JP2011222780A - 薄膜トランジスタ基板および薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ基板および薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Toshiharu Fukuda
俊治 福田
Katsuya Sakayori
勝哉 坂寄
Keita Arihara
慶太 在原
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Abstract

【課題】本発明は、スイッチング特性に優れたTFT基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成された半導体層および上記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有する薄膜トランジスタと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることを特徴とする薄膜トランジスタ基板を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング特性に優れた薄膜トランジスタ基板に関するものである。
薄膜トランジスタ(以下、TFTとする場合がある。)に代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
TFTに用いられるゲート絶縁層やパッシベーション層といった絶縁層としては、一般的には、酸化ケイ素等の無機化合物を用い、これらを蒸着法により形成されたものが用いられている(特許文献1等)。
しかしながら、このような蒸着法を用いて絶縁層を形成した場合には、蒸着に必要な真空設備等が必要となり、コストが高くなるといった問題があった。また、無機化合物を用いた絶縁層は、フレキシブル基板用途に用いた場合に、クラックが入り易いといった問題があった。さらに、無機化合物を用いた絶縁層では、厚みを厚くすることが難しく、ゲート電極およびソース・ドレイン電極、または画素電極等にゴミ等の異物がある場合に短絡するおそれがあるといった問題があった。
このような問題に対して、感光性樹脂を用いた感光性樹脂絶縁層が検討されている。感光性樹脂製絶縁層の場合、感光性樹脂を塗布、露光、現像を行うことにより絶縁層を形成することができ、無機化合物製絶縁層と比較し、プロセスを簡便なものとすることができる。また、蒸着に必要な真空設備も不要とすることができることから、コストを低くすることができる。さらに、このような樹脂製の絶縁層とした場合には、上述の無機化合物からなる絶縁層と異なり、その厚みを容易に厚くすることができる。したがって、異物等が混入した場合であっても、短絡等の不具合の発生を抑制することができる。
また、このような感光性樹脂のなかでも、ポリイミドは、耐熱性に優れることから好ましく用いられる。
このような感光性樹脂としてのポリイミド、すなわち、感光性ポリイミド樹脂組成物としては、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体および重クロム酸塩からなる系が最初に提案された(特許文献2)。しかしながら、この材料は、実用的な光感度を有するとともに膜形成能が高いなどの長所を有する反面、保存安定性に欠け、また硬化後のポリイミド樹脂中にクロムイオンが残存することなどの欠点があり、実用には至らなかった。
さらに、ポリイミド前駆体(ポリイミド成分)であるポリアミック酸に感光性成分である感光性基をエステル結合で導入した化合物(特許文献3)や、ポリイミド前駆体(ポリイミド成分)に感光性成分であるメタクリロイル基を持つアミン化合物をポリアミック酸に添加し、アミノ基とカルボキシル基をイオン結合させた化合物(特許文献4)が紹介されている。また、ポリアミック酸(ポリイミド成分)に、感光性成分であるナフトキノンジアジド(特許文献5)、光酸発生剤および酸架橋性モノマー(特許文献6)、光塩基発生剤(特許文献7および8)、光酸発生剤もしくは光塩基発生剤(特許文献9)ニフェジピン(特許文献10)をそれぞれ加えたものや、酸分解性の保護基によりカルボキシル基が保護されたポリアミック酸(ポリイミド成分)に、光酸発生剤を加えたもの(非特許文献1)、ポリアミック酸エステル(ポリイミド成分)に光塩基発生剤を加えたもの(特許文献11)、酸分解性の主鎖をもつポリイミド(ポリイミド成分)に光酸発生剤を混合したもの(特許文献12)が開示されている。
しかしながら、このような感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されてなる絶縁層を用いてTFTとした場合には、スイッチング特性が低下するといった問題があることが、発明者等の研究により判明した。
特開2000−324368公報 特公昭49−17374号公報 特公昭55−30207号公報 特開昭54−145794号公報 特開昭52−13315号高報 特開平10−307393号公報 特開平6−175364号公報 特開2006−189591号公報 特開2008−274234号公報 特開平6−75736号公報 特開平5−197148号公報 特開平11−315141号公報
Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry, Volume 43, Issue 22 (p 5520-5528)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、スイッチング特性に優れたTFT基板を提供することを主目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、従来の感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成された絶縁層には上記感光性ポリイミド樹脂組成物に含まれるメタクリロイル基等の感光性基、ナフトキノンジアジド、光塩基発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤、ニフェジピン等の感光性成分等が多く残存しており、この残存した感光性成分等がその後の製造工程において高温雰囲気下や真空雰囲気下に曝されることにより、揮発しアウトガスとなること、および、このアウトガスが上記半導体層に不純物として取り込まれることにより、上記半導体層の半導体特性を低下させ、十分なスイッチング特性を発揮することができなくなることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、基板と、上記基板上に形成された半導体層および上記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有するTFTと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることを特徴とするTFT基板を提供する。
本発明によれば、上記非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることにより、上記非感光性ポリイミド絶縁層を、上記半導体層等を形成する際の高温雰囲気下や真空雰囲気下においてアウトガスの主原因である感光性成分を含まないものとすることができ、アウトガスの発生の少ないものとすることができる。その結果、上記半導体層を、上記半導体層接触絶縁層由来の不純物の少ないものとすることができ、優れたスイッチング特性を有するものとすることができる。
本発明においては、上記非感光性ポリイミド絶縁層に含まれるポリイミド樹脂の含有量が、80質量%以上であることが好ましい。絶縁性および絶縁性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記非感光性ポリイミド絶縁層の5%重量減少温度が、470℃以上であることが好ましい。アウトガスの発生量のより少ないものとすることができ、スイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記半導体層が、酸化物半導体層であることが好ましい。上記酸化物半導体は半導体材料のなかでも半導体特性に優れるものであることから、上記酸化物半導体層とすることにより、半導体特性に優れたものとすることができるからである。また、上記酸化物半導体層はキュア温度が高いため、アウトガスの影響を受け易い傾向がある。このため、上記半導体接触絶縁層が上記非感光性ポリイミド絶縁層であることにより、上記酸化物半導体層がアウトガスの影響の少ないものとすることができ、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
本発明においては、上記非感光性ポリイミド絶縁層が、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体を少なくとも含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されるものであることが好ましい。
上記非感光性ポリイミド絶縁層が、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されてなるものである場合、アニール処理により上記ポリイミド前駆体を脱水閉環反応させイミド化する必要があるが、このイミド化と同時に水が発生する。このような水存在下のアニール処理、すなわち、水蒸気アニール処理を行った場合には、上記ポリイミド前駆体をイミド化すると同時に上記酸化物半導体の半導体特性を向上させることができ、スイッチング特性により優れたものとすることができる。したがって、特に、簡便なプロセスでスイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記半導体層接触絶縁層のうち、トップゲート型の上記TFTにおけるゲート絶縁層、または、ボトムゲート型の上記TFTにおけるゲート絶縁層およびパッシベーション層の少なくとも一方が、上記非感光性ポリイミド絶縁層であることが好ましい。スイッチング特性により優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記基板が、金属箔と、上記金属箔上に形成され、ポリイミドを含む平坦化層とを有するフレキシブル基板であることが好ましい。
上記平坦化層を有することにより、金属箔上にポリイミドを含む平坦化層が形成されているので、金属箔表面の凹凸を平坦化することができ、TFTの電気的性能の低下を防ぐことができるからである。
本発明においては、上記フレキシブル基板が、上記平坦化層上に無機化合物を含む密着層を有することが好ましい。
上記密着層を有することにより、TFTとの密着性に優れたものとすることができ、TFT基板の製造時に水分や熱が加わってポリイミドを含む平坦化層の寸法が変化した場合であっても、TFTを構成する電極や半導体層に剥離やクラックが生じるのを防ぐことができるからである。
本発明は、基板と、上記基板上に形成された半導体層および上記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有するTFTと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であるTFT基板の製造方法であって、上記基板上に非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド膜を形成する非感光性ポリイミド膜形成工程と、上記非感光性ポリイミド膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド絶縁層を形成する非感光性ポリイミド膜パターニング工程と、を有することを特徴とするTFT基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記非感光性ポリイミド膜パターニング工程を有すること、すなわち、イミド化された非感光性ポリイミド膜をパターニングすることにより、上記非感光性ポリイミド絶縁層により覆われる箇所の部材が、現像時の影響を受け難いものとすることができる。したがって、信頼性の高いTFTとすることができる。
本発明は、基板と、上記基板上に形成された半導体層および上記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有するTFTと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であるTFT基板の製造方法であって、上記基板上に、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜を形成する非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程と、上記非感光性ポリイミド前駆体膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンを形成する非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程と、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれる上記ポリイミド前駆体をイミド化し、上記非感光性ポリイミド絶縁層を形成するイミド化工程と、を有することを特徴とするTFT基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、イミド化前のポリイミド前駆体はカルボキシル基を有しアルカリ現像が可能であり、また、ポリイミド樹脂よりは高い溶解性を有し溶剤現像も可能であることから、上記非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程を有することにより、パターンの形成を容易なものとすることができる。したがって、パターン精度良く非感光性ポリイミド絶縁層を形成することができ、品質に優れたTFT基板を得ることができる。
本発明はスイッチング特性に優れたTFT基板を提供できるといった効果を奏する。
本発明のTFT基板の一例を示す概略断面図である。 本発明のTFT基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のTFT基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる基板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のTFT基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のTFT基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
本発明は、TFT基板およびその製造方法に関するものである。
以下、本発明のTFT基板およびTFT基板の製造方法について詳細に説明する。
A.TFT基板
まず、本発明のTFT基板について説明する。
本発明のTFT基板は、基板と、上記基板上に形成された半導体層および上記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有するTFTと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることを特徴とするものである。
このような本発明のTFT基板について図を参照して説明する。図1は、本発明のTFT基板の一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように、本発明のTFT基板20は、金属箔1、上記金属箔1上に形成され、ポリイミドを含む平坦化層2、および上記平坦化層2上に形成された無機化合物を含む密着層3を有するフレキシブル基板10と、上記フレキシブル基板10の密着層3上に形成されたソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11と、上記ソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるゲート絶縁層14と、上記ゲート絶縁層14上に形成されたゲート電極13Gとを有するものであり、トップゲート・ボトムコンタクト構造を有するものである。
また、図1(b)に例示するTFT基板20は、トップゲート・トップコンタクト構造を有するTFTを備えており、フレキシブル基板10の密着層3上に形成された酸化物半導体層11ならびにソース電極12Sおよびドレイン電極12Dと、酸化物半導体層11ならびにソース電極12Sおよびドレイン電極12D上に上記非感光性ポリイミド樹脂からなるゲート絶縁層14と、ゲート絶縁層14上に形成されたゲート電極13Gとを有している。
