JP5970865B2 - 薄膜素子用基板、薄膜素子、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、および電子ペーパー - Google Patents

薄膜素子用基板、薄膜素子、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、および電子ペーパー Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子ペーパー、薄膜トランジスタ素子などの薄膜素子に用いられる薄膜素子用基板に関するものである。
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスをELと称する場合がある。)、電子ペーパー、薄膜トランジスタ素子(以下、薄膜トランジスタをTFTと称する場合がある。)、薄膜太陽電池などの薄膜素子が形成される基板としては、ガラス基板、ガスバリア性が付与されたプラスチックフィルム、金属基板などが提案されている。また、薄膜素子を上部から封止する封止基板としても、これらの基板を用いることが提案されている。
ガラス基板は、平滑性や耐熱性に優れるが、フレキシブル性に欠け、薄型・軽量化に不向きであり、耐衝撃性に劣るという難点がある。
ガスバリア性が付与されたプラスチックフィルムは、フレキシブル性を有し、軽量であり、耐衝撃性も有するという利点をもつが、耐熱性が十分ではなく、線熱膨張係数が大きいために寸法安定性に劣り、また吸湿性が大きいという難点がある。
一方、金属基板は、金属の種類や厚みに関しては多種多様なものが入手でき適宜選択可能であり、耐熱性、軽量性、フレキシブル性を満たすことができる。しかしながら、金属基板は、表面平坦性がガラス基板に比べて劣る傾向にあり、導電性を有するので、金属基板上に薄膜素子を形成するためには絶縁層を設ける必要がある。
近年、アクティブマトリクス駆動の有機EL素子や電子ペーパーなどの表示装置において、素子を上から封止する封止基板として透明基板を用い、上部から画像を観察する方式が注目されている。このような表示装置では、アクティブ駆動素子であるTFT素子により遮蔽されることがないため、開口率を高くすることが可能となる。上記表示装置において、金属基板は透明性を有さないため透明な封止基板として用いることはできないが、上述の利点を有することから、素子を支持する支持基板として好ましく用いることができる。また、パッシブマトリクス駆動の有機EL素子や電子ペーパーなどの表示装置や、照明用途の有機EL素子においても、上記の方式の場合、素子を支持する支持基板として金属基板を用いることができる。
また、有機EL素子では大型テレビ、室内照明用途等への開発が盛んに行われており、大型化を目指す上では、有機EL素子の発光時の発熱による素子の劣化および面内の温度ムラによる輝度ムラを抑えることが必要である。金属基板は熱伝導性にも優れていることから、有機EL素子の基板として好適である。
さらに、例えば照明用途の全面発光の有機EL素子などのように、TFT素子を形成する必要がない場合には、有機EL素子を基板上に形成した後、上部から透明基板により封止して、上部から光を取出す方式だけでなく、有機EL素子を透明基板上に形成した後、上部から封止基板により封止して、下部から光を取出す方式も好適に用いられる。後者の場合、封止基板には透明性は必要とされないが、全面発光の有機EL素子の場合には、アクティブマトリクス駆動やパッシブマトリクス駆動の有機EL素子のような部分発光の有機EL素子の場合よりもさらに多量の熱が発生するため、高い放熱性が要求される。上述のように金属基板は熱伝導性に優れているので、有機EL素子の封止基板としても好適であるといえる。
最近では、有機EL素子や電子ペーパーにおいて、さらなる軽量、薄型、狭額縁等が要求されている。ディスプレイ用途の有機EL素子や電子ペーパーではこれらの性能の要求が一段と高まっている。
近年、このような薄膜素子が形成される基板として、基板を貫通する導通部を備えるものが提案されている。
例えば特許文献1には、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、電子パーパーなどの表示パネルを備える表示装置において、電気回路や封止枠などの非表示領域を小さくすることを目的として、樹脂基板にビアホールを形成して、ビアホールにより樹脂基板の表面に形成された駆動電極と樹脂基板の背面に形成された電極パッドとを電気的に接続し、かつ、ガスバリア性フィルムに貫通孔を形成し、貫通孔に電気接続部を形成して、電気接続部によりガスバリア性フィルムの内側に配置された上記電極パッドとガスバリア性フィルムの外側に配置された表示駆動回路実装基板の電極とを電気的に接続することが提案されている。
特許文献2には、液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイに用いられる有機半導体素子において、高開口率および高密度を目的として、絶縁性フィルム上に有機トランジスタを形成し、絶縁性フィルムの有機トランジスタが形成された面とは反対側の面に表示電極を形成し、絶縁性フィルムに貫通孔を形成して、貫通孔を通じて有機トランジスタと表示電極とを接続することが提案されている。
特許文献3には、液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイに用いられるトランジスタアレイに関して、トランジスタアレイを複数連結(タイリング)して大面積のトランジスタアレイを得る方法が開示されている。特許文献3によれば、タイリング用トランジスタアレイにおいて、絶縁性基板上にTFTおよび配線を形成し、絶縁性基板のTFTおよび配線が形成された面とは反対側の面に連結用電極を形成し、絶縁性基板に貫通孔を形成して、貫通孔を通じて配線と連結用電極とを接続することで、トランジスタアレイをタイリングした際の連結部分を平らにすることができ、かつ、トランジスタアレイを簡易な方法で連結することができるとされている。
特許文献4には、有機薄膜太陽電池において、電極の電気抵抗による発電効率の低下を抑制することを目的として、透明基板の一方の面に第1補助電極を形成し、透明基板の他方の面に第2補助電極および透明電極を形成し、透明基板を貫通する接続導電部を形成して、接続導電部により第1補助電極および第2補助電極を電気的に接続することが提案されている。
また、有機EL素子や電子ペーパーではないが、液晶ディスプレイに関して、特許文献5には、高分子液晶等の光制御層を有する光制御パネルをタイリングした表示装置において、駆動回路の歩留まり向上と表示特性の向上(継ぎ目の減少)を目的として、光制御パネルが形成されたセラミック基板に貫通電極を形成して、セラミック基板の裏面に駆動回路を実装することが提案されている。
ところで、薄膜素子が形成される基板においては、薄膜素子が非常に薄いことから、基板表面の微細な凹凸が薄膜素子の特性を低下させるおそれがある。そこで、基板の表面平滑性を改善することが求められている。例えばTFT素子の場合、TFTを構成する半導体層、特にチャネル形成領域の下地に微細な凹凸が存在すると、すなわち基板表面に微細な凹凸が存在すると、TFT素子の移動度が著しく低下したり、リーク電流が流れたりと、TFT素子の特性に重大な影響を及ぼす。また、基板の表面状態によって歩留りが低下する。
例えば特許文献4の実施例に記載されているように、プラスチックフィルムを貫通する導通部を形成する場合、プラスチックフィルムには通常、耐ブロッキング性を向上させることを目的として粒子が含有されているため、表面に微細な凹凸が存在し、TFT素子の電気的性能が低下するおそれがある。
また、特許文献2の実施例に記載されているように、金属箔に絶縁層が形成されている基板において、絶縁層に貫通孔を形成する場合、金属箔が圧延箔の場合には表面に圧延筋による微細な凹凸が存在し、金属箔が電解箔の場合にも表面に微細な凹凸が存在するため、TFT素子の電気的性能が低下するおそれがある。
ところで、多層プリント配線基板においては、粗化(例えばデスミア処理)を行い、絶縁層表面の凹凸を大きくして、そのアンカー効果により絶縁層と配線の密着性を確保するのが一般的である。しかしながら、配線の微細化を図る場合、絶縁層表面の粗さが大きいと、微細配線が損傷するおそれがある。そこで、絶縁層表面を低粗度とすることが提案されている(例えば特許文献6〜8参照)。
なお、多層プリント配線基板では、特許文献6〜8に記載されているように表面粗さRaは数百ナノメートル程度であれば十分である。一方、薄膜素子用基板では、上述したように薄膜素子が非常に薄いことから、薄膜素子に影響を及ぼすような、数百ナノメートルよりも小さい微細な凹凸が問題となる。
特開2008−33095号公報 特開2009−244338号公報 特開2010−79196号公報 特開2010−141250号公報 特開2001−305999号公報 特開2010−157590号公報 国際公開第2008/090835号パンフレット 特開2010−56274号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基板を貫通する導通部を備える薄膜素子用基板であって、薄膜素子の特性劣化を抑制することが可能な薄膜素子用基板を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、薄膜素子に用いられる薄膜素子用基板であって、絶縁層貫通孔を有し、表面粗さRaが5nm以下の絶縁層と、上記絶縁層貫通孔に充填された第1導通部と、上記薄膜素子用基板の厚み方向に形成され、上記薄膜素子用基板の表裏を導通し、少なくとも上記第1導通部を有する導通部とを有することを特徴とする薄膜素子用基板を提供する。
本発明によれば、絶縁層が表面平滑性に優れるので、微細な凹凸による薄膜素子の特性低下を防ぐことが可能となる。また本発明によれば、導通部が形成されているので、導通部を通じて表面から裏面に配線を取り出すことができ、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合には、狭額縁、高開口率、高密度等を実現することが可能となる。また、通常、第1導通部には金属が用いられ、金属は一般的に熱伝導性に優れていることから、導通部を通じて表面から裏面に熱を逃がすこともでき、本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子に用いた場合には有機EL素子の発熱による性能劣化を抑制することが可能になる。
上記発明においては、上記絶縁層がポリイミドを含有することが好ましい。この場合、上記絶縁層がポリイミドを主成分とすることが好ましい。絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた絶縁層とすることができるからである。また、ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁層の薄膜化が可能となり絶縁層の熱伝導性が向上し、放熱性をさらに高めることができるからである。
また本発明においては、上記絶縁層の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることが好ましい。吸湿膨張係数は吸水性の指標であり、吸湿膨張係数が小さいほど吸水性が小さくなる。したがって、吸湿膨張係数が上記範囲であれば、湿気存在下において高い信頼性を実現することができる。また、絶縁層の吸湿膨張係数が小さいほど、絶縁層の寸法安定性が向上する。
さらに本発明においては、上記絶縁層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましい。絶縁層の線熱膨張係数が上記範囲であれば、薄膜素子用基板の反りを抑制できるからである。
本発明の薄膜素子用基板は、上記絶縁層上にパターン状に形成され、上記第1導通部上に配置された開口部を有する金属層をさらに有することが好ましく、この場合、上記導通部は上記金属層と導通していないものとなる。金属層は一般的に熱伝導性に優れているので、熱を速やかに伝導もしくは放射することができ、本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子に用いた場合には、発光特性を長期間に亘って安定して維持するとともに、発光ムラのない均一な発光を実現し、かつ寿命の短縮や素子破壊を低減することが可能である。また、導通部が金属層と導通していないので、表面から裏面に配線を取り出すことが可能となる。
また本発明においては、上記絶縁層の線熱膨張係数と上記金属層の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることが好ましい。絶縁層および金属層の線熱膨張係数が近いほど、薄膜素子用基板の反りを抑制できるとともに絶縁層および金属層の密着性を高めることができるからである。
さらに本発明においては、上記金属層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内であることが好ましい。金属層の線熱膨張係数が上記範囲であれば、金属層および薄膜素子部の電極の線熱膨張係数を近いものとすることができ、薄膜素子用基板の反りを抑制できるとともに、薄膜素子部の電極に剥離やクラックが生じるのを抑制することができるからである。
また本発明においては、上記金属層のパターンの端部が被覆層で絶縁されていることが好ましい。金属層のパターンの端部が被覆層で絶縁されていることで、金属層および導通部を絶縁することができ、表面から裏面に配線を取り出すことができるからである。
本発明の薄膜素子用基板は、上記金属層の開口部内に形成され、上記第1導通部上に配置され、上記金属層と同一材料からなる導通部用金属部をさらに有していてもよく、この場合、上記導通部が上記第1導通部と上記導通部用金属部とを有するものとなる。導通部用金属部が金属層の開口部内に形成され、金属層に対して独立して形成されているので、金属層および導通部を絶縁することができ、表面から裏面に配線を取り出すことが可能となる。また、導通部用金属部が金属層と同一材料からなるので、金属層のパターニングと同時に導通部用金属部を形成することができ、導通部の形成プロセスを短縮できる。
上記の場合、本発明の薄膜素子用基板は、上記金属層上に形成され、上記導通部用金属部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有する第2絶縁層をさらに有することが好ましい。金属層上に第2絶縁層が形成されていることにより、第2絶縁層上に導通部と導通するように電極や配線等を形成することができ、配線形成が容易となるからである。
上記の場合、本発明の薄膜素子用基板は、上記第2絶縁層貫通孔に充填された第2導通部をさらに有していてもよく、この場合、上記導通部が上記第1導通部と上記導通部用金属部と上記第2導通部とを有するものとなる。
本発明の薄膜素子用基板は、上記金属層上に形成され、上記第1導通部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有する第2絶縁層と、上記第2絶縁層貫通孔に充填された第2導通部とをさらに有していてもよく、この場合、上記導通部が上記第1導通部と上記第2導通部とを有するものとなる。
また本発明においては、上記金属層のパターンの端部が上記絶縁層または上記第2絶縁層で絶縁されていることが好ましい。すなわち、上記被覆層が絶縁層または第2絶縁層であることが好ましい。薄膜素子用基板の製造工程を簡略化することができるからである。
さらに本発明においては、上記第2絶縁層がポリイミドを含有することが好ましい。この場合、上記第2絶縁層がポリイミドを主成分とすることが好ましい。絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた第2絶縁層とすることができるからである。
また本発明においては、上記絶縁層の上記金属層側の面とは反対側の面に無機化合物を含む密着層が形成されていてもよい。密着層が形成されていることにより、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合に、本発明の薄膜素子用基板上に形成される薄膜素子部に剥離やクラックが生じるのを防ぐことができるからである。例えば、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いた場合には、薄膜素子用基板およびTFT素子部の密着性を高め、TFT素子に剥離やクラックが生じるのを防ぐことができる。
また本発明は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部とを有し、上記薄膜素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする薄膜素子を提供する。
本発明によれば、上述の薄膜素子用基板の絶縁層が表面平滑性に優れるので、微細な凹凸による薄膜素子部の性能劣化を抑制し、良好な素子特性を実現することが可能である。また本発明によれば、上述の薄膜素子用基板を備えるので、薄膜素子用基板の薄膜素子部が配置される面とは反対側の面に配線を取り出すことができ、狭額縁、高開口率、高密度等を達成することが可能である。
また本発明の薄膜素子は、上記薄膜素子部上に配置された透明封止基板をさらに有していてもよい。透明封止基板によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができるからである。
また本発明においては、上記薄膜素子部が、TFT素子部であってもよい。
さらに本発明においては、上記薄膜素子部が、上記絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された透明電極層とを有する有機EL素子部であり、上記薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有していてもよい。
また本発明においては、上記薄膜素子部が、上記絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成された表示媒体層と、上記表示媒体層上に形成された透明電極層とを有する電子ペーパー素子部であり、上記薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有していてもよい。
本発明は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されたTFT素子部と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、上記TFT素子部に接続された背面電極層、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層、および、上記EL層上に形成された透明電極層を有する有機EL素子部と、上記有機EL素子部上に配置された透明封止基板とを有し、上記TFT素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
また本発明は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されたTFT素子部と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、上記TFT素子部に接続された背面電極層、上記背面電極層上に形成された表示媒体層、および、上記表示媒体層上に形成された透明電極層を有する電子ペーパー素子部と、上記電子ペーパー素子部上に配置された透明封止基板とを有し、上記TFT素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする電子ペーパーを提供する。
本発明によれば、上述の薄膜素子用基板の絶縁層が表面平滑性に優れるので、微細な凹凸によるTFT素子の性能劣化を抑制し、良好な素子特性を実現することが可能である。また本発明によれば、上述の薄膜素子用基板を備えるので、薄膜素子用基板の素子が配置される面とは反対側の面に配線を取り出すことができ、狭額縁、高開口率、高密度等を達成することが可能である。
本発明においては、絶縁層が表面平滑性に優れるので、微細な凹凸による薄膜素子の特性低下を防ぐことが可能であり、また導通部によって狭額縁、高開口率、高密度等を実現することが可能であるという効果を奏する。
本発明の薄膜素子用基板の一例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の一例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子(薄膜素子部が有機EL素子部である場合)の他の例を示す概略断面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略平面図である。 本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の薄膜素子用基板、薄膜素子、有機EL表示装置、および電子ペーパーについて詳細に説明する。
A.薄膜素子用基板
まず、本発明の薄膜素子用基板について説明する。
本発明の薄膜素子用基板は、薄膜素子に用いられる薄膜素子用基板であって、絶縁層貫通孔を有し、表面粗さRaが5nm以下の絶縁層と、上記絶縁層貫通孔に充填された第1導通部と、上記薄膜素子用基板の厚み方向に形成され、上記薄膜素子用基板の表裏を導通し、少なくとも上記第1導通部を有する導通部とを有することを特徴とするものである。
なお、薄膜素子用基板の厚み方向とは、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合に薄膜素子部が配置される面に対して垂直な方向をいう。
薄膜素子用基板の表裏とは、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合に薄膜素子部が配置される面と、この面に対して反対側の面とをいう。
本発明の薄膜素子用基板について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の薄膜素子用基板の一例を示す概略断面図および平面図であり、図1(a)は図1(b)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示する薄膜素子用基板1は、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、薄膜素子用基板1の厚み方向に形成され、薄膜素子用基板1の表裏を導通し、第1導通部3を有する導通部10とを有している。上記薄膜素子用基板1では、導通部10を通じて表面から裏面に配線を取り出すことが可能となる。また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の少なくとも一方の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の表面粗さRaが所定の範囲内である面に素子が形成されて用いられる。
図2は、本発明の薄膜素子用基板を備える有機EL装置の一例を示す概略断面図である。図2に例示する有機EL装置20は、図1(a)、(b)に例示する薄膜素子用基板1を備えるものである。有機EL装置20は、薄膜素子用基板1と、薄膜素子用基板1の絶縁層2の表面粗さRaが所定の範囲内である面に形成された有機EL素子部21と、有機EL素子部21上に配置された透明封止基板25と、薄膜素子用基板1および透明封止基板25を接着させて素子を封止する封止部26とを有している。有機EL素子部21は、背面電極層22と、背面電極層22上に形成され、有機発光層を含むEL層23と、EL層23上に形成された透明電極層24とを有している。薄膜素子用基板1の2つの導通部10a、10bのうち、一方の背面電極層用導通部10aは背面電極層22に接続され、他方の透明電極層用導通部10bは透明電極層24に接続されている。この有機EL装置20は、透明電極層24側から発光Lを取り出すトップエミッション型である。
なお、本発明の薄膜素子用基板は、有機EL素子を含め、電子ペーパー、TFT素子、薄膜太陽電池などの薄膜素子に用いることができる。
このように本発明に薄膜素子用基板は、絶縁層の表面粗さRaが所定の範囲内である面に素子が形成されて用いられる。本発明によれば、素子が形成される面において、絶縁層が表面平滑性に優れるので、微細な凹凸による薄膜素子の特性低下を防ぐことが可能となる。
ここで、従来、半導体装置などの電子装置に用いられる配線基板においては、絶縁層と絶縁層上に形成される層(主に金属配線層)との密着強度が重視される。絶縁層の表面平滑性が高いと、絶縁層上に形成される層との密着性が低下する傾向にあるため、密着性を高めるために絶縁層の表面平滑性は高すぎないことが望ましい。一方、本発明においては、微細な凹凸によるTFT素子の電気的性能の劣化を防ぐために、絶縁層の表面粗さを所定の範囲内とし、表面平滑性を有するものとしている。
また、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合には、薄膜素子用基板の素子が配置される面とは反対側の面に配線を取り出すことが可能である。中でも、本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子や電子ペーパーに用いた場合には、発光領域や表示領域を十分に大きくすることができる。これにより、狭額縁、高開口率、高密度等を実現することが可能となる。特に多面取りする場合には有利である。さらに、薄膜素子用基板の一方の面にTFT素子部を配置し、他方の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を配置することも可能となる。
また本発明においては、通常、第1導通部には金属が用いられ、金属は一般的に熱伝導性に優れていることから、導通部を通じて、薄膜素子用基板の素子が配置される面とは反対側の面に熱を逃がすこともできる。したがって、本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子に用いた場合には有機EL素子の発熱による性能劣化を抑制することが可能になる。
図3(a)〜(c)は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図であり、図3(a)は図3(b)、(c)のB−B線断面図であり、図3(b)、(c)は薄膜素子用基板1の金属層4側の面から見た平面図である。
図3(a)〜(c)に例示する薄膜素子用基板1は、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4と、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された第2金属層5aとを有している。そして、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3により導通部10が構成されている。図3(b)においては金属層4の開口部14hが、複数の第1導通部3(絶縁層貫通孔12h)が一つの金属層4の開口部14h内に配置されるように設けられている。一方、図3(c)においては金属層4の開口部14hが第1導通部3(絶縁層貫通孔12h)毎に設けられている。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて第2金属層5a側の面から金属層4側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の第2金属層5a側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の第2金属層5a側の面に素子が形成されて用いられる。
