JP5104053B2 - コーティング用組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物を含み、分散安定性および塗膜にしたときの透明性および塗膜耐性に優れたコーティング用組成物製造方法に関する。
本発明のコーティング用組成物は、ガラスやフィルムのコーティング等、塗膜の耐性および透明性を要求される用途おいて、近赤外遮蔽能、紫外線遮蔽能または導電性を有した高耐性、高透明膜を形成することができる。また、反射防止膜用の材料としても使用することができる。
金属酸化物は、導電性や低〜高と幅広い屈折率、および熱線・紫外線遮蔽能など、電気的・光学的な特性を有するものが多く、近年、ディスプレイパネルや機能性ガラス、機能性フィルムなどの処理材料としての期待が高まっている。中でも、錫をドープした酸化インジウム(ITO)やアンチモンをドープした酸化錫(ATO)等は、その導電性を利用した防塵フィルムや、近赤外線以上の熱線を吸収・反射する能力を利用した熱線カットガラス・フィルムへの展開が検討されている。また、酸化チタン、酸化亜鉛は、紫外線遮蔽材料、並びにその屈折率を利用した液晶ディスプレイ等の反射防止材料として検討されている。しかしながら、これらの材料は、屈折率が約1.9〜2.8であり、一般的な塗膜形成性材料の屈折率との乖離が大きい為、高い機能を得る為に高濃度で使用すると、塗膜にしたときの透明性が得られないといった問題がある。
微粒子の可視光散乱強度は、その粒子と媒質が有する屈折率にも依存するが、一般的に粒径が波長の1/2付近で最大となり、それよりも粒径が小さくなるとレイリーの散乱式から示される様に、粒径の6乗に比例して散乱強度は小さくなっていく。よって、可視光(波長が400〜800nmの光)に対しては、粒径が200〜400nmの時に散乱強度が最大となり、それより小さくなるにつれて散乱強度が低下(透明化)していくことになる。即ち、一次粒子径の小さな粒子を高度に分散することが、透明性の確保に関しては不可欠となる。
しかしながら、金属酸化物の様な無機粒子を溶剤やポリマー中に分散することを考えた場合、無機粒子の表面張力は媒質の表面張力に比べて大きい為、両者の表面張力の乖離が大きくなる程、粒子と媒質との界面エネルギーも大きくなり、粒子は凝集する。また、一次粒子径の小さな無機粒子を使用するということは、同時に粒子の比表面積が増大することを意味し、結果として、粒子同士の接触機会が増え、凝集傾向が強くなり、安定した分散体を得ることが更に難しくなる。
無機微粒子の分散体を得る方法として、特許文献1には、屈折率が1.7〜2.7の金属酸化物微粒子(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム)と界面活性剤および溶剤等をボールミルで48時間分散処理する方法が開示されている。しかし、この方法では、分散に長時間を要すること、メディア型の分散機で長時間分散を行うと、メディアやベッセルの摩耗によるコンタミネーションが起こり、煩雑な濾過工程が必要となること等が懸念される。また、メディア型の分散機を用いた場合でも、フィラーに対する界面活性剤や分散剤の吸着が不十分な場合には、粒子同士が容易に再凝集してしまうという問題がある。さらに、一般的な活性剤や分散樹脂は塗膜作製時に架橋しない為、使用量が多くなると塗膜の耐水性や強度に悪影響を及ぼすことがある。
また、特許文献2には、メディア型の分散機以外に、超音波分散機による分散も開示されているが、一般的な超音波分散機では分散力が弱い為、充分な分散が得られない。さらに、特許文献3には、二酸化チタンとバインダー成分とをメディア型分散機により分散した塗料において、塗膜中の二酸化チタンの充填量を上げることで、紫外線遮蔽効果と塗膜の透明性を両立することが開示されているが、単純にメディア分散を行うだけでは、二酸化チタンの凝集を一次粒子まで分散することはできず、透明性や分散安定性が不十分であった。
特開平8−110401号公報 特開2001−262016号公報 特開2004−002563号公報
本発明は、金属酸化物を含むコーティング用組成物の製造方法であって、分散性および経時安定性が良好で、且つ塗膜にした時の透明性および塗膜耐性に優れるコーティング組成物製造方法を提供することを目的とする。
本発明のコーティング用組成物は、金属酸化物100重量部に対し、エチレン性不飽和二重結合を有し、且つ−COOM、−SOM、−PO(OM) (Mは、水素原子、4級アミンまたはアルカリ金属を表す。)、−OH、−NRn (Rは炭化水素基、nは2〜3の整数を表す。)、またはスルホベタイン基から選ばれる少なくとも一種の極性基を有する分散樹脂5〜50重量部を含むことを特徴とする。
本発明のコーティング用組成物において、金属酸化物の窒素吸着法(BET法)による比表面積は30〜280m2/gであることが好ましく、金属酸化物は、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、二酸化チタン、または酸化亜鉛であることが好ましい。また、上記分散樹脂のエチレン性不飽和二重結合は、アクリロイル基もしくはメタアクリロイル基であることが好ましい。また、本発明のコーティング用組成物は、更に、塗膜形成性材料として、分散樹脂以外の活性エネルギー線硬化型樹脂またはモノマーを含むことができる。
また、本発明のコーティング用組成物の製造方法は、金属酸化物と、エチレン性不飽和二重結合を有し、且つ−COOM、−SOM、−PO(OM)(Mは、水素原子、4級アミンまたはアルカリ金属を表す。)、−OH、−NRn (Rは炭化水素基、nは2〜3の整数を表す。)、またはスルホベタイン基から選ばれる少なくとも一種類以上の極性基を有する分散樹脂を含む混合物を混練処理した後、得られた混練物を、塗膜形成性材料と配合することを特徴とする。
本発明のコーティング用組成物の製造方法において、上記混練処理は、2本ロールまたは乾式粉砕装置で行うことが好ましい。また、得られた混練物を塗膜形成材料と配合する際には、メディア型分散機により、混練物を塗膜形成性材料および溶剤に分散させることが好ましい。
発明のコーティング用組成物の製造方法では、金属酸化物と、エチレン性不飽和二重結合および極性官能基を有する分散樹脂とを含む混合物を混練処理した後、塗膜形成材料に配合するため、メディア型分散機のみで金属酸化物を塗膜形成材料に分散する場合に比べると、はるかに短時間で、分散性および経時安定性が良好で、且つ塗膜にした時の透明性および塗膜耐性に優れるコーティング用組成物を製造することができる。

まず、本発明のコーティング用組成物に含まれる材料について説明する。
本発明のコーティング用組成物に含まれる金属酸化物は、それぞれの用途で求められる機能によって選択する。導電性付与や赤外線遮蔽用途であれば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)やアンチモンをドープした酸化錫(ATO)等を用いることができる。また、紫外線カットの用途であれば、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等を用いることができるが、得られる塗膜が無色になること、および紫外線遮蔽能の高さの点から、二酸化チタンもしくは酸化亜鉛の使用が好ましい。また、二酸化チタンや酸化亜鉛は触媒活性を示し、有機塗膜の劣化(チョーキング)の原因となる為、粒子表面をシリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物やその水和物で表面処理し、触媒活性を落としたものを使用することが好ましい。金属酸化物は、単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。
