JP5092656B2 - 電子回路部品、及びハードディスクドライブ用サスペンション - Google Patents

電子回路部品、及びハードディスクドライブ用サスペンション Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド及び導電性微粒子を含有する帯電防止材料を塗布されることにより、帯電防止性を付与された、電子回路部品、特にハードディスクドライブ用サスペンションに関する。
半導体技術の飛躍的な発展により半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ化、電子回路部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密度実装の時代に突入した。それに伴い、プリント配線基板も片側配線から両面配線へ、さらに多層化、薄型化が進められている(非特許文献1)。
パーソナルコンピューターや、携帯用音楽プレーヤー、DVDプレーヤーなどの記録装置として用いられるハードディスクドライブ(以下、HDDと略することがある。)は、それらの製品の世界的な普及と共に生産量が急激に伸びている。また、単位面積あたりの記録容量の増大に伴い、磁気情報をディスクから読み取る磁気ヘッドの高性能化が進んでいる。さらに磁気ヘッドを支持しているサスペンションといわれる部品も、ステンレスのばねに、銅配線を接続するワイヤードサスペンションから、小型化への対応のためステンレスのばねに直接銅配線が形成されているワイヤレスサスペンションといわれるものへと主製品が移り変わってきた。
このようなワイヤレスサスペンションはステンレス基材上に絶縁層としてポリイミドが施され、さらにその上部に銅配線が形成された構造となっている。また、近年、より高い信頼性が求められていることから、銅配線を覆うようにポリイミド等によって配線保護層を設ける場合も多くなっている。
サスペンションは、高速で回転するディスク上をスキャンすることから細かな振動が加わる部材であるため、ディスクの動きに的確に追従する柔軟性のみならず、配線の密着強度、発塵、アウトガス等、厳しいスペックが求められている。
磁気ヘッドの微細化、高機能化に伴い、絶縁膜の薄膜化等の影響で磁気ヘッド自体が静電的に破壊されやすくなってきており、磁気ヘッドに接続される部品や基板の帯電による製造時の歩留まり低下が問題となっている。
従来、この磁気ヘッドの静電破壊の課題については、特許文献1に開示されるように、HDDのヘッドサスペンションアセンブリのサスペンション上に位置した部分を除いて、配線パターン上の配線保護層上に帯電防止層を形成するなどして解決を図ってきた。しかしながら、磁気ヘッドの高性能化が進むに従い、サスペンション上に形成された配線パターン上に帯電した静電気によっても磁気ヘッドの静電破壊が発生するという問題が発生するようになってきた。
特開平11−250434号公報 特開2003−203436号公報 特開昭60−112827号公報 岩田,原園,「電子材料」,1996,35(10) ,p.53.
このように、磁気ヘッドの静電破壊に対する対策として、磁気ヘッドの高性能化、サスペンションの薄膜、微細化という状況の中、サスペンション自体に対する帯電防止処理が必須となってきている現状がある。
サスペンション上に発生する静電気に対しては、特許文献2において、全体を被覆するように導電性ポリマーが形成されたワイアレスサスペンションが提案されている。特許文献2に開示されている導電性ポリマーからなる帯電防止層の形成方法は、積層体を処理液中に浸漬して、サスペンションの全周を被覆するように導電性ポリマーを重合させながら析出させていく為、必要な箇所のみに直接パターン化して帯電防止層を設けることはできない。そのため特許文献2では、本来磁気ヘッドの静電破壊防止の観点からは必要のない配線層の裏面にも帯電防止層が形成されており、アウトガスの発生や発塵性が悪化する原因となる。
また、従来は特許文献1及び特許文献2に記載されているように、帯電防止層は、配線保護層上に別途設けられていた。このような場合には、帯電防止層自体の膜強度や膜の密着性が不十分になる場合があり、問題となっていた。
一方、特許文献3には、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸と金属微粒子を含有する導電ワニスが開示されているが、この導電ワニスは表面抵抗が小さい為、絶縁性に乏しく、本発明に適用させると配線をショートさせてしまう。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、サスペンション等の電子回路部品に本来求められている、低発塵、低アウトガス等の特性を満たしつつ、帯電防止層の密着性及び膜強度の問題が解消され、静電破壊が防止された電子回路部品、特にHDD用サスペンションを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、第一の導体層と、当該第一の導体層上に形成された絶縁層と、当該絶縁層上に当該絶縁層の一部が露出するように形成された第二の導体層と、少なくとも当該絶縁層及び当該第二の導体層上にそれらの一部が露出するように形成された導体保護層とを備えた積層体を含有する電子回路部品であって、当該導体保護層が、ポリイミドと導電性微粒子を含有する帯電防止性導体保護層であり、前記絶縁層中にポリイミドが90重量%以上含まれ、且つ、前記帯電防止性導体保護層におけるポリイミドと前記絶縁層におけるポリイミドが同一のポリイミドであることを特徴とする電子回路部品を提供する。
本発明によれば、上記導体保護層が、ポリイミドと導電性微粒子を含有して、帯電防止性能をも有していることから、低発塵、低アウトガス等の特性を満たしつつ、帯電防止層の密着性及び膜強度の問題が解消され、静電破壊が防止された電子回路部品、特に帯電防止性導体保護層付きHDD用サスペンションを提供することができる。
前記絶縁層は、耐熱性、信頼性、及び帯電防止性導体保護層の密着性の点から、前記絶縁層中にポリイミドが90重量%以上含まれることとしている。また、絶縁層、及び帯電防止性導体保護層に同一の物質を用いることで積層体全体の反りを抑制できる。
本発明に係る電子回路部品においては、上記帯電防止性導体保護層の厚みが0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、そのときに示す表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下であることが、第二の導体層間を絶縁しながら、本発明の電子回路部品に実装される素子の静電破壊を抑制する点から好ましい。一般に同じ組成の帯電防止剤を用いた場合、厚みが厚いと表面抵抗が下がり、厚みが薄いと表面抵抗があがる傾向がある。表面抵抗率が1.0×10Ω/□未満だと導体層間をショートさせてしまい、1.0×1010Ω/□超過だと帯電防止性能が不十分である恐れがある。従って、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下の範囲に入るように、適宜膜厚を設定することが好ましく、一般に0.01μm以上の厚みが必要である。また、前記積層体の柔軟性を阻害しないように50μm以下にすることが好ましい。
本発明に係る電子回路部品においては、前記導電性微粒子が、金属酸化物微粒子、及び/又は、炭素系微粒子であることが、帯電防止性能の点から好ましい。
本発明に係る電子回路部品においては、前記導電性微粒子の平均粒径が、1nm以上、1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超える場合、帯電防止性導体保護層の表面の平坦性が悪化する恐れがあり、平均粒径が1nmより小さい場合は、分散性が劣る為、溶液状態での安定性が低下する恐れがある。
