JP5093198B2 - 車両用衝突検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する車両用衝突検知装置に関する。
従来、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
例えば特開2006−117157号公報(特許文献1)には、衝突を検知するために車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者などの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。
特開2006−117157号公報
ここで、上述したチャンバ部材と圧力センサとを用いた車両用衝突検知装置において、アブソーバの上面且つバンパレインフォースメント前面にチャンバ部材を配置する構成が考えられる。例えば、チャンバ部材は、車幅の中央において、図10(a)に示すように、バンパレインフォースメント4の前面で且つチャンバ部材7の上面とバンパレインフォースメント4の上面が、ほぼ同じ高さで配設されている。つまり、チャンバ部材7は、バンパレインフォースメント4に対向して配設されている。衝突が発生した際は、同図(b)に示すように、チャンバ部材7は、押圧され変形し、バンパレインフォースメント4に支えられるようになっている。そして、チャンバ部材7の圧力は、圧力センサに正確に検出される。
しかし、固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ部材7は、図11(a)に示すように、バンパレインフォースメント4に配設された固縛フック取り付け部5a等の突起部材を避けるために、チャンバ部材7の一部形状がバンパレインフォースメント4上面の位置よりも高く配設されている。この場合、突起部材付近のチャンバ部材7の後壁部上方の一部には、バンパレインフォースメント4が配設されていない部分、つまり、バンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分が存在する。そのため、突起部材付近に衝突が発生した際に、同図(b)に示すように、チャンバ部材7の後壁部の非対向部分は、バンパレインフォースメント4前面に当接せず、チャンバ部材7の他の部分とは異なる変形が生じることがあった。そのため、車幅方向における衝突位置によってはチャンバ部材7内部の圧力が分散することにより、衝突検知性能を確保できない虞がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、チャンバ部材の後方にバンパレインフォースメントが存在しない部位に衝突が発生した場合でも正確に衝突検知可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つ前壁部と後壁部とによって挟まれたチャンバ空間を内部に形成してなる軟質樹脂製のチャンバ本体を有するチャンバ部材と、圧力検出用のセンサ素子を内部に収容してなる圧力センサとを備え、前記チャンバ空間内の圧力を前記圧力センサの前記センサ素子により圧力検出を行い、その圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材は、前記後壁部に前記バンパレインフォースメントの前面との対向部から非対向部に跨って補強部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つ前壁部と後壁部とによって挟まれたチャンバ空間を内部に形成してなる軟質樹脂製のチャンバ本体を有するチャンバ部材は、後壁部における少なくともバンパレインフォースメントの前面と対向しない非対向部分に肉厚の補強部が設けられている。よって、車両バンパへ衝突が発生した際、チャンバ部材の後壁部における非対向部分では補強部によって確実に変形が防止されるので、圧力検出性能の低下が抑制される。従って、チャンバ部材の後方にバンパレインフォースメントが存在しない部位に衝突が発生した場合でも正確に衝突検知を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材の前記補強部は、前記チャンバ本体よりも硬質性の材質からなるインサート部材をインサート成形することによって形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材の補強部は、チャンバ本体よりも硬質性の材質からなるインサート部材をインサート成形することにより形成されているので、チャンバ部材の剛性が増大され、後壁部の非対向部分における衝突による変形を確実に防止することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材の前記補強部は、前記チャンバ本体と同一の軟質性樹脂によって一体的に形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材の補強部は、チャンバ本体と同一の軟質性樹脂によって一体的に形成されているので、他の部材を用いることが無く、少ない部品点数で容易且つ安価に製造することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材は、ブロー成形によって形成されるものであり、前記ブロー成形におけるパーティングラインが前記前壁部よりも前記後壁部寄りに設定されることによって前記補強部が形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材は、ブロー成形によって形成されるものであり、ブロー成形におけるパーティングラインが前壁部よりも後壁部寄りに設定されることによって、チャンバ部材の後壁部が確実に肉厚の補強部として形成される。