JP2014104712A - 電子デバイスの製造方法および多層ガラス積層体 - Google Patents

電子デバイスの製造方法および多層ガラス積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、生産性に優れた電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス基板とガラス基板の一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスの製造方法であって、支持基板および支持基板上に複数枚積層して配置された前記密着層付きガラス基板を有する多層ガラス積層体を形成する第1工程、および、多層ガラス積層体の最外側に配置された密着層付きガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る工程Aと、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された密着層付きガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する工程Bとを繰り返して実施し、複数枚の電子デバイスを得る第2工程を有する、電子デバイスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子デバイスの製造方法に係り、特に複数枚の電子デバイス形成用ガラス基板(特に、密着層付きガラス基板)が積層して形成される多層ガラス積層体を用いた電子デバイスの製造方法に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いるガラス基板の薄板化が進行している。薄板化によりガラス基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、ガラス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、従来から、最終厚さよりも厚いガラス基板上にデバイス用部材(例えば、薄膜トランジスタ)を形成した後、ガラス基板を化学エッチング処理により薄板化する方法が広く採用されている。しかしながら、この方法では、例えば、1枚のガラス基板の厚さを0.7mmから0.2mmや0.1mmに薄板化する場合、元々のガラス基板の材料の大半をエッチング液で削り落とすことになるので、生産性や原材料の使用効率という観点では好ましくない。
また、上記の化学エッチングによるガラス基板の薄板化方法においては、ガラス基板表面に微細な傷が存在する場合、エッチング処理によって傷を起点として微細な窪み(エッチピット)が形成され、光学的な欠陥となる場合があった。
最近では、上記の課題に対応するため、ガラス基板と補強板とを積層したガラス積層体を用意し、ガラス積層体のガラス基板上に表示装置などの電子デバイス用部材を形成した後、ガラス基板から補強板を分離して、ガラス基板と電子デバイス用部材とを備える電子デバイスを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。補強板は、支持体と、該支持体上に固定された樹脂層とを有し、樹脂層とガラス基板とが剥離可能に密着される。ガラス積層体の樹脂層とガラス基板の界面が剥離され、ガラス基板から分離された補強板は、新たなガラス基板と積層され、ガラス積層体として再利用することが可能である。
国際公開第07/018028号
一方、特許文献1の方法では、上述したように、補強板上にガラス基板を配置して、ガラス基板上に電子デバイス用部材を配置して、ガラス基板を剥離するという一連の操作を行って、一つのガラス基板と電子デバイス用部材とを備える電子デバイスが形成される。
通常、ガラス基板を積層する工程と、電子デバイス用部材を配置する工程と、電子デバイスを剥離する工程とは別ラインで実施される。そのため、特許文献1の方法では、あるラインAで補強板上にガラス基板を配置して、その後別ラインBまで搬送して電子デバイス用部材を配置して、さらに別ラインCまで搬送して電子デバイスを剥離する。その後、さらに、ガラス基板を補強板上に再度配置するためにラインAに移動させる必要がある。このように一つの電子デバイスを製造するために、補強板やガラス積層体などをラインAからラインB、さらにラインCに移動させる必要がある。複数の電子デバイスを製造する際には、補強板やガラス積層体をさらに何度もライン間で搬送する必要が生じ、このような搬送時間は電子デバイスの生産性の低下を招くことになる。
近年、電子デバイスの低価格化がより進行しており、より工程数を減らしつつ電子デバイスを大量に生産し得る方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、生産性に優れた電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記電子デバイスの製造方法に使用されるガラス積層体を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の態様は、電子デバイス形成用ガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスの製造方法であって、支持基板および支持基板上に複数枚積層して剥離可能に配置された電子デバイス形成用ガラス基板を有し、電子デバイス形成用ガラス基板の少なくとも1枚が、ガラス基板とガラス基板の少なくとも一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板である、多層ガラス積層体を形成する第1工程、多層ガラス積層体の最外側に配置された電子デバイス形成用ガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る工程Aと、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された電子デバイス形成用ガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する工程Bとを繰り返して実施し、複数枚の電子デバイスを得る第2工程を有する、電子デバイスの製造方法である。
第1の態様において、電子デバイス形成用ガラス基板が全て密着層付きガラス基板であり、第1工程が、支持基板および前記支持基板上に複数枚積層して配置された密着層付きガラス基板を有し、積層された密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなる多層ガラス積層体を形成する工程であることが好ましい。
第1の態様において、電子デバイス形成用ガラス基板が、1枚のガラス基板と、少なくとも1枚以上の密着層付きガラス基板とを含み、第1工程が、易剥離性を示す表面を有する支持基板、支持基板の易剥離性を示す表面上に少なくとも1枚配置された密着層付きガラス基板、および、密着層付きガラス基板上で最外側に配置されたガラス基板を有し、密着層付きガラス基板中のガラス基板が支持基板側を向いて配置されている多層ガラス積層体を形成する工程であることが好ましい。
第1の態様において、密着層が、樹脂層であることが好ましい。
第1の態様において、密着層が、メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する無機層であることが好ましい。
第1の態様において、密着層が、シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成されることが好ましい。
第1の態様において、第1工程が、易剥離性を示す表面を有する支持基板と、支持基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板をこの順で有する硬化前積層体を形成する工程Cと、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Dと、硬化後積層体中の最外側のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有する硬化後積層体を得る工程Eと、易剥離性を示す表面を有する硬化後積層体と、硬化後積層体中の最外側のガラス基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板をこの順で有する硬化前積層体を形成する工程Fと、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Gとを有し、工程Cおよび工程Dを行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程E〜工程Gを繰り返して多層ガラス積層体を得ることが好ましい。
第1の態様において、第1工程が、ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有し、易剥離性を示す表面を有する支持基板を、易剥離性を示す表面が未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、未硬化の硬化性樹脂組成物層に支持基板と接触しない周縁領域が残るように、未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程Hと、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Iと、硬化後積層体中の支持基板の外周縁に沿って、樹脂層およびガラス基板を切断して、切断後積層体を得る工程Jと、切断後積層体中の最外側のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有す切断後積層体を得る工程Kと、ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有する切断後積層体を、切断後積層体中のガラス基板の易剥離性を示す表面が未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、未硬化の硬化性樹脂組成物層に切断後積層体と接触しない周縁領域が残るように、未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程Lと、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Mと、硬化後積層体中の支持基板の外周縁に沿って、樹脂層およびガラス基板を切断して、切断後積層体を得る工程Nとを有し、工程H〜工程Jを行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程K〜工程Nを繰り返して多層ガラス積層体を得ることが好ましい。
本発明の第2の態様は、支持基板、および、支持基板上に複数枚積層して剥離可能に配置された電子デバイス形成用ガラス基板を有し、電子デバイス形成用ガラス基板の少なくとも1枚が、ガラス基板とガラス基板の少なくとも一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板であり、電子デバイス形成用ガラス基板の表面上に、支持基板側から数えて何枚目の電子デバイス形成用ガラス基板かを認識するためのマーカーを備える、多層ガラス積層体である。
第2の態様において、電子デバイス形成用ガラス基板の全てが密着層付きガラス基板であり、積層された密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなり、密着層付きガラス基板中のガラス基板の表面上に、支持基板側から数えて何枚目の密着層付きガラス基板かを認識するためのマーカーを備えることが好ましい。
本発明によれば、生産性に優れた電子デバイスの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記電子デバイスの製造方法に使用されるガラス積層体を提供することもできる。
本発明の電子デバイスの製造方法の第1の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の電子デバイスの製造方法の第1の実施形態を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の電子デバイスの製造方法の第2の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の電子デバイスの製造方法の第2の実施形態を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の電子デバイスの製造方法の第3の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の電子デバイスの製造方法の第3の実施形態を工程順に示す模式的断面図である。 (A)得られた硬化前積層体の上面図である。(B)剥離性支持基板の積層前の状態を示す断面図である。(C)剥離性支持基板を積層した後の状態を示す断面図である。 ステージ上に載置した硬化後積層体を一部透視して示す平面図である。 ステージ上に載置した硬化後積層体および加工ヘッドを一部破壊して示す断面図である。 別のステージ上に載置した硬化後積層体および挟持治具を示す断面図である。 本発明の電子デバイスの製造方法の第4の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の電子デバイスの製造方法の第4の実施形態を工程順に示す模式的断面図である。 本発明の電子デバイスの製造方法の第5の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の電子デバイスの製造方法の第5の実施形態を工程順に示す模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
なお、本発明において、一の密着層付きガラス基板中のガラス基板の層と密着層との界面の剥離強度が、多層ガラス積層体中の一の密着層付きガラス基板中の密着層と一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板または支持基板の層との界面の剥離強度よりも高い。以下、一の密着層付きガラス基板中の密着層とガラス基板とにおいて、樹脂層はガラス基板に固定されているともいう。また、以下、一の密着層付きガラス基板中の密着層は、支持基板または一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板に剥離可能に密着(接触)しているともいう。
本発明の電子デバイスの製造方法の特徴点の一つは、複数枚の電子デバイス形成用ガラス基板(特に、密着層付きガラス基板)が積層された多層ガラス積層体を使用する点が挙げられる。この多層ガラス積層体を使用すれば、ガラス基板を積層する工程のラインから、電子デバイス用部材を配置する工程のラインへの移動が一度で済むため、搬送時間の短縮が可能となり、結果として電子デバイスの生産性が向上する。より具体的には、一つのラインで支持基板上に複数の電子デバイス形成用ガラス基板を積層した後、別のラインに多層ガラス積層体を搬送する。搬送された多層ガラス積層体中の電子デバイス形成用ガラス基板上に電子デバイス用部材を配置して、電子デバイスを剥離する処理を繰り返すことにより、複数枚の電子デバイスが得られる。このように、ガラス基板を積層する工程のラインから、電子デバイス用部材を配置する工程のラインへの移動が一度で済むため、電子デバイスの生産枚数が増えるにつれて、その生産時間をより短縮できる。
また、後述する第1の実施形態で得られた電子デバイスは、一方の最外側に密着層を有するため、ディスプレイなどの電子デバイスを所望の位置に取り付ける、といった電子デバイス自体の取付性も向上する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の電子デバイスの製造方法の第1の実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図1に示すように、電子デバイスの製造方法は、多層ガラス積層体を形成する第1工程(S102)と、複数枚の電子デバイスを製造する第2工程(S104)とを備える。第2工程(S104)は、電子デバイス用部材付き積層体を製造する工程A(S106)および電子デバイスを剥離する工程B(S108)を複数回繰り返して実施し、所定枚数の電子デバイスを得る工程である。