図4(a)〜(c)は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図であり、図4(a)は図4(b)、(c)のC−C線断面図であり、図4(b)、(c)は薄膜素子用基板1の第2絶縁層6側の面から見た平面図である。また、図4(b)、(c)において第2絶縁層6の一部は省略されている。
図4(a)〜(c)に例示する薄膜素子用基板1は、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4と、金属層4上に形成され、第1導通部3上に配置された第2絶縁層貫通孔16hを有する第2絶縁層6と、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7とを有している。そして、導通部10は、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7とにより構成されている。図4(b)においては金属層4の開口部14hが、複数の第1導通部3(絶縁層貫通孔12h)が一つの金属層4の開口部14h内に配置されるように設けられている。一方、図4(c)においては金属層4の開口部14hが第1導通部3(絶縁層貫通孔12h)毎に設けられている。また、金属層4のパターンの端部14sが被覆層(図4(a)においては第2絶縁層6)で絶縁され、金属層4の開口部14h内の導通部10以外の部分が被覆層(図4(a)においては第2絶縁層6)で充填されている。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置され、第2導通部7が第1導通部3上に配置され、金属層4の開口部14h内の導通部10以外の部分が被覆層(図4(a)においては第2絶縁層6)で充填されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて絶縁層2側の面から第2絶縁層6側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に素子が形成されて用いられる。
図5(a)、(b)は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図および平面図であり、図5(a)は図5(b)のD−D線断面図であり、図5(b)は薄膜素子用基板1の金属層4側の面から見た平面図である。
図5(a)、(b)に例示する薄膜素子用基板1は、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4と、金属層4の開口部14h内に形成され、第1導通部3上に配置された導通部用金属部8とを有している。そして、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、第1導通部3上に配置された導通部用金属部8とにより導通部10が構成されている。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置され、導通部用金属部8が金属層4の開口部14h内に金属層4に対して独立して形成されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて絶縁層2側の面から金属層4側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に素子が形成されて用いられる。
図6は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。図6に例示する薄膜素子用基板1は、図5(a)、(b)に示す薄膜素子用基板1において、金属層4のパターンの端部14sが被覆層15で絶縁され、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分が被覆層15で充填されているものである。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置され、導通部用金属部8が金属層4の開口部14h内に金属層4に対して独立して形成され、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分が被覆層15で充填されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて絶縁層2側の面から金属層4側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に素子が形成されて用いられる。
図7は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。図7に例示する薄膜素子用基板1は、図5(a)、(b)に示す薄膜素子用基板1が、金属層4上に形成され、導通部用金属部8上に配置された第2絶縁層貫通孔16hを有する第2絶縁層6をさらに有するものである。金属層4のパターンの端部14sは被覆層(図7においては第2絶縁層6)で絶縁され、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分が被覆層(図7においては第2絶縁層6)で充填されている。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置され、導通部用金属部8が金属層4の開口部14h内に金属層4に対して独立して形成され、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分が被覆層(図7においては第2絶縁層6)で充填されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて絶縁層2側の面から第2絶縁層6側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に素子が形成されて用いられる。
図8は、本発明の薄膜素子用基板の他の例を示す概略断面図である。図8に例示する薄膜素子用基板1は、図7に示す薄膜素子用基板1が、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7をさらに有するものである。導通部10は、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、第1導通部3上に配置された導通部用金属部8と、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7とにより構成されている。
上記薄膜素子用基板1では、金属層4の開口部14hが第1導通部3上に配置され、導通部用金属部8が金属層4の開口部14h内に金属層4に対して独立して形成され、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分が被覆層(図8においては第2絶縁層6)で充填されていることから、金属層4と導通部10とが導通していない。したがって、導通部10を通じて絶縁層2側の面から第2絶縁層6側の面に配線を取り出すことが可能となる。
また、上記薄膜素子用基板1においては、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面の表面粗さRaが所定の範囲内となっており、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に素子が形成されて用いられる。
本発明の薄膜素子用基板1は、図3〜図8に例示するように、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4をさらに有することができる。この場合、金属層4と導通部10は導通していない。
このように金属層が形成されている場合、本発明の薄膜素子用基板は2つの態様に分けることができる。
第1態様は、図5(a)、(b)に例示するような、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4と、金属層4の開口部14h内に形成され、第1導通部3上に配置され、金属層4と同一材料からなる導通部用金属部8と、薄膜素子用基板1の厚み方向に形成され、薄膜素子用基板1の表裏を導通し、少なくとも第1導通部3および導通部用金属部8を有する導通部10とを有し、導通部10が金属層4と導通していない薄膜素子用基板1である。
第1態様においては、図7に例示するように、薄膜素子用基板1は、金属層4上に形成され、導通部用金属部8上に配置された第2絶縁層貫通孔16hを有する第2絶縁層6をさらに有することができる。
また、第1態様においては、図8に例示するように、薄膜素子用基板1は、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7をさらに有することができる。
第2態様は、図3(a)〜(c)に例示するような、絶縁層貫通孔12hを有する絶縁層2と、絶縁層貫通孔12hに充填された第1導通部3と、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4と、薄膜素子用基板1の厚み方向に形成され、薄膜素子用基板1の表裏を導通し、少なくとも第1導通部3を有する導通部10とを有し、導通部10が金属層4と導通していない薄膜素子用基板1である。
第2態様においては、図4(a)〜(c)に例示するように、金属層4上に形成され、第1導通部3上に配置された第2絶縁層貫通孔16hを有する第2絶縁層6と、第2絶縁層貫通孔16hに充填された第2導通部7とをさらに有することができる。
以下、本発明の薄膜素子用基板における各構成について説明する。
1.絶縁層
本発明における絶縁層は、絶縁層貫通孔を有し、表面粗さRaが5nm以下であるものである。
本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いる場合には、絶縁層上に薄膜素子部が形成されるため、絶縁層は表面平滑性を有している。絶縁層の表面粗さRaは、5nm以下であり、好ましくは2nm以下である。本発明の薄膜素子用基板を例えばTFT素子に用いる場合には、絶縁層の表面粗さRaが大きすぎると、微細な凹凸によりTFT素子の電気的性能が劣化するおそれがある。
なお、上記表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した値である。例えば、AFMを用いて測定する場合は、Nanoscope V multimode(Veeco社製)を用いて、タッピングモードで、カンチレバー:MPP11100、走査範囲:10μm×10μm、走査速度:0.5Hzにて、表面形状を撮像し、得られた像から算出した粗さ曲線の中心線からの平均のずれを算出することよりRaを求めることができる。
絶縁層の表面粗さRaが所定の範囲内である面は、素子が形成される面となる。後述するように絶縁層上に金属層がパターン状に形成されている場合には、絶縁層の金属層側の面とは反対側の面が、素子が形成される面となり、絶縁層の金属層側の面とは反対側の面の表面粗さRaを所定の範囲内とする。一方、絶縁層上に金属層など任意の層が形成されていない場合には、絶縁層のいずれか一方の面が、素子が形成される面となり、絶縁層の少なくともいずれか一方の面の表面粗さRaを所定の範囲内とする。この場合、絶縁層の少なくともいずれか一方の面の表面粗さRaが所定の範囲内であればよく、絶縁層の片面のみ表面粗さRaが所定の範囲内であってもよく、絶縁層の両面の表面粗さRaが所定の範囲内であってもよい。またこの場合であって、薄膜素子用基板の一方の面にTFT素子部を形成し、他方の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成する場合には、絶縁層の両面の表面粗さRaを所定の範囲内とする。
絶縁層上に金属層がパターン状に形成されている場合には、寸法安定性の観点から、絶縁層の線熱膨張係数と金属層の線熱膨張係数との差は15ppm/℃以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm/℃以下、さらに好ましくは5ppm/℃以下である。絶縁層と金属層との線熱膨張係数が近いほど、薄膜素子用基板の反りが抑制されるとともに、薄膜素子用基板の熱環境が変化した際に、絶縁層と金属層との界面の応力が小さくなり密着性が向上する。また、本発明の薄膜素子用基板は、取り扱い上、0℃〜100℃の範囲の温度環境下では反らないことが好ましいのであるが、絶縁層の線熱膨張係数が大きいために絶縁層と金属層との線熱膨張係数の差が大きく異なると、薄膜素子用基板が熱環境の変化により反ってしまう。
なお、薄膜素子用基板に反りが発生していないとは、薄膜素子用基板を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、得られたサンプルの一方の短辺を水平で平滑な台上に固定した際に、サンプルのもう一方の短辺の台表面からの浮上距離が1.0mm以下であることをいう。
例えば、電気伝導性、熱伝導性を重視する場合は、金属層に銅、銀、アルミニウムを用いることが望ましいため、この場合には絶縁層の線熱膨張係数は銅、銀、アルミニウムの線熱膨張係数との差が小さいことが望ましい。
また、絶縁層の線熱膨張係数は、金属層に限らず、後述の第2金属層、第3金属層、薄膜素子部、密着層、電極および配線などの絶縁層上に形成される層の線熱膨張係数と近いことが望ましい。絶縁層の線熱膨張係数が絶縁層上に形成される層の線熱膨張係数と異なると、寸法安定性が低下するとともに反りやクラックの原因となるからである。絶縁層上に形成される層が、Zn、In、Ga、Cd、Ti、St、Sn、Te、Mg、W、Mo、Cu、Al、Fe、Sr、Ni、Ir、Mgなどの金属の酸化物や、Si、Ge、Bなどの非金属の酸化物、また上記元素の窒化物、硫化物、セレン化物、およびこれらの混合物(多元素からなるセラミックの様に原子レベルで混合されているものも含む)などの無機材料を主成分とする場合は、これらの無機材料には、線熱膨張係数が10ppm/℃以下のものも含まれることから、絶縁層の線熱膨張係数もより小さいことが望ましい。
具体的に、絶縁層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内、最も好ましくは0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内である。
なお、線熱膨張係数は、次のように測定する。まず、絶縁層のみのフィルムを作製する。絶縁層フィルムの作製方法は、耐熱フィルム(ユーピレックス S 50S(宇部興産(株)製))やガラス基板上に絶縁層フィルムを作製した後、絶縁層フィルムを剥離する方法や金属基板上に絶縁層フィルムを作製した後、金属をエッチングで除去し絶縁層フィルムを得る方法などがある。次いで、得られた絶縁層フィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。線熱膨張係数は、熱機械分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。測定条件は、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲内の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とする。
絶縁層は絶縁性を備えるものである。具体的に、絶縁層の体積抵抗は、1.0×109Ω・m以上であることが好ましく、1.0×1010Ω・m以上であることがより好ましく、1.0×1011Ω・m以上であることがさらに好ましい。
なお、体積抵抗は、JIS K6911、JIS C2318、ASTM D257 などの規格に準拠する手法で測定することが可能である。
絶縁層に用いられる材料は、絶縁層貫通孔が形成可能であり、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド、フェノール樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEK(ポリエーテルケトン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリフタルアミド、PTFE(ポリエチレンテレフタラート)、アクリル樹脂,ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオキサイド、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、耐熱性や絶縁性の観点から、ポリイミド、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
中でも、絶縁層はポリイミドを含有することが好ましく、特にポリイミドを主成分とすることが好ましい。絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れた絶縁層とすることができるからである。また、ポリイミドを主成分とすることにより、絶縁層の薄膜化が可能となり、絶縁層の熱伝導性が向上し、熱伝導性に優れた薄膜素子用基板とすることができる。さらに、後述するように絶縁層貫通孔の径を小さくするには絶縁層の厚みは薄いことが好ましく、絶縁層を薄くする場合には、絶縁性の観点からポリイミドを用いることが望ましい。
なお、絶縁層がポリイミドを主成分とするとは、上述の特性を満たす程度に、絶縁層がポリイミドを含有することをいう。具体的には、絶縁層中のポリイミドの含有量が75質量%以上の場合をいい、好ましくは90質量%以上であり、特に絶縁層がポリイミドのみからなることが好ましい。絶縁層中のポリイミドの含有量が上記範囲であれば、本発明の目的を達成するのに十分な特性を示すことが可能であり、ポリイミドの含有量が多いほど、ポリイミド本来の耐熱性や絶縁性などの特性が良好となる。
一般にポリイミドは吸水性を有する。有機EL素子、電子ペーパー、TFT素子などの薄膜素子に用いられる半導体材料には水分に弱いものが多く、また電子ペーパーでは素子内部の湿度を一定に保つ必要があることから、素子内部の水分を低減し、湿気存在下において高い信頼性を実現するために、絶縁層は吸水性が比較的小さいことが好ましい。吸水性の指標の一つとして、吸湿膨張係数がある。したがって、絶縁層の吸湿膨張係数は小さければ小さいほど好ましく、具体的には0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0ppm/%RH〜12ppm/%RHの範囲内、さらに好ましくは0ppm/%RH〜10ppm/%RHの範囲内である。吸湿膨張係数が小さいほど、吸水性が小さくなる。また、絶縁層の吸湿膨張係数が上記範囲であれば、絶縁層の吸水性を十分小さくすることができ、薄膜素子用基板の保管が容易であり、薄膜素子用基板を用いて上記薄膜素子を作製する場合にはその工程が簡便になる。さらに、吸湿膨張係数が小さいほど、寸法安定性が向上する。絶縁層の吸湿膨張係数が大きいと、吸湿膨張係数がほとんどゼロに近い金属層との膨張率の差によって、湿度の上昇とともに薄膜素子用基板が反ったり、絶縁層と金属層との密着性が低下したりする場合がある。したがって、製造過程においてウェットプロセスが行われる場合にも、吸湿膨張係数が小さいことが好ましい。
なお、吸湿膨張係数は、次のように測定する。まず、絶縁層のみのフィルムを作製する。絶縁層フィルムの作製方法は、上述したとおりである。次いで、得られた絶縁層フィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする。吸湿膨張係数は、湿度可変機械的分析装置(Thermo Plus TMA8310(リガク社製))によって測定する。例えば、温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持する。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を吸湿膨張係数(C.H.E.)とする。測定の際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重は1g/25000μm2とする。
絶縁層を構成するポリイミドとしては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリイミドの構造を適宜選択することで、吸湿膨張係数や線熱膨張係数を制御することが可能である。
ポリイミドとしては、絶縁層の線熱膨張係数や吸湿膨張係数を本発明の薄膜素子用基板に好適なものとする観点から、芳香族骨格を含むポリイミドであることが好ましい。ポリイミドの中でも芳香族骨格を含有するポリイミドは、その剛直で平面性の高い骨格に由来して、耐熱性や薄膜での絶縁性に優れ、線熱膨張係数も低いことから、本発明の薄膜素子用基板の絶縁層に好ましく用いられる。
一般的なポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 0005970865
(式(1)中、R1は4価の有機基、R2は2価の有機基であり、繰り返されるR1同士およびR2同士はそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。nは1以上の自然数である。)
式(1)において、一般に、Rは、テトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、Rはジアミン由来の構造である。
ポリイミドに適用可能なテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、12,14−ジフェニル−12,14−ビス(トリフルオロメチル)−12H,14H−5,7−ジオキサペンタセン−2,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1−(トリフルオロメチル)−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
一方、上記ポリイミド成分に適用可能なジアミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンのような芳香族アミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンのような脂肪族アミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンのような脂環式ジアミンなどが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
絶縁層の耐熱性および絶縁性を向上させるためには、上述したように、ポリイミドが芳香族骨格を含むことが好ましい。芳香族骨格を含有するポリイミドは、その剛直で平面性の高い骨格に由来して、耐熱性や薄膜での絶縁性に優れ、低アウトガスであることから、本発明における絶縁層に好ましく用いられるからである。
また、ポリイミドにおいて、酸二無水物由来の部分が芳香族構造を有し、さらにジアミン由来の部分も芳香族構造を含むことが望ましい。それゆえジアミン由来の構造も芳香族ジアミンから誘導される構造であることが好ましい。特に、酸二無水物由来の部分およびジアミン由来の部分のすべてが芳香族構造を含む全芳香族ポリイミドであることが好ましい。
ここで、全芳香族ポリイミドとは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるものである。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とは、ポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、上述した原料の芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
以上の理由から、ポリイミドは、耐熱性および寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが好ましい。
中で、上記式(1)におけるRのうち33モル%以上が、下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。耐熱性に優れ、低線熱膨張係数を示すポリイミドとなるというメリットがあるからである。
Figure 0005970865
(式(2)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。結合基は、芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
特に、上記(1)で表される構造を有するポリイミドが上記式(2)で表される構造を含むと低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有するポリイミドは、高耐熱性、低線熱膨張係数を示すポリイミドとなり得る。そのため、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、少なくとも上記式(1)中のRのうち33%以上含有すればよい。中でも、上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
ポリイミドを低吸湿にする酸二無水物の構造としては、下記式(3)で表わされるものが挙げられる。
Figure 0005970865
(式(3)中、aは0または1以上の自然数、Aは単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)、エステル結合のいずれかであり、全てが同じであっても、各々異なっていてもよい。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは、3,4位に結合する。)
上記式(3)において、Aが単結合(ビフェニル構造)、酸素原子(エーテル結合)である酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、好ましい。
上記式(3)において、Aがエステル結合であるフェニルエステル系の酸二無水物は、ポリイミドを低吸湿にする観点から、特に好ましい。例えば、下記式で表わされる酸二無水物が挙げられる。具体的には、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物などが挙げられる。これらは、吸湿膨張係数を低減させる観点ならびに、ジアミンの選択性を広げる観点から、特に好ましい。
Figure 0005970865
(式中、aは0または1以上の自然数である。酸無水物骨格(―CO−O−CO−)は、隣接する芳香環の結合部位から見て、芳香環の2,3位もしくは3,4位に結合する。)
上述の吸湿膨張係数が小さいテトラカルボン酸二無水物の場合、後述するジアミンとしては幅広く選択することができる。