本発明に係る電子回路部品においては、前記帯電防止性導体保護層の線熱膨張係数が0ppm〜40ppmであることが、前記積層体の平坦性の点から好ましい。40ppm超過の場合、積層される導体層や絶縁層との線熱膨張係数の差が大きくなって、反りを生じやすく、前記積層体の平坦性が損なわれやすい。
本発明に係る電子回路部品においては、前記第二の導体層が、銅又は銅を含む合金によって形成されていることが、導体層の抵抗値が低くなる為好ましい。
本発明に係る電子回路部品においては、前記第一の導体層がステンレスであることが、HDD用サスペンションとして用いたときに必要なバネ性を付与する観点の点から好ましい。
本発明に係る電子回路部品においては、前記帯電防止性導体保護層が、少なくともポリイミド及び/又はポリイミド前駆体、及び導電性微粒子を含む樹脂組成物を塗布して形成されていることが、前記絶縁層及び前記第二の導体層上にそれらの一部が露出するように所望の形状にパターン化して形成しやすく、また、作業性、膜厚制御の正確性及び製造コスト抑制の点から好ましい。
また、前記帯電防止性導体保護層が、塗布、乾燥後にフォトリソグラフィー法によってパターンを形成されていることも好ましい。ポリイミド又はポリイミド前駆体に感光性を付与するなどして、ポリイミド及び/又はポリイミド前駆体、及び導電性微粒子を含む感光性樹脂組成物を用いて直接フォトリソグラフィー法でパターン形成されても良い。或いは、非感光性のポリイミド又はポリイミド前駆体を用いる場合は、塗布膜上にレジストパターンを形成しそれをマスクとしてパターン形成しても良い。
本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションは、前記本発明に係る電子回路部品の構成を有する。
以上に述べたように、本発明の電子回路部品は、ポリイミドと導電性微粒子を含有する帯電防止性導体保護層を用いることで、低発塵、低アウトガス等の特性を満たしつつ、静電破壊が防止されるという効果を奏する。
本発明においては、導体保護層が帯電防止層を兼ねているので、別途帯電防止層を設ける必要がなく、帯電防止層の密着性及び膜強度の問題が解消される上、工程数を減らすことができ、生産性が向上する。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお本発明において、露光するのに用いる光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明は、電子回路部品、及びハードディスクドライブ用サスペンションに関するものである。以下、電子回路部品及びハードディスクドライブ用サスペンションについて順に説明する。
I.電子回路部品
本発明の電子回路部品は、第一の導体層と、当該第一の導体層上に形成された絶縁層と、当該絶縁層上に当該絶縁層の一部が露出するように形成された第二の導体層と、少なくとも当該絶縁層及び当該第二の導体層上にそれらの一部が露出するように形成された導体保護層とを備えた積層体を含有する電子回路部品であって、当該導体保護層が、ポリイミドと導電性微粒子を含有する帯電防止性導体保護層であることを特徴とするものである。
本発明の電子回路部品の一態様について、図1に一部拡大模式的平面図を示し、図2に図1のA−A’断面図を示す。
本発明の電子回路部品100は、第一の導体層1と、当該第一の導体層1上に形成された絶縁層2と、当該絶縁層2上に当該絶縁層2一部が露出するように形成された第二の導体層3と、少なくとも当該絶縁層2及び当該第二の導体層3上にそれらの一部が露出するように形成された帯電防止性導体保護層4とを備えた積層体を含有する。本発明における帯電防止性導体保護層4は、前記第二の導体層3及び前記絶縁層2に少なくとも接触するように設けられるが、図1及び図2のように、第一の導体層1とも接触するように設けられても良い。前記第一の導体層1は、通常、配線、及び/または支持体の役割を担うものであり、前記第二の導体層3は、通常、配線層である。帯電防止性導体保護層4は、通常、第二の導体層間を絶縁しつつ第二の導体層を保護する役割を担い、図1の平面図に示されるように、絶縁層2及び当該第二の導体層3の一部が露出するように形成されている。この露出される一部は、電子回路部品の端子接続部や、屈曲部などが挙げられる。そして、帯電防止性導体保護層4は、ポリイミドと導電性微粒子を含有してなるものであって静電破壊を防止する機能をも有する。
以下、各層について説明する。
<第一の導体層>
上記積層体を構成する第一の導体層1は、導体から構成されていれば特に限定されないが、強度、導電抵抗の点から、金属層であることが好ましく、特にステンレス、銅、銅を含む合金からなることが好ましい。上記積層体を構成する第一の導体層1は、通常、電子回路部品の配線、または支持体として用いられ、この場合、金属板が好適に用いられる。HDD用サスペンションとして用いる場合には、第一の導体層は、よりバネ性の高いステンレスからなることが特に好ましい。また、第一の導体層は、目的に応じてバネとしての機能を発現しやすい形状や、配線の形状にパターニングされていても良い。更に、第一の導体層は、密着性改善の為等の理由で表面処理が施されていても良い。
上記積層体を構成する第一の導体層1は、1μm〜500μmの厚みであることが好ましく、1μm〜200μmの厚みであることが特に好ましい。
<第二の導体層>
第二の導体層3は、後述する絶縁層の一部が露出するように形成されるものであり、通常、配線層として形成される。第二の導体層としては、導体から構成されていれば材料は特に限定されないが、導電性、信頼性、及びコストの観点から、ステンレス、銅、銅を含む合金が好ましい。第二の導体層を配線として用いる場合には銅や銅合金であることが好ましく、配線の形状にパターニングされていることが好ましく、密着性改善の為等の理由で表面処理が施されていても良い。
第二の導体層は0.1μm〜50μmの厚みであることが好ましく、0.5μm〜20μmの厚みであることが特に好ましい。
<絶縁層>
絶縁層2については、絶縁材料から構成されていればよい。絶縁材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなどのビニル重合系樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォンなどの縮合重合系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、絶縁信頼性、耐熱性、絶縁層上に接触して設けられるポリイミドと導電性微粒子を含む帯電防止性導体保護層との密着性の観点から、絶縁層2がポリイミドを主成分とすることが好ましい。ここで絶縁層の主成分とするとは、絶縁信頼性及び耐熱性の効果を損なわれない限り、上記ポリイミドの他に、更に他の絶縁材料やその他の成分が添加されていても良い旨を表し、上記ポリイミドは50重量%超過で含まれる意味である。ポリイミドは、より好ましくは絶縁層の90重量%以上、より更に好ましくは絶縁層の95重量%以上で用いられることが好ましい。
絶縁層は、目的に応じて所望の形状にパターニングされていてもよく、厚みは0.1μm〜50μmの厚みであることが好ましく、1μm〜20μmの厚みであることが特に好ましい。絶縁層の厚みが0.1μm未満の場合絶縁層としての機能を発現しにくくなり、50μmより大きいと積層体全体の厚みが大きくなってしまうという課題がある。
絶縁層の線熱膨張係数は0ppmから40ppmの間であることが好ましく、5ppm〜30ppmの間であることが特に好ましい。この範囲からはずれるほど、第一及び第二の導体層に用いられる金属との線熱膨張係数の差が大きくなり前記積層体の平坦性が損なわれる。
なおここで、本発明における線熱膨張係数は、熱機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度を10℃/min、加重を5gとして得られる値である。