また、図2は、本発明の電子デバイスの製造方法の第1の実施形態における各製造工程を順に示す模式的断面図である。
以下に、図2を参照しながら、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。まず、第1工程(S102)について詳述する。
[第1工程]
第1工程(S102)は、図2(A)〜(C)に示すように、支持基板12および支持基板12上に複数枚積層して配置された密着層付きガラス基板14を有する多層ガラス積層体10を形成する工程である。密着層付きガラス基板14は、ガラス基板16とガラス基板16の一方の主面上に固定された密着層18とを有する。また、積層された密着層付きガラス基板14は、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18と、上記一の密着層付きガラス基板14に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16とが剥離可能に密着(接触)するように構成されてなる。言い換えると、複数の密着層付きガラス基板14は、密着層18を支持基板12側に向けて積層されている。なお、密着層付きガラス基板14は、電子デバイス形成用ガラス基板に該当する。
以下では、まず、本工程で使用される部材(支持基板、密着層付きガラス基板)について詳述し、その後、多層ガラス積層体の製造方法について詳述する。
(支持基板)
支持基板12は、密着層付きガラス基板14を支持して補強し、後述する第2工程(S104)において電子デバイス用部材の製造の際に密着層付きガラス基板14の変形、傷付き、破損などを防止する。また、従来よりも厚さが薄いガラス基板を使用する場合、従来のガラス基板と同程度の厚さの多層ガラス積層体10とすることにより、第2工程(S104)において、従来の厚さのガラス基板に適合した製造技術や製造設備を使用可能にすることも、支持基板12を使用する目的の1つである。
支持基板12としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、SUS板、セラミック板などの金属板などが用いられる。支持基板12は、第2工程(S104)が熱処理を伴う場合、ガラス基板16との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板16と同一材料で形成されることがより好ましく、支持基板12はガラス板であることが好ましい。特に、支持基板12は、ガラス基板16と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
支持基板12の厚さは、ガラス基板16よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。好ましくは、ガラス基板16の厚さ、密着層18の厚さ、および多層ガラス積層体10の厚さに基づいて、支持基板12の厚さが選択される。
支持基板12がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.08mm以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは、電子デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
ガラス基板16と支持基板12との25〜300℃における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)の差は、好ましくは500×10-7/℃以下であり、より好ましくは300×10-7/℃以下であり、さらに好ましくは200×10-7/℃以下である。差が大き過ぎると、第2工程(S104)における加熱冷却時に、多層ガラス積層体10が激しく反ったり、支持基板12と密着層付きガラス基板14とが剥離したりする可能性がある。ガラス基板16の材料と支持基板12の材料が同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
(密着層付きガラス基板)
密着層付きガラス基板14は、上記支持基板12上に複数枚積層され、後述する第2工程(S104)において電子デバイス用部材が配置される基板である。
以下では、まず、密着層付きガラス基板14中のガラス基板16および密着層18の態様について詳述する。
(ガラス基板)
ガラス基板16は、その一方の主面(第1主面)に密着層18が固定され、他方の主面(第2主面)に電子デバイス用部材が設けられる。
ガラス基板16の種類は、一般的なものであってよく、例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板などが挙げられる。ガラス基板16は耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、熱収縮率が低い。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
ガラス基板16の線膨張係数が大きいと、第2工程(S104)は加熱処理を伴うことが多いので、様々な不都合が生じやすい。例えば、ガラス基板16上にTFTを形成する場合、加熱下でTFTが形成されたガラス基板16を冷却すると、ガラス基板16の熱収縮によって、TFTの位置ずれが過大になるおそれがある。
ガラス基板16は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板16は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。
ガラス基板16のガラスは、特に限定されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板16のガラスとしては、電子デバイス用部材の種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
ガラス基板16の厚さは、特に限定されないが、ガラス基板16の薄型化および/または軽量化の観点から、通常0.8mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以下であり、さらに好ましくは0.15mm以下である。0.8mm超の場合、ガラス基板16の薄型化および/または軽量化の要求を満たせない。0.3mm以下の場合、ガラス基板16に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.15mm以下の場合、ガラス基板16をロール状に巻き取ることが可能である。また、ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の製造が容易であること、ガラス基板16の取り扱いが容易であることなどの理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
なお、ガラス基板16は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
(密着層)
一の密着層付きガラス基板14にはガラス基板16と密着層18とが含まれ、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18は、一の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の少なくとも片面上に固定されている。また、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18は、支持基板12または一の密着層付きガラス基板14と隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16と剥離可能に密着する。一の密着層付きガラス基板14中の密着層18は、積層された一の密着層付きガラス基板14を分離する操作が行われるまで一の密着層付きガラス基板14の位置ずれを防止すると共に、分離操作によって支持基板12または隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16から容易に剥離し、ガラス基板16などが分離操作によって破損するのを防止する。また、一の密着層付きガラス基板14において密着層18はガラス基板16に固定されており、後述する第2工程(分離操作)において密着層付きガラス基板14中の密着層18とガラス基板16とは剥離しない。言い換えると、密着層18と支持基板12との界面の剥離強度、および、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18と一の密着層付きガラス基板14に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16との界面の剥離強度は、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18とガラス基板16との界面の剥離強度よりも小さい。
つまり、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18の表面は、支持基板12の主面に剥離可能に密着する。また、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18の表面は、一の密着層付きガラス基板14と隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の表面と剥離可能に密着する。本発明では、この密着層表面の容易に剥離できる性質を易剥離性(剥離性)という。
なお、分離操作により、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18と一の密着層付きガラス基板14に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16との界面が剥離しやすいように、分離操作を始めるにあたり、その界面に剥離起点を設けて剥離を行うことが好ましい。
密着層18を構成する材料の種類は特に制限されず、支持基板12またはガラス基板16に対して易剥離性を示す材料であればよい。密着層18の好適態様としては、例えば、樹脂層(密着性樹脂層)、または、メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する無機層が挙げられる。または、密着層18が、シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成されることも好ましい。
以下に、密着層18の好適態様(樹脂層、無機層、シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成される層)について詳述する。
(樹脂層)
樹脂層の厚さは特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、7〜20μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚さがこのような範囲であると、樹脂層と支持基板またはガラス基板との密着が十分になるからである。また、樹脂層と支持基板またはガラス基板との間に気泡や異物が介在することがあっても、多層ガラス積層体中のガラス基板のゆがみ欠陥の発生を抑制することができるからである。また、樹脂層の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではなく、表面うねりが大きくなりやすい。
なお、樹脂層は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂層の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、樹脂層が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。
樹脂層は、ガラス転移点が室温(25℃程度)よりも低い、またはガラス転移点を有しない材料からなることが好ましい。より容易に支持基板またはガラス基板と剥離することができ、同時に支持基板またはガラス基板との密着も十分になるからである。
樹脂層を形成する樹脂の種類は、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂が挙げられる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。中でもシリコーン樹脂が好ましい。つまり、樹脂層は、シリコーン樹脂層であることが好ましい。シリコーン樹脂は、耐熱性や剥離性に優れるためである。また、ガラス板表面のシラノール基との縮合反応によって、ガラス板に固定し易いからである。シリコーン樹脂は、例えば、大気中200℃程度で1時間程度処理しても、剥離性がほぼ劣化しない点も好ましい。
樹脂層は、硬化性シリコーン樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。硬化性シリコーン樹脂組成物をガラス基板の表面で硬化させて形成した硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層は、ガラス基板表面に接着するとともにその自由表面は優れた易剥離性を有するので好ましい。また、柔軟性が高いので、樹脂層と支持基板またはガラス基板との間へ気泡や塵介などの異物が混入しても、多層ガラス積層体中のガラス基板のゆがみ欠陥の発生を抑制することができる。
このような樹脂層を形成するために使用される硬化性シリコーン樹脂組成物は、その硬化機構により縮合反応型シリコーン樹脂組成物、付加反応型シリコーン樹脂組成物、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物および電子線硬化型シリコーン樹脂組成物に分類されるが、いずれも使用することができる。これらの中でも付加反応型シリコーン樹脂組成物が好ましい。これは、硬化反応のしやすさ、硬化後の樹脂層表面の易剥離性の程度が良好で、耐熱性も高いからである。
付加反応型シリコーン樹脂組成物は、主剤および架橋剤を含み、白金系触媒などの触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物である。付加反応型シリコーン樹脂組成物の硬化は、加熱処理により促進される。付加反応型シリコーン樹脂組成物中の主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、アルケニル基などが架橋点となる。付加反応型シリコーン樹脂組成物中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、ハイドロシリル基などが架橋点となる。
付加反応型シリコーン樹脂組成物は、主剤と架橋剤の架橋点が付加反応をすることにより硬化する。
また、硬化性シリコーン樹脂組成物は形態的に溶剤型、エマルジョン型および無溶剤型があり、いずれの型も使用可能である。これらの中でも無溶剤型が好ましい。生産性、安全性、環境特性の面が優れるからである。また、樹脂層を形成する際の硬化時、すなわち、加熱硬化、紫外線硬化または電子線硬化の時に発泡を生じる溶剤を含まないため、樹脂層中に気泡が残留しにくいからである。
また、市販されている硬化性シリコーン樹脂組成物の商品名または型番としては、KNS−320A、KS−847(いずれも信越シリコーン社製)、TPR6700(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、ビニルシリコーン「8500」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11364」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11365」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせなどが挙げられる。