併用するテトラカルボン酸二無水物として、下記式で表わされるような少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。フッ素が導入されたテトラカルボン酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの吸湿膨張係数が低下する。少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物としては、中でも、フルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基を有することが好ましい。具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。しかしながら、上記ポリイミド成分として含まれるポリイミド前駆体がフッ素を含んだ骨格を有する場合、上記ポリイミド前駆体が、塩基性水溶液に溶解しづらい傾向にあり、上記ポリイミド前駆体の状態で、レジスト等を用いてパターニングを行う際には、アルコール等の有機溶媒と塩基性水溶液との混合溶液によって現像を行う必要がある場合がある。
Figure 0005970865
ここで、選択されるジアミンは耐熱性、すなわち、低アウトガス化の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いてもよい。
また、上記ポリイミド成分においては、上記式(1)中のRのうち33モル%以上が下記式で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 0005970865
(R3は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、またはスルホン基であり、R4およびR5は1価の有機基、またはハロゲン原子である。)
上記ポリイミドが上記式のいずれかの構造を含むと、これら剛直な骨格に由来し、低線熱膨張および低吸湿膨張を示す。さらには、市販で入手が容易であり、低コストであるというメリットもある。
上記のような構造を有する場合、上記ポリイミドの耐熱性が向上し、線熱膨張係数が小さくなる。そのため、上記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど好ましいが、上記式(1)中のRのうち少なくとも33%以上含有すればよい。中でも上記式で表わされる構造の含有量は上記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、さらに70モル%以上であることが好ましい。
上記ポリイミドをより低吸湿膨張とする観点からは、ジアミンの構造としては、下記式(4−1)〜(4−3)、(5)で表わされるものが好ましい。
Figure 0005970865
(式(4−2)〜(4−3)中、同一の芳香環に2つアミノ基が結合していてもよい。式(5)中、aは0または1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位またはパラ位に結合する。また、芳香環上の水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよい。)
上記式(4−1)〜(4−3)で表されるジアミンとしては、具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
上記式(5)で表わされるジアミンとしては、具体的には、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると、上記ポリイミドの吸湿膨張係数を低減させることができる。例えば、上記式(5)で表わされるジアミンの中でフッ素が導入された構造としては、下記式で表わされるものが挙げられる。しかしながら、フッ素を含むポリイミド前駆体、特にポリアミック酸は、塩基性水溶液に溶解しにくく、低アウトガスの感光性ポリイミドの絶縁層を形成する場合には、絶縁層の加工の際に、アルコールなどの有機溶媒との混合溶液で現像する必要がある場合がある。
Figure 0005970865
ポリイミドに感光性を付与し、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体として用いる際には、感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長に対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、より更に好ましくは50%以上である。
露光波長に対してポリイミドの透過率が高いということは、それだけ、光のロスが少ないということであり、高感度の感光性ポリイミドまたは感光性ポリミド前駆体を得ることができる。
ポリイミドとして、透過率を上げるためには、酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いることが望ましい。しかし、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、耐熱性が低下し、低アウトガス性を損なう恐れがあるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
本発明においては、透過率を上げるためには酸二無水物としてフッ素が導入された芳香族の酸二無水物を用いることが、耐熱性を維持しつつ(芳香族なので)、吸湿膨張も低減することが可能である点からさらに好ましい。
本発明において用いられる少なくとも1つのフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物としては、上述のフッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることができ、中でも、フルオロ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基を有することが好ましい。具体的には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。
しかしながら、フッ素を含んだ骨格を有するポリイミド前駆体は、塩基性水溶液に溶解しづらい傾向にあり、ポリイミド前駆体の状態で、レジスト等を用いてパターニングを行う際には、アルコール等の有機溶媒と塩基性水溶液との混合溶液によって現像を行う必要がある場合がある。
また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
ポリイミドとして、透過率を上げるためには、ジアミンとしてフッ素が導入されたジアミンや、脂環骨格を有するジアミンを用いることが望ましい。しかし、脂環骨格を有するジアミンを用いると、耐熱性が低下し、低アウトガス性を損なう恐れがあるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
透過率を上げるためにはジアミンとしてフッ素が導入された芳香族のジアミンを用いることが、耐熱性を維持しつつ(芳香族なので)、吸湿膨張も低減することが可能である点からさらに好ましい。
フッ素が導入された芳香族のジアミンとしては、具体的には、上述のフッ素が導入された構造を有するものを挙げることができ、より具体的には、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
しかしながら、フッ素を含むポリイミド前駆体、特にポリアミック酸は、塩基性水溶液に溶解しにくく、絶縁層の加工の際に、アルコールなどの有機溶媒との混合溶液で現像する必要がある場合がある。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、金属層との密着性を改善したり、上記ポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させたりすることができる。
ポリイミドまたはポリイミド前駆体のポリイミド成分を含有するポリイミド樹脂組成物を用いてポリイミドを含有する絶縁層を形成する場合、ポリイミド成分の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミドとした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でもよいし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでもよい。
ポリイミド成分の含有量としては、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、上記ポリイミド樹脂組成物の固形分全体に対し、50重量%以上であることが好ましく、中でも、70重量%以上であることが好ましい。
なお、ポリイミド樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明においては、絶縁層が上述の式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有していればよく、必要に応じて適宜、このポリイミドと他のポリイミドとを積層したり組み合わせたりして、絶縁層として用いてもよい。
また、上述のポリイミドは、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて得られるものであってもよい。感光性ポリイミドは、公知の手法を用いて得ることができる。例えば、ポリアミック酸のカルボキシル基にエステル結合やイオン結合でエチレン性二重結合を導入し、得られるポリイミド前駆体に光ラジカル開始剤を混合し、溶剤現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。また例えば、ポリアミック酸やその部分エステル化物にナフトキノンジアジド化合物を添加し、アルカリ現像ポジ型感光性ポリイミド前駆体とする、あるいは、ポリアミック酸にニフェジピン系化合物を添加しアルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とするなど、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加し、アルカリ現像ネガ型感光性ポリイミド前駆体とすることができる。
これらの感光性ポリイミド前駆体には、ポリイミド成分の重量に対して15%〜35%の感光性付与成分が添加されている。そのため、パターン形成後に300℃〜400℃で加熱したとしても、感光性付与成分由来の残渣がポリイミド中に残存する。これらの残存物が線熱膨張係数や吸湿膨張係数を大きくする原因となることから、感光性ポリイミド前駆体を用いると、非感光性のポリイミド前駆体を用いた場合に比べて、素子の信頼性が低下する傾向にある。しかしながら、ポリアミック酸に光塩基発生剤を添加した感光性ポリイミド前駆体は、添加剤である光塩基発生剤の添加量を15%以下にしてもパターン形成可能であることから、ポリイミドとした後も添加剤由来の分解残渣が少なく、線熱膨張係数や吸湿膨張係数などの特性の劣化が少なく、さらにアウトガスも少ないため、本発明に適用可能な感光性ポリイミド前駆体としては最も好ましい。
中でも、上述のポリイミドは、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて得られるものであることが好ましい。感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いることにより、微細パターンを形成可能であり、絶縁層貫通孔の径を小さくすることができるからである。その結果、本発明の薄膜素子用基板上に配置される薄膜素子部の集積度を高めることができる。
ポリイミドに用いられるポリイミド前駆体は、塩基性水溶液によって現像可能であることが、絶縁層をパターニングする際に、作業環境の安全性確保およびプロセスコストの低減の観点から好ましい。塩基性水溶液は、安価に入手でき、廃液処理費用や作業安全性確保のための設備費用が安価であるため、より低コストでの生産が可能となる。
絶縁層には、必要に応じて、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
絶縁層は、絶縁層貫通孔を有する。
絶縁層貫通孔の形状としては、本発明の薄膜素子用基板の用途等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。絶縁層貫通孔の平面の形状は、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。また、絶縁層貫通孔の平面の形状は、絶縁層の表裏にて同一であってもよく異なっていてもよい。
絶縁層貫通孔の大きさは、特に限定されるものではない。本発明の薄膜素子用基板が後述する導通部用金属部を有する場合には、絶縁層貫通孔の大きさは、絶縁層と絶縁層貫通孔に充填された第1導通部とにより導通部用金属部を支持できる大きさであることが好ましく、絶縁層貫通孔が導通部用金属部よりも小さくてもよく大きくてもよい。
絶縁層貫通孔の平面の形状が円形状である場合、絶縁層貫通孔の直径は、絶縁層貫通孔に充填される第1導通部を通じて表面から裏面に配線を取り出すことができれば特に限定されるものではないが、中でも、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。特に、本発明の薄膜素子用基板上に形成される素子の高精細化を図る上では、絶縁層貫通孔の直径は、1μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜200μmの範囲内であることがより好ましく、1μm〜100μmの範囲内であることがさらに好ましい。絶縁層貫通孔の直径が上記範囲よりも大きいと、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合、所望の開口率が得られないともに、集積度(密度)を上げることができず、高精細化の妨げになるおそれがあるからである。また、絶縁層貫通孔に第1導通部を充填する観点からは、絶縁層貫通孔の直径が小さすぎると第1導通部を形成することが実質的に困難になる場合がある。
また、絶縁層貫通孔の平面の形状が円形状ではない場合においても、絶縁層貫通孔の平面の面積が、上記の絶縁層貫通孔の直径で規定される面積と同程度になることが好ましい。
第1導通部の大きさは、絶縁層貫通孔の大きさに依存する。そして、絶縁層貫通孔の大きさは、絶縁層の厚みに依存する。具体的には、絶縁層貫通孔の大きさは、絶縁層の厚みと同程度が実質的な下限となるため、絶縁層の厚みが薄いほど絶縁層貫通孔の大きさを小さくすることが可能である。そのため、絶縁層導通孔の大きさを小さくするには、絶縁層を薄くすることが望ましい。
また、フォトリソグラフィー法により絶縁層貫通孔を形成する際に、非感光性のポリイミドを用いる場合は、絶縁層上に形成するレジスト層の厚みも絶縁層貫通孔の大きさに影響する。そのため、上述のように、径の小さい絶縁層貫通孔を形成するためには、感光性ポリイミドを用いることが好ましい。
絶縁層貫通孔の数は、特に限定されるものではなく、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。
また、絶縁層貫通孔の配置は特に限定されるものではなく、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。絶縁層貫通孔は、薄膜素子用基板の外周部に配置されていてもよい。例えば本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子や電子ペーパーに用いた場合、図2に例示するように薄膜素子用基板1の外周部に絶縁層貫通孔12hが配置されていることにより、封止部26の外側に背面電極層用導通部10aおよび透明電極層用導通部10bを配置することができ、薄膜素子用基板によって素子への水分や酸素の浸入を効果的に防ぐことができるからである。
絶縁層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1μm〜200μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。絶縁層の厚みが薄すぎると、絶縁性が維持できなかったり、金属層表面の凹凸を平坦化することが困難であったりするからである。また、絶縁層の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、成膜時の乾燥が困難になったり、材料使用量が増えるためにコストが高くなったりするからである。さらに、絶縁層の厚みが厚いとポリイミド等の樹脂は金属よりも熱伝導率が低いために熱伝導性が低下する。
絶縁層の形成方法としては、所定の表面粗さを有する絶縁層が得られる方法であれば特に限定されるものではないが、金属層等の下地層上に絶縁層形成用塗工液を塗布する方法が好ましく用いられる。塗布法では、平滑性に優れる絶縁層が得られるからである。絶縁層がポリイミドを含有する場合には、絶縁層形成用塗工液を塗布する方法として、ポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する方法を用いることができる。特に、ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法が好適である。一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しいからである。また、溶媒への溶解性が高いポリイミドは、耐熱性、線熱膨張係数、吸湿膨張係数などの物性に劣るからである。
塗布方法としては、所定の表面粗さを有する絶縁層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
ポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液を塗布する場合、塗布後にポリイミドまたはポリイミド前駆体のガラス転移温度以上に加熱することで、膜の流動性を高め、平滑性を良くすることもできる。
また、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法を用いて上記絶縁層をパターン状に形成することにより、絶縁層貫通孔の形成を同時に行ってもよい。
絶縁層貫通孔の形成方法としては、印刷法、フォトリソグラフィー法、レーザー等で直接加工する方法を用いることができる。
フォトリソグラフィー法としては、例えば、金属層および絶縁層の積層体の状態で、絶縁層上にレジストパターンを形成し、そのパターンに沿って絶縁層をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングした後、レジストパターンを除去する方法;金属層と絶縁層と第2金属層とが積層された積層体の状態で、第2金属層をパターニングし、そのパターンをマスクとして絶縁層をエッチングした後、第2金属層のパターンを除去する方法;感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体などの感光性樹脂組成物を用いて、金属層上に直接、絶縁層のパターンを形成する方法が挙げられる。また、ポリイミド前駆体溶液を塗布する場合には、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を金属層上に成膜後、ポリアミック酸膜上にレジスト層を形成し、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成し、その後、そのパターンをマスクとして、パターン開口部のポリアミック酸膜を除去した後、レジストパターンを除去し、ポリアミック酸をイミド化する方法;上記レジストパターンの形成時に同時にポリアミック酸膜も現像し、その後、レジストパターンを除去し、ポリアミック酸をイミド化する方法を挙げることができる。
印刷法としては、グラビア印刷やフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法など公知の印刷技術を用いた方法を例示することができる。
図1(a)、(b)に例示するような薄膜素子用基板を作製する場合には、金属層等の下地層上に絶縁層形成用塗工液を塗布して絶縁層を形成し、さらに絶縁層に絶縁層貫通孔を形成した後、金属層等の下地層を除去する方法を採用することができる。下地層としては、金属層や第2金属層の他、ガラスやプラスチックフィルム等を用いることができる。薄膜素子用基板の作製方法としては、下地層の材料に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、下地層の上に絶縁層を形成した後、下地層から絶縁層を剥離する方法や、下地層の上に絶縁層を形成した後、エッチング法などにより下地層を除去する方法等が挙げられる。
2.第1導通部
本発明における第1導通部は、上記絶縁層貫通孔に充填されるものであり、導通部の一部を構成するものである。
第1導通部の材料としては、絶縁層貫通孔に充填できるものであれば特に限定されるものではなく、通常、金属が用いられる。金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびこれら金属の合金等を挙げることができる。
第1導通部は1種類の材料から形成されていてもよく、2種類以上の材料を用いて形成されていてもよい。
また、電解めっきにより第1導通部を形成する際には、基本的に、上記金属の単体が用いられる。これら金属は、1種類単独で用いてもよく、複数の金属を用いてもよい。異なる金属を用いてめっきを行う場合には、順次めっきを施すことになる。
電気伝導性の観点からは、第1導通部は電気抵抗率が低いことが望ましい。具体的には、室温における電気抵抗率が、1×10−4Ωcm以下であることが望ましく、5×10−5Ωcm以下であることがより望ましく、1×10−5Ωcm以下であることが更に望ましい。
第1導通部の態様としては、薄膜素子用基板の厚み方向、すなわち絶縁層の厚み方向に形成されていれば特に限定されるものではない。中でも、絶縁層の厚み方向に対して平行に第1導通部が形成されていることが好ましい。
また、第1導通部の形状は、本発明の薄膜素子用基板の用途等に応じて適宜決定することができ、上記絶縁層貫通孔の形状に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではない。第1導通部の平面の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。また、第1導通部の形状は絶縁層の表裏にて同一であってもよく異なっていてもよい。
第1導通部の大きさは、上記絶縁層貫通孔の大きさに応じて適宜決定されるものである。第1導通部の平面の形状を円形状とする場合、第1導通部の直径は、上記絶縁層貫通孔の直径と同様とすることができる。また、第1導通部の平面の形状が円形状ではない場合においても、第1導通部の平面の面積が、上記の第1導通部の直径で規定される面積と同程度になることが好ましい。
第1導通部の配置としては、第1導通部が絶縁層貫通孔に充填されていれば特に限定されるものではない。また、第1導通部は、上記絶縁層貫通孔と同様に、薄膜素子用基板の外周部に配置されていてもよい。
第1導通部の数は、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。また、第1導通部が複数配置されている場合、その配置としては本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択され、例えば図1(b)に示すように規則的に配列されていてもよい。
第1導通部の形成方法としては、例えば、めっき法、銀ペーストなどの導電ペーストを塗布する方法、はんだを用いる方法などが挙げられる。
めっき法としては、電解めっき法であってもよく無電解めっき法であってもよい。また、無電解めっき法および電解めっき法を組み合わせてもよい。例えば、無電解めっきにより薄い金属膜を形成した後、その薄い金属膜に電解めっきを施してもよい。電解めっきの場合、金属層を給電層としてめっきを行ってもよい。また、第2態様の場合、絶縁層の金属層側の面とは反対側の面に第2金属層を形成し、または第2絶縁層の金属層側の面とは反対側の面に第3金属層を形成し、この第2金属層または第3金属層を給電層としてめっきを行ってもよい。
導電ペーストを塗布する方法の場合には、プロセスの工程数をさらに短縮することができる。導電ペーストの塗布方法としては、導電ペーストを絶縁層貫通孔に充填することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、インクジェット法、ディスペンサー法などが挙げられる。
3.金属層
本発明の薄膜素子用基板は、図3〜図8に例示するように、絶縁層2上にパターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部14hを有する金属層4をさらに有することが好ましい。この場合、金属層4と導通部10は導通していない。
金属層が形成されている場合には、金属層は一般にガスバリア性に優れており、金属層と絶縁層が積層されているので、樹脂層単独の場合と比較して、水分や酸素の透過を低減することができ、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合には、水分や酸素による素子の劣化を抑制することが可能である。また、本発明の薄膜素子用基板を電子ペーパーに用いた場合には、素子内の湿度を一定に保つことができ、湿度変化による荷電状態の変化を抑制し、良好な表示特性を得ることが可能である。
一般に金属層は熱伝導性に優れている。したがって本発明の薄膜素子用基板が金属層を有する場合には、熱を速やかに伝導もしくは放射することができる。よって、本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子に用いた場合には、熱伝導性が高く、発熱による悪影響を抑制することができ、発光ムラのない均一な発光を実現し、かつ寿命の短縮や素子破壊を低減することができる。
さらに、金属層が形成されている場合には、強度を高めることができ、本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いた場合、耐久性を向上させることができる。
また、本発明の薄膜素子用基板を作製する際に金属層上に塗布法により絶縁層を形成する場合には、絶縁層の平滑性を向上させることができる。
本発明における金属層は、上記絶縁層上にパターン状に形成されるものであり、金属層の開口部が第1導通部上に配置され、導通部と導通していないものである。
金属層を構成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、リン青銅、ステンレス鋼(SUS)、金、金合金、ニッケル、ニッケル合金、銀、銀合金、スズ、スズ合金、チタン、鉄、鉄合金、亜鉛、モリブデン、インバー材等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらは、後述する特性に合わせて適宜選択して用いられる。
ここでいう金属材料とは、金属元素の単体もしくは合金のことであり、金属元素の定義は、シュライバー無機化学第3版(上)429pの記載にのっとり、シリコンは含まれない。(周期表で1〜12族までの水素以外の全ての元素、13族のAl,Ga,In,Tl、14族のSn,Pb、15族のBiが金属元素である。)
