JP5107097B2 - 平盤打抜装置 - Google Patents

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本発明は、板紙などの板状部材を打抜いて紙器などの製品を得るのに用いられる平盤打抜装置に関するものである。
従来、板紙などの板状部材を打抜いて紙器などの製品を製作する際に、図5に示されるような平盤打抜装置100が用いられる。この平盤打抜装置100は、給紙部101と、この給紙部101より供給されたシート材108から所要形状に型打抜きを行う型打抜き部(プレス部)102と、この型打抜き部102にて打抜かれたシート材108から、孔になる箇所の抜き屑を取り除く抜き屑除去部(ストリッピング部)103と、シート材108のブランク周りの非製品部分からブランク109を切り離すブランク分離部104と、ブランク分離部104に配され、切り離されたブランク109を載置・収容するパレット105と、ブランク分離部104の下流側に設けられ、ブランク周りの非製品部分(打抜き屑)110を回収する打抜き屑回収部106と、シート材108を型打抜き部102、抜き屑除去部103、ブランク分離部104および打抜き屑回収部106に亙って順次搬送する搬送手段107とを備えて構成されている。
このような平盤打抜装置100において、型打抜き部102で打抜かれたシート材108は、図6に示されるように、ブランク109と、このブランク109周りのグリッパーマージン110aを含む非製品部分110および、孔となる箇所の抜き屑となる部分(図示せず)とが、ごく僅かな繋ぎ部分111を残した状態になっており、搬送手段107の把持部によって非製品部分110のグリッパーマージン110aを咥えて次工程への搬送が可能なようにされている。また、ブランク分離部104では、ブランキング型と称する上型112と下型113とよりなる一対の型にて、下型113に対して上型112が降下されることによってブランク周りの非製品部分110からブランク109が切り離されてパレット105上に載置・収容されるようになっている。
ここで、上記ブランキング型の上型112は、殆どがべニヤ板製で、図7(b)に示されるように、ベース板112aの下面にブランク109よりやや小さなブランク押圧体112bが取り付けられるとともに、このブランク押圧体112bの周辺部にばねの付勢力によってブランク周りの非製品部分110を押え付けるプレッサー112cが取り付けられて構成されている。なお、プレッサー112cの下面が、ブランク押圧体112bの下面に対して数mm程度低くなっている。一方、ブランキング型の下型113は、ベニヤ板製および/または金属製で、上型112との間で非製品部分110を押え付けるのに十分な強度を有し、分離したブランク109が落下して正確にパレット105上に積み重ねられるようにそのブランク109を案内する深さを有するとともに、ブランク109よりやや大きな孔を有する形状とされている。なお、この下型113において、ブランク109が落下する孔の周辺部分は、非製品部分110と同形状でその非製品部分110よりは幅狭に形成されている。この下型113の孔の周辺部分を「桟」と称し、シート材108の進行方向に平行な向きの桟を「縦桟」、進行方向に直交する向きの桟を「横桟」と称する。
このような構成において、シート材108がブランク分離部104に送られてきて停止すると(図7(a)参照)、上型112が降下し、プレッサー112cにてブランク周りの非製品部分110が押え付けられ、次いでブランク押圧体112bにてブランク109が下方へ押し落とされる(図7(b))。この後、上型112が上昇すると、上型112のプレッサー112cと下型113の桟との間に挟まれていた非製品部分110はフリーになり、この非製品部分110は、シート材搬送のために搬送手段107の把持部(咥えバー)が移動することにより打抜き屑回収部106へ移動し、排出される。
ところで、従来、ブランキング型の下型113として、縦桟113aの上面と、横桟113bの上面とが同一平面に形成された構成のものが用いられてきた。しかし、このような構成であると、図7(c)に示されるように、ブランク109が落下して非製品部分110のみが残された際に、その非製品部分110自身の重みで、更にはブランク109と非製品部分110との分離時に両者の繋ぎ部分111が引きちぎられることによる横桟部分110b,110c(図6参照)の変形により、断面A−A部分等において非製品部分110が下方へ垂れ下がることになり、この非製品部分110の搬送時にその垂れ下がり部114が前方の横桟113bに衝突して搬送不能となり、機械の停止を引き起こしてしまうという問題点があった。