なお、KNS−320A、KS−847およびTPR6700は、あらかじめ主剤と架橋剤とを含有している硬化性シリコーン樹脂組成物である。
(樹脂層の製造方法)
樹脂層をガラス基板上に固定する方法は、特に限定されない。
例えば、硬化性樹脂組成物(樹脂層形成用組成物)をガラス基板上に塗布して、硬化性樹脂組成物を硬化してガラス基板上に固定された樹脂層を形成する方法(塗布方法)や、フィルム状の樹脂をガラス基板の表面に固定する方法(貼り付け方法)などが挙げられる。なかでも、樹脂層の接着強度がより優れる点で、塗布方法が好ましい。
以下に塗布方法の態様について詳述する。
塗布方法において、ガラス基板表面上に硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物をガラス基板上にコートする方法が挙げられる。コートする方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。
また、硬化性樹脂組成物をガラス基板上にコートする場合、その塗布量は1〜100g/m2であることが好ましく、5〜20g/m2であることがより好ましい。
硬化性樹脂組成物に溶媒および樹脂が含まれる場合、硬化性樹脂組成物中の溶媒の含有量を、組成物全量に対して、70質量%以下にすることが好ましく、なかでも60質量%以下にすることがより好ましく、50質量%以下にすることがさらに好ましい。溶媒量を上記範囲内に調整することにより、形成された組成物の層から溶媒が揮発する量が抑えられ、結果として表面うねりの少ない樹脂層を得ることができる。なお、溶媒量の下限に関しては、硬化性樹脂組成物が塗布可能であれば特に制限されないが、取扱い性などの点から、30質量%以上であることが好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂としては、上述した樹脂層を形成しうる樹脂が挙げられ、なかでも硬化性シリコーンが好ましく挙げられる。
例えば、付加反応型シリコーン樹脂組成物から樹脂層を形成する場合、オルガノアルケニルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンと触媒との混合物からなる樹脂層形成用組成物Xを、上記のスプレーコート法などの公知の方法によりガラス基板上に塗布し、その後に加熱硬化させる。
加熱硬化条件は、触媒の配合量によっても異なるが、大気中で50℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃で反応させる。また、この場合の反応時間は5〜60分間、好ましくは10〜30分間とする。
樹脂層形成用組成物Xを加熱硬化させることによって、硬化反応の際に樹脂がガラス基板と化学的に結合し、また、アンカー効果によって樹脂層がガラス基板と結合して、接着する。これらの作用によって、樹脂層がガラス基板に強固に固定される。特に、シリコーン樹脂を使用すると、ガラス基板との接着性がより強固となる。
なお、ガラス基板表面上に樹脂層となる硬化性樹脂組成物層を形成し、次いで、硬化性樹脂組成物層を硬化してガラス基板上に固定された樹脂層を形成する方法において、形成される樹脂層の平坦性がより優れる点で、硬化性樹脂組成物層を形成後で硬化前に、硬化性樹脂組成物層を備えるガラス基板を静置することが好ましい。所定時間静置することにより、硬化性樹脂組成物層の表面の平坦性が向上すると共に、硬化性樹脂組成物層に含まれる揮発成分が除去され硬化の際に樹脂層の表面が荒れることをより抑制することができる。
静置する際の温度は特に制限されず、硬化の際の加熱条件の温度のよりも低い温度で静置すればよく、0〜100℃であることが好ましく、0〜室温(25℃程度)がより好ましい。
静置時間は特に制限されず、樹脂層の平坦性および生産性の両者のバランスがより優れる点で、30秒〜1時間が好ましく、1分〜10分がより好ましい。
また、必要に応じて、減圧下で静置を行ってもよい。減圧の条件は特に制限されないが、樹脂層の平坦性および操作の効率性の両者のバランスがより優れる点で、1〜1000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。
(無機層)
無機層は、メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。なかでも、支持基板またはガラス基板の無機層に対する剥離性がより優れる点で、タングステンシリサイド、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、および炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素を含むことがより好ましい。上記の成分が好ましい理由としては、メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物中に含まれる、Si、NまたはCと、それら元素と組み合わされる元素との間の電気陰性度の差の大きさが起因していると推測される。電気陰性度の差が小さいと、分極が小さく、水との反応で水酸基を生成し難いため、ガラス基板の無機層に対する剥離性がより良好となる。より具体的には、SiNにおいてはSi元素とN元素との電気陰性度の差が1.14で、AlNにおいてはAl元素とN元素との電気陰性度の差が1.43であり、TiNにおいてはTi元素とN元素との電気陰性度の差が1.50である。3つを比較すると、SiNが電気陰性度の差が最も小さく、ガラス基板の無機層に対する剥離性もより優れる。
なお、無機層には、上記成分が2種以上含まれていてもよい。
メタルシリサイドの組成は特に制限されないが、支持基板またはガラス基板に対する剥離性がより優れる点で、W、Fe、Mn、Mg、Mo、Cr、Ru、Re、Co、Ni、Ta、Ti、Zr、およびBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。さらに、上記金属/シリコン元素比を変化させることによって、無機層表面のOH基数や表面平坦度を調整し、無機層と支持基板またはガラス基板との間の密着力の制御もできる。
また、窒化物の組成は特に制限されないが、支持基板またはガラス基板に対する剥離性がより優れる点で、Si、Hf、Zr、Ta、Ti、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Sn、In、B、Cr、MoおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。さらに、上記金属/窒素元素比を変化させることによって、無機層表面のOH基数や表面平坦度を調整し、無機層と支持基板またはガラス基板との間の密着力の制御もできる。
また、炭化物および炭窒化物の組成は特に制限されないが、支持基板またはガラス基板に対する剥離性がより優れる点で、Ti、W、Si、Zr、およびNbからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。さらに、上記金属/炭素元素比を変化させることによって、無機層表面のOH基数や表面平坦度を調整し、無機層と支持基板またはガラス基板との間の密着力の制御もできる。
また、無機層は、その一部が酸化されていてもよい。つまり、無機層には、酸素原子(酸素元素)(O)が含まれていてもよい。
なお、上記メタルシリサイド、窒化物、炭化物および炭窒化物においては、酸素原子の添加量によって、無機層表面のOH基数や表面平坦度を調整し、無機層と支持基板またはガラス基板との間の密着力の制御もできる。
より具体的には、メタルシリサイドとしては、例えば、WSi、FeSi、MnSi、MgSi、MoSi、CrSi、RuSi、ReSi、CoSi、NiSi、TaSi、TiSi、ZrSi、BaSiなどが挙げられる。
窒化物としては、例えば、SiN、TiN、WN、CrN、BN、MoN、AlN、ZrNなどが挙げられる。
炭化物としては、例えば、TiC、WC、SiC、NbC、ZrCなどが挙げられる。
炭窒化物としては、例えば、TiCN、WCN、SiCN、NbCN、ZrCNなどが挙げられる。
無機層の平均線膨張係数は特に制限されないが、その平均線膨張係数は10×10-7〜200×10-7/℃が好ましい。該範囲であれば、ガラス板(SiO2)との平均線膨張係数の差が小さくなり、高温環境下における位置ずれをより抑制することができる。
無機層は、上記メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種が主成分として含まれていることが好ましい。ここで、主成分とは、これらの総含有量が、無機層全量に対して、90質量%以上であることを意味し、98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.999質量%以上であることが特に好ましい。
無機層の厚みは特に制限されないが、耐擦傷性を維持する点では、5〜5000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましい。
無機層は、2層以上の積層であってもよい。2層以上の積層の場合、各層ごとが異なる組成であってもよい。
無機層は、通常、ガラス基板の全面に設けられるが、本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス基板表面上の一部に設けられていてもよい。例えば、無機層が、ガラス基板表面上に、島状や、ストライプ状に設けられていてもよい。
さらに、無機層のガラス基板側とは反対側の表面粗さ(Ra)は2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましい。下限値は特に制限されないが、0が最も好ましい。上記範囲であれば、無機層と剥離可能に密着するガラス基板との密着性がより良好となり、密着層付きガラス基板の位置ずれなどをより抑制することができると共に、ガラス基板の剥離性にも優れる。
RaはJIS B 0601(2001年改正)に従って測定される。
(無機層の製造方法)
無機層の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、または、CVD法により、ガラス基板上に所定の成分からなる無機層を設ける方法が挙げられる。上記方法によって得られた無機層はガラス基板上に固定されると共に、その無機層の露出表面は他のガラス基板または支持基板に対して剥離可能に密着できる。
製造条件は、使用される材料に応じて、適宜最適な条件が選択される。
なお、必要に応じて、ガラス基板上に形成された無機層の表面性状(例えば、表面粗さRa)を制御するために、無機層の表面を削る処理を施してもよい。該処理としては、例えば、イオンスパッタリング法などが挙げられる。
(シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成される層)
密着層は、シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成される層であってもよい。
シリコーンオイルとしては、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、ストレートシリコーンオイルの側鎖または末端にアルキル基、ハイドロジェン基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ポリエーテル基、ハロゲン基等を導入した変性シリコーンオイルが例示される。
シリル化剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。
フッ素系化合物としては、例えば、フッ素樹脂が挙げられる。フッ素系化合物の種類は特に限定されないが、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸塩(例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム)、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル燐酸エステル、パーフルオロアルキル化合物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化合物などが挙げられる。なお、フルオロアルキル基(Cm2m+1)を含む化合物としては、例えば、上記フッ素系化合物の例示化合物中のフルオロアルキル基を有する化合物が挙げられる。mの上限は剥離性能上では特に制限されないが、取り扱い上の安全性がより優れる点で、mは1〜6の整数が好ましい。
なかでも、剥離力、安全性、コスト等から、一つの好適例として、メチルシリル基(−Si-(CH3)n)(nは1〜3の整数を表す)またはフルオロアルキル基(−Cm2m+1)(mは1〜6の整数が好ましい)を含む化合物が挙げられる。
(シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成される層の製造方法)
ヘキサメチルジシラザンなどのシリル化剤を使用する場合は、シリル化剤の蒸気をガラス基板表面と接触させるのが好ましい。なお、ガラス基板を加熱させた状態で、シリル化剤の蒸気と接触させてもよい。
シリル化剤の蒸気濃度は高い方が、すなわち飽和濃度に近い方が処理時間を短縮できるので好ましい。
シリコーンオイルまたはフッ素系化合物を使用する場合は、例えば、シリコーンオイルまたはフッ素系化合物をガラス基板の主面表面に付与(例えば、塗布)し、必要に応じて加熱処理または光照射処理を行う。
シリコーンオイルまたはフッ素系化合物の塗布方法は、一般的な方法であってよい。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などの中から、シリコーンオイルの種類や塗布量などに応じて適宜選定される。
上記方法によって得られた密着層はガラス基板上に固定されると共に、その密着層の露出表面は他のガラス基板または支持基板に対して剥離可能に密着できる。
(多層ガラス積層体の製造方法)
多層ガラス積層体10の製造方法は特に制限されないが、例えば、密着層付きガラス基板14を順次積層する方法が挙げられる。より具体的には、図2(A)に示すように、支持基板12を用意し、図2(B)に示すように、密着層付きガラス基板14の密着層18が支持基板12に接するように、密着層付きガラス基板14を支持基板12上に配置する。その後、図2(C)に示すように、さらに別の密着層付きガラス基板14を順次積層する。その際、積層された一の密着層付きガラス基板14中の密着層18と、一の密着層付きガラス基板14に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16とが接するように配置する。言い換えれば、密着層18とガラス基板16とが交互に配置されるように、密着層付きガラス基板14を積層する。このような態様に密着層付きガラス基板14を配置することにより、密着層付きガラス基板14同士を剥離可能に密着させることができる。なお、図2(C)の多層ガラス積層体10においては、3枚の密着層付きガラス基板14が積層されている。
密着層付きガラス基板14を剥離可能に密着(接触)させる方法は特に限定されず、公知の方法が使用される。例えば、常圧環境下で一の密着層付きガラス基板14を支持基板12上または積層された密着層付きガラス基板14中のガラス基板16上に重ねた後、ロールやプレスを用いて一の密着層付きガラス基板14を圧着させる方法が挙げられる。ロールやプレスで圧着することにより密着層18とガラス基板16とがより密着するので好ましい。また、ロールまたはプレスによる圧着により、密着層18とガラス基板16との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保がより好ましく行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、密着層付きガラス基板14のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