金属層は、寸法安定性の観点から、線熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内であることが好ましい。線熱膨張係数が大きすぎると、温度変化時に生じる伸び縮みが大きくなるため、寸法安定性に悪影響をおよぼすからである。
また、金属層の線熱膨張係数は、寸法安定性の観点から、絶縁層の線熱膨張係数と近いことが好ましい。絶縁層と金属層との線熱膨張係数が近いほど、薄膜素子用基板の反りが抑制されるとともに、薄膜素子用基板の熱環境が変化した際に、絶縁層と金属層との界面の応力が小さくなり密着性が向上するからである。なお、金属層の線熱膨張係数と絶縁層の線熱膨張係数の差については、上記絶縁層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、金属層の線熱膨張係数は、絶縁層に限らず、後述の第2金属層、第3金属層、薄膜素子部、密着層、電極および配線などの絶縁層上に形成される層の線熱膨張係数と近いことが望ましい。金属層の線熱膨張係数が絶縁層上に形成される層の線熱膨張係数と異なると、寸法安定性が低下するとともに反りやクラックの原因となるからである。絶縁層上に形成される層が、Zn、In、Ga、Cd、Ti、St、Sn、Te、Mg、W、Mo、Cu、Al、Fe、Sr、Ni、Ir、Mgなどの金属の酸化物や、Si、Ge、Bなどの非金属の酸化物、また上記元素の窒化物、硫化物、セレン化物、およびこれらの混合物(多元素からなるセラミックの様に原子レベルで混合されているものも含む)などの無機材料を主成分とする場合は、これらの無機材料には、線熱膨張係数が10ppm/℃以下のものも含まれることから、金属層の線熱膨張係数もより小さいことが望ましい。
金属層の線熱膨張係数は、より好ましくは0ppm/℃〜18ppm/℃の範囲内、さらに好ましくは0ppm/℃〜12ppm/℃の範囲内、特に好ましくは0ppm/℃〜7ppm/℃の範囲内である。
なお、金属や合金の線熱膨張係数については、文献を参照することができる。例えば純金属の線熱膨張係数は、化学便覧 改訂4版 日本化学会編基礎編I 542ページ、基礎編II17ページに記載されている。また、いくつかの合金や、酸化物の線熱膨張係数はMaterials Science and Engineering, an introduction, W. D. Callister Jr., John Wiley, 1985に記載されている。また、線熱膨張係数が未知のものについては、上記絶縁層の線熱膨張係数の測定と同様にして求めることができる。線熱膨張係数の測定方法については、金属層を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとする以外は、上記絶縁層の線熱膨張係数の測定方法と同様である。
また、絶縁層上に形成される層が、上記のような酸化物を含有する酸化物層であり、本発明の薄膜素子用基板を用いて薄膜素子を作製する際に酸化プロセスを行う場合は、金属層は耐酸化性を有することが好ましい。本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いた場合、通常、TFT素子の作製時に高温処理が施されるからである。特に、TFT素子が酸化物半導体層を有する場合には、酸素の存在下、高温でアニール処理が行なわれることから、金属層は耐酸化性を有することが好ましい。
本発明の薄膜素子用基板を大型の薄膜素子に適用する場合や、微細加工が必要な薄膜素子に適用する場合など、高い寸法安定性が必要な場合は、金属層を構成する金属材料は、Fe(鉄)系合金であることが好ましく、特にSUSが好ましい。SUSは耐酸化性に優れ、また耐熱性にも優れている上、銅などに比べ線熱膨張係数が小さく寸法安定性に優れる。また、SUS304についてはSUS430よりも耐酸化性、耐食性が高いという利点があり、SUS430については、線熱膨張係数がSUS304より小さいという利点もある。一方、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いた場合、金属層およびTFT素子の線熱膨張係数を考慮すると、線熱膨張係数の観点からは、SUS430よりさらに低線熱膨張係数のチタンやインバーが好ましい。ただし、線熱膨張係数のみでなく、耐酸化性、耐熱性、金属箔の展性および延性などに起因する箔の加工性や、コストも考慮に入れて選択するのが望ましい。
金属層の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、箔状や板状であってもよい。金属箔の場合、圧延箔であってもよく電解箔であってもよく、金属材料の種類に応じて適宜選択される。通常、合金からなる金属箔は圧延により作製される。
金属層の厚みとしては、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1μm〜200μmの範囲内、さらに好ましくは1μm〜100μmの範囲内である。金属層の厚みが薄すぎると、薄膜素子用基板の強度が低下するおそれがある。また、金属層の厚みが厚すぎると、フレキシブル性が低下したり、過重になったり、コスト高になったりする。
金属層の表面粗さRaとしては、上記絶縁層の表面粗さRaよりも大きいものであり、例えば50nm〜200nm程度である。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記の絶縁層の表面粗さの測定方法と同様である。
金属層はパターン状に形成されるものであり、第1導通部上に開口部を有する。金属層の開口部の形状としては、特に限定されるものではない。本発明の薄膜素子用基板が後述する導通部用金属部を有する場合には、金属層の開口部の形状は、導通部用金属部を金属層の開口部内に配置できる形状であることが好ましい。金属層の開口部の平面の形状は、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。
金属層の開口部の大きさは、導通部および金属層を導通させない大きさであり、金属層の開口部内に、第1導通部(絶縁層貫通孔)、第2導通部(第2絶縁層貫通孔)、導通部用金属部を配置することができれば特に限定されるものではなく、通常は第1導通部(絶縁層貫通孔)、第2導通部(第2絶縁層貫通孔)、導通部用金属部の大きさよりも大きい。
金属層の開口部の数は、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。
金属層の開口部の配置としては、金属層の開口部内に、第1導通部(絶縁層貫通孔)、第2導通部(第2絶縁層貫通孔)、導通部用金属部を配置することができれば特に限定されるものではない。金属層の開口部は、上記絶縁層貫通孔と同様に、薄膜素子用基板の外周部に配置されていてもよい。
金属層のパターンの端部は被覆層で絶縁されていることが好ましく、金属層の開口部内の導通部以外の部分は被覆層で充填されていることがより好ましい。これにより、金属層および導通部を絶縁することができるからである。中でも、金属層のパターンの端部は上記絶縁層または後述する第2絶縁層で絶縁されていることが好ましく、金属層の開口部内の導通部以外の部分は絶縁層または第2絶縁層で充填されていることが好ましい。被覆層が絶縁層または第2絶縁層である場合には、薄膜素子用基板の製造工程を簡略化することができるからである。絶縁層および第2絶縁層のいずれが金属層の開口部内の導通部用金属部以外の部分に充填されるかは、本発明の薄膜素子用基板の製造方法に応じて適宜選択される。
金属層が形成されている領域の面積としては、薄膜素子用基板に必要とされる強度を確保することができれば特に限定されるものではないが、薄膜素子用基板全体の面積を100%としたとき、金属層が形成されている領域全体の面積が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。金属層が形成されている領域が少ないと、絶縁層および第2絶縁層の厚みにもよるが、薄膜素子用基板の強度が低下するおそれがあるからである。なお、金属層が形成されている領域全体の面積の上限は100%未満である。
金属層は、図9および図10に例示するように金属層4の絶縁層2側の面に絶縁層2が存在せず、金属層4が露出している金属層露出領域11bを有していてもよく、図9および図10に例示するように金属層4の第2絶縁層6側の面に第2絶縁層6が存在せず、金属層4が露出している金属層露出領域11aを有していてもよい。
図11および図12に例示するように、本発明の薄膜素子用基板1を有機EL装置20に用いた場合に、絶縁層2が金属層4の外縁部を除いて形成され、薄膜素子用基板1の素子が配置される面の金属層4の外縁部に金属層露出領域11bが設けられている場合には、薄膜素子用基板1の金属層4と透明封止基板25とを直に密着させることが可能となり、薄膜素子用基板および透明封止基板の界面からの有機EL素子への水分や酸素の侵入を防ぐことができる。また、薄膜素子用基板の素子が配置される面に金属層露出領域が設けられている場合、封止部を金属層露出領域に選択的に配置することで、有機EL素子を面内で区分けしたり、多面付けした状態で封止したりすることが可能となり、高い生産性で素子を製造できるといった利点を有する。
また、図11および図12に例示するように、本発明の薄膜素子用基板1を有機EL装置20に用いた場合に、第2絶縁層6が金属層4に対してパターン状に形成され、薄膜素子用基板1の素子が配置される面とは反対側の面に金属層露出領域11aが設けられている場合には、薄膜素子用基板の放熱性を高めることができる。これにより、有機EL素子の発熱による性能劣化を効果的に抑制することができる。
金属層露出領域の形状、大きさ、配置、数等としては、特に限定されるものではなく、上述したような金属層露出領域を設ける目的に応じて適宜選択される。
金属層の形成方法としては、一般的な方法を用いることができ、金属材料の種類や金属層の厚みなどに応じて適宜選択される。例えば、金属層単体を得る方法であってもよく、絶縁層上に金属材料を蒸着し、金属層と絶縁層との積層体を得る方法であってもよい。中でも、金属層単体を得る方法が好ましい。
また、絶縁層および金属層を積層する際には、例えば、金属層上に絶縁層を形成してもよく、絶縁層上に金属層を形成してもよい。
絶縁層上に金属層を形成する場合、金属層の形成方法としては、例えばメタライズ法を用いることができる。上記絶縁層上にメタライズ法で金属層を設ける場合、条件については特に限定されず、蒸着、スパッタ、メッキのいずれの方法を用いてもよい。また、これらの方法を複数組み合わせる方法であってもよい。また、後述の密着層が形成されている場合には、まず、上記絶縁層上にスパッタ法等により無機材料からなる密着層を形成した後、密着層上に蒸着法等により上記金属層を形成する方法を用いることができる。
金属層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法、レーザー等で直接加工する方法、メタルマスクを介してスパッタもしくは蒸着することにより、位置選択的に金属層を形成する方法を用いることができる。フォトリソグラフィー法としては、例えば、金属層および絶縁層の積層体の状態で、金属層上にドライフィルムレジストをラミネートし、レジストパターンを形成し、そのパターンに沿って金属層をエッチングした後、レジストパターンを除去する方法が挙げられる。
また、例えば、上記金属材料をマスクを介して蒸着する方法などを用いて上記金属層をパターン状に形成することにより、金属層のパターニングを同時に行ってもよい。
また、あらかじめ、金属層をパターニングしたものに絶縁層を形成してもよく、絶縁層をパターニングしたものに金属層を形成してもよい。
4.導通部用金属部
本発明の薄膜素子用基板は、第1態様の場合、図5〜図8に例示するように、金属層4の開口部14h内に形成され、第1導通部3上に配置され、金属層と同一材料からなる導通部用金属部8をさらに有していてもよい。導通部用金属部が金属層と同一材料からなるので、金属層のパターニングと同時に導通部用金属部を形成することができる。この場合、金属層をエッチングすることにより金属層の加工と導通部用金属部の形成が同時にできる、またパターニング前の金属層を給電層として電解めっきを行うことができる、など、導通部の形成プロセスを短縮することが可能である。
本発明における導通部用金属部は、上記金属層の開口部内に形成され、上記第1導通部上に配置され、上記金属層と同一材料からなるものであり、導通部の一部を構成するものである。
導通部用金属部の材料としては、上記金属層と同一材料からなるものであれば特に限定されないが、金属層のパターニングと同時に形成されたものであることが好ましい。上述したように、導通部の形成プロセスを短縮することが可能となるからである。
導通部用金属部の形状としては、金属層の開口部内に導通部用金属部を配置できる形状であればよく、本発明の薄膜素子用基板の用途等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。導通部用金属部の平面の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、矩形状等の任意の形状とすることができる。また、導通部用金属部の形状は表裏にて同一であってもよく異なっていてもよい。
導通部用金属部の大きさは、金属層の開口部内に導通部用金属部が配置され、導通部用金属部が絶縁層と絶縁層貫通孔に充填された第1導通部とにより支持されており、導通部用金属部が第1導通部上に配置されていれば特に限定されるものではなく、導通部用金属部は第1導通部よりも小さくてもよく大きくてもよい。
導通部用金属部の中心位置は、導通部用金属部が第1導通部上に配置されていれば特に限定されるものではなく、第1導通部の中心位置と一致していてもよく一致していなくてもよい。
導通部用金属部の数は、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。
導通部用金属部の配置としては、金属層の開口部内に導通部用金属部が配置されていれば特に限定されるものではない。
導通部用金属部の形成方法としては、上記金属層のパターニング方法と同様とすることができる。
5.第2絶縁層
本発明においては、図4、図7および図8に例示するように、金属層4上に第2絶縁層6が形成されていることが好ましい。金属層上に第2絶縁層が形成されていることにより、第2絶縁層上に導通部と導通するように電極や配線等を形成することができ、配線形成が容易となるからである。
本発明における第2絶縁層は、上記金属層上に形成され、上記第1導通部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有するものである。
なお、第2絶縁層の特性、材料、厚み、形成方法等については、上記絶縁層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明の薄膜素子用基板を薄膜素子に用いる場合に、薄膜素子用基板の一方の面にTFT素子部を形成し、他方の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成する場合には、第2絶縁層の金属層側の面とは反対側の面が表面平滑性を有することが好ましい。具体的に、第2絶縁層の金属層側の面とは反対側の面の表面粗さRaが、上記絶縁層の表面粗さRaの範囲内であることが好ましい。
第2絶縁層は、上記第1導通部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有する。
なお、第2絶縁層貫通孔の形状、中心位置、大きさ、数、配置、形成方法等については、上記絶縁層貫通孔と同様であるので、ここでの説明は省略する。
第2絶縁層貫通孔の形状は、上記絶縁層貫通孔の形状と同じであってもよく異なっていてもよい。また、第2絶縁層貫通孔の中心位置は、上記絶縁層貫通孔の中心位置と一致していてもよく一致していなくてもよい。
6.第2導通部
本発明においては、図4および図8に例示するように、第2絶縁層貫通孔16hに第2導通部7が充填されていてもよい。
本発明における第2導通部は、上記第2絶縁層貫通孔に充填されるものであり、導通部の一部を構成するものである。
なお、第2導通部の材料、大きさ、配置、数、形成方法等については、上記第1導通部と同様であるので、ここでの説明は省略する。
第2導通部の材料は、上記第1導通部の材料と同じであってもよく異なっていてもよい。
7.導通部
本発明における導通部は、薄膜素子用基板の厚み方向に形成され、薄膜素子用基板の表裏を導通し、少なくとも上記第1導通部を有するものであり、上記金属層と導通していないものである。
導通部10は、図1および図3に例示するように第1導通部3のみを有していてもよく、図4に例示するように第1導通部3および第2導通部7を有していてもよく、図5〜図7に例示するように第1導通部3および導通部用金属部8を有していてもよく、図8に例示するように第1導通部3、導通部用金属部8および第2導通部7を有していてもよい。
導通部は、通常、薄膜素子部の電極や配線に接続される。なお、導通部が電極や配線に接続されているとは、少なくとも一部の導通部が電極や配線に接続されていることをいう。例えば、全ての導通部が電極や配線に接続されていてもよく、一部の導通部が電極や配線に接続されていてもよい。
導通部の配置としては、薄膜素子用基板の厚み方向に形成されていれば特に限定されるものではなく、上記の第1導通部、導通部用金属部、第2導通部の配置と同様である。また、導通部は、上述したように、薄膜素子用基板の外周部に配置されていてもよい。
導通部の数は、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。また、導通部が複数配置されている場合、その配置としては本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択され、例えば図1(b)に示すように規則的に配列されていてもよい。
本発明の薄膜素子用基板をアクティブマトリクス型の薄膜素子に用いる場合、図13(a)、(b)に例示するように、薄膜素子部30のゲート線32gに接続されたゲート線用導通部10gと、薄膜素子部30のソース線32sに接続されたソース線用導通部10sとを設けることができる。なお、図13(a)は薄膜素子用基板の絶縁層2側の面から見た平面図であり、図13(b)は薄膜素子用基板の第2絶縁層6側の面から見た平面図であり、図13(a)、(b)は配線を簡略に示した模式図である。図13(a)では、薄膜素子用基板の絶縁層2側の面に薄膜素子部30が形成されている。図13(b)では、薄膜素子用基板の第2絶縁層6側の面にドライバー(制御IC)35が形成され、ゲート線用導通部10gおよびソース線用導通部10sがドライバー(制御IC)35に配線33によって接続されている。
アクティブマトリクス型の薄膜素子の配線方法については、公知の方法を採用することができる。
本発明の薄膜素子用基板をパッシブマトリクス型の薄膜素子に用いる場合、図14に例示するように、薄膜素子部30の背面電極層に接続されたx配線32xに接続された背面電極層用導通部10aと、薄膜素子部30の電極層となる透明電極層に接続されたy配線32yに接続された透明電極層用導通部10bとを設けることができる。なお、図14は薄膜素子用基板の絶縁層2側の面から見た平面図であり、配線を簡略に示した模式図である。図14では、絶縁層2上に、すなわち薄膜素子用基板の絶縁層2側に、薄膜素子部30、x配線32xおよびy配線32yが形成されている。
また、本発明の薄膜素子用基板をパッシブマトリクス型の薄膜素子に用いる場合、図15に例示するように、薄膜素子部30毎に導通部10を設けることができる。なお、図15は薄膜素子用基板の絶縁層2側の面から見た平面図である。図15では、絶縁層2上に、すなわち薄膜素子用基板の絶縁層2側に薄膜素子部30が形成されている。また、図示しないが、第2絶縁層上に、すなわち薄膜素子用基板の第2絶縁層側に、薄膜素子部30の背面電極層に接続されたx配線、および、薄膜素子部30の透明電極層に接続されたy配線が形成されている。
パッシブマトリクス型の薄膜素子の配線方法については、公知の方法を採用することができる。
8.第2金属層
本発明の薄膜素子用基板は、図9および図10に例示するように、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に形成され、第1導通部3と導通する第2金属層5aをさらに有していてもよい。第2態様の場合であって、めっき法により第1導通部を形成する場合には、この第2金属層を給電層としてめっきを行うことができる。
第2金属層5aは、図9および図10に例示するように、金属層4の開口部14hを覆うように配置されていることが好ましい。金属層の開口部を覆うように第2金属層が配置されていることで、薄膜素子用基板の厚み方向に、金属層、第2金属層、導通部がいずれも存在しない領域をなくすことができ、水分や酸素の透過を妨げることが可能となる。本発明の薄膜素子用基板を素子を上から封止する封止基板として用いる場合には、特に、この第2金属層が形成されていることが好ましい。
本発明における第2金属層は、上記絶縁層の上記金属層側の面とは反対側の面に形成され、上記第1導通部と導通しているものである。また、第2金属層は、薄膜素子の電極や配線等になり得るものである。
第2金属層は薄膜素子部の電極や配線となり得るものであることから、第2金属層を構成する材料としては、本発明の薄膜素子用基板の用途や製造方法に応じて適宜選択される。
例えば本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子や電子ペーパーに用いる場合、第2金属層は背面電極層となり得る。この場合、第2金属層の材料としては、導電体であれば特に限定されるものではなく、例えば、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属単体、これらの金属の酸化物、およびAlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、MgAg等のMg合金、Ni合金、Cr合金、アルカリ金属の合金、アルカリ土類金属の合金等の合金などを挙げることができる。これらの導電体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上を用いて積層させてもよい。
また、例えば本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いる場合、第2金属層はゲート線、ソース線、TFTを構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極となり得る。この場合、第2金属層は、導電性の観点から無機材料で構成されることが望ましい。第2金属層を構成する無機材料としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFTに用いられる導電体を用いることができる。このような無機材料の例としては、Cu、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等を挙げることができる。
第2金属層の形成位置としては、第2金属層が絶縁層の金属層側とは反対側の面に形成されていればよく、第2金属層が絶縁層の直上に形成されていてもよく、絶縁層の金属層側とは反対側の面に後述の密着層が形成されている場合には第2金属層が密着層の直上に形成されていてもよく、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いる場合には絶縁層および第2金属層の間に半導体層、ゲート絶縁膜等が形成されていてもよい。中でも、第2金属層が絶縁層の直上に形成されている、あるいは第2金属層が密着層の直上に形成されていることが好ましい。
第2金属層の配置としては、第2金属層が上記第1導通部と導通するように配置されていれば特に限定されるものではなく、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。中でも、第2金属層が金属層の開口部を覆うように配置され、かつ、薄膜素子用基板の厚み方向に、金属層、第2金属層、導通部がいずれも存在しない領域がないように配置されていることが好ましい。
第2金属層の形成方法としては、薄膜素子における一般的な電極や配線の形成方法と同様とすることができる。
また、第2金属層の厚みとしては、本発明の薄膜素子用基板の用途や製造方法に応じて適宜選択されるものであり、薄膜素子における一般的な電極や配線の厚みと同様とすることができる。
9.第3金属層
本発明の薄膜素子用基板は、図9および図10に例示するように、第2絶縁層6の金属層4側の面とは反対側の面に形成され、第2導通部7と導通する第3金属層5bをさらに有していてもよい。第2態様の場合であって、めっき法により第2導通部を形成する場合には、この第3金属層を給電層としてめっきを行うことができる。
第3金属層5bは、図9および図10に例示するように、金属層4の開口部14hを覆うように配置されていることが好ましい。金属層の開口部を覆うように第3金属層が配置されていることで、薄膜素子用基板の厚み方向に、金属層、第3金属層、導通部がいずれも存在しない領域をなくすことができ、水分や酸素の透過を妨げることが可能となる。本発明の薄膜素子用基板を素子を上から封止する封止基板として用いる場合には、特に、この第3金属層が形成されていることが好ましい。
本発明における第3金属層は、上記第2絶縁層の上記金属層側の面とは反対側の面に形成され、上記第2導通部と導通しているものである。また、第3金属層は、薄膜素子の電極や配線等になり得るものである。
第3金属層は薄膜素子部の電極や配線となり得るものであり、第3金属層の材料としては、上記第2金属層の材料と同様とすることができる。
第3金属層の形成位置としては、第3金属層が第2絶縁層の金属層側とは反対側の面に形成されていればよく、第3金属層が第2絶縁層上に形成されていればよい。通常は、第3金属層が第2絶縁層の直上に形成される。
また、第3金属層の配置としては、第3金属層が上記第2導通部と導通するように配置されていれば特に限定されるものではなく、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。中でも、第3金属層が金属層の開口部を覆うように配置され、かつ、薄膜素子用基板の厚み方向に、金属層、第3金属層、導通部がいずれも存在しない領域がないように配置されていることが好ましい。
第3金属層の形成方法および厚みとしては、上記第2金属層の形成方法および厚みと同様とすることができる。
本発明においては、絶縁層の金属層側とは反対側の面に上記第2金属層が形成され、第2絶縁層の金属層側とは反対側の面に第3金属層が形成され、すなわち薄膜素子用基板の両面にそれぞれ第2金属層および第3金属層が形成され、第2金属層および第3金属層が金属層の開口部を覆うように配置されていることが好ましい。薄膜素子用基板の両面にそれぞれ第2金属層および第3金属層が形成され、金属層の開口部を覆うように第2金属層および第3金属層が配置されていることで、水分や酸素の透過を効果的に妨げることが可能となる。本発明の薄膜素子用基板を封止基板として用いる場合には、特に、第2金属層および第3金属層が形成されていることが好ましい。
10.電極および配線
本発明においては、上記絶縁層の上記金属層側とは反対側の面または上記第2絶縁層の上記金属層とは反対側の面に電極および/または配線が形成されていてもよい。