絶縁層にポリイミドを用いる場合、絶縁層、及び後述する帯電防止性導体保護層は、それぞれ同一のポリイミドを用いても良いし、異なるポリイミドを用いても良い。HDD用サスペンションとして用いる場合には、絶縁層、及び帯電防止性導体保護層に同一の物質を用いることで前記積層体全体の反りを抑制できる。その為、積層体の平坦性を確保する為には絶縁層、及び帯電防止性導体保護層に同一のポリイミドを用いること、または、線熱膨張係数が同じ、または線熱膨張係数が近いポリイミドを用いることが効果的である。
絶縁層にポリイミドを用いる場合、感光性ポリイミドを用いてパターン形成しても良いし、非感光性のポリイミド前駆体上にレジストを形成し、そのレジストパターンに応じてパターニングする等の手法で非感光性のポリイミド前駆体を用いてパターンを形成しても良い。更には、全面に形成された非感光性のポリイミド膜上にレジストパターンを形成し、その開口部をアルカリ‐アミン系エッチング液によってエッチングし、ポリイミドパターンを得ても良い。
感光性ポリイミドを用いた場合は、プロセスを短縮でき低コストで生産できるといったメリットがあり、非感光性のポリイミド又はポリイミド前駆体を用いた場合は、ポリイミド中に含まれる添加剤がない、または添加剤の量が少ないのでアウトガスの発生が抑制されるといったメリットがある。
具体的に好適なポリイミドとしては、後述の帯電防止性導体保護層において詳細に説明するポリイミド前駆体を用いてイミド化したポリイミドが挙げられる。
絶縁層には、本発明の効果を損なわない限り、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、難燃性付与や線熱膨張係数の調整、塗布・パターニング特性付与のなどの目的で微粒子が含有されていても良い。その他の添加剤としては、例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。なお、HDD用サスペンションとして用いられる場合には絶縁層には、シリコーン成分を含まないことが磁気ディスク表面の汚染防止の点から好ましい。
<帯電防止性導体保護層>
本発明における帯電防止性導体保護層4は、ポリイミドと導電性微粒子を含有し、少なくとも前記絶縁層2及び前記第二の導体層3上にそれらの一部が露出するように形成される。本発明における帯電防止性導体保護層4は、第二の導体層間を絶縁しつつ第二の導体層を保護する役割を担う層と電子回路部品の静電破壊を防止する層を1層で兼ね備えた層である。
本発明における帯電防止性導体保護層4は、絶縁層2及び第二の導体層3と接触するように設けられて、絶縁層や第二の導体層上に帯電した静電気によっても電子回路部品の静電破壊を防止することができる。本発明における帯電防止性導体保護層4は、前記第二の導体層3及び前記絶縁層2に少なくとも接触するように設けられるが、図1及び図2のように、第一の導体層1とも接触するように設けられることが、更に帯電防止性能を向上する点から好ましい。但し、本発明において帯電防止性導体保護層は、低発塵、低アウトガス等の特性を向上する点から、前記積層体表面の全体ではなく、静電破壊防止の点から必要な所望の箇所のみ、積層体表面の一部となるように形成される。すなわち、本発明に係る電子回路部品においては、前記帯電防止性導体保護層が、前記第一の導体層の前記絶縁層が形成されている面と反対側の面には形成されていないことが好ましい。
本発明の帯電防止性導体保護層は、ポリイミドと導電性微粒子を必須成分として含有するものであり、ポリイミド中に導電性微粒子が分散されて形成されている。例えばポリピロール等の導電性ポリマーを用いて帯電防止層が導体保護層上に別途設けられている場合には、導電性ポリマー層の密着性や膜強度が不充分であったり、導電性ポリマーは耐熱性が比較的低いためにプロセス中の高温時にアウトガスを発生する可能性があるという問題がある。それに対し、本発明においては、ポリイミドと導電性微粒子を組み合わせて用いて帯電防止性導体保護層を形成することにより、まず、導体保護層上に別途設けられている場合の帯電防止層の密着性及び膜強度の問題が解消される上、工程数を減らすことができ、生産性が向上する。
更に、ポリイミドのパターン形成能、耐熱性、機械強度、下地となる絶縁層との密着性と、導電性微粒子の帯電防止性能及び耐熱性が相俟って、所望の位置に、密着性、膜強度、及び耐熱性が優れた帯電防止性導体保護層を設けることが可能になる。その結果、本発明においては、低発塵、低アウトガス等の特性を満たしつつ、実装される素子の静電破壊が抑制されるという電子回路部品を得ることができる。
本発明の帯電防止性導体保護層は、厚みが0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、更に厚みが0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、より更に厚みが1μm以上5μm以下であることが好ましい。この場合の厚みとは、第二の導体層の上部を被覆している部分における帯電防止性導体保護層の厚みであり、第二の導体層の上端からの厚みである。その為、露出している絶縁層上に接触して被覆する部分の帯電防止性導体保護層の厚みは、第二の導体層上を被覆する部分の厚みよりも厚くなる傾向がある。帯電防止性導体保護層が薄すぎる場合、第二の導体層間を絶縁することができなくなったり、塗膜表面の平坦性が確保できず発塵しやすくなるといった不具合が発生する。また、帯電防止性導体保護層が厚すぎる場合、基板の柔軟性を損なう。
また、本発明の帯電防止性導体保護層は、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下であることが、第二の導電体層間の電流のリークを防止しつつ、磁気ヘッドの静電破壊を抑制する点から好ましい。表面抵抗率は、更に1.0×10Ω/□以上、1.0×10Ω/□以下であることが好ましい。
一般に同じ組成の帯電防止剤を用いた場合、厚みが厚いと表面抵抗が下がり、厚みが薄いと表面抵抗があがる傾向がある。その為、表面抵抗が1.0×10Ω/□未満だと第二の導体層間をショートさせてしまい、1.0×1010Ω/□超過だと帯電防止性能が不十分であることから、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下の範囲に入るように、適宜、膜厚にあわせて、導電性微粒子の配合量を設定することが必要である。
なお、表面抵抗率は、JIS−K6911に準拠して、抵抗測定装置(三菱化学製ハイレスタUP MCP−HT450型)を用いて測定することができる。
本発明に係る帯電防止性導体保護層は、前記積層体の平坦性を良好に保つ為、線熱膨張係数が0ppm以上40ppm以下であることが好ましく、更に5ppm以上30ppm以下であることが好ましい。
本発明に用いられる導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば良く、例えば、金属酸化物微粒子、炭素系微粒子、金属微粒子、導電性ポリマー微粒子の他、金属酸化物又は金属等の導電材料で被覆された無機微粒子又はポリマー微粒子等が挙げられる。また、微粒子の形状は、球状、針状、板状、片状、棒状、繊維状のいずれであってもよい。
本発明において導電性微粒子としては、中でも、耐熱性が高い、絶縁信頼性に優れる、帯電防止性能に優れるなどの点から、金属酸化物微粒子及び/又は炭素系微粒子が用いられることが好ましい。金属酸化物微粒子は、帯電防止性導体保護層に透明性が必要な場合に好ましい。また、炭素系微粒子は、安価である為、より安価に製品を製造したい場合に好ましい。
金属酸化物微粒子としては、導電性を示すものであれば特に限定はされず、亜鉛、スズ、カドミウム、インジウム、アンチモン、チタン、ガリウム、アルミニウム、ジルコニウム、モリブデン、セリウム、タンタル、イットリウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物あるいは複合酸化物が挙げられ、また、これらの金属酸化物の混合物である3元系などの多元化合物でもよく、これらにAlやGaなどの元素をドープしたものでも良い。より具体的には、ZnO、CdO、In23、SnO2、五酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム、亜鉛をドープした酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、リンをドープした酸化スズ、アンチモンをドープした酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、酸化亜鉛/酸化アルミニウムなどが挙げられる。帯電防止性とコストの観点からは、ZnOやSnO2などが好ましい。