密着層付きガラス基板14を剥離可能に密着させる際には、密着層18および積層されるガラス基板16の互いに接触する側の面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。
また、密着層付きガラス基板14を積層する際には、一の密着層付きガラス基板14が積層されるガラス基板の表面を研磨する工程を実施してもよい。つまり、支持基板上に積層された一の密着層付きガラス基板中のガラス基板上を研磨して、その後、他の密着層付きガラス基板を積層してもよい。
本工程を設けることにより、ガラス基板表面の微小な凹凸および疵を除去することができ、電子デバイス用部材が形成される面の平坦性をより向上することができる。よって、製品である電子デバイスの信頼性を高めることができる。この効果は、本発明で使用される厚みが0.3mm以下のガラス基板に対して顕著である。
研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、メカニカルな研磨(物理研磨)または化学的な研磨(化学研磨)を使用することができる。メカニカルな研磨としては、セラミック砥粒を吹き付けて研削するサンドブラスト方法、ラッピングシートや砥石を用いた研磨、砥粒と化学溶媒を併用した化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いることができる。
また、化学研磨(ウェットエッチングと呼ぶこともある)としては、薬液を使用してガラス基板の表面を研磨する方法を用いることができる。
なかでも、研磨後のガラス基板表面の平坦性および清浄度がより高い点で、化学的機械研磨が好ましい。なお、化学的機械研磨で使用される砥粒としては、酸化セリウムなどの公知の砥粒を使用することができる。
(多層ガラス積層体)
多層ガラス積層体10は、支持基板12、および、3枚の密着層付きガラス基板14を有する。密着層付きガラス基板14同士は、一の密着層付きガラス基板14中の密着層18と一の密着層付きガラス基板14に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16とが接触するように、配置される。
なお、多層ガラス積層体10においては、3枚の密着層付きガラス基板14が含まれるが、この態様には限定されず、複数(少なくとも2以上)の密着層付きガラス基板14が含まれていればよい。密着層付きガラス基板14の積層枚数の上限は特に制限されないが、搬送のしやすさの点からは、10枚以下が好ましく、5枚以下がより好ましく、4枚以下がさらに好ましい。
多層ガラス積層体10は、種々の用途に使用することができ、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品を製造する用途などが挙げられる。なお、該用途では、多層ガラス積層体10が高温条件(例えば、300℃以上)で曝される(例えば、1時間以上)場合が多い。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。
(多層ガラス積層体の好適態様)
多層ガラス積層体の好適態様の一つとしては、マーカーを備える多層ガラス積層体が挙げられる。より具体的には、支持基板、および、支持基板上に複数枚積層して配置された、ガラス基板とガラス基板の一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板を有し、積層された密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなり、密着層付きガラス基板中のガラス基板の表面上に、支持基板側から数えて何枚目の密着層付きガラス基板かを認識するためのマーカーを備える、多層ガラス積層体が挙げられる。
上記のような多層ガラス積層体であれば、支持基板上に何枚の密着層付きガラス基板が積層されているか容易に理解でき、製造適性に優れる。
マーカーが施されるガラス基板上の位置は特に制限されないが、通常、ガラス基板の周縁部付近に配置される。
マーカーの種類は特に制限されず、文字・記号・色などが挙げられる。例えば、「1」、「2」、「3」などの数字をマーカーとして使用し、これらの数字を各密着層付きガラス基板中のガラス基板上に付与する方法が挙げられる。
[第2工程]
第2工程(S104)は、多層ガラス積層体の最外側に配置された密着層付きガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る工程A(S106)と、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された密着層付きガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する工程B(S108)とを繰り返して実施し、複数枚の電子デバイスを得る工程である。
より具体的には、図2(D)に示すように、工程A(S106)では、多層ガラス積層体10の最外側に配置された密着層付きガラス基板14中のガラス基板16上に電子デバイス用部材20を形成して、電子デバイス用部材付き積層体22を得る。その後、図2(E)に示すように、工程B(S108)では、電子デバイス用部材付き積層体22から、最外側に配置された密着層付きガラス基板14および電子デバイス用部材20を有する電子デバイス24を剥離する。その後、図2(F)〜(I)に示すように、所定枚数の電子デバイスが得られるまで、工程A(S106)および工程B(S108)を繰り返す。この場合、さらに工程A(S106)および工程B(S108)をそれぞれ2回繰り返すことにより、合計3枚の電子デバイス24を製造することができる。
なお、工程A(S106)および工程B(S108)は、所定枚数の電子デバイスが得られるまで繰り返せばよく、例えば、5枚の密着層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体に対して工程A(S106)および工程(S108)をそれぞれ3回繰り返して、3枚の電子デバイスを得てもよい。また、支持基板12上の全ての密着層付きガラス基板が剥離されるまで、工程A(S106)および工程B(S108)をそれぞれ繰り返してもよい。なお、支持基板12上の全ての密着層付きガラス基板が剥離されるまで繰り返す場合、支持基板12上に少なくとも1枚の密着層付きガラス基板が積層されていれば、その積層体に対して工程A(S106)および工程(S108)を実施する。
まず、工程A(S106)で使用される電子デバイス用部材20について詳述し、その後工程A(S106)および工程B(S108)の手順について詳述する。
(電子デバイス用部材(機能性素子))
電子デバイス用部材20は、密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の主面上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材20としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品などに用いられる部材が挙げられる。表示装置用パネルとしては、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル等が含まれる。
例えば、太陽電池用部材としては、シリコン型では、正極の酸化スズなど透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、電子部品用部材としては、CCDやCMOSでは、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられ、その他に圧力センサ・加速度センサなど各種センサやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板などに対応する各種部材等を挙げることができる。
(工程A(S106)の手順)
上述した電子デバイス用部材付き積層体22の製造方法は特に限定されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、多層ガラス積層体10中の最外側に位置する密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の主面表面上に、電子デバイス用部材20を形成する(図2(D)参照)。
なお、電子デバイス用部材20は、ガラス基板16の主面に最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。また、剥離された部分部材付きガラス基板を、その後の工程で全部材付きガラス基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
また、剥離された全部材付きガラス基板には、その剥離面に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。また、全部材付き積層体を組み立て、その後、全部材付き積層体から電子デバイス24を剥離して、電子デバイスを製造することもできる。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて電子デバイスを組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚の多層ガラス積層体を剥離して、電子デバイスを製造することもできる。
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、多層ガラス積層体10の最外側に位置する密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の表面上に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
また、例えば、TFT−LCDの製造方法は、多層ガラス積層体10の最外側に位置する密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の主面上に、レジスト液を用いて、CVD法およびスパッター法など、一般的な成膜法により形成される金属膜および金属酸化膜等にパターン形成して薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、別の多層ガラス積層体10の最外側に位置する密着層付きガラス基板14中のガラス基板16の主面上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成するCF形成工程と、TFT形成工程で得られたTFT付き積層体とCF形成工程で得られたCF付き積層体とをTFTとCFとが対向するようにシールを介して積層する貼り合わせ工程等の各種工程を有する。
TFT形成工程やCF形成工程では、周知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板の主面にTFTやCFを形成する。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
なお、TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板の主面を洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
貼り合わせ工程では、例えば、TFT付き積層体とCF付き積層体との間に液晶材を注入して積層する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法、滴下注入法がある。
(工程B(S108))
工程B(S108)は、上記工程A(S106)で得られた電子デバイス用部材付き積層体22から、密着層付きガラス基板14と電子デバイス用部材20とを有する電子デバイス24とを剥離する工程である(図2(E))。
剥離時のガラス基板上の電子デバイス用部材が必要な全構成部材の形成の一部である場合には、分離後、残りの構成部材をガラス基板上に形成することもできる。
以下、工程B(S108)の手順について詳述する。
電子デバイス24を剥離する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、電子デバイス用部材付き積層体22の最外層に位置する密着層付きガラス基板14中の密着層18と、その密着層18に隣接する他の密着層付きガラス基板14中のガラス基板16との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体22の支持基板12が上側、電子デバイス用部材20側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材20側を定盤上に真空吸着し(両面に支持基板が積層されている場合は順次行う)、この状態でまず刃物をガラス基板16−密着層18界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基板12側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうするとガラス基板16と密着層18との界面へ空気層が形成され、その空気層が界面の全面に広がり、電子デバイス24を容易に剥離することができる。
また、電子デバイス用部材付き積層体22から電子デバイス24を剥離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、電子デバイス24に影響する可能性のある静電気を抑えることができる。あるいは、電子デバイス24に静電気を消耗させる回路を組み込んだり、犠牲回路を組み込んで端子部から積層体の外に導通をとったりしてもよい。
さらに、図2(F)〜(I)に示すように、工程A(S106)および工程B(S108)を繰り返して実施することにより、電子デバイス24をさらに2個製造することができる。
より具体的には、図2(F)に示すように、図2(E)で残存する多層ガラス積層体110の最外側に位置する密着層付きガラス基板14中のガラス基板16上に電子デバイス用部材20を形成して、電子デバイス用部材付き積層体122を得る。その後、図2(G)に示すように、上述した方法により電子デバイス用部材付き積層体122から電子デバイス24を剥離する。さらに、図2(H)および(I)に示すように、支持基板12上から密着層付きガラス基板14が剥離されるように、工程Aおよび工程Bを繰り返して実施することにより、電子デバイス24を更にもう1枚製造する。
図2(D)〜(I)においては、工程A(S106)および工程B(S108)をそれぞれ3回実施することにより、電子デバイスを3個製造しているが、この態様には限定されない。
工程A(S106)および工程B(S108)は、多層ガラス積層体中に含まれる密着層付きガラス基板14の枚数に応じて、適宜繰り返して実施される。例えば、多層ガラス積層体中に10枚の密着層付きガラス基板が積層されている場合は、工程A(S106)および工程B(S108)の一連の処理を10回繰り返して、10枚の電子デバイスを製造できる。
電子デバイス24は、携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置の製造に好適である。表示装置は主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。基本的にパッシブ駆動型、アクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも適用することができる。
なお、図2においては、多層ガラス積層体中の密着層付きガラス基板14中の密着層18が支持基板12側に配置されているが、この態様には限定されない。
例えば、密着層が上述した無機層である場合、まず、支持基板上に無機層を設けて、その無機層上に無機層付きガラス基板をガラス基板が支持基板側に配置されるように積層されてもよい。つまり、無機層付き支持体上に複数枚積層して配置された無機層付きガラス基板を有し、それら無機層付きガラス基板はガラス基板が支持体側に向くように積層している多層ガラス積層体であってもよい。言い換えると、積層された無機層付きガラス基板のうち一の無機層付きガラス基板の無機層と、一の無機層付きガラス基板に隣接する他の無機層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなる。この場合、多層ガラス積層体の最外側には無機層が配置され、この無機層上に電子デバイス用部材が配置される。
