以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージ2に保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置3とを備えている。制御装置3は、例えばコンピュータシステムを含む。
また、露光装置EXは、基板Pが処理される内部空間4を形成するチャンバ装置5と、マスクMを支持して搬送可能なマスク搬送システム6と、基板Pを支持して搬送可能な基板搬送システム7とを備えている。チャンバ装置5は、内部空間4の環境(温度、湿度及びクリーン度を含む)を調整可能である。
基板Pは、デバイスを製造するための基板であって、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pにおいて、感光膜上に保護膜(トップコート膜)のような各種の膜が形成されていてもよい。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。本実施形態において、マスクMは、例えばガラス板等の透明板にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクである。この透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。また、本実施形態においては、マスクMとして透過型マスクを用いるが、反射型マスクでもよい。
露光装置EXは、例えばクリーンルーム内の床面FL上に設けられた第1コラム9、及び第1コラム9上に設けられた第2コラム10を含むボディ11を備えている。第1コラム9は、複数の第1支柱12と、それら第1支柱12に防振装置13を介して支持された第1プレート14とを有する。第2コラム10は、第1プレート14上に設けられた複数の第2支柱15と、それら第2支柱15に支持された第2プレート16とを有する。
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ1は、マスクMを着脱可能なマスク保持部40を有する。本実施形態において、マスク保持部40は、マスクMのパターン形成面(下面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。マスクステージ1は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置17の作動により、マスク保持部40にマスクMを保持した状態で、第2プレート16上で、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。マスクステージ1は、ガスベアリングにより、第2プレート16の上面(ガイド面)に非接触で支持されている。マスクステージ1は、例えば基板Pの露光時、あるいは露光光ELを用いる計測時等に露光光ELが通過する第1開口18を有する。第2プレート16は、露光光ELが通過する第2開口19を有する。照明系ILから射出され、マスクMを照明した露光光ELは、第1開口18及び第2開口19を通過した後、投影光学系PLに入射する。
また、第2プレート16上には、マスクステージ1のY軸方向の一方の方向(例えば+Y方向)への移動に応じてそのマスクステージ1とは反対の方向(例えば−Y方向)へ移動するカウンタマス20が設けられている。カウンタマス20は、エアパッドを含む自重キャンセル機構により、第2プレート16の上面に非接触で支持されている。本実施形態において、カウンタマス20は、マスクステージ1の周囲に設けられている。
マスクステージ1(マスクM)の位置情報は、干渉計システム13のレーザ干渉計13Aによって計測される。レーザ干渉計13Aは、マスクステージ1の反射面1Rを用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関するマスクステージ1の位置情報を計測する。制御装置3は、干渉計システム13の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置17を作動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒21に保持されている。鏡筒21は、フランジ22を有する。フランジ22は、第1プレート14に支持される。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、基板Pを着脱可能な基板保持部23を有する。基板保持部23は、基板Pの露光面(上面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ2は、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置24の作動により、基板保持部23に基板Pを保持した状態で、第3プレート25上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。基板ステージ2は、ガスベアリングにより、第3プレート25の上面(ガイド面)に非接触で支持されている。第3プレート25は、床面FLに防振装置26を介して支持されている。
基板ステージ2(基板P)の位置情報は、干渉計システム13のレーザ干渉計13Bによって計測される。レーザ干渉計13Bは、基板ステージ2の反射面2Rを用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関する基板ステージ2の位置情報を計測する。また、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX及びθY方向に関する位置情報)が、不図示のフォーカス・レベリング検出システムによって検出される。制御装置3は、干渉計システム13の計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置24を作動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を行う。
マスク搬送システム6は、少なくとも内部空間4においてマスクMを搬送する。マスク搬送システム6は、マスクステージ1へのマスクMの搬入、及びマスクステージ1からのマスクMの搬出を実行する。マスク搬送システム6は、マスクMが複数収容されたマスクライブラリ8とマスクステージ1との間でマスクMを搬送可能である。
基板搬送システム7は、少なくとも内部空間4において基板Pを搬送する。基板搬送システム7は、基板ステージ2への基板Pの搬入、及び基板ステージ2からの基板Pの搬出を実行する。本実施形態において、露光装置EXは、不図示のコータ・デベロッパ装置とインターフェースを介して接続されており、基板搬送システム7は、コータ・デベロッパ装置と基板ステージ2との間で基板Pを搬送可能である。なお、コータ・デベロッパ装置は、基板Pに感光膜又は保護膜等、各種の膜を形成可能な膜形成装置と、露光後の基板Pを現像可能な現像装置とを含む。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMからの露光光ELで基板Pを露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域に対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域に対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで照明し、そのマスクMからの露光光ELを、投影光学系PLを介して基板Pに照射する。これにより、マスクM及び投影光学系PLを介して基板Pが露光され、基板PにマスクMのパターンの像が投影される。
次に、図2を参照して、マスクステージ1について説明する。図2は、本実施形態に係るマスクステージ1、カウンタマス20及び第2プレート16近傍の斜視図である。図2において、マスクステージ1は、マスクステージ本体27と、そのマスクステージ本体27に設けられたマスク保持部40とを備えている。
マスクステージ本体27は、XY平面内においてほぼ矩形の第1部材28と、第1部材28の+X側の端に接続された第2部材29とを含む。マスク保持部40は、第1部材28に設けられている。第1開口18は、第1部材28のほぼ中央に形成されている。マスク保持部40は、第1開口18の周囲の少なくとも一部に配置されている。
第2部材29は、Y軸方向に長い部材であり、+X側の側面に、干渉計システム13の計測光が照射される反射面1Rが配置されている。カウンタマス20の+X側の側面には、干渉計システム13の計測光が透過可能な透過領域20Tが配置されている。同様に、不図示であるが、カウンタマス20の−Y側の側面にも、干渉計システム13の計測光が透過可能な透過領域が配置されており、マスクステージ1の−Y側の側面に配置された反射面1Rに干渉計システム13の計測光が照射される。
本実施形態において、第2プレート16のほぼ中央に凸部16Aが設けられている。マスクステージ本体27は、ガスベアリングにより、凸部16Aの上面に非接触で支持される。第2開口19は、第2プレート16の凸部16Aのほぼ中央に形成されている。
マスクステージ駆動装置17は、マスクステージ1を移動可能である。マスクステージ駆動装置17は、マスクステージ1をY軸及びθZ方向に移動可能な第1駆動装置30と、マスクステージ1をX軸方向に移動可能な第2駆動装置31とを有する。本実施形態において、第1駆動装置30は、一対のリニアモータ32、33を含む。第2駆動装置31は、ボイスコイルモータ36を含む。
第1駆動装置30は、Y軸方向に長い一対のガイド部材34、35を備えている。ガイド部材34、35は、リニアモータ32、33の固定子として機能するコイルユニットをそれぞれ有する。ガイド部材34、35は、カウンタマス20の内側に配置されている。ガイド部材34とガイド部材35とは、X軸方向に関して離れている。ガイド部材34、35の+Y側の端及び−Y側の端は、所定の固定部材を介して、カウンタマス20の内面に固定されている。