炭素系微粒子としては、グラファイト微粒子、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を粉砕したもの、膨張化黒鉛粉砕品のカーボンフレーク、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、ナノホーンなどが挙げられる。
これら導電性微粒子の平均粒径は1nm以上、1μm以下であることが好ましく、10nm以上、500nm以下であることが更に好ましい。平均粒径が1μmを超える場合、帯電防止性導体保護層の表面の平坦性が悪化する恐れがあり、平均粒径が1nmより小さい場合は、分散性が劣る為、溶液状態での安定性が低下する恐れがある。
ここで、平均粒径は、動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。光散乱法を利用できない場合には、透過型電子顕微鏡(TEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより求めても良い。写真から平均粒径を求める場合には、粒子の長径から平均を求める。
本発明において導電性微粒子は、帯電防止性導体保護層中のポリイミドの固形分100重量部に対して0.1重量部以上1000重量部以下の量を添加することが好ましい。導電性微粒子の添加量と帯電防止性導体保護層の厚みによって表面抵抗が決まる為、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下となるように、適宜、導電性微粒子の割合を決める。
分散性及びコストの観点からは、導電性微粒子の添加量は少ないほうが好ましく、帯電防止性導体保護層中のポリイミドの固形分100重量部に対して、導電性微粒子は0.1重量部以上200重量部以下となる量を添加することが好ましい。
本発明に用いられるポリイミドは、層を形成した場合に線熱膨張係数が0ppm以上40ppm以下、更に線熱膨張係数が5ppm以上30ppm以下であることが好ましいことから、一般に低膨張性ポリイミドに分類されるものを用いる。
低膨張性ポリイミドの多くは耐溶剤性が高くポリイミドの状態では溶媒に溶解しない。その為、溶媒に可溶であるポリイミド前駆体の状態で塗布、パターニングされた後、加熱等の処理によりイミド化されて、ポリイミドとされることが、コストや構造選択の自由度の関係から好ましい。
一方で、カーボンナノチューブなど炭素系微粒子の一部は、ポリアミック酸よりもポリイミドの状態の方が分散安定性、溶解性に優れる場合がある。より細かく分散されていた方が、更には、完全に溶解していた方がより少ない炭素系微粒子の添加量で、導電特性を発現させる事ができる。そのため、導電性微粒子が、ポリイミド前駆体の時よりも溶解性を有する閉環したポリイミドを用いて分散(溶解)させた方が、平均粒径が小さくなる場合は、閉環したポリイミドを用いる事が好ましい。用いる導電性微粒子が炭素系微粒子、特にカーボンナノチューブの場合に閉環したポリイミドを用いる効果が顕著となる場合が多い。
閉環したポリイミドを用いると塗布後に溶媒を除去するのみで、前駆体のようにイミド化の工程を必要としないので、熱処理条件をより温和な条件で行えると言うメリットもある。
ポリイミド前駆体としては、得られるポリイミドパターンの使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されず用いることができる。非感光性のポリイミド前駆体の中では、現像液として用いられる塩基性溶液に可溶なポリイミド前駆体が好ましく、好適に用いられる物として、ポリアミック酸が挙げられる。この場合には、ポリイミド前駆体上に形成されるレジスト層の未露光部(ネガ型レジストの場合)または露光部(ポジ型レジストの場合)の現像と同時に、溶出したレジスト層の下層のポリイミド前駆体層の部分のみを選択的に除去することが可能となる。ポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、上述の導電性微粒子の分散助剤としても機能する。そのため、本発明におけるポリイミドは、帯電防止性導体保護層を形成するための塗布用樹脂組成物の状態ではポリアミック酸の状態であり、塗布後に、熱処理等によってイミド化されてポリイミドになるものであることが好ましい。
ポリアミック酸としては、最終的に得られるポリイミドの耐熱性及び寸法安定性の要求が厳しい用途のため、酸二無水物由来の部分が芳香族構造を有し、さらにジアミン由来の部分も芳香族構造を含む全芳香族ポリイミド前駆体であることが好ましい。それゆえジアミン成分由来の構造も芳香族ジアミンから誘導される構造であることが好ましい。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
本発明に好適に用いられるポリアミック酸を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミック酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させて得られた化合物と酸二無水物をさらに反応させて、部分的に官能基が導入されたポリアミック酸を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明に好適に用いられるポリアミック酸に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、ポリイミド前駆体の透明性が向上する。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなる。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられる。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
さらに、上記のジアミンにおいて、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、パターン形成能の点から、塩基性溶液に対して溶解性を有することが好ましく、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましい。当該溶解速度は500Å/sec以上であることがさらに好ましい。さらには、より一般的に用いられる現像液である2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、500Å/sec以上であることがさらに好ましい。上記定義による溶解速度が100Å/secより小さい場合、現像時間が遅くなり作業性、生産性が悪くなると共に、露光部、未露光部間の溶解性コントラストが得にくくなる。
上記溶解速度を測定する具体的手順としては、無アルカリガラス等の基板上に形成された高分子前駆体の塗膜を、25℃に調温され、撹拌された現像液(この場合0.1重量%TMAH水溶液または、2.38重量%TMAH水溶液)に一定時間、浸漬し、蒸留水でリンス後、乾燥させた後で測定した膜厚と、初期膜厚との差を、膜減り量とし、その膜減り量を、現像液に浸漬した時間で割ったものが、25℃における単位時間当たりの溶解速度ということになる。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミドとした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、公知の手法により得られる分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値が例示される。この場合、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