なお、上記の多層ガラス積層体の場合、最外側に位置する無機層上にさらにガラス基板を積層してもよい。
<第2の実施形態>
図3は、本発明の電子デバイスの製造方法の第2の実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図3に示すように、電子デバイスの製造方法の第2の実施形態は、多層ガラス積層体を形成する第1工程(S202)と、複数枚の電子デバイスを製造する第2工程(S104)とを備える。第1工程(S202)は、硬化前積層体を形成する工程C(S204)と、硬化処理を行う工程D(S206)と、硬化後積層体のガラス基板の表面処理を行う工程E(S208)と、硬化後積層体と未硬化の硬化性樹脂組成物層とガラス基板とを有する硬化前積層体を形成する工程F(S210)と、硬化処理を行う工程G(S212)とを有し、上記工程C(S204)および工程D(S206)を行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程E(S208)〜工程G(S212)を繰り返して多層ガラス積層体を得る工程である。
図3に示す各工程は、第1工程S202が工程C(S204)〜工程G(S212)より構成される点を除いて、図1に示す工程と同様の手順であり、同一の工程には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では主として工程C(S204)〜工程G(S212)について詳述する。
また、図4は、本発明の電子デバイスの製造方法の第2の実施形態における第1工程(S202)の製造工程を順に示す模式的断面図である。図4においては、第1の実施形態の図2で使用された同じ部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
(工程C(S204))
工程Cは、易剥離性を示す表面を有する支持基板(以後、適宜、剥離性支持基板とも称する)と、支持基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板とをこの順で有する硬化前積層体を形成する工程である。より具体的には、図4(A)に示すように、易剥離性を示す表面112aを有する支持基板112と、未硬化の硬化性樹脂組成物層30と、ガラス基板16とをこの順で有する硬化前積層体32を形成する工程である。
この硬化前積層体32においては、未硬化の硬化性樹脂組成物層30はその表面がガラス基板16および剥離性支持基板112と隙間を空けることなく接している。そのため、後述する工程Dにおいて硬化性樹脂組成物層を硬化させると、積層されたガラス基板16の表面の平坦性がより優れる。
硬化前積層体32を得る方法は特に制限されないが、生産性および取り扱い性などにより優れる点から、以下の二つの方法が好ましく挙げられる。
(第1態様):支持基板の易剥離性を示す表面上に硬化性樹脂組成物を塗布して、未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、さらに未硬化の硬化性樹脂組成物層上にガラス基板を積層する方法
(第2態様):ガラス基板の表面上に硬化性樹脂組成物を塗布して、未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、さらに支持基板の易剥離性を示す表面が未硬化の硬化性樹脂組成物層と接触するように、未硬化の硬化性樹脂組成物層上に支持基板を積層する方法が挙げられる。
以下では、代表して、第1態様について詳述する。まず、本工程で使用される材料(易剥離性を示す表面を有する支持基板)について詳述し、その後第1態様の手順について詳述する。
(易剥離性を示す表面を有する支持基板)
易剥離性を示す表面を有する支持基板(以後、剥離性支持基板とも称する)とは、積層される樹脂層付きガラス基板中の樹脂層に対して易剥離性を示す表面を有する支持基板を意味する。なお、剥離性支持基板の表面が有する易剥離性とは、後述する硬化後積層体から剥離性支持基板を剥離するための外力を加えた場合、ガラス基板と樹脂層との界面および樹脂層内部で剥離すること無く、剥離性支持基板と樹脂層との界面で剥離する性質を意味する。
剥離性支持基板の易剥離性を示す表面の水接触角は、剥離性支持基板と樹脂層との界面での剥離がより進行しやすい点から、90°以上であることが好ましく、90〜120°であることがより好ましく、90〜110°であることがさらに好ましい。
なお、水接触角の測定は、接触角計(クルス社製、DROP SHAPE ANALYSIS SYSTEM DSA 10Mk2など)を用いて行うことができる。
剥離性支持基板の製造方法は特に制限されず、例えば、支持基板の表面上に上述した方法により密着層を設ける方法が挙げられる。つまり、剥離性支持基板として、密着層がその表面上に固定された密着層付き支持基板を使用する方法が挙げられる。なかでも、公知の剥離剤を用いて支持基板の表面を処理し、易剥離性を示す表面を有する剥離性支持基板を得る方法が好ましく挙げられる。該工程を実施することにより、支持基板の種類によらず、易剥離性を示す表面を有する剥離性支持基板を得ることができる。
なお、剥離剤としては公知の剥離剤を使用することができ、例えば、シリコーン系化合物(例えば、シリコーンオイルなど)、シリル化剤(例えば、ヘキサメチルジシラザンなど)、フッ素系化合物(例えば、フッ素樹脂など)などが挙げられる。
なお、使用される硬化性樹脂組成物としては、第1の実施形態中の樹脂層を形成するために使用される組成物が挙げられる。
(工程C(S204)の手順)
工程C(S204)の第1態様では、まず、剥離性支持基板の易剥離性を示す表面上に硬化性組成物を塗布する。硬化性樹脂組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、塗布方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。
また、硬化性樹脂組成物の塗布量は特に制限されないが、樹脂層の好適な厚みが得られる点から、1〜100g/m2であることが好ましく、5〜20g/m2であることがより好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物に溶媒が含まれている場合は、必要に応じて、硬化性樹脂が硬化しない程度の加熱処理を行って、溶媒を揮発させてもよい。
硬化性樹脂組成物を剥離性支持基板上に塗布して得られる未硬化の硬化性樹脂組成物層の厚みは特に制限されず、後述する好適な厚みを有する樹脂層が得られるように適宜調整される。
次に、未硬化の硬化性樹脂組成物層の上に、ガラス基板を積層する。
ガラス基板を未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、常圧環境下で未硬化の硬化性樹脂組成物層の表面上にガラス基板を重ねる方法が挙げられる。なお、必要に応じて、未硬化の硬化性樹脂組成物層の表面上にガラス基板を重ねた後、ロールやプレスを用いて未硬化の硬化性樹脂組成物層にガラス基板を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、未硬化の硬化性樹脂組成物層とガラス基板の層との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
上記工程により得られた硬化前積層体には、剥離性支持基板の層と未硬化の硬化性樹脂組成物層とガラス基板の層とがこの順で含まれる。
なお、上記では第1態様の手順について述べたが、上記手順を参照して第2態様を実施してもよい。
(工程D(S206))
工程D(S206)は、上記工程C(S204)で得られた硬化前積層体に対して硬化処理を施し、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化させ、樹脂層を有する硬化後積層体(硬化処理が施された積層体)を得る工程である。より具体的には、図4(B)に示すように、本工程を実施することにより、未硬化の硬化性樹脂組成物層30が硬化して樹脂層34が得られ、剥離性支持基板112の層と樹脂層34とガラス基板16の層とをこの順で有する硬化後積層体36が得られる。
本工程D(S206)で実施される硬化処理は、使用される硬化性樹脂の種類によって適宜最適な方法が選択されるが、通常、加熱処理または露光処理が行われる。
硬化性樹脂組成物層中に含まれる硬化性樹脂が熱硬化性である場合は、未硬化の硬化性樹脂組成物層に対して加熱処理を施すことにより、該層を硬化させることができる。加熱処理の条件は使用される熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜最適な条件が選択される。なかでも、硬化性樹脂の硬化速度および形成される樹脂層の耐熱性などの点から、150〜300℃(好ましくは180〜250℃)で10〜120分間(好ましくは30〜60分間)加熱処理を行うことが好ましい。
硬化性樹脂組成物層中に含まれる硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合は、未硬化の硬化性樹脂組成物層に対して露光処理を施すことにより、該層を硬化させることができる。露光処理の際に照射される光の種類は、光硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、紫外光、可視光、赤外光などが挙げられる。また、露光処理の際の照射時間は、硬化性樹脂の硬化速度および形成される樹脂層の耐光性などの点から、0.1〜10分間(好ましくは0.5〜5分間)が好ましい。
得られた硬化後積層体36中、樹脂層34は、ガラス基板16上に固定(接着)されており、また、剥離性支持基板112に剥離可能に密着されている。つまり、樹脂層34およびガラス基板16を含む樹脂層付きガラス基板は、第1の実施形態で述べた密着層付きガラス基板に相当する。
(工程E(S208))
工程E(S208)は、工程D(S206)で形成された硬化後積層体中のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有する硬化後積層体を得る工程である。より具体的には、図4(C)に示すように、本工程を実施することにより、ガラス基板16の露出表面が剥離剤で処理され、易剥離性を示す表面16aとなる。
使用される剥離剤の種類は特に制限されず、例えば、剥離剤としては公知の剥離剤を使用することができ、例えば、シリコーン系化合物(例えば、シリコーンオイルなど)、シリル化剤(例えば、ヘキサメチルジシラザンなど)、フッ素系化合物(例えば、フッ素樹脂など)などが挙げられる。
処理方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記公知の剥離剤をガラス基板上に塗布して、必要に応じて加熱処理または光照射処理を実施する方法が挙げられる。
ガラス基板の易剥離性を示す表面16aの水接触角は、積層される密着層付きガラス基板の剥離がより進行しやすい点から、90°以上であることが好ましく、90〜120°であることがより好ましく、90〜110°であることがさらに好ましい。
なお、水接触角の測定は、接触角計(クルス社製、DROP SHAPE ANALYSIS SYSTEM DSA 10Mk2など)を用いて行うことができる。
(工程F(S210))
工程F(S210)は、工程E(S208)で得られた硬化後積層体と、硬化後積層体中の最外側のガラス基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板とをこの順で有する硬化前積層体を形成する工程である。より具体的には、図4(D)に示すように、本工程により、硬化後積層体36と、硬化後積層体36のガラス基板16の易剥離性を示す表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層30とガラス基板16とをこの順で有する硬化前積層体132が形成される。
工程F(S210)の手順は、上述した工程C(S204)の手順と同じである。
また、工程F(S210)で使用される硬化性樹脂組成物も、工程C(S204)で使用される硬化性樹脂組成物と同じである。
(工程G(S212))
工程G(S212)は、上記工程F(S210)で得られた硬化前積層体に対して硬化処理を施し、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化させ、樹脂層を有する硬化後積層体(硬化処理が施された積層体)を得る工程である。より具体的には、図4(E)に示すように、本工程を実施することにより、未硬化の硬化性樹脂組成物層30が硬化して樹脂層34が得られ、樹脂層34およびガラス基板16を含む樹脂層付きガラス基板が2枚積層された硬化後積層体136が得られる。
硬化処理の条件は、上記工程D(S206)と同様である。
第1工程(S202)においては、工程C(S204)および工程D(S206)を行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程E(S208)〜工程G(S212)を繰り返して多層ガラス積層体を得る。
図4においては、工程C(S204)〜工程G(S212)を実施することにより、2枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体が得られる。例えば、工程C(S204)および工程D(S206)を行った後、工程E(S208)〜工程G(S212)までの一連の処理を3回実施すれば、合計4枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体が得られる。
上記態様によって得られる多層ガラス積層体においては、積層された一の樹脂層付きガラス基板の樹脂層と、一の樹脂層付きガラス基板に隣接する他の樹脂層付きガラス基板中のガラス基板との間に気泡などの発生がより抑制され、多層ガラス積層体中におけるガラス基板の平坦性により優れる。
なお、得られた多層ガラス積層体に対して、上述した第2工程(S104)を実施することにより、複数枚の電子デバイスを製造することができる。例えば、合計4枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体に対して第2工程(S104)を4回実施すると、4枚の電子デバイスを製造することができる。
なお、第2の実施形態においては、工程D(S206)と工程E(S208)との間に、ガラス基板の表面を研磨する工程を実施してもよい。また、工程E(S208)から工程G(S212)を繰り返す場合における、工程E(208)の前に硬化後積層体中のガラス基板の表面を研磨する工程を実施してもよい。
本工程を設けることにより、ガラス基板表面の微小な凹凸および疵を除去することができ、電子デバイス用部材が形成される面の平坦性をより向上することができる。よって、製品である電子デバイスの信頼性を高めることができる。この効果は、本発明で使用される厚みが0.3mm以下のガラス基板に対して顕著である。
研磨の方法は、第1の実施形態で説明した方法と同じである。
<第3の実施形態>
図5は、本発明の電子デバイスの製造方法の第3の実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図5に示すように、電子デバイスの製造方法の第3の実施形態は、多層ガラス積層体を形成する第1工程(S302)と、複数枚の電子デバイスを製造する第2工程(S104)とを備える。第1工程(S302)は、未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい支持基板を有する硬化前積層体を形成する工程H(S304)と、硬化処理を行う工程I(S306)と、硬化後積層体中の支持基板の外周縁に沿って樹脂層およびガラス基板を切断する工程J(S308)と、硬化後積層体のガラス基板の表面処理を行う工程K(S310)と、硬化後積層体と未硬化の硬化性樹脂組成物層とガラス基板とを有する硬化前積層体を形成する工程L(S312)と、硬化処理を行う工程M(S314)と、硬化後積層体中の支持基板の外周縁に沿って樹脂層およびガラス基板を切断する工程N(S316)とを有し、上記工程H(S304)〜工程J(S308)を行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程K(S310)〜工程N(S316)を繰り返して多層ガラス積層体を得る工程である。
