JP5098540B2 - 熱転写記録装置及び熱転写記録方法 - Google Patents
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Description
熱溶融転写方式により、色鮮やかで、粒状感のない安定性にすぐれた印刷物を得たいという要求がある。
このインクリボンの濃度のばらつきに対応するため、従来は、インクリボン濃度の高いインクリボンを使用する場合に網点面積率を下げるように階調補正を行なう手法が考えられてきた。
すなわち、図8に示すように、インクリボン濃度下限(図8(b))ではベタ画像100%の網点面積率とし、これに対してインクリボン濃度が高くなるほど網点面積率を下げるように0〜100%の網点変換率で階調変換を行なって印画する方法が考えられてきた。例えば、インクリボン濃度が上限(図8(a))のインクリボンを使用する場合には、ベタ画像の網点面積率を100%から80%に下げて印画するようにする。
また、インクリボン濃度が高いインクリボンを使用するほど網点面積率が低くなるため、網点部と未印画部が存在してしまい、網点の粒状感が目立ってしまうという問題が生じる。
これは50〜100%の階調変換ではドットが不均一になり、補正精度が低下することを示しており、上述の方法は適していないことを示している。すなわち、階調変換は0〜50%の範囲で行なうことが望ましい。
ここで、上限濃度および下限濃度のインクリボンとは、インクリボンの製造上、得られるインクリボンの最高濃度にぶれが生じることに由来しており、この最高濃度の許容できる範囲を上限濃度および下限濃度として予め定めたものである。色によって発色特性や求められる最高濃度が異なるので、上限濃度および下限濃度は各色によって異なってもよい。
印画では、まず、使用インクリボンによりベタ印画を行い、その印画に重ねて、階調補正手段によって補正した網点画像データを印画する。
まず、図1および図2に沿って、本発明の一実施形態に係る熱転写記録装置の構成と機能について説明する。
入力部13は、例えばキーボード、マウス等であり、ユーザの指示等の入力に使用する。また、表示部は、例えばディスプレイであり、各種データを表示する。通信部15は、通信ポートや通信制御装置であり、ネットワークや他の装置との接続を行う。プリンタポート16は、USBケーブル等の接続ケーブル3等により印画部2を接続する。これらの構成要素は、バス17を介して相互に接続されている。
記録シートに画像を印画するためには、プリンタ制御部22により、画像データに応じてサーマルヘッド23に印加されるエネルギー(例えば、0〜100%まで変化)が設定され、画像印画の際に、サーマルヘッド23から設定されたエネルギーに応じた熱がインクリボンに印加され、これにより、印加部分のインクが溶融して記録シートに付着する。記録シートは、例えば、紙や中間転写フィルム、ポリカーボネート等のシートである。
また、インクリボンには、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4種類があり、これらのインクを重ねて転写することによりカラー印画が行われる。
熱転写記録装置1の画像データ生成装置10は、入力部13で処理を実行する画像データ入力3およびインクリボン濃度の取得32、制御部11で処理を実行する画像処理35の機能を持ち、記憶部12は、画像データを格納する画像メモリ33と画像処理35で使用する画像処理用パラメータ37の格納機能を持つ。
また、印画部20は、画像印画39の機能を持つ。印画部20の詳細な処理については後述する。
また、入力部13は、インクリボン濃度の取得機能32により、使用するインクリボンの濃度情報34を取得し、画像メモリ33に格納する。インクリボンの濃度情報34は、例えば、ベタ画像印画をした場合の印画濃度等である。
このとき、使用するインクリボンの濃度34を手動で測定し、その値を入力部13のキーボード等から入力してもよいし、インクリボン濃度測定装置を入力部13に接続して自動的に濃度情報34が入力されるようにしてもよい。また、インクリボンの製造時に、各インクリボンの濃度情報34をインクリボンに装着したICタグ等に記憶させておき、これを入力部13に接続された読み取り装置で読み取って入力するようにしてもよい。
印画部20は、受信した最終的に得られた画像データを印画データとして、プリンタ制御部22がサーマルヘッド23やインクリボン送りモータ25を制御し、画像印画39を実行する。
次に、図3、図4を用いて、本実施の形態による画像処理の流れを説明する。図3は、画像処理の流れを示すフローチャート、図4は、画像データ生成装置10の記憶部12の詳細を示す図である。
ここで、印画部20の解像度は、例えば600dpi(dots per inch)等であり、この値を予め解像度変換パラメータ43として記憶部12の処理パラメータ37に格納しておき、この解像度変換パラメータ43を用いて画像データG133−1を解像度変換する。
この処理の詳細については後述するが、求まった使用するインクリボンに対応する網点面積率Bが例えば42%であれば、画像データG3の階調値(例えば0〜256)を42%に補正する。
網点のマトリクスサイズはサーマルヘッド23の解像度や画像の線数により異なるが、例えば、解像度600dpiの場合、線数60lpiで10×10画素、75lpiで8×8画素、100lpiで6×6画素、120lpiで5×5画素というように予め定めておき、記憶部12の画像処理用パラメータ37に網点処理パラメータ45として格納しておく。
