理を行うのがさらに好ましい。吸着剤処理により、中和塩として析出しないアルカリ金属イオンを吸着させ、アルカリ金属イオンを吸着した吸着剤をろ過によりろ別してアルカリ金属イオンを除去する。
【0012】
反応系内の水分を0.5%以下にする方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(ア)使用する反応容器を水洗浄後、よく乾燥させる方法。
(イ)使用する反応容器を水洗浄後、さらにアセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の親水性有機溶媒で洗浄後、よく乾燥させる方法。
(ウ)使用する反応容器を洗浄後、原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下の減圧下で脱水する方法。
(エ)使用する反応容器を水洗浄後、さらに前記の親水性有機溶媒で洗浄後、よく乾燥させ、原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下の減圧下で脱水する方法。
上記の脱水方法において、(エ)の方法が好ましいが、原料の沸点等により脱水が困難な場合は(イ)の方法が好ましい。
【0013】
(エ)の方法をさらに具体的に説明する。
使用する反応容器を水洗浄後、80〜150℃の温度で乾燥させる。さらに前記の親水性有機溶媒を、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを反応容器内に仕込み、攪拌等により系中に残存する微量の水分を有機溶剤中に溶解させる。この際、洗浄に使用する有機溶剤を還流させても良い。反応容器内の有機溶剤を系外に除去後、減圧下、好ましくは13kPa(100Torr)以下、温度150℃以下で反応容器内の有機溶剤を系内から除去する。上記の操作により、親水性有機溶剤に系内の水分を溶解させ、有機溶剤を除去することで、原料仕込前に系内の水分を極力除く。この際、使用した有機溶剤の沸点以上の温度で乾燥させることが好ましく、さらに好ましくは、100〜150℃の温度で乾燥させる。原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物が減圧脱水可能な場合には、原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、120℃以下、13kPa(100Torr)以下で減圧脱水する。
原料の減圧脱水が不可能な場合に、この減圧脱水工程を省略したのが(イ)の方法である。
【0014】
本発明の共重合体の製造方法は、共重合をする際に、溶媒を用いない無溶剤系または溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系で共重合を行う。
有機溶剤系で用いる有機溶剤は、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル等のエステル、アセトニトリル等を使用する原料によって適宜選択される。有機溶剤は1種または2種以上を混合して用いることができるが、いずれの場合にも水分の極力少ない溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の水分としては0.2%以下であることがさらに好ましい。
【0015】
式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物において、R1は炭素数2〜5のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基などがあり、好ましくはアリル基およびメタリル基である。
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にオキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基、2,3−オキシブチレン基およびオキシテトラメチレン基が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基およびオキシテトラメチレン基である。これらは1種または2種以上用いることができ、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でもよい。
【0016】
2は炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ドコシル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、シクロヘキシル基およびベンジル基である。
本発明の共重合に用いる式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物は、単独で使用できるが、2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
また、本発明の共重合体の製造方法においては、必要に応じて式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物と無水マレイン酸以外の他の共重合可能な単量体を共重合させることができる。その他の共重合可能な単量体としては、アルカリ金属含有量が50ppm以下であれば特に制限はなく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート、スチレン、p−スチレンスルホン酸、インデンなどの重合性芳香族不飽和化合物、イソブチレン、イソプレンなどのオレフィン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド、その他アクリルアミド類、マレイン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などを挙げることができ、これらの単量体は1種または2種以上を併用することもできる。他の共重合可能な単量体からなる構成単位は(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位に対して5モル%以下であることが好ましい。