ガイド部材34、35は、マスクステージ本体27をY軸方向に移動可能に支持する。本実施形態において、マスクステージ27の第1部材28は、リニアモータ32、33の可動子として機能する磁石ユニットを有する。第1部材28は、ガイド部材34とガイド部材35との間に配置されており、リニアモータ32、33の可動子は、第1部材28の+X側の端及び−X側の端にそれぞれ設けられている。
本実施形態においては、第1部材28の+X側の端に設けられた可動子、及びガイド部材34に設けられた固定子によって、マスクステージ本体27をY軸方向に移動可能なムービングマグネット方式のリニアモータ32が形成される。同様に、第1部材28の−X側の端に設けられた可動子、及びガイド部材35に設けられた固定子によって、マスクステージ本体27をY軸方向に移動可能なムービングマグネット方式のリニアモータ33が形成される。
制御装置3は、一対のリニアモータ32、33のそれぞれが発生する推力を等しくすることによって、マスクステージ1(マスクステージ本体27)をY軸方向に移動し、Y軸方向の位置を制御可能である。また、制御装置3は、一対のリニアモータ32、33のそれぞれが発生する推力を異ならせることによって、マスクステージ1(マスクステージ本体27)をθZ方向に移動(回転)し、θZ方向の位置を制御可能である。
第2駆動装置31は、Y軸方向に長いガイド部材37を備えている。ガイド部材37は、ボイスコイルモータ36の固定子として機能するコイルユニットを有する。ガイド部材37は、カウンタマス20の内側に配置されている。ガイド部材37は、ガイド部材35の−X側に配置されている。ガイド部材37の+Y側の端及び−Y側の端は、所定の固定部材を介して、カウンタマス20の内面に固定されている。
マスクステージ本体27の−X側の端には、ボイスコイルモータ36の可動子として機能する磁石ユニットが配置されている。
本実施形態においては、マスクステージ本体27の−X側の端に設けられた可動子、及びガイド部材37に設けられた固定子によって、マスクステージ本体27をX軸方向に移動可能なムービングマグネット方式のボイスコイルモータ36が形成される。
制御装置3は、ボイスコイルモータ36の固定子のコイルユニットに電流を流すことによって、そのコイルユニットを流れる電流と、可動子の磁石ユニットによって生成される磁界とに基づくX軸方向の電磁力(ローレンツ力)が発生させることができる。制御装置3は、そのローレンツ力の反力によって、マスクステージ1(マスクステージ本体27)をX軸方向に移動し、X軸方向の位置を制御可能である。
このように、マスクステージ1は、第1、第2駆動装置30、31を含むマスクステージ駆動装置17により、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
カウンタマス20は、マスクステージ1を配置可能な開口を有する矩形の枠状の部材であり、マスクステージ1の移動に伴う反力を相殺するために、第2プレート16の上面において移動可能である。カウンタマス20は、マスクステージ1の移動方向とは反対方向に移動することにより、マスクステージ1の移動に伴う反力を相殺する。
次に、図3及び図4を参照して、マスク保持部40について説明する。図3は、本実施形態に係るマスク保持部40の近傍を示す斜視図、図4は、図3の平面図である。
マスク保持部40は、第1部材28に設けられている。露光光ELが通過する第1開口18は、第1部材28のほぼ中央に形成されている。マスク保持部40は、第1開口18の周囲の少なくとも一部に配置されている。
マスク保持部40は、第1開口18の周囲の少なくとも一部に配置された台座41(41A、41B)と、台座41に設けられた吸着パッド42とを有する。本実施形態において、台座41及び吸着パッド42は、第1開口18の周囲の一部に、2つ配置されている。本実施形態において、台座41は、第1開口18に対して+X側に配置された第1の台座41Aと、−X側に配置された第2の台座41Bとを含む。すなわち、本実施形態において、台座41及び吸着パッド42は、第1開口18に対して、X軸方向に関して両側に配置されている。
吸着パッド42は、台座41の上面41Tに設けられている。台座41の上面41Tは、+Z側を向く面である。本実施形態において、台座41の上面41Tは、XY平面とほぼ平行である。また、本実施形態において、台座41の上面41Tは、Y軸方向に長い。
吸着パッド42は、マスクMの下面の少なくとも一部を保持する保持面44を有する。保持面44は、台座41の上面41Tの少なくとも一部を含む。本実施形態において、保持面44は、XY平面とほぼ平行である。
吸着パッド42は、台座41の上面41Tの一部に形成された溝45と、溝45の内側に形成された吸引口46とを有する。溝45は、台座41の上面41Tにおいて環状に形成されている。溝45は、Y軸方向に長い。
保持面44は、台座41の上面41Tのうち、溝45が形成されていない部分を含む。本実施形態において、保持面44は、環状の溝45の外側の第1部分44Aと、内側の第2部分44Bとを含む。
本実施形態において、吸引口46(46A、46B)は、溝45の内側に2つ形成されている。吸引口46は、不図示の流路を介して、真空システムを含む吸引装置に接続されている。吸引口46は、Y軸方向に長い環状の溝45のうち、第1開口18に近い直線部分に配置されている第1の吸引口46Aと、第1開口18から遠い直線部分に配置されている第2の吸引口46Bとを含む。
吸着パッド42は、マスクMの下面の少なくとも一部を吸着するように保持する。吸着パッド42の保持面44と、マスクMの下面の一部とを接触させた状態で、吸引口46に接続されている吸引装置が作動することにより、マスクMの下面と溝45の内面とで囲まれた空間の気体が吸引口46によって吸引され、その空間が負圧になる。これにより、マスクMの下面が保持面44に吸着保持される。マスクステージ1は、保持面44でマスクMを保持しながら移動可能である。また、吸引口46を用いる吸引動作が停止されることによって、マスク保持部40よりマスクMを外すことができる。
本実施形態において、第1部材28は、保持面44の周囲に配置された上面28Tを有する。上面28Tは、第1面43と、第2面50と、第3面150とを含む。第3面150は、第1面43及び第2面50より+Z側に配置されている。第1面43は、+Z側を向く面であり、台座41の保持面44の周囲の少なくとも一部に配置されている。第1面43は、X軸方向に関して、第1開口18の中心に対して保持面44の外側に配置されている。具体的には、第1面43は、台座41Aの保持面44の+X側、及び台座41Bの保持面44の−X側に配置されている。本実施形態において、第1面43は、XY平面とほぼ平行である。第1面43は、保持面44より−Z側に配置され、保持面44より低い。すなわち、台座41は、第1面43より+Z方向に突出している。また、本実施形態において、第1面43は、Y軸方向に長い。Y軸方向に関して、第1面43の外形の大きさと保持面44の外形の大きさとはほぼ同じである。
また、第1部材28は、保持面44の周囲の少なくとも一部に配置された第2面50を有する。第2面50は、+Z側を向く面である。本実施形態において、第2面50は、XY平面とほぼ平行である。第2面50は、第1開口18の中心に対して保持面44の外側に配置されている。本実施形態においては、第2面50の少なくとも一部は、台座41(41A、41B)の保持面44に対して+Y側及び−Y側のそれぞれに配置されている。
第1開口18は、保持面44の周囲の少なくとも一部に配置される。マスクMは、その下面の一部に、パターンが形成されたパターン形成領域を有し、保持面44を含む吸着パッド42は、そのマスクMの下面のうち、パターン形成領域以外の領域を保持する。マスク保持部40は、マスクMのパターン形成領域が第1開口18に配置されるようにマスクMを保持する。マスク保持部40は、マスクMの下面とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。
上面28Tの一部に、XY平面内において第1開口18の中心に対してX軸方向に凹む凹部18Rが形成されている。凹部18Rは、4箇所に形成されている。本実施形態において、凹部18Rは、台座41AのY軸方向両側に配置されるとともに、台座41BのY軸方向両側に配置されている。第2面50の少なくとも一部は、凹部18Rの内側に配置されている。
本実施形態において、少なくとも保持面44は、セラミックス(低膨張セラミックス)で形成されている。本実施形態においては、台座41を含む第1部材28が、セラミックスで形成されている。
次に、図5を参照して、マスク搬送システム6について説明する。図5は、マスク搬送システム6の一例を示す斜視図である。
マスク搬送システム6は、マスクMを支持可能な搬送部材47と、搬送部材47を支持する駆動部材48と、駆動部材48を移動可能なアクチュエータを含む駆動システム49とを備えている。本実施形態において、駆動システム49は、駆動部材48を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。搬送部材47と駆動部材48とは接続されており、搬送部材47と駆動部材48とは一緒に移動する。搬送部材47は、駆動部材48の移動に伴って、駆動部材48と一緒に、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
駆動部材48は、プレート部材48Aと、プレート部材48Aの上面に接続されたロッド部材48Bとを含む。ロッド部材48Bは、駆動システム49に接続されている。ロッド部材48Bの軸とZ軸とはほぼ平行である。
