JP5107748B2 - 送り装置用線状体巻取機構と送り装置 - Google Patents

送り装置用線状体巻取機構と送り装置 Download PDF

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Description

本発明は機械分野に属するものであって、送り装置用線状体巻取機構と往復作動体を往復動させるための送り装置に関する。
周知のとおり、送り装置は製造部門やその他の分門で多用されている。これについてはベルトコンベア式送り装置・ネジ式送り装置・シリンダ式送り装置・タイミングベルト式送り装置・ロボットなど各種のものがある。このような送り装置は、搬送系とか往復動装置とかのようにいわれたりすることもある。さらに上下方向に昇降するエレベータやリフトなども、箱状の搬器(カゴ室)を所定階(位置)まで昇降させるべく、これを上下方向に送るものであるから、送り装置の一種ということができる。
上記のうちで、ベルトコンベア式送り装置の場合は、低価格で長距離搬送に適応する反面、搬送物の位置決め精度が低く、他に比べて搬送速度も遅い。加えてベルトコンベアは搬送距離に比例するところの長大な設置スペースを必要とする。ネジ式送り装置は、研磨ボールネジの使用で搬送精度が高まるほか、中高速などの搬送も可能になる。とはいえ、高価な研磨ボールネジを用いるケースでは、それがコストプッシュ要因となるため装置が高価になる。ネジ式送り装置は、また、省スペース型でないばかりか搬送距離が短いためにベルトコンベアのような長距離搬送が困難になる。シリンダ式送り装置もネジ式送り装置と同様、長距離搬送の困難性や高価格が問題であり、省スペース型といえるほどのコンパクト化も達成されてない。なかでもシリンダ式送り装置は、搬送ストロークの任意変更が困難という点が実用上の難点になっている。一方でタイミングベルト式送り装置は、研磨ボールネジを用いるネジ式送り装置よりも低額であるが、高い位置決め精度を期すため高精度品を用いたりするときには、ベルトコンベアに比してかなり高額になる。さらにタイミングベルトは、ネジ送り装置やシリンダ式送り装置よりも長い搬送距離を設定できるが、製作上の制約があったりベルトの弛みが生じたりするため、ベルトコンベアほどの搬送距離を確保するのが難しい。つまりタイミングベルト式送り装置は、ベルトコンベアほど長大化しないけれどもその分だけ搬送距離が短くなる。これらに対してロボットは、精度が格段に高く高機能であるが高額すぎる。それに長距離間の連続搬送にはロボットは適さない。
上記で明らかなように既存の送り装置には一長一短がある。これらの長所のみを集約した有用で有益な送り装置については、これを具体化することができるほどの開発がなされていない。
ボールネジ方式やタイミングベルト方式など既存の送り手段についてさらにいうと、これらの場合は駆動系の部品摩擦に起因した微粉塵の発生(μm単位以下の発塵)が避けられない。微粉塵についてはこれを問題視しない分野と、徹底して排除しなければならない分野とがある。後者でとくに超高度のクリーン度を要求しているのは液晶基板の製造分野や半導体の製造分野である。
発塵対策としては部品の耐摩耗性を高めたり発塵低減用グリースを用いたりする手段が講じられている。装置についても、電磁力利用の非接型動力装置として発塵部分をほとんどもたないリニアサーボアクチュエータが開発されている。これらを総合して実施するときは、超高度のクリーン度が要求される製造分野なども所定のクリーン雰囲気に保持することができる。とはいえリニアサーボアクチュエータは、発塵対策の点でよいとしてもコストが高すぎる。それゆえリニアサーボアクチュエータと同程度またはそれ以上のクリーン度が確保できて、しかもコスト面ではリニアサーボアクチュエータを大幅に下回る手段が希求されている。
送り手段用の低発塵技術については、また、極端なコストアップにならないかぎり、多重の対策を講じて万全を期すことが望ましい。それが製品の歩留まりを高めたり、不良品の処理コストを削減させたりするので、トータルでみた経済性にも通じる。
さらに精密加工装置などは、自明のとおり高度の精密送りが不可欠である。したがって用途に応じては、高精密の送りを満足させることも重要な課題になる。
このほか送り装置の場合も、不測の事故が発生したときには、これを直ちに検出して安全性の確保や二次被害の防止をはかることが重要である。
上記の課題を解決した送り装置として、本発明者はつぎのような発明を提案している。その一つは下記の特許文献1で明らかなように、正逆回転自在な正巻器と、正逆回転自在な逆巻器と、正巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする正巻用線状体と、逆巻器を介して巻き取られたり巻き戻されたりする逆巻用線状体と、行き方向や戻り方向の力を受けたときにガイド手段の案内で進行したり逆行したりする往復作動体とを備えているものである。この送り装置は、また、正巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された正巻用線状体と逆巻器で巻き取り巻き戻し自在に保持された逆巻用線状体とが往復作動体に連結されていること、巻き取り回転時の正巻器と巻き戻し回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き取り方向や巻き戻し方向へ回転するものであるとともに、巻き戻し回転時の正巻器と巻き取り回転時の逆巻器とが互いに同期かつ同調してそれぞれの巻き戻し方向や巻き取り方向へ回転するものであること、正巻器による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しいものであるとともに、正巻器による正巻用線状体の巻き戻し量と逆巻器による逆巻用線状体の巻き取り量とが互いに等しいものであることをも特徴としている。このほか摩擦発生箇所が防塵カバーを介して覆われていたりする。かかる送り装置によるときは、これ特有の構成と作用効果により、位置決め精度・長距離搬送・遠隔搬送・制御性・高精密送り・高速送り・低価格・簡潔構成・省スペース・軽量化・発塵対策・事故発生に対する安全対策などを満足させることができる。
一般に、両端支持された軸を中心に回転する回転体の場合は、軸両端にわたる軸受部間の寸法が小さいほど軸の撓みや振動が少なく、静穏で安定した回転状態(運転状態)を呈するようになる。この望ましい運転状態の回転体は、線状体などを介して該回転体と連係する各部の動作も不具合のない正常状態にする。したがって上記軸受部間の寸法短縮は、精密送りや高精度送りを企図する上で重要な事項といえる。この寸法短縮は、また、装置の長大化を回避することができるほか、運転状態の静穏安定化に依存して装置各部の寿命が増す点でも望ましい。
このような観点からすると、特許文献1の送り装置も回転体に該当する正巻器や逆巻器を主要部品として備えているから、その回転体の軸受部間を寸法短縮しないかぎり、より精密で高精度の送りを達成することができない。とくにドラム周面への線状体の整列巻きをはかるため、回転と同時に正巻器用のドラムや逆巻器用のドラムを軸方向へもシフトさせるものなどは、そのシフト量に対応した分だけ軸受部間を寸法を大きくしなければならないから、この課題の解決をより難しくしている。したがって上記提案例の送り装置も、この種の寸法増大をできるだけ抑制するという観点から新たな技術改良が要求される。
特許文献1の送り装置は、また、正巻器用のドラムや逆巻器用のドラムに巻き取られたりする巻き戻されたりする線状体が所定の方向へ案内されるものである。この場合の線状体については、ドラムの周面に均等ピッチで精密に巻き付けられたり巻き戻されたりすることを要する。これが満足になされないときは、正巻器(逆巻器)の一回転あたりの線状体巻き取り量(線状体巻き戻し量)にバラツキが生じ精密送りが困難になる。はなはだしいときは、ドラム周面で隣接する巻き取り線状体部相互が擦れたり重なったりし、また、無理な捻り力が作用するなど、線状体を早期に疲労破壊させることとなる。しかるに当該提案例は、このような不具合を回避するための技術を開示していない。
下記の特許文献2は上記に鑑み、位置決め精度・長距離搬送・遠隔搬送・制御性・高精密送り・高速送り・低価格・簡潔構成・省スペース・軽量化・発塵対策・事故発生に対する安全対策などを満足させた上で、運転状態の静穏安定化に基づく高精度化と耐久性の向上と構成のコンパクト化や、線状体の適正な巻き取り巻き戻しに基づく高精度化と耐久性の向上をはかるようにしたものである。ゆえに特許文献2のものは、応分の技術改良が加えられた点で望ましい送り装置といえる。
特願2006−017292号公報 特開2007−127138号公報
しかしながら特許文献2の送り装置にも改善の余地が残されている。その一つは精密部品であるところの正逆巻取器に枢要な構成や機能が集中していることである。ちなみに現状の正逆巻取器は、線状体を巻き取ったり巻き戻したりするためのドラム構造をベースにしてこれにスプライン案内面が設けられたり送りネジ用の雄ネジまたは雌ネジが設けられたりしているが、このような正逆巻取器は構成が特殊で複雑なものになる。精密部品の正逆巻取器が特殊化したり複雑化したりするときは製作難度が高くなり、それがコストアップ要因になる。とくに能力アップのために正逆巻取器を大型化したりするときは、それに多くの機能が集中している正逆巻取器では、一部を損じただけで全体を交換しなければならないような不合理も生じる。構造上の他の課題は、回転部分に構造が集中して回転軸に対する負荷が大きくなるため、この部分の強度や耐久性についてかなりの技術的配慮が要求されることである。加えて回転部分の重い正逆巻取器の場合は高速運転時の安定性を確保するための技術的配慮も要求される。
搬送物については、通常、往復作動体の単純な往復動だけで目標地点まで移送できることが多い。その一方で、出発地点から方向変換地点を経由して目標地点まで搬送物を移送することも少なくない。この後者のようなケースのとき、少なくとも二基の送り装置を交差させて組み合わせ、各送り装置の往復作動体上へと移乗させながら搬送物を目標地点まで移送したりする。これは複数の送り装置を要するという設備経済上の難点があり、それぞれの送り装置を好適に組み合わせる点でも煩わしい手数を要したりする。それに送り装置における往復作動体などは搬送物積み卸し用の機能を具備することで利便性がさらに高まり、その際、新たな動力源を要しないような工夫があれば、設備経済性をも含めた改善がはかれることになる。
他方、エレベータやリフトのような昇降式送り装置でも例外なく製作難度の緩和・コストアップの抑制・高速運転時の安定性などが望まれる。
本発明はこのような課題に鑑み、つぎのような装置を提供しようとするものである。その一つは、特許文献2に開示された技術の長所をできるだけ多く残しながら製作難度の緩和・コストアップの抑制・高速運転時の安定性などかることのできる送り装置用線状体巻取機構を提供しようとするものである。他の一つは、本発明線状体巻取機構を用いてその有用性や有益性を確保するだけでなく、往復作動体の移動方向を高度化して高次元の送りをも実現することのできる送り装置を提供しようとするものである。さらに他の一つは、往復作動体に合理的な給送機構を具備させて搬送物積み卸し機能を経済的に充実させることのできる送り装置を提供しようとするものである。上記以外の一つは、昇降式送り装置として、製作難度の緩和・コストアップの抑制・高速運転時の安定性などを満足させることのできる送り装置を提供しようとするものである。さらに上記以外の一つは、往復作動体の操縦を主体にした搬送物の送り方法として合理的で有用有益なものを提供しようとするものである。
本発明に係る送り装置用線状体巻取機構・送り装置・昇降式送り装置は、所期の目的を達成するため、下記(01)〜(11)の課題解決手段を特徴とする。
(01)本発明に係る送り装置用線状体巻取機構は、
線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸や副軸を回転させるための原動機と、原動機の出力を主軸や副軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品連結用の連結部材とを備えていること、および、