一般的に、塗膜の可視光(波長が400〜800nmの光)に対する透明性を考えた場合には、塗膜中に含まれる粒子の分散粒径を波長の1/2 (200〜400nm)以下、さらには100nm以下にすることが好ましい。即ち、一次粒径の細かい粒子を高度に分散することが、塗膜の透明性の確保に関しては不可欠となる。よって、本発明においては、窒素吸着法(BET法)により求められる比表面積が30〜280m/gの金属酸化物粒子を用いることが好ましい。比表面積が30m/g未満の金属酸化物粒子を用いた場合には、光の散乱が顕著となり、透明な塗膜を得ることが難しくなる。また、比表面積が280m/gを超える金属酸化物粒子を用いた場合には、粒子の凝集力が強く分散が極めて困難となる。
金属酸化物は、予めカップリング剤、オルガノシリコーン、高級脂肪酸、リン酸エステル、高級アルコール等で疎水化処理されていても良い。カップリング剤は、シラン系、チタネート系、アルミキレート系のいずれでも良い。シラン系カップリング剤としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
アルミキレート系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
金属酸化物の疎水化処理は、従来公知の方法で行うことができる。すなわち、カップリング剤等の処理剤と金属酸化物粒子を各種混合分散機に入れ、湿式または乾式で、混合、粉砕、加熱等の処理をする。具体的には、湿式処理では、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を使用できる。また、乾式処理では、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等が使用できる。各種混合分散機は、こられに限定されるものではない。
本発明のコーティング用組成物に含まれる分散樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有し、且つ−COOM、−SOM、−PO(OM) (Mは、水素原子、4級アミンまたはアルカリ金属を表す。)、−OH、−NRn (Rは炭化水素基、nは2〜3の整数を表す。)、またはスルホベタイン基から選ばれる少なくとも一種の極性基(以下、特定の極性官能基という。)を有する。分散樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有するため、塗膜形成時に樹脂同士を架橋させることにより塗膜耐性を向上させることができる。また分散樹脂は、特定の極性官能基を有するため、分散樹脂と金属酸化物粒子の相互作用が強まり、分散性が向上する。
分散樹脂は、最終的に透明な塗膜を得る為には、透明であることが好ましい。
本発明におけるエチレン性不飽和二重結合および特定の極性官能基を有する分散樹脂としては、特定の極性官能基およびエチレン性不飽和二重結合を導入するための特定の極性官能基以外の反応性官能基を有する重合体(a’)もしくは特定の極性官能基を有する重合体(a’’)[(a’),(a’’)合わせて(A)と称す]に、1)前記反応性官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる、2)特定の極性官能基のモル数未満で、その極性官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる、ことで得られる。いずれの方法でも、最終的にエチレン性不飽和二重結合および特定の極性官能基を有する形となれば良く、他の反応性官能基を有していても構わない。上記方法を用いて得られる分散樹脂の具体例としては、たとえば、特定の極性官能基を有するポリアクリル(メタ)アクリレート、特定の極性官能基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、特定の極性官能基を有するポリエポキシ(メタ)アクリレート、特定の極性官能基を有するポリエステル(メタ)アクリレート、特定の極性官能基を有するポリエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を導入するための特定の極性官能基以外の反応性官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、酸無水物基、酸ハロゲン基が挙げられる。
また、前記反応性官能基と反応可能な官能基は、前記反応性官能基の種類により、適宜選択され、特に制限はない。
特定の極性官能基を有するポリアクリル(メタ)アクリレートは、基本骨格となる、特定の極性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーと、必要に応じて特定の極性官能基以外の反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーおよび/または他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体(A)に、前記反応性官能基および/または特定の極性官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。
特定の極性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーのうち、カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレンスルホン酸が挙げられる。
リン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、アルキレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性アルコキシリン酸(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性アルコキシリン酸ジ(メタ)アクリレート、グリシジル基を含む(メタ)アクリレートとリン酸とを反応させて得られるアダクト体等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーには、(メタ)アクリレート類とアリルエーテル類があり、(メタ)アクリレート類としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、1,1,1−トリメチロールプロパンまたはグリセロールのジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
水酸基を有するアリルエーテル類としては、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オコチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル等が挙げられる。
