JP4929737B2 - 熱転写記録装置及び熱転写記録方法 - Google Patents
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Description
また、サーマルヘッドの温度補正を行う方法として、1つの画素に対して複数の周辺画素の蓄熱履歴を考慮に入れて画素補正演算を行い、画素補正演算が終了した1ラインごとに印画する方法や(特許文献1)、画像データの輪郭部分と、輪郭以外の面積の違いを考慮した画素の蓄熱補正演算(特許文献2)が提案されている。
今、印画方向をAとすると、印画媒体61が記録紙搬送装置により印画方向Aと反対向きに搬送され、地点B1から順に右方向に順次、印画が行われる。地点B1では、まず、Cのインクリボンがサーマルヘッド位置にセットされ、1ライン分が、サーマルヘッドの移動(図9のB1地点の手前から奥に向かって移動)により印画され、同様に、Y、M、K、白の順に印画が行われ、1ライン分が完了すると、印画媒体61が記録紙搬送装置により印画方向Aと反対方向に搬送されて、次の1ラインが印画される。
これは、図9の地点B1の部分や地点B2のような印画の立ち上がり部分で起こるもので、C、Y、M、Kのインキが重なり合っているために段差が大きく、白の裏打ちの印画における印画エネルギーが不足することに起因する。
一方、このような印画画像境界の上端部でのかすれをなくすために、画像全体あるいは画像の輪郭の印画エネルギーを上げると、蓄熱によりインクリボンにしわが生じ、印画にも図8(d)に示すようなしわが生じてしまう。
まず、図1および図2に沿って、本発明の一実施形態に係る熱転写記録装置の構成と機能について説明する。
入力部13は、例えばキーボード、マウス等であり、ユーザの指示等の入力に使用する。また、表示部は、例えばディスプレイであり、各種データを表示する。通信部15は、通信ポートや通信制御装置であり、ネットワークや他の装置との接続を行う。プリンタポート16は、USBケーブル等の接続ケーブル3等により印画部2を接続する。これらの構成要素は、バス17を介して相互に接続されている。
記録シートに画像を印画するためには、プリンタ制御部22により、画像データに応じてサーマルヘッド23に印加されるエネルギー(例えば、0〜100%まで変化)が設定され、画像印画の際に、サーマルヘッド23から設定されたエネルギーに応じた熱がインクリボンに印加され、これにより、印加部分のインクが溶融あるいは昇華して記録シートに付着する。記録シートは、例えば、紙や中間転写フィルム、ポリカーボネート等のシートである。
また、インクリボンには、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4種類があり、これらのインクを重ねて転写することによりカラー印画が行われる。
熱転写記録装置Sの画像データ生成装置1は、入力部13で処理を実行する画像読み取り31、制御部11で処理を実行する画像処理35の機能を持ち、記憶部12は、画像データを格納する画像メモリ33と画像処理35で使用する処理パラメータ37の格納機能を持つ。
また、印画部2は、画像印画39の機能を持つ。
画像処理33は、後述する階調変換処理、画像シフト処理、網点処理、画像逆シフト処理、蓄熱補正処理、白裏打ち処理等の処理工程より成り、記憶部12の画像メモリ33内の画像データをそれぞれの処理工程用に定めた処理パラメータ37を用いて画像処理し、最終的な画像データを得る。処理途中の画像データも記憶部12の画像メモリ33内に記憶される。制御部11は、最終的に得られた画像データを印画部2に送る。
印画部2は、受信した最終的に得られた画像データを印画データとして、プリンタ制御部22がサーマルヘッド23やインクリボン送りモータ25を制御し、画像印画39を実行する。
次に、図3、図4を用いて、本実施の形態による画像処理の流れを説明する。図3は、画像処理の流れを示すフローチャート、図4は、画像データ生成装置1の記憶部12の詳細を示す図である。
まず、印画部2の解像度に合わせて、画像データG1の解像度変換処理を行い、画像データG2を生成し、記憶部12の画像メモリ33に保存し、さらに、画像データG2の階調変換を行い、画像データG3を生成し、記憶部12の画像メモリ33に保存する(ステップ101)。
また、階調変換処理では、同一色を2つに分解し、ずらし、重ね印画するダブルトーンの場合、理想的には50%の階調変換をすればよいが、実際には、50%では重ね印画したときに隙間ができてしまうため、60〜65%の階調変換を行う。最適な階調変換は、印画部2の解像度、印画画像の線数等により異なるので、階調変換パラメータ45として記憶部12の処理パラメータ37に予め格納しておくとよい。
例えば、解像度600dpiで線数60lpi(lines per inch)および75lpiの場合は60%、100lpiおよび120lpiの場合は65%というように予め定めて、記憶部12の処理パラメータ37に格納しておき、処理時に適する階調変換パラメータを検索して使用する。
各色についての処理(ステップ102〜105)は同様なので、ここでは、単色であるものとして説明する。
