JP6194893B2 - ガラス積層体およびその製造方法、並びに、シリコーン樹脂層付き支持基材 - Google Patents

ガラス積層体およびその製造方法、並びに、シリコーン樹脂層付き支持基材 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス積層体およびその製造方法に係り、特に、シリコーンオイルが含まれるシリコーン樹脂層を有するガラス積層体およびその製造方法に関する。
また、本発明はシリコーン樹脂層付き支持基材に係り、特に、ガラス基板がその表面に剥離可能に積層されるシリコーン樹脂層付き支持基材およびその製造方法に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いるガラス基板の薄板化が進行している。薄板化によりガラス基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、ガラス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、従来から、最終厚さよりも厚いガラス基板上にデバイス用部材(例えば、薄膜トランジスタ)を形成した後、ガラス基板を化学エッチング処理により薄板化する方法が広く採用されている。
しかしながら、この方法では、例えば、1枚のガラス基板の厚さを0.7mmから0.2mmや0.1mmに薄板化する場合、元々のガラス基板の材料の大半をエッチング液で削り落とすことになるので、生産性や原材料の使用効率という観点では好ましくない。また、上記の化学エッチングによるガラス基板の薄板化方法においては、ガラス基板表面に微細な傷が存在する場合、エッチング処理によって傷を起点として微細な窪み(エッチピット)が形成され、光学的な欠陥となる場合があった。
最近では、上記の課題に対応するため、薄板ガラス基板と補強板とを積層したガラス積層体を用意し、ガラス積層体の薄板ガラス基板上に表示装置などの電子デバイス用部材を形成した後、薄板ガラス基板から支持板を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1、または、特許文献2参照)。補強板は、支持板と、該支持板上に固定されたシリコーン樹脂層とを有し、シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板とが剥離可能に密着される。ガラス積層体のシリコーン樹脂層と薄板ガラス基板の界面が剥離され、薄板ガラス基板から分離された補強板は、新たな薄板ガラス基板と積層され、ガラス積層体として再利用することが可能である。
なお、特許文献2(特に、実施例7)においては、シリコーンオイルとしてジメチルポリシロキサンを含むシリコーン樹脂層を使用した態様が具体的に開示されている。
国際公開第2007/018028号 国際公開第2011/142280号
特許文献1および2に記載のガラス積層体に関して、近年さらに高い耐熱性が要求されるようになってきた。ガラス積層体のガラス基板上に形成される電子デバイス用部材の高機能化や複雑化に伴い、電子デバイス用部材を形成する際の温度がさらに高温になると共に、その高温に曝される時間も長時間を要する場合が少なくない。また、使用されるガラス基板もより薄膜化しており、その取扱い性が困難となっていた。
特許文献1および2に記載のガラス積層体は大気中300℃、1時間の処理に耐えうる。しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1および2を参照して、より厚みの薄いガラス基板を使用したガラス積層体に対して350℃、1時間の処理を行った場合、ガラス基板をシリコーン樹脂層表面から剥離する際に、ガラス基板が樹脂層表面から剥がれずにその一部が破壊されたり、樹脂層の樹脂の一部がガラス基板上に残存したりして、結果として電子デバイスの生産性の低下を招く場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高温加熱処理条件後であってもガラス基板とシリコーン樹脂層との剥離強度の上昇が抑制され、容易にガラス基板を剥離することができるガラス積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、該ガラス積層体の製造に使用されるシリコーン樹脂層付き支持基材を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の態様は、支持基材の層とシリコーン樹脂層とガラス基板の層とをこの順で備え、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度がシリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度よりも高いガラス積層体であって、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂が架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、シリコーン樹脂層がシリコーンオイルを含み、シリコーン樹脂層に含まれるシリコーン樹脂およびシリコーンオイルのいずれか一方が芳香族基を有し、他方が芳香族基を実質的に有さない、ガラス積層体である。