すなわち、階調補正処理(ステップ104)を施していない網点面積率100%に対応する画像データG3(G3C、G3M、G3Y、G3K)33−3にステップ105と同様の網点変換処理を施し、ベタ画像データG6(G6C、G6M、G6Y、G6K)33−6を求める。
画像データG5およびG6は印画部20のバッファメモリ21に一時的に格納され、プリンタ制御部22がサーマルヘッド駆動部24およびモータ駆動部26を制御することにより画像が印画される。
以上の処理により1つの版について高濃度で色鮮やかな粒状感のない印画画像が得られる。
ステップ107、ステップ108の処理を全ての版(残りのマゼンダM、イエローY、ブラックK)について繰り返し、全版の印画が完了したら(ステップ109のYes)、印画部20による画像印画処理39が終了する。
以上の処理によりカラーの高濃度で色鮮やかな粒状感のない印画画像が得られる。
図5(a)に示すように、濃度が上限のインクリボンを使用すれば高濃度の印画画像が得られる。
一方、図5(b)に示すように、本実施の形態の熱転写記録装置では、濃度が低いインクリボンを使用する場合に、まず、網点面積率100%のベタ画像G6を印画し(1回目の印画)、1回目の印画に重ねて、階調補正処理を経た網点画像データG5(例えば網点変換率40%)を印画する。
次に、ステップ104の階調補正処理について図6に沿って詳しく説明する。
ステップ104の階調補正処理を実行するためには、階調補正用パラメータ44を予め求めて記憶部12の画像処理用パラメータ37に格納しておく必要がある。
階調補正処理では、前述したように、使用インクリボンについて、その濃度に応じた適正な網点面積率B(BC、BM、BY、BK)を求めて、この網点面積率Bによって画像データの階調値を補正する。
図6表の下段にあるリボン濃度上限の行の数値は、各色(シアンC、マゼンダM、イエローY)について、リボン濃度上限のインクリボンを使用してベタ画像を印画した場合の濃度測定値を示しており、それぞれ、1.25、0.64、0.89である。
ここで、リボン濃度の上限および下限は、製品として許容されるインクリボンについての濃度の最高値および最低値である。
これにより、リボン濃度下限のインクリボンは印画濃度が低いことを示している。
例えば、シアンCについて、2回目の印画において網点面積率7%の網点画像を印画した場合、印画濃度は1.05、網点面積率42%の網点画像を印画した場合の印画濃度は1.25、網点面積率70%の網点画像を印画した場合の印画濃度は1.54に向上する。
すなわち、シアンCの場合、リボン濃度上限のインクリボンによるベタ画像の印画濃度は1.25であり、図6の表から、リボン濃度下限のインクリボンの適正な網点面積率ACは42%であることが求められる。
同様に、マゼンダMの適正網点面積率AMは42%、イエローYの適正網点面積率AYは35%と求めることができる。
使用インクリボンの適正網点面積率B(BC、BM、BY、・・・)は、図6に示したように次式で求めることができる。
=リボン濃度下限のインクリボンの適正網点面積率A
×(上限リボン濃度−使用インクリボンの濃度)
/(上限リボン濃度−下限リボン濃度)×100(%)…(1)
である。
上限リボン濃度および下限リボン濃度の値は、インクリボンの製品仕様として定まっているので、予め記憶部12の画像処理用パラメータ37に階調補正用パラメータ44として格納しておく。
例えば、式(1)により求めた適正網点面積率が40%ならば、分版画像データG3の階調値を40%の値にすればよい。
制御部11は、以上のようにして求めた階調補正データG4を記憶部12の画像メモリ33に格納する。
ここでは1色について説明したが、各色(シアンC、マゼンダM、イエローY、・・・)のそれぞれについて使用インクリボンの適正網点面積率B(BC、BM、BY、・・・)を求め、画像データG3(G3C、G3M、G3Y、G3K)33−3の階調値を補正して階調補正データG4(G4C、G4M、G4Y、G4K)33−4を求める。
この実施例は、リボン濃度下限および上限のインクリボンに加えて中間濃度のインクリボンを複数用いて、使用インクリボンの適正網点面積率Bの算出精度を向上する方法である。
リボン濃度下限の場合には、図6の場合と同様に42%であり、中濃度(中I、中II、中III)についての適正網点面積率はそれぞれ39%、27%、15%になっている。
この折れ線グラフを複数の1次式で表すと、印画濃度1.03〜1.08の直線AB間はy=−60x+103.8、印画濃度1.08〜1.15の直線BC間はy=−171.43x+224.14、印画濃度1.15〜1.20の直線CD間はy=−240x+303、印画濃度1.20〜1.25の直線DE間はy=−300x+375となる。
この場合、制御部11は、ステップ104の階調補正処理において、記憶部12に格納されている使用インクリボンの濃度によって上記複数の1次式から1つの1次式を選択し、その1次式のxの値として使用インクリボンの濃度を代入しyの値を求めることにより、その値を使用インクリボンの適正網点面積率Bの値とする。
例えば、使用インクリボンの濃度が1.10の場合、y=−171.43x+224.14の1次式が選択され、x=1.10を代入することによりy≒35.6となり、使用インクリボンの適正網点面積率B=35.6(%)として画像データの階調値を補正する。
さらに、複数の1次式を用意する代わりに、図7の折れ線グラフを複数の2次式、あるいは複数の3次式で近似し、使用インクリボンの適正網点面積率Bをこれらの2次式あるいは3次式によって補間することにより求めてもよい。