一方、感光性ポリイミドを用いる場合には、線熱膨張係数などの上記の物性を満たしていれば、どのような種類の感光性ポリイミドも用いても差し支えないが、廃水処理等プロセス上の観点からはアルカリ水溶液現像型の感光性ポリイミドであることが好ましい。
感光性ポリイミドを用いる場合には、工程を短縮できる為、低コストで生産できるという利点がある。ポリイミドとして、感光性ポリイミド又は感光性ポリイミド前駆体を用いる場合には、導電性微粒子として金属酸化物を用いることが好ましい。炭素系微粒子を用いると、光を透過しにくい為、感度が低く生産性が悪い。一方で、金属酸化物微粒子は、光の透過性が良好なものが多く、感光性ポリイミドを用いたときに感度が良好となる。
本発明の帯電防止性導体保護層には、本発明の効果を損なわない限り、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、難燃性付与や線熱膨張係数の調整、塗布・パターニング特性付与のなどの目的で導電性微粒子以外の微粒子が含有されていても良い。導電性微粒子以外の微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、シリカ、アルミナ等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。ただし、発塵を抑制する観点から添加量はできるだけ小さい方が好ましい。
本発明の帯電防止性導体保護層には、その他に、微粒子の分散性、及び、分散安定性を向上させるため、成膜性を向上させる為等の目的で、界面活性剤等の添加剤を含んでも良い。添加剤は導体層の腐食を抑制する為にスルホン酸等の酸成分を含まないほうが好ましく、添加剤自身のpHが6より大きいことが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、染料、レベリング剤、可塑剤等を用いることができる。なお、HDD用サスペンションとして用いられる場合には絶縁層、及び帯電防止性導体保護層は、シリコーン成分を含まないことが磁気ディスク表面の汚染防止の点から好ましい。
(帯電防止性導体保護層の形成方法)
本発明に係る電子回路部品においては、前記帯電防止性導体保護層が、少なくともポリイミド及び導電性微粒子を含む樹脂組成物を塗布することにより形成されていることが、前記絶縁層及び前記第二の導体層上にそれらの一部が露出するように所望の形状にパターン化して形成しやすく、また、作業性、膜厚制御の正確性及び製造コスト抑制の観点から好ましい。
本発明における塗布による形成方法とは、液状の帯電防止性導体保護層形成用樹脂組成物を、液体のまま前記絶縁層及び前記第二の導体層上に接触させ、その後乾燥やイミド化の工程を経て前記絶縁層及び前記第二の導体層上に帯電防止性導体保護層が形成された状態とするものである。本発明に用いられる帯電防止性導体保護層形成用樹脂組成物は、ポリイミド又はポリイミド前駆体、導電性微粒子、添加剤等その他の成分を溶剤に溶解乃至分散させたものである。
帯電防止性導体保護層形成用樹脂組成物に用いる溶媒は、ポリイミドやポリアミック酸等のポリイミド前駆体が溶解し、導電性微粒子の分散安定性が確保されるものを適宜選択することが好ましい。例えば、ポリアミック酸等のポリイミド前駆体が溶解し、導電性微粒子の分散安定性が確保されるものとしては、入手の容易性、コスト、成膜性の観点からジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド,γ−ブチロラクトンなどが好ましい。分散性のみを考えた時には特にγ−ブチロラクトンが好ましい。
塗布法としては、ディップコート、スピンコート、ダイコート、ロールコート、スリットコート等、適宜公知の手法を用いることができる。
また、樹脂組成物を塗布した膜から溶媒を除去するための乾燥方法としては、加熱が挙げられ、オーブンやホットプレートなど公知の装置・手法を用いることができる。加熱温度としては、80℃〜140℃の範囲で行うのが好ましい。
塗布法の中でも、前記帯電防止性導体保護層がスクリーン印刷や、インクジェット法を用いると帯電防止性導体保護層を形成する際に、同時に帯電防止性導体保護層のパターン形成も可能である為、帯電防止性導体保護層パターンを得る為の工程が短縮でき、低コストでの製造が可能となる。
また、前記帯電防止性導体保護層が、塗布、乾燥後にフォトリソグラフィー法によってパターンを形成されていることも好ましい。ポリイミド又はポリイミド前駆体に感光性を付与するなどして、ポリイミド及び/又はポリイミド前駆体、及び導電性微粒子を含む感光性樹脂組成物を用いて直接フォトリソグラフィー法でパターン形成されても良い。或いは、非感光性のポリイミド又はポリイミド前駆体を用いる場合は、塗布膜上にレジストパターンを形成しそれをマスクとしてパターン形成しても良い。
非感光性ポリイミド及び/又は非感光性ポリイミド前駆体を用いて、感光性樹脂組成物とする場合には、公知の感光成分を添加させても良い。例えば、ポリイミド前駆体としてポリアミック酸を用いた場合にはジアゾナフトキノン骨格有する化合物、ニフェジピン化合物などが挙げられ、ポリイミド前駆体としてエステル結合やイオン結合等でアクリロイル基等の架橋性置換基を導入した物を用いた場合には光ラジカル発生剤や光重合開始剤、増感剤、増感色素などの感光性成分を追加する。
以下に帯電防止性導体保護層の形成について例を挙げて具体的に説明するが、この内容に限定されるものではない。
まず、第一の導体層、絶縁層、第二の導体層がこの順に、それぞれ所望の形状にパターン化されて形成されている積層体を準備する。
この積層体上の所定の位置に、イミド化後の膜厚が、10μmとなるようにポリアミック酸、導電性微粒子、添加剤等その他の成分を溶剤に溶解乃至分散させた帯電防止性導体保護層形成用樹脂組成物を、上記で得られた積層体上の所望の位置に塗布し、乾燥させる。当該塗膜上にレジストを塗布し、乾燥させる。そこへ、所望の形状のパターンが形成されたマスクを介して紫外光を露光し、アルカリ水溶液で、レジスト層、ポリアミック酸層を一括して現像を行う。その後、150℃〜230℃の温度で30秒から60分程度加熱を行った後、アルカリ溶液によってレジスト層を剥離する。
その後、窒素雰囲気下、230℃〜450℃の間の温度で加熱し、ポリアミック酸を完全にイミド化した帯電防止性導体保護層を有する積層体となる。
帯電防止性導体保護層形成時に用いるレジスト層は、レジスト溶液を塗布・乾燥という工程で形成しても良いし、ドライフィルムレジストをラミネートする方法で形成しても良い。レジスト溶液を塗布する手法は材料コストが安価になる、薄膜の形成が可能といったメリットがあり、ドライフィルムレジストを用いる方法は、乾燥工程を必要としない、有機溶媒を使用しない、といったメリットがある。
レジストはネガ型でも、ポジ型でも特に限定されないが、水系の溶液で剥離できることが環境の面から好ましい。
レジスト層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.5μm〜100μmとなるように形成される。
前記レジスト層を選択的に露光すると、レジスト層のうちネガ型の場合、露光された部分の現像液に対する溶解性が、不溶・又は難溶性に変化する。レジスト層がポジ型の場合、露光部の現像液に対する溶解性が可溶性に変化する。
選択的に露光する方法としては、例えば、マスクを介して投影露光する方法等が挙げられる。露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良くステッパー、スキャナー、アライナー、密着プリンター、レーザー、電子線描画等、公知のあらゆる手段を用いることができる。