第1の態様において、シリコーンオイルがフェニル基を有し、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率が5〜50モル%であることが好ましい。
第1の態様において、シリコーン樹脂層中におけるシリコーンオイルの含有量が、シリコーン樹脂100質量部に対して、6〜20質量部であることが好ましい。
第1の態様において、シリコーンオイルの25℃における粘度が100〜6000cPであることが好ましい。
第1の態様において、シリコーン樹脂層の厚さが2〜100μmであることが好ましい。
第1の態様において、支持基材がガラス板であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、支持基材の片面に架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を形成し、支持基材面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層を形成し、次いでシリコーン樹脂層の表面にガラス基板を積層することを特徴とする第1の態様のガラス積層体を製造する方法である。
本発明の第3の態様は、支持基材と支持基材面上に設けられた剥離性表面を有するシリコーン樹脂層とを有する、シリコーン樹脂層付き支持基材であって、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂が、架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、シリコーン樹脂層がシリコーンオイルを含み、シリコーン樹脂層に含まれるシリコーン樹脂およびシリコーンオイルのいずれか一方が芳香族基を有し、他方が芳香族基を実質的に有さない、シリコーン樹脂層付き支持基材である。
第3の態様において、シリコーンオイルがフェニル基を有し、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率が5〜50モル%であることが好ましく、5〜30モル%であることがさらに好ましい。
第3の態様において、シリコーン樹脂層中におけるシリコーンオイルの含有量が、シリコーン樹脂100質量部に対して、6〜20質量部であることが好ましい。
第3の態様において、シリコーンオイルの25℃における粘度が100〜6000cPであることが好ましい。
本発明によれば、高温加熱処理条件後であってもガラス基板とシリコーン樹脂層との剥離強度の上昇が抑制され、容易にガラス基板を剥離することができるガラス積層体およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、該ガラス積層体の製造に使用されるシリコーン樹脂層付き支持基材を提供することもできる。
図1は、本発明に係るガラス積層体の一実施形態の模式的断面図である。 図2(A)〜図2(D)は、本発明に係る部材付きガラス基板の製造方法の一実施形態を工程順に示す模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本発明のガラス積層体は、支持基材の層とシリコーン樹脂層とガラス基板の層とをこの順で備える。すなわち、支持基材の層とガラス基板の層との間にシリコーン樹脂層を有し、したがって、シリコーン樹脂層は一方の側が支持基材の層に接し、他方の側がガラス基板の層に接している。
本発明のガラス積層体の特徴点の一つは、シリコーン樹脂層にはシリコーンオイルが含まれ、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂およびシリコーンオイルのいずれか一方のみが芳香族基を有し、他方が芳香族基を実質的に有さない点が挙げられる。シリコーン樹脂またはシリコーンオイルのいずれか一方にのみ芳香族基を導入することにより、両者の相溶性が低下する。結果として、シリコーンオイルがシリコーン樹脂層表面に短時間でブリードアウトしやすくなり、シリコーン樹脂層形成後からガラス基板を積層するまでの時間が短くても、ガラス基板に対して良好な剥離性を示すシリコーン樹脂層が得られやすく、結果として高温加熱後であってもガラス基板とシリコーン樹脂層との剥離強度の上昇を抑制することができる。また、後述するように、所定のシリコーンオイルを使用するとシリコーン樹脂層表面の透明性がより担保されると共に、剥離されるガラス基板表面の透明性もより優れたものとなる。
また、本発明のシリコーン樹脂層は良好な剥離性を示すので、ガラス基板の厚みを薄くしても高温加熱後の剥離時にガラス基板が割れにくいという特徴を有する。
図1は、本発明に係るガラス積層体の一例の模式的断面図である。
図1に示すように、ガラス積層体10は、支持基材12の層とガラス基板16の層とそれらの間にシリコーン樹脂層14が存在する積層体である。シリコーン樹脂層14は、その一方の面が支持基材12の層に接すると共に、その他方の面がガラス基板16の第1主面16aに接している。言い換えると、シリコーン樹脂層14はガラス基板16の第1主面16aに接している。