また、本発明のTFT基板の他の例としては、図2(a)に例示するように、TFT基板20が、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造を有するTFTを備えており、フレキシブル基板10の密着層3上に形成されたゲート電極13Gと、ゲート電極13Gを覆うように、上記ポリイミド樹脂を含むゲート絶縁層14と、上記ゲート絶縁層14上に形成されたソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11と、ソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるパッシベーション層15とを有している。
また、図2(b)に例示するTFT基板20は、ボトムゲート・トップコンタクト構造を有するTFTを備えており、フレキシブル基板10の密着層3上に形成されたゲート電極13Gと、ゲート電極13Gを覆うように、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるゲート絶縁層14と、ゲート絶縁層14上に形成された酸化物半導体層11ならびにソース電極12Sおよびドレイン電極12Dと、酸化物半導体層11ならびにソース電極12Sおよびドレイン電極12D上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるパッシベーション層15と、を有している。
さらに本発明のTFT基板の他の例としては、図3(a)に例示するように、TFT基板20が、トップゲート型のコプレーナ型構造を有するTFTを備えており、フレキシブル基板10の密着層3上に形成された酸化物半導体層11と、酸化物半導体層11上に形成されたソース電極12Sおよびドレイン電極12Dと、酸化物半導体層11上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるゲート絶縁層14と、上記ゲート絶縁層14上に形成されたゲート電極13Gとを有している。
また、図3(b)に例示するTFT基板20は、ボトムゲート型のコプレーナ型構造を有するTFTを備えており、フレキシブル基板10の密着層3上に形成されたゲート電極13Gと、ゲート電極13G上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるゲート絶縁層14と、上記ゲート絶縁層14上に形成された酸化物半導体層11と、上記酸化物半導体層11上に形成されたソース電極12Sおよびドレイン電極12Dと、酸化物半導体層11上に、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるパッシベーション層15と、を有している。
また、この例において、図1および図3(a)における半導体層接触絶縁層はゲート絶縁層であり、図2および図3(b)における半導体層接触絶縁層はゲート絶縁層およびパッシベーション層(図2)であり、これら全ての半導体層接触絶縁層が上記非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層である。
本発明によれば、上記非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることにより、上記非感光性ポリイミド絶縁層を、上記酸化物半導体層等を形成する際の高温雰囲気下や真空雰囲気下においてアウトガスの主原因である感光性成分を含まないものとすることができ、アウトガスの発生の少ないものとすることができる。その結果、上記半導体層を、上記半導体層接触絶縁層由来の不純物の少ないものとすることができ、優れたスイッチング特性を有するものとすることができる。
また、上記非感光性ポリイミド絶縁層が上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、無機化合物からなる絶縁層形成に必要とされる真空設備を用いた蒸着工程を行うことなく形成することができるため、簡便なプロセスとすることができる。また、その結果低コスト化を図ることができる。
また、上記非感光性ポリイミド絶縁層が、非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより耐熱性に優れた絶縁層とすることができ、上記半導体層や他の部材の製造時に高温雰囲気下に曝された場合であっても絶縁性能の低下の少ないものとすることができることから、スイッチング特性に優れたものとすることができる。また、樹脂製であるため、例えば、上記基板としてフレキシブル基板を用い、フレキシブルTFT基板とした場合であっても、上記非感光性ポリイミド絶縁層にクラックが生じにくいものとすることができる。
なお、本発明におけるアウトガスとは、ポリイミド樹脂の分解生成物や、感光性成分の分解残渣などの高温度もしくは高真空条件で発生するもので、100℃60分程度の乾燥加熱等で容易に除去可能な水分(水蒸気)や残溶媒などは含まない。
本発明のTFT基板は、基板およびTFTを少なくとも有するものである。
以下、本発明のTFT基板の各構成について詳細に説明する。
1.TFT
本発明に用いられるTFTは、上記半導体層および半導体層接触絶縁層を少なくとも有するものである。
(1)半導体層接触絶縁層
本発明に用いられ半導体層接触絶縁層は、上記半導体層と接するように形成されたものであり、そのうちの少なくとも一つが上記非感光性ポリイミド絶縁層である。
(a)非感光性ポリイミド絶縁層
本発明に用いられる非感光性ポリイミド絶縁層は、非感光性ポリイミド樹脂からなるものである。
(i)非感光性ポリイミド樹脂
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂は、少なくともポリイミド樹脂を含むものである。
ここで、非感光性材料とは、その材料のみでは光の作用によるパターン形成が出来ない材料のことを言い、金属やレジストによって形成されたマスクによって設けられた開口部を通して、液体や気体、プラズマによって不要部を除去する、または、インクジェットやスクリーン印刷などの手法によって、予めパターンの形状に塗布される、などの手法によってパターンを形成する必要がある材料のことを言う。
より一般的には、実質的に感光性成分を含有しない状態でパターンを形成する材料のことをいう。本発明においては、上記半導体接触絶縁層が、非感光性材料である非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、感光性成分を含まないより純粋な材料を適用できることにより、広範囲の材料を選択できるメリットがあり、それによって、本発明に必要な低アウトガス、低吸湿膨張、低線熱膨張という特性を兼ね備えた材料を適用することが可能となる。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂の5%重量減少温度、すなわち、上記非感光性ポリイミド絶縁層の5%重量減少温度としては、所望のアウトガス発生量とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、470℃以上であることが好ましく、なかでも、490℃以上であることが好ましい。上記5%重量減少温度が上述の範囲内であることにより、上記半導体層や他の部材を形成する際の高温雰囲気下や真空雰囲気下にける重量減少の少ないもの、すなわち、アウトガスの少ないものとすることができ、スイッチング特性に優れたTFT基板とすることができるからである。特に、上記半導体層として、酸化物半導体層等の無機半導体層は、通常、高温,真空雰囲気下で形成されるため、多量のアウトガスが発生し得る環境下で上記酸化物半導体層等を形成した場合には、上記アウトガスが不純物として上記半導体層に取り込まれる可能性が高い。これに対して、上記非感光性ポリイミド絶縁層が上述の5%重量減少温度の非感光性ポリイミド樹脂からなるものである場合には、高温,真空雰囲気下であっても上記非感光性ポリイミド絶縁層からのアウトガスの発生が少ないため、上記酸化物半導体層等を上記不純物の少ないものとすることができるからである。また、本発明のTFT基板のように、このような非感光性ポリイミド絶縁層を含むものとすることにより、高温環境下で使用された場合にも、アウトガスによる不具合の少ないものとすることができるからである。
ここで、5%重量減少温度が470℃以上の非感光性ポリイミド樹脂とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定する際に、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/minで100℃まで上昇させた後、100℃で60分加熱した後、15分以上窒素雰囲気下で放冷した後、昇温速度10℃/minで測定した際の放冷後の重量を基準として測定した5%重量減少温度が470℃以上のものをいう。
なお、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した場合に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(すなわち、サンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。
本発明に用いられるポリイミド樹脂としては、上記非感光性ポリイミド絶縁層に所望の絶縁性および低アウトガス性を付与できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、下記式(a)で表される構造を有するものを用いることができる。
Figure 2011222780
(式(a)中、R1は4価の有機基、Rは2価の有機基であり、繰り返されるR同士およびR同士はそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。lは1以上の自然数である。)
上記式(a)において、一般に、Rはテトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、Rはジアミン由来の構造である。
本発明において上記ポリイミド樹脂に適用可能なテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、12,14−ジフェニル−12,14−ビス(トリフルオロメチル)−12H,14H−5,7−ジオキサペンタセン−2,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1−(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物,p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
一方、上記ポリイミド樹脂に適用可能なジアミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンのような芳香族アミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンのような脂肪族アミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンのような脂環式ジアミンなどが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
本発明におけるポリイミド樹脂としては、絶縁層の耐熱性を高め、アウトガスを低減する目的から、芳香族骨格を含むことが好ましい。芳香族骨格を含有することにより、その剛直で平面性の高い骨格に由来して、耐熱性や薄膜での絶縁性に優れ、5%重量減少温度が高く、低アウトガスであることから、本発明のTFT基板の絶縁層に好ましく用いられるからである。
また、5%重量減少温度が高く、低アウトガスであるポリイミド樹脂は、酸二無水物由来の部分が芳香族構造を有し、さらにジアミン由来の部分も芳香族構造を含むことが望ましい。それゆえジアミン成分由来の構造も芳香族ジアミンから誘導される構造であることが好ましい。特に、酸二無水物由来の部分およびジアミン由来の部分のすべてが芳香族構造を含む全芳香族ポリイミド樹脂であることが好ましい。
ここで、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、前述した原料の芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
以上の理由から、ポリイミド樹脂に耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミド樹脂であることが好ましい。
本発明においては、なかでも、上記(a)で表される構造を有するポリイミド樹脂におけるRのうち33モル%以上が、下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。耐熱性に優れ、低線熱膨張係数を示すポリイミド樹脂となるというメリットがあるからである。
Figure 2011222780
(式(11)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
本発明においては、特に、上記(a)で表される構造を有するポリイミド樹脂が上記式(11)で表される構造を含むと、上記ポリイミド樹脂が低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有することにより、高耐熱性、低線熱膨張係数を示すポリイミド樹脂を形成可能である。そのため、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(a)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、少なくとも上記式(a)中のRのうち33%以上含有すればよい。中でも、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(a)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
本発明において、ポリイミド樹脂を低吸湿にする酸二無水物の構造としては、下記式(12)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2011222780
(式(12)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは、3,4位に結合する。)
上記式(12)において、Aが単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)である酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、好ましい。
上記式(12)において、Aがエステル結合であるフェニルエステル系の酸二無水物は、ポリイミド樹脂を低吸湿にする観点から、特に好ましい。例えば、下記式で表わされる酸二無水物が挙げられる。具体的には、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、特に好ましい。
Figure 2011222780
(式中、aは0または1以上の自然数である。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
上述の吸湿膨張係数が小さいテトラカルボン酸二無水物の場合、後述するジアミンとしては幅広く選択することができる。
併用するテトラカルボン酸二無水物として、下記式で表わされるような少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。フッ素が導入されたテトラカルボン酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミド樹脂の吸湿膨張係数が低下する。少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物としては、中でも、フルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基を有することが好ましい。具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。しかしながら、上記ポリイミド樹脂が、非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されるものであり、上記非感光性ポリイミド樹脂組成物のポリイミド成分として含まれるポリイミド前駆体がフッ素を含んだ骨格を有する場合、上記ポリイミド前駆体が、塩基性水溶液に溶解しづらい傾向にあり、上記ポリイミド前駆体の状態で、レジスト等を用いてパターニングを行う際には、アルコール等の有機溶媒と塩基性水溶液との混合溶液によって現像を行う必要がある場合がある。
Figure 2011222780
ここで、選択されるジアミンは耐熱性、すなわち、低アウトガス化の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いてもよい。
