JP5101114B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は空気入りタイヤに関し、より詳細には、接地端近傍に細リブを備え、トレッドのショルダー部の偏摩耗が抑制された空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤでは、トレッドのショルダー部の接地圧が高くなるので、他の部分に比べてショルダー部の摩耗量が多くなる偏摩耗が問題となっていた。このような偏摩耗を抑止するため、図1に示すように接地端Eからタイヤ幅方向内側にタイヤ周方向に延びる細溝3を刻み、細溝3と接地端Eとに挟まれた細リブ4を設けている。その結果、細リブ4によりトレッドTのショルダー部の剛性が低くなり、ショルダー部の接地圧が低くなり、偏摩耗を抑制することができる。このような空気入りタイヤの一例として、特許文献1に記載された空気入りタイヤが知られている。
特開平11−151910号公報(図4)
上記の空気入りタイヤでは、路面からの入力により細リブ4が変形し易くなっている。図2に示すように、段差のある路面Gを通過する際、段差により細溝3が大きく開かれ、過度に変形すると、細溝3の溝底3aにクラックが発生し、タイヤの耐久性が低下することがある。クラックの発生を抑えるため、細リブ4の幅を狭くすることも考えられる。しかし、偏摩耗を抑制する効果が不十分となり、細リブ4が千切れることさえある。細リブ4が消滅すると、偏摩耗を抑制する効果も消滅してしまう。
したがって、本願発明の目的は、偏摩耗を効果的に抑制し、ショルダー部の耐久性を向上させることにある。
上記課題を解決するため、本願発明に係る空気入りタイヤは、トレッドにタイヤ周方向に延びる複数の主溝が刻まれ、少なくともトレッドのショルダー部にリブが形成され、接地端よりタイヤ幅方向内側にタイヤ周方向に延びる第1細溝が刻まれ、前記第1細溝と前記接地端とにより、細リブが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記接地端よりタイヤ幅方向外側に第2細溝が刻まれ、前記第2細溝は前記接地端を通りタイヤ回転軸に垂直な仮想面よりタイヤ幅方向外側にあることを特徴とする空気入りタイヤである。
接地端よりタイヤ幅方向内側にタイヤ周方向に延びる第1細溝を刻むことにより、ショルダー部の剛性が低くなり、接地圧も低下するので、偏摩耗が抑制される。第2細溝により、細リブには、幅方向断面において狭窄部が形成される。段差のある路面を通過する際、狭窄部が屈曲され、第1細溝の開きが抑止される。その結果、第1細溝の溝底に掛かる応力を緩和することができ、第1細溝の溝底でのクラック発生を抑制することができる。
なお、摩耗が進行すると、第2細溝の溝底のクラックは問題とならない。しかし、第2細溝は接地端を通りタイヤ回転軸に垂直な仮想面よりタイヤ幅方向内側にあると、細リブの狭窄部が狭くなりすぎて、第2細溝の溝底のクラックが問題となることがある。
本願発明に係る空気入りタイヤは、前記接地端と前記第1細溝との間にタイヤ周方向に延びる第3細溝が更に刻まれた空気入りタイヤでもある。
接地端と第1細溝との間、すなわち細リブに第3細溝を刻み、細リブを分断することにより、第1細溝の開きが更に抑止される。その結果、第1細溝の溝底でのクラック発生を更に抑制することができる。
本願発明に係る空気入りタイヤは、前記第1細溝の溝底から前記第2細溝までの距離は、前記第1細溝の深さの20%〜50%である空気入りタイヤでもある。
第2細溝の位置は細リブの狭窄部の位置を決定し、細リブの変形を左右する。そのため、第1細溝の溝底から第2細溝までの距離(タイヤ赤道面に投影した距離)は、第1細溝の深さの20%〜50%であることが好ましい。この距離が20%未満であると、狭窄部と第1細溝の溝底が近いため、細リブの変形が大きくなり、却って溝底に掛かる応力が大きくなり、クラックが発生しやすくなる。50%を超えると、トレッド表面と第1細溝の溝底が遠いため、狭窄部による第1細溝の溝底の応力緩和の効果が小さくなる。
以下、図面を用いて、本願発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を説明する。図3は、タイヤトレッドのショルダー部を示す斜視図である。トレッドTには、タイヤ周方向Rに延びる主溝1が刻まれている。図示した幅方向最外側の主溝1と接地端Eによりショルダー部には、リブ2が形成されている。更に、接地端Eからタイヤ幅方向内側には、周方向に延びる第1細溝3が刻まれて、細リブ4が形成されている。したがって、既述したように、細リブ4によりトレッドTのショルダー部の剛性が低下し、ショルダー部の接地圧が低くなるので、ショルダー部の偏摩耗が抑制される。なお、図3では、ベルト層、ベルト補強層などの部材は省略している。また、トレッドTの、図示した幅方向最外側の主溝1より内側領域には、リブを配置してもよく、一部又は全部にブロックを配置してもよい。
接地端Eからタイヤ幅方向外側であるバットレス部20に第2細溝5が刻まれ、細リブ4に狭窄部4aが形成されている。図4に示すように、段差のある路面Gを通過する際、狭窄部4aが変形し易くなるので、第1細溝3に開きが抑制され溝底3aに掛かる応力が緩和される。その結果、溝底3aでクラックが発生することを抑制することができる。
標準リムに装着し、標準内圧に充填した状態で、第2細溝5の溝底は、接地端Eを通りタイヤ回転軸に垂直な仮想面S1よりタイヤ幅方向外側にあることが好ましい。第2細溝5の溝底が仮想面S1よりタイヤ幅方向内側にあると、細リブ4の狭窄部4aが狭くなりすぎて、第2細溝5の溝底のクラックが問題となることがある。