図5に示す各工程は、第1工程(S302)が工程H(S304)〜工程N(S316)より構成される点を除いて、図1に示す工程と同様の手順であり、同一の工程には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では主として工程H(S304)〜工程N(S316)について詳述する。
また、図6は、本発明の電子デバイスの製造方法の第3の実施形態における第1工程(S302)の製造工程を順に示す模式的断面図である。図6においては、第1の実施形態の図2または第2の実施形態の図4で使用された同じ部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
(工程H(S304))
工程H(S304)は、ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、その未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有する易剥離性を示す表面を有する支持基板(以後、剥離性支持基板とも称する)を、易剥離性を示す表面が未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、未硬化の硬化性樹脂組成物層に支持基板と接触しない周縁領域が残るように、未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程である。より具体的には、図6(A)に示すように、ガラス基板16と、未硬化の硬化性樹脂組成物層30と、剥離性支持基板112とをこの順で有する硬化前積層体232が形成される。剥離性支持基板112の易剥離性を示す表面112aは、未硬化の硬化性樹脂組成物層30と接触している。
なお、図7(A)は硬化前積層体232の上面図であり、該図に示されるように、未硬化の硬化性樹脂組成物層30の周縁領域30aは、剥離性支持基板112と接触していない。
通常、未硬化の硬化性樹脂組成物層30の露出表面には、その表面張力の影響によって周縁部付近に凸部が生じやすい(図7(B)参照)。剥離性支持基板112を積層する際に、そのような凸部と接触すると、剥離性支持基板112と未硬化の硬化性樹脂組成物層30との間に空隙40が生じることがあり、結果として剥離性支持基板112と未硬化の硬化性樹脂組成物層30とが接触しない領域が生じる場合がある(図7(C))。このような領域があると、後述する工程I(S306)で得られる樹脂層の剥離性支持基板に対する密着性が低下する場合がある。また、空隙40に異物が入り込み電子デバイス用部材を汚染する汚染源となり、電子デバイスの歩留まりを低下させる原因ともなり得る。
そこで、未硬化の硬化性樹脂組成物層30の外形よりも小さい外形を有する剥離性支持基板112を使用することにより、該凸部と接触させることなく、剥離性支持基板112を未硬化の硬化性樹脂組成物層30と接触させることができる。結果として、剥離性支持基板112と未硬化の硬化性樹脂組成物層30とが接触しない領域の発生がより抑制される。
ガラス基板16の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層30を形成する方法は特に制限されず、例えば、硬化性樹脂組成物をガラス基板16上に塗布する方法(塗布方法)が挙げられる。この塗布方法は特に制限されず、第2の実施形態の工程C(S204)で述べた方法などが使用される。
また、剥離性支持基板112を未硬化の硬化性樹脂組成物層30上に積層する方法は特に制限されず、第2の実施形態の工程C(S204)で述べた積層方法などが使用される。
該態様においては、未硬化の硬化性樹脂組成物層30の外形は剥離性支持基板112の外形よりも大きい。未硬化の硬化性樹脂組成物層30の剥離性支持基板112と接触する領域の面積Aと未硬化の硬化性樹脂組成物層30の全面積Bとの比(面積A/全面積B)は、0.98以下であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、樹脂層の厚みムラの発生がより抑制される。下限は特に制限されないが、生産性などの点から、0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましい。
また、剥離性支持基板112の外周縁から未硬化の硬化性樹脂組成物層30の外周縁までの長さは、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、樹脂層の厚みムラの発生がより抑制される。上限は特に制限されないが、生産性などの点から、100mm以下が好ましい。
(工程I(S306))
工程I(S306)は、上記工程H(S304)で得られた硬化前積層体に対して硬化処理を施し、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化させ、樹脂層を有する硬化後積層体(硬化処理が施された積層体)を得る工程である。より具体的には、図6(B)に示すように、本工程を実施することにより、未硬化の硬化性樹脂組成物層30が硬化して樹脂層34が得られ、ガラス基板16と樹脂層34と剥離性支持基板112の層との層とをこの順で有する硬化後積層体236が得られる。
硬化処理の方法・条件は特に制限されないが、上述した第2の実施形態の工程D(S206)で述べた方法・条件などが挙げられる。
(工程J(S308))
工程J(S308)は、上記工程I(S306)で得られた硬化後積層体中の剥離性支持基板の外周縁に沿って、樹脂層およびガラス基板を切断する工程である。言い換えると、硬化後積層体中の樹脂層およびガラス基板のそれぞれの外周部を切断して、剥離性支持基板、樹脂層、およびガラス基板のそれぞれの外周縁の全周を揃える工程である。より具体的には、図6(C)に示すように、本工程によって、剥離性支持基板112の外周縁に沿って、樹脂層34およびガラス基板16が切断され、切断後積層体42(切断処理が施された積層体)が得られる。
樹脂層およびガラス基板を切断する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、図8〜図10に基づいて説明される切断方法が、取扱い性などの点から好ましい。
図8はステージ上に載置した硬化後積層体を一部透視して示す平面図であり、図9はステージ上に載置した硬化後積層体および加工ヘッドを一部破壊して示す断面図であり、図10は別のステージ上に載置した硬化後積層体および挟持治具を示す断面図である。
図8に示すように、硬化後積層体236は、剥離性支持基板112の主面がステージ50で支持されると共に、剥離性支持基板112の外周縁がステージ50上に設けられる位置決めブロック51〜53に当接される。
図8においては、剥離性支持基板112の露出表面がステージ50の上面で支持されると共に、矩形状の剥離性支持基板112の互いに垂直な2辺112bおよび112cが位置決めブロック51〜53に当接される。その後、剥離性支持基板112の残りの各辺112d、112eに、移動ブロック54、55が接近され、当接される。
図8に示すように、剥離性支持基板112の外周縁が位置決めブロック51〜53に当接されると、剥離性支持基板112の外周縁とステージ50との位置合わせ精度がよくなる。よって、剥離性支持基板112の外周縁と、樹脂層34およびガラス基板16の外周縁とが精度良く揃えられる。
また、ステージ50の上面に複数設けられる吸着孔内が真空ポンプなどで減圧され、ステージ50の上面に剥離性支持基板112が吸着される。ステージ50の上面には、剥離性支持基板112を保護するため、樹脂フィルムなどが設置されてよい。
次いで、撮像装置がステージ50上の硬化後積層体236を撮像する。撮像された画像はコンピュータに送信される。コンピュータは、受信した画像を画像処理して、剥離性支持基板112の外周縁とステージ50との位置関係を検出する。
次いで、コンピュータは、画像処理の結果に基づいて、硬化後積層体236を加工する加工ヘッド60をステージ50に対して相対移動させる。加工ヘッド60の移動軌跡は、平面視にて剥離性支持基板112の外周縁と重なるように制御する(図9参照)。
なお、本実施形態では、コンピュータは加工ヘッドの移動軌跡を制御するため、画像処理の結果を利用するとしたが、その代わりハードディスクなどの記録媒体などに予め記録されている剥離性支持基板の形状寸法に関する情報を利用してもよい。その場合、撮像装置は不要となる。
図9に示す、加工ヘッド60は、ガラス基板16の種類や厚さなどに応じて構成される。例えば、加工ヘッド60は、ガラス基板16の表面に切線66を形成するものであって、カッタ62などで構成される。
カッタ62は、例えば、円板状であって、外周部がダイヤモンドや超合金などで形成され、ホルダ64は回転可能に支持されている。カッタ62の外周部をガラス基板16の表面に押し付けた状態で、ホルダ64をガラス基板16の面内方向に相対移動させると、カッタ62が回転しながら、ガラス基板16の表面に切線66を形成する。
切線66は、矩形状の剥離性支持基板112の4辺112b、112c、112d、112eに対応して4本設けられ、それぞれ平面視にて剥離性支持基板112の対応する辺と重なるように形成される。各切線66は、ガラス基板16の表面を分断するようにガラス基板16の一辺から他辺まで伸びている。
なお、図9で示す本実施形態の加工ヘッド60は、カッタ62などで構成されているが、先端が円錐形状であってダイヤモンドで形成され、滑りにより切線を入れるポイントスクライバであってもよく、レーザ光源などで構成されていてもよい。レーザ光源は、ガラス基板16の表面にスポット光を照射する。スポット光は、ガラス基板16の表面上で走査され、熱応力によって切線66を形成する。
加工ヘッド60によって切線66が形成された後、真空ポンプが作動停止され、吸引孔内が大気に開放され、吸引が解除される。次いで、移動ブロック54、55が剥離性支持基板112から離間されると共に、剥離性支持基板112が位置決めブロック51〜53から離間される。その後、硬化後積層体236は、ステージ50の上方に持ちあげられ、別のステージ70の上方に移送される。続いて、硬化後積層体236は、下方に降ろされ、ステージ70に載置される(図10参照)。
次いで、図10に示されるように、ステージ70の上面に複数設けられている吸引孔内が真空ポンプなどで減圧され、ステージ70の上面に剥離性支持基板112が吸着される。この状態では、ステージ70の外側に、一本の切線66がはみ出ている。
次いで、一本の切線66よりも外側の部分が、板厚方向に挟持治具72で挟持される。この状態で、挟持治具72が下方向に回動されると、ガラス基板16および樹脂層34に曲げ応力が加わるので、1本の切線66を起点として板厚方向にクラック68が延伸展し、ガラス基板16および樹脂層34が一度に割断される(図10参照)。
次いで、ステージ50上での剥離性支持基板112の吸着が解除され、硬化後積層体236は、平行移動または90°回動された後、再び吸着される。その後、他の1本の切線66に沿って、ガラス基板16および樹脂層34が割断される。これを繰り返して、4本の切線66に沿ってガラス基板16および樹脂層34が割断される。
なお、本実施形態では、割断を行うために、硬化後積層体がステージ50から別のステージ70に移送されるとしたが、同じステージ50上で、平行移動または90°回動された後、割断が行われてもよい。また、必要に応じて割断部に面取処理を施してもよい。
(工程K(S310))
工程K(S310)は、工程J(S308)で形成された切断後積層体中のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有する切断後積層体を得る工程である。より具体的には、図6(D)に示すように、本工程を実施することにより、ガラス基板16の露出表面が剥離剤で処理され、易剥離性を示す表面16aとなる。
工程K(S310)の方法は特に制限されず、例えば、上述した第2の実施形態の工程E(S208)で説明した方法が挙げられる。
(工程L(S312))
工程L(S312)は、ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、その未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有する切断後積層体を、切断後積層体中のガラス基板の易剥離性を示す表面が未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、未硬化の硬化性樹脂組成物層に切断後積層体と接触しない周縁領域が残るように、未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程である。より具体的には、図6(E)に示すように、ガラス基板16と、未硬化の硬化性樹脂組成物層30と、切断後積層体42とをこの順で有する硬化前積層体332が形成される。切断後積層体42のガラス基板の易剥離性を示す表面16aは、未硬化の硬化性樹脂組成物層30と接触している。なお、図6(A)に示した場合と同様に、未硬化の硬化性樹脂組成物層30の周縁領域30aは、切断後積層体42と接触していない。
工程L(S312)の方法・条件は特に制限されないが、上述した工程H(S302)の方法・条件などが挙げられる。
(工程M(S314))
工程M(S314)は、上記工程L(S312)で得られた硬化前積層体に対して硬化処理を施し、硬化前積層体中の未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化させ、樹脂層を有する硬化後積層体(硬化処理が施された積層体)を得る工程である。より具体的には、図6(F)に示すように、本工程を実施することにより、未硬化の硬化性樹脂組成物層30が硬化して樹脂層34が得られ、ガラス基板16と樹脂層34と切断後積層体42の層との層とをこの順で有する硬化後積層体336が得られる。
硬化処理の方法・条件は特に制限されないが、上述した第2の実施形態の工程D(S206)で述べた方法・条件などが挙げられる。
(工程N(S316))
工程N(S316)は、上記工程M(S314)で得られた硬化後積層体中の支持基板の外周縁に沿って、樹脂層およびガラス基板を切断する工程である。言い換えると、硬化後積層体中の樹脂層およびガラス基板のそれぞれの外周部を切断して、切断後積層体、樹脂層、およびガラス基板のそれぞれの外周縁の全周を揃える工程である。より具体的には、図6(G)に示すように、本工程によって、剥離性支持基板112(切断後積層体42)の外周縁に沿って、樹脂層34およびガラス基板16が切断され、切断後積層体142(切断処理が施された積層体)が得られる。
工程N(S316)の方法は特に制限されず、例えば、上記工程J(S308)で述べた方法などが挙げられる。
第1工程(S302)においては、工程H(S304)〜工程J(S308)を行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように工程K(S310)〜工程N(S316)を繰り返して多層ガラス積層体を得る。
図6においては、工程H(S304)〜工程N(S316)を実施することにより、2枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体が得られる。例えば、工程H(S304)〜工程J(S308)を行った後、工程K(S310)〜工程N(S316)までの一連の処理を3回実施すれば、合計4枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体が得られる。
上記態様によって得られる多層ガラス積層体においては、積層された一の樹脂層付きガラス基板の密着層と、一の樹脂層付きガラス基板に隣接する他の樹脂層付きガラス基板中のガラス基板との間に気泡などの発生がより抑制され、多層ガラス積層体中におけるガラス基板の平坦性により優れる。