支持基材12の層およびシリコーン樹脂層14からなる2層部分は、液晶パネルなどの電子デバイス用部材を製造する部材形成工程において、ガラス基板16を補強する。なお、ガラス積層体10の製造のためにあらかじめ製造される支持基材12の層およびシリコーン樹脂層14からなる2層部分をシリコーン樹脂層付き支持基材18という。
このガラス積層体10は、後述する部材形成工程まで使用される。即ち、このガラス積層体10は、そのガラス基板16の第2主面16b表面上に液晶表示装置などの電子デバイス用部材が形成されるまで使用される。その後、電子デバイス用部材が形成されたガラス積層体は、シリコーン樹脂層付き支持基材18と部材付きガラス基板に分離され、シリコーン樹脂層付き支持基材18は電子デバイスを構成する部分とはならない。シリコーン樹脂層付き支持基材18には新たなガラス基板16と積層され、新たなガラス積層体10として再利用することができる。
支持基材12とシリコーン樹脂層14の界面は剥離強度(x)を有し、支持基材12とシリコーン樹脂層14の界面に剥離強度(x)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、支持基材12とシリコーン樹脂層14の界面が剥離する。シリコーン樹脂層14とガラス基板16の界面は剥離強度(y)を有し、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の界面に剥離強度(y)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の界面が剥離する。
ガラス積層体10(後述の電子デバイス用部材付き積層体も意味する)においては、上記剥離強度(x)は上記剥離強度(y)よりも高い。したがって、ガラス積層体10に支持基材12とガラス基板16とを引き剥がす方向の応力が加えられると、本発明のガラス積層体10は、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の界面で剥離してガラス基板16とシリコーン樹脂層付き支持基材18に分離する。
剥離強度(x)は、剥離強度(y)と比較して、充分高いことが好ましい。剥離強度(x)を高めることは、支持基材12に対するシリコーン樹脂層14の付着力を高め、かつ加熱処理後においてガラス基板16に対してよりも相対的に高い付着力を維持できることを意味する。
支持基材12に対するシリコーン樹脂層14の付着力を高めるためには、後述するように、架橋性オルガノポリシロキサンを支持基材12上で架橋硬化させてシリコーン樹脂層14を形成することが好ましい。架橋硬化の際の接着力で、支持基材12に対して高い結合力で結合したシリコーン樹脂層14を形成することができる。
一方、架橋硬化後の架橋性オルガノポリシロキサンの硬化物のガラス基板16に対する結合力は、上記架橋硬化時に生じる結合力よりも低いのが通例である。したがって、支持基材12上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋硬化させてシリコーン樹脂層14を形成し、その後シリコーン樹脂層14の面にガラス基板16を積層して、ガラス積層体10を製造することが好ましい。
以下で、まず、ガラス積層体10を構成する各層(支持基材12、ガラス基板16、シリコーン樹脂層14)について詳述し、その後、ガラス積層体および部材付きガラス基板の製造方法について詳述する。
[支持基材]
支持基材12は、ガラス基板16を支持して補強し、後述する部材形成工程(電子デバイス用部材を製造する工程)において電子デバイス用部材の製造の際にガラス基板16の変形、傷付き、破損などを防止する。
支持基材12としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、SUS板などの金属板などが用いられる。通常、部材形成工程が熱処理を伴うため、支持基材12はガラス基板16との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板16と同一材料で形成されることがより好ましく、支持基材12はガラス板であることが好ましい。特に、支持基材12は、ガラス基板16と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
支持基材12の厚さは、ガラス基板16よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。好ましくは、ガラス基板16の厚さ、シリコーン樹脂層14の厚さ、およびガラス積層体10の厚さに基づいて、支持基材12の厚さが選択される。例えば、現行の部材形成工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、ガラス基板16の厚さとシリコーン樹脂層14の厚さとの和が0.1mmの場合、支持基材12の厚さを0.4mmとする。支持基材12の厚さは、通常の場合、0.2〜5.0mmであることが好ましい。
支持基材12がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.08mm以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは、電子デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