搬送部材47は、プレート部材48Aの下面に接続された第1アーム部材47A及び第2アーム部材47Bを含む。駆動システム49は、ロッド部材48BをθZ方向に回転することによって、プレート部材48A及びそのプレート部材48Aに接続された搬送部材47をθZ方向に回転することができる。
本実施形態において、搬送部材47は、マスクMを支持可能な第1支持部51及び第2支持部52を有する。搬送部材47は、第1支持部51及び第2支持部52のそれぞれで2つのマスクMを同時に支持して搬送可能である。
第1支持部51は、マスクMの下面の4箇所のそれぞれと対向可能な4つの支持面51A〜51Dを含み、マスクMの下面を4箇所で支持する。同様に、第2支持部52は、マスクMの下面の4箇所のそれぞれと対向可能な4つの支持面52A〜52Dを含み、マスクMの下面を4箇所で支持する。
支持面51A〜51Dを含む第1支持部51は、ロッド部材48Bの軸(回転中心)に対してプレート部材48Aの一方側に配置され、支持面52A〜52Dを含む第2支持部52は、他方側に配置されている。
本実施形態において、第1、第2アーム部材47A、47Bのそれぞれは、ロッド部材48Bの軸(回転中心)に対してプレート部材48Aの一方側に配置された第1部分と、他方側に配置された第2部分とを有する。第1支持部51の支持面51A〜51Dは、第1、第2アーム部材47A、47Bの第1部分に配置されている。第2支持部52の支持面52A〜52Dは、第1、第2アーム部材47A、47Bの第2部分に配置されている。
上述のように、駆動部材48は、θZ方向に回転可能である。搬送部材47の第1、第2支持部51、52のそれぞれは、駆動部材48の回転に伴って、マスクMを支持した状態で、θZ方向に回転(旋回)することができる。
次に、マスク保持部40へマスクMを搬入(ロード)する動作、及びマスク保持部40からマスクMを搬出(アンロード)する動作の一例について説明する。
例えば、マスクライブラリ8に収容されている第1のマスクMをマスク保持部40へロードするために、制御装置3は、マスク搬送システム6を用いて、マスクライブラリ8から第1のマスクMを搬出する。マスク搬送システム6は、マスクライブラリ8から搬出した第1のマスクMを、例えば第1支持部51で支持して搬送する。
マスク保持部40へ第1のマスクMをロードするに際し、マスク保持部40に第2のマスクMが保持されている場合、制御装置3は、第1のマスクMをマスク保持部40へロードする前に、第2のマスクMをマスク保持部40からアンロードする動作を実行する。制御装置3は、マスク搬送システム6を用いて、マスク保持部40から第2のマスクMをアンロードする。マスク搬送システム6は、第2支持部52を用いて、マスク保持部40から第2のマスクMをアンロードする。マスク搬送システム6は、マスク保持部40からアンロードした第2のマスクMを、第2支持部52で支持する。
マスク保持部40から第2のマスクMがアンロードされた後、制御装置3は、駆動システム49を用いて、駆動部材48をθZ方向に回転する。駆動部材48の回転に伴って、搬送部材47もθZ方向に回転する。搬送部材47は、第1支持部51で第1のマスクMを支持し、第2支持部52で第2のマスクMを支持した状態で、θZ方向に回転する。制御装置3は、第1支持部51に支持された第1のマスクMがマスク保持部40と対向し、第2支持部52に支持された第2のマスクMがマスク保持部40から離れるように、搬送部材47を回転する。
そして、制御装置3は、駆動システム49を用いて駆動部材48及び搬送部材47の位置制御を行い、搬送部材47の第1支持部51に支持されている第1のマスクMを、マスク保持部40にロードする。マスク保持部40にロードされた第1のマスクMの下面の一部とマスク保持部40の保持面44とが接触する。制御装置3は、吸引口46に接続されている吸引装置を作動する。これにより、第1のマスクMの下面が保持面44に吸着保持され、マスクステージ1は、保持面44でマスクMを保持しながら移動可能である。また、吸引口46を用いる吸引動作が停止されることによって、マスク保持部40より第1のマスクMを外すことができる。
また、マスク保持部40からアンロードされ、マスク搬送システム6の第2支持部52に支持されている第2のマスクMは、そのマスク搬送システム6によって、例えばマスクライブラリ8に搬送される。
次に、マスク保持部40の保持面44のクリーニングに用いられるクリーニング装置60の一例について説明する。図6は、本実施形態に係るクリーニング装置60の一例を示す斜視図、図7は、クリーニング装置60が保持面44のクリーニングを実行している状態を示す斜視図である。
図6及び図7において、クリーニング装置60は、ボディ61と、保持面44をクリーニング可能なクリーニング部材62と、ボディ61に配置され、クリーニング部材62を移動可能な移動機構63とを備えている。クリーニング装置60は、露光装置EXに装着可能である。本実施形態において、クリーニング装置60は、マスクステージ1の第1部材28に装着可能である。クリーニング装置60は、第1部材28に装着された状態で、クリーニング部材62を用いて、保持面44をクリーニングする。
クリーニング部材62は、保持面44と対向して配置可能な下面64を有する。クリーニング部材62の下面64は、XY平面とほぼ平行であり、クリーニング部材62の下面64とマスク保持部40の保持面44とはほぼ平行である。本実施形態において、クリーニング装置60は、2つの保持面44のそれぞれに対応するように、クリーニング部材62を2つ備えている。
クリーニング部材62の下面64は、保持面44と接触可能である。移動機構63により、クリーニング部材62は、保持面44に対して可動である。クリーニング装置60は、クリーニング部材62の下面64とマスク保持部40の保持面44とを接触させた状態で、クリーニング部材62を移動して、保持面44をクリーニングする。
本実施形態において、クリーニング部材62は、砥石を含む。砥石は、多孔質部材(例えば、アルミナ(AL2O3)、白セラミックス、アルカンサスストーン、TiO2、ZrO2、ルビー、アルテック等)を材料としている。本実施形態においては、クリーニング部材62の下面64は、保持面44を研磨可能な研磨面を含む。クリーニング装置60は、クリーニング部材62の下面(研磨面)64とマスク保持部40の保持面44とを接触させた状態で、クリーニング部材62を移動して、保持面44を研磨することによって、その保持面44をクリーニングする。
本実施形態において、ボディ61は、プレート状で、例えばステンレス等の金属で形成されている。ボディ61は、保持面44のクリーニング時に、保持面44の周囲の少なくとも一部に配置された上面28Tに支持される。本実施形態においては、ボディ61は、第1部材28の第2面50に支持される。
本実施形態において、ボディ61は、凹部18Rに対応する凸部61Tを有する。凸部61Tは、XY平面内において、ボディ61の四隅から、ボディ61の中心に対してX軸方向に突出している。凸部61Tは、凹部18Rに配置可能である。
ボディ61は、第2面50に支持される脚部材65を備えている。脚部材65は、ボディ61の下面に配置されている。脚部材65は、ボディ61の下面から−Z方向に突出する凸部材である。脚部材65は、ボディ61の下面に4つ設けられている。本実施形態においては、脚部材65は、4つの凸部61Tの下面のそれぞれに配置されている。
ボディ61の凸部61Tを凹部18Rに配置に配置したとき、脚部材65は、第2面50と接触可能であり、その第2面50に支持される。第1部材28は、第2面50で脚部材65を支持可能である。本実施形態においては、脚部材65は、合成樹脂等、ボディ61より柔らかい材料で形成されている。これにより、第2面50が損傷することが抑制される。
本実施形態において、XY平面内においてボディ61の中心に対して+X側に配置された2つの凸部61T間のY軸方向に関する距離は、台座41A(保持面44)のY軸方向に関する距離とほぼ同じである。また、XY平面内においてボディ61の中心に対して−X側に配置された2つの凸部61T間のY軸方向に関する距離は、台座41B(保持面44)のY軸方向に関する距離とほぼ同じである。また、凸部61T以外のボディ61のX軸方向の大きさは、台座41Aと台座41Bとの間のX軸方向に関する距離とほぼ同じである。すなわち、ボディ61の凸部61Tを凹部18Rに配置して、第2面50で脚部材65を支持したとき、ボディ61の側面と、第1開口18と対向する台座61の側面(第1開口18の内側面)とが接触する。ボディ61の側面と、第1開口18の内側面とが接触することで、マスク保持部40(保持面44)に対して、クリーニング装置60が位置決めされる。
本実施形態においては、第2面50でボディ61(脚部材65)が支持されたとき、ボディ61の上面は、保持面44より低くなる。
移動機構63の少なくとも一部は、ボディ61の上面に配置されている。本実施形態において、移動機構63は、クリーニング部材62を、Y軸方向に移動可能である。移動機構63は、2つのクリーニング部材62を、同時に移動可能である。
移動機構63は、クリーニング部材62を支持する支持部材66と、支持部材66をY軸方向に移動する駆動装置67と、Y軸方向に関する支持部材66の移動をガイドするガイド部材68とを備えている。支持部材66は、2つのクリーニング部材62の下面64のそれぞれが、2つの保持面44のそれぞれと対向して配置可能なように、それら2つのクリーニング部材62を支持する。支持部材66は、クリーニング部材62の上面に接続された第1部材66Aと、第1部材66Aに接続された第2部材66Bとを含む。第2部材66Bは、X軸方向に長い。第1部材66Aは、第2部材66Bの両端のそれぞれに接続されている。