第2細溝5の位置は細リブ4の狭窄部4aの位置を決定し、細リブ4の変形を左右する。そのため、第1細溝3の溝底から第2細溝5までのタイヤ赤道面投影距離D2は、第1細溝3の深さD1の20%〜50%が好ましい。この距離が20%未満であると、狭窄部4aと第1細溝3の溝底が近いため、細リブ4の変形が大きくなり、却って溝底3aに掛かる応力が大きくなり、クラックが発生しやすくなる。50%を超えると、トレッド表面と第1細溝3の溝底3aが遠いため、狭窄部4aによる第1細溝3の溝底3aの応力緩和の効果が小さくなる。
細リブ4の効果的な屈曲を得る観点から、第2細溝5の幅は2.0mm〜5.0mm、深さは1.0mm〜2.5mmが好ましい。なお、第2細溝5の断面形状はU字状の他、半円形状、V字状であってもよい。
偏摩耗を効果的に抑制する観点から、細リブ4の幅W1が1.0mm〜10.0mmとなるように第1細溝3を刻むことが好ましい。第1細溝3の幅は0.5mm〜3.0mm、深さD1は10.0mm〜16.5mmあるいは主溝1の深さDの70%〜110%が好ましい。
次に、他の実施の形態について説明する。図5は、第3細溝6により細リブ4を更に細リブ14、15に分断した例である。図6に示すように、段差のある路面Gを通過する際、狭窄部4aが変形し易くなるほか、第3細溝6が閉じることにより、第1細溝3に開きが更に抑制され溝底3aに掛かる応力が緩和される。その結果、溝底3aでクラックが発生することを更に抑制することができる。
この例では、第3細溝6の幅は0.5mm〜3.0mm、深さD3は5.0mm〜12.0mmあるいは主溝1の深さDの50%〜70%が好ましい。偏摩耗を効果的に抑制する観点から、細リブ4の幅W1が5.0mm〜15.0mmとなるように第1細溝3を刻むことが好ましく、第3細溝6を設けることにより、細リブ4の幅W1をより広くすることができる。また、細リブ15の幅に対する細リブ14の幅の比が0.6〜2.5となるように、第3細溝6を設けることが好ましい。この範囲を外れると、細リブ14、15のいずれかの幅が狭くなり、十分な偏摩耗抑制効果が得られなくなる。また、第3細溝6の深さD3が第1細溝3の深さD1より深いと、第3細溝6の溝底にクラックが発生しやすくなるだけで、第3細溝6により偏摩耗抑制効果が得られない。仮に溝底にクラックが発生してもその進行を防ぐため、摩耗により第3細溝6を消滅させることが好ましい。よって、第1細溝3の深さD1は第3細溝6の深さD3より深いことが好ましい。
実施例として本発明に係る空気入りタイヤ、比較例のタイヤを試作し、トレーラー牽引用トラクター(車軸配置2D)の前輪に装着して評価を行なった。なお、タイヤサイズは295/75R22.5、空気圧は720kPaとした。実施例1、2は、それぞれ図3、図5に示したショルダー部を備えたタイヤ、比較例1は図1に示したショルダー部を備えたタイヤであり、比較例2は、第2細溝5の溝底が仮想面S1よりタイヤ幅方向内側にあること以外は実施例1と同じタイヤである。
各細溝の寸法は表1に示している。第2細溝の溝底から仮想面S1までの距離が正の場合は溝底が仮想面S1よりタイヤ幅方向外側にあることを示し、負の場合は溝底が仮想面S1よりタイヤ幅方向内側にあることを示す。
評価結果を表1に示す。耐偏摩耗性能は、16万km走行後にリブ2の第1細溝側のエッジの局所摩耗の幅を、比較例1を100とした指数であり、数字が大きいほど局所摩耗の幅が狭く、偏摩耗抑制効果が高いことを示している。溝底のクラックの有無は、16万km走行後のタイヤを目視で確認した結果である。表1によれば、比較例1、2では細溝の溝底にクラックが発生し、比較例2では細リブが欠損し脱落していた。一方、実施例1、2では耐久性を向上させると共に、偏摩耗抑制効果を高めることができた。
Figure 0005101114
従来の空気入りタイヤのトレッドショルダー部を示す斜視図である。 従来の空気入りタイヤにおける、段差のある路面上での接地状態を示す断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤのトレッドショルダー部を示す斜視図である。 本発明に係る空気入りタイヤにおける、段差のある路面上での接地状態を示す断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤのトレッドショルダー部を示す斜視図である。 本発明に係る空気入りタイヤにおける、段差のある路面上での接地状態を示す断面図である。
符号の説明
1 主溝
2 リブ
3 第1細溝
4 細リブ
5 第2細溝
6 第3細溝
14、15 細リブ
20 バットレス部

Claims (2)

  1. トレッドにタイヤ周方向に延びる複数の主溝が刻まれ、少なくともトレッドのショルダー部にリブが形成され、接地端よりタイヤ幅方向内側にタイヤ周方向に延びる第1細溝が刻まれ、前記第1細溝と前記接地端とにより、細リブが形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記接地端よりタイヤ幅方向外側に第2細溝が刻まれ、前記第2細溝は前記接地端を通りタイヤ回転軸に垂直な仮想面よりタイヤ幅方向外側にあり、
    前記第1細溝の溝底から前記第2細溝までのタイヤ赤道面に投影した距離は、前記第1細溝の深さの20%〜50%であり、
    前記第2細溝の深さは1.0mm〜2.5mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記接地端と前記第1細溝との間にタイヤ周方向に延びる第3細溝が更に刻まれた請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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