電極および配線を構成する材料としては、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択されるものであり、上記第2金属層や上記第3金属層の材料を用いることができる。また、例えば本発明の薄膜素子用基板を有機EL素子に用いる場合であって、有機発光層上に電極や配線が配置される場合など、電極や配線に透明性が要求される場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物や、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子材料を用いることができる。
電極および配線の形成位置としては、電極や配線が絶縁層の金属層側とは反対側の面または第2絶縁層の金属層側とは反対側の面に形成されていればよく、電極や配線が絶縁層または第2絶縁層の直上に形成されていてもよく、絶縁層の金属層側とは反対側の面に後述の密着層が形成されている場合には電極や配線が密着層の直上に形成されていてもよく、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いる場合には絶縁層と電極や配線との間に半導体層、ゲート絶縁膜等が形成されていてもよい。中でも、電極や配線が絶縁層または第2絶縁層の直上に形成されている、あるいは電極や配線が密着層の直上に形成されていることが好ましい。
また、電極および配線の配置としては、特に限定されるものではなく、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。
電極および配線の形成方法としては、薄膜素子における一般的な電極や配線の形成方法と同様とすることができる。
また、電極および配線の厚みとしては、電極や配線の種類に応じて適宜選択されるものであり、薄膜素子における一般的な電極や配線の厚みと同様とすることができる。
11.密着層
本発明においては、図16に例示するように、絶縁層2の金属層4側の面とは反対側の面に、無機化合物を含む密着層9が形成されていてもよい。密着層は、絶縁層および薄膜素子部の密着力を高めるために設けられる層である。
密着層は平滑性を有することが好ましい。密着層の表面粗さRaは、金属層の表面粗さRaよりも小さければよく、具体的に、5nm以下であることが好ましく、より好ましくは2nm以下である。密着層の表面粗さRaが大きすぎると、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いた場合、TFT素子の電気的性能が劣化するおそれがあるからである。なお、上記表面粗さの測定方法については、上記絶縁層の表面粗さの測定方法と同様である。
また、密着層は耐熱性を有することが好ましい。本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いた場合、TFT素子の作製時には通常、高温処理が施されるからである。密着層の耐熱性としては、密着層の5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましい。
なお、5%重量減少温度の測定については、熱分析装置(DTG−60((株)島津製作所製))を用いて、雰囲気:窒素雰囲気、温度範囲:30℃〜600℃、昇温速度:10℃/minにて、熱重量・示差熱(TG−DTA)測定を行い、試料の重量が5%減る温度を5%重量減少温度(℃)とした。
密着層上には電極や配線が形成される場合があるため、密着層は、通常、絶縁性を有する。
また、本発明の薄膜素子用基板をTFT素子に用いる場合、密着層は、絶縁層に含まれる不純物イオンなどがTFT素子の半導体層に拡散するのを防ぐものであることが好ましい。具体的に、密着層のイオン透過性としては、鉄(Fe)イオン濃度が0.1ppm以下であることが好ましく、あるいはナトリウム(Na)イオン濃度が50ppb以下であることが好ましい。なお、Feイオン、Naイオンの濃度の測定方法としては、密着層上に形成された層をサンプリングして抽出した後、イオンクロマトグラフィー法により分析する方法が用いられる。
密着層を構成する無機化合物としては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタンを挙げることができる。これらは1種であってもよく2種以上であってもよい。
密着層は、単層であってもよく多層であってもよい。
密着層が多層膜である場合、上述の無機化合物からなる層が複数層積層されていてもよく、上述の無機化合物からなる層と金属からなる層とが積層されていてもよい。この場合に用いられる金属としては、上述の特性を満たす密着層を得ることができれば特に限定されるものではなく、例えば、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素を挙げることができる。
また、密着層が多層膜である場合、密着層の最表層は酸化ケイ素膜であることが好ましい。すなわち、本発明の薄膜素子用基板上にTFT素子を作製する際、酸化ケイ素膜上にTFT素子が作製されることが好ましい。酸化ケイ素膜は上述の特性を十分に満たすからである。この場合の酸化ケイ素はSiO(Xは1.5〜2.0の範囲内)であることが好ましい。
中でも、密着層は、絶縁層上に形成され、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種からなる第1密着層と、第1密着層上に形成され、酸化ケイ素からなる第2密着層とを有することが好ましい。第1密着層により絶縁層と第2密着層との密着性を高めることができ、第2密着層により絶縁層と薄膜素子部との密着性を高めることができるからである。また、酸化ケイ素からなる第2密着層は上述の特性を十分に満たすからである。
密着層の厚みは、上述の特性を満たすことができる厚みであれば特に限定されないが、具体的には、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。中でも、密着層が上述したように第1密着層および第2密着層を有する場合、第2密着層の厚みは第1密着層よりも厚く、第1密着層は比較的薄く、第2密着層は比較的厚いことが好ましい。この場合、第1密着層の厚みは、0.1nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜20nmの範囲内、さらに好ましくは1nm〜10nmの範囲内である。また、第2密着層の厚みは、10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmの範囲内、さらに好ましくは80nm〜120nmの範囲内である。厚みが薄すぎると、十分な密着性が得られないおそれがあり、厚みが厚すぎると、密着層にクラックが生じるおそれがあるからである。
密着層上には薄膜素子部が形成され、薄膜素子部の電極は導通部に接続されるため、図16に例示するように、密着層9は通常、パターン状に形成され、第1導通部3上に配置された開口部19hを有する。
密着層の開口部の配置としては、導通部が密着層の開口部内に配置されていれば特に限定されるものではない。例えば、導通部毎に密着層の開口部が配置されていてもよく、複数の導通部が1つの密着層の開口部内に配置されるように密着層の開口部が配置されていてもよい。
密着層の開口部の形状としては、密着層の開口部内に導通部を配置できる形状であれば特に限定されるものではない。
密着層の開口部の大きさは、密着層の開口部内に導通部を配置できれば特に限定されるものではない。
密着層の開口部の数は、本発明の薄膜素子用基板の用途に応じて適宜選択される。
絶縁層が金属層に対してパターン状に形成されている場合には、密着層も絶縁層と同様に金属層に対してパターン状に形成されていることが好ましい。金属層上に直に密着層が形成されていると、密着層にクラックなどが生じる場合があるからである。
密着層の形成方法としては、上述の無機化合物からなる層や上述の金属からなる層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、DC(直流)スパッタリング法、RF(高周波)マグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD(化学気相蒸着)法等を挙げることができる。中でも、上述の無機化合物からなる層を形成する場合であって、アルミニウムやケイ素を含む層を形成する場合には、反応性スパッタリング法を用いることが好ましい。絶縁層との密着性に優れる膜が得られるからである。
密着層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法、レーザー等で直接加工する方法、メタルマスクを介してスパッタもしくは蒸着することにより、位置選択的に密着層を形成する方法を用いることができる。
また本発明においては、上記密着層が、絶縁層と金属層の間に形成されていてもよい。絶縁層と金属層の密着性を高めることが可能となるからである。例えば、絶縁層および金属層を積層する際に絶縁層上に金属層を形成する場合には、絶縁層と金属層の密着性を高めるために、絶縁層上に密着層を形成し、密着層上に金属層を形成することができる。
12.被覆層
本発明においては、金属層のパターンの端部が被覆層で絶縁されていてもよく、さらには金属層の開口部内の導通部以外の部分が被覆層で充填されていてもよい。
被覆層としては、金属層のパターンの端部を覆い絶縁することができ、さらには金属層の開口部内の導通部以外の部分に充填することができるものであれば特に限定されるものではなく、上記の絶縁層または第2絶縁層であってもよく、絶縁層および第2絶縁層とは異なる絶縁膜であってもよい。被覆層の種類は、本発明の薄膜素子用基板の製造方法に応じて適宜選択される。中でも、被覆層は、絶縁層または第2絶縁層であることが好ましい。
13.その他の構成
本発明においては、金属層と絶縁層および第2絶縁層との間に、金属層を構成する金属が酸化された酸化膜が形成されていてもよい。これにより、金属層と絶縁層および第2絶縁層との密着性を高めることができる。この酸化膜は、金属層表面が酸化されることで形成される。
14.用途
本発明の薄膜素子用基板は、薄膜素子に用いられる。なお、薄膜素子については、後述の「B.薄膜素子」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明の薄膜素子用基板は、薄膜素子を支持する支持基板として用いてもよく、薄膜素子を上から封止する封止基板として用いてもよい。中でも、本発明の薄膜素子用基板は、薄膜素子を支持する支持基板として好適に用いられる。
また、本発明の薄膜素子用基板は、導通部を通じて、薄膜素子用基板の素子が配置される面とは反対側の面に配線を取り出すためだけでなく熱を逃がすために用いてもよい。
15.薄膜素子用基板の製造方法
本発明の薄膜素子用基板の製造方法としては、特に限定されるものではなく、種々の製造方法により作製することができる。以下に本発明の薄膜素子用基板の製造方法の一例を示す。
図17(a)〜(g)は本発明の薄膜素子用基板の製造方法の一例を示す工程図であり、第2態様の薄膜素子用基板の製造方法の一例である。まず、金属層4と第2絶縁層6と第3金属層5bとが順に積層された三層材を準備する(図17(a))。次いで、金属層4上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により金属層4をパターニングして、開口部14hを形成する(図17(b))。次に、金属層4上に感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて絶縁層2を形成する(図17(c))。続いて、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングして、絶縁層貫通孔12hを形成する(図17(d))。次いで、絶縁層2のパターンをマスクとして、ウェットエッチングにより第2絶縁層6をパターニングして、第2絶縁層貫通孔16hを形成する(図17(e))。この際、ポリイミド前駆体を用いて絶縁層2を形成し、絶縁層2上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングして、絶縁層貫通孔12hを形成した後、絶縁層2のパターンをマスクとして、ウェットエッチングにより第2絶縁層6をパターニングして、第2絶縁層貫通孔16hを形成してもよい。これらの場合、絶縁層2はウェットエッチングされず、第2絶縁層6はウェットエッチングできるものを用いる。また上記の際、レーザー加工で絶縁層2および第2絶縁層6を同時にパターニングして、絶縁層貫通孔12hおよび第2絶縁層貫通孔16hを形成してもよい。次に、第3金属層5bを給電層としてめっきを行い、絶縁層貫通孔12hおよび第2絶縁層貫通孔16hに第1導通部3および第2導通部7を充填し、導通部10を形成する(図17(f))。この際、導電ペーストを用いて絶縁層貫通孔12hおよび第2絶縁層貫通孔16hに第1導通部3および第2導通部7を充填してもよい。次に、第3金属層5bをパターニングして電極や配線を形成する(図17(g))。
図17に例示する薄膜素子用基板の製造方法は、塗布により絶縁層を形成するので、平坦性が高い絶縁層を得ることができる。
図18(a)〜(e)は本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図であり、第1態様の薄膜素子用基板の製造方法の一例である。まず、金属層4単体を準備し(図18(a))、金属層4上に絶縁層2を形成する(図18(b))。次いで、絶縁層2上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングして、絶縁層貫通孔12hを形成する(図18(c))。この際、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて絶縁層2を形成し、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングすることで、絶縁層貫通孔12hを形成してもよい。次いで、金属層4を給電層としてめっきを行い、絶縁層貫通孔12hに第1導通部3を充填する(図18(d))。この際、導電ペーストを用いて絶縁層貫通孔12hに第1導通部3を充填してもよい。次に、金属層4上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により金属層4をパターニングして、開口部14hを有する金属層4と導通部用金属部8とを同時に形成する(図18(e))。これにより、第1導通部3および導通部用金属部8からなる導通部10が得られる。
上記の薄膜素子用基板の製造方法は、塗布により絶縁層を形成するので、平坦性が高い絶縁層を得ることができる。また、金属層をエッチングすることにより、金属層の加工と導通部用金属部の形成が同時にできるとともに、パターニング前の金属層を給電層として電解めっきを行うことが可能であるため、プロセスが簡便であるという利点を有する。
また、本発明の薄膜素子用基板の製造方法においては、図18(d)に示すように絶縁層貫通孔12hに第1導通部3を充填した後、図示しないが、金属層4を除去してもよい。この場合、図1(a)、(b)に示すような薄膜素子用基板1を得ることができる。
図18(a)〜(e)および図19(a)〜(b)は本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図であり、第1態様の薄膜素子用基板の製造方法の一例である。なお、図18(e)および図19(a)は同じ図である。図18(a)〜(e)については、上述したので省略する。続いて、金属層4の開口部14h内の導通部用金属部8以外の部分に被覆層15を充填する(図19(b))。
図18および図19に例示する薄膜素子用基板の製造方法は、塗布により絶縁層を形成するので、平坦性が高い絶縁層を得ることができる。
図20(a)〜(g)は、本発明の薄膜素子用基板の製造方法の他の例を示す工程図であり、第1態様の薄膜素子用基板の製造方法の一例である。まず、第3金属層5bと第2絶縁層6と金属層4とが順に積層された三層材を準備する(図20(a))。次いで、金属層4上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により金属層4をパターニングして、開口部14hを有する金属層4と導通部用金属部8とを同時に形成する(図20(b))。同様に、第3金属層5b上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により第3金属層5bをパターニングする(図20(b))。金属層4および第3金属層5bは同時に両面パターニングしてもよい。次に、金属層4上に絶縁層2を形成する(図20(c))。続いて、絶縁層2上にドライフィルムレジストをラミネートして、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングして、絶縁層貫通孔12hを形成する(図20(d))。この際、感光性ポリイミドまたは感光性ポリイミド前駆体を用いて絶縁層2を形成し、フォトリソグラフィー法により絶縁層2をパターニングすることで、絶縁層貫通孔12hを形成してもよい。次いで、第3金属層5bのパターンをマスクとして、第2絶縁層6をエッチングし、第2絶縁層貫通孔16hを形成する(図20(e))。この場合、第3金属層5bのパターンをマスクとしてエッチングを行うため、非感光性ポリイミドを用いた第2絶縁層6でもパターニングすることが可能となる。続いて、第3金属層5bをさらにパターニングし、第2絶縁層6上に電極・配線を形成する(図20(f))。次に、導電ペーストを用いて絶縁層貫通孔12hおよび第2絶縁層貫通孔16hにそれぞれ第1導通部3および第2導通部7を充填する(図20(g))。これにより、第1導通部3と導通部用金属部8と第2導通部7とからなる導通部10が得られる。
図20に例示する薄膜素子用基板の製造方法は、塗布により絶縁層を形成するので、平坦性が高い絶縁層を得ることができる。
B.薄膜素子
次に、本発明の薄膜素子について説明する。
本発明の薄膜素子は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部とを有し、上記薄膜素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とするものである。
なお、「薄膜素子」とは、膜厚150nm以下の機能層を有する電子素子をいう。すなわち、「薄膜素子部」とは、膜厚150nm以下の機能層を有する電子素子部をいう。機能層の膜厚は100nm以下であることが好ましい。
機能層としては、絶縁層、電極層、半導体層、誘電体層、密着層、シード層などが挙げられる。その中でも、機能層は、絶縁層、電極層、半導体層、誘電体層であることが好ましい。これらの層は、ナノメートルオーダーの凸凹により、断線、ショート、欠陥等、素子の動作に対して重大な影響を与える不具合が生じることになるため、平坦性が高いことが特に好ましいからである。
機能層は、薄膜素子用基板上に直に形成されていてもよく、薄膜素子用基板上に中間層を介して形成されていてもよい。中間層は、薄膜素子用基板の表面粗さを著しく変化させるものでなければ特に限定されるものではない。
なお、薄膜素子用基板については、上記「A.薄膜素子用基板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の薄膜素子における各構成について説明する。
1.薄膜素子部
本発明における薄膜素子部は、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されるものである。
薄膜素子部としては、上記機能層を有する電子素子部であれば特に限定されるものではなく、例えば、TFT素子、EL素子、電子ペーパー、薄膜太陽電池、固体撮像素子、RFID(Radio Frequency IDentification:ICタグ)、メモリー等が挙げられる。
EL素子としては、有機EL素子および無機EL素子のいずれであってもよい。
薄膜太陽電池としては、CIGS(Cu(銅),In(インジウム),Ga(ガリウム),Se(セレン))太陽電池、有機薄膜太陽電池等が挙げられる。
薄膜素子部の形成方法としては、薄膜素子部の種類に応じて適宜選択され、一般的な方法を採用することができる。
中でも、薄膜素子部は、TFT素子部、有機EL素子部、電子ペーパー素子部であることが好ましい。以下、薄膜素子部が、TFT素子部、有機EL素子部、電子ペーパー素子部である場合に分けて説明する。
2.薄膜素子部がTFT素子部である場合
本発明における薄膜素子部がTFT素子部である場合、本発明の薄膜素子は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部とを有し、上記薄膜素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されている薄膜素子であって、上記薄膜素子部がTFT素子部であるものである。
以下、薄膜素子部がTFT素子部である場合の薄膜素子の各構成について説明する。
(1)TFT素子部
本発明におけるTFT素子部は、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されるものであり、上記TFT素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されているものである。
TFT素子部の電極としては、TFT素子部を構成する電極や配線であれば特に限定されるものではなく、例えば、ゲート線、ソース線、TFTを構成するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極が挙げられる。これらは、TFTの構造に応じて適宜選択される。
TFTの構造としては、例えば、トップゲート構造(正スタガ型)、ボトムゲート構造(逆スタガ型)、コプレーナ型構造を挙げることができる。トップゲート構造(正スタガ型)およびボトムゲート構造(逆スタガ型)の場合には、さらにトップコンタクト構造、ボトムコンタクト構造を挙げることができる。これらの構造は、TFTを構成する半導体層の種類に応じて適宜選択される。
TFTを構成する半導体層としては、薄膜素子用基板上に形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、酸化物半導体、有機半導体が用いられる。
シリコンとしては、ポリシリコン、アモルファスシリコンを用いることができる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgZn1−xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdZn1−xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In)、酸化ガリウム(Ga)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系を用いることができる。
有機半導体としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられる。
半導体層の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
ゲート線、ソース線、TFTを構成するゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的にTFTに用いられる導電体を用いることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
ゲート線、ソース線、TFTを構成するゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
TFTを構成するゲート絶縁膜としては、一般的なTFTにおけるゲート絶縁膜と同様のものを用いることができ、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
TFT上には保護膜が形成されていてもよい。保護膜は、TFTを保護するために設けられるものである。例えば、半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止することができる。保護膜が形成されていることにより、TFT性能の経時劣化を低減することができるのである。このような保護膜としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料が用いられる。
保護膜の形成方法および厚みとしては、一般的なものと同様とすることができる。
(2)透明封止基板
本発明においては、薄膜素子部がTFT素子部である場合、TFT素子部上に透明封止基板が配置されていてもよい。透明封止基板によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができる。
透明封止基板としては、TFT素子における一般的な透明封止基板と同様とすることができる。
(3)封止部
本発明においては、薄膜素子部がTFT素子部である場合、薄膜素子用基板および透明封止基板の間に、TFT素子部の外周部に封止部が形成されていてもよい。封止部によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができる。
封止部としては、TFT素子における一般的な封止部と同様とすることができる。
(4)用途
薄膜素子部がTFT素子部である場合、本発明の薄膜素子は、アクティブマトリクス駆動の有機EL表示装置、電子ペーパーなどの表示装置に用いることができる。この場合、薄膜素子用基板のTFT素子部側の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成してもよく、薄膜素子用基板のTFT素子部側の面とは反対側の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成してもよく、また透明封止基板の対向面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成してもよく、透明封止基板の対向面とは反対側の面に有機EL素子部や電子ペーパー素子部を形成してもよい。
3.薄膜素子部が有機EL素子部である場合
本発明における薄膜素子部が有機EL素子部である場合、本発明の薄膜素子は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部とを有し、上記薄膜素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されている薄膜素子であって、上記薄膜素子部が、上記絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された透明電極層とを有する有機EL素子部であり、上記薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有するものである。