3級アミノ基(アミノ基の2つの水素原子が炭化水素基で置換されたもの)を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特定の極性官能基以外の反応性官能基を有するエチレン性不飽和モノマーのうち、イソシアネート基を有するものとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート等や、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートとを反応させて得られるもの等が挙げられる。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1、3−ブタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセトアミド等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和モノマーとしては、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、α−スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アクロニトリル等が挙げられる。
特定の極性官能基またはそれ以外の反応性官能基と、前記反応性官能基と反応可能な官能基との組み合わせとしては、以下に示すような公知の種々の組み合わせと反応方法を採用することができる。
1)特定の極性官能基が水酸基である場合、これと反応可能な代表的な官能基としては、カルボキシル基およびその無水物、酸ハロゲン基、イソシアネート基、エポキシ基が挙げられ、具体的には、先に例示した官能基を有するエチレン性不飽和化合物との反応により、エチレン性不飽和二重結合を導入できる。
カルボキシル基、その無水物、または酸ハロゲン基を有するエチレン性不飽和化合物との反応は、水酸基を有する重合体(A)の溶液に触媒を添加し、カルボキシル基、その無水物、または酸ハロゲン基を有するエチレン性不飽和化合物を加え加熱することにより進められる。溶媒としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキソラン等のエーテル類等を用いることができる。触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物が好ましく、触媒量は固形分に対し0.1〜1重量%である。反応は、ゲル化抑制のため空気下で行い、概ね反応温度は80〜120℃で、反応時間は1〜24時間である。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物との反応は、水酸基を有する重合体(A)の溶液に、触媒としてオクチル酸スズ、ジブチルジラウリン酸錫、オクチル酸亜鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の3級アミンを0.05〜1PHR(Per Hundred Resin)添加し、加熱下メタクリロキシエチルメタクリレートを加えることにより進められる。溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン等のエーテル類等を用いることができる。
2)特定の極性官能基以外の反応性官能基がエポキシ基である場合、これと反応可能な代表的な官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基が挙げられ、具体的には、先に例示した官能基を有するエチレン性不飽和化合物との反応により、エチレン性不飽和二重結合を導入できる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物との反応は、エポキシ基を有する重合体(A)の溶液に触媒を添加し、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を添加して加熱することにより進められる。反応条件としては、上記1)特定の極性官能基が水酸基である場合と同様の条件が勧められるが、触媒としては、3級アミンが最も好ましい。
3)特定の極性官能基以外の反応性官能基がイソシアネート基である場合、これと反応可能な代表的な官能基としては、水酸基、アミノ基が挙げられる。具体的には、先に例示した水酸基を有するエチレン性不飽和合物、アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物と、好ましくは上記1)特定の極性反応性官能基が水酸基である場合と同様の反応条件で反応させることにより、エチレン性不飽和二重結合を導入できる。
極性官能基を有するポリエステル(メタ)アクリレートとしては、基本骨格となるポリエステルに極性官能基を導入した重合体(A)、または基本骨格を構成する多塩基酸とポリオールのいずれかに極性官能基を予め導入したものを重縮合反応して得られる重合体(A)に、前記極性官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。前記重合体(A)の極性官能基としては、カルボキシル基、水酸基が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの基本骨格を構成する多塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘッド酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、またはジメチル−ないしはジエチルエステルの如き、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、あるいは、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、これらの酸無水物、またはメタノール、エタノール等のアルコールエステル化合物などが挙げられる。
これらの多塩基酸は、単独または混合物として使用することができる。
極性官能基を有する多塩基酸としては、スルホこはく酸、4−スルホフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)テレフタル酸、スルホイソフタル酸または金属スルホン酸塩などが挙げられる。
極性官能基を有するポリオールとしては、2−スルホ−1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオールおよびその金属塩などが挙げられる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が使用でき、また、単独で使用しても、2種以上の併用であってもよい。
アルキレンポリオールとしては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,6−ジメチロールシクロヘキサンおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)のエトキシレート化/プロポキシレート化生成物、グリセロ−ル、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサントリオール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合物、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールおよびそのアルコキレート等、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイド変性ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテルグリコールあるいは、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテルを開環重合してできるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、前述したポリオール類と前述した多塩基酸、あるいはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクタム、置換ε−カプロラクトン、D−グリコノ−1,4−ラクトン、1,10−フェナントレンカルボラクトン、4−ペンテン−5−オリド、12−ドデカノリド等のラクトン類のエステル化反応、エステル交換反応により得られるものが使用できる。ここでいう置換ε−カプロラクトンとは、アルキル基が1〜12までの炭素原子を有する、種々のε−カプロラクトンであって、例えば、ε−メチルカプロラクトン、ε−エチルカプロラクトン、ε−プロピルカプロラクトン、ε−ドデシルカプロラクトンなどの1置換アルキルラクトン類から、2〜3のアルキル置換のもの等の環状エステル化合物をいう。