例えば、インクリボン濃度1.03〜1.10をランク1、1.10〜1.20をランク2、1.20〜1.25をランク3というように定め、ランク1の適正網点面積率Bを39%、ランク2を27%、ランク3を8%というように定めておき、ランク値と適正網点面積率Bの関係を階調補正用パラメータ44として登録しておく。
10………画像データ生成装置
20………印画部
5………画像データ
11………制御部
12………記憶部
13………入力部
32………インクリボン濃度の取得
33………画像メモリ
34………インクリボン濃度情報
35………画像処理
37………画像処理用パラメータ
44………階調補正用パラメータ
Claims (9)
- サーマルヘッドを有する熱転写記録装置であって、
使用インクリボンの濃度に応じて、画像データを上限濃度のインクリボンによる印画に合わせて調整する階調補正手段を有し、
前記使用インクリボンによるベタ画像の印画の上に重ねて、前記階調補正手段により補正した画像データの網点画像を前記使用インクリボンにより印画し、
前記階調補正手段は、下限濃度のインクリボンによるベタ画像印画に重ねて前記下限濃度のインクリボンによる網点画像を印画した場合に、前記上限濃度のインクリボンによるベタ画像印画と濃度値が等しくなるように、前記下限濃度のインクリボンによる網点画像の網点面積率を求め、前記網点面積率を元に前記使用インクリボンによる網点画像の網点面積率を求めて階調値を補正することを特徴とする熱転写記録装置。 - 前記階調補正手段は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の各色のインクリボンについて、前記下限濃度のインクリボンによる網点画像の網点面積率を求めることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録装置。
- 前記下限濃度のインクリボンによる網点画像の網点面積率は50%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱転写記録装置。
- 前記使用インクリボンによる網点画像の網点面積率は、次式
(使用インクリボンによる網点画像の網点面積率)
=(下限濃度のインクリボンによる網点画像の網点面積率)
×{(上限濃度インクリボン濃度)−(使用インクリボン濃度)}
/{(上限濃度インクリボン濃度)−(下限濃度インクリボン濃度)}
×100(%)
により求めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱転写記録装置。 - 前記階調補正手段は、前記下限濃度のインクリボンおよび前記上限濃度のインクリボンに加えて複数の中間濃度のインクリボンを使用し、前記下限濃度のインクリボンおよび前記複数の中間濃度のインクリボンについて、ベタ画像印画に重ねて網点画像を印画した場合の濃度値を測定し、前記上限濃度のインクリボンによるベタ画像印画の濃度値と等しくなる前記網点画像の網点面積率を前記下限濃度のインクリボンおよび前記複数の中間濃度のインクリボンについて求め、前記下限濃度のインクリボンおよび前記複数の中間濃度のインクリボンの濃度および前記網点面積率の関係から求めた複数の1次式による補間処理により、前記使用インクリボンの濃度に対応する前記網点画像の網点面積率を求めて階調値を補正することを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録装置。
- 前記階調補正手段は、前記下限濃度のインクリボンおよび前記複数の中間濃度のインクリボンの濃度および前記網点面積率の関係から求めた複数の2次式を補間して、前記使用インクリボンの濃度に対応する前記網点画像の網点面積率を求めて階調値を補正することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の熱転写記録装置。
- 前記階調補正手段は、前記下限濃度のインクリボンおよび前記複数の中間濃度のインクリボンの濃度および前記網点面積率の関係から求めた複数の3次式を補間して、前記使用インクリボンの濃度に対応する前記網点画像の網点面積率を求めて階調値を補正することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の熱転写記録装置。
- インクリボン製造時に各インクリボンの濃度を複数のランクにランク分けしておき、前記複数のランクについて前記網点画像の網点面積率を予め求めて設定しておくことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の熱転写記録装置。
- 使用インクリボンの濃度に応じて、画像データを上限濃度のインクリボンによる印画に合わせて調整する階調補正工程と、
前記使用インクリボンによるベタ画像の印画の上に重ねて、前記階調補正工程により補正した画像データの網点画像を前記使用インクリボンにより印画する印画工程と、
を具備し、
前記階調補正工程は、下限濃度のインクリボンによるベタ画像印画に重ねて前記下限濃度のインクリボンによる網点画像を印画した場合に、前記上限濃度のインクリボンによるベタ画像印画と濃度値が等しくなるように、前記下限濃度のインクリボンによる網点画像の網点面積率を求め、前記網点面積率を元に前記使用インクリボンによる網点画像の網点面積率を求めて階調値を補正することを特徴とする熱転写記録方法。
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