上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合う非回転型直線運動案内用のガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の軸方向に沿ってその主軸外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の軸方向に沿ってその軸孔内周面部に設けられており、かつ、連係体が内外に組み合わされた内周部材と外周部材とを有しており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが副軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が往復動部材に設けられていること、および、 主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されて軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
主軸の外周部に組み付けられる連係体が、相対回転自在なアウタ部材とインナ部材とを有するものであり、かつ、この連係体が主軸の外周部に組み付けられて正逆巻取器と相互に隣接しており、しかも、連係体のインナ部材が主軸と一体回転可能かつ主軸の軸方向沿いにスライド可能であるとともに連係体のアウタ部材が正逆巻取器の側部に固定されていること、および、
送りネジを外周面に有する副軸が往復動部材のネジ孔を貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が副軸と往復動部材との間に介在していること、および、
正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸ならびに往復動部材を外周部に具備した副軸が軸用支持体の支持壁を介してそれぞれ回転自在に支持されているとともに当該軸用支持体の支持壁で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
主軸ならびに副軸が伝動手段を介して原動機に連結されていてこれら各軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
を特徴とする。
(02)本発明に係る送り装置用線状体巻取機構は、
線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸や副軸を回転させるための原動機と、主軸のトルクを正逆巻取器に伝えるためのトルク伝達部材と、原動機の出力を主軸や副軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品連結用の連結部材とを備えていること、および、
上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔と正逆巻取器の側面から正逆巻取器内に向けて開口形成された差し込み孔とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合うガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の内周面部に設けられており、かつ、トルク伝達部材が主軸との平行状態において正逆巻取器の差し込み孔に嵌り込むアームと主軸に対する取付部とを有しており、かつ、連係体が内外に組み合わされた内周部材と外周部材とを有しており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが副軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が往復動部材に設けられていること、および、
主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
主軸の外周部に組み付けられる連係体が、相対回転自在なアウタ部材とインナ部材とを有するものであり、かつ、この連係体が主軸の外周部に組み付けられて正逆巻取器と相互に隣接しており、しかも、連係体のインナ部材が主軸と一体回転可能かつ主軸の軸方向沿いにスライド可能であるとともに連係体のアウタ部材が正逆巻取器の側部に固定されていること、および、
送りネジを外周面に有する副軸が往復動部材のネジ孔を貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が副軸と往復動部材との間に介在していること、および、
正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸ならびに往復動部材を外周部に具備した副軸が軸用支持体の支持壁を介してそれぞれ回転自在に支持されているとともに当該軸用支持体の支持壁で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
主軸ならびに副軸が伝動手段を介して原動機に連結されていてこれら各軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
トルク伝達部材がその取付部を介して主軸の外周部に取り付けられて当該トルク伝達部材のアームが主軸と平行しているととともにそのアームの先端部側が正逆巻取器の差し込み孔内に出没自在に挿入されており、この差し込み孔へのトルク伝達部材の挿入により主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されるものであること、および、
正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
を特徴とする。
(03)本発明に係る送り装置用線状体巻取機構は、
線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸を回転させるための原動機と、原動機の出力を主軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品を相互に連結するための連結部材とを備えていること、および、
上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔とその側面にある連結用の突起とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合う非回転型直線運動案内用のガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の軸方向に沿ってその主軸外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の軸方向に沿ってその軸孔内周面部に設けられており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが主軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が連係体の内周面に設けられており、かつ、連係体の表面部には正逆巻取器の突起を回転自在に嵌め込み保持するための環状の保持溝も設けられており、かつ、往復動部材が副軸との嵌め合いが可能な貫通孔を有していること、および、 外周面にガイド外周面部や送りネジを有する主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されて軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
外周面にガイド外周面部や送りネジを有する主軸が連係体のネジ孔をも貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が主軸と連係体との間に介在しているとともに連係体と正逆巻取器とが主軸の外周上で相互に隣接しており、かつ、連係体の保持溝内に正逆巻取器の突起が回転自在に嵌め込み保持されて正逆巻取器と連係体とが相対回転自在に連結されていること、および、
副軸が往復動部材の貫通孔を貫通していて当該往復動部材が副軸の軸方向沿いに往復動するものであること、および、
正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸が軸用支持体の支持壁で回転自在に支持されているとともに往復動部材を外周部に具備した副軸も軸用支持体の支持壁で支持されており、かつ、当該軸用支持体で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
主軸が伝動手段を介して原動機に連結されていて当該主軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
を特徴とする。
(04)本発明に係る送り装置
上記(01)〜(03)のいずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構と、行き方向や戻り方向の力を受けたときにガイド手段の案内で進行したり逆行したりする往復作動体とが組み合わされたものであること、および、
送り装置用線状体巻取機構において巻き取り巻き戻し自在に保持された正巻用線状体と逆巻用線状体とが往復作動体に連結されていること、および、
正逆巻取器による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しいものであるとともに正逆巻取器による正巻用線状体の巻き戻し量と逆巻用線状体の巻き取り量とが互いに等しいものであること、および、
巻き取り回転時における正逆巻取器が両線状体の巻き取りピッチと巻き戻しピッチに対応して軸線方向に移動するものであること
を特徴とする。
(05)本発明に係る送り装置は、
上記(04)に記載されたものにおいて、
往復作動体がその送り方向と交差する方向へ搬送物を給送するための給送機構を具備していることを特徴とする。
(06)本発明に係る送り装置は、
上記(05)に記載されたものにおいて、
正逆巻取器の動力が正巻用線状体および/または逆巻用線状体を介して往復作動体の給送機構に伝達されるものであることを特徴とする。
(07)本発明に係る送り装置は、
上記(04)に記載されたものにおいて、
正逆巻取器の外部において配線されている両線状体の配線部分に、平行な二本の部分線状体を一対とする平行線部が幹線部として一組以上形成されており、その一組以上の幹線部を形成している各部分線状体のうちで一本以上の部分線状体には、当該部分線状体の長さ方向に対して異方向に張り出した支線部が一つ以上形成されているとともにその支線部が往復作動体に連結されていることを特徴とする。
(08)本発明に係る送り装置は、
上記(07)に記載されたものにおいて、
支線部と往復作動体とで移動体ユニットが構成されており、当該移動体ユニットが幹線部に沿って往復動自在に設けられていることを特徴とする。
(09)本発明に係る送り装置は、
上記(08)に記載されたものにおいて、
往復作動体がコンベアユニットからなることを特徴とする。
(10)本発明に係る送り装置は、
上記(01)〜(03)いずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構と、上下動用の昇降作動体と、昇降作動体に対抗する荷重付与体とを備えていること、および、
線状体巻取機構における正巻用線状体と逆巻用線状体とのうち、その一方が昇降作動体に接続されて当該昇降作動体が上下動自在に吊り支えられているとともにその他方が荷重付与体に接続されて当該荷重付与体が上下動自在に吊り支えられていること、および、
昇降作動体と荷重付与体との相対関係において、これらがいずれも重力を受けて互いに対抗していること、
を特徴とする。
(11)本発明に係る送り装置は、
上記(01)〜(03)いずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構であって正巻用線状体と逆巻用線状体とのうちのいずれか一方が省略されたものと、上下動用の昇降作動体と、昇降作動体に対抗する荷重付与体と、定滑車と、索条とを備えていること、および、
線状体巻取機構の線状体が昇降作動体に接続されて当該昇降作動体が上下動自在に吊り支えられていること、
昇降作動体の最上昇位置側に配置された定滑車に索条が掛けられ、かつ、その索条の両端が昇降作動体や荷重付与体にそれぞれ接続されていること、および、
昇降作動体と荷重付与体との相対関係において、これらがそれぞれの自重で互いに対抗していること、