また、上記ポリイミド樹脂においては、上記式(a)中のRのうち33モル%以上が下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2011222780
(R11は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、またはスルホン基であり、R12およびR13は1価の有機基、またはハロゲン原子である。)
上記ポリイミド樹脂が上記式のいずれかの構造を含むと、これら剛直な骨格に由来し、低線熱膨張および低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有する場合、上記ポリイミド樹脂の耐熱性が向上し、線熱膨張係数が小さくなる。そのため、上記式(a)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、上記式(a)中のRのうち少なくとも33%以上含有すればよい。中でも上記式で表わされる構造の含有量は上記式(a)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
上記ポリイミド樹脂をより低吸湿膨張とする観点からは、ジアミンの構造としては、下記式(13)、(14)で表わされるものが好ましい。
Figure 2011222780
(式(13)中、同一の芳香環に2つアミノ基が結合していてもよい。
式(14)中、aは0または1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
上記式(13)で表されるジアミンとしては、具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
上記式(14)で表わされるジアミンとしては、具体的には、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると、上記ポリイミド樹脂の吸湿膨張係数を低減させることができる。例えば、上記式(14)で表わされるジアミンの中でフッ素が導入された構造としては、下記式で表わされるものが挙げられる。しかしながら、フッ素を含むポリイミド前駆体、特にポリアミック酸は、塩基性水溶液に溶解しにくいため、上記ポリイミド前駆体をポリイミド成分として含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて、基板上に非感光性ポリイミド絶縁層を部分的に形成する場合には、上記絶縁層の加工の際に、アルコールなどの有機溶媒との混合溶液で現像する必要がある場合がある。
Figure 2011222780
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、基板との密着性を改善したり、上記ポリイミド樹脂の弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させたりすることができる。
本発明に用いられるポリイミド樹脂の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、十分な強度が得られにくいからである。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくいからである。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいう。
本発明に用いられるポリイミド樹脂は、上記非感光性ポリイミド絶縁層の主成分として含まれるものである。
ここで、主成分として含まれるとは、アウトガス発生量を所望の範囲内とし、スイッチング特性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記非感光性ポリイミド樹脂中、すなわち、上記非感光性ポリイミド絶縁層中に80質量%以上含まれるものであり、なかでも、90質量%以上含まれることが好ましく、特に、95質量%以上含まれることが好ましい。上記含有量が上記範囲であることにより、上記非感光性ポリイミド絶縁層をアウトガスの少ないものとすることができるからである。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド絶縁層に含まれるポリイミド樹脂のイミド化率としては、所望の絶縁性、耐熱性、低アウトガス性等の特性を発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、90%以上であることが好ましく、なかでも、95%以上であることが好ましく、特に100%、すなわち、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を含まないものであることが好ましい。上記イミド化率が上記範囲であることにより、耐熱性、低アウトガス性に特に優れたものとすることができるからである。
なお、イミド化率は、例えば、赤外線吸収スペクトルを用いて確認することができる。具体的には、上記ポリイミド樹脂に含まれるイミド結合由来のC=O二重結合のピーク面積から定量することにより求めることができる。
本発明における非感光性ポリイミド樹脂は、少なくとも上記ポリイミド樹脂を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
このような他の成分としては、上記ポリイミド樹脂以外のバインダー樹脂、その他の添加剤、および熱硬化性樹脂等を含むものとすることができる。
本発明においては、上記添加剤として、上記非感光性ポリイミド樹脂に加工特性や各種機能性を付与するために、様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
また、上記バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等を挙げることができる。
また、本発明における他の成分の配合割合は、上記非感光性ポリイミド樹脂中、すなわち、上記非感光性ポリイミド絶縁層中、0.1重量%〜20重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、20重量%を超えると、上記ポリイミド樹脂の特性が最終生成物に反映されにくいからである。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂の形成方法としては、上記ポリイミド樹脂を含むことができる方法であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、ポリイミド成分および溶剤を少なくとも含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いる方法を挙げることができる。
本発明に用いられるポリイミド成分とは、上記非感光性ポリイミド樹脂組成物のうち、キュア(硬化)後に上記ポリイミド樹脂となる成分のことをいう。
このようなポリイミド成分としては、所望のポリイミド樹脂となるものであれば特に限定されるものではないが、上記ポリイミド樹脂が上記式(a)で表される構造を有するものである場合には、具体的には、下記式(1)で表される構造を有するポリイミド、および下記式(2)、(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体を用いることができる。
Figure 2011222780
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(式(1)から(3)中、Rは水素原子もしくは1価の有機基であり、繰り返されるR同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。また、RおよびRは、上記式(a)中の置換基と同一である。はさらに、mは1以上の自然数である。)
また、式(3)については、左右非対称であるが、1つのポリマー分子鎖中に左右の向きが異なるものが含まれていてもよい。
本発明におけるポリイミド成分としては、上記式(1)、式(2)および式(3)のそれぞれの構造のみを有するポリマーのみ用いても、上記式(1)、式(2)および式(3)のそれぞれの構造のみを有するポリマーを混ぜて使っても、1つのポリマー分子鎖中に上記式(1)、式(2)および式(3)の構造が混ざったものを用いることもできる。
本発明においては、上記半導体層が酸化物半導体層である場合には、上記ポリイミド成分が上記ポリイミド前駆体を少なくとも含むものであることが好ましい。イミド化のためのアニール処理時に水を発生するため、イミド化と同時に上記酸化物半導体層に対して水蒸気アニールを行うことができ、半導体特性を向上させることができるからである。また、上記式(1)、式(3)に含まれるイミド化後の環構造の割合は、式(2)、式(3)に含まれるイミド化前のカルボン酸部分よりも、溶剤への溶解性が低いため、塗布時に溶剤に溶かしてワニスとして用いる際には、イミド化前の構造を多く含む、溶解性が高いポリイミド前駆体を用いることが望ましいからである。
本発明においては、なかでも、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル)が全体の50%以上あることが望ましく、75%以上であることがさらに好ましく、全て、式(2)からなるポリアミック酸(および)その誘導体であることが好ましい。
なお、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル)の含有率は、100%−イミド化率(%)で求めることができる。したがって、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル)が全体の50%である場合には、イミド化率が50%であることを示す。
また、式(2)からなるポリアミック酸(および)その誘導体については、合成の容易さおよびアルカリ現像液に対する溶解性の高さから、Rが全て水素原子であるポリアミック酸であることが特に好ましい。
本発明に用いられるポリイミド成分の製造方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、上記(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体の形成方法としては、(i)酸二無水物とジアミンから合成する手法や、(ii)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成したエステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させて形成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
また、上記(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体または上記(1)で表されるポリイミドの形成方法としては、上記(2)で表されるポリイミド前駆体を加熱によりイミド化する方法が挙げられる。
本発明に用いられるポリイミド成分の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド樹脂などの高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
本発明に用いられる溶媒としては、上記ポリイミド成分を均一に分散または溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
また、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸を用いる場合には、ポリアミック酸の合成反応により得られた溶液をそのまま溶媒として用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂組成物は、上記ポリイミド成分および溶剤を少なくとも含むものであるが、必要に応じて、他の成分を有するものであっても良い。
このような他の成分としては、上記バインダー樹脂、添加剤や、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
(ii)非感光性ポリイミド絶縁層
本発明に用いられる非感光性ポリイミド絶縁層は、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものであり、アウトガス発生量の少ないものである。
本発明における非感光性ポリイミド絶縁層は、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つであれば良く、既に説明した図1〜3に示すように、トップゲート型TFTにおけるゲート絶縁層や、ボトムゲート型TFTにおけるゲート絶縁層、パッシベーション層として用いられるものである。
本発明においては、なかでも、トップゲート型TFTにおけるゲート絶縁層、または、ボトムゲート型TFTにおけるゲート絶縁層およびパッシベーション層の少なくとも一方として用いられることが好ましく、特に、トップゲート型TFTにおけるゲート絶縁層、または、ボトムゲート型TFTにおけるゲート絶縁層およびパッシベーション層の両者として用いられることが好ましく、なかでも特に、上記半導体層接触絶縁層の全てとして用いられることが好ましい。上記ゲート絶縁層およびパッシベーション層は、上記半導体層接触絶縁層のなかでも半導体層との接触面積が広く、上記半導体層接触絶縁層からのアウトガスの影響を受け易いものである。このため、これらの半導体層接触絶縁層を非感光性ポリイミド絶縁層とすることにより、上記半導体層をより不純物の少ないものとすることができ、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
また、上記半導体層接触絶縁層の全てを上記非感光性ポリイミド絶縁層とすることにより、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
本発明における非感光性ポリイミド絶縁層は絶縁性を備えるものである。具体的には、上記非感光性ポリイミド絶縁層の体積抵抗は、1.0×109Ω・m以上であることが好ましく、なかでも、1.0×1010Ω・m以上であることがより好ましく、特に、1.0×1011Ω・m以上であることが好ましい。
なお、体積抵抗は、JIS K6911、JIS C2318、ASTM D257 などの規格に準拠する手法で測定することが可能である。
本発明における非感光性ポリイミド絶縁層の膜厚としては、用いられる半導体層接触絶縁層に応じて適宜設定されるものであり、一般的な半導体層接触絶縁層と同様とすることができる。
本発明における非感光性ポリイミド絶縁層の形成方法としては、上記非感光性ポリイミド樹脂を含むものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には、後述する「B.TFT基板の製造方法」の項に記載の方法を用いることができる。
(b)半導体層接触絶縁層
本発明に用いられる半導体層接触絶縁層は、少なくとも一つが上記非感光性ポリイミド絶縁層であれば良い。
本発明においては、他の上記半導体層接触絶縁層が、上記非感光性ポリイミド絶縁層以外の他の絶縁層であっても良いが、全てが上記非感光性ポリイミド絶縁層であることが好ましい。
また、本発明における他の絶縁層としては、所望の絶縁性能を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なTFTにおける絶縁層と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料や、上記絶縁性有機材料を用いてなるものを挙げることができる。
(2)半導体層
本発明に用いられる半導体層としては、上記基板上に形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、酸化物半導体、有機半導体からなるものが用いられる。
シリコンとしては、ポリシリコン、アモルファスシリコンを用いることができる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgZn1−xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdZn1−xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In)、酸化ガリウム(Ga)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系を用いることができる。
有機半導体としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。
本発明においては、なかでも、上記半導体層が、蒸着法により形成されてなる蒸着型半導体層であることが好ましい。