このような問題点を解消するために、現在用いられているブランキング下型として2つの方式がある。すなわち、第1の方式は、非製品部分110の垂れ下がり部に対応する横桟113bの上部を削り込むようにしたものであり、第2の方式は、図8に示されるように、縦桟113aを横桟113bより高く形成したものであり、このようにして垂れ下がり部114が横桟113bに衝突するのを回避するようにしている。
しかしながら、上記いずれの方式においても、非製品部分110の縦桟部分110d,110e,110fは、下型113の縦桟113aと上型112のプレッサー112cとに挟まれて固定されるが、非製品部分110の横桟部分110b,110cは宙に浮いた状態で繋ぎ部分111が引きちぎられることになるために、ブランク109と非製品部分110との分離が不安定な状態で行われ、この結果、横桟部分110b,110cの変形を完全に避けることができず、装置の高速回転での運転が不安定になってしまうという問題点がある。
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、ブランクと非製品部分とを分離する際には縦桟と横桟を同一平面にして、非製品部分を確実に押えることができ、しかも搬送時には横桟に引っ掛かることなく、容易に搬送することのできる平盤打抜装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明による平盤打抜装置は、
所要形状に型打抜きされたシート材から、上型と下型とよりなる一対のブランキング型にて、製品となるブランクを非製品部分から切り離すように構成された平盤打抜装置において、
前記上型が、非製品部分を押え付けるプレッサーと、ブランクを押圧するブランク押圧体とを備えるとともに、前記下型が、前記プレッサーとの間で非製品部分を挟み付ける縦桟および横桟を備え、
前記縦桟は、この縦桟の上面が、前記上型の上昇位置では前記横桟の上面より突出する上昇位置に位置し、前記上型の下降位置では前記横桟の上面と同一平面となる下降位置に位置するように、縦桟支持部材に支持されて上下動可能に構成されていることを特徴とするものである。
本発明において、前記縦桟支持部材は、上端側にフランジ部を有するとともに下端側が開閉自在な蓋体にて閉止された筒状体と、この筒状体内に組み込まれるコイルばねと、このコイルばねの上端側に支持される支持片とを備え、この支持片に形成された挿通孔と、前記縦桟に形成された挿通孔にボルトもしくはピンを挿通して前記縦桟を支持するように構成されているのが好ましい。
本発明においては、シート材がブランキング型の位置に達すると、上型が降下し、ブランクとそのブランク周りの非製品部分との分離動作が行われる。この際、上型の降下に伴ってプレッサーが降下すると、横桟の上面に対して上方へ突出した上昇位置にある縦桟の上面と、プレッサーの下面との間にブランク周りの非製品部分が挟み付けられ、その状態のまま縦桟が下降位置まで降下され、縦桟の上面が横桟の上面と同一平面になったときに、ブランク押圧体によりブランクが非製品部分から分離されて下方へ押し落とされる。この後、上型が上昇すると、その上昇に合わせて、縦桟支持部材に支持された縦桟が上昇位置、すなわち縦桟の上面が横桟の上面より突出する位置まで上昇され、非製品部分が横桟の上面より上方へ持ち上げられ、この持ち上げられた状態で次工程へ搬送される。
本発明によれば、上型下降時には縦桟が沈んで横桟と同一平面になるため、ブランク分離時に非製品部分の全ての面を上型のプレッサーで押圧することができ、非製品部分の変形を最小限に抑えた状態で、ブランクと非製品部分との繋ぎ部分を確実に分離、切断することができ、ブランクをスムーズに落下させることができる。また、上型が上昇して非製品部分を次工程へ搬送する際には、縦桟が上昇し、ブランクから分離された非製品部分が横桟に対して上方へ持ち上がるので、この非製品部分を横桟に衝突させることなく、容易に次工程へ搬送することができる。この結果、機械トラブルを発生させることがないので、平盤打抜装置の生産スピードを向上させることができる。
本発明において、縦桟支持部材を、上端側にフランジ部を有するとともに下端側が開閉自在な蓋体にて閉止された筒状体と、この筒状体内に組み込まれるコイルばねと、このコイルばねの他端側に支持される支持片とを備えた構成にすれば、縦桟の上下動機構を極めて簡素な構造により実現することができる。また、蓋体を外すことでコイルばねを容易に交換することができる。