を特徴とする。
本発明に係る送り装置用線状体巻取機構はつぎのような効果を有する。
(31)正逆巻取器に回転力を伝えたり軸方向の移動力を伝えたりするための主要構成が主軸側と副軸側とに分散しているから、正逆巻取器の軸心部に集中することがない。それにより主要な構成部品が既製部品でまかなえたりするので、正逆巻取器を含む多くの部品が特殊化したり複雑化したりしない。したがって要部構成はもちろん機構全体の製作難度が緩和されることとなり、最終製品のコストアップも抑制することができる。
(32)複雑化を回避した正逆巻取器は簡潔で軽量なものとなるので高速運転(回転)時の安定性がよい。これは線状体の巻き取り巻き戻し能力を高めるべく正逆巻取器を大型化したときにも高度の安定性を発揮するので都合よい。
(33)主軸側と副軸側というように主要構成を分散する際、正逆巻取器の機能低下要因を誘発しないので、正逆巻取器を主体にした精密で高度な線状体の巻き取り巻き戻し機能に依存して、送り手段の高精度化・長距制御性・遠隔制御性・高速制御性・省スペース化なども満足させることができる。
本発明に係る送り装置はつぎのような効果を有する。
(34)本発明の線状体巻取機構を採用しているので、これに基づき上記(31)〜(34)の効果を奏するものである。したがって送り装置の場合も、高精度位置決め・長距離搬送・遠隔搬送・高度の制御性・高精密送り・高速送り・コストダウン・主要構成分散による要部構成の簡潔化・省スペース・軽量化などをはかることができる。
(35)往復作動体を幹線部から方向の異なる支線部へと可逆的に移動させるというように往復作動体の移動方向を高度化したものの場合は二次元以上の高次元送りが行えるようになる。これは直線送りにとどまらず、曲線送り・傾斜送り・段差送りなど所望方向の送りも可能になるのであるから、適用範囲が増し汎用性が高まる。
(36)往復作動体が搬送物給送用の給送機構を具備しているものの場合は、往復作動体そのものに送りを掛けるメインの送りと、給送機構により往復作動体上の搬送物に送りを掛けるサブ送りとが備わるので、この二系統の送りの相乗効果として、搬送物の積み込みや積み卸し等を含む総合的な送り作業が合理的に実施できる。
(37)正巻用線状体および/または逆巻用線状体を介して正逆巻取器の動力を往復作動体の給送機構にも伝達するようにしたものは、かかる動力源の兼用によって設備上の経済性がより高まる。これに加え、二系統(メインとサブ)の送りの連繋制御も可能になるから操業性までが改善される。
本発明に係る昇降式送り装置はつぎのような効果を有する。
(38)本発明の線状体巻取機構かそれに準じた線状体巻取機構を採用しているので、これに基づき上記(31)〜(34)と同様かほぼ同様の効果を奏するものである。したがって昇降式送り装置の場合も、高精度位置決め・高層送り・高度の制御性・高精密送り・高速送り・コストダウン・主要構成分散による要部構成の簡潔化・省スペース・軽量化などをはかることができる。
はじめに、本発明に係る送り装置用線状体巻取機構について、これの各実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1〜図2の実施形態において、送り装置用線状体巻取機構を構成している主な構成要素は、軸用支持体(取付台)11、正逆巻取器21、主軸26、副軸29、嵌め合い構造28、往復動部材31、送り用のネジ構造33、原動機34、伝動手段36・37、連係体38、連結部材42、正巻用線状体51、逆巻用線状体52などである。
図1に例示された軸用支持体11は金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなる。軸用支持体11は、その上面から立ち上がる複数の支持壁12〜14を有している。
図1〜図2に例示された正逆巻取器21は、後述の両線状体51・52を巻き取ったり巻き戻したりするための巻き取り機能と巻き戻し機能とを兼備するものである。正逆巻取器21は金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなり、この図示例ものでは両側面の閉じられた円筒形状をしていている。正逆巻取器21の外周面は線状体用の巻取部22となっている。具体的一例として巻取部22は、正逆巻取器21の外周面に密な間隔で形成された一本の連続した螺旋巻き溝からなり、その溝が半円形のような円弧形の断面形状をしている。正逆巻取器21の両側面の中心部にはそれぞれ孔が開けられており、それらの孔には周知の手段でスリーブ23が嵌め込み固定されている。それでこの二つのスリーブ23による筒状空間が正逆巻取器21の実質的な軸孔24を形成している。スリーブ23については、さらに、これが非回転型直線運動案内用のガイド内周面部25を軸孔24の内周面部として形成するものであるため、そのようなガイド内周面部を有している。軸孔24のガイド内周面部25に該当するところのスリーブ23の内周面部は、具体的一例として、角スプライン・小判形・多角形・インボリュートスプラインなど周知のスプライン内周面部からなる。軸孔24のガイド内周面部25は、後述する嵌め合い構造28の一部を構成するものである。
図1に例示された正逆巻取器支持用の主軸26も金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなる。主軸26はその外周面部に、上記ガイド内周面部25と対をなす非回転型直線運動案内用のガイド外周面部27を有するものである。したがってガイド内周面部25と嵌め合い自在に対応するガイド外周面部27も、角スプライン・小判形・多角形・インボリュートスプラインなど周知のスプライン外周面部からなる。主軸26のガイド外周面部27は、後述する嵌め合い構造28の他部を構成するものである。
図1に例示された正逆巻取器案内用の副軸29は、後述のとおり、主軸26との平行関係を保持して配置されるものである。副軸29も金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなる。副軸29の外周面には、送りネジ(雄ネジ)30が形成されている。送りネジ30は後述のとおり、送り用ネジ構造33の一部をなすものである。
図1に例示された往復動部材31は副軸29の両端部間を往復するというものである。往復動部材31も金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなる。往復動部材31は、上記送りネジ30と対をなすネジ孔(雌ネジ)32を軸心部に有するものである。ネジ孔32は後述のとおり、送り用ネジ構造33の他部をなすものである。
主軸26や副軸29を回転させるための原動機(モータ原動機)34は、公知ないし周知のサーボモータまたはパルスモータからなる。原動機34はモータ回転子と一体回転する出力軸35を有している。
図1において、原動機34の出力を主軸26に伝達するための伝動手段36は一例として周知のカップリングからなる。また、主軸26を経由して原動機34の出力を副軸29に伝達するための伝動手段37は周知のベルト37aやプーリ37b・37cからなる。伝動手段36はカップリング以外のもの、たとえばクラッチなどでもよく、伝動手段37もベルト伝動手段以外のもの、たとえばチェーン伝動手段や歯車伝動手段でもよいものである。
図1において、主軸26の外周部において正逆巻取器21に隣接して配置されるそれぞれの連係体38は、アウタ部材39・インナ部材40・ボール(符号なし)・ボール用リテーナ(符号なし)等からなる周知のベアリング(例:金属製ベアリング)からなる。正逆巻取器21に隣接して二つの連係体38が主軸26の外周部に嵌め込まれたとき、両連係体38のインナ部材40は主軸26と一体回転するほか、主軸26の軸方向に対して自由に往復動できるようになる。そのためにインナ部材40の内周面部には、軸孔24のガイド内周面部25と同様のガイド内周面部41が形成されている。インナ部材40の外周部にあるアウタ部材39は、当該両部材39・40間に周知のベアリングが介在されているため、インナ部材40に対して自由に相対回転するものである。
図1に例示された連結部材42も金属・合成樹脂・複合材など機械的特性の優れた材料からなり、コ字状の屈曲形状を有するものである。連結部材42は往復動部材31と連係体38とを連結するためのものである。これらを連結するための手段は、部品部材の材質などに応じ、ネジなどの金具止め・接着剤止め・溶接など周知の手段が採用される。
図1〜図2に例示された正巻用線状体51や逆巻用線状体52はいずれも強靱な長尺物からなる。このような両線状体51・52としては、糸のような極細のものからロープのように太いものまで、任意の径のものが採用される。実用上の観点からすると、強度が確保できるかぎり径の小さい線状体51・52が望ましい。両線状体51・52は、また、可撓性はあるけれども抗張力性が高いために伸縮性が実質的にない。両線状体51・52の具体的な材料として金属・合成樹脂・これらの複合体をあげることができる。これらについては複数本の単糸や線材を撚り合わせたものある。商品名ケブラーで知られるところのアラミッド繊維を寄り合わせた線状体51・52も有効な一例である。図1〜図2に例示された両線状体51・52は互いに独立した二本のものである。両線状体51・52は正逆巻取器21の巻取部22においてそれぞれ一端部が止具・接着またはその他の固定手段で固定された後、巻き付け方向や巻き戻し方向が互いに逆となるよう螺旋状に精密巻きされている。具体的には、巻取部22に対する正巻用線状体巻付量と逆巻用線状体巻付量とが互いに等しくなるように当該巻き付けが行われる。両線状体51・52について、これが一本に繋がったものであるとき、両線状体51・52の境界部が正逆巻取器21の巻取部22においてその中央部に固定され、その巻取部22の中央部から両端部に向けて両線状体51・52が螺旋状に精密巻きされる。
図1を参照して、送り装置用線状体巻取機構の組み立て構造はつぎのとおりである。主軸26は正逆巻取器21の軸心部および連係体38の軸心部を貫通している。この場合の正逆巻取器21と主軸26との嵌め合い部間には、主軸26側のガイド外周面部27と軸孔24側のガイド内周面部25とによる嵌め合い構造28が介在する。この嵌め合い構造28によって、正逆巻取器21と主軸26とにおける周方向の相対回転が拘束されて軸方向の相対移動が許容されるものである。嵌め合い構造28は既述の一例においてスプラインからなる。その場合のスプラインはリテーナで保持された多数のボール(小球)をスプライン内外周面間に介在しているボールスプラインが望ましい。このような嵌め合い構造は、連係体38(インナ部材40)側のガイド内周面部41と主軸26側のガイド外周面部27との間にも生じるものである。主軸26は軸用支持体11の両支持壁12・13間にわたって架設される。具体的には、両支持壁12・13によって、しかも、ベアリング45を介して、主軸26が回転自在に両端支持されるものである。一方、この場合の連係体38についてはそのアウタ部材39に連結部材42が取り付けられている。さらに、連結部材42には往復動部材31が取り付けられている。この往復動部材31に対してこれをネジ嵌合で貫通した副軸29は、軸用支持体11の両支持壁12・13間にわたって架設される。具体的には、両支持壁12・13によって、しかも、ベアリング46を介して副軸29が回転自在に両端支持されるものである。かくて、互いに噛み合い自在な送りネジ30とネジ孔32とからなる送り用ネジ構造33が、副軸29と往復動部材31との間に形成される。さらに、連結部材42を介して往復動部材31が連係体38に連結されることにより、送り用ネジ構造33は、正逆巻取器21に対し軸方向に送りを掛けることができるものとなる。原動機34は軸用支持体11の支持壁13に装着される。これで主軸26の一端部と原動機34の出力軸35とが互いに対向するようになる。したがって主軸26と出力軸35は、両者の対向部に装着された伝動手段(カップリング)36で連結される。さらに主軸26と副軸29とが伝動手段(ベルト伝動手段)37で連結される。具体的には、それぞれのプーリ37b・37cが主軸26の一端部や副軸29の一端部に取り付けられ、これら両プーリ37b・37cにわたり、ベルト37aが掛け回されて主軸26と副軸29とが伝動可能に連結される。