ポリカーボネートポリオールとしては、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボーネートもしくは2−トリル−4−トリルカーボネート、またはジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートのような、ジアリールないしジアルキルカーボネートと、前述した各種ポリオールと、ポリカルボン酸との反応生成物のような、ポリエステルジオールなどとのエステル交換反応により得られるもので代表されるポリオール類との反応により得られるカーボネート誘導体などが挙げられる。
重合体(A)に極性官能基であるスルホン酸基を導入する方法としては、スルホン酸化剤でスルホン酸化する方法が挙げられる。スルホン酸化剤としては、濃硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸、アミド硫酸などを用いることできる。
リン酸基は、例えば、水酸基にリン酸化剤であるリン酸、五酸化リン、オキシ塩化リンを作用させてリン酸エステルとして導入することができる。
また、カルボキシル基や水酸基は、適宜、加水分解を行うことで導入することが可能である。
重合体(A)にエチレン性不飽和二重結合を導入するために用いられる、カルボキシル基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、前述したイソシアネート基、アミノ基または水酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。また、水酸基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、前述したイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基またはその酸無水物、酸ハロゲン基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
極性官能基を有するポリウレタン(メタ)アクリレートは、基本骨格を構成する下記のポリイソシアネートとポリオールまたはポリアミンとの重縮合により得られる、極性官能基および/またはそれ以外の反応性官能基を有する重合体(A)に、前記官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。前記重合体(A)が有する官能基としては、イソシアネート基、水酸基、アミノ基が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、例えば、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネートおよびその異性体混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのトライマー、イソホロンジイソシア、トリフェニルメタントリイソシアネートネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどのポリイソシアネート、上記ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるアダクト体、上記ポリイソシアネートのアロファネート変性体、上記ポリイソシアネートのビュレット変性体、上記ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、上記ポリイソシアネートのカルボジイミド変性体などが挙げられる。
ポリアミンとしては、直鎖または分枝の脂肪族または脂環式アミン、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミンドデカン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4−アザヘプタメチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン、およびその混合物、末端第一級または第二級アミノ基を有するポリアミド、ポリアルキレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリ−N−ビニルアセトアミドのようなポリ−N−ビニルアミドの加水分解により得られるビニルアミンが挙げられる。
ポリオールとしては、前述したものが挙げられる。
重合体(A)には、ポリエステル(メタ)アクリレートの場合と同様にして、スルホン酸基やリン酸基を導入することができる。
前記重合体(A)が有する極性官能基およびそれ以外の反応性官能基は、イソシアネート基、水酸基、アミノ基である。重合体(A)に、これらの官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで、極性官能基を有するポリウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
極性官能基を有するポリエポキシ(メタ)アクリレートは、基本骨格となるポリエポキシを構成するグリシジルエーテルとポリオールとを反応させることにより得られる、極性官能基および/またはそれ以外の反応性官能基を有する重合体(A)に、前記官能基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。前記重合体(A)が有する官能基としては、水酸基、エポキシ基が挙げられる。
グリシジルエーテルは、アルコール成分と、エポキシ基に対してα位に適当な脱離基を有するエポキシ化合物とを反応させることによって得られる。ジグリジシルエーテルは、一般に脂肪族、脂環式または芳香族ジオールおよびエポキシ成分としてエピクロルヒドリンから製造される。グリシジルエーテルを製造するために適当な脂肪族ジオールは、上述したグリコールである。エポキシ化合物対ジオール成分のモル比に応じて、この反応により、ジグリシジルエーテルを得るか、または増加量のジオールで高分子量の水酸基含有ジエポキシドを得ることが可能である。
ポリオールとしては、前述したものが挙げられる。
重合体(A)には、ポリエステル(メタ)アクリレートの場合と同様にして、スルホン酸基やリン酸基を導入することができる。
前記重合体(A)が有する極性官能基およびそれ以外の反応性官能基は、水酸基、エポキシ基である。重合体(A)に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、例えばα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸またはその無水物を反応させることで、極性官能基を有するポリエポキシ(メタ)アクリレートを得ることができる。