上記蒸着型半導体層は、通常、高温,真空雰囲気下で形成されるため、従来の感光性ポリイミド樹脂組成物を用いてなる絶縁層を有する場合、上記絶縁層から多量のアウトガスが発生しこれが不純物として上記蒸着型半導体層に取り込まれる可能性が高い。これに対して、上記非感光性ポリイミド絶縁層を用いた場合には、高温,真空雰囲気下であってもアウトガスの発生が少ないため、上記蒸着型半導体層を上記不純物の少ないものとすることができ、本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。
また、本発明においては、特に、上記半導体層が酸化物半導体層であることが好ましい。上記酸化物半導体は、上述の半導体材料のなかでも半導体特性に優れることから、上記酸化物半導体層とすることにより、半導体特性に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記酸化物半導体は、水の存在下でのアニール処理(水蒸気アニール処理)することにより、その半導体特性をさらに向上させることができることが知られている(Appl. Phys. Lett. 93, 192107 (2008)等)。
一方、上記非感光性ポリイミド樹脂組成物が、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体を含む場合には、アニール処理によりポリイミド前駆体を脱水閉環反応させイミド化する必要がある。また、このイミド化と同時に水が発生する。このため、イミド化のアニール処理を行うことにより、同時に上記酸化物半導体層に水蒸気アニール処理を施すことができる。したがって、別途水蒸気アニール工程を追加することなく、上記酸化物半導体層の水蒸気アニール処理を行うことができ、半導体特性を向上させることができる。
このように、上記半導体層が上記酸化物半導体層であることにより、簡便なプロセスで、半導体特性により優れた半導体層を有するものとすることができ、スイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記蒸着型半導体層としては、具体的には、上記シリコンおよび酸化物半導体からなるものを挙げることができる。
本発明に用いられる半導体層の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
(3)TFT
本発明に用いられるTFTの構造としては、上記半導体層および半導体層接触絶縁層を有するものであれば特に限定されるものではなく、トップゲート構造(正スタガ型、コプレーナ型構造)、ボトムゲート構造(逆スタガ型、コプレーナ型構造)を挙げることができる。トップゲート構造(正スタガ型)およびボトムゲート構造(逆スタガ型)の場合には、さらにトップコンタクト構造、ボトムコンタクト構造を挙げることができる。これらの構造は、TFTを構成する半導体層の種類に応じて適宜選択される。
本発明に用いられるTFTは、上記半導体層および半導体層接触絶縁層を有するものであるが、通常、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を有するものである。
また、必要に応じて、上記半導体層接触絶縁層以外の半導体層非接触絶縁層を有するものであっても良い。
本発明におけるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFTに用いられる導電性材料を用いることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
本発明における半導体層非接触絶縁層としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、上記「(1)半導体層接触絶縁層」の項に記載の材料を含むものとすることができる。
本発明においては、なかでも、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることが好ましい。スイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
2.基板
本発明に用いられる基板としては、上記TFTを支持することができる基板であれば特に限定されるものではなく、例えば、非可撓性の基板や、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記フレキシブル基板であることが好ましい。大面積での製造が容易であり、耐衝撃性に優れたフレキシブルTFT基板とすることができるからである。
本発明における非可撓性基板の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、金属板等を挙げることができる。
また、上記フレキシブル基板としては、樹脂からなるフィルムや、金属箔上にフィルムが積層されたものを用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記金属箔と、上記金属箔上に形成され、ポリイミドを含む平坦化層とを有するフレキシブル基板であることが好ましく、特に、上記平坦化層上に無機化合物を含む密着層を有するものであることが好ましい。
上記平坦化層を有することにより、金属箔上にポリイミドを含む平坦化層が形成されているので、金属箔表面の凹凸を平坦化することができ、TFTの電気的性能の低下を防ぐことができるからである。
また、上記密着層を有することにより、TFTとの密着性に優れており、フレキシブルTFT基板の製造時に水分や熱が加わってポリイミドを含む平坦化層の寸法が変化した場合であっても、TFTを構成する電極や半導体層に剥離やクラックが生じるのを防ぐことができるからである。
以下、このような金属箔、平坦化層および密着層について詳細に説明する。
(1)密着層
本発明における密着層は、平坦化層上に形成され、無機化合物を含むものであり、ポリイミドを含む平坦化層とフレキシブル基板上に作製されるTFTとの間で十分な密着力を得るために設けられる層である。
密着層は平滑性を有することが好ましい。密着層の表面粗さRaは、金属箔の表面粗さRaよりも小さければよく、具体的に、25nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。密着層の表面粗さRaが大きすぎると、TFTの電気的性能が劣化するおそれがあるからである。
なお、上記表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)もしくは走査型白色干渉計を用いて測定した値である。例えば、AFMを用いて測定する場合は、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて、タッピングモードで、カンチレバー:MPP11100、走査範囲:50μm×50μm、走査速度:0.5Hzにて、表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することよりRaを求めることができる。また、走査型白色干渉計を用いて測定する場合は、New View 5000(Zygo社製)を用いて、対物レンズ:100倍、ズームレンズ:2倍、Scan Length:15μmにて、50μm×50μmの範囲の表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することよりRaを求めることができる。
また、密着層は耐熱性を有することが好ましい。TFTの作製時には通常、高温処理が施されるからである。密着層の耐熱性としては、密着層の5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましい。
なお、5%重量減少温度の測定については、熱分析装置(DTG−60((株)島津製作所製))を用いて、雰囲気:窒素雰囲気、温度範囲:30℃〜600℃、昇温速度:10℃/minにて、熱重量・示差熱(TG−DTA)測定を行い、試料の重量が5%減る温度を5%重量減少温度(℃)とした。
密着層は、通常、絶縁性を有する。フレキシブル基板上にTFTを作製するためには絶縁性が求められるからである。
また、密着層は、ポリイミドを含む平坦化層に含まれる不純物イオンなどがTFTの半導体層に拡散するのを防ぐものであることが好ましい。具体的に、密着層のイオン透過性としては、鉄(Fe)イオン濃度が0.1ppm以下であることが好ましく、あるいはナトリウム(Na)イオン濃度が50ppb以下であることが好ましい。なお、Feイオン、Naイオンの濃度の測定方法としては、密着層上に形成された層をサンプリングして抽出した後、イオンクロマトグラフィー法により分析する方法が用いられる。
密着層を構成する無機化合物としては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタンを挙げることができる。これらは1種であってもよく2種以上であってもよい。
密着層は、単層であってもよく多層であってもよい。
密着層が多層膜である場合、上述の無機化合物からなる層が複数層積層されていてもよく、上述の無機化合物からなる層と金属からなる層とが積層されていてもよい。この場合に用いられる金属としては、上述の特性を満たす密着層を得ることができれば特に限定されるものではなく、例えば、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素を挙げることができる。
また、密着層が多層膜である場合、密着層の最表層は酸化ケイ素膜であることが好ましい。酸化ケイ素膜は上述の特性を十分に満たすからである。この場合の酸化ケイ素はSiO(Xは1.5〜2.0の範囲内)であることが好ましい。
本発明においては、なかでも、密着層3は、図4に例示するように、平坦化層2上に形成され、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種からなる第1密着層3aと、第1密着層3a上に形成され、酸化ケイ素からなる第2密着層3bとを有することが好ましい。第1密着層により平坦化層と第2密着層との密着性を高めることができ、第2密着層により平坦化層とフレキシブル基板上に作製されるTFTとの密着性を高めることができるからである。また、酸化ケイ素からなる第2密着層は上述の特性を十分に満たすからである。
密着層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。なかでも、密着層が上述したように第1密着層および第2密着層を有する場合、第2密着層の厚みは第1密着層よりも厚く、第1密着層は比較的薄く、第2密着層は比較的厚いことが好ましい。この場合、第1密着層の厚みは、0.1nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜20nmの範囲内、さらに好ましくは1nm〜10nmの範囲内である。また、第2密着層の厚みは、10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmの範囲内、さらに好ましくは80nm〜120nmの範囲内である。厚みが薄すぎると、十分な密着性が得られないおそれがあり、厚みが厚すぎると、密着層にクラックが生じるおそれがあるからである。
密着層は、金属箔上に全面に形成されていてもよく、金属箔上に部分的に形成されていてもよい。なかでも、後述するように平坦化層が金属箔上に部分的に形成されている場合には、図5(a)に例示するように、密着層3も平坦化層2と同様に金属箔1上に部分的に形成されていることが好ましい。金属箔上に直に無機化合物を含む密着層が形成されていると、密着層にクラックなどが生じる場合があるからである。すなわち、密着層および平坦化層は同様の形状であることが好ましい。
密着層の形成方法としては、上述の無機化合物からなる層や上述の金属からなる層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、DC(直流)スパッタリング法、RF(高周波)マグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD(化学気相蒸着)法等を挙げることができる。なかでも、上述の無機化合物からなる層を形成する場合であって、アルミニウムやケイ素を含む層を形成する場合には、反応性スパッタリング法を用いることが好ましい。平坦化層との密着性に優れる膜が得られるからである。
(2)平坦化層
本発明における平坦化層は、金属箔上に形成され、ポリイミドを含むものであり、金属箔表面の凹凸を平坦化するために設けられる層である。
平坦化層の表面粗さRaとしては、金属箔の表面粗さRaよりも小さければよいが、具体的には、25nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記密着層の表面粗さの測定方法と同様である。
平坦化層はポリイミドを含むものであり、好ましくはポリイミドを主成分とする。一般にポリイミドは吸水性を有する。TFTに用いられる半導体材料には水分に弱いものが多いことから、素子内部の水分を低減し、湿気存在下において高い信頼性を実現するために、平坦化層は吸水性が比較的小さいことが好ましい。吸水性の指標の一つとして、吸湿膨張係数があり、吸湿膨張係数が小さいほど、吸水性が小さくなる。したがって、平坦化層の吸湿膨張係数は小さければ小さいほど好ましく、具体的には0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/%RH〜12ppm/%RHの範囲内、さらに好ましくは0ppm/%RH〜10ppm/%RHの範囲内である。平坦化層の吸湿膨張係数が上記範囲であれば、平坦化層の吸水性を十分小さくすることができ、フレキシブル基板の保管が容易であり、フレキシブルTFT基板を作製する場合の工程が簡便になる。さらに、吸湿膨張係数が小さいほど、寸法安定性が向上する。平坦化層の吸湿膨張係数が大きいと、吸湿膨張係数がほとんどゼロに近い金属箔との膨張率の差によって、湿度の上昇とともにフレキシブル基板が反ったり、平坦化層および金属箔の密着性が低下したりする場合がある。したがって、製造過程においてウェットプロセスが行われる場合にも、吸湿膨張係数が小さいことが好ましい。
なお、吸湿膨張係数は、次のように測定する。まず、平坦化層のみのフィルムを作製する。平坦化層フィルムの作成方法は、耐熱フィルム(ユーピレックス S 50S(宇部興産(株)製))やガラス基板上に平坦化層フィルムを作製した後、平坦化層フィルムを剥離する方法や金属基板上に平坦化層フィルムを作製した後、金属をエッチングで除去し平坦化層フィルムを得る方法などがある。次いで、得られた平坦化層フィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。吸湿膨張係数は、湿度可変機械的分析装置(Thermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。例えば、温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持する。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を吸湿膨張係数(C.H.E.)とする。測定の際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重は1g/25000μm2とする。
また、平坦化層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、金属箔の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm/℃以下、さらに好ましくは5ppm/℃以下である。平坦化層と金属箔との線熱膨張係数が近いほど、フレキシブル基板の反りが抑制されるとともに、フレキシブル基板の熱環境が変化した際に、平坦化層と金属箔との界面の応力が小さくなり密着性が向上する。また、フレキシブル基板は、取り扱い上、0℃〜100℃の範囲の温度環境下では反らないことが好ましいのであるが、平坦化層の線熱膨張係数が大きいために平坦化層および金属箔の線熱膨張係数が大きく異なると、フレキシブル基板が熱環境の変化により反ってしまう。
なお、フレキシブル基板に反りが発生していないとは、フレキシブル基板を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、得られたサンプルの一方の短辺を水平で平滑な台上に固定した際に、サンプルのもう一方の短辺の台表面からの浮上距離が1.0mm以下であることをいう。
具体的に、平坦化層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内、最も好ましくは0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内である。