図1〜図2に例示された送り装置用線状体巻取機構において、正巻用線状体51および逆巻用線状体52を同期かつ同調させて巻き取り巻き戻しするときは以下のようになる。まず原動機34を時計回り方向へ回転させると、その際の回転が両伝動手段36・37を介して主軸26や副軸29に伝達される。このうちで、主軸26側への伝達では、ガイド内周面部25とガイド外周面部27との嵌め合い構造28によって主軸26と正逆巻取器21とが一体で回転するようになり、かつ、副軸29側への伝達では、送りネジ30とネジ孔32との送り用のネジ構造33によって往復動部材31が副軸29の軸方向沿いに移動するとともに一連の連結部材42・連係体38・正逆巻取器21なども同方向に移動する。かくて正逆巻取器21が時計回り方向に回転しながら図1の左側へ所定のピッチで移動するとき、正巻用線状体51が正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻されると同時に逆巻用線状体52が正逆巻取器21の巻取部22に巻き取られる。この際の正巻用線状体51の巻き戻し量と逆巻用線状体52の巻き取り量とは互いに等しい。原動機34を反時計回り方向へ回転させたときは、上記の巻き取りや巻き戻し関する動作ないし作用がすべて逆になるため、正巻用線状体51が正逆巻取器21の巻取部22に巻き取られると同時に逆巻用線状体52が正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻される。この際の両線状体51・52の巻き取り量・巻き戻し量も互いに等しい。かかる両線状体51・52の巻き取り巻き戻しについては、後述する往復作動体の送りに活用される。
図3の実施形態で例示された送り装置用線状体巻取機構は、つぎのような事項が前例と相違する。図3を参照してこの実施形態ではトルク伝達部材43が採用されている。トルク伝達部材43は、正逆巻取器21の一側面に形成された差し込み孔44cに嵌め込むためのアーム44aと主軸26に対する取付部44bとを有し、全体が略L字状の曲げ形状をなしている。トルク伝達部材43は、その取付部44bがたとえばネジ止め手段や溶接手段のような周知の手段で主軸26に取り付けられ、そのアーム44aが正逆巻取器21の差し込み孔44cに嵌め込まれるものである。したがって図3の正逆巻取器21は、トルク伝達部材43を介して主軸26と一体回転するものとなる。図3の実施形態では、また、嵌め合い構造28を構成している軸孔24側のガイド内周面部25や主軸26側のガイド外周面部27にスプライン形状がなく、ガイド内周面部25とガイド外周面部27とが、通常の態様で軸方向や周方向にスリップ可能に嵌り合っているだけである。主軸26側のガイド外周面部27や連係体38のインナ部材40も同様にスリップ可能に嵌り合っている。図3の実施形態において、連係体38が一つだけということや、連結部材42が略L字状ということは前例との実質的な相違でない。図3の実施形態におけるその他の事項は、図1〜図2を参照して説明した事項と実質的な同じかそれに準ずるものである。したがって図3の実施形態におけるその他の事項は前例を参照することで省略する。
図3に例示された送り装置用線状体巻取機構において、正巻用線状体51および逆巻用線状体52を同期かつ同調させて巻き取り巻き戻しするときも前例と同様になる。すなわち原動機34を時計回り方向へ回転させたり反時計回り方向へ回転させたりすると、それらの回転が両伝動手段36・37を介して主軸26や副軸29に伝達される。この場合の主軸26側への動力伝達では、トルク伝達部材43によって主軸26と正逆巻取器21とが一体で回転し、かつ、副軸29側への動力伝達では、送りネジ30とネジ孔32との送り用のネジ構造33によって往復動部材31が副軸29の軸方向沿いに移動するとともに一連の連結部材42・連係体38・正逆巻取器21なども同方向に移動するようになる。これにともなう両線状体51・52の巻き取り量・巻き戻し量も既述のとおり互いに等しい。かかる両線状体51・52の巻き取り巻き戻しも、後述する往復作動体の送りに活用される。
図4〜図6の実施形態で例示された送り装置用線状体巻取機構は、つぎのような事項が前例と相違する。図4〜図6を参照してこの実施形態では主軸26が送りネジ機能の一部とスプライン機能の一部とをになっている。すなわち主軸26は、これの外周面に非回転型直線運動案内用のガイド外周面部(スプライン外周面部)27や送りネジ29を有するものである。一方で、正逆巻取器21の実質的な軸孔24を形成している二つのスリーブ23は、ガイド外周面部(例:凹型のスプライン外周面部)27に対応したガイド内周面部(例:凸型のスプライン内周面部)25となっている。図4〜図5を参照して、既述の送り用ネジ構造33の一部や他部が一方のスリーブ23や連係体38に形成されている。すなわち主軸26の外周面に設けられた送りネジ29と、連係体38の内周面に設けられたネジ孔32とが互いに噛み合って送り用ネジ構造33を構成している。さらに、正逆巻取器21の一構成要素である一方のスリーブ23にはその端面に突起23aが形成されており、連係体38の表面部にはその突起23aを回転自在に嵌め込み保持するための環状の保持溝38aが設けられている。正逆巻取器21側の突起23aと連係体38の保持溝38aとによる相対回転自在な嵌め合い構造は図4〜図5の図示例で簡略に表示されているが、この際の嵌め合いを可能にするため、連係体38が結合自在な分割形状に形成されたり、突起23aがスリーブ23に対して脱着結合自在に形成されたりする。図4〜図6の実施形態ではこのほか、副軸29が単なる丸棒であったり角棒であったりし、この副軸29との嵌め合いが可能な貫通孔を有する往復動部材31が、それに対応した円筒であったり角筒であったりする。この実施形態における副軸29は、軸用支持体11の両支持壁12・13間にわたり単に架設されているだけであるから回転したりしない。したがってこの実施形態での副軸29には原動機34の出力が伝達されないし、そのような必要もない。往復動部材31も副軸29に対し単に嵌り合っているだけである。図4〜図6の実施形態におけるその他の事項は、図1〜図2を参照して説明した事項と実質的な同じかそれに準ずるものである。したがっての実施形態におけるその他の事項は前例を参照することで省略する。
図4〜図6に例示された送り装置用線状体巻取機構において、正巻用線状体51および逆巻用線状体52を同期かつ同調させて巻き取り巻き戻しするときも原動機34を時計回り方向へ回転させたり反時計回り方向へ回転させたりする。こうした回転は伝動手段36を介して主軸26に伝達される。主軸26が回転すると、ガイド外周面部27とガイド外周面部27とのスプライン形嵌め合い構造28によって、正逆巻取器21が主軸26と一体回転する。主軸26は、また、送りネジ29とネジ孔32とによる送り用ネジ構造33を介して図4左側の連係体38に主軸26に沿う方向の送りを掛ける。連係体38に送りが掛かるのは、連結部材42を介して連係体38と連結されている往復動部材31が副軸29と嵌り合っているからである。送りの掛かった連係体38は、突起23aと保持溝38aとの嵌め合い構造に依存して正逆巻取器21を押したり引いたりする。すなわち正逆巻取器21が主軸沿いに往復動するのである。このようにして正逆巻取器21が正回転または逆回転しながら主軸26に沿って往復動するときは、前記各例の場合と同様に両線状体51・52が巻き取り巻き戻しされる。これにともなう両線状体51・52の巻き取り量・巻き戻し量も既述のとおり互いに等しい。かかる両線状体51・52の巻き取り巻き戻しも、後述する往復作動体の送りに活用される。
上述した各実施形態の送り装置用線状体巻取機構については、その一部を変更する実施形態に関して下記(41)〜(43)のようにいうことができる。
(41)図1〜図3の実施形態のものは、一つの原動機34と第1伝動手段36と第2伝動手段37とを備えている。このような場合、主軸26と副軸29とのうちのいずれか一方へ原動機34の出力を伝達するため、主軸26と副軸29とのうちのいずれか一方と原動機34とが第1伝動手段36を介して動力伝達自在に連結されたり、主軸26と副軸29とのうちのいずれか一方からその他方へ動力を伝達するため、主軸26と副軸29とが第2伝動手段37を介して動力伝達自在に連結されたりする。この場合は、また、第1伝動手段と第2伝動手段とのうちのいずれか一方が、主軸26と副軸29とのうちのいずれか一方と原動機の出力軸とにわたって設けられたカップリングからなり、かつ、第1伝動手段と第2伝動手段とのうちの上記以外の一方が、主軸26と副軸29とにわたって設けられた回転伝動系からなるということもある。
(42)図1〜図3の実施形態では、主軸26用の原動機34aと副軸29用の原動機34bと主軸用の伝動手段36aと副軸用の伝動手段36bとが装備されてよいものである。この場合は、主軸用原動機34aの出力が主軸26に伝達されて副軸用原動機34bの出力が副軸29に伝達されるように、主軸26・主軸用原動機34aが主軸用伝動手段36aで動力伝達自在に連結され、副軸29・副軸用原動機34bが副軸用伝動手段36bで動力伝達自在に連結される。
(43)上述の各実施形態で、主軸用・副軸用の両原動機34a・34bと、主軸用・副軸用の両伝動手段36a・36bとが備えられる場合は一例としてつぎのようになる。それは主軸用の伝動手段が対をなす凹型のソケットと凸型のプラグとからなること、および、主軸用原動機の出力軸と主軸とのうちのいずれか一方の軸端部に当該主軸用伝動手段のソケットが設けられているとともにその他方の軸端部に当該主軸用伝動手段のプラグが設けられていること、および、このソケット・プラグの相対的な嵌め合いで伝動自在に連結された主軸用原動機の出力軸と主軸とが周方向の相対回転を拘束されて軸方向の相対移動を許容されていること、および、副軸用伝動手段が回転伝動系からなるとともに当該回転伝動系が主軸と副軸とにわたって設けられていること、などである。
つぎに、本発明に係る送り装置について、これの各実施形態を添付図面に基づき説明する。
以下に述べる本発明に係る送り装置の各実施形態、すなわち、図7図10の各実施形態においては、上述したいずれかの線状体巻取機構が用いられる。その代表的一例として図4〜図6の線状体巻取機構の用いられる例が示されているが、これは単なる一例にすぎないから、図4〜図6の線状体巻取機構に代えて図1〜図2のものや、図3のものが用いられることがある。
図7に略示された往復作動体71は、それ自体が加工機械器具であったり、搬送用治具であったり、あるいは、作業用ロボットの一部であったりする。図7の往復作動体71は往復動するときの走行用としてベアリングのような走行部材(図示せず)を備えているほか、線状体を挟み込んで締め付け固定するためのものとして、線状体クランプ用の固定部材72a・72bを備えている。
図7の往復作動体71は所定の作業を行うために所定の作業領域に装備されるものである。このようなケースでの送り台として基台81が作業領域に設置され、一例としてガイドレールからなる往復作動体走行用のガイド手段82が当該基台81上に敷設される。往復作動体71は基台81のガイド手段82上に組み付けられてガイド手段82の長さ方向沿いに往復動できるものである。そのため、往復作動体71の所定面(裏面など)には、ガイドレール(ガイド手段82)に対応した走行部71aたとえばスライダ・車輪・溝型部材などの任意部品による走行部71aが設けられる。この往復作動体71に対しては既述の正巻用線状体51や逆巻用線状体52が繋がれるものであるが、これをサポートするためプーリやシーブのような回転輪が適所に配置される。一例にすぎない図8のケースでは、線状体の走行方向を調整したり変換したりするための複数のプーリ83a〜83fが所定の位置に取り付けられる。この場合において、プーリ83a・83dがアイドラ用のプーリからなることもある。