極性官能基を有するポリエーテル(メタ)アクリレートの基本骨格となるポリエーテルオールの重合体(A)は、エーテル結合および末端水酸基を有する、線状または分枝状の化合物である。ポリエーテルオールは、テトラヒドロフランのような環状エーテルを重合させるか、またはアルキル基中に2〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドを、アルキレン基中に2個の活性水素原子を有するスターター分子(starter molecule)と反応させることにより容易に製造することができる。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、1,2−または2,3−ブチレンオキシドが挙げられる。アルキレンオキシドは、単独で、または混合物として使用することができる。スターター分子としては、水、上述したグリコール、ポリエステルジオール、トリオールおよびポリオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよび4,4‘−ジアミノジフェニルメタンのようなアミン、およびエタノールアミンのようなアミノアルコールが挙げられる。ポリエステルオールのように、ポリエーテルオールも単独で、または混合物として使用することができる。
重合体(A)には、ポリエステル(メタ)アクリレートの場合と同様にして、スルホン酸基やリン酸基を導入することができる。
水酸基を有する重合体(A)に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、例えばα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸またはその無水物を反応させることで、極性官能基を有するポリエーテル(メタ)アクリレートを得ることができる。
市販のエチレン性不飽和二重結合および特定の極性官能基を有する分散樹脂としては、ダイセルユーシービー社製「サイクロマーP ACA200、ACA200M、ACA230AA、ACA300、ACA320、ACA210P(カルボキシル基およびアクリロイル基を有するアクリル樹脂)」、コグニス社製「PHOTOMER5018、5424、5429、5430、5432(カルボキシル基を有する多官能ポリエステルアクリレート樹脂)」等が挙げられるがこれらに限定されない。
これら分散樹脂については、それぞれを単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。
次に、コーティング用組成物の製造方法について説明する。
コーティング用組成物は、金属酸化物と、エチレン性不飽和二重結合を有し、且つ−COOM、−SOM、−PO(OM)(Mは、水素原子、4級アミンまたはアルカリ金属を表す。)、−OH、−NRn (Rは炭化水素、nは2〜3の整数を表す。)、またはスルホベタイン基から選ばれる少なくとも一種類以上の極性基を有する分散樹脂とを含む混合物を混練処理した後、得られた混練物を、塗膜形成性材料と配合することにより、製造することができる。
金属酸化物と分散樹脂とを含む混合物の混練処理は、2本ロールまたは乾式粉砕装置で行うと、2本ロールの剪断作用もしくは粉砕メディアの衝撃力により、金属酸化物粒子の凝集が解砕されると同時に、粒子表面への分散樹脂の吸着が起こり、微細かつ分散安定性良好、更に塗膜にしたときの透明性に優れる分散体を得ることができるため好ましい。
まず、金属酸化物と分散樹脂の2本ロールによる混練処理について説明する。本発明における2本ロールによる混練処理は、2本ロールによるせん断力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を解砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。金属酸化物と分散樹脂の2本ロールによる混練処理を行うときには、先ず、金属酸化物100重量部に対し、エチレン性不飽和二重結合を有する分散樹脂5〜50重量部 (有効成分換算)、好ましくは10〜40重量部を常温もしくは加熱下で混合し、均質な混合物を作る。金属酸化物に対する分散樹脂量が5重量部を下回ると、コーティング用組成物の分散安定性が低下する。また、分散樹脂量が50重量部を上回ると、2本ロールによる混練処理工程の作業性が悪化することがある。
また、このとき塗膜の耐性を損なわない範囲で、エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂を併用してよい。エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂の量は、金属酸化物100重量部に対して0〜30重量部(有効成分換算)、好ましくは0〜20重量部、更に好ましくは0〜15重量部である。エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂としては、市販の樹脂型分散剤が使用でき、例えば、EFKA CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース20000(塩基性基を含有する高分子共重合体)、24000SC、24000GR、28000、32000、21000(酸基を有する高分子共重合物)、36000、41000」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB−711(塩基性基を含有する高分子共重合物)、821(塩基性基および酸性基を含有する高分子共重合体)、822、PA−411(酸性基を含有する高分子共重合体)、PN−411」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、108(水酸基含有カルボン酸エステル)、116(塩基性基を含む共重合物)、110、111、(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)、180、185」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、日本油脂社製「マリアリムAKM−0531、AFB−0561、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851」等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらの分散樹脂は、単独で使用しても良いし、二種類以上組み合わせて使用しても良い。
金属酸化物と分散樹脂の混合物を作るときには、溶剤を加えても良い。溶剤としては、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、その他エーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、芳香族類等の有機溶剤が使用できるが、特に限定されない。また、表面が疎水化処理されていない金属酸化物を用いる場合は、水を使用しても良いが、最終的な用途に合わせて溶剤を選択することが好ましい。特に、分散樹脂が固体の場合は、溶剤を加え湿潤混合物とすることが好ましい。
溶剤の添加量は、用いる金属酸化物や分散樹脂の種類によって異なるが、金属酸化物100重量部に対して、溶剤1〜50重量部を添加することが好ましい。溶剤の添加による樹脂の軟化、および金属酸化物の分散樹脂に対する濡れが向上することで、分散促進の効果が期待される。
こうして得られた金属酸化物と分散樹脂の混合物を、加熱温度40〜200℃、回転速度を10〜50rpmとした2本ロールにて複数回混練処理し、断片状もしくはシート状の混練物を得る。混練回数は、希望する混練度に応じて任意に設定できる。得られた混練物がシート状の場合は、粉砕して粉状または断片状とした後に、次の溶解、分散工程に使用するのが好ましい。シート状の混練物を粉砕する方法としては、通常の粉砕機を用いればよく、特に限定されない。