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材は、前記バンパレインフォースメント前面の突起部を避けるために下面側に設けられた下側凹部と、前記下側凹部上方の上面側に設けられ且つ少なくとも一部が前記バンパレインフォースメントの前面と対向しない前記非対向部分である上側凸部とを有し、前記上側凸部に前記補強部が設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材は、バンパレインフォースメント前面の突起部を避けるために下面側に設けられた下側凹部と、下側凹部上方の上面側に設けられ且つ少なくとも一部がバンパレインフォースメントの前面と対向しない非対向部分である上側凸部とを有し、上側凸部に補強部が設けられているので、バンパレインフォースメント前面の突起部付近においてもチャンバ部材の体積を確保することが可能になり、チャンバ部材が受ける圧力を均等に検出することができる。また、非対向部分である上側凸部に補強部が設けられているので、当該部分における衝突による変形が防止される。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材は、車幅方向両端部に少なくとも一部が前記バンパレインフォースメントの前面と対向しない前記非対向部分が設けられ、前記車幅方向両端部に前記補強部が設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材は、車幅方向両端部に少なくとも一部がバンパレインフォースメントの前面と対向しない非対向部分が設けられ、車幅方向両端部に補強部が設けられているので、車幅方向両端部の後端部における衝突による変形が防止され、チャンバ部材の車幅方向両端部における圧力検出性能の低下が抑制される。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置において、前記チャンバ部材は、前記後壁部の車幅方向全体に亘って前記補強部が形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ部材は、後壁部の車幅方向全体に亘って補強部が形成されているので、チャンバ部材全体が撓みにくくなり、チャンバ部材を車両に取り付ける際や持ち運び時等における取り扱いが容易となる。
請求項8に記載の発明は、前記バンパレインフォースメントの車両左右方向の長さは前記チャンバ部材の車両左右方向の長さよりも短く、当該チャンバ部材は当該バンパレインフォースメントの両端から各々所定距離突き出た形状であることを特徴とする。
この構成によれば、バンパレインフォースメントの車両左右方向の長さを短くすることができるので、その分、バンパレインフォースメントの重量を軽くすることができる。従って、車両の重量を軽くすることが出来る。また、バンパレインフォースメントの長さが短くて済むので、製作コストも低減することができると共に、他の部品の設置スペースを拡げることが出来る。
請求項9に記載の発明は、前記チャンバ部材における前記バンパレインフォースメントの両端から各々所定距離突き出た部分は、当該バンパレインフォースメントの両端面に沿って延長された形状であることを特徴とする。
この構成によれば、チャンバ本体の車両左右方向への突き出し部分への物体の衝突時に、その突き出し部分がバンパレインフォースメントの端面で支えられるので、その突き出し部分の曲がりを抑制することが出来る。
実施形態の車両用衝突検知装置を平面視にて示す全体構成図である。 実施形態の車両用衝突検知装置を横から見た要部断面図である。 チャンバ潰れピーク荷重と曲げ弾性率との関係を示すグラフである。 (a)はチャンバ部材の後壁部にインサート部材を一体的に成形した状態を横から見た車両バンパ中央付近の断面図であり、(b)はチャンバ部材の後壁部にインサート部材を一体的に成形した状態を横から見た固縛フック取り付け部付近のチャンバ部材の断面図である。 実施形態の車両用衝突検知装置の固縛フック取り付け部付近のチャンバ部材の正面図である。 実施形態の車両用衝突検知装置の固縛フック取り付け部付近の衝突の際のチャンバ部材の断面図である。 (a)は実施形態の変形例の車両用衝突検知装置の横から見た車両バンパ中央付近の要部断面図であり、(b)は変形例の車両用衝突検知装置の横から見た固縛フック取り付け部付近の要部断面図である。 (a)は、チャンバ部材のブロー成形による型締め状態を示す要部断面図であり、(b)は、チャンバ部材の中空半成品として膨張賦形された状態を示す断面図である。 実施形態の変形例の車両用衝突検知装置の衝突の際のチャンバ部材の断面図である。 (a)は従来の車両用衝突検知装置の横から見た車両バンパ中央付近のチャンバ部材の要部断面図であり、(b)は衝突の際の車両用衝突検知装置の横から見たチャンバ部材の要部断面図である。 (a)は従来の車両用衝突検知装置の横から見た固縛フック取り付け部付近のチャンバ部材の要部断面図であり、(b)は衝突の際の車両用衝突検知装置のチャンバ部材の横から見た要部断面図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例1であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図、(c)は(a)に示すD−D線で切断した断面図である。 