なお、線熱膨張係数は、次のように測定する。まず、平坦化層のみのフィルムを作製する。平坦化層フィルムの作成方法は、上述したとおりである。次いで、得られた平坦化層を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。線熱膨張係数は、熱機械分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。測定条件は、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲内の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とする。
平坦化層は絶縁性を備えるものである。具体的に、上記非感光性ポリイミド絶縁層と同様とすることができる。
平坦化層を構成するポリイミドとしては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリイミドの構造を適宜選択することで、吸湿膨張係数や線熱膨張係数を制御することが可能である。
ポリイミドとしては、平坦化層の線熱膨張係数や吸湿膨張係数をフレキシブル基板に好適なものとする観点から、芳香族骨格を含むポリイミドであることが好ましい。ポリイミドのなかでも芳香族骨格を含有するポリイミドは、その剛直で平面性の高い骨格に由来して、耐熱性や薄膜での絶縁性に優れ、線熱膨張係数も低いことから、フレキシブル基板の平坦化層に好ましく用いられる。
ポリイミドは、低吸湿膨張、低線熱膨張であることが求められるため、下記式(21)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。このようなポリイミドは、その剛直な骨格に由来する高い耐熱性や絶縁性を示すとともに、金属と同等の線熱膨張を示す。さらには、吸湿膨張係数も小さくすることが可能である。
Figure 2011222780
(式(21)中、R31は4価の有機基、R32は2価の有機基であり、繰り返されるR31同士およびR32同士はそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
式(21)において、一般に、R31はテトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、R32はジアミン由来の構造である。
本発明における平坦化層に含まれるポリイミドに適用可能なテトラカルボン酸二無水物としては、上述の特性を有するポリイミドを形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、上記「1.TFT」の項に記載のポリイミド樹脂に適用可能なテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
本発明における平坦化層に含まれるポリイミドの耐熱性、線熱膨張係数などの観点から好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物である。特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が挙げられる。
なかでも、吸湿膨張係数を低減させる観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が特に好ましい。
併用するテトラカルボン酸二無水物としてフッ素が導入されたテトラカルボン酸二無水物を用いると、ポリイミドの吸湿膨張係数が低下する。しかしながら、フッ素を含んだ骨格を有するポリイミド前駆体は、塩基性水溶液に溶解しにくく、アルコール等の有機溶媒と塩基性水溶液との混合溶液によって現像を行う必要がある。
また、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直なテトラカルボン酸二無水物を用いると、ポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるので好ましい。なかでも、線熱膨張係数と吸湿膨張係数とのバランスの観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
テトラカルボン酸二無水物として脂環骨格を有する場合、ポリイミド前駆体の透明性が向上する。このため、上記ポリイミドをポリイミド前駆体を含む組成物を用いて形成する場合には、上記組成物が高感度なものとなる。一方で、ポリイミドの耐熱性や絶縁性が芳香族ポリイミドと比較して劣る傾向にある。
芳香族のテトラカルボン酸二無水物を用いた場合、耐熱性に優れ、低線熱膨張係数を示すポリイミドとなるというメリットがある。したがって、ポリイミドにおいて、上記式(21)中のR31のうち33モル%以上が、下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2011222780
本発明における平坦化層に含まれるポリイミドが上記式のいずれかの構造を含むと、これら剛直な骨格に由来し、低線熱膨張および低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有するポリイミドは、高耐熱性、低線熱膨張係数を示すポリイミドである。そのため、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(21)中のR31のうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、少なくとも上記式(21)中のR31のうち33%以上含有すればよい。なかでも、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(21)中のR31のうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
一方、本発明における平坦化層に含まれるポリイミドに適用可能なジアミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は特に限定されるものではなく、例えば、上記「1.TFT」の項に記載のポリイミド樹脂に適用可能なジアミン成分を用いることができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、ポリイミドは低膨張係数となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接または置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(22)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 2011222780
(式(22)中、bは0または1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。)
さらに、上記式(22)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると吸湿膨張係数を低減させることができる。しかしながら、フッ素を含むポリイミド前駆体、特にポリアミック酸は、塩基性水溶液に溶解しにくく、上記ポリイミド前駆体を含む組成物を用いて、金属箔上に平坦化層を部分的に形成する場合には、平坦化層の加工の際に、アルコールなどの有機溶媒との混合溶液で現像する必要がある場合がある。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、金属箔との密着性を改善したり、ポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させたりすることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いてもよい。
また、本発明における平坦化層に含まれるポリイミドにおいては、上記式(21)中のR32のうち33モル%以上が下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2011222780
(R41は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、またはスルホン基であり、R42およびR43は1価の有機基、またはハロゲン原子である。)
本発明における平坦化層に含まれるポリイミドが上記式のいずれかの構造を含むと、これら剛直な骨格に由来し、低線熱膨張および低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有する場合、ポリイミドの耐熱性が向上し、線熱膨張係数が小さくなる。そのため、上記式で表される構造の含有量は上記式(21)中のR32のうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、上記式(21)中のR32のうち少なくとも33%以上含有すればよい。なかでも、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(21)中のR32のうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
一般に金属箔の線熱膨張係数、すなわち金属の線熱膨張係数はある程度定まっているため、使用する金属箔の線熱膨張係数に応じて平坦化層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
具体的には、TFTの線熱膨張係数に応じて金属箔の線熱膨張係数を決定し、その金属箔の線熱膨張係数に応じて平坦化層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
本発明においては、平坦化層が上述の式(21)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有していることが好ましく、必要に応じて適宜、このポリイミドと他のポリイミドとを積層したり組み合わせたりして、平坦化層として用いてもよい。
また、上記式(21)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、感光性のポリイミドまたはポリイミド前駆体を用いて得られるものであっても良いが、非感光性のポリイミドまたはポリイミド前駆体を用いて得られるものであることが好ましい。アウトガスの少ないものとすることができ、スイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
なお、非感光性のポリイミドおよびポリイミド前駆体としては、上記ポリイミドを形成可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、上記「A.TFT基板」の項に記載の非感光性ポリイミド樹脂組成物等と同様とすることができる。
感光性ポリイミドは、公知の手法を用いて得ることができる。例えば、ポリアミック酸のカルボキシル基にエステル結合やイオン結合でエチレン性二重結合を導入し、得られるポリイミド前駆体に光ラジカル開始剤を混合し、溶剤現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。また例えば、ポリアミック酸やその部分エステル化物にナフトキノンジアジド化合物を添加し、アルカリ現像ポジ型感光性ポリイミド前駆体とする、あるいは、ポリアミック酸にニフェジピン系化合物を添加しアルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とするなど、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加し、アルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。
これらの感光性ポリイミド前駆体には、ポリイミド成分の重量に対して15%〜35%の感光性付与成分が添加されている。そのため、パターン形成後に300℃〜400℃で加熱したとしても、感光性付与成分由来の残渣がポリイミド中に残存する。これらの残存物が線熱膨張係数や吸湿膨張係数を大きくする原因となることから、感光性ポリイミド前駆体を用いると、非感光性のポリイミド前駆体を用いた場合に比べて、素子の信頼性が低下する傾向にある。しかしながら、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加した感光性ポリイミド前駆体は、添加剤である光塩基発生剤の添加量を15%以下にしてもパターン形成可能であることから、ポリイミドとした後も添加剤由来の分解残渣が少なく、線熱膨張係数や吸湿膨張係数などの特性の劣化が少なく、さらにアウトガスも少ないため、本発明に適用可能な感光性ポリイミド前駆体としては最も好ましい。
本発明におけるポリイミドが、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体を含む感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されるものである場合、上記ポリイミド前駆体は、塩基性水溶液によって現像可能であることが、金属箔上に平坦化層を部分的に形成する際に、作業環境の安全性確保およびプロセスコストの低減の観点から好ましい。塩基性水溶液は、安価に入手でき、廃液処理費用や作業安全性確保のための設備費用が安価であるため、より低コストでの生産が可能となるからである。
一般に金属箔の線熱膨張係数、すなわち金属の線熱膨張係数はある程度定まっているため、使用する金属箔の線熱膨張係数に応じて平坦化層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
具体的には、TFTの線熱膨張係数に応じて金属箔の線熱膨張係数を決定し、その金属箔の線熱膨張係数に応じて平坦化層の線熱膨張係数を決定し、ポリイミドの構造を適宜選択することが好ましい。
平坦化層はポリイミドを含むものであればよいが、なかでもポリイミドを主成分とすることが好ましい。ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁性、耐熱性に優れた平坦化層とすることが可能となる。また、ポリイミドを主成分とすることにより、平坦化層の薄膜化が可能となり平坦化層の熱伝導性が向上し、熱伝導性に優れたフレキシブル基板とすることができる。
なお、平坦化層がポリイミドを主成分とするとは、上述の特性を満たす程度に、平坦化層がポリイミドを含有することをいう。具体的には、平坦化層中のポリイミドの含有量が75質量%以上の場合をいい、好ましくは90質量%以上であり、特に平坦化層がポリイミドのみからなることが好ましい。平坦化層中のポリイミドの含有量が上記範囲であれば、本発明の目的を達成するのに十分な特性を示すことが可能であり、ポリイミドの含有量が多いほど、ポリイミド本来の耐熱性や絶縁性などの特性が良好となる。
平坦化層には、必要に応じて、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
平坦化層は、金属箔上に全面に形成されていてもよく、金属箔上に部分的に形成されていてもよい。すなわち、金属箔の平坦化層および密着層が形成されている面に、平坦化層および密着層が存在せず、金属箔が露出している金属箔露出領域が設けられていてもよい。
平坦化層が金属箔上に部分的に形成されている場合、図5(a)、(b)に例示するように、平坦化層2は、少なくとも金属箔1の外縁部を除いて形成されていてもよい。なお、図5(a)は図5(b)のA−A線断面図であり、図5(b)において密着層は省略されている。金属箔の全面に平坦化層が形成されており平坦化層の端部が露出していると、一般にポリイミドは吸湿性を示すため、製造時や駆動時に平坦化層の端面から素子内部に水分が浸入するおそれがある。この水分によって、素子性能が劣化したり、平坦化層の寸法が変化したりする。そのため、金属箔の外縁部には平坦化層が形成されておらず、直接外気にポリイミドを含有する平坦化層が曝される部分をできる限り少なくすることが好ましい。
なお、本発明において、平坦化層が金属箔上に部分的に形成されているとは、平坦化層が金属箔の全面に形成されていないことを意味する。
平坦化層は、金属箔の外縁部を除いて金属箔上に一面に形成されていてもよく、金属箔の外縁部を除いて金属箔上にさらにパターン状に形成されていてもよい。
平坦化層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1μm〜200μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。平坦化層の厚みが薄すぎると、絶縁性が維持できなかったり、金属箔表面の凹凸を平坦化することが困難であったりするからである。また、平坦化層の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、製膜時の乾燥が困難になったり、材料使用量が増えるためにコストが高くなったりするからである。さらには、フレキシブル基板に放熱機能を付与する場合には、平坦化層の厚みが厚いとポリイミドは金属よりも熱伝導率が低いために熱伝導性が低下する。