図7の実施形態の場合、正巻用線状体51や逆巻用線状体52がつぎのような態様で往復作動体71と連繋するものである。この場合において、両線状体51・52を往復作動体71に繋ぐための手段としては、接着手段(溶接を含む)・金具止め手段・締付具(クランプ)など任意のものが用いられる。以下における固定部材72a・72bは、金具または締付具からなる。正巻用線状体51については、正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻された部分が、往復作動体71の固定部材72aで固定されて当該往復作動体71に繋がれる。逆巻用線状体52については、正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻された部分が、プーリ83f・プーリ83e・プーリ83dを経由し、そのプーリ83dからUターンして往復作動体71の固定部材72bまで達する。こうして固定部材72bまで達した逆巻用線状体52は、その固定部材72bで固定されて往復作動体71に繋がれる。一方の固定部材72aからプーリ83a・プーリ83b・プーリ83cを経由して他方の固定部材72bにわたる線状体53は両線状体51・52を一連に連繋している連繋用線状体に該当する。この連繋用線状体53は、両線状体51・52の端末部側をエンドレスにしている部分といえる。
図7の実施形態において原動機34を時計回り方向や反時計回り方向に回転させたときは、正逆巻取器21が既述のように方向へ回転したり所定の軸方向に移動したりし、両線状体51・52が正逆巻取器21の巻取部22から巻き取られたり巻き戻されたりする。したがって両線状体51・52に繋がれたガイド手段82上の往復作動体71は、この巻き取り巻き戻しによる送り作用を受けて図7の左方向や右方向に移動する。このときの正巻用線状体51の巻き取り量と逆巻用線状体52の巻き戻し量および正巻用線状体51の巻き戻し量と逆巻用線状体52の巻き取り量とは既述のとおり互いに等しい。
図8図9に例示された本発明送り装置は、二基の往復作動体71・73に送りを掛けるようにした点が前例と異なる。そのため図8図9においては、二対のガイド手段82a・82bが基台81上において互いに平行に付設されているものである。そして一方の往復作動体71が一対のガイド手段82a上に組み付けられてその長さ方向沿いに往復動できるようになっており、他方の往復作動体73が一対のガイド手段82b上に組み付けられてその長さ方向沿いに往復動できるようになっている。そのうちで一方の往復作動体71は、前後面と下面中央部とが解放された断面四角形の構造体からなるとともにその下面両側部にガイド手段82aに対応した一対の走行部71aを有している。これに対する他方の往復作動体73は下面中央部に一対の脚部を有するテーブル型の構造体からなり、その一対の脚部の下端にガイド手段82bに対応した一対の走行部73bを有している。両往復作動体71・73の相対関係では、他方の往復作動体73が一方の往復作動体71内を通過可能な幅に仕上げられている。したがって両往復作動体71・73は、干渉し合うことなく各ガイド手段82a・82bの略全長にわたり往復動することができるものである。正巻用線状体51は、正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻された部分が一方の往復作動体71の固定部材72aに固定された後、プーリ83aを経由してUターンし、他方の往復作動体73の固定部材74aで固定される。かくて正巻用線状体51は両往復作動体71・73に繋がれる。他方で逆巻用線状体52は、正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻された部分がプーリ83i・プーリ83h・プーリ83gを経由して一方の往復作動体71の固定部材72bで固定された後、プーリ83f・プーリ83eを経由して他方の往復作動体73の固定部材74bにより固定される。かくて逆巻用線状体52も両往復作動体71・73に繋がれる。この実施形態での連繋用線状体53は、固定部材74aからプーリ83b・プーリ83cを経由して固定部材72bにわたる部分がこれに該当する。
図8図9の実施形態において原動機34を時計回り方向や反時計回り方向に回転させたときは、正逆巻取器21が既述のように方向へ回転したり所定の軸方向に移動したりし、両線状体51・52が正逆巻取器21の巻取部22から巻き取られたり巻き戻されたりする。ちなみに逆巻用線状体52を巻き取りつつ正巻用線状体51を巻き戻すときは、それぞれのガイド手段82a・82b上において両往復作動体71・73を相対接近させる方向の送りが掛かり、逆に正巻用線状体51を巻き取りつつ逆巻用線状体52を巻き戻すときは、それぞれのガイド手段82a・82b上において両往復作動体71・73を相対離遠させる方向の送りが掛かる。さらにいうと、両往復作動体71・73が各ガイド手段82a・82bの略全長にわたり往復動するときは、各ガイド手段82a・82bの長さ方向中間部において両往復作動体71・73が離合する。この実施形態ときも、正巻用線状体51の巻き取り量と逆巻用線状体52の巻き戻し量および正巻用線状体51の巻き戻し量と逆巻用線状体52の巻き取り量とは既述のとおり互いに等しい。
図8図9で例示したような実施形態の場合、巻き解かれた両線状体51・52による平行な部分線状体は、一対だけでもよいし複数対あってもよい。それぞれの往復作動体と部分線状体との繋ぎは、最少のとき一つであるが、通常は二つ以上の繋にぎにすることが多い。
図10に例示された本発明送り装置は、正逆巻取器21の外部において配線されている両線状体の配線部分(巻き解かれた両線状体51・52の部分線状体)によって、幹線部91と支線部92とが形成されているものである。この場合の支線部92については、定位置に保持されて変位しない実施形態と、幹線部91の長さ方向に沿って変位する実施形態とがある。
図10の実施形態が上記前者(定位置タイプ)の場合は、各プーリ84a〜84dが定位置に取り付けられ、両線状体51・52の連続状態(エンドレス状態)にある巻き解き部分がこれら各プーリ84a〜84dに掛け回されて幹線部91と支線部92とが形成される。往復作動体71は支線部92を形成している部分線状体に繋がれる。図10では図示省略されているが、往復作動体71は前記と同様のガイド手段を案内にして所定方向に移動するものである。かかる前者(定位置タイプ)において、支線部92は単数でも複数でもよいし、幹線部91に対する支線部92の位置も自由に設定されてよい。幹線部91に対する支線部92の交差角も、図示のような直角以外に鈍角または鋭角などの非直角がある。このほか三角形や台形などのような非平行形の支線部92もある。
図10の実施形態が上記後者(変位タイプ)の場合は、往復作動体71・支線部92・プーリ84a〜84c・ユニット用ブレーキ94・線状体用ブレーキ95などを主体にした移動体ユニット93が構成され、かかる移動体ユニット93が幹線部91の長さ方向に沿って変位するものである。この場合も、移動体ユニット93は前記と同様のガイド手段を案内にして所定方向に移動できるように設けられる。この後者(変位タイプ)においても、互換性のある範囲内で前者(定位置タイプ)の事項が採用できる。
図10に例示された本発明送り装置で定位置タイプの場合は、前例と同様にして両線状体51・52が正逆巻取器21の巻取部22から巻き取られたり巻き戻されたりすると、往復作動体71が支線部92の長さ方向沿いに往復動するようになる。
図10に例示された本発明送り装置で変位タイプの場合は、上記と同様の操作をしたときにつぎのようになる。ユニット用ブレーキ94を解放する一方、線状体用ブレーキ95をプーリ84bに利かして各プーリ84a〜84cを回転しないようにし、この状態で両線状体51・52の巻き取り巻き戻し操作を前記のように行うと、移動体ユニット93が幹線部91の長さ方向沿いに移動するようになる。こうして移動体ユニット93が所定位置に達したとき、線状体用ブレーキ95を解放して各プーリ84a〜84cを回転可能にする一方、移動体ユニット93にユニット用ブレーキ94を利かしてその動き止める。この操作後における両線状体51・52の巻き取り巻き戻しにより、支線部92の長さ方向沿いに往復動するようになる。
図11に例示された本発明送り装置は、前記変位タイプのものにおける往復作動体71がコンベアユニットからなるものである。図11の実施形態で移動体ユニット93が幹線部91の長さ方向沿いに移動できる点は、図10で述べた事項と変わらない。このような図11の実施形態では、コンベアユニットからなる往復作動体71によって、その往復作動体71上の被搬送物をさらに搬送することができる。
図12に例示された本発明送り装置は、搬送物の積み卸ろし・乗り換え・分配などを円滑にするための給送機構75が往復作動体71に装備されているものである。この場合の給送機構75としては、送り用のローラを利用するものや送り用のエンドレスベルトを利用するものなどがあげられる。給送機構75は駆動タイプ・手動タイプのいずれであってもよいが、典型的な一例は駆動タイプである。その場合の駆動方式はチェーンドライブ方式やモータドライブ方式がよく採用される。ちなみに図13図14の例において給送機構75は、往復作動体71の上面側に配列されて回転自在に取り付けられた多数のローラ76を主体にして構成されている。この図13図14の例でそれぞれのローラ軸76aにはスプロケットギヤ76bが取り付けられており、かつ、相互に隣接して対応するそれぞれ二つのスプロケットギヤ76bにわたりエンドレス状のチェーン76cが掛け回されている。さらにローラ軸76aのうちで端部にあるものには、これに原動機77の動力を伝達するため、端部にあるローラ軸76aのスプロケットギヤ76bと原動機77の出力軸77a側にあるスプロケットギヤ76bとにわたり、エンドレス状のチェーン76dが掛け回されている。
図12の例の往復作動体71には、これを所定位置で停止させるための停止用機器S1を付帯させることが望ましい。かかる停止用機器S1についていうと、それは操作の主体が往復作動体71の移動領域(ガイド手段82a・82bに沿う部分)に配置されたり、あるいは、往復作動体71側に装備されたりするものである。前者のものとしては「設置部(床・壁・ガイド手段82a・82bなどの一部)側にある摩擦制動部材を往復作動体71の一部に押し付けるタイプ」「上記設置部側にあるクランプで往復作動体71の一部を掴むタイプ」「上記設置部側にあるロックピンを往復作動体71側の孔に差し込むタイプ」「上記設置部側にあるマグネットで往復作動体71側の磁性部を吸着するタイプ」などをあげることができる。その逆のタイプである後者のものとしては「往復作動体71側に装備された摩擦制動部材を任意の固定部(床・壁・ガイド手段82a・82bなどの一部)に押し付けるタイプ」「往復作動体71側に装備されたクランプで上記固定部をつかむタイプ」「往復作動体71側に装備されたロックピンを上記固定部の孔に差し込むタイプ」「往復作動体71側に装備されたマグネットによって、上記固定部に設けられた磁性部を吸着するタイプ」などをあげることができる。具体的一例として示された図14の停止用機器S1は、摩擦制動部材を往復作動体71の一部に押し付けるタイプのもので、摩擦制動部材に該当するプッシュロッド78aを押し出したり引き込んだりすることのできる流体圧式(油圧式または空気圧式)のシリンダ78bからなる。そしてこのシリンダ方式の停止用機器S1が上記固定部に設けられている。停止用機器S1の構造に基づくこれらの方式は、それぞれの特徴から部材押し付け方式・クランプ方式・ロックピン方式・マグネット方式などということができる。図13図14の停止用機器S1によるときは、プッシュロッド78aを往復作動体71に押し付けることで当該往復作動体71を所定位置に停止保持することができ、かつ、プッシュロッド78aを往復作動体71から引き離すことにより、当該往復作動体71を移動可能にすることができる。
図12における各ガイド手段82a・82bの周囲部には、搬送物の積み卸ろし・乗り換え・分配などに供するところのセクションとして、始発部・中継部・終着部のうちのいずれか一つ以上の用をなす集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29が設けられている。これらの具体的な配列ないし配置は、集配部CD11〜CD13を不等間隔で一方のガイド手段82aの外側部に配列するとともに、集配部CD21〜CD29を一カ所だけ不等間隔にして他を等間隔で他方のガイド手段82aの外側部に配列するというものである。各集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29は既述の給送機構75と同様の給送機構79で構成されている。したがって各集配部用の給送機構79も、送り用のローラを利用するものや送り用のエンドレスベルトを利用するものなどで構成されるほか、そのタイプは駆動タイプや手動タイプのいずれかからなる。ちなみに各集配部用の給送機構79が駆動タイプからなるとき、それも既述のチェーンドライブ方式・モータドライブ方式などが採用されることとなる。この各集配部用給送機構79の具体的な一例としては、図13図14に示したものが採用されるが、その詳細は既述の内容を参照することで省略する。