【0018】
有機溶剤系または無溶剤系でラジカル重合を行う場合の重合開始剤としては、アルカリ金属含有量が50ppm以下であれば特に制限はなく例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレートなどの過酸化物や、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種または2種以上を併用することもできる。また、アルカリ金属含有量が50ppm以下であれば、重合連鎖移動剤や重合促進剤を使用することもでき、例えばチオグリコール酸、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノールなどの連鎖移動剤やアスコルビン酸、チオ尿素などの促進剤である。
【0019】
本発明で得られる共重合体は、式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位を5〜95モル%と、無水マレイン酸に基づく構成単位を95〜5モル%との共重合体である。好ましくは式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位を30〜70モル%と、無水マレイン酸に基づく構成単位を70〜30モル%との共重合体である。
この範囲にある共重合体を使用した場合、分散剤の有効成分として優れた分散性能を発揮する。
本発明で得られる共重合体の分子量は3,000〜300,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは5,000〜100,000であり、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す。)による測定で求めることができる。
上記の範囲にある共重合体を分散剤の有効成分として使用した場合、優れた分散性能を発揮する。
【0020】
本発明の分散剤の形態に特に制限はなく、例えば、共重合体を単独で用いることができ、共重合体を水溶液又は有機溶剤溶液として用いることもできる。共重合体は、アルカリ化合物で中和して使用することもできる。残存する灰分の悪影響を敬遠する用途では、アルカリ化合物として、アンモニア、アルカノールアミンなどで中和することが好ましい。特に残存する灰分の制限が少ない用途には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなども使用できる。また、必要に応じて本発明の分散剤の効果を損なわない程度で、他の分散剤とも併用して使用することもできる。他の分散剤としては、非イオン系、カチオン系、アニオン系の何れでも良く、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリスチレンスルホン酸の塩、ポリアクリル酸の塩、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、スチレンマレイン酸共重合物及びその塩、オレフィン無水マレイン酸及びその塩、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合物及びそれらの塩、ポリオキシアルキレンモノアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合物及びそれらの塩、ソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルのアルキレンオキシド付加物、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロック重合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステルなどがある。
また、消泡剤やポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メチルセルロースなどの有機バインダー等の成形時に必要な他の薬剤を予め混合したり併用して用いることもできる。
本発明の分散剤は、特にセラミックス用途に用いて優れた効果を発揮し、灰分が少ないため、セラミックス電子部品の製造に好適で、セラミックス原料粉体のスラリー組成物を低粘度かつ高濃度に調整することができ、セラミックス原料粉体の調整時においては、粉砕効率の向上、微粉砕化、均一化、焼成時間の短縮に効果があり、成型時には、乾燥時間の短縮、乾燥による収縮の防止、シートの薄層化等に効果があり、緻密な積層部品の製造に好適である。セラミックス原料粉体としては、例えばアルミナ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化ジルコニア、チッ化ケイ素、チッ化アルミ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等がある。また、電子セラミックス部品等に使用される導電性ペーストの分野においても効果があり、銀、ニッケル、銅等の金属の分散性、安定性に優れている。
また、特にセメント用途において、普通ポルトランドセメント、早強セメント、低発熱セメント、ビーライトセメント、フライアッシュセメント、高炉スラグセメントなどの各種セメントの分散性と分散効果の保持に優れており、作業性の良好な高品質のモルタルやコンクリートの調整が可能である。
塗料用途においては、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、黄鉛、チタンイエロー、群青、酸化クロム、マイカ、キナクリドン、フタロシアニンブルーなどの顔料を均一に分散するとともに沈降を抑制することができる。研磨剤用途では、アルミナ、酸化セリウム、炭化ホウ素、チッ化ホウ素、ダイヤモンド、ケイ砂などの砥粒材料の分散性と安定性に優れる。