続いて、金属酸化物と分散樹脂の乾式粉砕装置による混練処理について説明する。本発明における乾式粉砕装置による混練処理は、粉砕メディアの衝撃力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を粉砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。金属酸化物と分散樹脂の乾式粉砕装置による混練処理は、金属酸化物100重量部に対し、分散樹脂5〜50重量部 (有効成分換算)、好ましくは10〜40重量部を添加し、常温もしくは加熱下で、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕装置を使用して行う。
また、このとき塗膜の耐性を損なわない範囲で、エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂を併用してよい。エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂の量は、金属酸化物100重量部に対して0〜30重量部(有効成分換算)、好ましくは0〜20重量部、更に好ましくは0〜15重量部である。エチレン性不飽和二重結合を有さない分散樹脂としては、2本ロールによる混練処理工程で併用可能な分散樹脂として先に例示した市販の樹脂型分散剤が使用できる。
乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の粉砕装置を用いることができる。
乾式粉砕装置には、必要に応じて窒素ガスなどを流し、乾式粉砕装置内部を脱酸素雰囲気として混練処理を行っても良い。
また、固形の分散樹脂を用いる場合には、乾式粉砕装置による混練処理時に溶剤を添加してもよい。溶剤の添加による分散樹脂の軟化、および金属酸化物の分散樹脂に対する濡れが向上することで、粉砕促進の効果が期待される。この場合の溶剤の添加量は、用いる材料により異なるが、好ましくは分散樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部である。溶剤としては、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、その他エーテル類、芳香族類等の有機溶剤が使用できるが、特に限定されない。また、混練処理時間は、用いる粉砕装置によって、また希望する混練度に応じて任意に設定できる。乾式粉砕装置による混練処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の混練物を得ることができる。
上記の混練処理によって得られた金属酸化物と分散樹脂の混練物を、塗膜形成性材料に配合する。好ましくは分散機により塗膜形成性材料および溶剤に分散することで液状のコーティング組成物が得られる。2本ロールもしくは乾式粉砕装置による混練処理と、湿式メディア型分散機による分散処理を併用すると、メディア型分散機単独で長時間分散を行う場合に比べて、分散時間が大幅に短縮されるとともに、ベッセルやメディアの摩耗等に起因するコンタミネーションを大幅軽減できるため好ましい。
分散時に使用する溶剤は、分散樹脂および塗膜形成性材料を溶解するものであれば特に制限はなく、ケトン類、エーテル類、エステル類、アルコール類、芳香族有機溶剤類等種々のものが使用できる。また、上記溶剤の代わりに、200mPa・s以下の粘度を有するモノマーを使用してもよい。
本発明のコーティング組成物を、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する場合には、塗膜形成性材料として、分散樹脂以外の活性エネルギー線硬化型樹脂または活性エネルギー線により重合可能なモノマーを使用する。分散樹脂以外の活性エネルギー線硬化型樹脂または活性エネルギー線により重合可能なモノマーは、金属酸化物100重量部に対し、0.1〜95重量部、好ましくは 1〜90重量部の量で用いることができる。
分散樹脂以外の活性エネルギー線硬化型樹脂としては、極性基を有しない、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線により重合可能なモノマーのうち、単官能モノマーとしては、2−メトキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、グリシジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、フェノキシメタクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、1官能の脂環式エポキシ、1官能のオキセタン等が挙げられる。
また、活性エネルギー線により重合可能な2官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2官能の脂環式エポキシ、2官能のオキセタン等が挙げられる。
また、活性エネルギー線により重合可能な3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、3官能の脂環式エポキシ、3官能のオキセタン等が挙げられる。
さらに、活性エネルギー線により重合可能な4官能性以上のモノマーとしては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂およびモノマーは、一種または必要に応じて二種以上用いても良い。
また、本発明のコーティング組成物を紫外線でラジカル重合により硬化する場合には、ラジカル光重合開始剤を更に配合する。ラジカル光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。これらのラジカル光重合開始剤は1種または複数を組み合わせて使用することができる。
ラジカル光重合開始剤には、必要に応じて光重合促進剤を併用することができる。光重合促進剤としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ベンジル4−ジメチルアミノベンゾエート等があげられる。これらのラジカル光重合促進剤は、1種または複数を組み合わせて使用することができる。
また、本発明のコーティング組成物をカチオン重合により硬化する場合には、活性エネルギー線の種類によらず、カチオン重合開始剤が必須成分である。カチオン重合開始剤としては、アリールスルホニウム塩誘導体(例えばユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172)、アリルヨードニウム塩誘導体(例えばローディア社製のRP−2074)、アレン−イオン錯体誘導体(例えばチバガイギー社製のイルガキュア261)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。カチオン光重合開始剤と併用可能な光重合促進剤としては、アントラセン、アントラセン誘導体(例えば旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−100、川崎化成の9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−エトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン)が挙げられる。これらのカチオン光重合開始剤、カチオン光重合促進剤は、1種または複数を組み合わせて使用することができる。