従来の車両バンパ部分の平面図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例2であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例3であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例4であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例5であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図である。 本実施形態の車両用衝突検知装置の車両バンパ部分の変形例6であり、(a)は車両バンパ部分を平面視し、その概略右側半分を表した図、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体及びアブソーバを車両正面から見た図である。
以下、本発明の車両用衝突検知装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態である車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。図2は、車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図(図1のA−A線断面)である。図3は、チャンバ潰れピーク荷重と曲げ弾性率との関係を示すグラフである。図4(a)は、チャンバ部材7の後壁部710にインサート部材71aを一体的に成形した状態を横から見た車両バンパ中央付近の断面図(図1のB−B線断面)である。同図(b)は、チャンバ部材7の後壁部710にインサート部材71を一体的に成形した状態を横から見た固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ部材7の断面図(図1のC−C線断面)である。図5は、固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ部材7の正面図である。図6は、衝突の際の固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ部材7を横から見た断面図(図1のC−C線断面)である。
車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたチャンバ部材7と、圧力センサ8と、歩行者保護装置ECU10とを主体として構成されている。
車両バンパ2は、図1、図2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を主体として構成されている。尚、図2では、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、アブソーバ6及びチャンバ部材7をそれぞれ断面(図1のA−A線)で示している。
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
サイドメンバ5は、車両の左右両側面近傍に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
固縛フック取り付け部5aは、車両前方側から固縛フックを用いてロープ等を介して牽引させるために使用される突起部材であって、バンパレインフォースメント前面4aまたはサイドメンバ5に配設され、バンパレインフォースメント前面4aよりも前方へ突出している。
アブソーバ6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの下方側に取り付けられる車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。
チャンバ部材7は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの上方に対向する構成で配置され、ポリエチレンなどの軟質性樹脂からなる車幅方向に延びる略箱状の中空部材であり、ブロー成形によって製造される。より詳細には、チャンバ部材7は、チャンバ本体71と、延設部72とを備えている。
チャンバ本体71は、チャンバ部材7の大部分を占めており、前壁部709と後壁部710とによって挟まれた略密閉状のチャンバ空間7aを内部に形成してなる軟質樹脂製である。なお、チャンバ本体71の断面の厚さは、後壁部710が最も肉厚で形成されている。
ここで、チャンバ部材7の物性について詳しく説明する。図3に示すように、チャンバ潰れピーク荷重とは、チャンバ部材7の潰れ時に発生するピーク荷重(反力の最大値)である。同図のグラフに示されるように、チャンバ潰れピーク荷重と曲げ弾性率との間には比例関係が成立している。ここで、アブソーバ6は、歩行者の脚部に損傷を与えないために、歩行者衝突時に発生する反力が6〜8kNとなるように設定される。一方、チャンバ部材7は、アブソーバ6の衝撃吸収性能を阻害しないために軟らかい物性を有することが必要であり、歩行者衝突時に発生する反力、換言すればチャンバ部材7の許容潰れ荷重は、2kN以下で構成される。つまり、チャンバ部材7は、軟らかい物性を持つ軟質性樹脂であることがわかる。
なお、車両バンパ中央付近のチャンバ本体71は、図4(a)(図1のB−B線断面)に示すように、バンパレインフォースメント前面4aに配置され、チャンバ本体71の上面がバンパレインフォースメント4の上面とほぼ同じ高さで配設されている。