本発明における平坦化層の形成方法としては、平滑性の良好な平坦化層が得られる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、金属箔上にポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法、金属箔とポリイミドフィルムとを接着剤を介して貼り合せる方法、金属箔とポリイミドフィルムとを加熱圧着する方法を用いることができる。なかでも、ポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好ましい。平滑性に優れる平坦化層が得られるからである。特に、ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好適である。一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しいからである。また、溶媒への溶解性が高いポリイミドは、耐熱性、線熱膨張係数、吸湿膨張係数などの物性に劣るからである。
本発明においては、なかでも、非感光性のポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好ましい。上述のようにアウトガスの主原因となる感光性成分を含まないものとすることができ、アウトガスの少ないものとすることができるからである。またその結果、スイッチング特性に優れたものとすることができるからである。
塗布方法や、上記平坦化層を金属箔上に部分的に形成する方法としては、後述する「B.TFT基板の製造方法」の項に記載の方法や、金属箔と平坦化層と金属箔とが積層された積層体の一方の金属箔をパターニングし、そのパターンをマスクとして平坦化層をエッチングした後、金属パターンを除去する方法を挙げることができる。
(3)金属箔
本発明における金属箔は、上記の平坦化層および密着層を支持するものである。
金属箔の線熱膨張係数としては、寸法安定性の観点から、0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内である。なお、上記線熱膨張係数の測定方法については、金属箔を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする以外は、上記平坦化層の線熱膨張係数の測定方法と同様である。
また、金属箔は耐酸化性を有することが好ましい。TFTの作製時に高温処理が施されるからである。特に、TFTが酸化物半導体層を有する場合には、酸素の存在下、高温でアニール処理が行なわれることから、金属箔は耐酸化性を有することが好ましい。
金属箔を構成する金属材料としては、箔になり得るものであり、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、リン青銅、ステンレス鋼(SUS)、金、金合金、ニッケル、ニッケル合金、銀、銀合金、スズ、スズ合金、チタン、鉄、鉄合金、亜鉛、モリブデン等が挙げられる。なかでも、金属箔およびTFTの線熱膨張係数を考慮すると、線熱膨張係数の観点からは、SUS430よりさらに低線熱膨張係数のチタンやインバーが好ましい。ただし、線熱膨張係数のみでなく、耐酸化性、耐熱性、金属箔の展性および延性などに起因する箔の加工性や、コストも考慮に入れて選択するのが望ましい。
金属箔の厚みとしては、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1μm〜200μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。金属箔の厚みが薄すぎると、酸素や水蒸気に対するガスバリア性が低下したり、フレキシブル基板の強度が低下したりするおそれがある。また、金属箔の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、コスト高になったりする。
金属箔は、圧延箔であってもよく電解箔であってもよく、金属材料の種類に応じて適宜選択される。通常、金属箔は圧延により作製される。
金属箔の表面粗さRaとしては、上記の密着層および平坦化層の表面粗さRaよりも大きいものであり、例えば50nm〜200nm程度である。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記密着層の表面粗さの測定方法と同様である。
(d)その他の構成
本発明においては、金属箔と平坦化層との間に中間層が形成されていてもよい。例えば、金属箔および平坦化層の間に、金属箔を構成する金属が酸化された酸化膜からなる中間層が形成されていてもよい。これにより、金属箔と平坦化層との密着性を高めることができる。この酸化膜は、金属箔表面が酸化されることで形成される。
また、金属箔の平坦化層が形成されている面とは反対側の面にも上記酸化膜が形成されていてもよい。
3.TFT基板
本発明のTFT基板は、上記TFTおよび基板を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の部材を有するものであっても良く、通常、上記ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極等を有している。
このようなTFT基板に含まれる他の部材としては、一般的なTFT基板に用いられるものを使用することができる。
本発明のTFT基板の製造方法としては、上記TFTおよび基板を有するものを精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。
本発明のTFT基板の用途としては、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができ、なかでも、優れたスイッチング特性が要求されるTFTアレイ基板に用いられることが好ましい。
このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶表示ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置、電子ペーパー等を挙げることができる。また、ディスプレイ装置以外には、RFIDなどの回路、およびセンサーを例示することができる。
B.TFT基板の製造方法
次に、本発明のTFT基板の製造方法について説明する。
本発明のTFT基板の製造方法は、基板と、上記基板上に形成された酸化物半導体層および上記酸化物半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有するTFTと、を有し、上記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であるTFT基板の製造方法であるが、パターニングする対象の違いにより2つの態様に分けることができる。
以下、第1態様および第2態様に分けて本発明のTFT基板の製造方法について説明する。
1.第1態様
本発明のTFT基板の製造方法の第1態様について説明する。本態様のTFT基板の製造方法は、上述の製造方法であって、上記基板上に非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド膜を形成する非感光性ポリイミド膜形成工程と、上記非感光性ポリイミド膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド絶縁層を形成する非感光性ポリイミド膜パターニング工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本態様のTFT基板の製造方法について図を参照して説明する。図6は、本態様のTFT基板の一例を示す工程図である。図6に例示するように、本態様のTFT基板の製造方法は、上記基板10上にポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を塗布し、乾燥させることにより、非感光性ポリイミド前駆体膜24を形成する非感光性ポリイミド前駆体膜を形成し(図6(a))、次いで、上記非感光性ポリイミド前駆体膜24を加熱し、イミド化することにより(図6(b))、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド膜34を形成する非感光性ポリイミド膜形成工程と(図6(c))、上記非感光性ポリイミド膜34上にレジストパターン51を形成し現像することにより、上記非感光性ポリイミド膜34をパターニングし、上記非感光性ポリイミド絶縁層(ゲート絶縁層)を形成する非感光性ポリイミド膜パターニング工程と(図6(d))、を有し、その後、上記非感光性ポリイミド絶縁層(ゲート絶縁層)14上にソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11と、ソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11上に、上記ゲート絶縁層と同様の方法により上記非感光性ポリイミド樹脂からなるパッシベーション層15とを形成することにより、TFT基板20を形成するものである。
本態様によれば、上記非感光性ポリイミド膜パターニング工程を有すること、すなわち、イミド化された非感光性ポリイミド膜をパターニングすることにより、上記非感光性ポリイミド絶縁層により覆われた箇所の部材が、現像時の影響を受け難いものとすることができる。したがって、信頼性の高いTFTとすることができる。
本態様のTFT基板の製造方法は、非感光性ポリイミド膜形成工程および非感光性ポリイミド膜パターニング工程を少なくとも有するものである。
以下、本態様のTFT基板の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(1)非感光性ポリイミド膜形成工程
本態様における非感光性ポリイミド膜形成工程は、上記基板上に非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド膜を形成する工程である。
本工程における非感光性ポリイミド膜は、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるもの、すなわち、イミド化されたポリイミド樹脂を含むものである。
本工程におけるポリイミド樹脂のイミド化率としては、上記非感光性ポリイミド絶縁層に所望の絶縁性、耐熱性等の特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、上記「A.TFT基板」の「1.TFT」の「(1)半導体層接触絶縁層」の「(a)非感光性ポリイミド絶縁層」の項に記載されたものと同様とすることができる。
このような非感光性ポリイミド膜の形成方法としては、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリイミド成分としてポリイミドを含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を塗工し、乾燥する方法や、上記ポリイミド成分としてポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を塗工し、乾燥した後に、イミド化する方法を挙げることができる。また、上記ポリイミド樹脂含む非感光性ポリイミド樹脂からなるポリイミドフィルムを貼り合わせる方法等であっても良い。
本工程における塗工方法としては、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法を用いることができる。
また、乾燥方法としては、上記非感光性ポリイミド樹脂組成物からなる塗膜に含まれる溶剤の含有量を所望量以下とすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、加熱することにより乾燥する方法を挙げることができる。また、加熱方法としては、オーブンやホットプレートなどの公知の装置・手法を用いることができる。加熱温度としては、80℃〜140℃の範囲内であることが好ましい。
本工程において、上記ポリイミド前駆体をイミド化する方法としては、所望のイミド化率のポリイミド樹脂とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、通常、アニール処理(加熱処理)を用いる方法を用いられる。
このようなアニール温度(加熱温度)としては、用いるポリイミド前駆体の種類や、本発明のTFT基板を構成する部材の耐熱性等を考慮して適宜設定されるものであるが、通常、200℃〜500℃の範囲内で行われ、なかでも、250℃〜400℃の範囲内であることが好ましく、特に、上記ポリイミド前駆体の硬化後の物性および低アウトガス性の観点からは280℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。上述した温度範囲であることによりイミド化を十分に進行させることができ、他の部材の熱劣化を抑制することができるからである。
上記アニール処理における加熱保持時間は、加熱温度や加熱手法により適宜設定することが必要であるが、1分〜300分の間とすることができる。
さらにアニール処理は、上記気版に酸化しやすい金属を含む場合には、不活性雰囲気化で行われることが、金属酸化防止の観点から好ましい。この場合の不活性雰囲気の具体例としては、減圧下、窒素雰囲気下、アルゴン、ヘリウム等の希ガス雰囲気下等が挙げられる。
なお、上記非感光性ポリイミド樹脂および非感光性ポリイミド樹脂組成物としては、上記「A.TFT基板」の「1.TFT」の「(1)半導体層接触絶縁層」の項に記載されたものと同様とすることができる。
また、本発明においては、後述する非感光性ポリイミド膜パターニング工程において、強アルカリの薬液を用いてパターニングする際には、酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物を用いた非感光性ポリイミド樹脂および非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いることが好ましい。用いられる酸二無水物のうち、ピロメリット酸二無水物が50%以上であることが望ましく、75%以上であることがさらに好ましい。
(2)非感光性ポリイミド膜パターニング工程
本態様における非感光性ポリイミド膜パターニング工程は、上記非感光性ポリイミド膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド絶縁層を形成する工程である。
本工程において、上記非感光性ポリイミド膜をパターニングする方法としては、所望のパターンの非感光性ポリイミド膜を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、印刷法、フォトリソグラフィー法、レーザー等で直接加工する方法など公知の方法を用いることができる。
本工程においては、なかでも、フォトリソグラフィー法であることが好ましい。精度良くパターン形成を行うことができるからである。
本工程においてフォトリソグラフィー法に用いられる感光性樹脂膜パターン(レジストパターン)としては、所望のパターンを形成できるものであれば良く、ネガ型感光性樹脂(ネガレジスト)からなるものであっても、ポジ型感光性樹脂(ポジレジスト)からなるものであっても良い。ネガレジストを用いた場合には、レジストパターンの剥離に水溶液系の剥離液を用いて剥離することができるため、防爆施設が不要となり、作業者への健康への悪影響が少ないものとすることができ、さらには自然環境への負担を小さいものとすることができるという利点がある。また、ポジレジストを用いた場合には、レジストパターンを全面露光することにより比較的穏やかな条件で剥離することができるといった利点がある。
このようなレジストパターンおよびレジストパターンの形成方法としては、ポリイミドのパターニングに一般的に用いられる方法を使用することができ、例えば、特開2008−76956号公報や特開2008−83181号公報等に記載のものを用いることができる。
本工程において、フォトリソグラフィー法により上記非感光性ポリイミド膜を現像する方法としては、上記感光性樹脂膜パターンの開口部に位置する非感光性ポリイミド膜を精度良く除去できる方法であれば良く、例えば、強アルカリ等の薬液やプラズマ等により現像する方法を挙げることができる。薬液を用いる方法は、エッチングレートが大きく生産性に優れるといった利点を有する。また、プラズマを用いる方法では比較的広範な組成のポリイミドに対応できるという利点を有する。
(3)その他
本態様のTFT基板の製造方法は、上記非感光性ポリイミド膜形成工程および非感光性ポリイミド膜パターニング工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、その他の工程を含むものであっても良い。