レジスト層の現像は、用いるレジストに対応した現像液を用い、その推奨条件で行うのが好ましく、特に限定されない。レジストの現像液に帯電防止性導体保護層が溶出しない場合には、レジスト層のパターニングの後に、レジスト層の開口部に露出した帯電防止性導体保護層を、アルカリ水溶液等の帯電防止性導体保護層が溶解する溶液で現像する。
しかし、廃棄物処理の観点、及び工程短縮から、後述の剥離工程と同様に、塩基性水溶液による現像がこのましい。特に有機アルカリ水溶液による現像が好ましく、その中でも水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が好ましい。濃度は、0.01重量%〜70重量%の間が好ましい。0.01重量%未満であるとネガ型レジストの露光部の溶解性が乏しく現像がうまくできない。70重量%を超えると未露光部が膨潤し目的のパターンを得にくくなる。
現像方法は、ディップ法でもスプレー法でも、液中スプレー法でも良く、特に限定されない。
その後、必要に応じて60℃〜230℃の温度で1秒以上100分以下の加熱を行った後、レジストパターンを剥離することにより帯電防止性導体保護層パターンを得ることができる。加熱温度が低ければ低いほど、レジスト剥離をより温和な条件で行うことが可能となり、剥離の際に帯電防止性導体保護層の劣化を抑制できる。
本発明においては、自然環境に対する負荷を低くし、作業者の安全対策や廃液処理費用等の実用化の問題を解決するために、非水溶性の有機溶剤を用いることなく、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質でレジストを剥離することが好ましい。塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質で剥離することから、現像工程で用いる設備をそのまま使用可能であるというメリットがある。さらには、剥離後の基板のリンス、洗浄工程も、水又は水溶液で行うことが可能になる。
レジスト層の剥離としては、レジストが膨潤して剥離する場合と、溶解して剥離される場合、その両方が組み合わさった場合がある。
上記塩基性溶液としては、帯電防止性導体保護層に対しては溶解性が低いが、レジストパターンに対しては溶解性の高い溶液を適宜選択して用いる必要がある。このような塩基性溶液を選択する場合の目安としては、レジストパターンの溶解速度が、帯電防止性導体保護層パターンの溶解速度の10倍以上、より好ましくは100倍以上の溶解速度を有するような塩基性溶液を選択することが挙げられる。
本発明に用いられる塩基性溶液のうち、塩基性水溶液としては、無機または有機アルカリ水溶液が挙げられ、特に廃液処理の観点からは有機アルカリ水溶液が好ましい。その中でも水溶性アミンの水溶液が好ましい。ここで、水溶性アミンとは蒸留水に対して0.1mol/L以上の濃度で溶解することのできる1級〜4級アミンのことをいう。剥離性の観点から、脂肪族の1級、2級、3級アミンが好ましく、水に対する溶解性の観点から分子内に1つ以上の水酸基を含有する1級、2級、3級アミンが好ましい。分子内に1つ以上の水酸基を含有する脂肪族の1級、2級、3級アミンがさらに好ましい。これら1〜4級アミンは、置換基を有していてもよく特に、水酸基を有する脂肪族アミンとしては、エタノールアミン、N,N,−ジメチルエタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示されるが特に限定されない。
水溶性アミンの水に対する濃度は、0.01重量%〜30重量%の間が好ましく、0.5〜20重量%の間がより好ましい。0.01重量%未満であるとレジストの露光部の溶解性が乏しくレジストパターンの剥離がうまくできない。30重量%を超えると帯電防止性導体保護層パターンが膨潤したり、溶出したりして目的の帯電防止性導体保護層パターンを得にくくなる。
また、本発明に用いられる塩基性溶液のうち、水溶性塩基性物質とは、水溶性のpHが7より大きな有機化合物をいい、具体的には、1級、2級、3級アミン、或いは4級アミン(アンモニウム化合物)が挙げられる。ここで本発明の水溶性塩基性物質の水溶性とは、25℃において、1重量%以上90重量%以下の濃度で水溶液が得られるものをいい、好ましくは5重量%以上60重量%以下の濃度の水溶液が得られるものをいう。加熱等の刺激によって溶解性が非常に低下したレジスト層を剥離するには、上記水溶性塩基性物質による剥離が好ましい。具体的には、0℃〜100℃の間のいずれかの温度で液体である1級〜4級アミンが用いられ、さらに1級〜4級の脂肪族アミンである事が好ましい。脂肪族アミンであると一般に塩基性が高い為、より剥離性に優れる。
これら1〜4級アミンは、置換基を有していてもよく、特に、水酸基を有する脂肪族アミンが剥離に対して有効である。具体的には、上記塩基性水溶液で述べたようなアミンなどが例示されるが特に限定されない。
塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する際には、アミンを含有する組成物など、塩基性物質の他に、界面活性剤、酸化防止剤、基板へのダメージを抑制する薬品等の各種添加剤を混合した組成物を、剥離液として用いてもよい。これらの各種添加剤は、無機又は、有機の塩基性物質の働きを阻害しないようにする為、無機又は、有機の塩基性物質の濃度よりも低く添加する方がよい。
通常剥離は、剥離液が液体の状態で存在できる温度で行うが、剥離に要する時間を短縮させるには、剥離液の温度をより高くすることが好ましい。アミン等の塩基性物質を含有する組成物の温度は、通常0℃以上100℃以下で、レジスト層を剥離する。剥離液が水溶液の場合は、0℃〜95℃の間が好ましく、10℃〜85℃がさらに好ましく、20℃〜70℃の間がさらに好ましい。0℃未満であると、剥離に時間を要し、95℃を超えると、剥離液が揮発しやすくなり、内容物の濃度が変化しやすい、さらには帯電防止性導体保護層パターンに対してダメージを与えやすくなる、といった問題がある。
剥離方法は、ディップ法でもスプレー法でも、液中スプレー法でも良く、特に限定されない。
帯電防止性導体保護層のイミド化は、上記のように230℃以上450℃以下の温度で行うことが好ましく、250℃以上400℃以下の温度で行うことがさらに好ましい。温度が低いとイミド化が十分に進行せず、耐溶剤性や絶縁信頼性が不十分となる。温度が高すぎるとポリイミド自身が分解してしまい、膜強度が低下したり、絶縁信頼性が低下したり、発塵しやすくなったりする。時間は、1分から300分の間が好ましい。この場合、加熱をする装置によって最適な時間は異なる。循環オーブンの場合は比較的時間を要し、熱風炉のような過熱の熱容量の大きな器具を用いると加熱時間を短縮できる。加熱のときは導体層及び帯電防止性導体保護層の酸化防止のために、窒素や真空などの不活性雰囲気下が行うことが好ましい。具体的には酸素濃度が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
このようにして、所望の位置に帯電防止性導体保護層のパターンを形成することができる。
II.ハードディスクドライブ用サスペンション
本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションは、前記本発明に係る電子回路部品の構成を有するものである。本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションは、ハードディスクドライブの磁気ヘッドを支持している部品である。
本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションは、前記本発明に記載の帯電防止性導体保護層を有することにより、各種部品の実装時の静電気による静電破壊を抑制できる。
本発明のハードディスクドライブ用サスペンションの一態様について、図3に一部拡大模式的平面図を示し、図4に図3のB−B’断面図を示す。