金属酸化物および分散樹脂の混練物を、溶剤および塗膜形成性材料に分散する方法としては、上記混練物をディゾルバー等の高速攪拌機を用いて溶剤および塗膜形成性材料に分散し、その後各種分散機で更に分散処理をすることが、均一且つ微細に金属酸化物が分散したコーティング組成物を得ることができるため好ましい。また、上記混練物を溶剤に分散した後に、塗膜形成性材料と混合してもよい。
分散機としては、通常顔料分散に用いる分散機、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力等を考えた場合、メディア型分散機を用いることが好ましい。また、メディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ等を用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部、%は重量%を表す。また、2本ロールまたは乾式粉砕装置による混練処理によって得られた混練物の不揮発分は、該混練物を140℃の熱風オーブンで1時間乾燥したときの乾燥前後の重量差から求めた。分散粒度は、平均粒径(D50)を動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用いて測定した。また、塗膜の透明性(ヘイズ)については、基材(100μmのPETフィルム)に塗布した塗膜をヘイズメーター(日本電色社製「COH−300A」)で評価した。このとき、基材であるPETフィルムを標準として、塗膜のみのヘイズを求めた。塗膜の耐性については、鉛筆硬度およびMEKによるラビング試験により評価した。
<鉛筆硬度>
JIS K 5400に基づく鉛筆硬度試験により、塗膜が傷つかない最も硬い硬度を示す。
<MEKラビング>
綿棒にメチルエチルケトン(MEK)を含有させて塗膜を軽くこすった時の、下地が見えるまでの回数で評価した。
(実施例1)
ITO(錫ドープ酸化インジウム、BET比表面積34m/g、三菱マテリアル社製)100部と、下記一般式(1)で示されるポリエステル系分散樹脂A(重量平均分子量約8000)20部およびエタノール10部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Aを得た。混練物Aの不揮発分は99.5%であった。続いて、メチルエチルケトン33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、 エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物A 120.6部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Aを得た。
次に、コーティング組成物Aを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Aを得た。
一般式(1)
Figure 0005104053

R:(CH=CH−CO−O−CH−CH−O−CH−(CH−O−CO−CH=CHO−
(実施例2)
実施例1で得られた混練物A 120.6部を、高速ディスパーを用いてメチルエチルケトン46.7部に分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、分散液Bを得た。続いて、分散液Bにトリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部を添加し高速ディスパーで攪拌することにより、コーティング組成物Bを得た。
コーティング組成物Bを100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Bを得た。
(実施例3)
ATO (アンチモンドープ酸化錫、BET比表面積70m/g、石原テクノ社製)100部と、上記一般式(1)で示される分散樹脂A 16部と、酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤(BYK Chemie社製「Disprer BYK 180」、エチレン性不飽和二重結合なし)4部ならびにエタノール15部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Cを得た。混練物Cの不揮発分は99.4%であった。続いて、メチルエチルケトン 33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物C 120.7部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Cを得た。
次に、コーティング組成物Cを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Cを得た。
(実施例4)
ATO (アンチモンドープ酸化錫、BET比表面積70m/g、石原テクノ社製)100部と、アクリロイル基および酸性官能基を有するポリエステル樹脂(コグニス社製「PHOTOMER 5424」、酸価90)20部およびエタノール15部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Dを得た。混練物Dの不揮発分は99.6%であった。続いて、メチルエチルケトン 33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、 エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」 )23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物D 120.5部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散しした。その後、ラジカル光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア907」)6部、およびイソプロピルチオキサントン 3部を添加し、高速ディスパーで攪拌してコーティング組成物Dを得た。
次に、コーティング組成物Dを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(Fusion UV system Japan 社製、無電極タイプ)を用い、200W 、1m/minの条件で紫外線を照射して膜厚2μmの塗膜Dを得た。
(実施例5)
シリカ−アルミナ処理酸化亜鉛(BET比表面積 50m/g、堺化学社製「NANOFINE 50A」)100部と、アクリロイル基およびカルボキシル基を有するアクリル樹脂(重量平均分子量10000〜15000、酸価105〜125、有効成分50%、ダイセルユーシービー社製「サイクロマーP ACA 200M」)40部およびエタノール10部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Eを得た。混練物Eの不揮発分は90%であった。続いて、メチルエチルケトン19.8部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物E 133.3部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Eを得た。
次に、コーティング組成物Eを100μmのPETフィルムに塗布し、100℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Eを得た。