次に、固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ本体71は、同図(b)(図1のC−C線断面)に示すように、突起部材である固縛フック取り付け部5aを避けるように上方へ蛇行した形状で取り付けられ、チャンバ本体71の上面は、バンパレインフォースメント4上面の位置よりも高く配設されている。固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ本体71の後壁部710の上側は、バンパレインフォースメント4の前面と対向しない部分がある。詳細には、図5に示すように、固縛フック取り付け部5a付近のチャンバ本体71は、正面から見ると、チャンバ本体71の下面側に設けられた下側凹部712と、下側凹部712上方の上面側に設けられたバンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分である上側凸部713とを有している。
下側凹部712は、チャンバ本体71の下面側に設けられ、チャンバ本体71の内部に向かって円弧状になだらかな曲線で形成されている。なお、下側凹部712から下方は、チャンバ空間7aを含まない空間である。この空間に、固縛フック取り付け部5aが配設されている。
上側凸部713は、下側凹部712上方の上面側に設けられ、チャンバ本体71から上方に突出して円弧状になだらかな曲線で形成され、上側凸部713の内部空間はチャンバ空間7aと連通している。つまり、チャンバ本体71は、固縛フック取り付け部5aを避けるように、チャンバ本体71の一部を上方へ押し上げたような形状で形成される。
尚、チャンバ本体71は、下側凹部712と上側凸部713とを設けることによって、固縛フック取り付け部5aを避け且つ体積を確保することができる。そのため、圧力センサ8が車両バンパ2のどの位置でもチャンバ部材7が受ける圧力を均等に検出することができる。
また、チャンバ部材7の後壁部710には、車幅方向全体に亘って補強部711が形成されている。補強部711の断面の厚みは、インサート部材71aがインサート成形されることで、チャンバ部材7の前壁部709や各側面の断面よりも肉厚に形成される。
インサート部材71aは、チャンバ部材7の材質である軟質性樹脂よりも硬質性の材質、例えば、鉄等の金属や、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の硬質性樹脂から成る。インサート成形は、射出成形法の一つであり、インサート部材71aを金型内に設置し、軟質性樹脂を注入することによりチャンバ部材7と一体化される。インサート部材71aは、補強部711と同様に、チャンバ部材7の後壁部710の横幅及び縦幅とほぼ同じで大きさで構成され、補強部711にインサート成形される。よって、軟質性樹脂で形成されたチャンバ部材7の後壁部710は、補強部711が、硬質性樹脂のインサート部材71aと一体的に形成されることで、より剛性を増すことになる。そして、補強部の断面の厚みは、インサート部材71aがインサート成形されたことにより、チャンバ部材7の前壁部709や各側面の断面の厚さ(約1mm)よりも厚く形成され、例えば約3mm〜10mmの厚さで構成されている。
延設部72は、軟質樹脂によってチャンバ本体71と一体的に成形され、チャンバ本体71の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント4正面の上方に延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部72の内部空間は、チャンバ本体71の内部空間と連通しており、チャンバ空間7aの一部分を形成している。また、延設部72の上部には、内部空間(すなわち、チャンバ空間7a)を外部に連通させる開口部72bが設けられている。
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、圧力センサ8の本体と、圧力導入管81とで構成され、圧力センサ8の本体には圧力検出用のセンサ素子が設けられている。そして、圧力導入管81は、延設部72の開口部72bに挿入され、圧力を検出する。圧力センサ8は、圧力に比例した電圧信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号を送信する。
歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8と接続され、車両本体に配置されている。図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が信号線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
次に、本実施形態の車両用衝突検知装置1による衝突の検知について説明する。本実施例の衝突検知装置が組み付けられた車両バンパ2は、図1に示したように、バンパカバー3がチャンバ部材7とアブソーバ6を被覆し、車両バンパ2の外表面を形成している。
この車両のバンパに歩行者が衝突すると、歩行者が車両バンパ2を押圧することとなり、そしてバンパカバー3を介してチャンバ部材7を押圧し、チャンバ部材7の押圧された部分は変形し潰れる。特にチャンバ部材7の固縛フック取り付け部5a付近の作用について説明すれば、図6に示すように、チャンバ部材7は、車両前方側から車両方向側へ押圧される。そして、補強部711が設けられた後壁部710は、インサート部材71aがインサート成形されていることによって、十分な剛性が確保されているため、バンパレインフォースメント前面4aに対向しない非対向部分においても変形が防止される。