本実施形態において、第1部材66Aは、第2部材66Bに対して、少なくともZ軸方向に移動可能である。これにより、クリーニング部材62の下面64と保持面44とのZ軸方向に関する位置関係、及び下面64とボディ61の上面とのZ軸方向に関する位置関係を調整することができる。また、支持部材66は、第1部材66Aと第2部材66Bとを固定する不図示のロック機構を備えている。ロック機構を解除した状態で、第2部材66Bに対して第1部材66Aを移動して、第1部材66A及びその第1部材66Aに接続されているクリーニング部材62の位置を調整し、その後、ロック機構を用いて、第1部材66Aと第2部材66Bとを固定することによって、第2部材66B対して第1部材66Aを位置決めすることができる。
なお、第2部材66Bに対して第1部材66AをZ軸方向に移動可能な駆動装置を設けることができる。駆動装置は、クリーニング部材64と保持面44とのZ軸方向に関する位置関係を調整することができ、Z軸方向に関してクリーニング部材64と保持面44との間に発生する力を調整することができる。
駆動装置67は、回転モータ69と、回転モータ69の回転運動を直線運動に変換する送りねじ機構70とを有する。送りねじ機構70は、例えばボールねじを含み、Y軸方向に長いねじ軸71と、ねじ軸71の回転によってY軸方向に移動するナット72とを含む。ねじ軸71は、回転モータ69に接続されており、回転モータ69の作動によって回転する。ねじ軸71が回転することによって、ナット72が、ねじ軸71に沿ってY軸方向へ移動する。
本実施形態において、駆動装置67のナット72と支持部材66の第2部材66Bとが接続されている。したがって、回転モータ69の作動により、ナット72がY軸方向へ移動することによって、ナット72に接続されている支持部材66がY軸方向へ移動し、その支持部材66のY軸方向の移動に伴って、支持部材66に支持されている2つのクリーニング部材62も、Y軸方向へ移動する。
ガイド部材68は、Y軸方向に長い部材であり、ボディ61の上面に配置されている。移動機構63は、ガイド部材68に沿って移動可能なスライド部材73を備えている。スライド部材73は、接続部材74を介して、支持部材66の第2部材66Bに接続されている。ガイド部材68は、スライド部材73の移動をガイドすることによって、そのスライド部材73に接続されている支持部材66及びその支持部材66に支持されているクリーニング部材62のY軸方向に関する移動をガイドする。
また、本実施形態において、クリーニング装置60は、クリーニング部材62の下面64に配置された吸引口75と、吸引口75から吸引された異物を回収する回収機構76とを備えている。回収機構76は、ハウジング76Hと、そのハウジング76Hの内部に配置された真空システム等の吸引装置と、吸引された異物を回収するフィルタユニットとを含む。また、吸引口75と回収機構76とは、流路77を介して接続されている。流路77は、支持部材66の内部に形成されている。回収機構76は、吸引装置を用いる吸引動作によって、吸引口75から異物を吸引し、その異物を回収可能である。なお、吸引装置(真空システム)として、例えば露光装置EXが配置されている工場等の設備を利用してもよい。その場合、その設備として配置されている吸引装置と、クリーニング装置60の回収機構76(ハウジング76H)とが、チューブ等を介して接続される。
図8は、クリーニング部材62の一例を示す断面図である。図8に示すように、本実施形態のクリーニング部材62は、内部空間62Hを有する。クリーニング部材62の下面64には、吸引口75が形成されている。吸引口75は、内部空間62Hと接続される。また、クリーニング部材62の上面には、支持部材66(第1部材66A)の内部に形成された流路77と接続される開口78が形成されている。内部空間62Hと流路77とは、開口78を介して接続されている。回収機構76を用いる吸引動作が実行されることによって、クリーニング部材62の下面64と保持面44との間の異物が、吸引口75によって吸引され、内部空間62H、開口78及び流路77を通過して、回収機構76に回収される。
図8に示すように、本実施形態において、第1部材66Aの少なくとも一部に、クリーニング部材62を揺動可能に支持する揺動機構79が設けられている。揺動機構79は、例えば弾性体を含む支持機構、ヒンジ機構、あるいは弾性体とヒンジ機構とを有する弾性ヒンジ機構等を含む。揺動機構79によって、クリーニング部材62の下面64は、Z軸、θX及びθY方向に移動可能である。これにより、例えばクリーニング部材62の下面64と保持面44とを接触させた状態で、クリーニング部材62を移動したときに、下面64と保持面44との間に発生する力の一部を吸収し、下面64及び保持面44の少なくとも一方に過剰な力が作用することを抑制することができる。
また、図7に示すように、本実施形態において、クリーニング装置60は、少なくともクリーニング部材62が配置される空間82を形成するカバー部材80を備えている。カバー部材80は、ボディ61との間で空間82を形成可能である。空間82には、移動機構63も配置される。また、クリーニング装置60は、空間82の流体を吸引する吸引機構81を備えている。吸引機構81は、真空システムを含み、空間82の気体及び空間82の内側の異物を吸引可能である。なお、吸引機構81として、例えば露光装置EXが配置されている工場等の設備を利用してもよい。その場合、その設備として配置されている吸引機構とカバー部材80(空間82)とがチューブ等を介して接続される。
次に、クリーニング装置60を用いる保持面44のクリーニング方法の一例について説明する。
保持面44をクリーニングするために、クリーニング装置60がマスクステージ1に装着される。本実施形態において、マスク搬送システム6は、クリーニング装置60を搬送可能であり、そのマスク搬送システム6によって、クリーニング装置60がマスクステージ1に装着される。クリーニング装置60をマスクステージ1に装着する際、制御装置3は、マスクステージ1を、露光光ELの光路から離れた位置、例えばマスク交換位置(ローディングポジション)に移動する。
また、クリーニング装置60がマスクステージ1に装着され、そのクリーニング装置60を用いる保持面44のクリーニング動作が開始される前に、マスクステージ1に対する動力の供給が停止される。動力は、マスクステージ駆動装置17を駆動するための動力(電力)、第2プレート16の上面にマスクステージ1を非接触で支持させるためにガスベアリングに供給されるガス等を含む。
マスクステージ1は、クリーニング装置60を支持可能な第2面50を備えており、クリーニング装置60のボディ61が、第2面50に支持される。また、ボディ61の側面と、第1開口18の内側面とが接触し、保持面44に対して、クリーニング装置60が位置決めされる。これにより、クリーニング部材62が、保持面44と対向する位置に配置され、クリーニング部材62の下面64と保持面44とが接触する。
クリーニング装置60は、クリーニング部材62の下面64と保持面44とを接触させた状態で、移動機構63の回転モータ69を作動させる。これにより、保持面44のクリーニング時に、移動機構63によってクリーニング部材62がY軸方向へ移動される。クリーニング部材62の下面64と保持面44とが接触した状態で、クリーニング部材62がY軸方向へ移動することによって、保持面44はクリーニング部材62に研磨され、クリーニングされる。
本実施形態においては、X軸方向に関して、クリーニング部材62の下面64の大きさは、保持面44の外形の大きさとほぼ同じ、若しくは保持面44の外形の大きさより大きい。また、Y軸方向に関して、クリーニング部材62の下面64の大きさは、保持面44の外形の大きさより小さい。クリーニング装置60は、下面64と保持面44とを接触させた状態で、移動機構63を用いてクリーニング部材62をY軸方向に移動して、保持面44のほぼ全域をクリーニングする。
また、少なくとも保持面44をクリーニングしている間、換言すれば、少なくとも保持面44に対してクリーニング部材62を移動している間、クリーニング装置60は、吸引口75を用いる吸引動作を実行する。クリーニング部材62を用いる保持面44のクリーニング動作(研磨動作)によって、異物が発生する可能性がある。発生した異物は、吸引口75によって吸引され、回収機構76に回収される。これにより、保持面44に異物が残留したり、保持面44の周囲に異物が飛散したりすることを抑制することができる。
また、少なくとも保持面44に対してクリーニング部材62を移動している間、クリーニング装置60は、吸引機構81を用いる吸引動作を実行する。これにより、例えばクリーニング部材62を用いる保持面44のクリーニング動作(研磨動作)によって発生した異物を、吸引機構81によって回収することができる。また、移動機構63が異物を発生する可能性がある場合でも、吸引機構81によってその異物を回収することができる。したがって、異物が残留したり、異物が飛散したりすることを抑制することができる。
クリーニング装置60を用いる保持面44のクリーニング動作が終了した後、そのクリーニング装置60がマスクステージ1から外される。その後、そのクリーニングされた保持面44にマスクMが保持される。制御装置3は、そのマスクMを用いる基板Pの露光動作を開始する。基板Pの露光動作が開始される前に、マスクステージ1に対する動力の供給が再開される。制御装置3は、クリーニングされた保持面44に保持されたマスクMを露光光ELで照明し、そのマスクMからの露光光ELで基板Pを露光する。
以上説明したように、本実施形態によれば、クリーニング装置60を用いて、マスク保持部40の保持面44を良好にクリーニングすることができる。例えば異物が存在する状態の保持面44でマスクMを保持した場合、例えばマスクMの平面度が低下する可能性がある。その結果、露光不良が発生し、不良デバイスが発生する可能性がある。本実施形態によれば、マスクMを保持する保持面44を良好にクリーニングすることができるので、その保持面44でマスクMを良好に保持することができる。したがって、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
