JP5807369B2 - 回路基板、サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ - Google Patents
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Description
上記発明においては、前記ポリイミド樹脂の少なくとも一部が、末端封止剤により封止されていることが好ましい。
上記発明においては、上記2価の有機基が、下記式(B−1)〜(B−3)、(B−6)〜(B−8)で表される構造のいずれかであることが好ましい。
上記発明においては、上記第一絶縁層、上記第二絶縁層および上記第三絶縁層の線湿度膨張係数が、20ppm/%RH以下であることが好ましい。湿度変化による反りを小さくすることができるからである。
まず、本発明の回路基板について説明する。本発明の回路基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一導体層と、上記第一導体層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二導体層と、上記第二導体層上に形成された第三絶縁層とを有する回路基板であって、上記第一絶縁層の線熱膨張係数が、上記金属支持基板の線熱膨張係数よりも大きく、上記第二絶縁層および上記第三絶縁層の線熱膨張係数の少なくとも一方が、上記金属支持基板の線熱膨張係数よりも小さいことを特徴とするものである。
まず、本発明における第一絶縁層について説明する。本発明における第一絶縁層は、金属支持基板上に形成され、金属支持基板および第一導体層を絶縁する層である。
=湿度20%RH〜50%RHの伸び量/30/初期長×106[ppm/%Rh]
1)サンプル形態
サンプルサイズ 幅5mm×長さ15mm(掴み+5mm)
厚み 7〜8μm程度
初期状態 十分に乾燥した状態
2)測定条件
装置 RIGAKU製 S−TMA(湿度発生装置付きTMA)
加重 5g
温度 25℃
3)測定方法
1.サンプルの環境が湿度15%RHで安定し、サンプル長が一定となり変化しなく
なってから、0.5h以上保持
2.次にサンプルの環境が湿度20%RHで安定し、サンプル長が一定となり変化し
なくなってから、0.5h以上保持(サンプル長を測定)
3.引き続いてサンプルの環境が湿度50%RHで安定し、サンプル長が一定となり
変化しなくなってから、0.5h以上保持(サンプル長を測定)
4.湿度20%時と湿度50%時の値の差を計算し、1/30して湿度1%あたりの
伸び量を出す
5.湿度1%あたりの伸び量を初期長(15mm)で割り、変化率とする
第一絶縁層の厚さは、金属支持基板および第一導体層の間に所望の絶縁性を発揮できる程度の厚さであれば特に限定されるものではないが、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
次に、本発明における第二絶縁層について説明する。本発明における第二絶縁層は、第一導体層上に形成される層である。通常は、第一導体層を覆うように第二絶縁層が形成される。
式(1)において、一般に、R1は、テトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、R2はジアミン由来の構造である。
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに、上記式(3)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
上記のような構造を有する場合、最終的に得られるポリイミドの耐熱性が向上し、線熱膨張係数が小さくなる。その為、上記式(4−1)〜(4−6)で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のR2のうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、本発明においては33%以上含有すれば良く、50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましい。
さらに、本発明においては、第二絶縁層を構成するポリイミド樹脂が、上記式(A−1)で表される構造を含有することが好ましい。線熱膨張係数が小さいポリイミド樹脂とするだけでなく、低湿度膨張を示すポリイミドとすることができ、より反りの小さい回路基板を得ることができるからである。
末端封止剤としては、ポリイミド樹脂の末端基を封止できる酸無水物であれば特に限定されないが、酸無水物基を有する化合物であることがポリイミド前駆体の現像性向上の観点から好ましく、例えば、フタル酸無水物、アルキル基含有フタル酸無水物(4−メチルフタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物等)、ハロゲン化フタル酸無水物(4−クロロフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物等)、カルボキシ含有フタル酸無水物(4−カルボキシフタル酸無水物等)、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸無水物、ビニル基含有フタル酸無水物(4−ビニルフタル酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物等)、エチニル基含有フタル酸無水物(4−エチニルフタル酸無水物、3−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、3−フェニルエチニルフタル酸無水物、4−ナフチルエチニルフタル酸無水物、3−ナフチルエチニルフタル酸無水物、4−アントラセニルエチニルフタル酸無水物、3−アントラセニルエチニルフタル酸無水物等)等のフタル酸化合物の無水物;3−ナフタレンジカルボン酸無水物、エチニルナフタレンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセニルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物等のナフタレンジカルボン酸化合物の無水物;1,2−ナフタル酸無水物;2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、エチニルアントラセンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物、アントラセニルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物等のアントラセンジカルボン酸化合物の無水物;無水トリメリット酸クロリド;無水コハク酸;ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物;メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物;マレイン酸無水物;cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物;ナジック酸無水物等が挙げられる。これらの酸無水物が芳香環を有する場合、芳香族環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの末端封止剤は単独又は2種類以上組み合わせても使用してもよい。