ダブルトーンでずらすためのシフト処理を行う場合には、画像データG3の画素をそれぞれ予め定めたL1画素分だけ右へシフトし、画像データG4を生成し、さらに、画像データG4を下方向に予め定めたL2画素分だけシフトし、画像データG5を生成する(ステップ102)。生成した画像データG4および画像データG5は記憶部12の画像メモリ33に格納する。
例えば、サーマルヘッド23の解像度が600dpiのとき、線数が60lpiならばL1=5(右へ5画素)、L2=5(下へ5画素)、75lp iならばL1=4(右へ4画素)、L2=4(下へ4画素)、100lpiならばL1=3(右へ3画素)、L2=3(下へ3画素)、120lpiならばL1=2(右へ2画素)、L2=2(下へ2画素)というように予め定めて処理パラメータ37にシフト処理パラメータ49として格納しておく。
網点のマトリクスサイズはサーマルヘッド23の解像度や画像の線数により異なるが、例えば、解像度600dpiの場合、線数60lpiで10×10画素、75lpiで8×8画素、100lpiで6×6画素、120lpiで5×5画素というように予め定めておき、記憶部12の処理パラメータ37に網点処理パラメータとして格納しておく。
画像逆シフト処理は、ステップ102の画像シフト処理と逆の方向に同じ画素数分シフトさせるものである。逆シフトさせる画素数は、記憶部12の処理パラメータ37のシフト処理パラメータ47を使用すればよい。これにより、網点変換処理データの画素位置が正しい位置に移動する。
蓄熱補正処理手法としていくつかの方法が提案されているが、例えば、特願2004−102164の手法を用いればよい。ここでは簡単にこの手法を説明する。
これにより、輪郭部分とそれ以外の部分の面積の違いを考慮した蓄熱補正処理が可能になる。
白色の裏打ちは、透明のフィルムに単色またはカラー画像に重ねて印画され、これにより、単色またはカラー画像が透けて見えないようにする効果がある。白裏打ちに図8に示したような印画かすれや印画じわがあると、単色またはカラー画像が透けたり、むらが生じて、画質が落ちてしまうのである。
以上の一連の処理により、サーマルヘッド23の蓄熱によるつぶれやざらつき感がなく、また白裏打ち部分にかすれやしわのない良好な画像を印画することが可能になる。
次に、ステップ106の白裏打ち処理について図5〜図7に沿って詳しく説明する。図5は白裏打ち処理の流れを示すフローチャート、図6は、白裏打ち処理を説明する図、図7はトーン補正領域の抽出を説明する図である。
まず、制御部11は、画像データG1を元に、白裏打ち処理を行う部分の画像データGX1を複製する(ステップ201)。白裏打ち処理用の元画像データGX1をユーザが任意に生成してもよい。
図6(a)は、画像データGX2の例である。黒の部分が白裏打ちを行う印画部分である。ここで、白裏打ちは、印画方向Aで印画されることとする。
すなわち、画像データGX2の階調を反転し、画像データGX3を生成する(ステップ203)。これによって、白裏打ちを行う印画部分の画素値が0%(白)、その他の部分の画素値が100%(黒)となる(図6(b))。
また、制御部11は、移動ピクセル数Iの係数iを1とし(ステップ205)、さらに、作業用の画像データGX4(i-1)、すなわちGX4(0)を画像データGX3とする(ステップ206)。
同図(a)は、白裏打ち処理を行う部分の画像データGX2である。黒丸で示してある画素が白裏打ち処理を行う画素である。印画方向は同図に示すように方向Aであり、g1から順に1ラインずる印画方向Aに印刷していくものとする。 また、同図(b)は、画像データGX2を反転した画像データGX3である。この画像データGX3、すなわちGX4(0)に対して、ピクセル移動および塗り潰しの処理を行う。ここでは、移動ピクセル数I=2とし、2ピクセル分移動し、塗り潰し処理を行うこととする。
画像データGX4(1)の最初の1ライン(g1)の画素値は画像データGX4(0)の最初の1ライン(g1)の画素値である。次に、画像データGX4(1)の2番目のラインの画素値は、画像データGX4(0)の第1ライン(g1)の画素値と第2ライン(g2)の画素値のオアをとった値とする。例えば、画像データGX4(0)の第2ライン(g2)の8番目の画素は0%(白)だが、第1ライン(g1)の8番目の画素(100%(黒))とのオアをとるので、画像データX4(1)の第2ラインの8番目の画素値は100%(黒)に塗り潰されることになる。
全ラインについて以上の処理を実行すると、図7(c−1)のGX4(1)が得られる。
全ラインについて1ピクセルの移動と塗り潰し処理が完了したら、係数iを1インクリメントして、i≦Iならば(図5のステップ208のyes)、ステップ207の処理を繰り返す。
同様の処理をI回繰り返し(ステップ207、208)、i>Iになったら(図5のステップ208のno)、ピクセル移動、塗り潰しの処理を終了する。
図7の例では、移動ピクセル数I=2としたので、画像データGX4(2)が得られる。
実際には、移動ピクセル数Iは200程度に設定されている。図6(b)の画像データGX3にI=200としてピクセル移動および塗り潰し処理(ステップ207)を実施した画像データGX4(200)を同図(c)に示す。