圧力センサ8は、チャンバ部材7の変形によりチャンバ空間7aにおける気体圧力を圧力導入管81を経て検出し、圧力センサ8から出力される信号が信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10に送られて圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行することになる。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、車両バンパ内でバンパレインフォースメント4の前面に配設され且つ前壁部709と後壁部710とによって挟まれたチャンバ空間7aを内部に形成してなる軟質樹脂製のチャンバ本体71を有するチャンバ部材7は、後壁部710における少なくともバンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分に肉厚の補強部711が設けられている。よって、車両バンパ2へ衝突が発生した際、チャンバ部材7の後壁部710における非対向部分では補強部711によって確実に変形が防止されるので、圧力検出性能の低下が抑制される。従って、チャンバ部材7の後方にバンパレインフォースメント4が存在しない部位に衝突が発生した場合でも正確に衝突検知を行うことができる。
また、チャンバ部材7の補強部711は、チャンバ本体71よりも硬質性の材質からなるインサート部材71aをインサート成形することにより形成されているので、チャンバ部材7の剛性が増大され、後壁部710の非対向部分における衝突による変形を確実に防止することができる。
さらに、チャンバ部材7は、バンパレインフォースメント前面4aの固縛フック取り付け部5aを避けるために下面側に設けられた下側凹部712と、下側凹部712上方の上面側に設けられ且つ少なくとも一部がバンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分である上側凸部713とを有し、上側凸部713に補強部711が設けられているので、バンパレインフォースメント前面4aの突起部である固縛フック取り付け部5a付近においてもチャンバ部材7の体積を確保することが可能になり、チャンバ部材7が受ける圧力を均等に検出することができる。また、非対向部分である上側凸部713に補強部711が設けられているので、当該部分における衝突による変形が防止される。
特に、チャンバ部材7は、後壁部710の車幅方向全体に亘って補強部711が形成されているので、チャンバ部材7全体が撓みにくくなり、チャンバ部材7を車両に取り付ける際や持ち運び時等における取り扱いが容易となる。
次に、上述した実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。図7(a)は、変形例の車両用衝突検知装置の横から見た車両バンパ中央付近の要部断面図であり、同図(b)は変形例の車両用衝突検知装置の横から見た固縛フック取り付け部5a付近の要部断面図である。図8(a)は、チャンバ部材7のブロー成形による型締め状態を示す要部断面図であり、同図(b)は、チャンバ部材7の中空半成品として膨張賦形された状態を示す断面図である。なお同図(a)、(b)は、図1のB−B線断面図に相当する。図9は、変形例の車両用衝突検知装置の衝突の際のチャンバ部材の断面図である。尚、上述した実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明を省略する(以下の実施形態及び変形例においても同様)。
上記実施形態では、チャンバ部材7の補強部711において、インサート部材71aをチャンバ部材7の補強部711にインサート成形によって、一体化する構成としたが、本変形例では、図7(a)、同図(b)に示すように、補強部711の断面の厚みをチャンバ本体71と同一の軟質性樹脂によって肉厚にしたことを特徴とする。尚、チャンバ部材7は、上側凸部713と下側凹部712とが配設されている点は、上記実施形態と同じである。
チャンバ部材7の補強部711は、図8(a)に示すように、1組の金型20、21とを型合わせし、型締めすることによって形成される。金型20の内部の側面20aは、チャンバ部材7の前壁部709が形成され、金型21の内部の側面21aは、チャンバ部材7の後壁部710が形成される。金型20の内部の側面20aからパーティングライン(型と型との合わせ面)Pまでの距離と、金型21の内部の側面21aからパーティングラインPまでの距離とは、金型21の方が短く構成されている。なお、吹き込み口30は、パーティングラインPの垂直延長上の位置に配設されている。つまり、ブロー成形におけるパーティングラインPは、チャンバ部材7の前壁部709よりも後壁部710寄りに設定されることによって、チャンバ部材7の補強部711が形成される。
チャンバ部材7の材料となる溶けた軟質性樹脂は、同図(b)に示すように、吹き込み口30から空気が送り込まれると、金型20、21の内部の型に沿って膨張し形成する。金型20側の軟質性樹脂は、吹き込み口30から空気を圧送されて膨張しつつ薄く延び、パーティングラインPから離れるほど断面が薄くなり、側面20aに拡がりつつ、前壁部709を形成する。一方、金型21側の内部に形成された軟質性樹脂は、吹き込み口30から空気を圧送されると、吹き込み口30から側面21aまでの距離が短いために、長く延びることができずに、肉厚のまま後壁部710の補強部711を形成する。