図12に例示された本発明送り装置については、また、往復作動体71がそれぞれの集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29と正対したときにその停止保持位置での往復作動体71の停止状態を安定保持するため、既述の停止用機器S1がそれぞれの設置部に配置される。すなわち床・壁・ガイド手段82a・82bなどのいずれかを設置部にして、しかも集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29と対応する停止保持位置に停止用機器S1がそれぞれ設置される。具体的一例としては図12に略示するように、ガイド手段82a・82bのある床面などを設置部にして所定数の停止用機器S1が設置される。この場合、線対称をなす二つの集配部CD12・CD28およびCD13・CD29の関係では、それぞれ一つの停止用機器S1が双方の集配用停止位置に対応して往復作動体71を停止保持するようになる。
図12図14に例示された本発明送り装置は、前例と同様、正逆巻取器21の両線状体51・52の巻き取り巻き戻しにより、往復作動体71がガイド手段82a・82bに沿って往復動するものであり、かつ、正逆巻取器21による両線状体51・52の巻き取り巻き戻し操作を停止することで、往復作動体71を所定の位置で停止させることができる。ちなみに図12においては、往復作動体71が集配部CD11と正対して停止している。この停止状態は、停止用機器S1がプッシュロッド78aを往復作動体71に押し付けていることで保持される。往復作動体71がこの停止状態にあるとき、大物搬送ラインおよび/または小物搬送ラインからの搬送物が集配部CD11の給送機構75上に送り込まれ、かつ、その搬送物が集配部CD11の給送機構75上から往復作動体71の給送機構75上へと移乗する。これに際しては、搬送ラインの送り機構(図示せず)、集配部CD11の送り機構75、往復作動体71の給送機構75などがそれぞれの送り方向・送り速度・送り時間などを互いに同期かつ同調させる。かくて往復作動体71の送り機構75上には、たとえば所定数(多数)の搬送物が前後方向(ガイド手段82a・82bと交差する方向)に列をなして積み込まれる。この後、停止用機器S1による往復作動体71の停止位置保持の解除、正逆巻取器21による往復作動体71の送りとその停止、および、停止用機器S1による往復作動体71の停止位置保持など、一連の操作がなされる。それによって往復作動体71が集配部CD21と正対して停止状態を保持するようになる。往復作動体71がこの停止状態になると、上記と同じく、往復作動体71の給送機構75や集配部CD21の給送機構79が同期同調して所定時間だけ送り用のローラ76を駆動させるので、給送機構75上で先頭にあった搬送物のみが集配部CD21の給送機構79上へと移乗し、それが集配部CD21を通じて所定の場所へと搬入される。ついで、往復作動体71の給送機構75上で先頭から2番目の搬送物を集配部CD22に渡すときも上記と同様、停止用機器S1による往復作動体71の停止位置保持の解除、正逆巻取器21による往復作動体71の送りとその停止、および、停止用機器S1による往復作動体71の停止位置保持など一連の操作がなされる。それによって往復作動体71が集配部CD22と正対して停止状態を保持するようになる。往復作動体71がこの停止状態になったときも上記と同様、往復作動体71の給送機構75や集配部CD22の給送機構79が同期同調して所定時間だけ送り用のローラ76を駆動させるので、給送機構75上で先頭から2番目の搬送物のみが集配部CD22の給送機構79上へと移乗し、それが集配部CD22を通じて所定の場所へと搬入される。往復作動体71の給送機構75上で先頭から3番目以降の各搬送物を集配部CD23〜CD29などに一つ宛て渡すときも上記に準じた操作が行われる。往復作動体71の給送機構75上にある搬送物を集配部CD12〜CD13に渡す操作も上記と実質的に同じであるが、この場合は往復作動体71や集配部CD12〜CD13などこれらの給送機構79にある送り用ローラ76を上記の逆方向へ回転させることとなる。図12図14の本発明装置を用いて実施した送り方法は一例にすぎないものである。すなわち、図12図14の本発明装置における集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29については、任意の集配部を「1:1」「1:複数」「複数:1」などで選択して上記に準じた操作を行うことにより、集配部相互にわたる搬送物を受け渡しが自由に行える。
図15(A)(B)に例示された本発明送り装置は、正逆巻取器21の動力源(原動機34・34a)などを利用して往復作動体71の給送機構75を作動させるという実施形態を示している。そのため、往復作動体71に装備された給送機構用の伝動系には、両線状体51・52のいずれか一方または両方が組み込まれたりする。図15(A)(B)の具体例でいえば、これを実施するための線状体として正巻用線状体51が用いられる。その際、正巻用線状体51の中間部には、スリップの生じがたい伝動部を形成するため、伝動チェーン・タイミングベルト・Vベルトなどのうちから選択される噛み合い式または摩擦式の線状伝動部材54が介在されて一連に連結される。この連結で生じた二つの連結部分には、金属製または合成樹脂製の衝突片55・56がそれぞれ取り付けられる。一方で往復作動体71の上面を除く任意の面には、その面を取付面にして複数の伝動輪111〜114・滑車131〜138が回転自在に取り付けられる。図示例の場合は、往復作動体71の外側面を取付面にして、一組(大小二つ)の伝動輪111・112が共通の軸回転軸に密接して取り付けられている。当該取付面には、両伝動輪111・112との間に軸間距離を介在している他の一組(大小二つ)の伝動輪111・112も共通の軸回転軸に密接して取り付けられている。往復作動体71の上記取付面には、また、上記二つの衝突片55・56と衝突自在に対応する金属製あるいは合成樹脂製のストッパ57・58がそれぞれ取り付けられている。この二つのストッパ57・58には、線状体を通すこのとできる貫通孔がある。図15(A)を参照して正巻用線状体51は、上記の伝動輪・滑車・ストッパなどを具備した往復作動体71において、正逆巻取器21からプーリ83aに至るまでの中間部分の一部がつぎのような順序で索取りされるものである。すなわち正巻用線状体51は、正逆巻取器21→滑車131→滑車132→滑車133→滑車134→ストッパ57→伝動輪111→ストッパ58→滑車135→滑車136→滑車137→滑車138→プーリ83aの順に索取りされるものである。もちろんこの索取りのとき、各伝動輪に対しては正巻用線状体51が掛け回され、各ストッパに対してはその貫通孔を正巻用線状体51が貫通する。さらに図15(A)の往復作動体71においては、相互に隣接する両伝動輪112・113にわたって無端伝動帯121が掛け回され、かつ、給送機構75端のスプロケットギヤ76bと伝動輪114とにわたって無端伝動帯122が掛け回される。この場合の代表的一例についていうと、線状伝動部材54・無端伝動帯121・122は伝動チェーンからなり、これに対応する各伝動輪111〜114はスプロケットギヤからなる。図15(A)(B)を参照して明らかなように、この実施形態の本発明送り装置には、往復作動体71を所定位置で停止させるための前記停止用機器S1や、給送機構75の伝導系を停止させるための停止用機器S2が設けられる。この場合の停止用機器S1としては、前述した部材押し付け方式・クランプ方式・ロックピン方式・マグネット方式のうちから、ロックピン方式のものが採用されている。すなわちこの実施形態の停止用機器S1は、ロックピン78cを押し出したり引き込んだりする流体圧式(油圧式または空気圧式)のシリンダ78dが周知のスタンド78eを介して適用な取付面(例:床面)上に設置されている。この停止用機器S1のロックピン78cと嵌め合い自在に対応するものとして、ロック孔78fが往復作動体71の所定の面に開口形成されている。さらに停止用機器S2の場合も、部材押し付け方式・クランプ方式・ロックピン方式・マグネット方式のうちから、ロックピン方式のものが採用されている。すなわちこの実施形態の停止用機器S2は、ロックピン78gを押し出したり引き込んだりする流体圧式(油圧式または空気圧式)のシリンダ78hが周知の取付アーム78iを介して往復作動体71の取付面に取り付けられている。この停止用機器S2のロックピン78gと嵌め合い自在に対応するものとして、ロック孔78jが伝動輪112に開口形成されている。停止用機器S2の役割は、正巻用線状体51を往復作動体71上で固定したり、その固定を解除したりするものである。したがって停止用機器S2として、正巻用線状体51を掴んだり離したりするためのワイヤクランプ用が往復作動体71に設けられることがある。
なお、図15(A)においては、理解を容易にするため停止用機器S2の向きを故意に90°回転させて示してある。
前述した図12の実施形態は、集配部CD11〜CD13・CD21〜CD29などが配備されたエリアにおいて、往復作動体71を所定方向に往復動させるという方式のものである。さらにいうと、図12の実施形態は、各集配部ごとに往復作動体71を一時停止させ、その停止時、往復作動体71と所定集配部との間で搬送物の受け渡しを行うという方式のものである。図15(A)(B)に例示された本発明送り装置は、図12のような実施形態において有用なものである。これについて、図15(A)(B)の実施形態は以下のようになる。
図15(A)(B)の実施形態において、ガイド手段82a・82bに沿って移動する往復作動体71を正逆巻取器21で通常どおりに往復動させるときは、停止用機器S1をロック解除状態にして停止用機器S2のみをロック状態にする。停止用機器S1がロック解除状態にあるとき、ロックピン78cが往復作動体71のロック孔78fから離脱しているから、往復作動体71はガイド手段82a・82bに沿って自由に移動することができる。一方、停止用機器S2のロック状態は、シリンダ78hをピン押し出し方向に作動させてロックピン78gを伝動輪112のロック孔78jに差し込むことで得られる。停止用機器S2がロック状態にあるとき、伝動輪112は回転することができない。これは正巻用線状体51ひいては両線状体51・52が往復作動体71に固定されているのと等価な状態である。したがって停止用機器S1がロック解除状態で停止用機器S2がロック状態にあるときは、往復作動体71は正逆巻取器21による両線状体51・52の操作でガイド手段82a・82bに沿って往復動するようになる。かかる送り操作で往復作動体71が所定の集配部に至ったときは、正逆巻取器21の回転を一時停止させて停止用機器S1をロック状態にするとともに停止用機器S2をロック解除状態にする。この場合の停止用機器S1のロック状態は、往復作動体71が所定の集配部で停止したとき、停止用機器S1のロックピン78cと往復作動体71のロック孔78fとが正対するから、停止用機器S1のシリンダ78dをピン押し出し方向に作動させてロックピン78cをロック孔78fに嵌め込むことで得られる。停止用機器S1がロック状態のとき、往復作動体71は移動することができない。さらに停止用機器S2のロック解除状態は、シリンダ78hをピン引き抜き方向に作動させてロックピン78gを伝動輪112のロック孔78jから引き抜くことで得られる。停止用機器S2がロック解除状態になると、伝動輪112は回転することができるようになる。このように、停止用機器S1がロック状態で停止用機器S2がロック解除状態になると、給送機構75には正逆巻取器21の巻き取り巻き戻し力が正巻用線状体51を介して回転動力として伝わるようになる。ちなみに図15(A)において、正巻用線状体51のX1側に正逆巻取器21側へ引き取られる方向の線状体巻取力が正逆巻取器21を介して作用したときは、各伝動輪111〜114がそれぞれ時計回り方向へ回転するため、給送機構75の各ローラ76も時計回り方向へ回転する。このときの給送機構75による搬送物の給送方向は、図15(A)において左→右となる。これとは逆に、正巻用線状体51のX2側にプーリー側へ送り出される方向の線状体巻取力が正逆巻取器21を介して作用したときは、各伝動輪111〜114がそれぞれ反時計回り方向へ回転するため、給送機構75の各ローラ76も反時計回り方向へ回転する。このときの給送機構75による搬送物の給送方向は図15(A)において右→左となる。この場合の搬送物の給送方向は正逆巻取器21の回転方向を選択することで自由に切り替えることができる。これで明らかなように、停止用機器S1をロック解除状態にして停止用機器S2をロック状態にしたときは、正逆巻取器21介した両線状体51・52の巻き取り巻き戻し力を往復作動体71の往復動力として活用することができ、これとは逆に、停止用機器S1をロック状態にして停止用機器S2をロック解除状態にしたときは、正逆巻取器21介した両線状体51・52の巻き取り巻き戻し力を給送機構75の給送動力として活用することができる。この場合の後者において、二つの衝突片55・56と二つのストッパ57・58は、正巻用線状体51のX1側やX2側が限度を超えて引き取られるときに互いに衝突とする。したがってこれは、正巻用線状体51の過剰な引き取り操作を規制するものとなる。かかる往復動力と給送動力との切り替えは、各集配部に応じた往復作動体71の一時停止(発着)させるごとに行われる。したがって図15(A)(B)に例示された本発明送り装置は、一系統の動力源で往復作動体71と給送機構75とがまかなえるので望ましい。