図21および図22は、本発明の薄膜素子において薄膜素子部が有機EL素子部である場合の一例を示す概略断面図である。図21および図22に例示する有機EL装置20はいずれも、薄膜素子用基板1と、薄膜素子用基板1の絶縁層2の表面粗さRaが所定の範囲内である面に形成された有機EL素子部21と、有機EL素子部21上に配置された透明封止基板25と、薄膜素子用基板1および透明封止基板25を接着させて素子を封止する封止部26とを有している。有機EL素子部21は、背面電極層22と、背面電極層22上に形成され、有機発光層を含むEL層23と、EL層23上に形成された透明電極層24とを有している。薄膜素子用基板1の2つの導通部10a、10bのうち、一方の背面電極層用導通部10aは背面電極層22に接続され、他方の透明電極層用導通部10bは透明電極層24に接続されている。なお、薄膜素子用基板1については、上述したとおりである。この有機EL装置20は、透明封止基板25側から発光Lを取り出すトップエミッション型である。
以下、薄膜素子部が有機EL素子部である場合の薄膜素子の各構成について説明する。
(1)薄膜素子用基板
本発明における薄膜素子用基板は、上述の薄膜素子用基板であり、薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有するものである。
透明電極層用導通部および背面電極層用導通部の配置としては、透明電極層用導通部が透明電極層に接続され、背面電極層用導通部が背面電極層に接続されていれば特に限定されるものではない。例えば、図21および図22に示すように、背面電極層用導通部10aおよび透明電極層用導通部10bが薄膜素子用基板1の外周部に、すなわちEL層23が形成されていない領域に配置されていてもよく、図23および図24に示すように、背面電極層用導通部10aがEL層23が形成されている領域に配置されていてもよい。また、図21および図22に示すように、背面電極層用導通部10aおよび透明電極層用導通部10bが封止部26の外側に配置されていてもよく、図11および図12に示すように、背面電極層用導通部10aおよび透明電極層用導通部10bが封止部26の内側に配置されていてもよい。
(2)有機EL素子部
本発明における有機EL素子部は、薄膜素子用基板の絶縁層上に形成された背面電極層と、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された透明電極層とを有するものである。
以下、有機EL素子部の各構成について説明する。
(a)EL層
本発明におけるEL層は、透明電極層および背面電極層の間に形成され、有機発光層を含むものであり、少なくとも有機発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、EL層とは、少なくとも有機発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布法でEL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、EL層は1層もしくは2層の有機層を有する場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
有機発光層以外にEL層内に形成される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層を挙げることができる。正孔注入層および正孔輸送層は一体化されている場合がある。同様に、電子注入層および電子輸送層は一体化されている場合がある。その他、EL層内に形成される層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
このようにEL層は種々の層を積層した積層構造を有することが多く、積層構造としては多くの種類がある。
EL層を構成する各層としては、一般的な有機EL素子に用いられるものと同様とすることができる。
(b)透明電極層
本発明における透明電極層は、EL層上に形成されるものである。本発明の有機EL素子においては透明電極層側から光を取り出すため、透明電極層は透明性を有している。
透明電極層の材料としては、透明電極を形成可能な導電体であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物を用いることができる。
透明電極層の形成方法および厚みとしては、一般的な有機EL素子における電極と同様とすることができる。
(c)背面電極層
本発明における背面電極層は、薄膜素子用基板の絶縁層上に形成されるものである。
背面電極層の材料としては、導電体であれば特に限定されるものではなく、例えば、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属単体、これらの金属の酸化物、およびAlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、MgAg等のMg合金、Ni合金、Cr合金、アルカリ金属の合金、アルカリ土類金属の合金等の合金などを挙げることができる。これらの導電体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上を用いて積層させてもよい。また、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物や、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子材料を用いることもできる。
背面電極層の形成方法および厚みとしては、一般的な有機EL素子における電極と同様とすることができる。
(3)透明封止基板
本発明においては、薄膜素子部が有機EL素子部である場合、有機EL素子部上に透明封止基板が配置されていることが好ましい。透明封止基板によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができる。
透明封止基板としては、有機EL素子における一般的な透明封止基板と同様とすることができる。
(4)封止部
本発明においては、薄膜素子用基板および透明封止基板の間に、有機EL素子部の外周部に封止部が形成されていることが好ましい。封止部によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができる。
封止部の構成材料としては、水分の侵入を防ぐ機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などの熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂を挙げることができる。
封止部は、吸湿剤を含有していてもよい。封止部中の吸湿剤による吸湿によって、外部からの水分の侵入をより有効に防ぐことができるからである。
吸湿剤としては、少なくとも水分を吸着する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも、化学的に水分を吸着するとともに、吸湿しても固体状態を維持する化合物であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、金属酸化物、金属の無機酸塩もしくは有機酸塩などを挙げることができる。特に、アルカリ土類金属酸化物および硫酸塩が好ましい。アルカリ土類金属酸化物としては、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等を挙げることができる。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケル等を挙げることができる。また、シリカゲルや、ポリビニルアルコールなどの吸湿性を有する有機化合物も用いることができる。これらの中でも、酸化カルシウム、酸化バリウム、シリカゲルが特に好ましい。これらの吸湿剤は吸湿性が高いからである。
吸湿剤の含有量は、特に限定されるものではないが、吸湿剤と樹脂の合計量100質量部に対して、5質量部〜80質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5質量部〜60質量部の範囲内、さらに好ましくは5質量部〜50質量部の範囲内である。
封止部の厚みおよび幅としては、外部からの水分の侵入を防ぐことができる厚みであれば特に限定されるものではなく、有機EL素子の用途に応じて適宜選択される。
封止部の形成方法としては、薄膜素子用基板または透明封止基板上に樹脂組成物を塗布する方法を用いることができる。塗布方法としては、所定の部分に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ティスペンサー法などを用いることができる。
(5)その他の構成
薄膜素子部が有機EL素子部である場合、本発明の薄膜素子は、上述の構成の他に、必要に応じて、絶縁層、隔壁などを有していてもよい。
(6)用途
薄膜素子部が有機EL素子部である場合、本発明の薄膜素子は、パッシブマトリクス駆動の有機EL表示装置や、有機EL照明装置として用いることができる。
4.薄膜素子部が電子ペーパー素子部である場合
本発明における薄膜素子部が電子ペーパー素子部である場合、本発明の薄膜素子は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部とを有し、上記薄膜素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されている薄膜素子であって、上記薄膜素子部が、上記絶縁層上に形成され、上記電極層からなる背面電極層と、上記背面電極層上に形成された表示媒体層と、上記表示媒体層上に形成された透明電極層とを有する電子ペーパー素子部であり、上記薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有するものである。
以下、薄膜素子部が電子ペーパー素子部である場合の薄膜素子の各構成について説明する。
(1)薄膜素子用基板
本発明における薄膜素子用基板は、上述の薄膜素子用基板であり、薄膜素子用基板の導通部が、上記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、上記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有するものである。
なお、透明電極層用導通部および背面電極層用導通部の配置については、薄膜素子部が有機EL素子部である場合と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)電子ペーパー素子部
本発明における電子ペーパー素子部は、薄膜素子用基板の絶縁層上に形成され、薄膜素子用基板の電極層からなる背面電極層と、上記背面電極層上に形成された表示媒体層と、上記表示媒体層上に形成された透明電極層とを有するものである。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロデポジション方式、可動フィルム方式、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。
電子ペーパーを構成する表示媒体層としては、電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択される。
なお、背面電極層および透明電極層については、薄膜素子部が有機EL素子部である場合と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(3)透明封止基板
本発明においては、薄膜素子部が電子ペーパー素子部である場合、電子ペーパー素子部上に透明封止基板が配置されていてもよい。透明封止基板によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぐことができる。
透明封止基板としては、電子ペーパーにおける一般的な透明封止基板と同様とすることができる。
(4)封止部
本発明においては、薄膜素子用基板および透明封止基板の間に、電子ペーパー素子部の外周部に封止部が形成されていてもよい。封止部によって素子が封止され、外部からの水分や酸素の侵入を防ぎ、素子内の湿度を一定に保つことができる。
なお、封止部については、薄膜素子部が有機EL素子部である場合と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(5)用途
薄膜素子部が電子ペーパー素子部である場合、本発明の薄膜素子は、パッシブマトリクス駆動の電子ペーパーとして用いることができる。
C.有機EL表示装置
次に、本発明の有機EL表示装置について説明する。
本発明の有機EL表示装置は、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されたTFT素子部と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、上記TFT素子部に接続された背面電極層、上記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むEL層、および、上記EL層上に形成された透明電極層を有する有機EL素子部と、上記有機EL素子部上に配置された透明封止基板とを有し、上記TFT素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とするものである。
なお、薄膜素子用基板については、上記「A.薄膜素子用基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。また、TFT素子部、有機EL素子部、透明封止基板については、上記「B.薄膜素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
D.電子ペーパー
次に、本発明の電子ペーパーについて説明する。
本発明の電子ペーパーは、上述の薄膜素子用基板と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成されたTFT素子部と、上記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、上記TFT素子部に接続された背面電極層、上記背面電極層上に形成された表示媒体層、および、上記表示媒体層上に形成された透明電極層を有する電子ペーパー素子部と、上記電子ペーパー素子部上に配置された透明封止基板とを有し、上記TFT素子部の電極が上記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とするものである。
なお、薄膜素子用基板については、上記「A.薄膜素子用基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。また、TFT素子部、電子パーパー素子部、透明封止基板については、上記「B.薄膜素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[製造例]
1.ポリミドワニス(ポリイミド前駆体溶液)の調製
(1)製造例1
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA) 4.0g(20mmol)とパラフェニレンジアミン(PPD) 8.65g(80mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、200gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら撹拌した。それらが完全に溶解したことを確認した後、そこへ、少しずつ30分かけて3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA) 29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液1を得た。
(2)製造例2
反応温度および溶液の濃度が、17重量%〜19重量%になるようにNMPの量を調整した以外は、製造例1と同様の方法で、下記表1に示す配合比でポリイミド前駆体溶液2〜17を合成した。
酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)またはピロメリット酸二無水物(PMDA)、p−フェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(TAHQ)、p−ビフェニレンビストリメリット酸モノエステル酸二無水物(BPTME)を用いた。ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、パラフェニレンジアミン(PPD)、1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene(4APB)、2,2′-Dimethyl-4,4′-diaminobiphenyl(TBHG)、2,2′-Bis(trifluoromethyl)-4,4′-diaminobiphenyl(TFMB)の1種または2種を用いた。
Figure 0005970865
(3)線熱膨張係数および吸湿膨張係数の評価
上記ポリイミド前駆体溶液1〜17を、ガラス上に貼り付けた耐熱フィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)に塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、耐熱フィルムから剥離し、膜厚15μm〜20μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚9μm〜15μmのポリイミド樹脂1〜17のフィルムを得た。
(a)線熱膨張係数
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とし、100℃〜200℃の範囲の平均の線熱膨張係数を線熱膨張係数(C.T.E.)とした。
(b)湿度膨張係数
上記の手法により作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。湿度膨張係数は、湿度可変機械的分析装置Thermo Plus TMA8310改(リガク社製)によって測定した。温度を25℃で一定とし、まず、湿度を15%RHの環境下でサンプルが安定となった状態とし、概ね30分〜2時間その状態を保持した後、測定部位の湿度を20%RHとし、さらにサンプルが安定になるまで30分〜2時間その状態を保持した。その後、湿度を50%RHに変化させ、それが安定となった際のサンプル長と20%RHで安定となった状態でのサンプル長との違いを、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値をサンプル長で割った値を湿度膨張係数(C.H.E.)とした。この際、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
(c)基板反り評価
厚さ18μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記のポリイミド前駆体溶液1〜17、イミド化後の膜厚が10μm±1μmになるように線熱膨張係数評価のサンプル作成と同様のプロセス条件で、ポリイミド樹脂1〜17のポリイミド膜を形成した。その後、SUS304箔およびポリイミド膜の積層体を幅10mm×長さ50mmに切断し、基板反り評価用のサンプルとした。
このサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、100℃のオーブンで1時間加熱した後、100℃に加熱されたオーブン内で、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
同様にこのサンプルを、SUS板表面にサンプルの短辺の片方のみをカプトンテープにより固定し、23℃85%RHの状態の恒温恒湿槽に1時間静置したときの、サンプルの反対側の短辺のSUS板からの距離を測定した。そのときの距離が、0mm以上0.5mm以下のサンプルを○、0.5mm超1.0mm以下のサンプルを△、1.0mm超のサンプルを×と判断した。
これらの評価結果を表2に示す。
Figure 0005970865
SUS304箔の線熱膨張係数は17ppm/℃であることから、ポリイミド膜と金属箔との線熱膨張係数の差が大きいと積層体の反りが大きいことが確認された。
また、表2より、ポリイミド膜の吸湿膨張係数が小さいほど高湿環境下での積層体の反りが小さいことがわかる。
2.光塩基発生剤の合成
(1)製造例
(光塩基発生剤1の合成)
窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置を装着した200mL三口フラスコ中、4,5-ジメトキシ- 2-ニトロベンズアルデヒド8.2g(39mmol)を脱水2-プロパノール100mLに溶解し、アルミニウムイソプロポキシド2.0g(10mmol,0.25eq.)を加え105℃で7時間加熱攪拌を行った。途中溶媒の蒸発減少に伴い、2-プロパノール40mLを4回追加した。0.2N塩酸150mLにて反応を停止した後、クロロホルムにより抽出を行い、溶媒を減圧留去することにより6-ニトロベラトリルアルコール7.2gを得た。
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ中、6-ニトロベラトリルアルコール5.3g(25mmol)を脱水ジメチルアセトアミド100mLに溶解しトリエチルアミン7.0mL(50mmol,2.0eq)を加えた。氷浴下で、p-ニトロフェニルクロロフォルメイト5.5g(27mmol,1.1eq)を加えた後、室温で16時間攪拌した。反応液を水2Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、シリカゲルカラムクマトグラフィーにより精製することにより、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル-p-ニトロフェニルカルボネートを6.4gを得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル-p-ニトロフェニルカルボネート3.6g(9.5mmol)を脱水ジメチルアセトアミド50mLに溶解し、2,6-ジメチルピペリジン5mL(37mmol,3.9eq)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.36g(0.3eq)を加え90℃で18時間加熱攪拌した。反応溶液を1%炭酸水素ナトリウム水溶液1Lに注ぎ込み、生じた沈殿をろ過した後、水にて洗浄することにより、下記式で表される光塩基発生剤1(N-{[(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}-2,6-ジメチルピペリジン)2.7gを得た。
Figure 0005970865
(光塩基発生剤2の合成)
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、o−クマリン酸(東京化成工業(株)製)0.50g(3.1mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.59g(3.1mmol,1.0eq)を加えた。氷浴下で、ピペリジン(東京化成(株)製)0.3ml(3.1mmol,1.0eq)を加えた後、室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記式で表される光塩基発生剤2を450mg得た。
Figure 0005970865
(光塩基発生剤3の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド2.67g(6.2mmol)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2-ヒドロキシ-4-メトキシ桂皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2-ヒドロキシ-4-メトキシ桂皮酸500mg(3.0mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、EDC0.586g(3.0mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.3ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1)により精製することにより、下記式で表される光塩基発生剤3を64mg得た。
Figure 0005970865
(光塩基発生剤4の合成)
光塩基発生剤3の合成において、ピペリジンの代わりに、シクロヘキシルアミンを用いた以外は、光塩基発生剤3の合成と同様にして、下記式で表される光塩基発生剤4を80mg得た。
Figure 0005970865
(光塩基発生剤5の合成)
光塩基発生剤3の合成において、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドの代わりに、1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドを用いた以外は、光塩基発生剤3の合成と同様にして、下記式で表される光塩基発生剤5を75mg得た。
Figure 0005970865
(光塩基発生剤6の合成)
光塩基発生剤3の合成において、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒドの代わりに、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドを用いた以外は、光塩基発生剤3の合成と同様にして、下記式で表される光塩基発生剤6を90mg得た。
Figure 0005970865
(2)塩基発生剤の評価
合成した塩基発生剤1〜6について、以下の測定を行い、評価した。モル吸光係数及び塩基発生能の結果を表3に示す。なお、表3において、光反応率とは、用いた塩基発生剤のモル数に対する光反応したモル数の百分率である。また、5%重量減少温度の結果を表4に示す。
(a)モル吸光係数
塩基発生剤1〜6をそれぞれ、アセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値(L/(mol・cm))である。
(b)光反応率評価
塩基発生剤1〜6についてそれぞれ、1mgの試料を3つ用意し、それぞれを石英製NMR菅中で重アセトニトリルに溶解させた。350nm以下の波長の光をカットし、i線を20%透過するフィルタと高圧水銀灯を用いて、1本には2J/cmで光照射を行い、他の1本には20J/cmで光照射を行った。残り1本には光照射を行わなかった。各サンプルの1H NMRを測定し、光反応の割合を求めた。
なお、光反応率については、NMRにより、塩基発生剤と、光反応生成物をともに定量し、その割合から以下の式により光反応率(%)を算出した。
光反応率=光反応生成物量/(未分解の塩基発生剤量+光反応生成物量)×100
Figure 0005970865
表3より、塩基発生剤1〜6は、20J/cm照射により光反応をすることが確認されたことから、i線に感度を有することが明らかとなった。塩基発生剤1は、2J/cmの照射では塩基の発生が確認されなかった。光塩基発生剤6が最も高い感度を示し、ついで、光塩基発生剤3が感度が高かった。
(c)熱重量測定
塩基発生剤1〜6およびニフェジピン(東京化成製)の耐熱性を評価するために、それぞれについて、30℃時の重量を基準として、昇温速度10℃/minの条件で熱重量測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005970865