また、本実施形態によれば、クリーニング装置60によって、クリーニングの質を維持することができ、保持面44のクリーン度を維持することができる。
また、本実施形態によれば、クリーニング装置60を用いて保持面44を効率良くクリーニングすることができ、クリーニング作業に伴う露光装置EXの稼動率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態において、露光装置EXがクリーニング装置60を含む構成とすることができる。例えば、露光装置EXの制御装置3が、クリーニング装置60の動作を制御してもよい。例えば、制御装置3とクリーニング装置60の駆動装置67とをケーブルで接続し、制御装置3がケーブルを介して駆動装置67に制御信号を出力することができる。また、制御装置3とクリーニング装置60の回収機構76とをケーブルで接続し、制御装置3がケーブルを介して回収機構76に制御信号を出力することができる。また、制御装置3とクリーニング装置60との通信を、無線で実行することもできる。例えば、クリーニング装置60に無線信号を受信可能な受信装置を設けることによって、制御装置3に接続された、無線信号を送信可能な送信装置から、クリーニング装置60の受信装置に、無線で制御信号を送信することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9及び図10は、第2実施形態に係るクリーニング装置90の一例を示す斜視図である。第2実施形態に係るクリーニング装置90は、第1クリーニング部材93をマスク保持部40の保持面44と接触させた状態で移動可能な第1移動機構95を有する第1ユニット91と、第1クリーニング部材93と異なる第2クリーニング部材94を保持面44と接触させた状態で移動可能な第2移動機構96を有する第2ユニット92とを備えている。第2ユニット92は、第1ユニット91に対して着脱可能である。図9は、第1ユニット91のみを示す斜視図であり、図10は、第1ユニット91に第2ユニット92が装着された状態を示す斜視図である。
本実施形態において、第1クリーニング部材93は、無塵布である。第2クリーニング部材94は、砥石である。本実施形態においては、第1クリーニング部材93と保持面94とを接触させ、その第1クリーニング部材93を用いるクリーニング動作を実行した後、第2クリーニング部材94と保持面44とを接触させ、その第2クリーニング部材94を用いるクリーニング動作が実行される。
第1ユニット91は、ボディ97と、第1クリーニング部材93を保持可能な保持機構98とを備えている。本実施形態において、第1ユニット91は、2つの保持面44のそれぞれに対応するように、第1クリーニング部材93を保持可能な保持機構98を2つ備えている。第1移動機構95は、ボディ97に配置されている。
第1移動機構95は、第1クリーニング部材93を保持する保持機構98をY軸方向に移動可能である。第1移動機構95は、第1クリーニング部材93をそれぞれ保持する2つの保持機構98を同時に移動可能である。
第1移動機構95は、保持機構98を支持する支持部材99と、支持部材99をY軸方向に移動する駆動装置100と、Y軸方向に関する支持部材99の移動をガイドするガイド部材101とを備えている。支持部材99は、X軸方向に長い。保持機構98は、支持部材99の両端のそれぞれに接続されている。支持部材99は、2つの保持機構98に保持された第1クリーニング部材93のそれぞれが、2つの保持面44のそれぞれと対向して配置可能なように、それら2つの保持機構98を支持する。
また、本実施形態において、第1ユニット91は、ボディ97に対して、支持部材99を少なくともZ軸方向に移動可能に支持する支持機構99Sを備えている。支持機構99Sは、Z軸方向に関して、保持機構98に保持された第1クリーニング部材93と保持面44との位置関係を調整することができ、保持機構98に保持された第1クリーニング部材93と保持面44との間に発生する力を調整することができる。
駆動装置100は、上述の第1実施形態で説明した駆動装置67と同様、回転モータと、回転モータの回転運動を直線運動に変換する送りねじ機構102とを有する。送りねじ機構102は、ねじ軸103及びナット104を含み、回転モータの作動によってねじ軸103が回転することによって、ナット104がねじ軸103に沿ってY軸方向へ移動する。駆動装置100のナット104と支持部材99とは接続されており、回転モータの作動により、支持部材99に支持されている2つの保持機構98及びその保持機構98に保持されている第1クリーニング部材93がY軸方向へ移動する。
第1移動機構95は、ガイド部材101に沿って移動可能なスライド部材105を備えている。スライド部材105は、接続部材106を介して、支持部材99に接続されている。ガイド部材101は、スライド部材105の移動をガイドすることによって、支持部材99及び第1クリーニング部材93を保持する保持機構98のY軸方向に関する移動をガイドする。
図11は、保持機構98を示す斜視図、図12は、側断面図である。図11及び図12において、保持機構98は、保持部材107と、保持部材107に設けられ、第1クリーニング部材93の少なくとも一部を配置可能なスリット108、109を有するスリット部材160と、保持部材107との間で第1クリーニング部材93の一部を挟むことができる板ばね110とを備えている。
保持部材107は、保持面44と対向して配置可能な第1下面111及び第2下面112を有する。第2下面112は、第1下面111と隣り合う位置に配置されている。本実施形態において、第2下面112は、第1下面111の−Y側に配置されている。本実施形態において、第1下面111の少なくとも一部は、XY平面とほぼ平行であり、保持面44とほぼ平行である。第2下面112の少なくとも一部は、XY平面とほぼ平行であり、保持面44とほぼ平行である。
本実施形態において、X軸方向に関する第1下面111及び第2下面112の大きさは、保持面44の外形の大きさより大きい。
第1下面111は、第2下面112より−Z側に配置されている。第1、第2下面111、112と保持面44とが対向して配置されたとき、第1下面111と保持面44との距離のほうが、第2下面112と保持面44との距離より小さい。
第1クリーニング部材93は、第1下面111を覆うようにスリット108、109に配置されるとともに、板ばね110によって支持される。
第1下面111を覆う第1クリーニング部材93は、保持面44と接触可能である。少なくとも第1下面111を覆う第1クリーニング部材93と保持面44とが接触している状態において、第2下面112は、保持面44と接触しないように配置されており、保持面44との間に所定のギャップを形成する。第1移動機構95により、保持機構98に保持された第1クリーニング部材93は、保持面44に対して可動である。第1ユニット91は、保持機構98に保持された第1クリーニング部材93とマスク保持部40の保持面44とを接触させた状態で、保持機構98を移動して、保持面44をクリーニングする。
また、第1ユニット91は、第1クリーニング部材93と隣り合い、保持面44と対向する位置に吸引口113を備える。本実施形態おいて、吸引口113は、第2下面112に配置されている。また、第1ユニット91は、吸引口113から吸引された異物を回収する回収機構114を備えている。回収機構114は、真空システム等の吸引装置、及び吸引された異物を回収するフィルタユニットを含む。吸引口113と回収機構114とは、流路115を介して接続されている。流路115は、保持部材107の内部に形成された内部流路及び回収機構114と保持部材107の内部流路とを接続するチューブによって形成された流路を含む。回収機構114は、吸引装置を用いる吸引動作によって、吸引口113から異物を吸引し、その異物を回収可能である。なお、吸引装置(真空システム)として、例えば露光装置EXが配置されている工場等の設備を利用してもよい。その場合、その設備として配置されている吸引装置と、第1ユニット91の流路115とが、チューブ等を介して接続される。
本実施形態において、吸引口113は、X軸方向に長いスリット状である。X軸方向に関する吸引口113の大きさは、保持面44の外形の大きさより大きい。なお、吸引口113は長いスリット状に限られるものでなく、例えば複数の開口をX軸方向に並べて形成しても良い。この場合、開口の形状は円形、矩形など任意で構わない。
図13は、第1ユニット91が露光装置EXに装着された状態を示す図である。本実施形態において、第1ユニット91は、マスクステージ1の第1部材28に装着可能である。
第1ユニット91のボディ97は、第1部材28の第2面50に支持される。図9及び図13に示すように、ボディ97は、第1部材28の凹部18Rに対応する凸部97Tを有する。凸部97Tは、凹部18Rに配置可能である。本実施形態においては、第2面50でボディ97が支持されたとき、凸部97Tの上面は、保持面44より低くなる。
本実施形態において、XY平面内においてボディ97の中心に対して+X側に配置された2つの凸部97T間のY軸方向に関する距離は、台座41A(保持面44)のY軸方向に関する距離とほぼ同じである。また、XY平面内においてボディ97の中心に対して−X側に配置された2つの凸部97T間のY軸方向に関する距離は、台座41B(保持面44)のY軸方向に関する距離とほぼ同じである。これにより、第2面50でボディ97を支持したとき、ボディ97の凸部97Tの側面と、台座61の+Y側及び−Y側の内側面とが接触する。
本実施形態において、凸部97T以外のボディ97のX軸方向の大きさは、台座41Aと台座41Bとの間のX軸方向に関する距離より小さい。
第1ユニット91は、保持面44の周囲の少なくとも一部に配置可能で、異物を捕捉するトラップ部材116(116A、116B)を備えている。トラップ部材116は、プレート状の部材である。トラップ部材116は、XY平面内においてボディ97の中心に対して+X側に配置される第1トラップ部材116Aと、−X側に配置される第2トラップ部材116Bとを含む。