同図(c−2)の画像データGX4(2)の各画素値と、同図(a)の画像データGX2の各画素値のアンドをとると、同図(c)の画像データGX5が得られる。
同図に示すように、白裏打ち部分(同図(a)の黒丸)を印画方向Aで印画する場合の立ち上がり部の2ピクセルが抽出される。
すなわち、同図(a)の印画方向の立ち上がり部分が最大200ピクセル分抽出されている。
以上の処理によって抽出された画像データGX5の部分の印画エネルギーを上げることにより、図8(c)に示したような印画の立ち上がり部分でのかすれの問題が解消されることになる。
すなわち、画像データGX2のように印画部分がすべて100%のトーンだと、サーマルヘッドに蓄熱が起こり、図8(d)に示すような印画じわ等の画質の劣化を生じるので、蓄熱補正処理を実行する。ここで行う蓄熱補正処理は、前述した図3のステップ105に示した蓄熱補正処理と同様の処理である。この処理により、輪郭と輪郭以外の部分の面積の違いを考慮した蓄熱補正画像データGX6が生成される(図6(e))。
よって、次に、制御部11は、画像データGX5で100%(黒)の全画素に対応する画像データGX6の画素にトーン補正を行い、白裏打ち画像データG10を得る。例えば、画像データGX6で52%のトーンを57%に補正する。
図6(f)は、同図(e)の蓄熱補正画像データGX6の画素のなかで、同図(d)の補正領域の部分の画素トーンを57%に補正した画像データG10である。
図3のフローチャートに戻り、ステップ106が終了し、画像処理35が完了する。
画像処理35によって生成された単色あるいはカラー(C、M、Y、K)の蓄熱補正画像データG9と白裏打ち画像データG10は、ケーブル3を介して印画部2に送られ、一時的にバッファメモリ21に保持され、プリンタ制御部22によりサーマルヘッド23およびインクリボン送りモータ25等が制御されて印画が行われる。
1………画像データ生成装置
2………印画部
5………画像データ
11………制御部
12………記憶部
23………サーマルヘッド
33………画像メモリ
37………処理パラメータ
35………画像処理
Claims (4)
- サーマルヘッドを有する熱転写記録装置であって、
印画対象の画像データから白裏打ち印画領域を抽出する白裏打ち印画領域抽出手段と、
前記白裏打ち印画領域の立ち上がり領域を、トーン補正領域として抽出するトーン補正領域抽出手段と、
前記白裏打ち印画領域のうち、前記トーン補正領域に対応する画素のトーンを増加させ、印加エネルギーを上げるように補正するトーン補正手段と、
を具備し、
前記トーン補正領域抽出手段は、
前記白裏打ち印画領域を示す画素に第1階調値、及びそれ以外の領域を示す画素に前記第1階調値と異なる第2階調値を割り当てた第1画像データを生成し、
前記第1画像データの階調を反転し、前記白裏打ち印画領域を示す画素に前記第2階調値、及びそれ以外の領域を示す画素に前記第1階調値を割り当てた第2画像データを生成し、
前記第2画像データ、又は前記第2画像データを印画方向に1ピクセルずつ移動させたデータのいずれか一方において前記第1階調値を取る画素に、前記第1階調値を割り当てた第3画像データを生成し、
前記第1画像データにおいて前記第1階調値を取り、かつ、前記第3画像データにおいて前記第1階調値を取る画素を、前記トーン補正領域とする
ことを特徴とする熱転写記録装置。 - 前記白裏打ち印画領域に対して、輪郭と輪郭以外の部分の面積の違いを考慮した蓄熱補正処理を実行する蓄熱補正手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録装置。 - 熱転写記録方法であって、
印画対象の画像データから白裏打ち印画領域を抽出する白裏打ち印画領域抽出工程と、
前記白裏打ち印画領域の立ち上がり領域を、トーン補正領域として抽出するトーン補正領域抽出工程と、
前記白裏打ち印画領域のうち、前記トーン補正領域に対応する画素のトーンを増加させ、印加エネルギーを上げるように補正するトーン補正工程と、
を含み、
前記トーン補正領域抽出工程は、
前記白裏打ち印画領域を示す画素に第1階調値、及びそれ以外の領域を示す画素に前記第1階調値と異なる第2階調値を割り当てた第1画像データを生成し、
前記第1画像データの階調を反転し、前記白裏打ち印画領域を示す画素に前記第2階調値、及びそれ以外の領域を示す画素に前記第1階調値を割り当てた第2画像データを生成し、
前記第2画像データ、又は前記第2画像データを印画方向に1ピクセルずつ移動させたデータのいずれか一方において前記第1階調値を取る画素に、前記第1階調値を割り当てた第3画像データを生成し、
前記第1画像データにおいて前記第1階調値を取り、かつ、前記第3画像データにおいて前記第1階調値を取る画素を、前記トーン補正領域とする
ことを特徴とする熱転写記録方法。 - 前記白裏打ち印画領域に対して、輪郭と輪郭以外の部分の面積の違いを考慮した蓄熱補正処理を実行する蓄熱補正工程、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録方法。
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