3.感光性樹脂組成物の評価:パターン形成能評価
(1)製造例
(調製例1)
上記ポリイミド前駆体溶液1に光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物1とした。
(調製例2)
上記ポリイミド前駆体溶液1に光塩基発生剤3を溶液の固形分の10重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物2とした。
(調製例3)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤3を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物3とした。
(調製例4)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤1を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物4とした。
(調製例5)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤2を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物5とした。
(調製例6)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤4を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物6とした。
(調製例7)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤5を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物7とした。
(調製例8)
上記ポリイミド前駆体溶液11に光塩基発生剤6を溶液の固形分の15重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物8とした。
(調製例9)
上記ポリイミド前駆体溶液11にニフェジピン(東京化成製)を溶液の固形分の30重量%添加し、感光性ポリイミド樹脂組成物9とした。
(2)感光性樹脂組成物の評価
調製例で調製した感光性ポリイミド樹脂組成物1、及び感光性ポリイミド樹脂組成物2を、それぞれ、クロムめっきされたガラス上に最終膜厚4μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物1及び感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に感光性ポリイミド樹脂組成物1の塗膜には2000mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物2の塗膜には100mJ/cm露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、155℃で10分間加熱した。
それぞれの塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、それを350℃で1時間加熱しイミド化を行った。このように上記感光性ポリイミド樹脂組成物1および2を用いることにより、良好なパターンを形成できることが明らかとなった。
調製例で調製した感光性ポリイミド樹脂組成物3〜8を、それぞれ、クロムめっきされたガラス上に最終膜厚4μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物3〜8の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に感光性ポリイミド樹脂組成物3は80mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物4は1500mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物5は500mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物6は400mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物7は200mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物8は80mJ/cm露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、170℃で10分間加熱した。
それぞれの塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを8:2で混合した溶液に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。
4.線熱膨張係数および吸湿膨張係数の評価
また、上記感光性ポリイミド樹脂組成物1、2および3を、ガラス上に貼り付けた耐熱フィルム(ユーピレックスS 50S:宇部興産(株)製)に塗布し、100℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、高圧水銀灯により365nmの波長の照度換算で2000mJ/cm露光後、ホットプレート上で170℃10分加熱した後、耐熱フィルムより剥離し、膜厚10μmのフィルムを得た。その後、そのフィルムを金属製の枠に固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、膜厚6μmの感光性ポリイミド1、感光性ポリイミド2および感光性ポリイミド3のフィルムを得た。
上記記載の方法と同様にして線熱膨張係数、吸湿膨張係数、基板反り評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005970865
表5に示すように、SUS304箔の線熱膨張係数は17ppm/℃であることから、ポリイミド膜と金属箔との線熱膨張係数の差が大きいと積層体の反りが大きいことが確認された。
また、表5より、ポリイミド膜の吸湿膨張係数が小さいほど高湿環境下での積層体の反りが小さいことがわかった。
5.アウトガス試験
調製例で調製した感光性ポリイミド樹脂組成物3および感光性ポリイミド樹脂組成物4をそれぞれ、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物3、感光性ポリイミド樹脂組成物4の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、感光性ポリイミド樹脂組成物3は500mJ/cm、感光性ポリイミド樹脂組成物4は2000mJ/cm、露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、170℃で10分間加熱した。それぞれの塗膜について、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル1および2を得た。
また、ポリイミド前駆体溶液11を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、ポリイミド前駆体溶液11の塗膜を作製した。それぞれの塗膜について、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル3を得た。
調製例9で調製した感光性ポリイミド樹脂組成物9をガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性ポリイミド樹脂組成物9の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、1000mJ/cm露光を行った。その後、185℃で10分間加熱した後、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル4を得た。
UR−5100FX(東レ製)を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、95℃のホットプレート上で8分間乾燥させて、UR−5100FXの塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、70mJ/cm露光を行った。その後、80℃で1分間加熱した後、140℃で30分、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル5を得た。
XP−1530(HDマイクロシステムズ製)を、ガラス上に最終膜厚10μmになるようにスピンコートし、70℃のホットプレート上で2分間、85℃のホットプレート上で2分間乾燥させて、XP−1530の塗膜を作製した。フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、300mJ/cm露光を行った。その後、105℃で1分間加熱した後、200℃で30分、350℃で1時間加熱しイミド化を行い、アウトガス測定サンプル6を得た。
作製したアウトガス測定サンプル1〜6について、ガラス上からサンプルを削り取り、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/minで100℃まで上昇させた後、100℃で60分加熱した後、15分以上窒素雰囲気下で放冷した後、昇温速度10℃/minで測定した際の放冷後の重量を基準とした際の、5%重量減少温度の測定を行った。結果を表6に示す。
Figure 0005970865
表6に示すように、光塩基発生剤を用いたサンプル(アウトガス測定サンプル1、2)はともに450℃以上の5%重量減少温度を有していた。アウトガス測定サンプル1に関しては、ポリアミック酸単体(アウトガス測定サンプル3)と同程度の非常に低い低アウトガス性を有していた(光塩基発生剤の50%重量減少温度が低いため、感光性成分由来の残渣が少ないため)。その他の測定サンプルは、いずれも5%重量減少温度が450℃未満であった。
[比較例1]
SUSからなる金属基板、ポリイミドからなる絶縁層、並びに、Cuからなるシード層および導電層がこの順に積層された積層基板を準備した。
次に、この積層基板のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。具体的には、積層基板の両面にメタルエッチング用のドライフィルムレジストをラミネートし、SUS面側にはパターン露光を、Cu面側には全面露光し、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、SUS面上にレジストパターンを形成した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した。
続いて、この積層基板のSUS面側の露出したポリイミド面に対してポリイミドウエットエッチング用レジストを製版した。具体的には、積層基板の両面にポリイミドウエットエッチング用のドライフィルムレジストをラミネートし、SUS面側にはパターン露光を、Cu面側には全面露光し、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、SUS面上にレジストパターンを形成した。次に、エッチング液としてTPE−3000(東レエンジニアリング社製)を用い、レジストパターンを介して、SUS面側の露出したポリイミド面にパターンエッチングを施し、導通部形成用の貫通孔を形成した後、レジストパターンを剥離した。
作製した積層体に対して、圧力25〜30Pa、プロセスガスNF3/O2=10/90%、周波数40kHzにてプラズマ処理を行った。その後、SUS面の露出部およびCu面をめっき用マスキングテープでマスキングした後、硫酸銅130g/L、硫酸160g/Lに添加剤(CU−BRITE(荏原ユージライト株式会社製))を添加した電解めっき浴を用いて、Cu面を給電層として、室温で、2A/dm2の条件で45分間めっきを行い、導通部を形成した。
次に、この積層基板のCu面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。具体的には、積層基板の両面にメタルエッチング用のドライフィルムレジストをラミネートし、Cu面側にはパターン露光を、SUS面側には全面露光し、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、Cu面上にレジストパターンを形成した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、ポリイミド上にCuからなる電極が残存するように、Cu面にパターンエッチングを施した。その後、レジストパターンを剥離した後、フラッシュエッチングによりシード層を除去することにより薄膜素子用基板b−1を得た。
[実施例1−1](非感光性ポリイミド前駆体パターニング)
厚さ20μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図18(a)〜(b))。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図18(c))。
その後、SUS面の露出部をめっき用マスキングテープでマスキングした後、硫酸銅130g/L、硫酸160g/Lに添加剤(CU−BRITE(荏原ユージライト株式会社製))を添加した電解めっき浴を用いて、SUS面を給電層として、室温で、2A/dm2の条件で45分間めっきを行い、導通部を形成した(図18(d))。
次に、このポリイミド−ステンレス積層体のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離することにより(図18(e))、薄膜素子用基板a−1−1を得た。
[実施例1−2](非感光性ポリイミドイミド化後パターニング)
厚さ20μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液12を硬化後膜厚10μmとなるようにダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、積層体を得た(図18(a)〜(b))。上記積層体のポリイミドからなる絶縁層上に、レジストパターンを形成した。絶縁層が露出している部分を、ポリイミドエッチング液TPE−3000(東レエンジニアリング製)を用いて除去後、レジストパターンを剥離し、貫通孔部分が除去されるよう絶縁層がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図18(c))。
以降は、上記実施例1−1と同様にして薄膜素子用基板a−1−2を得た。
[実施例1−3](感光性ポリイミドパターニング)
厚さ20μmのSUS304−HTA箔(東洋精箔製)上に、調製例3で調製した感光性ポリイミド樹脂組成物3を硬化後膜厚10μmとなるようにダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図18(a)〜(b))。その後、フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に500mJ/cm露光を行った。その後、155℃で10分間加熱した。塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液で現像後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理することにより(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図18(c))。
以降は、上記実施例1−1と同様にして薄膜素子用基板a−1−3を得た。
[実施例2−1](非感光性ポリイミド前駆体パターニング)
薄膜素子用基板a−1−1のSUS面側に、上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされた薄膜素子用基板a−2−1を得た。
[実施例2−2](非感光性ポリイミドイミド化後パターニング)
薄膜素子用基板a−1−2のSUS面側に、上記ポリイミド前駆体溶液12を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、積層体を得た。上記積層体のポリイミドからなる絶縁層(2層目)上に、レジストパターンを形成した。絶縁層(2層目)が露出している部分を、ポリイミドエッチング液TPE−3000(東レエンジニアリング製)を用いて除去後、レジストパターンを剥離することにより、貫通孔部分が除去されるよう絶縁層(2層目)がパターニングされた薄膜素子用基板a−2−2を得た。
[実施例2−3](感光性ポリイミドパターニング)
薄膜素子用基板a−1−2のSUS面側に、上記感光性ポリイミド樹脂組成物3を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に500mJ/cm露光を行った。その後、155℃で10分間加熱した。塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液で現像後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理することにより(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされた薄膜素子用基板a−2−3を得た。
[実施例3−1](非感光性ポリイミド前駆体パターニング)
SUSからなる金属基板(厚み18μm)と、ポリイミドからなる絶縁層(1層目)(厚み10μm)と、Cuからなるシード層および電極層(厚み9μm)とがこの順に積層された積層基板を準備した(図20(a))。
上記積層基板のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した。続いて、この積層基板のCu面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、Cu面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離することにより、SUS面、Cu面が共にパターニングされた積層体を形成した(図20(b))。
上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでSUS面にコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図20(c))。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)し、パターニングされたポリイミドからなる絶縁層(2層目)を形成した(図20(d))。続いて、パターニングされたCu層をマスクとして、ポリイミドエッチング液TPE−3000(東レエンジニアリング製)を用いて、絶縁層(1層目)をエッチングした(図20(e))。
積層基板の両面にメタルエッチング用のドライフィルムレジストをラミネートし、SUS面側には全面露光し、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像した後、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、Cuからなる電極が残存するようにCu面のエッチングを行った(図20(f))。その後、フラッシュエッチングによりシード層を除去した。次いで、ディスペンサーにより、2層の絶縁層の貫通孔にそれぞれ銀ペーストを充填することにより、第1導通部および第2導通部を形成し、薄膜素子用基板a−3−1を得た(図20(g))。
[実施例3−2](感光性ポリイミドパターニング)
上記実施例3−1と同様にして、SUS面、Cu面が共にパターニングされた積層体を形成した(図20(b))。
感光性ポリイミド樹脂組成物2を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるようにダイコーターでSUS面上にコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図20(c))。その後、フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に500mJ/cm露光を行った。その後、155℃で10分間加熱した。それぞれの塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液で現像後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理することにより(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、パターニングされたポリイミドからなる絶縁層(2層目)を形成した(図20(d))。
以降は、上記実施例3−1と同様にして薄膜素子用基板a−3−2を得た(図20(g))。
[実施例4−1]
SUSからなる金属基板(厚み18μm)と、ポリイミドからなる絶縁層(1層目)(厚み10μm)と、Cuからなる導電層(厚み9μm)とがこの順に積層された積層基板を準備した(図17(a))。
上記積層基板のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した(図17(b))。
続いて、上記感光性ポリイミド樹脂組成物3を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるようにダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図17(c))。その後、フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に500mJ/cm露光を行った。その後、155℃で10分間加熱した。塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液で現像後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理することにより(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(d))。パターニングされた絶縁層(2層目)をマスクとして、ポリイミドエッチング液TPE−3000(東レエンジニアリング製)を用いて、絶縁層(1層目)をエッチングした(図17(e))。
ディスペンサーを用いて、銀ペーストを2層の絶縁層の貫通孔に充填し導通部を形成した(図17(f))。
次に、このポリイミド−ステンレス積層体のCu面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、Cuからなる電極が残存するようにCu面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した(図17(g))。
[実施例4−2]
上記実施例4−1と同様にして、SUS面がパターニングされた積層体を形成した(図17(b))。
続いて、SUS面側に上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図17(c))。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(d))。
以降は、上記実施例4−1と同様にして薄膜素子用基板a−4−2を得た。
[実施例4−3]
上記実施例4−1と同様にして、SUS面がパターニングされた積層体を形成した(図17(b))。
続いて、SUS面側に上記ポリイミド前駆体溶液12をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理した(昇温速度 10℃/分、自然放冷)(図17(c))。次いで、ポリイミド面側からYAGレーザーを照射し、貫通孔を2層の絶縁層に形成することにより、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる2層の絶縁層がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(e))。
以降は、上記実施例4−1と同様にして薄膜素子用基板a−4−3を得た。
[比較例2−1]
実施例1−1と同様にして、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミド膜がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た。
作製したポリイミド−ステンレス積層体に対して、圧力25Pa〜30Pa、プロセスガスNF3/O2=10%/90%、周波数40kHzにてプラズマ処理を行った。SUS面の露出部をめっき用マスキングテープでマスキングし、S−10X(上村工業製)、A−10X(上村工業製)で各々3分間前処理を行った後、NPR−4(上村工業製)を用いて1分間無電解めっきを行った。絶縁層上に形成した無電解めっき層を給電層として、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩酸0.5mL/Lに添加剤(スーパースロー2000(エンソンジャパン株式会社製))を添加した電解メッキ浴を用いて、室温で、電流密度4A/dm2、の条件で25分間めっきを行った。
次に、無電解めっき層上に形成したCuの電解めっき層の面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、Cu面にCuからなる電極が後に形成するSUSの開口部を覆う形で残存するようにパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した。露出している無電解めっき層をニムデンリップC−11にてソフトエッチングして剥離した後に、触媒を除去するために、マコー(株)製、ウェットブラスト装置にて、アルミナ砥石、0.5kg/m2の水圧、10m/minの処理速度で処理を行い、触媒を除去した。次いで、180℃、1hr、窒素雰囲気下で熱処理を行った。
次に、この積層体のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離することにより、薄膜素子用基板b−2−1を得た。
[比較例2−2]
比較例2−1において、ウェットブラストによる触媒除去工程の代わりに、マキュダイザー9204(日本マクダミッド株式会社製)にて、液温35℃で1分間浸漬し、水洗、マキュダイザー9275(日本マクダミッド株式会社製)にて、75℃2分間浸漬し、水洗、43℃のマキュダイザー9279(日本マクダミッド株式会社製)にて、1分間浸漬し、水洗後、乾燥することにより触媒を除去する工程を行ったこと以外は、比較例2−1と同様にして薄膜素子用基板b−2−2を作製した。
[実施例5−1]
上記薄膜素子用基板b−2−1のSUS面側に、上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされた薄膜素子用基板a−5−1を得た。
[実施例5−2]
上記薄膜素子用基板b−2−2のSUS面側に、上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚がSUS上で10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされた薄膜素子用基板a−5−2を得た。