本発明の分散剤の使用量に特に制限はなく、例えば、分散すべき固体に対して共重合体を0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%添加することにより、固液分散系における固体粒子の分散状態や沈降抑制効果を著しく改良することができる。
【0021】
【実施例】
合成例1
<ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物の製造>
原料仕込口、底栓弁、温度計、圧力計、安全弁、ガス導入管、攪拌機、排気管、コイルおよびジャケットを装着した5リットルのステンレス(SUS316L)製の耐圧反応装置を水で洗浄後、蒸気ジャケットに蒸気圧0.3MPaの蒸気を供給しながら反応系内の水分を乾燥窒素ガスで良く払い出した。続いてコイルとジャケットに蒸気を供給しながら反応系内を減圧とし30分間減圧乾燥させた。室温まで冷却後、窒素ガスで常圧に戻し、アリルアルコール121.9gおよびナトリウムメトキシド5.7gを原料仕込口より耐圧反応装置に仕込み、反応系内を窒素ガスで置換した。攪拌下にて95℃まで昇温した後、95〜105℃、0.6MPa以下の条件で、ガス導入管よりプロピレンオキシド2373gとエチレンオキシド491gの混合物を反応系内に連続して添加した。添加終了後、95〜105℃で3時間反応を継続した。次に75℃まで冷却した後、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、75〜85℃で1時間減圧処理を行った。60℃まで冷却し、窒素ガスで常圧まで加圧後、KOH271gを加え、系内を窒素ガスで置換し、80〜90℃、7〜13kPa(50〜100Torr)で1時間減圧処理を行った。70℃まで冷却後、ガス導入管よりメチルクロリド137.8gを窒素ガスで系内に圧入し、窒素ガスで0.5MPaまで加圧後、80〜90℃で6時間反応させた。次に60℃まで冷却した後、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、55〜65℃で1時間減圧処理を行った。窒素ガスで常圧まで加圧後、反応物を底栓弁より取り出した。
ガラス製分液漏斗に移し、5N塩酸400mlとイオン交換水200mlを加え良く振り混ぜ約30分間静置した。下層部分を廃棄後、上層部分のポリエーテル層をビーカーに取り、5N塩酸を加えて中和してポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(18モル)ランダム共重合体アリルメチルエーテルであるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(イ)を得た。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(イ)のうち300gをろ過により処理し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−1)を得た。
残りのポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(イ)は、窒素ガス導入管と真空排気管を備えたナスフラスコに移し、窒素ガスを吹き込みながら減圧下で脱水処理をしてポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ロ)を得た。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ロ)2,500gをろ過処理し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−2)を得た。
残りのポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ロ)から300gを別の窒素ガス導入管と真空排気管を備えたナスフラスコに移し、吸着剤として合成吸着剤キョーワード2000(協和化学工業(株)製)3.0gを添加し、窒素ガスを吹き込みながら80〜90℃、7〜13kPa(50〜100Torr)で3時間減圧処理を行った。処理液は、ろ過処理を行いポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)を得た。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−2)のうち1,200gを窒素ガス導入管と真空排気管を備えたナスフラスコに移し、吸着剤として合成吸着剤キョーワード2000(協和化学工業(株)製)12.0gを添加し、窒素ガスを吹き込みながら80〜90℃、7〜13kPa(50〜100Torr)で3時間減圧処理を行った。処理液は、ろ過処理を行いポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−4)を得た。
【0022】
<アルカリ金属含有量の測定>
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(a−1)〜(a−4)のアルカリ金属分の測定を以下の方法によって行った。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル試料30gを白金皿に秤量し、ガスバーナーで燃焼させ、さらに650℃に調整した電気炉で2時間かけて灰化させた。室温まで放冷後、灰化物を少量の精製水で洗浄しながら洗浄水の全量を50mlメスフラスコに移し入れた。同様の洗浄操作をさらに2回行い、精製水を標線まで入れ測定試料を調整した。調整した各測定試料に含まれるリチウム、ナトリウムおよびカリウムの量を、フレーム分光光度法によりリチウム、ナトリウムおよびカリウムの標準液より作成した検量線から求め、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル試料に含まれるリチウム、ナトリウムおよびカリウムの量を求めた。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0005109218