本発明のハードディスクドライブ用サスペンション101は、金属基板10と、当該金属基板10上に形成されたポリイミドパターンである絶縁層20と、当該絶縁層20上に当該絶縁層20の一部が露出するように形成された配線層30と、当該絶縁層20及び配線層30上にそれらの一部が露出するように形成された帯電防止性配線保護層40とを備えた積層体を含有する。前記金属基板10は、通常、配線、及び/または支持体であってバネの役割を担うものである。帯電防止性配線保護層40は、ポリイミドと導電性微粒子を含有しているポリイミドパターンであって、配線層間を絶縁しつつ配線層を保護する役割と、実装時の静電気による静電破壊を防止する性能を担い、図3の平面図に示されるように、絶縁層20及び配線層30の一部が露出するように形成されている。この露出される一部は、ハードディスクドライブ用サスペンションの端子接続部や、屈曲部などが挙げられる。本発明における帯電防止性配線保護層40は、前記配線層30及び前記絶縁層20に少なくとも接触するように設けられるが、図3及び図4のように、金属基板10とも接触するように設けられることが、更に帯電防止性能を向上する点から好ましい。
金属基板10としては、通常、ステンレスまたは、表面処理を施したステンレス等のバネ状弾性を有する金属箔等が用いられる。用いられる金属基板10は厚さを50μm以下、中でも20μm〜1μmとすると、磁気ディスクへの追従性が良好になり、絶縁層及び帯電防止性配線保護層となるポリイミドパターンと組み合わせて用いた場合に、反りをより低減することができ、平坦性を向上することができる。
本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションの絶縁層20及び帯電防止性配線保護層40に用いられるポリイミドパターンは、上記電子回路部品において説明したポリイミドパターンに求められる特性を満たせば、良好な特性を示すサスペンションを得られる。
上記サスペンションの製造の一般例としては、以下が挙げられる。まず、金属基板10としてのステンレス箔(20μm)上に、ポリイミドパターンを形成し、絶縁層20を備えた基板を得る。次に、スパッタにより、上記得られた基板全面に銅、ニッケルなどのシード層を形成する。そこへ、ネガ型レジスト溶液を塗布または、ネガ型ドライフィルムレジストをラミネートし、基板上へネガ型レジスト層を形成する。その後、露光・現像を行い、銅配線を形成したい部位のみ開口部を設ける。
次に、配線の形状の開口部に銅めっきを行った後、レジストを剥離する。その後、基板の裏面をマスクし、希塩酸水溶液等を用い、銅配線及びシード層の表層をエッチングする。ここで、シード層が露出している部位を完全に除去すると、独立した銅配線層が形成された基板となる。次に当該銅配線層が形成された基板上に、所望の形状でポリイミドパターンを形成し、帯電防止性配線保護層40を形成する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
(製造例1:ポリイミド前駆体1の調製)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 0.96g(4.8mmol)とパラフェニレンジアミン 0.13g(1.2mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつピロメリット酸二無水物 1.31g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
(製造例2:帯電防止性配線保護層形成用樹脂組成物1の調製)
トーカブラック#5500(東海カーボン製カーボンブラック、平均粒径25nm)3g、 製造例1で得られたポリイミド前駆体1 27g、 NMP 270gを粒径2mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーによって2時間処理した後、ジルコニアビーズを加圧濾過することで、帯電防止性導体保護層形成用樹脂組成物1を調製した。
(製造例3:HDDサスペンション用積層体の製造)
ステンレス箔(新日本製鉄製SUS304 H−TA;厚さ20μm)からなる金属基板上に、低膨張性ポリイミドからなる絶縁層が設けられ、絶縁層上に更に電解銅箔(厚さ10μm)が設けられた積層材料を得た。前記低膨張性ポリイミドとしては、ポリイミド前駆体溶液1を塗布、乾燥後、350℃1時間窒素中で加熱することにより得られるポリイミドを用いた(線熱膨張係数 21ppm)。低膨張性ポリイミドの厚さは、約10μmに調整し、熱膨張率は積層体としたときに反りが発生しないように調整してある。低膨張性ポリイミドは以下に示すポリイミドエッチング液に対し、良好なエッチング特性を示しそのエッチングレートが1μm/min〜15μm/minの間に入るものを用いた。
この3層からなる積層材料を、ステンレス箔表面をマスクして、塩化第二鉄溶液に浸積し、銅箔を配線パターンの形状にエッチングし、銅配線層を得た。
(比較製造例1:帯電防止層形成用比較樹脂組成物1の調製)
PPY−12(丸菱油化製、ポリピロール系樹脂)9g、 FINTEX ES−2200(大日本インキ製、アニオン性水溶性ポリエステル溶液)8g、水86gを300mlの三角フラスコ中で混合し、帯電防止層形成用比較樹脂組成物1を調製した。
(実施例1)
製造例3で作成した積層体の、絶縁層、配線層が形成されている面のみ全面に、帯電防止性配線保護層形成用樹脂組成物1を乾燥後配線上の厚みが8±2μmになるようにバーコートし、熱風循環式オーブンで80℃で、30分乾燥させた。その後、厚み38μmのアルカリ現像型ドライフィルムレジスト302J38E(ニチゴーモートン製)を真空ラミネーターで0.5Mpaに減圧し、熱板の表面の温度70℃で、ラミネートし、15分室温で放置することで、帯電防止性配線保護層形成用樹脂塗膜上にネガ型レジスト膜が形成された積層体を作成した。
次に手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用いて、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して50mJ/cm (i線換算)で露光し、1.5wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(液温25度)を用いてコンベア式スプレー現像装置を用い、ネガ型レジストと帯電防止性配線保護層形成用樹脂塗膜を同時に現像を行い、その後、蒸留水によってリンスを行い温風乾燥させ、ネガ型レジストと帯電防止性配線保護層形成用樹脂塗膜が積層されたパターンを得た。
上記の手法で得られたネガ型レジスト層と帯電防止性配線保護層形成用樹脂塗膜が積層されたパターンが形成された基板を、200℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に7分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。
その後、窒素雰囲気下、350℃1時間加熱し、帯電防止性配線保護層形成用樹脂塗膜のポリイミド前駆体を完全にイミド化し、所望の形状に帯電防止性導体保護層が形成された積層体を得た。
上記の処理の後、製造例3の配線層の形成と同様にステンレス箔を所望のパターンにエッチングすることにより、ステンレス箔/ポリイミドパターンからなる絶縁層/配線層/ポリイミドパターンからなる帯電防止性配線保護層がこの順に積層されたサスペンションを作成した。
(比較例1)
実施例1において、製造例3で作成した積層体の、絶縁層、配線層が形成されている面のみ全面に、帯電防止性配線保護層形成用樹脂組成物1を用いて帯電防止性配線保護層を形成する代わりに、製造例1で得られたポリイミド前駆体1を用いて配線保護層とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1のステンレス箔/ポリイミドパターンからなる絶縁層/配線層/ポリイミドパターンからなる配線保護層がこの順に積層されたサスペンションを作成した。