図15(A)(B)の実施形態で停止用機器S2は、ロックピン78gを伝動輪112のロック孔78jに差し込むタイプのものである。これについては、たとえば、ストッパ57と滑車131との間およびストッパ58と滑車138との間において、正巻用線状体51のX1側およびX2側をクランプしたりクランプ解除したりするというクランプ機器を往復作動体71に装備するものであってもよい。
図7図15などの実施形態においては、正逆巻取器用原動機(サーボモータ)のパルス制御で往復作動体71の目標停止位置にコントロールしたりする。この場合には、往復作動体71の始動位置・停止停止位置に対応してリニアエンコーダを備え付けておくのが望ましい。その理由は、正逆巻取器用原動機のパルス制御80〜95%程度の往復作動体移動量をカウント制御し、かつ、残部の往復作動体移動量をリニアエンコーダで制御することにより、正確・迅速・合理的な位置決め制御が行えるからである。
図7図11などで例示した本発明送り装置は、往復作動体を水平方向に移動させる場合だけでなく、往復作動体を垂直方向に移動させたり、高低差のある傾斜方向に移動させたりする場合にも適用できるものである。
さらに本発明に係る昇降式送り装置について、これの各実施形態を添付図面に基づき説明する。
図16において、送り装置用線状体巻取機構としては図1〜図6に例示されたもののうちから任意のものが用いられる。ただし、この場合の線状体巻取機については、正巻用線状体51と逆巻用線状体52とのうちのいずれか一方が省略されている。かかる線状体巻取機は、建築物または構築物等において所要の高さのところに装備されている。線状体巻取機の下位には一対の定滑車96a・96bが取り付けられている。ケージまたはカーゴからなる昇降作動体97は正逆巻取器21の巻取部22から巻き戻された線状体53に接続されて吊り下げられている。昇降作動体97には、また、一対の索条98a・98bが接続されており、これら索条98a・98bがそれぞれの定滑車96a・96bに掛け回されて垂下されている。さらに各索条98a・98bの下端には、昇降作動体97に対抗するところの荷重付与体99a・99bが取り付けられている。
図16に例示された昇降式送り装置の場合、正逆巻取器21を正逆回転させてその巻取部22から線状体53を巻き戻したり巻き取ったりすることで、昇降作動体97を昇降させるものである。
図16に例示された昇降式送り装置の変形例として、図1〜図7に例示された送り装置用線状体巻取機構をそのまま(線状体の省略なし)で用いることがある。このような実施形態のときは、線状体巻取機構における正巻用線状体51と逆巻用線状体52とのうち、その一方が昇降作動体97に接続されて当該昇降作動体97が上下動自在に吊り支えられるとともにその他方が荷重付与体(99aまたは99b)に接続されて当該荷重付与体が上下動自在に吊り支えられる。この場合において、昇降作動体97や荷重付与体(99aまたは99b)はいずれも重力を受けて互いに対抗するものとなる。
本発明に係る送り装置での各線状体51〜53などは、とくに配慮をしないとき、正逆巻取器21以降において外部に露出することが多い。このような線状体の露出部分は、本発明装置が設備されたエリアにおいて人や物の障害になるというときに、または、当該線状体を防護するというときに、その露出部分の一部または全部が中空の配線路内に配線されるのが望ましい。以下その配線路について説明する。
上記線状体用の配線路は、床面・壁面・天井面のうちの一つ以上の面を配線面にして形成されるものである。この配線路は配線用ダクトを敷設することで形成されたり、配線面を溝状に凹ませることによって形成されたり、さらには、配線面の溝内に配線用ダクトを埋め込むことによって形成されたりするものである。具体的一例として図17に示された配線路141は、床面・壁面・天井面など任意の配線面142に形成された長い溝143と、ダクト壁の長さ方向に沿ってスリット144が形成された長尺で中空状の配線用ダクト145と、配線用ダクト145のスリット144を塞ぐための長尺でシート状のカバー材146・147とを主要な構成要素とするものである。配線用ダクト145は、金属製または合成樹脂製(FRPを含む)あるいはそれらの複合材製であり、カバー材146・147は、可撓性のあるゴムまたは合成樹脂からなるものである。図17の配線路141は、配線用ダクト145を配線面142の溝143内に嵌め込み固定し、配線用ダクト145のスリット144を塞ぐための各カバー材146・147を当該ダクト表面に取り付けることで構成される。各線状体51〜53などは、こうして構成された配線路141内に配線される。図17を参照して、線状体51〜53と往復作動体71とは連結具151を介して連結される。すなわち、連結具151の先端側にある挟み着け式の固定部152で線状体(51・52・53のいずれか)を固定したり、連結具151の基端側にある取付部153を往復作動体71に取り付けたりすることで、これら線状体・往復作動体の相対的な連結がなされる。このほか実施形態として、図17の配線路141で配線用ダクト145が省略されるときは、溝143の開放面を各カバー材146・147で覆うようになる。さらに配線用ダクト145やカバー材146・147が省略されるというときは、溝143のみで配線路141が構成される。
本発明に係る送り装置用線状体巻取機構・送り装置・昇降式送り装置は、従来のベルトコンベア・ネジ送り装置・シリンダ送り装置・タイミングベルト送り装置・ロボットなどにみられた各種の課題を解決するばかりか、製作難度の緩和・コストアップの抑制・高速運転時の安定性などを確保するものである。したがって本発明の機構・装置は、既存のものに代わるこの種の手段として各種の用途に適用できるものである。
本発明に係る送り装置用線状体巻取機構の第1実施形態について要部を切り欠いて略示した正面図である。 図1の第1実施形態における正逆巻取器の正面図である。 本発明に係る送り装置用線状体巻取機構の第2実施形態について要部を切り欠いて略示した正面図である。 本発明に係る送り装置用線状体巻取機構の第3実施形態について要部を切り欠いて略示した正面図である。 図4の第3実施形態における要部説明図である。 図4の第3実施形態における主軸の端面図である。 本発明に係る送り装置の第1実施形態を略示した平面図である。 本発明に係る送り装置の第1実施形態を略示した平面図である。 図8の第1実施形態における要部断面図である。 本発明に係る送り装置の第2実施形態を略示した平面図である。 本発明に係る送り装置の第3実施形態を略示した平面図である。 本発明に係る送り装置の第4実施形態を略示した平面図である。 図12の第4実施形態における要部平面図である。 図12の第4実施形態における要部側面図である。 本発明に係る送り装置の第5実施形態を略示した側面図と部分正面図である。 本発明に係る昇降式送り装置の1実施形態を略示した正面図である。 本発明に係る送り装置について線状体の特殊な配線例を略示した断面図である。
11 軸用支持体
11a 軸用支持体
11b 軸用支持体
12 支持壁
13 支持壁
14 支持壁
21 正逆巻取器
22 巻取部
23 スリーブ
24 軸孔
25 ガイド内周面部
26 主軸
27 ガイド外周面部
28 嵌め合い構造
29 副軸
30 送りネジ
31 往復動部材
32 ネジ孔
33 送り用ネジ構造
34 原動機(モータ)
34a 原動機(モータ)
34b 原動機(モータ)
35 出力軸
35a 出力軸
35b 出力軸
36 伝動手段
37 伝動手段
38 連係体
39 アウタ部材
40 インナ部材
41 ガイド内周面部
42 連結部材
43 トルク伝達部材
44a アーム
44b 取付部
44c 差し込み孔
51 正巻用線状体
52 逆巻用線状体
53 連繋用線状体
54 線状伝動部材
55 衝突片
56 衝突片
57 ストッパ
58 ストッパ
71 往復作動体
71a 走行部
72a 固定部材
72b 固定部材
73 往復作動体
73b 走行部
74a 固定部材
74b 固定部材
75 給送機構
76a ローラ軸
76b スプロケットギヤ
76c チェーン
76d チェーン
77a 出力軸
77 原動機
78a プッシュロッド
78b シリンダ
78c ロックピン
78d シリンダ
78e スタンド
78f ロック孔
78g ロックピン
78h シリンダ
78j ロック孔
79 給送機構
81 基台
82 ガイド手段
82a ガイド手段
82b ガイド手段
83a プーリ
83b プーリ
83c プーリ
83d プーリ
83e プーリ
83f プーリ
83h プーリ
83i プーリ
83g プーリ
84a プーリ
84b プーリ
84c プーリ
91 幹線部
92 支線部
93 移動体ユニット
94 ユニット用ブレーキ
95 線状体用ブレーキ
96a 定滑車
96b 定滑車
97 昇降作動体
98a 索条
98b 索条
99a 荷重付与体
99b 荷重付与体
111 伝動輪
112 伝動輪
113 伝動輪
114 伝動輪
131 滑車
132 滑車
133 滑車
134 滑車
135 滑車
136 滑車
137 滑車
138 滑車
141 配線路
142 配線面
143 溝
144 スリット
145 配線用ダクト
146 カバー材
147 カバー材
151 連結具
152 先端部
153 基端部
S1 停止用機器
S2 停止用機器
CD11 集配部
CD12 集配部
CD13 集配部
CD21 集配部
CD22 集配部
CD23 集配部
CD24 集配部
CD25 集配部
CD26 集配部
CD27 集配部
CD28 集配部
CD29 集配部

Claims (11)

  1. 線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸や副軸を回転させるための原動機と、原動機の出力を主軸や副軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品連結用の連結部材とを備えていること、および、
    上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合う非回転型直線運動案内用のガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の軸方向に沿ってその主軸外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の軸方向に沿ってその軸孔内周面部に設けられており、かつ、連係体が内外に組み合わされた内周部材と外周部材とを有しており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが副軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が往復動部材に設けられていること、および、 主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されて軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