このようなその他の工程としては、上記半導体層を形成する半導体層形成工程や、上記基板を形成する基板形成工程や、上記TFT基板が、通常有する、上記ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極等の電極を形成する電極形成工程等を挙げることができる。このようなその他の工程において上記TFT基板に含まれる各部材を形成する方法としては、上記TFT基板の形成に通常用いられる方法を使用することができる。
また、上記非感光性ポリイミド膜パターニング工程がフォトリソグラフィー法によりパターニングするものである場合には、上記非感光性ポリイミド膜パターニング工程後に、通常、上記レジストパターンを剥離する剥離工程を含む。さらに、上記フォトリソグラフィー法において、ポジレジストを用いた場合には、上記剥離工程の前に、上記レジストパターンの全面を露光する全面露光工程が通常含まれる。このような剥離工程におけるレジストパターンの剥離方法や上記全面露光方法における上記レジストパターンの全面露光方法については、ポリイミドのパターニングに一般的に用いられる方法を使用することができ、例えば、特開2008−76956号公報や特開2008−83181号公報等に記載のものを用いることができる。
2.第2態様
本発明のTFT基板の製造方法の第2態様について説明する。本態様のTFT基板の製造方法は、上述の製造方法であって、上記基板上に、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜を形成する非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程と、上記非感光性ポリイミド前駆体膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンを形成する非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程と、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれる上記ポリイミド前駆体をイミド化し、上記非感光性ポリイミド絶縁層を形成するイミド化工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本態様のTFT基板の製造方法について図を参照して説明する。図7は、本態様のTFT基板の一例を示す工程図である。図7に例示するように、本態様のTFT基板の製造方法は、上記基板10上に、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜24を形成する非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程と(図7(a))、上記非感光性ポリイミド前駆体膜24上にレジストパターン51を形成し現像することにより、上記非感光性ポリイミド前駆体膜24をパターニングし(図7(b))、上記非感光性ポリイミド前駆体パターン24´を形成する非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程と(図7(c))、上記非感光性ポリイミド前駆体パターン24´に含まれる上記ポリイミド前駆体を加熱することによりイミド化し、上記非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層(ゲート絶縁層)を形成するイミド化工程と(図7(d))、を有し、その後、上記非感光性ポリイミド絶縁層(ゲート絶縁層)14上にソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11と、ソース電極12Sおよびドレイン電極12Dならびに酸化物半導体層11上に、上記ゲート絶縁層と同様の方法により上記非感光性ポリイミド樹脂からなるパッシベーション層15とを形成することにより、TFT基板20を形成するものである。
本態様によれば、パターン精度良く非感光性ポリイミド絶縁層を形成することができ、品質に優れたTFT基板を得ることができる。
本態様のTFT基板の製造方法は、非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程、非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程およびイミド化工程を少なくとも有するものである。
以下、本態様のTFT基板の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(1)非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程
本態様における非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程は、上記基板上に、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜を形成する工程である。
本工程における非感光性ポリイミド前駆体膜の形成方法としては、上記ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜を所望の膜厚とすることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を塗工し乾燥する方法を挙げることができる。
本工程において上記非感光性ポリイミド前駆体膜の固形分中に含まれる上記ポリイミド前駆体の含有率、すなわち、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル)の含有率としては、所望の塗工性、現像性等を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、50%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましく、100%であることがさらに好ましい。上記ポリイミド前駆体等のポリイミド成分の溶剤への溶解性に優れたものとすることができ、塗工性等に優れたものとすることができるからである。また、上記酸化物半導体層に対して水蒸気アニールを効率的に行うことができるからである。
本工程におけるポリイミド前駆体、非感光性ポリイミド樹脂組成物、塗工方法および乾燥方法については、上記「1.第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
(2)非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程
本態様における非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程は、上記非感光性ポリイミド前駆体膜をパターニングし、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンを形成する工程である。
本工程において、上記非感光性ポリイミド前駆体膜をパターニングする方法、フォトリソグラフィー法を用いる場合のレジストパターンの形成方法としては、所望のパターンの非感光性ポリイミド前駆体膜を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記「1.第1態様」の「(2)非感光性ポリイミド膜パターニング工程」の項に記載された方法を用いることができる。
本工程において、フォトリソグラフィー法により上記非感光性ポリイミド前駆体膜を現像する方法としては、上記感光性樹脂膜パターンの開口部に位置する非感光性ポリイミド前駆体膜を精度良く除去できる方法であれば良い。本工程において、上記ポリイミド前駆体はカルボキシル基を有するため、塩基性水溶液を用いての現像方法を用いることができる。また、ポリイミド樹脂より有機溶剤に対する溶解性に優れるため、有機溶剤を用いての現像方法も用いることができる。
本工程に用いられる塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、その他テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリルなどを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水または貧溶媒にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
現像方法としては、スプレー法、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等が挙げられる。
本工程においては、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンの形成後であって、上記レジストパターンの剥離前に、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれるポリイミド前駆体の一部をイミド化する部分イミド化を行っても良い。
また、本工程においては、上記レジストパターンの形成、すなわち、上記感光性樹脂膜(レジスト膜)を現像して上記レジストパターンを形成と同時に、上記非感光性ポリイミド前駆体膜の現像を行うものであっても良い。
(3)イミド化工程
本態様におけるイミド化工程は、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれる上記ポリイミド前駆体をイミド化、すなわち、上記ポリイミド樹脂を含むものとし、上記非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層を形成する工程である。
本工程により形成される非感光性ポリイミド絶縁層に含まれるポリイミド樹脂のイミド化率、および、本工程におけるイミド化する方法としては、上記「1.第1態様」の項に記載された内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程の実施タイミングとしては、上記半導体層が酸化物半導体層である場合には、上記酸化物半導体層の形成後であることが好ましい。上記酸化物半導体層の形成後に行うことにより、上記酸化物半導体層の水蒸気アニール処理を同時に行うことができ、スイッチング特性に優れたTFT基板を簡便に得ることができるからである。
したがって、上記非感光性ポリイミド絶縁層上に上記酸化物半導体層が形成される場合には、上記非感光性ポリイミド前駆体パターン工程後に、上記酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程を行い、その後、本工程を行うことが好ましい。
なお、このように上記非感光性ポリイミド前駆体パターン工程および本工程の間に、上記酸化物半導体層形成工程を含む場合には、上記酸化物半導体層形成工程の前に、上記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれるポリイミド前駆体の一部をイミド化する部分イミド化する工程を含むものであっても良い。
(4)その他
本態様のTFT基板の製造方法は、非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程、非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程およびイミド化工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、例えば、上記「1.第1態様」の項に記載の工程を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[製造例]
1.ポリミドワニス(ポリイミド前駆体溶液)の調製
(1)製造例1
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA) 4.0g(20mmol)とパラフェニレンジアミン(PPD) 8.65g(80mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA) 29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
(2)製造例2〜17
反応温度および溶液の濃度が、17重量%〜19重量%になるようにNMPの量を調整した以外は、製造例1と同様の方法で、下記表1に示す配合比でポリイミド前駆体溶液2〜17を合成した。
酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)またはピロメリット酸二無水物(PMDA)、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(TAHQ)、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(BPTME)を用いた。ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、パラフェニレンジアミン(PPD)、1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene(4APB)、2,2′-Dimethyl-4,4′-diaminobiphenyl(TBHG)、2,2′-Bis(trifluoromethyl)-4,4′-diaminobiphenyl(TFMB)の1種または2種を用いた。
Figure 2011222780
(3)線熱膨張係数および吸湿膨張係数の評価
上記ポリイミド前駆体溶液1〜17を、ガラス上に貼り付けた耐熱フィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)に塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、耐熱フィルムから剥離し、膜厚15μm〜20μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚9μm〜15μmのポリイミド樹脂1〜17のフィルムを得た。
(a)線熱膨張係数
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とした。
(b)湿度膨張係数
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。湿度膨張係数は、湿度可変機械的分析装置Thermo Plus TMA8310改(リガク社製)によって測定した。温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持した。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を湿度膨張係数(C.H.E.)とした。この際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
(c)基板反り評価
厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記のポリイミド前駆体溶液1〜17、イミド化後の膜厚が10μm±1μmになるように線熱膨張係数評価のサンプル作成と同様のプロセス条件で、ポリイミド樹脂1〜17のポリイミド膜を形成した。その後、SUS304箔およびポリイミド膜の積層体を幅10mm×長さ50mmに切断し、基板反り評価用のサンプルとした。
このサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、100℃のオーブンで1時間加熱した後、100℃に加熱されたオーブン内で、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
同様にこのサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、23℃85%Rhの状態の恒温恒湿槽に1時間静置したときの、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
これらの評価結果を表2に示す。
Figure 2011222780
SUS304箔の線熱膨張係数は17ppm/℃であることから、ポリイミド膜と金属箔との線熱膨張係数の差が大きいと積層体の反りが大きいことが確認された。
また、表2より、ポリイミド膜の吸湿膨張係数が小さいほど高湿環境下での積層体の反りが小さいことがわかる。
2.光塩基発生剤の合成
(1)光塩基発生剤1の合成
窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置を装着した200mL三口フラスコ中、4,5-ジメトキシー2-ニトロベンズアルデヒド8.2g(39mmol)を脱水2-プロパノール100mLに溶解し、アルミニウムイソプロポキシド2.0g(10mmol,0.25eq.)を加え105℃で7時間加熱攪拌を行った。途中溶媒の蒸発減少に伴い、2-プロパノール40mLを4回追加した。0.2N塩酸150mLにて反応を停止した後、クロロホルムにより抽出を行い、溶媒を減圧留去することにより6-ニトロベラトリルアルコール7.2gを得た。