【0024】
1)ポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(18モル)ランダム共重合アリルメチルエーテル
【0025】
実施例1
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素ガス導入管を装着した500ml四つ口フラスコに、合成例1で得たポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)156gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、75〜85℃で1時間減圧処理を行った。室温まで放冷後窒素ガスで常圧に戻し、無水マレイン酸(リチウム、ナトリウム、カリウムはそれぞれ0.1ppm以下であった。)11.5gおよびトルエン(水分0.01%)100gを秤取り、窒素ガス雰囲気下、50〜60℃に加温し均一に溶解させた。続いて、窒素ガス雰囲気下、55℃でt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0gを加えた。このときガラス製注射器で5.2gの内容物を抜き取り、カールフィシャー法で水分を測定したところ0.02%であった。
フラスコ内の混合物を昇温させ73〜78℃の温度範囲で3時間攪拌後、さらに昇温させ83〜88℃の温度範囲で6時間攪拌させ重合を行った。重合終了後、窒素ガスを吹き込みながら、13〜26kPa(100〜200Torr)、90〜100℃の温度範囲でトルエンを回収した。さらに窒素ガスを吹き込みながら105〜110℃、13kPa(100Torr)以下の減圧下で3時間処理し共重合体(A−3)を得た。得られた共重合体は、100℃における動粘度が168mm2/s、色相はAPHA40、揮発減量は0.2重量%であった。また、次の条件で重合率を求めた。
GPCシステムとしてSHODEX GPC SYSTEM−11、示差屈折率計としてSHODEX RI−71を使用し、カラムとしてSHODEX KF−801、SHODEX KF−803、SHODEX KF−804およびガードカラムを連結し、カラム温度40℃とし、テトラヒドロフランを展開溶剤として1ml/分の流速で流し、試料の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BORWIN GPC計算プログラムを用いてGPC測定を行った。
GPCクロマトグラムの未反応単量体部分の面積と共重合体部分の面積をプログラムで計算し、シグナル部分の溶出面積に対する共重合体部分の面積を百分率で求め、重合率とした。重合率は77%であった。共重合体部分の分子量を、ポリエチレングリコールを基準として作成した検量線から求めた結果、重量平均分子量は19,400であった。
また、その他の評価は以下の方法で行った。
動粘度:JIS K2283
色相:JIS K1557 6.2
揮発減量:重量既知の直径60mm、高さ45mmの秤量瓶に、試料5gを精秤し、120±2℃に調整した恒温槽中に2時間静置した後の重量変化を百分率で求めた。
【0026】
<分散性の評価>
300mLビーカーに酸化チタン(平均粒径2.0μm)150g、キシレン50gを秤取り、分散剤として共重合体(A−3)1.0gを加え、攪拌羽根で2分間均一に混ぜ合わせてスラリー状組成物を調整した。B型粘度計を用いて25℃におけるスラリー状組成物の粘度を測定したところ730mPa・Sであった。
【0027】
実施例2
実施例1と同様の500mL四つ口フラスコに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)のかわりにポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−4)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行って共重合体(A−4)を得た。水分測定用に5.8gを抜き取り、水分を測定したところ0.01%であり、得られた共重合体の100℃における動粘度は193mm2/s、色相はAPHA20、揮発減量は0.2重量%、重合率は82%、共重合体部分の重量平均分子量は21,100であった。また、スラリー状組成物の粘度は520mPa・sであった。
【0028】
比較例1
実施例1と同様の500ml四つ口フラスコに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)のかわりにポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−2)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行って共重合体(A−2)を得た。反応途中で水分測定用に5.6gを抜き取り、水分を測定したところ0.02%であり、得られた共重合体の100℃における動粘度は103mm2/s、色相はAPHA300、揮発減量は0.3重量%、重合率は54%、共重合体部分の重量平均分子量は16,000であった。スラリー状組成物の粘度は1,380mPa・sであった。
【0029】
比較例2
実施例1と同様の500ml四つ口フラスコに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)のかわりにポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−1)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行って共重合体(A−1)を得た。反応途中で水分測定用に5.1gを抜き取り、水分を測定したところ0.03%であり、得られた共重合体の100℃における動粘度は63mm2/s、色相はAPHA500以上、揮発減量は0.2重量%、重合率は35%、共重合体部分の重量平均分子量は13,800であった。であった。スラリー状組成物の粘度1,950mPa・sであった。