2)予め想定される分子量に対応した量だけ、2つのアミノ基のうち片方のアミノ基だけ酸無水物と反応させたジアミンを原料の1部として用いる方法、
1)の方法は、予め所定の粘度になるように分子量が調整されたポリアミド酸を用いることができるので、末端封止をされたポリアミド酸溶液の粘度の制御が行いやすいというメリットがある。
一方2)の方法は、予め酸無水物と反応したジアミンを原料の一部として使うため、重合後に高分子末端に酸無水物残基が相対的に高い割合で導入されるというメリットがある。
末端基の導入率が30%未満の場合、塩基性水溶液に対する溶解性向上や、吸湿膨張率の低減といった効果が低くなる。本発明においてはこれらの特性のうち、吸湿膨張率低減については、末端基の導入率が高いほど効果が高く、塩基性水溶液に対する溶解性については導入率が50%までは、導入率が高いほど、溶解性が良好となり、50%を超えるとほぼ一定となる。
これは、以下の2つのメカニズムが影響していると考えられる。
1)末端基由来のカルボキシル基の効果 : 高分子末端のアミノ基が、酸無水物基とアミノ基の反応から生じた末端アミド酸残基となったことにより、塩基性水溶液に対する溶解性が向上したこと
2)分子鎖中のアミド酸のカルボキシル基と分子末端のアミノ基は、分子鎖間でイオン的に相互作用しており、ポリアミド酸は、擬似的な架橋構造を形成している。このような擬似架橋体を形成していると、塩基性水溶液に触れても、ゲル状になり、塩基性溶液への溶解速度が遅くなる。そこで、末端基を導入するとカルボキシル基と塩形成しにくいアミド酸構造となるため、擬似的な架橋体を形成せず、塩基性水溶液に対する溶解速度が向上する。
また、本発明においては、上記2価の有機基が、下記式(B−1)〜(B−3)、(B−6)−(B−8)で表される構造のいずれかであることが好ましい。
本発明に用いるポリイミド前駆体の数平均分子量は溶解性や末端封止の効果、膜の脆弱性の観点から10000から500000が望ましく、12000〜300000がより望ましく、15000〜100000がもっとも望ましい。
次に、本発明における第三絶縁層について説明する。本発明における第三絶縁層は、第二導体層上に形成される層である。通常は、第二導体層を覆うように第三絶縁層が形成される。
次に、本発明における第一導体層および第二導体層について説明する。本発明における第一導体層は第一絶縁層上に形成される層であり、本発明における第二導体層は第二絶縁層上に形成される層である。
次に、本発明における金属支持基板について説明する。本発明における金属支持基板は、回路基板の支持体として機能するものである。また、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合は、金属支持基板が所定のばね性を有することが好ましい。
本発明の回路基板は、上述した、金属支持基板、第一絶縁層、第一導体層、第二絶縁層、第二導体層および第三絶縁層を有するものである。中でも、本発明の回路基板は、金属支持基板の材料がSUS304であり、第一導体層および第二導体層の材料がCuであり、第一絶縁層、第二絶縁層および第三絶縁層の材料がポリイミド樹脂であり、さらに、第二絶縁層および第三絶縁層を構成するポリイミド樹脂が同じ材料であり、さらに、金属支持基板の厚さが16μm〜20μの範囲内であり、第一絶縁層の厚さが8μm〜12μmの範囲内であり、第一導体層の厚さが4μm〜6μmの範囲内であり、第一導体層上に形成された第二絶縁層の厚さが8μm〜12μmの範囲内であり、第二導体層の厚さが4μm〜6μmの範囲内であり、第二導体層上に形成された第三絶縁層の厚さが4μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。
ポリアミド酸に代表されるポリイミド前駆体は、有機溶媒や、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などの低濃度の塩基性水溶液に対して易溶である。これはポリアミド酸の場合、分子骨格中に有しているカルボキシル基の作用に依存する部分が大きい。
一方、イミド化し、ポリイミドとなったものについては、有機溶媒に難溶であり、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などの低濃度の塩基性水溶液には溶解しない。そのため、イミド化された後のポリイミドを選択的に除去するには、アルカリーアミン系などの高濃度の塩基性(水)溶液をもちいて、ポリイミド自体を分解しながら除去する必要がある。
つまり、選択的に除去する場合でも、その溶解メカニズムが異なるため、本発明においては区別して表記する。
また、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一導体層と、上記第一導体層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二導体層と、上記第二導体層上に形成された第三絶縁層とを有する回路基板であって、上記金属支持基板、上記第一導体層および上記第二導体層の線熱膨張係数の平均をCTEM(ppm/℃)とした場合に、上記第一絶縁層、上記第二絶縁層および上記第三絶縁層の線熱膨張係数が、いずれも、CTEM±13(ppm/℃)の範囲内にあることを特徴とする回路基板を提供することができる。
次に、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、上述した回路基板であることを特徴とするものである。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)10.0g(50mmol)と、パラフェニレンジアミン(PPD)5.41g(50mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、203gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した、その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