図14は、第1ユニット91を模式的に示す正面図である。トラップ部材116は、第1ユニット91のボディ97に支持されている。ボディ97は、トラップ部材116を支持する支持機構117を有し、トラップ部材116は、ボディ97の支持機構117に支持されている。本実施形態において、支持機構117及びその支持機構117に支持されるトラップ部材116は、ボディ97の−Z側(下面側)に配置されている。トラップ部材116の上面の少なくとも一部は、ボディ97の下面と対向して配置される。本実施形態において、支持機構117は、トラップ部材116を、X軸方向に移動可能に支持する。
支持機構117は、トラップ部材116を、X軸方向に関して、ボディ97の中心に対して離れる方向に付勢する付勢部材118を含む。付勢部材118は、例えばコイルばねを含む。付勢部材118を含む支持機構117によって、第1トラップ部材116Aは、+X方向に付勢され、第2トラップ部材116Bは、−X方向に付勢される。
図15は、マスクステージ1の第1部材28に装着された第1ユニット91を模式的に示す平面図である。第2面50でボディ97を支持したとき、ボディ97の少なくとも一部及びトラップ部材116が、第1開口18に配置される。上述のように、第1トラップ部材116Aは、+X方向に付勢され、第2トラップ部材116Bは、−X方向に付勢されている。すなわち、付勢部材118を含む支持機構117によって、第1、第2トラップ部材116A、116Bは、第1開口18の内側面に付勢されている。したがって、第1開口18の内側に配置され、第1開口18の内側面に付勢されている第1、第2トラップ部材116A、116Bの側面と、第1開口18の内側面とが接触する。また、ボディ97が第2面50に支持されると、ボディ97の凸部97Tの側面と、台座61の+Y側及び−Y側の内側面とが接触する。これにより、マスク保持部40(保持面44)に対して第1ユニット91が位置決めされるとともに、ボディ97及びトラップ部材116によって、第1開口18が塞がれる。本実施形態においては、第1部材28に装着された第1ユニット91のトラップ部材116の上面は、保持面44より低くなる。
なお、第1ユニット91を第1部材28に装着する際、例えば図16の模式図に示すように、付勢部材118の力に逆らって、ボディ97の中心にトラップ部材116を近付けるように移動した状態で、第1ユニット91を第1部材28に装着する。これにより、第1開口18の内側に、トラップ部材116を円滑に配置することができる。本実施形態においては、トラップ部材116の上面にハンドル部材119が接続されているので、そのハンドル部材119部材を用いて、トラップ部材116を移動することができる。
次に、クリーニング装置90の第1ユニット91を用いる保持面44のクリーニング方法の一例について説明する。
保持面44をクリーニングするために、第1ユニット91がマスクステージ1に装着される。第2面50にボディ97が支持されると、第1開口18がボディ97及びトラップ部材116で塞がれ、保持面44に対して第1ユニット91が位置決めされる。これにより、トラップ部材116が保持面44の周囲の少なくとも一部に配置されるとともに、保持機構98に保持されている第1クリーニング部材93が、保持面44と対向する位置に配置され、第1クリーニング部材93と保持面44とが接触する。
第1ユニット91は、第1クリーニング部材93と保持面44とを接触させた状態で、第1移動機構95の駆動装置100を作動させる。これにより、第1移動機構95によって、保持機構98に保持されている第1クリーニング部材93がY軸方向へ移動される。第1クリーニング部材93を保持面44と接触させつつY軸方向に移動することによって、保持面44はクリーニングされる。
また、少なくとも保持面44に対して第1クリーニング部材93を移動している間、第1ユニット91は、吸引口113を用いる吸引動作を実行する。これにより、保持面44の異物を、吸引口113を介して回収することができる。本実施形態においては、第1ユニット91は、Y軸方向に関して一方向に移動する第1クリーニング部材93の前方に吸引口113が配置されるように、第1移動機構95を制御する。
本実施形態において、吸引口113は、第1クリーニング部材93の−Y側に配置されている。第1ユニット91は、第1クリーニング部材93を、保持面44に対して−Y方向に移動させる。これにより、吸引口113は、移動する第1クリーニング部材97の前方側に配置される。
図17は、第1ユニット91を用いるクリーニング動作の一例を示す模式図である。図17に示すように、第1クリーニング部材93は、保持面44に対して−Y方向へ移動し、吸引口113は、移動する第1クリーニング部材93の前方に配置されている。これにより、吸引口113を用いる吸引動作が実行された後の保持面44に、第1クリーニング部材93が接触した状態で移動することとなる。換言すれば、保持面44は、吸引口113を用いる吸引動作を実行された後、第1クリーニング部材93を用いる払拭動作(ワイプ動作)を実行される。これにより、第1ユニット91は、保持面44を良好にクリーニングすることができる。また、吸引口113を用いる吸引動作によって、溝45の異物も吸引し、除去することができる。
なお、保持面44と接触する第1クリーニング部材(無塵布)93が汚れた場合、例えば第1クリーニング部材93の一端を引っ張ることで、汚れた部分をずらして第1クリーニング部材93の未使用の部分を保持面44に接触させるように第1クリーニング部材93を巻き取り可能に構成しても良い。また、本実施形態では第1クリーニング部材93と吸引口113とを用いて保持面44のクリーニングを行うものとしたが、例えば第1クリーニング部材93を設けず吸引口113のみで保持面44のクリーニングを行っても良い。この場合、吸引口113を保持面44に接触させながら移動して保持面44のクリーニングを行っても良い。
また、本実施形態においては、第1開口18にトラップ部材116が配置されているので、異物が第1開口18に入り込んだり、第1開口18を介して落下したりすることを抑制することができる。
また、図18の模式図に示すように、本実施形態においては、保持面44と交差するZ軸方向に関して、保持面44とその保持面44の周囲の一部に配置された第1面43との距離H1と、保持面44より低い位置(−Z側の位置)に配置されたトラップ部材116の上面と保持面44との距離H2とは、ほぼ等しい。本実施形態において、距離H1、H2は、例えば0.1mm〜1.0mm、好ましくは約0.3mmである。また、X軸方向に関して、第2下面112及びその第2下面112に設けられている吸引口113の大きさは、保持面44の外形の大きさより大きい。そのため、例えば第1面43あるいはトラップ部材116の上面に異物が存在する場合でも、第1ユニット91は、吸引口113を用いる吸引動作を実行することによって、第1面43及びトラップ部材116の上面の異物を吸引し、回収することができる。
第1ユニット91を用いるクリーニング動作を実行した後、必要に応じて、第2ユニット92を用いるクリーニング動作が実行される。第2ユニット92の第2クリーニング部材94は砥石であり、例えば第1クリーニング部材93を用いるワイプ動作によって除去しきれなかった保持面44の異物を、第2クリーニング部材94を用いる研磨動作によって除去することができる。以下、第2ユニット92について説明する。
図19は、本実施形態に係る第2ユニット92の一例を示す斜視図、図20は、第2ユニット92の一部の透過して示した斜視図である。第2ユニット92は、第2クリーニング部材94と、第2クリーニング部材94を保持面44と接触させた状態で移動可能な第2移動機構96とを有する。
第2クリーニング部材94は、保持面44と対向して配置可能な下面120を有する。下面120は、XY平面とほぼ平行であり、下面120と保持面44とはほぼ平行である。本実施形態において、第2ユニット92は、2つの保持面44のそれぞれに対応するように、第2クリーニング部材94を2つ備えている。
第2移動機構96は、第2クリーニング部材94を支持する支持部材121を含み、2つの第2クリーニング部材94を、Y軸方向へ同時に移動可能である。支持部材121は、2つの第2クリーニング部材94の下面120のそれぞれが、2つの保持面44のそれぞれと対向して配置可能なように、それら2つの第2クリーニング部材94を支持する。
また、本実施形態においては、第2移動機構96の一部が、第1ユニット91のボディ97に配置されている。図9等に示すように、ボディ97には、支持部材121をY軸方向に移動可能な駆動装置122と、Y軸方向に関する支持部材121の移動をガイドするガイド部材123とが配置されている。
第2クリーニング部材94は、砥石を含み、下面120は、保持面44を研磨可能な研磨面を含む。第2移動機構96により、第2クリーニング部材94は、保持面44に対して可動である。第2ユニット92は、第2クリーニング部材94の下面120とマスク保持部40の保持面44とを接触させた状態で、第2クリーニング部材94を移動して、保持面44を研磨することによって、その保持面44をクリーニングする。
図20に示すように、第2ユニット92は、第2クリーニング部材94の下面120に配置された吸引口124と、吸引口124から吸引された異物を回収する回収機構127とを備えている。回収機構127は、真空システム等の吸引装置と、吸引された異物を回収するフィルタユニットとを含む。
第2クリーニング部材94は、内部空間94Hを有する。下面120に形成されている吸引口124は、内部空間94Hと接続される。また、第2クリーニング部材94の上面には、支持部材121の内部に形成された流路125と接続される開口126が形成されている。内部空間94Hと流路125とは、開口126を介して接続されている。流路125は、回収機構127と接続されている。