実施例1〜2および比較例1〜2の結果を表2にまとめた。
【0030】
【表2】
Figure 0005109218
【0031】
合成例2
合成例1で用いた耐圧反応装置を、合成例1と同じ方法で洗浄及び乾燥させた。室温まで冷却後、窒素ガスで常圧に戻し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(川研ファインケミカル社製SM−28、ナトリウムメトキシド28重量%含有)61.1gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換した。攪拌下にて115℃まで昇温した後、115〜125℃、0.6MPa以下の条件で、ガス導入管よりエチレンオキシド3450gを反応系内に連続して添加した。添加終了後115〜125℃で3時間反応を継続した。次に75℃まで冷却した後、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、75〜85℃で1時間減圧処理を行った。65℃まで冷却し、窒素ガスで常圧まで加圧後、KOH188.5gを加え、系内を窒素ガスで置換し、80〜90℃、7〜13kPa(50〜100Torr)で1時間減圧処理を行った。70℃まで冷却後、ガス導入管よりアリルクロリド159gを窒素ガスで系内に圧入し、窒素ガスで0.2MPaまで加圧後、80〜90℃で6時間反応させた。次に60℃まで冷却した後、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、65〜75℃で1時間減圧処理を行った。窒素ガスで常圧まで加圧後、反応物を底栓弁より取り出し、ガラス製分液漏斗に移し、5N塩酸約400mlとイオン交換水200mlを加えてから良く振り混ぜ、70〜75℃に調整した湯浴中に60分間静置した。下層部分を廃棄後、上層のポリエーテル層をナスフラスコに取り、5N塩酸を加えて中和後、窒素ガスを吹き込みながら減圧下で脱水処理をしてポリオキシエチレン(48モル)アリルメチルエーテルであるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ハ)を得た。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ハ)のうち1,620gをろ過処理し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−1)を得た。
残ったポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ハ)1,730gに、吸着剤として合成吸着剤キョーワード700(協和化学工業(株)製)22gと合成吸着剤キョーワード1000(協和化学工業(株)製)22gを添加し、窒素ガスを吹き込みながら80〜90℃、7〜13kPa(50〜100Torr)で1時間減圧処理を行った。処理液は、ろ過により吸着剤を取り除き、目的とするポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−2)を得た。
得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物のアルカリ金属含有量を測定した。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0005109218
【0033】
2)ポリオキシエチレン(48モル)アリルメチルエーテル
実施例3
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素ガス導入管を装着した1リットル四つ口フラスコに、実施例1で用いたものと同じ500ml四つ口フラスコに、合成例2で得たポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−2)273gを秤取り、窒素ガスを吹き込みながら、13kPa(100Torr)以下、95〜105℃で1時間減圧処理を行った。続いて、窒素ガスで常圧まで加圧後、55℃まで冷却させ、無水マレイン酸13.5gを秤取り均一に溶解させた後、酢酸ビニル1.0gおよびN,N’−アゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えた。このときガラス製注射器で5.1gの内容物を抜き取り、水分を測定したところ0.04%であった。フラスコ内混合物を昇温させ63〜68℃の温度範囲で4時間攪拌後、さらに昇温させ73〜78℃の温度範囲で5時間攪拌させ重合を行った。重合終了後、窒素ガスを吹き込みながら、80〜85℃、13kPa(100Torr)以下の減圧下で3時間処理し共重合体(B−2)を得た。得られた共重合体(B−2)の100℃における動粘度は534mm2/s、色相はAPHA300、揮発減量は0.4重量%、重合率は79%、共重合体部分の重量平均分子量は26,300であった。
300mlビーカーに石灰石粉(平均粒径5.1μm)140gおよび水50gを秤取り、分散剤として共重合体(B−2)1.0gを添加して攪拌羽根で2分間均一に混ぜ合わせてスラリー状組成物を調整した。B型粘度計を用いて25℃におけるスラリー状組成物の粘度を測定したところ310mPa・sであった。同じ条件下での操作を引き続き3度行なった。
各バッチの評価結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
Figure 0005109218
【0035】
比較例3
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−2)のかわりにポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−1)を用い、減圧処理を行わない以外は、実施例3と同様の操作を行って共重合体(B−1)を得た。反応途中で水分測定用に5.4gを抜き取り、水分を測定したところ0.75%であり、得られた共重合体の100℃における動粘度は166mm2/s、色相はAPHA500以上、揮発減量は0.2重量%、重合率は41%、共重合体部分の重量平均分子量は17,900であった。同じ条件下での操作を引き続き3度行なった。