[合成例2〜14]
反応温度、および溶液の濃度が17重量%〜19重量%になるようにNMPの量を調整した以外は合成例1に示すのと同様の方法で以下の表1に示す配合比でポリイミド前駆体溶液2〜14を得た。
1,4−Bis(4−aminophenoxy)benzene : 4APB
2,2’−Dimethyl−4,4’−diaminobiphenyl : T
BHG
2,2’−Bis(trifluoromethyl)−4,4’−diamino
biphenyl : TFMB
ODA50mmolとPPD50mmolとを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水NMPに溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら当該溶液を撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、当該溶液に、少しずつ30分かけてBPDA99mmolを添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。溶液を1gサンプリングして脱水NMP2gで希釈した。その溶液をアセトン50mlに再沈殿した。沈殿物はろ別し、1H NMRで減圧乾燥した沈殿物の末端基量を算出した。残りの溶液に、末端封止剤として無水フタル酸(PA)を末端基量に対して100mol%投入し1時間50℃で撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液15を得た。
末端封止剤である無水フタル酸の下記表2に示す量添加する以外は合成例15に示すのと同様の方法で、ポリイミド前駆体溶液16〜20を得た。
ポリイミド前駆体溶液15〜20の末端封止基導入量を以下のようにして算出した:
ポリイミド前駆体溶液15〜20を1gサンプリングしてNMP2gで希釈した。その溶液をアセトン50mlに再沈殿した。沈殿物はろ別し、1H NMRで減圧乾燥した沈殿物の末端封止基導入量を算出した。
<架橋性末端封止ポリイミド前駆体>
ODA50mmolと、PPD50mmolとを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水NMPに溶解させ窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけてBPDA99mmolを添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。溶液を1gサンプリングして脱水NMP2gで希釈した。その溶液をアセトン50mlに再沈殿した。沈殿物はろ別し、1H NMRで減圧乾燥した沈殿物の末端基量を算出した。残りの溶液に架橋性末端封止剤として4−フェニルエチニルフタル(PEPA)酸無水物を末端基量に対して100mol%投入し1時間50℃で撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液21を得た。ポリイミド前駆体溶液21の末端基導入量は、前述の<末端封止基導入量算出>に記載の方法に従い算出した。
架橋性末端封止剤である4−フェニルエチニルフタル酸(PEPA)を下記表3に示す架橋性末端封止剤に変更する以外は合成例21に示すのと同様の方法で、ポリイミド前駆体溶液22〜25を得た。
感光性ポリイミドとするために、ポリイミド前駆体溶液2、およびポリイミド前駆体溶液6にニフェジピン(東京化成)を溶液の固形分の30重量%添加し、感光性ポリイミド前駆体溶液1、2を得た。
[評価1]
ポリイミドフィルムの製造(A)
上記ポリイミド前駆体溶液1〜14を、ガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、乾燥させた後、剥離し、膜厚15〜20μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚9〜15μmポリイミド1〜14のフィルムを得た(以下、ポリイミド1A〜14Aと示す)。
上記感光性ポリイミド前駆体溶液1、2を、ガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、高圧水銀灯により365nmの波長の照度換算で500mJ/cm2露光後、ホットプレート上で180℃3分加熱した後、フィルムより剥離し、膜厚17μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚12μm感光性ポリイミド1、2のフィルムを得た(以下、感光性ポリイミド1A及び2Aと示す)。
<線熱膨張係数>
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃から200℃の間の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とした。
<線湿度膨張係数>
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線湿度膨張係数は、湿度可変機械的分析装置Thermo Plus TMA8310改(リガク社製)によって測定した。温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持した。その後、湿度を50%Rhに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値を、サンプル長で割った値を湿度膨張係数(C.H.E.)とした。評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
[製造例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持基板、線熱膨張係数17.3ppm/℃)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(第一絶縁層、線熱膨張係数21.0ppm/℃)、厚さ5μmの電解銅層(第一導体層、線熱膨張係数16.7ppm/℃)を有する積層部材を準備した。
[製造例2〜14]
第二絶縁層および第三絶縁層を形成するため、合成例1で得たポリイミド前駆体溶液1の代わりに、合成例2〜14で得たポリイミド前駆体2〜14を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、回路基板を得た。