    主軸の外周部に組み付けられる連係体が、相対回転自在なアウタ部材とインナ部材とを有するものであり、かつ、この連係体が主軸の外周部に組み付けられて正逆巻取器と相互に隣接しており、しかも、連係体のインナ部材が主軸と一体回転可能かつ主軸の軸方向沿いにスライド可能であるとともに連係体のアウタ部材が正逆巻取器の側部に固定されていること、および、
    送りネジを外周面に有する副軸が往復動部材のネジ孔を貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が副軸と往復動部材との間に介在していること、および、
    正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸ならびに往復動部材を外周部に具備した副軸が軸用支持体の支持壁を介してそれぞれ回転自在に支持されているとともに当該軸用支持体の支持壁で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
    主軸ならびに副軸が伝動手段を介して原動機に連結されていてこれら各軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
    正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
    を特徴とする送り装置用線状体巻取機構。
  2. 線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸や副軸を回転させるための原動機と、主軸のトルクを正逆巻取器に伝えるためのトルク伝達部材と、原動機の出力を主軸や副軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品連結用の連結部材とを備えていること、および、
    上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔と正逆巻取器の側面から正逆巻取器内に向けて開口形成された差し込み孔とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合うガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の内周面部に設けられており、かつ、トルク伝達部材が主軸との平行状態において正逆巻取器の差し込み孔に嵌り込むアームと主軸に対する取付部とを有しており、かつ、連係体が内外に組み合わされた内周部材と外周部材とを有しており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが副軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が往復動部材に設けられていること、および、
    主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
    主軸の外周部に組み付けられる連係体が、相対回転自在なアウタ部材とインナ部材とを有するものであり、かつ、この連係体が主軸の外周部に組み付けられて正逆巻取器と相互に隣接しており、しかも、連係体のインナ部材が主軸と一体回転可能かつ主軸の軸方向沿いにスライド可能であるとともに連係体のアウタ部材が正逆巻取器の側部に固定されていること、および、
    送りネジを外周面に有する副軸が往復動部材のネジ孔を貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が副軸と往復動部材との間に介在していること、および、
    正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸ならびに往復動部材を外周部に具備した副軸が軸用支持体の支持壁を介してそれぞれ回転自在に支持されているとともに当該軸用支持体の支持壁で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
    主軸ならびに副軸が伝動手段を介して原動機に連結されていてこれら各軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
    トルク伝達部材がその取付部を介して主軸の外周部に取り付けられて当該トルク伝達部材のアームが主軸と平行しているととともにそのアームの先端部側が正逆巻取器の差し込み孔内に出没自在に挿入されており、この差し込み孔へのトルク伝達部材の挿入により主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されるものであること、および、
    正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
    を特徴とする送り装置用線状体巻取機構。
  3. 線状体を一層の螺旋巻きで巻き取ったりその螺旋巻き線状体を巻き戻したりするための正逆回転自在な正逆巻取器と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする正巻用線状体と、正逆巻取器を介して一層の螺旋巻きで巻き取られたりその螺旋巻きが巻き戻されたりする逆巻用線状体と、正逆巻取器支持用の主軸と、主軸との平行関係を保持して配置される正逆巻取器案内用の副軸と、主軸や副軸を支持するための支持壁を有する軸用支持体と、主軸を回転させるための原動機と、原動機の出力を主軸に伝達するための伝動手段と、正逆巻取器と主軸との間に介在される嵌め合い構造と、主軸の外周部において正逆巻取器に隣接して配置される連係体と、副軸の外周部においてその副軸の両端部間を往復させるための往復動部材と、副軸と往復動部材との間に介在される送り用のネジ構造と、連係体と往復動部材との二部品を相互に連結するための連結部材とを備えていること、および、
    上記各構成要素のうちで、正逆巻取器がその外周面にある線状体用の巻取部とその軸心部にある軸孔とその側面にある連結用の突起とを有しており、かつ、嵌め合い構造が互いに嵌り合う非回転型直線運動案内用のガイド外周面部とガイド内周面部とを有していてその一方のガイド外周面部が主軸の軸方向に沿ってその主軸外周部に設けられているとともにその他方のガイド内周面部が正逆巻取器の軸孔の軸方向に沿ってその軸孔内周面部に設けられており、かつ、送り用のネジ構造が互いに噛み合う送りネジとネジ孔とを有していてその一方の送りネジが主軸の外周面に設けられているいるとともにその他方のネジ孔が連係体の内周面に設けられており、かつ、連係体の表面部には正逆巻取器の突起を回転自在に嵌め込み保持するための環状の保持溝も設けられており、かつ、往復動部材が副軸との嵌め合いが可能な貫通孔を有していること、および、 外周面にガイド外周面部や送りネジを有する主軸が正逆巻取器の軸孔を貫通していて主軸側のガイド外周面部と軸孔側のガイド内周面部とによる嵌め合い構造が主軸と正逆巻取器との嵌め合い部間に介在しており、この嵌め合い構造によって主軸と正逆巻取器とにおける周方向の相対回転が拘束されて軸方向の相対移動が許容されるものであること、および、
    外周面にガイド外周面部や送りネジを有する主軸が連係体のネジ孔をも貫通していてこれら送りネジ・ネジ孔の噛み合いによる送り用ネジ構造が主軸と連係体との間に介在しているとともに連係体と正逆巻取器とが主軸の外周上で相互に隣接しており、かつ、連係体の保持溝内に正逆巻取器の突起が回転自在に嵌め込み保持されて正逆巻取器と連係体とが相対回転自在に連結されていること、および、
    副軸が往復動部材の貫通孔を貫通していて当該往復動部材が副軸の軸方向沿いに往復動するものであること、および、
    正逆巻取器と連係体とを外周部に具備した主軸が軸用支持体の支持壁で回転自在に支持されているとともに往復動部材を外周部に具備した副軸も軸用支持体の支持壁で支持されており、かつ、当該軸用支持体で支持された主軸と副軸とが互いに平行並列しており、かつ、主軸側の連係体と副軸側の往復動部材とが連結部材を介して連結されていること、および、
    主軸が伝動手段を介して原動機に連結されていて当該主軸が原動機の出力で回転するものであること、および、
    正逆巻取器と正巻用線状体と逆巻用線状体については、正逆巻取器に対する正巻用線状体の螺旋巻き取り方向と正逆巻取器に対する逆巻用線状体の螺旋巻き取り方向とが互いに逆向きとる相対関係、ならびに、正逆巻取器からの正巻用線状体の螺旋巻き戻し方向と正逆巻取器からの逆巻用線状体の螺旋巻き戻し方向とが互いに逆向きとなる相対関係を有しており、かつ、正巻用線状体と逆巻用線状体とが正逆巻取器の外周部にそれぞれ一層の螺旋巻きで巻き取られて巻き戻し自在に保持されていること、
    を特徴とする送り装置用線状体巻取機構。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構と、行き方向や戻り方向の力を受けたときにガイド手段の案内で進行したり逆行したりする往復作動体とが組み合わされたものであること、および、
    送り装置用線状体巻取機構において巻き取り巻き戻し自在に保持された正巻用線状体と逆巻用線状体とが往復作動体に連結されていること、および、
    正逆巻取器による正巻用線状体の巻き取り量と逆巻用線状体の巻き戻し量とが互いに等しいものであるとともに正逆巻取器による正巻用線状体の巻き戻し量と逆巻用線状体の巻き取り量とが互いに等しいものであること、および、
    巻き取り回転時における正逆巻取器が両線状体の巻き取りピッチと巻き戻しピッチに対応して軸線方向に移動するものであること
    を特徴とする送り装置。
  5. 往復作動体がその送り方向と交差する方向へ搬送物を給送するための給送機構を具備している請求項4に記載の送り装置。
  6. 正逆巻取器の動力が正巻用線状体および/または逆巻用線状体を介して往復作動体の給送機構に伝達されるものである請求項5に記載の送り装置。
  7. 正逆巻取器の外部において配線されている両線状体の配線部分に、平行な二本の部分線状体を一対とする平行線部が幹線部として一組以上形成されており、その一組以上の幹線部を形成している各部分線状体のうちで一本以上の部分線状体には、当該部分線状体の長さ方向に対して異方向に張り出した支線部が一つ以上形成されているとともにその支線部が往復作動体に連結されている請求項4に記載の送り装置。
  8. 支線部と往復作動体とで移動体ユニットが構成されており、当該移動体ユニットが幹線部に沿って往復動自在に設けられている請求項7に記載の送り装置。
  9. 往復作動体がコンベアユニットからなる請求項8に記載の送り装置。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構と、上下動用の昇降作動体と、昇降作動体に対抗する荷重付与体とを備えていること、および、
    線状体巻取機構における正巻用線状体と逆巻用線状体とのうち、その一方が昇降作動体に接続されて当該昇降作動体が上下動自在に吊り支えられているとともにその他方が荷重付与体に接続されて当該荷重付与体が上下動自在に吊り支えられていること、および、
    昇降作動体と荷重付与体との相対関係において、これらがいずれも重力を受けて互いに対抗していること、
    を特徴とする昇降式送り装置。
  11. 請求項1〜3のいずれかに記載された送り装置用線状体巻取機構であって正巻用線状体と逆巻用線状体とのうちのいずれか一方が省略されたものと、上下動用の昇降作動体と、昇降作動体に対抗する荷重付与体と、定滑車と、索条とを備えていること、および、
    線状体巻取機構の線状体が昇降作動体に接続されて当該昇降作動体が上下動自在に吊り支えられていること、
    昇降作動体の最上昇位置側に配置された定滑車に索条が掛けられ、かつ、その索条の両端が昇降作動体や荷重付与体にそれぞれ接続されていること、および、
    昇降作動体と荷重付与体との相対関係において、これらがそれぞれの自重で互いに対抗していること、
    を特徴とする昇降式送り装置。
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