なお、得られた多層ガラス積層体に対して、第2工程(S104)を実施することにより、複数枚の電子デバイスを製造することができる。例えば、合計4枚の樹脂層付きガラス基板が積層された多層ガラス積層体に対して第2工程(S104)を4回実施すると、4枚の電子デバイスを製造することができる。
なお、第3の実施形態においては、工程J(S308)と工程K(S310)との間に、ガラス基板の表面を研磨する工程を実施してもよい。また、工程K(S310)から工程N(S316)を繰り返す場合における、工程K(S310)の前に切断後積層体中のガラス基板の表面を研磨する工程を実施してもよい。
本工程を設けることにより、ガラス基板表面の微小な凹凸および疵を除去することができ、電子デバイス用部材が形成される面の平坦性をより向上することができる。よって、製品である電子デバイスの信頼性を高めることができる。この効果は、本発明で使用される厚みが0.3mm以下のガラス基板に対して顕著である。
研磨の方法は特に制限されず、例えば、上述した第2の実施形態で述べた研磨方法などが挙げられる。
<第4の実施形態>
図11は、本発明の電子デバイスの製造方法の第4の実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図11に示すように、電子デバイスの製造方法の第4の実施形態は、多層ガラス積層体を形成する第1工程(S402)と、複数枚の電子デバイスを製造する第2工程(S104)とを備える。第1工程(S402)は、易剥離性を示す表面を有する支持基板、支持基板の易剥離性を示す表面上に少なくとも1枚配置された密着層付きガラス基板、および、密着層付きガラス基板上で最外側に配置されたガラス基板を有し、密着層付きガラス基板中のガラス基板が支持基板側を向いて配置されている多層ガラス積層体を形成する工程である。
図11に示す各工程は、第1工程(S402)を除いて、図1に示す工程と同様の手順であり、同一の工程には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では主として第1工程(S402)について詳述する。
また、図12は、本発明の電子デバイスの製造方法の第4の実施形態における第1工程(S402)の手順を順に示す模式的断面図である。図12においては、第1の実施形態の図2、第2の実施形態の図4、および、第3の実施形態の図6で使用された同じ部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、第4の実施形態では、密着層付きガラス基板中の密着層上に電子デバイス用部材を形成することができる。つまり、多層ガラス積層体中において密着層が他のガラス基板との易剥離性を示す機能を有すると共に、電子デバイス用部材に好適な下地層としての機能も有する。
(第1工程(S402))
第1工程(S402)は、図12(C)に示すように、易剥離性を示す表面を有する支持基板112、支持基板112の易剥離性を示す表面112a上に少なくとも1枚配置された密着層付きガラス基板114、および、密着層付きガラス基板114上に配置されたガラス基板16を有する多層ガラス積層体210を形成する工程である。なお、多層ガラス積層体210中において密着層付きガラス基板114は、支持基板112上に剥離可能に配置され、密着層付きガラス基板114中のガラス基板16は支持基板112側を向いて配置されている。また、多層ガラス積層体210の最外側には、ガラス基板16が密着層付きガラス基板114上に剥離可能に配置されている。なお、多層ガラス積層体210中において、密着層付きガラス基板114、および、最外側に配置されたガラス基板16が、電子デバイス形成用ガラス基板に該当する。
以下に、図12を参照して、第1工程(S402)の手順の一例について詳述する。
まず、図12(A)に示すように、易剥離性を示す表面112aを有する支持基板112を用意する。なお、以後、剥離性支持基板112とも称する。剥離性支持基板の定義は、上述の通りである。
次に、図12(B)に示すように、剥離性支持基板112の易剥離性を示す表面112a上に、密着層付きガラス基板114を配置する。その際、密着層付きガラス基板114中のガラス基板16が剥離性支持基板112と向き合うように配置する。密着層付きガラス基板114中の密着層74としては、上述した無機層、または、シリコーンオイル、シリル化剤若しくはフッ素系化合物により形成される層が好適に使用される。
密着層付きガラス基板114は、剥離性支持基板112上に剥離可能に配置されているため、後述する第2工程(S104)において、容易に剥離性支持基板112上から剥離される。
また、図12(B)においては、剥離性支持基板112上に1枚の密着層付きガラス基板114が積層されているが、複数枚の密着層付きガラス基板が積層されていてもよい。複数前の密着層付きガラス基板が積層される場合、積層された密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成される。
さらに、図12(C)に示すように、密着層付きガラス基板114中の密着層74上にガラス基板16が配置され、多層ガラス積層体210が形成される。
なお、密着層付きガラス基板114およびガラス基板16を積層する方法は特に制限されず、第1の実施態様などで述べた公知の方法を採用できる。
得られた多層ガラス積層体210に対して、上述した第2工程(S104)を施すことにより、所望の電子デバイスを製造できる。
より具体的には、まず、多層ガラス積層体中の最外側に配置されたガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る。その後、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置されたガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する。その後、残存する積層体中の最外側に配置された密着層付きガラス基板中の密着層上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る。その後、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された密着層付きガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する。
図12(C)に記載の多層ガラス積層体210に対して、上述した処理を施すことにより、合計2枚の電子デバイスを製造することができる。
なお、多層ガラス積層体中に密着層付きガラス基板が複数枚含まれる場合は、工程A(S106)および工程B(S108)を所定回数繰り返すことにより、所望の枚数の電子デバイスを製造することができる。
例えば、剥離性支持基板上に3枚の密着層付きガラス基板と1枚のガラス基板が配置されている場合、上記工程A(S106)および工程B(S108)をそれぞれ4回繰り返すことにより、合計4枚の電子デバイスを製造することができる。
<第5の実施形態>
図13は、本発明の電子デバイスの製造方法の第4の実施形態における製造工程を示すフローチャートである。図13に示すように、電子デバイスの製造方法の第4の実施形態は、多層ガラス積層体を形成する第1工程(S502)と、複数枚の電子デバイスを製造する第2工程(S104)とを備える。第1工程(S502)は、支持基板および支持基板上に複数枚積層して配置された密着層付きガラス基板を有し、密着層付きガラス基板がガラス基板の両主面に密着層が配置されてなる多層ガラス積層体を形成する工程である。
図13に示す各工程は、第1工程(S502)を除いて、図1に示す工程と同様の手順であり、同一の工程には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では主として第1工程(S502)について詳述する。
また、図14は、本発明の電子デバイスの製造方法の第5の実施形態における第1工程(S502)の手順を順に示す模式的断面図である。図14においては、第1の実施形態の図2、第2の実施形態の図4、および、第3の実施形態の図6で使用された同じ部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、第5の実施形態では、密着層付きガラス基板中の密着層上に電子デバイス用部材を形成することができる。つまり、多層ガラス積層体中において密着層が他のガラス基板との易剥離性を示す機能を有すると共に、電子デバイス用部材に好適な下地層としての機能も有する。
(第1工程(S502))
第1工程(S502)は、図14(C)に示すように、支持基板12と、支持基板12上に複数枚積層して配置された密着層付きガラス基板214とを有する多層ガラス積層体310を形成する工程である。なお、密着層付きガラス基板214は、ガラス基板16の両主面に密着層18を有する。また、積層された密着層付きガラス基板は、密着層同士が剥離可能に密着するように配置される。
以下に、図14を参照して、第1工程(S502)の手順の一例について詳述する。
まず、図14(A)に示すように、支持基板12を用意する。
次に、図14(B)に示すように、支持基板12上に密着層付きガラス基板214を積層する。積層する方法は、上述の通りである。また、密着層付きガラス基板214中のガラス基板16および密着層18の定義は上述の通りである。なお、密着層付きガラス基板214は、支持基板12上に剥離可能に積層される。
その後、図14(C)に示すように、さらにもう1枚の密着層付きガラス基板214を積層して、多層ガラス積層体310が製造される。なお、密着層付きガラス基板214同士は、密着層18同士が密着するように構成される。
得られた多層ガラス積層体310に対して、上述した第2工程(S104)を施すことにより、所望の電子デバイスを製造できる。
より具体的には、まず、多層ガラス積層体中の最外側に配置された密着層付きガラス基板中の密着層上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る。その後、電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された密着層付きガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する。その後、同様の工程を実施して、合計2枚の電子デバイスを製造することができる。
なお、図14(C)においては、2枚の密着層付きガラス基板214が使用されているが、その枚数は特に制限されない。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の実施例1では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦760mm、横640mm、板厚0.2mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持基板としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦720mm、横600mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
また、実施例2および3では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦760mm、横640mm、板厚0.2mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持基板としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦760mm、横640mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
<実施例1>
支持基板を純水洗浄、UV洗浄し、表面を清浄化した。その後、支持基板の片面である第2主面にマスクを施したうえで、反対側の第1主面にシリコーンオイル含有量が1質量%のヘプタン溶液をスプレーコートして乾燥した。シリコーンオイルには、ジメチルポリシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、SH200、動粘度190〜210mm2/s)を用いた。続いて、シリコーンオイルの低分子化のため、250℃での加熱処理を5分間行い、剥離性支持基板を得た。
その後、接触角計(クルス社製、DROP SHAPE ANALYSIS SYSTEM DSA 10Mk2)を用いて、剥離性支持基板の第1主面の水接触角を測定したところ、100°であった。
次に、以下の工程Hを実施した。具体的には、ガラス基板の第1主面上に、両末端にビニル基を有する直鎖状オルガノアルケニルポリシロキサン(ビニルシリコーン、荒川化学工業社製、8500)と、分子内にハイドロシリル基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(荒川化学工業社製、12031)と、白金系触媒(荒川化学工業社製、CAT12070)との混合液を、縦750mm、横630mmの大きさで長方形にスクリーン印刷機にて塗工し、未硬化の硬化性シリコーンを含む層をガラス基板上に設けた(塗工量35g/m2)。ここで、直鎖状オルガノアルケニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合比は、ビニル基とハイドロシリル基とのモル比が1:1になるように調節した。また、白金系触媒は、直鎖状オルガノアルケニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとの合計100質量部に対して、5質量部とした。
次に、剥離性支持基板のシリコーン樹脂と接触させる側の面(易剥離性を示す面)を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。その後、剥離性支持基板の易剥離性を示す面と、未硬化の硬化性シリコーンを含む層とを、室温下で真空プレスにより貼り合わせ、30Paで5分間静置して、未硬化の硬化性シリコーンを含む層の脱泡処理を行い、硬化前積層体A0を得た。その際、未硬化の硬化性シリコーンを含む層に剥離性支持基板と接触しない周縁領域が残るように、剥離性支持基板を未硬化の硬化性シリコーンを含む層上に積層した。なお、剥離性支持基板の外周縁から未硬化の硬化性樹脂組成物層の外周縁までの長さは約15mm以上であった。また、未硬化の硬化性樹脂組成物層の剥離性支持基板と接触する領域の面積Aと未硬化の硬化性樹脂組成物層の全面積Bとの比(面積A/全面積B)は、0.91であった。
次に、以下の工程Iを実施した。具体的には、硬化前積層体A0を250℃にて30分間大気中で加熱硬化して、厚さ10μmの硬化したシリコーン樹脂層を含む硬化後積層体A1を得た。
次に、以下の工程Jを実施した。具体的には、位置決め冶具を取り付けた定盤上に硬化後積層体A1の剥離性支持基板を固定し、定盤の上面から剥離性支持基板の外周縁のうち一つの辺と重なるように、ガラス基板の第2主面上にダイヤモンドホイールカッタで切線を刻んだ後、挟持冶具にてガラス基板の切線の外側を挟み込み、割断した。同様に、剥離性支持基板の外周縁の残りの3辺と重なるガラス基板の外側についても割断した後、曲面を有する砥石でガラス基板の割断面を研磨し面取を施して、切断後積層体A2を得た。
次に、切断後積層体A2中のガラス基板の露出表面を純水洗浄、UV洗浄し、表面を清浄化した。その後、ガラス基板の露出表面にシリコーンオイル含有量が1質量%のヘプタン溶液をスプレーコートして乾燥した。シリコーンオイルには、ジメチルポリシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、SH200、動粘度190〜210mm2/s)を用いた。続いて、シリコーンオイルの低分子化のため、250℃での加熱処理を5分間行い、切断後積層体A2のガラス基板の処理を行った。