[実施例6−1]
SUSからなる金属基板(厚み18μm)と、ポリイミドからなる絶縁層(1層目)(厚み10μm)と、Cuからなる導電層(厚み9μm)とがこの順に積層された積層基板を準備した(図17(a))。
上記積層基板のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離した(図17(b))。
続いて、SUS面側に上記感光性ポリイミド樹脂組成物3をSUS上で硬化後膜厚10μmとなるようにダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図17(c))。その後、フォトマスクを介して手動露光機を用いて高圧水銀灯により、パターン状に500mJ/cm露光を行った。その後、155℃で10分間加熱した。塗膜について、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液で現像後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理することにより(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(d))。
パターニングされた絶縁層(2層目)をマスクとして、ポリイミドエッチング液TPE−3000(東レエンジニアリング製)を用いて、絶縁層(1層目)をエッチングした(図17(e))。
作製したポリイミド−ステンレス積層体に対して、圧力25Pa〜30Pa、プロセスガスNF3/O2=10%/90%、周波数40kHzにてプラズマ処理を行った後、硫酸銅130g/L、硫酸160g/Lに添加剤(CU−BRITE(荏原ユージライト株式会社製))を添加した電解めっき浴を用いて、Cu面を給電層として、室温で、2A/dm2の条件で120分間めっきを行い、導通部を形成した(図17(f))。
次に、このポリイミド−ステンレス積層体のCu面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、Cuからなる電極が残存するようにCu面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離することにより、薄膜素子用基板a−6−1を得た(図17(g))。
[実施例6−2]
上記実施例6−1と同様にして、SUS面がパターニングされた積層体を形成した(図17(b))。
続いて、SUS面側に上記ポリイミド前駆体溶液1をSUS上で硬化後膜厚10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図17(c))。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層(2層目)がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(d))。
以降は、上記実施例6−1と同様にして薄膜素子用基板a−6−2を得た。
[実施例6−3]
上記実施例6−1と同様にして、SUS面がパターニングされた積層体を形成した(図17(b))。
続いて、SUS面側に上記ポリイミド前駆体溶液12をダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、350℃、1時間熱処理した(昇温速度 10℃/分、自然放冷)(図17(c))。次いで、ポリイミド面側からYAGレーザーを照射し、貫通孔を2層の絶縁層に形成することにより、導通部形成用の貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる2層の絶縁層がパターニングされたポリイミド−ステンレス積層体を得た(図17(e))。
以降は、上記実施例6−1と同様にして薄膜素子用基板a−6−3を得た。
[実施例7](非感光性ポリイミド前駆体パターニング)
厚さ18μmの電解銅箔(三井金属製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を硬化後膜厚10μmとなるように、ダイコーターでコーティングし、80℃のオーブン中、大気下で60分乾燥させた(図18(a)〜(b))。その後、ポリイミド前駆体膜上に、ドライフィルムレジストを用いて、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜を現像した後、レジストパターンを剥離し、窒素雰囲気下、350℃1時間熱処理(昇温速度 10℃/分、自然放冷)することにより、貫通孔部分が除去されるようポリイミドからなる絶縁層がパターニングされたポリイミド−銅積層体を得た(図18(c))。
その後、銅面の露出部をめっき用マスキングテープでマスキングした後、硫酸銅130g/L、硫酸160g/Lに添加剤(CU−BRITE(荏原ユージライト株式会社製))を添加した電解めっき浴を用いて、銅面を給電層として、室温で、2A/dm2の条件で45分間めっきを行い、導通部を形成した(図18(d))。
次に、このポリイミド−銅積層体の銅面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、銅面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離することにより(図26)、薄膜素子用基板a−7を得た。
[参考例1]
SUSからなる金属基板、ポリイミドからなる絶縁層、並びに、Cuからなるシード層および導電層がこの順に積層された積層基板を準備した。
次に、この積層基板のSUS面に対してメタルエッチング用レジストを製版した。具体的には、積層基板の両面にメタルエッチング用のドライフィルムレジストをラミネートし、SUS面側にはパターン露光を、Cu面側には全面露光し、炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、SUS面上にレジストパターンを形成した。次に、エッチング液として塩化第2鉄水溶液を用い、レジストパターンを介して、SUS面にパターンエッチングを施した後、レジストパターンを剥離し、積層基板のSUS面側にポリイミド面を露出させた。
[表面平坦性の評価]
実施例および比較例の薄膜素子用基板における絶縁層について表面平坦性を評価した。絶縁層は、下記の3種類に分類できる。
1.塗布により形成したポリイミド(PI)面
2.PI−Cuの積層体からCuエッチングにより形成したPI面
3.PI−SUSの積層体からSUSエッチングにより形成したPI面
なお、参考例2として、SUS箔の表面平坦性についても評価した。
Figure 0005970865
[実施例8]
実施例4−1に記載の方法により、150mm×150mmの基板に、150μmφの導通部を225μm間隔で、縦240個、横320個形成し、裏面(絶縁層(1層目)側)に銅配線が形成された導通部を有する基板Aを準備した。
次に、メタルマスクを用いて、導通部をマスクした上で、導通部を有する基板Aの絶縁層(2層目)上に、第1密着層としてのアルミニウム膜をDCスパッタリング法(成膜圧力0.2Pa(アルゴン)、投入電力1kW、成膜時間10秒)により厚さ5nmで形成した。次いで、第2密着層としての酸化シリコン膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間30分)により厚さ100nmで形成した。
ボトムゲート・ボトムコンタクト構造のTFTを、上記導通部を有する基板Aの第2密着層上に、かつ、上記導通部を有する基板Aの中央部の120mm×120mmのエリアに作製した。まず、厚さ100nmのアルミニウム膜をゲート電極膜として成膜した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングしてゲート電極およびゲート配線を形成した。ゲート配線については、導通部とゲート電極を接続するように形成した。次に、そのゲート電極を覆うように厚さ300nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜として全面に形成した。このゲート絶縁膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、6インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で形成した。この後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後にドライエッチングを施し、ゲート絶縁膜のパターニングを実施した。次に、ゲート絶縁膜上の全面に厚さ100nmのチタン膜、アルミニウム膜、IZO膜をソース電極、ソース配線及びドレイン電極とするために蒸着した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後に過酸化水素水溶液、燐酸溶液で連続的にウェットエッチングし、チタン膜を所定パターンにパターニングしてソース電極、ソース配線及びドレイン電極を形成した。ソース配線については、導通部とソース電極を接続するように形成した。このとき、ソース電極及びドレイン電極は、ゲート絶縁膜上であってゲート電極の中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した。
次に、ソース電極及びドレイン電極を覆うように、全面に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物薄膜(InGaZnO)を厚さ25nmとなるように形成した。アモルファス酸化物薄膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、Ar:Oを30:50とした条件下で、4インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した。その後、アモルファス酸化物薄膜上にレジストパターンをフォトリソグラフィーで形成した後、シュウ酸溶液でウェットエッチングし、そのアモルファス酸化物薄膜をパターニングし、所定パターンからなるアモルファス酸化物薄膜を形成した。こうして得られたアモルファス酸化物薄膜は、ゲート絶縁膜上であってソース電極及びドレイン電極に両側で接触するとともに該ソース電極及びドレイン電極を跨ぐように形成されていた。続いて全体を覆うように、厚さ100nmの酸化ケイ素を保護膜としてRFマグネトロンスパッタリング法で形成した後、レジストパターンをフォトリソグラフィー法で形成した後にドライエッチングを施した。大気中300℃1時間のアニールを施した後、アクリル系のポジ型レジストを用いてELの隔壁層を形成し、TFT基板を作製した。
上記TFT基板上に白色となるようにEL層を蒸着した後、電極としてIZO膜を蒸着し、バリアフィルムを用いてELの封止を行うことにより、フレキシブルな対角5.9インチ、解像度68dpi、320×240のアクティブマトリックス駆動のモノクロELディスプレイを作製した。
続いて、あらかじめ裏面(絶縁層(1層目)側)に形成した配線部に、制御用のICを実装し、作製したモノクロELディスプレイについて、スキャン電圧15V、ベータ電圧10V、電源電圧10Vにて作動を確認した。作製したモノクロELディスプレイについて24時間の連続作動および作製後6ヶ月後における作動を確認した。
[比較例3]
縦200mm、横150mm、厚さ100μmのSUS304−HTA板(小山鋼材社製)上に、上記ポリイミド前駆体溶液1を用いて、イミド化後の膜厚が7μm±1μmになるようにスピンコーターでコーティングし、100℃のホットプレートオーブン中、大気下で60分乾燥させた後、窒素雰囲気下、350℃1時間、熱処理し(昇温速度 10℃/分、自然放冷)、ポリイミド層を形成した。次に、ポリイミド層上に、第1密着層としてのアルミニウム膜をDCスパッタリング法(成膜圧力0.2Pa(アルゴン)、投入電力1kW、成膜時間10秒)により厚さ5nmで形成した。次いで、第2密着層としての酸化シリコン膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間30分)により厚さ100nmで形成した。
以降は、基板の上部150mm×150mmのエリアに、各種配線を導通部に接続せず、基板の表面側に設けた基板の下部の残り縦50mm横150mmのエリアに形成した配線部に接続した以外は上記の素子の実施例と同様にして、アクティブマトリックス駆動のモノクロELディスプレイを作製した。
続いて、表面(素子側)に形成した配線部に、制御用のICを実装し、作製したモノクロELディスプレイについて、スキャン電圧15V、ベータ電圧10V、電源電圧10Vにて作動を確認した。作製したモノクロELディスプレイについて24時間の連続作動および作製後6ヶ月後における作動を確認した。
[評価]
実施例8および比較例3の有機EL表示装置を比較した。素子が形成される薄膜素子用基板として、導通部が設けられた基板を用いることにより、制御ICを裏面に配置することが可能となり、デバイスの狭額縁化を実現した。
[比較例4]
比較例1に記載の方法により、150mm×150mmの基板に、150μmφの導通部を225μm間隔で、縦240個、横320個形成した。絶縁層上に銅配線が形成された導通部を有する基板Bを準備した。
基板Aの代わりに基板Bを用い、銅配線が形成されている絶縁層上にTFTおよびEL素子を形成したこと以外は実施例8と同様にして、アクティブマトリックス駆動のモノクロELディスプレイを作製した。
続いて、制御用のICを実装し配線ならびに電極を形成したFPCを、基板Bの裏面(SUS面)に貼り合わせた。その後、FPCに形成された電極と基板Bの導通部とをワイヤーボンディングにより接続した。作製したモノクロELディスプレイについて、スキャン電圧15V、ベータ電圧10V、電源電圧10Vにて作動を確認した。
[評価]
実施例8および比較例4のTFTを比較した。比較例4のTFTの電気特性を評価したところ、実施例8のTFTに比べ、電界効果移動度の低下が見られた。また、比較例4のTFTの一部でゲート電極とソース電極またはドレイン電極との間に短絡が見られた。これらは基板Bの絶縁層の表面平坦性が低いことに起因すると考えられる。尚、このような電極間の短絡はTFT以外でも、ディスプレイなどの配線にも起こりうる。この為、絶縁層の平坦化は必要である。
[実施例9]
実施例4−1に記載の方法により、図17(a)〜(f)に示すように、400μmφの金属層の開口部14h内に、200μmφの絶縁層貫通孔12h、第2絶縁層貫通孔16hを形成し、これらの絶縁層貫通孔12hおよび第2絶縁層貫通孔16hに導通材料を充填することにより導通部10を形成した。さらに、Cu面にパターンエッチングする際に、銅配線を形成した。この銅配線は、図17(g)に示すように、400μmφの金属層の開口部14hを覆う形で1000μmφの部分(図中、第3金属層5bで示される。)を有するものであった。このようにして、図25(a)、(b)に示すように、100mm×100mmの基板に、陽極接続用として10個の200μmφの透明電極層用導通部10b、陰極接続用として10個の200μmφの背面電極層用導通部10aを各々設け、裏面側(絶縁層2側)に銅配線(陽極接続用配線32b、陰極接続用配線32a)が形成された導通部を有する基板Cを準備した。図25(a)は基板の絶縁層2側(表面側)から見た平面図であり、図25(b)は基板の第2絶縁層6側(裏面側)から見た平面図である。図25(a)において、破線で示す領域E1は有機EL素子の発光部と接触する部分である。
また、ガラス基板上に陽極としてITOが52mm幅のライン状にパターニングされたITO基板を準備した。次に、そのITO基板上に、ポジ型レジスト(東京応化社製TFRH)を乾燥膜厚が1μmになるようにスピンコート法にて塗布した後、120℃で2分ベーキングした。その後、発光エリアが50mm□になるよう、フォトマスクを介して365nmの紫外光を照射した。レジストを有機アルカリ現像液NMD3(東京応化社製)を用いて30秒現像した後、240℃で30分ベーキングすることによりEL用絶縁層を形成した。次いで、そのITO基板上に、α−NPD(N,N'-di[(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl]-1,1'-biphenyl)-4,4'-diamine)とMoO3とを体積比4:1で真空度10-5Paの条件下、共蒸着により1.0Å/secの蒸着速度で膜厚40nmとなるように成膜し、正孔注入層を形成した。次に、α−NPDを真空度10-5Paの条件下、1.0Å/secの蒸着速度で膜厚20nmとなるように真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。次に、ホスト材料としてAlq3(Tris-(8-hydroxyquinoline)aluminium)を用い、緑色発光ドーパントとしてC545tを用いて、上記正孔輸送層上に、Alq3およびC545tを、C545t濃度が3wt%となるように、真空度10-5Paの条件下、蒸着速度1Å/secで35nmの厚さに真空蒸着により成膜し、発光層を形成した。次に、Alq3を真空度10-5Paの条件下、1.0Å/secの蒸着速度で膜厚10nmとなるように真空蒸着し、電子輸送層を形成した。次に、Alq3およびLiFを共蒸着にて、真空度10-5Paの条件下、蒸着速度0.1Å/secで15nmの厚さに真空蒸着により成膜し、電子注入層を形成した。最後に、陰極としてAlを用いて、真空度10-5Paの条件下、5.0Å/secの蒸着速度で膜厚200nmとなるように真空蒸着した。
陽極(透明電極層24)と陰極(背面電極層22)については、図25(c)に示すように、導通部を有する基板Cに設けた、透明電極層用導通部10bおよび背面電極層用導通部10aと対向するように形成した。図25(c)において、破線で示す領域E2は有機EL素子の発光部である。
陰極の形成後、真空蒸着装置から水分濃度0.1ppm以下の窒素雰囲気下にしたグローブボックスへ有機EL素子を搬送した。また、上記導通部を有する基板Cを、グローブボックス中で加熱乾燥させた。その後、導通部を有する基板Cの表面側と有機EL素子の陰極側とが対向するように配置し、導通部を有する基板Cの陽極接続用の透明電極層用導通部と有機EL素子の陽極とが接し、導通部を有する基板Cの陰極接続用の背面電極層用導通部と有機EL素子の陰極とが接し、有機EL素子の発光部と導通部を有する基板Cの絶縁層とが接するように位置合わせし、導通部を有する基板Cと有機EL素子を導通させた後、貼り合わせた。導通部を有する基板Cの外縁部ならびに導通部について外側からエポキシ樹脂を塗布し、紫外線より硬化させ、有機EL素子を得た。
1 … 薄膜素子用基板
2 … 絶縁層
3 … 第1導通部
4 … 金属層
5a … 第2金属層
5b … 第3金属層
6 … 第2絶縁層
7 … 第2導通部
8 … 導通部用金属部
9 … 密着層
10 … 導通部
10a … 背面電極層用導通部
10b … 透明電極層用導通部
12h … 絶縁層貫通孔
14h … 金属層の開口部
14s … 金属層のパターンの端部
15 … 被覆層
16h … 第2絶縁層貫通孔
19h … 密着層の開口部
20 … 有機EL装置
21 … 有機EL素子部
22 … 背面電極層
23 … EL層
24 … 透明電極層
25 … 透明封止基板
26 … 封止部
L … 発光

Claims (23)

  1. 薄膜素子に用いられる薄膜素子用基板であって、
    絶縁層貫通孔を有し、表面粗さRaが5nm以下の絶縁層と、
    前記絶縁層貫通孔に充填された第1導通部と、
    前記薄膜素子用基板の厚み方向に形成され、前記薄膜素子用基板の表裏を導通し、少なくとも前記第1導通部を有する導通部と
    を有し、
    前記絶縁層上にパターン状に形成され、前記第1導通部上に配置された開口部を有する金属層をさらに有し、前記導通部は前記金属層と導通していないことを特徴とする薄膜素子用基板。
  2. 前記絶縁層がポリイミドを含有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜素子用基板。
  3. 前記絶縁層がポリイミドを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の薄膜素子用基板。
  4. 前記絶縁層の吸湿膨張係数が0ppm/%RH〜15ppm/%RHの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  5. 前記絶縁層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  6. 前記絶縁層の線熱膨張係数と前記金属層の線熱膨張係数との差が15ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  7. 前記金属層の線熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  8. 前記金属層のパターンの端部が被覆層で絶縁されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  9. 前記金属層の開口部内に形成され、前記第1導通部上に配置され、前記金属層と同一材料からなる導通部用金属部をさらに有し、
    前記導通部が前記第1導通部と前記導通部用金属部とを有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  10. 前記金属層上に形成され、前記導通部用金属部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有する第2絶縁層をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の薄膜素子用基板。
  11. 前記第2絶縁層貫通孔に充填された第2導通部をさらに有し、前記導通部が前記第1導通部と前記導通部用金属部と前記第2導通部とを有することを特徴とする請求項10に記載の薄膜素子用基板。
  12. 前記金属層上に形成され、前記第1導通部上に配置された第2絶縁層貫通孔を有する第2絶縁層と、前記第2絶縁層貫通孔に充填された第2導通部とをさらに有し、前記導通部が前記第1導通部と前記第2導通部とを有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  13. 前記金属層のパターンの端部が前記絶縁層または前記第2絶縁層で絶縁されていることを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  14. 前記第2絶縁層がポリイミドを含有することを特徴とする請求項10から請求項13までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  15. 前記第2絶縁層がポリイミドを主成分とすることを特徴とする請求項14に記載の薄膜素子用基板。
  16. 前記絶縁層の前記金属層側の面とは反対側の面に無機化合物を含む密着層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれかに記載の薄膜素子用基板。
  17. 請求項1から請求項16までのいずれかに記載の薄膜素子用基板と、
    前記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜素子部と
    を有し、前記薄膜素子部の電極が前記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする薄膜素子。
  18. 前記薄膜素子部上に配置された透明封止基板をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の薄膜素子。
  19. 前記薄膜素子部が、薄膜トランジスタ素子部であることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の薄膜素子。
  20. 前記薄膜素子部が、前記絶縁層上に形成された背面電極層と、前記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むエレクトロルミネッセンス層と、前記エレクトロルミネッセンス層上に形成された透明電極層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子部であり、
    前記薄膜素子用基板の導通部が、前記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、
    前記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有することを特徴とする請求項17または請求項18に記載の薄膜素子。
  21. 前記薄膜素子部が、前記絶縁層上に形成された背面電極層と、前記背面電極層上に形成された表示媒体層と、前記表示媒体層上に形成された透明電極層とを有する電子ペーパー素子部であり、
    前記薄膜素子用基板の導通部が、前記透明電極層に接続された透明電極層用導通部と、
    前記背面電極層に接続された背面電極層用導通部とを有することを特徴とする請求項17または請求項18に記載の薄膜素子。
  22. 請求項1から請求項16までのいずれかに記載の薄膜素子用基板と、
    前記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜トランジスタ素子部と、
    前記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、前記薄膜トランジスタ素子部に接続された背面電極層、前記背面電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含むエレクトロルミネッセンス層、および、前記エレクトロルミネッセンス層上に形成された透明電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子部と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子部上に配置された透明封止基板と
    を有し、前記薄膜トランジスタ素子部の電極が前記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  23. 請求項1から請求項16までのいずれかに記載の薄膜素子用基板と、
    前記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成された薄膜トランジスタ素子部と、
    前記薄膜素子用基板の絶縁層の表面粗さRaが5nm以下である面に形成され、前記薄膜トランジスタ素子部に接続された背面電極層、前記背面電極層上に形成された表示媒体層、および、前記表示媒体層上に形成された透明電極層を有する電子ペーパー素子部と、
    前記電子ペーパー素子部上に配置された透明封止基板と
    を有し、前記薄膜トランジスタ素子部の電極が前記薄膜素子用基板の導通部に接続されていることを特徴とする電子ペーパー。
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