次に、本発明による平盤打抜装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態において、平盤打抜装置の全体構成は、図5に示される従来装置と基本的に異なるところがないので、その詳細な説明を省略し、以下、本実施形態に特有な点についてのみ説明することとする。
本実施形態の平盤打抜装置においては、ブランク周りの非製品部分からブランクを切り離すブランク分離部(図5の符号「104」参照)におけるブランキング型の構成が従来装置と異なっている。図1には、このブランキング型の上型および下型の正面図が示されている。また、図2(a)には、下型の斜視図が、図2(b)には、その部分拡大図がそれぞれ示され、図3には、縦桟支持部材の斜視図(a)、断面図(b)(c)および平面図(d)がそれぞれ示されている。また、図4(a)〜(c)には、本実施形態の動作説明図が示されている。
本実施形態のブランキング型は、上型1と下型2とから構成されている。上型1は、ベニヤ板製で、ベース板3の下面にブランク4(図4参照)よりやや小さなブランク押圧体5が取り付けられるとともに、このブランク押圧体5の周辺部にコイルばね6の付勢力によってブランク周りの非製品部分7(図4参照)を押え付けるプレッサー8が取り付けられて構成されている。ここで、常態においては、プレッサー8の下面が、ブランク押圧体5の下面に対して数mm程度低くなっている。なお、この上型1の構成は、図7(b)に示される従来装置と基本的に異なるところがない。
一方、ブランキング型の下型2は、ベニヤ板製および/または金属製で、図2(a)に示されるように、シート材9の進行方向Pに平行な向きの縦桟10と、進行方向Pに直交する向きの横桟11とを備え、左右の縦桟10と前後の横桟11とに囲まれた部分にブランク4よりやや大きな孔12が形成されるように、縦桟10と横桟11とが格子状に組まれてなる形状とされている。縦桟10と横桟11は、上型1との間で非製品部分7を押え付けるのに十分な強度を有しており、また縦桟10と横桟11とに囲まれた部分に形成される孔12は、分離したブランク4が落下して正確にパレット9(図4参照)上に積み重ねられるようにそのブランク4を案内する深さを有するようにされている。ここで、縦桟10および横桟11の上面形状は、非製品部分7と同形状でその非製品部分7よりは幅狭に形成されている。
前記横桟11は、下型2のベース板13に対して固定されている。これに対して、縦桟10は、下型2のベース板13に装着された縦桟支持部材14に支持されてそのベース板13に対して上下動可能にされている。
前記縦桟支持部材14は、図3に示されているように、上端部にフランジ部15aを有し、下端部内面にタップが切られた金属製の筒状体15内にコイルばね16が組み込まれ、このコイルばね16の上端側に、下端に抜け止めのフランジ部17aが形成された支持片17が支持され、筒状体15の下端にねじ込み式の蓋体18が設けられてなる構成とされている。支持片17の上端部は二股状に形成され、この二股部分にボルトもしくはピンを挿通する挿通孔17bが形成されている。こうして、支持片17の二股部分の中央部に縦桟10の下端部を挿入し、この縦桟10の下端部に形成された挿通孔(図示せず)と、支持片17の挿通孔17bとにボルト(もしくはピン)19を挿通することで、縦桟支持部材14に対して縦桟10が固定、支持される。
この縦桟支持部材14は、下型2のベース板13に形成された挿通孔内に挿通され、筒状体15のフランジ部15aの箇所でベース板13に固着される。なお、この縦桟支持部材14は、本実施形態では、1本の縦桟10に対して前後各1個ずつ計2個設けられている。
前記縦桟支持部材14に装着されたコイルばね16は、プレッサー8に設けられたコイルばね6よりも、そのばね力が小さめに設定されている。したがって、後述するようにプレッサー8にて縦桟10が押圧された際、縦桟支持部材14の支持片17はコイルばね16を押し縮めながら、縦桟10の上面が横桟11の上面と同一平面になるまで下方へ移動する。なお、コイルばね16を交換したい場合には、筒状体15の下端の蓋体18をドライバー等を用いて外せば、容易に交換することができる。
次に、以上のような構成からなる平盤打抜装置の作動について、図4を参照しつつ説明する。
型打抜き部で打抜かれたシート材9は、ブランク4と、このブランク4周りの非製品部分7および、孔となる箇所の抜き屑となる部分(図示せず)とが、ごく僅かな繋ぎ部分を残した状態になっており(図6参照)、この型打抜き部の後工程である抜き屑除去部において、孔になる箇所の抜き屑が取り除かれた後、ブランク分離部に搬送される。そして、このブランク分離部において、ブランク4とそのブランク周りの非製品部分7との分離動作が行われる。