(比較例2)
比較例1で得られたサスペンション上に厚み38μmのアルカリ現像型ドライフィルムレジスト302J38E(ニチゴーモートン製)を真空ラミネーターで0.5MPaに減圧し、熱板の表面の温度70℃で、15分室温で放置することで、配線保護層のポリイミドの膜上にネガ型レジスト膜が形成された積層体を作製した。
次に手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用いて、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して50mJ/cm (i線換算)で露光し、0.8wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(液温25度)を用いてコンベア式スプレー現像装置を用い、ネガ型レジストの現像を行い、その後、蒸留水によってリンスを行い温風乾燥させ配線保護層のポリイミドパターン、銅配線層、絶縁層のポリイミドパターン、ステンレス箔が露出するような開口部を有するレジストパターンを得た。
そのパターン上から、比較製造例1で調製した帯電防止層形成用比較樹脂組成物1を、所望の形状に開口部を有するステンレス製マスクを介して、前記配線保護層の全面を覆い、配線層、絶縁層、ステンレス箔の絶縁層が積層されている側の表面に接触する箇所のみに乾燥後膜厚500nmになるように塗布し、160℃3分間の熱処理を行った。ステンレス箔の絶縁層が積層されていない側の表面には帯電防止層形成用比較樹脂組成物1は塗布していない。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に7分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離し、所望の形状に帯電防止層が形成されたサスペンションを得た。
[評価]
(1)帯電防止性評価
実施例1と同様の手法で、以下のような表面抵抗測定用サンプルを形成した。5cm×5cmの第一の導体層、絶縁層、第二の導体層からなる積層体から、第二の導体層を全面剥離し、露出した絶縁層上の全面に、製造例3の帯電防止性導体保護層を8±2μmの厚みで形成し、実施例1に対応する表面抵抗測定用サンプルを得た。同様にして、製造例1のポリイミド前駆体を用いて、比較例1に対応する表面抵抗測定用比較サンプルを得た。
また同様にして、比較例1に対応するサンプル上に比較製造例1で調製した帯電防止層形成用比較樹脂組成物1の層を形成した比較例2に対応するサンプルも得た。
表面抵抗率は、JIS−K6911に準拠して、抵抗測定装置(三菱化学製ハイレスタUP MCP−HT450型)を用いて測定した。
その結果、実施例1に対応したサンプルは6.9×10Ω/□であった。一方、比較例1に対応したサンプルは、1.2×1013Ω/□、比較例2に対応したサンプルは、9.6×105Ω/□であった。
(2)アウトガス試験
実施例1、比較例1、及び比較例2で作成したサンプル1ピース(50mm×5mm)を10ピース分、窒素雰囲気下250℃1時間加熱し、発生したガスを、パージアンドトラップ法により、−40℃に冷却した吸着管で捕集した後、吸着管を255℃30秒加熱し、気化したガスをGC−MS(株式会社島津製作所製 QP−5000)を用いて分析した。
その結果、実施例1で作成したサンプル、比較例1で作成したサンプル双方とも、アウトガスが検出されなかった。一方で、比較例2で作成したサンプルからは、水溶性ポリエステル由来の分解物と推測される成分が検出された。
実施例1の導電性微粒子を含むポリイミドからなる帯電防止性配線保護層であっても、導電性微粒子を含まないポリイミドと同様の耐熱性が維持され、低アウトガスを実現することが明らかにされた。
本発明に係る電子回路部品の一態様の一部を示す模式的平面図である。 本発明に係る電子回路部品の一態様の一部を示す模式的断面図である。 本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションの一態様の一部を示す模式的平面図である。 本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションの一態様の一部を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 第一の導体層
2 絶縁層
3 第二の導体層
4 帯電防止性導体保護層
10 金属基板
20 絶縁層
30 配線層
40 帯電防止性配線保護層
100 電子回路部品
101 ハードディスクドライブ用サスペンション

Claims (12)

  1. 第一の導体層と、当該第一の導体層上に形成された絶縁層と、当該絶縁層上に当該絶縁層の一部が露出するように形成された第二の導体層と、少なくとも当該絶縁層及び当該第二の導体層上にそれらの一部が露出するように形成された導体保護層とを備えた積層体を含有する電子回路部品であって、当該導体保護層が、ポリイミドと導電性微粒子を含有する帯電防止性導体保護層であり、前記絶縁層中にポリイミドが90重量%以上含まれ、且つ、前記帯電防止性導体保護層におけるポリイミドと前記絶縁層におけるポリイミドが同一のポリイミドであることを特徴とする電子回路部品。
  2. 前記帯電防止性導電保護層の厚みが0.1μm以上50μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電子回路部品。
  3. 前記帯電防止性導電保護層の表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上、1.0×1010Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子回路部品。
  4. 前記導電性微粒子が、金属酸化物微粒子、及び/又は、炭素系微粒子であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに電子回路部品。
  5. 前記導電性微粒子の平均粒径が、1nm以上、1μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の電子回路部品。
  6. 前記帯電防止性導体保護層の線熱膨張係数が0ppm以上、40ppm以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の電子回路部品。
  7. 前記第二の導体層が、銅又は銅を含む合金によって形成されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の電子回路部品。
  8. 前記第一の導体層がステンレスからなることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の電子回路部品。
  9. 前記帯電防止性導体保護層が、ポリイミド及び/又はポリイミド前駆体、及び導電性微粒子を含む樹脂組成物を塗布して形成されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の電子回路部品。
  10. 前記帯電防止性導体保護層が、ポリイミド及び/又はポリイミド前駆体、及び導電性微粒子を含む感光性樹脂組成物を用いて形成されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の電子回路部品。
  11. 前記帯電防止性導体保護層が、塗布、乾燥後にフォトリソグラフィー法によってパターンを形成されていることを特徴とする、請求項又は請求項10に記載の電子回路部品。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の電子回路部品の構成を有する、ハードディスクドライブ用サスペンション。
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