各バッチの評価結果を表5に示す。
【0036】
【表5】
Figure 0005109218
【0037】
合成例1で得られたアルカリ金属含有量が異なるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−1)〜(a−4)を用いて共重合させた共重合体(A−1)〜(A−4)を比較した場合、アルカリ金属含有量が50ppm以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−1)および(a−2)を用いて共重合させた比較例1、2の共重合体(A−1)および(A−2)は、色相が悪く、動粘度および重合率も低く、重合に悪影響があり、また、分散剤としての性能も不十分である。
特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(イ)をろ過処理したのみのポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−1)の方が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(イ)を減圧脱水してからろ過処理したポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−2)よりもアルカリ金属含有量が高いため、得られた共重合体の色相、動粘度、重合率および分散剤としての性能により悪影響が見られる。
一方、合成例1で得られたアルカリ金属含有量が50ppm以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)および(a−4)を用いて共重合させた実施例1、2の共重合体(A−3)および(A−4)は、比較例1、2の共重合体(A−1)および(A−2)と比べ、色相も良好で、動粘度および重合率も高く、分散剤としての性能も十分である。
特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ロ)を吸着剤処理およびろ過処理したのみのポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−3)よりも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−2)を吸着剤処理およびろ過処理したポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(a−4)の方がアルカリ金属含有量が低いため、得られた共重合体の色相、動粘度、重合率および分散剤としての性能により改善効果が見られる。
このことから、アルカリ金属含有量を50ppm以下にすることで、色相が良好で、重合に悪影響がなく、かつ、分散剤として十分に性能を発揮する共重合体を製造することができることがわかる。
また、実施例3では、合成例2で得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ハ)を吸着剤処理およびろ過処理したアルカリ金属含有量が50ppm以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−2)を用い、かつ、反応系内の水分を0.5%以下まで低くすることで、分散剤として効果の高い共重合体(B−2)が、安定した重合率で得られており、色相や分散効果にばらつきが少なく安定している。比較例3では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(ハ)をろ過処理したのみのアルカリ金属含有量が50ppm以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物(b−1)を用い、かつ、反応系内の水分が0.5%以上であるために、共重合体(B−1)は色相が悪く、動粘度および重合率も低く、これらの値にばらつきがある。また、分散剤としての性能もばらつきが見られ、本来発揮すべき性能とは言えない。
このことから、アルカリ金属含有量を50ppm以下にし、かつ、反応系内の水分を0.5%にすることで、色相が良好で、重合に悪影響がなく、かつ、分散剤として十分に性能を発揮する共重合体を再現性良く製造することができることがわかる。
【発明の効果】
本発明の製造方法は、分散剤として効果の優れた共重合体を、良好な色相で再現性良く製造することができる。

Claims (2)

  1. 式(1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物に基づく構成単位、
    および無水マレイン酸に基づく構成単位を有する共重合体の製造方法において、
    アルカリ金属含有量が50ppm以下である式(1)で示されるポリオキシアルキレン
    アルキルエーテル化合物およびアルカリ金属含有量が1ppm以下である無水マレイン酸
    を原料として、かつ、反応系内の水分が0.5%以下の条件で、無溶剤系または有機溶剤
    系でアルカリ金属含有量が50ppm以下である重合開始剤を用いてラジカル重合によっ
    共重合させることを特徴とする共重合体の製造方法。
    1O(AO)n2 (1)
    (ただし、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン
    基、R2は炭素数1〜22の炭化水素基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数でn
    =1〜150である。)
  2. 請求項1記載の方法によって得られた共重合体を主成分とする分散剤。
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