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ中、6-ニトロベラトリルアルコール5.3g(25mmol)を脱水ジメチルアセトアミド100mLに溶解しトリエチルアミン7.0mL(50mmol,2.0eq)を加えた。氷浴下で、p-ニトロフェニルクロロフォルメイト5.5g(27mmol,1.1eq)を加えた後、室温で16時間攪拌した。反応液を水2Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル-p-ニトロフェニルカルボネートを6.4gを得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル-p-ニトロフェニルカルボネート3.6g(9.5mmol)を脱水ジメチルアセトアミド50mLに溶解し、2,6-ジメチルピペリジン5 mL(37mmol,3.9eq)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.36g(0.3eq)を加え90℃で18時間加熱攪拌した。反応溶液を1%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、水にて洗浄することにより、下記式で表される光塩基発生剤1N-{[(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}-2,6-ジメチルピペリジン2.7gを得た。
Figure 2011222780
3.感光性ポリイミド樹脂組成物の調製
(1)感光性ポリイミド樹脂組成物1の調製
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物1とした。
(2)感光性ポリイミド樹脂組成物2の調製
上記ポリイミド前駆体溶液11にニフェジピン(東京化成製)を溶液の固形分の30重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物2とした。
4.非感光性ポリイミドのパターニング
(1)作製例A
15cm角に切り出した厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像し、その後、レジストパターンを剥離したのち、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、所望のパターンが除去された積層体1Pを得た。
積層体1Pは、温度や湿度環境の変化に対しても安定して平坦性が確保されていた。
(2)作製例B
15cm角に切り出した厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液12をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、積層体12を得た。上記積層体12のポリイミド膜上に、レジストパターンを形成した。ポリイミド膜が露出している部分を、ポリイミドエッチング液TPE-3000(東レエンジニアリング製)を用いて除去後、レジストパターンを剥離し、所望のパターンが除去された積層体10Pを得た。
積層体10Pは、温度や湿度環境の変化に対しても安定して平坦性が確保されていた。
5.アウトガス試験
(1)アウトガス測定サンプル1
非感光性ポリイミド樹脂組成物として上記ポリイミド前駆体溶液11を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、ポリイミド溶液11の塗膜を作製した。この塗膜について、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル1を得た。
(2)アウトガス測定サンプル2
上記感光性ポリイミド樹脂組成物1をガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物1の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、2000mJ/cm露光を行った。その後、185℃で10分間加熱した後、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル2を得た。
(3)アウトガス測定サンプル3
上記感光性ポリイミド樹脂組成物2をガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、1000mJ/cm露光を行った。その後、185℃で10分間加熱した後、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル3を得た。
(4)アウトガス測定サンプル4
感光性ポリイミド樹脂組成物であるUR−5100FX(東レ製)を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、95℃のホットプレート上で8分間乾燥させて、UR−5100FXの塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、70mJ/cm露光を行った。その後、80℃で1分間加熱した後、140℃で30分、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル4を得た。
(5)アウトガス測定サンプル5
感光性ポリイミド樹脂組成物であるXP−1530(HDマイクロシステムズ製)を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、70℃のホットプレート上で2分間、85℃のホットプレート上で2分間乾燥させて、XP−1530の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、300mJ/cm露光を行った。その後、105℃で1分間加熱した後、200℃で30分、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル5を得た。
(6)アウトガス測定
作製したアウトガス測定サンプル1〜5について、ガラス上からサンプルを削り取り、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/minで100℃まで上昇させた後、100℃で60分加熱した後、15分以上窒素雰囲気下で放冷した後、昇温速度10℃/minで測定した際の放冷後の重量を基準とした際の、5%重量減少温度の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2011222780
表3に示すように、非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いたサンプル1は、感光性ポリイミド樹脂組成物を用いたサンプル2〜5と比較して非常に低い低アウトガス性を有していた。
[実施例1]
厚さ100μmのSUS304−HTA基材(小山鋼材社製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を用いて、イミド化後の膜厚が7μm±1μmになるようにスピンコーターでコーティングし、100℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、絶縁層を形成した。
次に、絶縁層上に、第1密着層としてのアルミニウム膜をDCスパッタリング法(成膜圧力0.2Pa(アルゴン)、投入電力1kW、成膜時間10秒)により厚さ5nmで形成した。次いで、第2密着層としての酸化シリコン膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間30分)により厚さ100nmで形成した。これにより、TFT用基板を得た。
ボトムゲート・ボトムコンタクト構造のTFTを上記TFT用基板上に作製した。まず、厚さ100nmのアルミニウム膜をゲート電極膜として成膜した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングしてゲート電極を形成した。次に、そのゲート電極を覆うように厚さ300nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜として全面に形成した。このゲート絶縁膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、6インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で形成した。この後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後にドライエッチングを施し、コンタクトホールを形成した。次に、ゲート絶縁膜上の全面に厚さ100nmのチタン膜、アルミニウム膜、IZO膜をソース電極及びドレイン電極とするために蒸着した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に過酸化水素水溶液、燐酸溶液で連続的にウェットエッチングし、チタン膜を所定パターンにパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極及びドレイン電極は、ゲート絶縁膜上であってゲート電極の中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した。
次に、ソース電極及びドレイン電極を覆うように、全面に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物薄膜(InGaZnO)を厚さ25nmとなるように形成した。アモルファス酸化物薄膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、Ar:Oを30:50とした条件下で、4インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した。その後、アモルファス酸化物薄膜上にレジストパターンをフォトリソグラフィーで形成した後、シュウ酸溶液でウェットエッチングし、そのアモルファス酸化物薄膜をパターニングし、所定パターンからなるアモルファス酸化物薄膜を形成した。こうして得られたアモルファス酸化物薄膜は、ゲート絶縁膜上であってソース電極及びドレイン電極に両側で接触するとともに該ソース電極及びドレイン電極を跨ぐように形成されていた。
続いて全体を覆うように、上記ポリイミド前駆体溶液1を最終膜厚0.1μmになるようにスピンコートし、100℃で15分間乾燥させた。その後、上記に記載の作成例Aの方法により、非感光性ポリイミド樹脂組成物層のパターニングを行い、それを窒素雰囲気下で350℃で1時間加熱しイミド化を行った。
次いで、大気中300℃1時間のアニールを施すことにより、TFTを作製した。
得られたTFTを駆動させたところ良好に作動した。
[比較例1]
上記のTFT作製方法において実施例1と同様に、アモルファス酸化物薄膜まで形成した。続いて全体を覆うように、感光性ポリイミド樹脂組成物2を最終膜厚0.1μmになるようにスピンコートし、100℃で15分間乾燥させた後。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に200mJ/cm露光を行った。その後、185℃で10分間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを8:2で混合した溶液で現像しさらに、それを窒素雰囲気下で350℃で1時間加熱しイミド化を行った。
次いで、大気中300℃1時間のアニールを施すことにより、TFTを作製した。
得られたTFTを駆動させたところ、10サンプル中、4サンプルは良好に作動しなかった。アウトガスにより酸化物半導体中、または絶縁膜中、またはそれらの界面に不純物が取り込まれ、TFTとして機能しなったと考えられる。
1 … 金属箔
2 … 平坦化層
3 … 密着層
10 … 基板
11 … 半導体層
12S … ソース電極
12D … ドレイン電極
13G … ゲート電極
14 … ゲート絶縁層
15 … パッシベーション層
20 … TFT基板

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された半導体層および前記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有する薄膜トランジスタと、
    を有し、
    前記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層であることを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 前記非感光性ポリイミド絶縁層に含まれるポリイミド樹脂の含有量が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記非感光性ポリイミド絶縁層の5%重量減少温度が、470℃以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記半導体層が、酸化物半導体層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 前記非感光性ポリイミド絶縁層が、ポリイミド成分としてポリイミド前駆体を少なくとも含む非感光性ポリイミド樹脂組成物を用いて形成されるものであることを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ基板。
  6. 前記半導体層接触絶縁層のうち、トップゲート型の前記薄膜トランジスタにおけるゲート絶縁層、または、ボトムゲート型の前記薄膜トランジスタにおけるゲート絶縁層およびパッシベーション層の少なくとも一方が、少なくとも前記非感光性ポリイミド絶縁層であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  7. 前記基板が、金属箔と、前記金属箔上に形成され、ポリイミドを含む平坦化層とを有するフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  8. 前記フレキシブル基板が、前記平坦化層上に無機化合物を含む密着層を有することを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ基板。
  9. 基板と、
    前記基板上に形成された半導体層および前記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有する薄膜トランジスタと、
    を有し、
    前記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層である薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
    前記基板上に非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド膜を形成する非感光性ポリイミド膜形成工程と、
    前記非感光性ポリイミド膜をパターニングし、前記非感光性ポリイミド絶縁層を形成する非感光性ポリイミド膜パターニング工程と、
    を有することを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  10. 基板と、
    前記基板上に形成された半導体層および前記半導体層と接するように形成された半導体層接触絶縁層を有する薄膜トランジスタと、
    を有し、
    前記半導体層接触絶縁層の少なくとも一つが、非感光性ポリイミド樹脂からなる非感光性ポリイミド絶縁層である薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
    前記基板上に、ポリイミド前駆体を含む非感光性ポリイミド前駆体膜を形成する非感光性ポリイミド前駆体膜形成工程と、
    前記非感光性ポリイミド前駆体膜をパターニングし、前記非感光性ポリイミド前駆体パターンを形成する非感光性ポリイミド前駆体パターン形成工程と、
    前記非感光性ポリイミド前駆体パターンに含まれる前記ポリイミド前駆体をイミド化し、前記非感光性ポリイミド絶縁層を形成するイミド化工程と、
    を有することを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
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