つまり、補強部711は、パーティングラインPの位置が異なる1組の金型を用い、ブロー成形におけるパーティングラインPがチャンバ部材7の前壁部709よりも後壁部710寄りに設定されることで、同一の軟質性樹脂によって他の壁面よりも厚く形成することができる。尚、補強部711の断面の厚さは、パーティングラインPの位置によって約3mm〜10mmの肉厚で構成されるのが好ましい。補強部711を同一の軟質性樹脂で構成しても、図9に示すように、衝突の際に、チャンバ部材7の上側凸部713の後壁部710に配設された補強部711は、車両前方側から車両後方側へ押圧されるが、補強部711が肉厚で形成されていることによって、剛性が増し、変形が防止される。よって、圧力センサ8は、チャンバ部材7の変形によりチャンバ空間7aにおける圧力を正確に検出することができる。
以上詳述したことから明らかなように、本変形例によれば、チャンバ部材7の補強部711は、チャンバ本体71と同一の軟質性樹脂によって一体的に形成されているので、他の部材を用いること無く、少ない部品点数で容易且つ安価に製造することができる。
さらに、チャンバ部材7は、ブロー成形によって形成されるものであり、ブロー成形におけるパーティングラインPが前壁部709よりも後壁部710寄りに設定されることによって、チャンバ部材7の後壁部710が確実に肉厚の補強部711として形成される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。例えば、チャンバ本体71の下側凹部712と上側凸部713の形状を円弧状としたが、台形等の四角形状でもよい。チャンバ本体71は、固縛フック取り付け部5aを避け且つ体積を確保することができるため、圧力センサ8が車両バンパ2のどの位置でもチャンバ部材7が受ける圧力を均等に検出することができる。
また、上述した各実施形態では、チャンバ部材7において後壁部710の車幅方向全体に亘って補強部711を設けた例を示したが、後壁部710における少なくともバンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分に肉厚の補強部711が設ければ同様の効果が得られる。例えば、バンパレインフォースメント4の前面と対向しない非対向部分である上側凸部713、チャンバ本体71の車幅方向両端部においてバンパレインフォースメント前面4aから側方へはみ出した部分のみに補強部711を設ける構成としてもよい。
この他、図12に示すように、チャンバ本体71−1及びアブソーバ6−1を車両左右方向にバンパレインフォースメント4−1の両端から各々突き出す形状としても良い。但し、図12(a)は車両バンパ2の部分を図1と同様に平面視し、その概略右側半分を表した図であり、(b)はその概略右側半分のチャンバ本体71及びアブソーバ6を車両正面から見た図、(c)は(a)に示すD−D線で切断した断面図である。
図13に示すように、従来の構造ではチャンバ本体71a及びアブソーバ6aの車両左右方向の長さが、バンパレインフォースメント4aと概略同じ長さとされていた。これは、チャンバ本体71a及びアブソーバ6aとの支えとしてバンパレインフォースメント4aが存在するので、チャンバ本体71aが車両左右方向に長いとバンパレインフォースメント4aもそれに応じて長くする必要があったためである。
しかし、この従来の構造の場合、バンパレインフォースメント4aをチャンバ本体71aと同様に長くする必要があるが、バンパレインフォースメント4aはそれ自体重量があるのでバンパレインフォースメント4aが長くなる程に車両の重量が重くなり、また、製作コストも嵩むという欠点があった。また、バンパレインフォースメント4aが長くなる分、スペースが取られるので、他の部品の設置スペースが狭くなったり、無くなったりする欠点もあった。
そこで本実施形態では、図12に示したように、チャンバ本体71−1及びアブソーバ6−1を車両左右方向にバンパレインフォースメント4の両端から各々突き出す形状とした。言い換えれば、バンパレインフォースメント4−1の車両左右方向の長さを短くする構成とした。また、チャンバ本体71―1のバンパレインフォースメント4への設置面側の後壁部710は、この後壁部710と対向側の前壁部709よりも肉厚が厚く形成されている。
従って、チャンバ本体71−1の車両左右方向の突き出し部分に人等の物体が衝突した場合でも、この衝突側の前壁部709の方が後壁部710よりも薄いので前壁部709が凹み、この凹みによるチャンバ空間7aの気体圧力を圧力センサ8(図2参照)で正確に検出することができる。
このように、バンパレインフォースメント4−1の車両左右方向の長さを短くすることができるので、バンパレインフォースメント4−1の重量を軽くすることができ、その分、車両の重量を軽くすることが出来る。また、バンパレインフォースメント4−1の長さが短くて済むので、製作コストも低減することができると共に、他の部品の設置スペースを拡げることが出来る。
また、図14に示すように、アブソーバ6−2の車両左右方向の長さをバンパレインフォースメント4−1と同じとしても、図12に示した車両バンパ構成と同様の効果を得ることが出来る。