回収機構127は、吸引装置を用いる吸引動作によって、吸引口124から異物を吸引し、その異物を回収可能である。回収機構127を用いる吸引動作が実行されることによって、第2クリーニング部材94の下面120と保持面44との間の異物が、吸引口124を介して吸引され、内部空間94H、開口126及び流路125を通過して、回収機構121に回収される。なお、吸引装置(真空システム)として、例えば露光装置EXが配置されている工場等の設備を利用してもよい。その場合、その設備として配置されている吸引装置と、流路125とが、チューブ等を介して接続される。
また、本実施形態においては、第2ユニット92は、第2クリーニング部材94の下面120に溝128を有する。溝128は、下面120に複数形成されている。溝128のそれぞれは、X軸方向に長い。なお、溝128の深さ及び/又は幅を最適化して各溝128の吸引力をほぼ均等にしても良い。
図21は、第2クリーニング部材94の下面120を示す図である。本実施形態において、下面120は、Y軸方向に長い。本実施形態において、下面120は、研磨パッド42の凹部である溝45より大きく、溝45の全てを覆うことができる大きさを有する。なお、図21には、下面120と研磨パッド42との関係を分かりやすくするために、研磨パッド42も合わせて図示してある。
上述のように、研磨パッド42の溝45は、Y軸方向に長く、第2クリーニング部材94の下面120も、Y軸方向に長い。本実施形態において、下面120は、研磨パッド42(保持面44)より大きく、研磨パッド42(保持面44)の全てを覆うことができる大きさを有する。
吸引口124は、Y軸方向に関して下面120のほぼ中央に配置されている。本実施形態において、吸引口124は、2つである。2つの吸引口124は、X軸方向に沿って配置されている。
溝128のそれぞれは、X軸方向に長く、Y軸方向に関して下面120の複数の位置に形成されている。本実施形態において、Y軸方向に関して、下面120の吸引口124に対して一方の領域(図21では−Y側の領域)に形成されている溝128のパターンと、他方の領域(図21では+Y側の領域)に形成されている溝128のパターンとは異なる。
一方の領域の溝128のX軸方向の大きさ(長さ)は、下面120のX軸方向の大きさとほぼ同じである。一方の領域においては、溝128は、下面120の+X側の端及び−X側の端のそれぞれまで形成される。
他方の領域の溝128のX軸方向の大きさ(長さ)は、下面120のX軸方向の大きさより小さい(短い)。他方の領域においては、下面120の+X側の端まで形成された溝128と、−X側の端まで形成された溝128とが、Y軸方向に関して交互に配置されている。
なお、下面120の全部の領域を、図21に示す−Y側の領域に形成されている溝128のパターンとしてもよいし、図21に示す+Y側の領域に形成されている溝128のパターンとしてもよい。
次に、クリーニング装置90の第2ユニット92を用いる保持面44のクリーニング方法の一例について説明する。
第2ユニット92で保持面44をクリーニングするために、マスクステージ1(第1部材28)の第2面50に支持されている第1ユニット91に、第2ユニット92が接続される。第2ユニット92は、第2面50に支持されている第1ユニット91に対して着脱可能である。第2ユニット92で保持面44をクリーニングするために、その第2面50に支持される第1ユニット91に対して第2ユニット92が装着される。
図22は、第1部材28に装着されている第1ユニット91に第2ユニット92が接続された状態を示す図である。本実施形態においては、例えば図9に示すように、第1ユニット91に、駆動装置122、ガイド部材123及びそのガイド部材123に沿って移動可能なスライド部材129が配置されている。駆動装置122は、回転モータ130と、回転モータ130の回転運動を直線運動に変換する送りねじ機構131とを有する。送りねじ機構131は、Y軸方向に長いねじ軸132と、ねじ軸132の回転によってY軸方向に移動するナット133とを含む。ねじ軸132は、回転モータ130に接続されており、回転モータ130の作動によって回転する。回転モータ130の作動によってねじ軸132が回転することによって、ナット133が、ねじ軸132に沿ってY軸方向へ移動する。本実施形態においては、ナット133とスライド部材129とは接続されており、ナット133とスライド部材129とは一緒に移動する。
本実施形態においては、駆動装置122のナット133と支持部材121とが連結可能である。本実施形態においては、支持部材121の下面にナット133の少なくとも一部を配置可能な凹部(係合部)が形成されており、その凹部とナット133とを嵌め合わせることによって、ナット133と支持部材121とが連結される。なお、支持部材121と駆動装置122の少なくとも一部とが連結可能であれば、連結機構として任意の構成を採用できる。
また、第1ユニット91に対して支持部材121をZ軸方向に移動可能な駆動装置を設けることができる。駆動装置は、Z軸方向に関して、第2クリーニング部材94と保持面44との位置関係を調整することができ、第2クリーニング部材94と保持面44との間に発生する力を調整することができる。
支持部材121と駆動装置122の少なくとも一部とが連結され、その駆動装置122を作動することによって、支持部材121はY軸方向に移動可能となる。したがって、支持部材121に支持されている第2クリーニング部材94も、保持面44に対してY軸方向に移動可能となる。
なお、支持部材121と駆動装置122の少なくとも一部とを連結する際、その連結動作を妨げない位置に、第1ユニット91の支持部材99が配置される。
図22に示すように、支持部材121と駆動装置122の少なくとも一部とが連結されることによって、2つの第2クリーニング部材94の下面120のそれぞれが、2つの保持面44のそれぞれと対向して配置され、第2クリーニング部材94の下面120と保持面44とが接触する。
クリーニング装置90は、第2クリーニング部材94の下面120と保持面44とを接触させた状態で、第2移動機構96の回転モータ130を作動し、第2クリーニング部材94の下面120と保持面44とを接触させた状態で、第2クリーニング部材94をY軸方向に移動して、保持面44をクリーニングする。
図23は、第2ユニット92の動作の一例を模式的に示す平面図である。本実施形態においては、第2クリーニング部材94の下面120は、保持面44より大きい。クリーニング装置90は、下面120と保持面44とを接触させた状態で、第2クリーニング部材94をY軸方向に僅かに移動するだけで、保持面44のほぼ全域をクリーニングすることができる。本実施形態においては、第2ユニット92は、第2クリーニング部材94の下面120を保持面44の少なくとも一部と対向させた状態でをY軸方向に関して往復させて、保持面44をクリーニングする。具体的には、第2ユニット92は、溝45及び保持面44が全て第2クリーニング部材94の下面120で覆われる状態と、図23(A)に示すような溝45及び保持面44の−Y側の一部が露出される状態と、図23(B)に示すような溝45及び保持面44の+Y側の一部が露出される状態とで変化するように、第2クリーニング部材94をY軸方向に往復させる。
また、本実施形態においては、第2クリーニング部材94は、X軸方向に長い溝128を下面120に有し、保持面44に対してY軸方向に移動する。これにより、例えば保持面44に付着している異物を、溝128のエッジで掻き取って除去することができ、第2クリーニング部材94は、保持面44を良好にクリーニングすることができる。
また、少なくとも保持面44を第2クリーニング部材94でクリーニングしている間、換言すれば、少なくとも保持面44に対して第2クリーニング部材94を移動している間、クリーニング装置90は、吸引口124を用いる吸引動作を実行する。これにより、異物は、吸引口124より吸引され、回収機構127に回収される。
また、第2クリーニング部材94の下面120の溝128は、下面120の+X側及び−X側の端まで形成されている。したがって、図24に示すように、溝45及び保持面44が全て第2クリーニング部材94の下面120で覆われても、保持面44の溝45は、下面120の溝128によって、大気開放されている。したがって、図24に示す状態で、吸引口124を用いる吸引動作を実行することによって、第2クリーニング部材94の周囲の気体は、下面120の溝128を介して保持面44の溝45に流れ込み、吸引口124に向かって流れる。すなわち、吸引口124を用いる吸引動作によって、保持面44の溝45に気流が生成される。気流が生成されることによって、例えば保持面44の溝45に異物が存在しても、溝45に生成される気流によって、その異物は吸引口124に移送され、吸引口124より回収される。特に、溝45に生成される気流を乱流とすることによって、溝45の異物を良好に回収することができる。
また、図25に示すように、溝45及び保持面44の−Y側の一部が露出される状態では、その露出された溝45から気体が流れ込み、吸引口124に向かって流れる。また、図26に示すように、溝45及び保持面44の+Y側の一部が露出される状態では、その露出された溝45から気体が流れ込み、吸引口124に向かって流れる。このように、溝45が全て第2クリーニング部材94の下面120で覆われる状態と、溝45の一部が露出される状態との一方から他方へ変化するように、第2クリーニング部材94が移動することによって、溝45に生成される気流の方向を変化させたり、溝45に乱流を発生させたりすることができる可能性が高くなる。これにより、溝45の異物を吸引口124より良好に回収することができる。