次に、剥離性支持基板の代わりに、上記表面処理が施された切断後積層体A2を使用して、工程H〜工程Jの処理を実施して、多層ガラス積層体を得た。さらに、得られた多層ガラス積層体に対して、再度工程H〜工程Jの処理を実施して、樹脂層付きガラス基板が3枚積層された多層ガラス積層体を製造した。
次に、多層ガラス積層体を用いてOLEDを作製した。
より具体的には、多層ガラス積層体の最外側における樹脂層付きガラス基板中のガラス基板の主面上に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ゲート電極を設けたガラス基板の主面側に、さらに窒化シリコン、真性アモルファスシリコン、n型アモルファスシリコンの順に成膜し、続いてスパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、ゲート絶縁膜、半導体素子部およびソース/ドレイン電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ガラス基板の主面側に、さらに窒化シリコンを成膜してパッシベーション層を形成した後に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜して、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、画素電極を形成した。
続いて、ガラス基板の主面側に、さらに蒸着法により正孔注入層として4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、正孔輸送層としてビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン、発光層として8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したもの、電子輸送層としてAlq3をこの順に成膜した。次に、ガラス基板の主面側にスパッタリング法によりアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより対向電極を形成した。次に、対向電極を形成したガラス基板の主面上に、紫外線硬化型の接着層を介してもう1枚のガラス基板を貼り合わせて封止した。上記手順によって得られた、ガラス基板上に有機EL構造体を有する切断後積層体は、電子デバイス用部材付き積層体に該当する。
続いて、電子デバイス用部材付き積層体の封止体側を定盤に真空吸着させたうえで、電子デバイス用部材付き積層体の最外側の樹脂層付きガラス基板中のガラス基板と、そのガラス基板に密着するシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、電子デバイス用部材付き積層体からOLEDパネル(樹脂層付きガラス基板と電子デバイス用部材を有する電子デバイスに該当)を剥離して得た。なお、残部として、樹脂層付きガラス基板を含むガラス積層体が得られた。
さらに、OLEDパネルが剥離されて残存する樹脂層付きガラス基板が積層された積層体に対して、上記処理を2回繰り返し、もう2枚のOLEDパネルを製造した。
<実施例2>
支持基板の一方の主面を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。さらに、清浄化した面に、マグネトロンスパッタリング法(加熱温度300℃、成膜圧力5mTorr、パワー密度4.9W/cm2)により、厚さ20nmのSiN層(無機層に該当)を形成し、無機層付き支持基板を得た。
次に、ガラス基板の一方の主面を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。無機層付き支持基板の無機層の露出表面とガラス基板の清浄化した表面とに、アルカリ水溶液による洗浄および水による洗浄を施した後、清浄化された両面を室温下で真空プレスにより貼り合わせ、ガラス積層体B1を得た。
次に、ガラス積層体B1中のガラス基板の露出表面を純水洗浄、UV洗浄し、表面を清浄化した。さらに、清浄化した面にマグネトロンスパッタリング法により、厚さ20nmのSiN層を形成し、2枚目のガラス基板の一方の主面を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。ガラス積層体B1の最外側に位置する無機層の露出表面と2枚目ガラス基板の清浄化した表面とに、アルカリ水溶液による洗浄および水による洗浄を施した後、清浄化された両面を室温下で真空プレスにより貼り合わせ、多層ガラス積層体B2を得た。
また、ガラス積層体B1の代わりに多層ガラス積層体B2を用いて上記と同様の処理を行い、3枚目のガラス基板が積層された多層ガラス積層体B3を得た。さらに、多層ガラス積層体B2の代わりに多層ガラス積層体B3を用いて上記と同様の処理を行い、4枚目のガラス基板が積層された多層ガラス積層体B4を得た。なお、多層ガラス積層体B4においては、3枚の無機層付きガラス基板と1枚のガラス基板とが積層されている。
実施例1で使用された多層ガラス積層体の代わりに、上記多層ガラス積層体B4を用いて、実施例1と同様の手順に従って、4枚のOLEDを作製した。なお、得られたOLEDにおいて、3枚のOLEDでは無機層付きガラス基板の無機層上に電子デバイス用部材が形成されている。
<実施例3>
支持基板の一方の主面を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。さらに、清浄化した面に、ヘキサメチルジシラザン(関東化学株式会社製、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン)を気化したガスを含む雰囲気に、ガラス板を10分間曝して表面処理を行った。
次に、ガラス基板の一方の主面を純水洗浄し、その後UV洗浄して清浄化した。支持基板の上記表面処理を施した表面とガラス基板の清浄化した表面とを室温下で真空プレスにより貼り合わせ、ガラス積層体C1を得た。
次に、ガラス積層体C1中のガラス基板の露出表面を純水洗浄、UV洗浄し、表面を清浄化した。さらに、清浄化した面にヘキサメチルジシラザンを気化したガスを含む雰囲気を10分間曝して表面処理を行った。ガラス積層体C1の上記表面処理を施した表面と2枚目ガラス基板の清浄化した表面とを室温下で真空プレスにより貼り合わせ、多層ガラス積層体C2を得た。
また、ガラス積層体C1の代わりに多層ガラス積層体C2を用いて、3枚目のガラス基板が積層された多層ガラス積層体C3を得た。さらに、多層ガラス積層体C2の代わりに多層ガラス積層体C3を用いて上記と同様の処理を行い、4枚目のガラス基板が積層された多層ガラス積層体C4を得た。なお、多層ガラス積層体C4においては、3枚の密着層付きガラス基板と1枚のガラス基板とが積層されている。
実施例1で使用された多層ガラス積層体の代わりに、上記多層ガラス積層体C4を用いて、実施例1と同様の手順に従って、4枚のOLEDを作製した。なお、得られたOLEDにおいて、3枚のOLEDでは密着層付きガラス基板の無機層上に電子デバイス用部材が形成されている。
<実施例4>
3枚のガラス基板として、それぞれの第1主面上のコーナー部近傍(OLED素子の非形成部に相当)にCO2レーザマーカー(キーエンス社製)で、「No.1」、「No.2」「No.3」と刻印を施したガラス基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、多層ガラス積層体Dを得て、3枚のOLEDを作製した。
10,110,210,310 多層ガラス積層体
12 支持基板
14,114,214 密着層付きガラス基板
16 ガラス基板
18,74 密着層
20 電子デバイス用部材
22,122 電子デバイス用部材付き積層体
24 電子デバイス
30 未硬化の硬化性樹脂組成物層
32,132,232,332 硬化前積層体
34 樹脂層
36,136,236,336 硬化後積層体
40 空隙
42 切断後積層体
50,70 ステージ
51〜53 位置決めブロック
54,55 移動ブロック
60 加工ヘッド
62 カッタ
64 ホルダ
66 切線
68 クラック
72 挟持治具
112 剥離性支持基板

Claims (10)

  1. 電子デバイス形成用ガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスの製造方法であって、
    支持基板および前記支持基板上に複数枚積層して剥離可能に配置された電子デバイス形成用ガラス基板を有し、前記電子デバイス形成用ガラス基板の少なくとも1枚が、ガラス基板と前記ガラス基板の少なくとも一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板である、多層ガラス積層体を形成する第1工程、
    前記多層ガラス積層体の最外側に配置された電子デバイス形成用ガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層体を得る工程Aと、前記電子デバイス用部材付き積層体から、最外側に配置された電子デバイス形成用ガラス基板および電子デバイス用部材を有する電子デバイスを剥離する工程Bとを繰り返して実施し、複数枚の電子デバイスを得る第2工程を有する、電子デバイスの製造方法。
  2. 前記電子デバイス形成用ガラス基板が全て前記密着層付きガラス基板であり、
    前記第1工程が、支持基板および前記支持基板上に複数枚積層して配置された前記密着層付きガラス基板を有し、積層された前記密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、前記一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなる多層ガラス積層体を形成する工程である、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
  3. 前記電子デバイス形成用ガラス基板が、1枚のガラス基板と、少なくとも1枚以上の前記密着層付きガラス基板とを含み、
    前記第1工程が、易剥離性を示す表面を有する支持基板、前記支持基板の易剥離性を示す表面上に少なくとも1枚配置された前記密着層付きガラス基板、および、前記密着層付きガラス基板上で最外側に配置されたガラス基板を有し、前記密着層付きガラス基板中の前記ガラス基板が前記支持基板側を向いて配置されている多層ガラス積層体を形成する工程である、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
  4. 前記密着層が、樹脂層である、請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
  5. 前記密着層が、メタルシリサイド、窒化物、炭化物、および炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する無機層である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
  6. 前記密着層が、シリコーンオイル、シリル化剤またはフッ素系化合物により形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
  7. 前記第1工程が、
    易剥離性を示す表面を有する支持基板と、前記支持基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板をこの順で有する硬化前積層体を形成する工程Cと、
    前記硬化前積層体中の前記未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Dと、
    前記硬化後積層体中の最外側のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有する硬化後積層体を得る工程Eと、
    前記易剥離性を示す表面を有する硬化後積層体と、前記硬化後積層体中の最外側のガラス基板の易剥離性を示す表面上に、未硬化の硬化性樹脂組成物層およびガラス基板をこの順で有する硬化前積層体を形成する工程Fと、
    前記硬化前積層体中の前記未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Gとを有し、
    前記工程Cおよび前記工程Dを行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように前記工程E〜工程Gを繰り返して多層ガラス積層体を得る、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
  8. 前記第1工程が、
    ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有し、易剥離性を示す表面を有する支持基板を、前記易剥離性を示す表面が前記未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層に前記支持基板と接触しない周縁領域が残るように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程Hと、
    前記硬化前積層体中の前記未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Iと、
    前記硬化後積層体中の前記支持基板の外周縁に沿って、前記樹脂層および前記ガラス基板を切断して、切断後積層体を得る工程Jと、
    前記切断後積層体中の最外側のガラス基板の表面を剥離剤で処理して、易剥離性を示す表面を有す切断後積層体を得る工程Kと、
    ガラス基板の表面上に未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成し、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層の外形よりも小さい外形を有する前記切断後積層体を、前記切断後積層体中の前記ガラス基板の易剥離性を示す表面が前記未硬化の硬化性樹脂組成物層に接触すると共に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層に前記切断後積層体と接触しない周縁領域が残るように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層上に積層して、硬化前積層体を得る工程Lと、
    前記硬化前積層体中の前記未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化し、樹脂層を有する硬化後積層体を得る工程Mと、
    前記硬化後積層体中の前記支持基板の外周縁に沿って、前記樹脂層および前記ガラス基板を切断して、切断後積層体を得る工程Nとを有し、
    前記工程H〜前記工程Jを行った後、所定枚数の樹脂層付きガラス基板が積層されるように前記工程K〜工程Nを繰り返して多層ガラス積層体を得る、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
  9. 支持基板、および、
    前記支持基板上に複数枚積層して剥離可能に配置された電子デバイス形成用ガラス基板を有し、
    前記電子デバイス形成用ガラス基板の少なくとも1枚が、ガラス基板と前記ガラス基板の少なくとも一方の主面上に固定された密着層とを有する密着層付きガラス基板であり、
    前記電子デバイス形成用ガラス基板の表面上に、前記支持基板側から数えて何枚目の電子デバイス形成用ガラス基板かを認識するためのマーカーを備える、多層ガラス積層体。
  10. 前記電子デバイス形成用ガラス基板の全てが前記密着層付きガラス基板であり、
    積層された前記密着層付きガラス基板のうち一の密着層付きガラス基板中の密着層と、前記一の密着層付きガラス基板に隣接する他の密着層付きガラス基板中のガラス基板とが剥離可能に密着するように構成されてなり、
    前記密着層付きガラス基板中のガラス基板の表面上に、前記支持基板側から数えて何枚目の密着層付きガラス基板かを認識するためのマーカーを備える、請求項9に記載の多層ガラス積層体。
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