また、図15に示すように、チャンバ本体71−2の車両左右方向への突き出し部分を、バンパレインフォースメント4−1の端面に沿って車両後方に延長した形状としても良い。この場合、その延長部分のバンパレインフォースメント4−1への当接面が、上述の後壁部710と同様に厚く、また、延長部分の車両後側の壁部も同様に厚い構成とする。
この構成によって、チャンバ本体71−2の車両左右方向への突き出し部分への物体の衝突時に、その突き出し部分がバンパレインフォースメント4−1の端面で支えられるので、その突き出し部分の曲がりを抑制することが出来る。
この図15に示す車両バンパ構成において、図16に示すように、アブソーバ6−2の車両左右方向の長さをバンパレインフォースメント4−1と同じとしても、図15に示した車両バンパ構成と同様の効果を得ることが出来る。
なお、図14に示した車両バンパ構成において、図17に示すように、チャンバ本体71−3の車両左右方向への突き出し部分を、車両下方に延長し、この延長部分の下面がアブソーバ6−2の下面と一直線に配置される形状としても良い。この場合、チャンバ本体71−3の車両左右方向への突き出し部分が他の部分よりも高くなるので、その突き出し部分への物体の衝突時の凹み面積が広くなるので、チャンバ空間7aの圧力変化を大きくすることができ、その分、圧力センサ8での圧力検知を高感度とすることができる。
この効果は、図16に示した車両バンパ構成を変形した図18に示す車両バンパ構成においても同様に得ることができる。図18に示す車両バンパ構成は、チャンバ本体71−4の車両左右方向への突き出し部分を、更に車両下方に延長し、この延長部分の下面がアブソーバ6−2の下面と一直線に配置される形状としたものである。
1 車両用衝突検知装置
2 車両バンパ
3 バンパカバー
4,4−1 バンパレインフォースメント
4a バンパレインフォースメント前面
5 サイドメンバ
5a 固縛フック取り付け部
6,6−1,6−2 アブソーバ
7 チャンバ部材
71,71−1〜71−4 チャンバ本体
7a チャンバ空間
709 前壁部
710 後壁部
711 補強部
71a インサート部材
712 下側凹部
713 上側凸部
72 延設部
72b 開口部
8 圧力センサ
81 圧力導入管
10 歩行者保護装置ECU
10a 信号線
20,21 金型
20a,21a 側面
P パーティングライン
30 吹き込み口

Claims (9)

  1. 車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つ前壁部と後壁部とによって挟まれたチャンバ空間を内部に形成してなる軟質樹脂製のチャンバ本体を有するチャンバ部材と、圧力検出用のセンサ素子を内部に収容してなる圧力センサとを備え、前記チャンバ空間内の圧力を前記圧力センサの前記センサ素子により圧力検出を行い、その圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
    前記チャンバ部材は、前記後壁部に前記バンパレインフォースメントの前面との対向部から非対向部に跨って補強部が設けられていることを特徴とする車両用衝突検知装置。
  2. 前記チャンバ部材の前記補強部は、前記チャンバ本体よりも硬質性の材質からなるインサート部材をインサート成形することによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
  3. 前記チャンバ部材の前記補強部は、前記チャンバ本体と同一の軟質性樹脂によって一体的に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
  4. 前記チャンバ部材は、ブロー成形によって形成されるものであり、前記ブロー成形におけるパーティングラインが前記前壁部よりも前記後壁部寄りに設定されることによって前記補強部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両用衝突検知装置。
  5. 前記チャンバ部材は、前記バンパレインフォースメント前面の突起部を避けるために下面側に設けられた下側凹部と、前記下側凹部上方の上面側に設けられ且つ少なくとも一部が前記バンパレインフォースメントの前面と対向しない前記非対向部分である上側凸部とを有し、前記上側凸部に前記補強部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
  6. 前記チャンバ部材は、車幅方向両端部に少なくとも一部が前記バンパレインフォースメントの前面と対向しない前記非対向部分が設けられ、前記車幅方向両端部に前記補強部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
  7. 前記チャンバ部材は、前記後壁部の車幅方向全体に亘って前記補強部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
  8. 前記バンパレインフォースメントの車両左右方向の長さは前記チャンバ部材の車両左右方向の長さよりも短く、当該チャンバ部材は当該バンパレインフォースメントの両端から各々所定距離突き出た形状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
  9. 前記チャンバ部材における前記バンパレインフォースメントの両端から各々所定距離突き出た部分は、当該バンパレインフォースメントの両端面に沿って延長された形状であることを特徴とする請求項8に記載の車両用衝突検知装置。
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