(実施例6)
酸化アルミナ水和物処理二酸化チタン(BET比表面積150m/g、石原産業社製「TTO−V3」)100部と、アクリロイル基および酸性官能基を有するポリエステル樹脂(酸価90、コグニス社製「PHOTOMER 5424」)30部を仕込み、直径 3/8インチのサスビーズを充填した乾式アトライターで20分混練処理し、混練物Fを得た。
続いて、メチルエチルケトン83.2部、トリメチロールプロパントリアクリレート 11部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 7.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)18.3部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物F 130.7部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Fを得た。
次に、コーティング組成物Fを100μmのPETフィルムに塗布し、100℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Fを得た。
(実施例7)
ITO(錫ドープ酸化インジウム、BET比表面積34m/g、三菱マテリアル社製)100部、上記一般式(1)で示される分散樹脂A 20部、メチルエチルケトン33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、 エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部をガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで10時間分散しコーティング組成物Gを得た。
次に、コーティング組成物Gを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Gを得た。
(実施例8)
酸化アルミナ水和物処理二酸化チタン(BET比表面積150m/g、石原産業社製「TTO−V3」)と、アクリロイル基および酸性官能基を有するポリエステル樹脂(コグニス社製「PHOTOMER 5424」、酸価90)30部、メチルエチルケトン83.2部、トリメチロールプロパントリアクリレート 11部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 7.4部、 エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)18.3部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部をガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで10時間分散しコーティング組成物Hを得た。
次に、コーティング組成物Hを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Hを得た。
(比較例1)
ITO(錫ドープ酸化インジウム、BET比表面積34m/g、三菱マテリアル社製)100部と酸性官能基を有する樹脂型分散剤(LUBRIZOL社製「ソルスパース41000」、エチレン性不飽和二重結合なし)20部およびエタノール10部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Iを得た。混練物Iの不揮発分は99.8%であった。続いて、メチルエチルケトン33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物I 120.2部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Iを得た。
次に、コーティング組成物Iを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Iを得た。
(比較例2)
ATO(アンチモンドープ酸化錫、BET比表面積70m/g、石原テクノ社製) 100部と酸性官能基を有する樹脂型分散剤(LUBRIZOL社製「ソルスパース41000」、エチレン性不飽和二重結合なし)20部、メチルエチルケトン33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部をガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで10時間分散しコーティング組成物Jを得た。
次に、コーティング組成物Jを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Jを得た。
(比較例3)
シリカ−アルミナ処理酸化亜鉛(BET比表面積 50m/g、堺化学社製「NANOFINE 50A」)100部と酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤(BYK Chemie社製「Disprer BYK 180」、エチレン性不飽和二重結合なし)20部およびエタノール15部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、固形の混練物Kを得た。混練物Kの不揮発分は99.8%であった。続いて、メチルエチルケトン33.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート 14部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 9.4部、エポキシアクリレート(ダイセルユーシービー社製「Ebecryl 600」)23.4部、および塗料添加剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SH28PA」)0.1部の混合液に、混練物K 120.2部を、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物Kを得た。
次に、コーティング組成物Kを100μmのPETフィルムに塗布し、70℃で3分乾燥後、電子線照射装置(東洋インキ製造社製「Min−EB」)で40KGyの電子線を照射して膜厚2μmの塗膜Kを得た。
実施例1〜8および比較例1〜3で得られたコーティング組成物の平均粒径D50、塗膜のヘイズ、鉛筆硬度、塗膜のMEKラビング試験の結果、および該組成物を40℃で10日経時させたときの平均粒径を表1に示す。
Figure 0005104053

Claims (4)

  1. 金属酸化物と、エチレン性不飽和二重結合を有し、且つ−COOM、−SO3M、−PO(OM)2(Mは、水素原子、4級アミンまたはアルカリ金属を表す。)、−OH、−NRn (Rは炭化水素基、nは2〜3の整数を表す。)、またはスルホベタイン基から選ばれる少なくとも一種類以上の極性基を有する分散樹脂を含む混合物を混練処理した後、得られた混練物を、塗膜形成性材料と配合することを特徴とするコーティング用組成物の製造方法。
  2. 混練処理を、2本ロールで行う請求項記載のコーティング用組成物の製造方法。
  3. 混練処理を、乾式粉砕装置で行う請求項記載のコーティング用組成物の製造方法。
  4. 混練物を、メディア型分散機により塗膜形成性材料および溶剤に分散させる請求項ないしいずれか記載のコーティング用組成物の製造方法。
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