[製造例15]
第二絶縁層および第三絶縁層を形成するため、合成例1で得たポリイミド前駆体溶液1の代わりに、合成例15で得た感光性ポリイミド前駆体溶液1を用いた。第二絶縁層を形成する際、パターニングされた第一導体層上に、感光性ポリイミド前駆体1を塗布、乾燥後、マスクを介して所望のパターン形状に高圧水銀灯を光源に用い露光を行い、アルカリ性水溶液で現像し、ネガ型のパターン像を形成した。その後、窒素雰囲気下で加熱を行い、感光性ポリイミド1からなる第二絶縁層を形成した。また、同様の手法により、第三絶縁層を形成した。このようにして絶縁層を形成したこと以外は、製造例1と同様にして、回路基板を得た。
[製造例16]
第二絶縁層および第三絶縁層を形成するため、合成例15で得た感光性ポリイミド前駆体溶液1の代わりに、合成例16で得た感光性ポリイミド前駆体溶液2を用いたこと以外は、製造例15と同様にして、回路基板を得た。
[評価2]
製造例1〜16で得られた回路基板の平均反り量を測定した。反りの測定は、加工シートから長さ20mmの回路基板を1ピース切断し、銅配線面を上面にして定盤上に置き、定盤表面から垂直方向に回路基板の先端までの距離を高精度定規で測定することにより行った。なお、測定は、温度25℃、湿度50%RHの条件で行った。また、測定サンプル数はそれぞれn=9とし、平均反り量が0〜2mmのものを○、2〜5mmのものを△、5mm以上のものを×とした。その結果を表4に示す。
ポリイミド前駆体溶液15〜25をクロムガラス基板上にスピン塗布にて塗工し、80℃60分間乾燥させた。膜厚20±1μmのポリイミド前駆体膜を得た。
<現像溶解時間>
上記製造例17〜23で得られたポリイミド前駆体膜のそれぞれについて、以下のようにして現像溶解時間を測定した。ポリイミド前駆体膜を現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム1%水溶液)に液温25℃に調整し、浸漬させた。その後、純水で30秒間リンス後、窒素ガスを噴き付け乾燥させた。現像溶解時間はすべての膜が溶解した現像液での浸漬時間とした。
ポリイミドフィルムの製造(B)
上記ポリイミド前駆体溶液15〜25を、ガラス基板上に塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた。その後、塗工されたガラス基板を窒素雰囲気下350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)した。得られた塗工基板を純水に浸漬し、ポリイミドフィルムを基板から剥離した。膜厚9〜15μmポリイミド15〜25のフィルムを得た(以下、ポリイミド15B〜25Bと示す)。
前駆体溶液2、前駆体溶液16及び前駆体溶液21をそれぞれ用い、前述の[評価3]と同様にして現像溶解時間を測定した。
Claims (15)
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された第一導体層と、前記第一導体層上に形成された第二絶縁層と、前記第二絶縁層上に形成された第二導体層と、前記第二導体層上に形成された第三絶縁層とを有する回路基板であって、
前記第一絶縁層の線熱膨張係数が、前記金属支持基板の線熱膨張係数よりも大きく、
前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の線熱膨張係数の両方が、前記金属支持基板の線熱膨張係数よりも小さい、回路基板。 - 前記金属支持基板、前記第一導体層および前記第二導体層の材料の線熱膨張係数が10ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であり、前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の材料がポリイミド樹脂である、請求項1に記載の回路基板。
- 前記金属支持基板の材料がSUS304であり、前記第一導体層および前記第二導体層の材料がCuであり、前記第一絶縁層、前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の材料がポリイミド樹脂である、請求項1または請求項2に記載の回路基板。
- 前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の線熱膨張係数の少なくとも一方が、4.3ppm/℃以上、17.3ppm/℃未満である、請求項3に記載の回路基板。
- 前記第二絶縁層および前記第三絶縁層を構成するポリイミド樹脂が、下記式(A−1)または(A−2)で表される構造のいずれかを含有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の回路基板。
- 前記ポリイミド樹脂の少なくとも一部が、末端封止剤により封止されている、請求項5に記載の回路基板。
- 前記末端封止剤が架橋性二重結合又は架橋性三重結合を有する、請求項6に記載の回路基板。
- 前記2価の有機基が、下記式(B−1)〜(B−8)で表される構造のいずれかである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の回路基板。
- 前記2価の有機基が、下記式(B−1)〜(B−3)、(B−6)−(B−8)で表される構造のいずれかである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の回路基板。
- 前記第一絶縁層、前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の線湿度膨張係数が、20ppm/%RH以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路基板。
- 前記第二絶縁層および前記第三絶縁層の線熱膨張係数の両方が、4.3ppm/℃以上、17.3ppm/℃未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路基板。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の回路基板である、サスペンション用基板。
- 請求項12に記載のサスペンション用基板を含むサスペンション。
- 請求項13に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子とを有する素子付サスペンション。
- 請求項14に記載の素子付サスペンションを含むハードディスクドライブ。
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