図4(a)に示されるように、シート材9がブランク分離部におけるブランキング型の上型1と下型2とよりなる一対の型間に搬入されて停止した際に、下型2の縦桟10は、縦桟支持部材14におけるコイルばね16の付勢力によりシート材9を横桟11の上面より上方へ持ち上げた状態にある。この状態から、上型1が降下すると、図4(b)に示されるように、まず、ブランク押圧体5の下面に対してやや下方に位置するプレッサー8の下面が、ブランク周りの非製品部分7を間に挟んで縦桟10の上面に押し付けられ、縦桟支持部材14の支持片17によってコイルばね16をその付勢力に抗して押し縮めながら、縦桟10の上面が横桟11の上面と同一平面になるまで縦桟10が移動される。そして、縦桟10の上面が横桟11の上面と同一平面になると、縦桟10の降下は停止する。このとき、グリッパーマージンを除く非製品部分7の全面がプレッサー8と縦桟10、横桟11との間で挟み付けられた状態となる。引き続き上型1が降下すると、今度はプレッサー8のコイルばね6が押し縮められることにより、ブランク押圧体5がプレッサー8に対して相対的に下方へ移動され、このブランク押圧体によりブランク4が非製品部分7から分離されて下方へ押し落とされる。こうして、非製品部分7の変形を最小限に抑えた状態で、ブランク4と非製品部分7との繋ぎ部分が確実に分離、切断される。
この後、上型1が上昇すると、図4(c)に示されるように、プレッサー8による縦桟10への押圧力が解除されることによって、この縦桟10がコイルばね16の付勢力によって上昇位置(縦桟10の上面が横桟11の上面より上方へ突出する位置)まで上昇される。これによって、ブランク4を切り離されて残った非製品部分7が横桟11の上面より上方へ持ち上げられ、この持ち上げられた状態で次工程へ搬送される。このように、非製品部分7を次工程へ搬送する際には、縦桟10が上昇し、ブランク4から分離された非製品部分7が横桟11に対して上方へ持ち上がるので、この非製品部分7を横桟11に衝突させることなく、容易に次工程へ搬送することができる。この結果、非製品部分7の搬送時にその垂れ下がり部が前方の横桟11に衝突して搬送不能になったりするようなことがなく、機械トラブルが発生するのを回避することができる。
本実施形態では、縦桟支持部材としてコイルばねを内蔵することにより、縦桟を上下動できるようにしたものについて説明したが、この縦桟支持部材としては、他に、コイルばね以外の形態のばねやスポンジ等の弾性体を用いるもののほか、エアシリンダー、油圧シリンダーを用いるものなど、いろいろな実施形態が可能である。
本実施形態におけるブランキング型の上型および下型の正面図 下型の斜視図(a)および下型に装着される縦桟支持部材の斜視図(b) 縦桟支持部材の斜視図(a)、断面図(b)(c)および平面図(d) 本実施形態の動作説明図 従来の平盤打抜装置の全体概略構成図 型打抜き部で打抜かれたシート材の平面図 従来のブランキング型の説明図 従来の他のブランキング型の説明図
符号の説明
1 上型
2 下型
3 ベース板
4 ブランク
5 ブランク押圧体
6 コイルばね
7 非製品部分
8 プレッサー
9 シート材
10 縦桟
11 横桟
12 孔
13 ベース板
14 縦桟支持部材
15 筒状体
16 コイルばね
17 支持片
18 蓋体
19 ボルト

Claims (2)

  1. 所要形状に型打抜きされたシート材から、上型と下型とよりなる一対のブランキング型にて、製品となるブランクを非製品部分から切り離すように構成された平盤打抜装置において、
    前記上型が、非製品部分を押え付けるプレッサーと、ブランクを押圧するブランク押圧体とを備えるとともに、前記下型が、前記プレッサーとの間で非製品部分を挟み付ける縦桟および横桟を備え、
    前記縦桟は、この縦桟の上面が、前記上型の上昇位置では前記横桟の上面より突出する上昇位置に位置し、前記上型の下降位置では前記横桟の上面と同一平面となる下降位置に位置するように、縦桟支持部材に支持されて上下動可能に構成されていることを特徴とする平盤打抜装置。
  2. 前記縦桟支持部材は、上端側にフランジ部を有するとともに下端側が開閉自在な蓋体にて閉止された筒状体と、この筒状体内に組み込まれるコイルばねと、このコイルばねの上端側に支持される支持片とを備え、この支持片に形成された挿通孔と、前記縦桟に形成された挿通孔にボルトもしくはピンを挿通して前記縦桟を支持するように構成されている請求項1に記載の平盤打抜装置。
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