例えば、図24に示す状態では、保持面44の溝45を大気開放している下面120の溝128は細いため、溝128及び溝45を流れる気体の速度(流速)は、高くなる可能性がある。また、図24に示す状態から、図25及び図26の少なくとも一方に示す状態に変化させることによって、露出した部分の溝45から急激に気体が流れ込む可能性が高くなる。また、図25に示す状態と図26に示す状態とでは、溝45を流れる気体の方向が変化する可能性が高くなる。これにより、乱流の発生の可能性が高くなる。したがって、保持面44の溝45の異物を良好に回収することができる。
また、図27の模式図に示すように、第2ユニット92を用いるクリーニング中にも、第1開口18にトラップ部材116が配置されているので、異物が第1開口18に入り込んだり、第1開口18を介して落下したりすることを抑制することができる。また、例えば第1面43あるいはトラップ部材116の上面に異物が存在する場合でも、第2ユニット92は、吸引口124を用いる吸引動作を実行することによって、第1面43及びトラップ部材116の上面の異物を吸引し、回収することができる。
クリーニング装置90を用いる保持面44のクリーニングが終了した後、そのクリーニング装置90がマスクステージ1から外される。その後、そのクリーニングされた保持面44にマスクMが保持され、制御装置3は、そのマスクMを用いる基板Pの露光動作を開始する。
以上説明したように、本実施形態によれば、クリーニング装置90を用いて、マスク保持部40の保持面44を良好にクリーニングすることができる。したがって、保持面44でマスクMを良好に保持することができる。したがって、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
なお、本実施形態においては、第1ユニット91及び第2ユニット92の両方を用いて保持面44をクリーニングする場合を例にして説明したが、もちろん、第1ユニット91及び第2ユニット92のいずれか一方のみを用いて保持面44をクリーニングすることもできる。
なお、本実施形態においては、第2クリーニング部材94を移動するための第2移動機構96の一部が、第1ユニット91に配置されている場合を例にして説明したが、第1ユニット91に配置せずに、第2移動機構96の全てを第2ユニット92に配置することもできる。
図28は、第2ユニット92Bの一例を示す斜視図である。図28において、第2ユニット92Bは、第1ユニット91の少なくとも一部(例えばボディ97)に連結されるボディ134と、そのボディ134の上面に搭載された、第2クリーニング部材94を移動可能な第2移動機構96Bとを含む。第2クリーニング部材94は、支持部材121Bに支持されており、第2移動機構96Bは、支持部材121BをY軸方向へ移動可能である。第2移動機構96Bは、回転モータ130B及び送りねじ機構131Bを含む駆動装置122Bを有する。送りねじ機構131Bは、回転モータ130Bの作動によって回転するY軸方向に長いねじ軸132Bと、ねじ軸132の回転によってY軸方向に移動するナット133Bとを含む。ナット133Bは、支持部材121Bに接続されている。また、第2ユニット92Bは、第1ユニット91のボディ97に配置されているガイド部材101に沿って移動可能なスライド部材129Bを備えている。スライド部材129Bは、支持部材121Bに接続されている。なお、スライド部材129Bは、第1ユニット91のボディ97に配置されているガイド部材101とは別のガイド部材にガイドされてもよい。
第2ユニット92Bを用いて保持面44をクリーニングする際、第2面50に支持されている第1ユニット91に第2ユニット92Bが接続される。例えば、第1ユニット91のボディ97に、第2ユニット92Bのボディ134を配置可能な凹部を形成し、その凹部とボディ134とを嵌め合わせることによって、第1ユニット91と第2ユニット92Bとを連結することができる。そして、第2ユニット92Bの第2クリーニング部材94と保持面44とを接触させた状態で、駆動装置122Bを作動することによって、第2ユニット92Bは、保持面44をクリーニングすることができる。図28に示す第2ユニット92Bによっても、保持面44を良好にクリーニングすることができる。
なお、本実施形態において、露光装置EXがクリーニング装置90を含む構成とすることができる。例えば、露光装置EXの制御装置3が、クリーニング装置90の動作を制御してもよい。例えば、制御装置3が、ケーブルを介して、あるいは無線で、クリーニング装置90に制御信号を出力することができる。クリーニング装置90は、その制御信号に基づいて、保持面44をクリーニングする。
なお、本実施形態においては、第1クリーニング部材93及び第2クリーニング部材94のそれぞれが、回転モータ等を含む駆動装置の駆動力によって移動される場合を例にして説明したが、例えば回転モータ等のアクチュエータを省略してもよい。第1、第2クリーニング部材93、94の移動をガイドするガイド部材を設けておくことにより、例えば作業者が第1、第2クリーニング部材93、94を移動する場合でも、保持面44を良好にクリーニングすることができる。
なお、上述の各実施形態で説明したクリーニング装置60、90は、図29に示すようなマスク保持部40Bをクリーニングすることもできる。図29に示すマスク保持部40Bは、所謂、ピンチャック機構を有し、周壁部材(リム部材)140と、周壁部材140の内側に配置された複数のピン部材141と、周壁部材140の内側に配置された吸引口142とを備える。マスク保持部40Bの保持面は、周壁部材140の上面及びピン部材141の上面を含む。周壁部材140は、Y軸方向に長い。
特に、上述の第2実施形態で説明した第2ユニット92は、マスク保持部40Bのクリーニングに適している。XY平面内における、第2ユニット92の第2クリーニング部材94の下面120の大きさは、周壁部材140の外形より大きく、周壁部材140の上面及びピン部材141の上面の全てを覆うことができる。第2ユニット92は、第2クリーニング部材94の下面120の吸引口124を用いる吸引動作を実行しつつ、周壁部材140の上面及びピン部材141の上面が全て覆われる状態と、周壁部材140の上面の一部及び複数のピン部材141の一部の上面が露出される状態の一方から他方へ変化するように、第2クリーニング部材94を移動することによって、ピン部材141の間に気流を生成することができる。これにより、例えばピン部材141の間に存在する異物は、吸引口124を介して良好に回収される。
なお、上述の各実施形態において、クリーニング部材は、砥石、無塵布のみならず、例えば粘着剤が塗布された部材等でもよい。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、露光装置EXとして、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
また、例えば国際公開第99/49504号パンフレット等に開示されているような、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置に適用することもできる。また、極端紫外光で基板Pを露光するEUV光光源露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上記各実施形態においては、干渉計システムを用いてマスクステージ及び基板ステージの各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り換えて用いる、あるいはその両方を用いて、ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
可変成形マスクを保持する保持面が設けられている場合、上述の各実施形態で説明したクリーニング装置及びクリーニング方法を用いて、その保持面を良好にクリーニングすることができる。
また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。この場合、照明系は不要となる。ここで自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。また、パターン形成装置が備える自発光型画像表示素子として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだタイプのもの等を用い、該固体光源チップを電気的に制御してパターンを形成しても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
このようなパターン形成装置を保持する保持面が設けられている場合、上述の各実施形態で説明したクリーニング装置及びクリーニング方法を用いて、その保持面を良好にクリーニングすることができる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射される。
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図30に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。上述の実施形態のクリーニング動作は、基板処理ステップ204に含まれる。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1…マスクステージ、18…第1開口、40…マスク保持部、43…第1面、44…保持面、45…溝、50…第2面、60…クリーニング装置、61…ボディ、62…クリーニング部材、63…移動機構、64…下面、75…吸引口、76…回収機構、80…カバー部材、81…吸引機構、90…クリーニング装置、91…第1ユニット、92…第2ユニット、93…第1クリーニング部材、94…第2クリーニング部材、95…第1移動機構、96…第2移動機構、97…ボディ、111…第1下面、112…第2下面、113…吸引口、114…回収機構、116…トラップ部材、118…付勢部材、120…下面、124…吸引口、127…回収機構、128…溝、EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、P…基板