支持基材12とガラス基板16との25〜300℃における平均線膨張係数の差は、好ましくは500×10-7/℃以下であり、より好ましくは300×10-7/℃以下であり、さらに好ましくは200×10-7/℃以下である。差が大き過ぎると、部材形成工程における加熱冷却時に、ガラス積層体10が激しく反ったり、支持基材12とガラス基板16とが剥離したりする可能性がある。支持基材12の材料がガラス基板16の材料と同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
[ガラス基板]
ガラス基板16は、第1主面16aがシリコーン樹脂層14と接し、シリコーン樹脂層14側とは反対側の第2主面16bに電子デバイス用部材が設けられる。
ガラス基板16の種類は、一般的なものであってよく、例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板などが挙げられる。ガラス基板16は耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、熱収縮率が低い。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
ガラス基板16の線膨張係数が大きいと、部材形成工程は加熱処理を伴うことが多いので、様々な不都合が生じやすい。例えば、ガラス基板16上にTFTを形成する場合、加熱下でTFTが形成されたガラス基板16を冷却すると、ガラス基板16の熱収縮によって、TFTの位置ずれが過大になるおそれがある。
ガラス基板16は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板16は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。
ガラス基板16のガラスの種類は特に限定されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板16のガラスとしては、電子デバイス用部材の種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板16のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の薄型化および/または軽量化の観点から、0.3mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15mm以下であり、さらに好ましくは0.10mm以下である。0.3mm以下の場合、ガラス基板16に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.15mm以下の場合、ガラス基板16をロール状に巻き取ることが可能である。
また、ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の製造が容易であること、ガラス基板16の取り扱いが容易であることなどの理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
なお、ガラス基板16は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板16の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
[シリコーン樹脂層]
シリコーン樹脂層14は、ガラス基板16と支持基材12とを分離する操作が行われるまでガラス基板16の位置ずれを防止すると共に、ガラス基板16などが分離操作によって破損するのを防止する。シリコーン樹脂層14のガラス基板16と接する表面(シリコーン樹脂層の第1主面)14aは、ガラス基板16の第1主面16aに剥離可能に密着する。シリコーン樹脂層14はガラス基板16の第1主面16aに弱い結合力で結合しており、その界面の剥離強度(y)は、シリコーン樹脂層14と支持基材12との間の界面の剥離強度(x)よりも低い。
すなわち、ガラス基板16と支持基材12とを分離する際には、ガラス基板16の第1主面16aとシリコーン樹脂層14との界面で剥離し、支持基材12とシリコーン樹脂層14との界面では剥離し難い。このため、シリコーン樹脂層14はガラス基板16の第1主面16aと密着するが、ガラス基板16を容易に剥離することができる表面特性を有する。すなわち、シリコーン樹脂層14は、ガラス基板16の第1主面16aに対してある程度の結合力で結合してガラス基板16の位置ずれなどを防止していると同時に、ガラス基板16を剥離する際には、ガラス基板16を破壊することなく、容易に剥離できる程度の結合力で結合している。本発明では、このシリコーン樹脂層14表面の容易に剥離できる性質を剥離性という。一方、支持基材12の第1主面とシリコーン樹脂層14とは相対的に剥離しがたい結合力で結合している。
なお、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の界面の結合力は、ガラス積層体10のガラス基板16の面(第2主面16b)上に電子デバイス用部材を形成する前後に変化してもよい(すなわち、剥離強度(x)や剥離強度(y)が変化してもよい)。しかし、電子デバイス用部材を形成した後であっても、剥離強度(y)は、剥離強度(x)よりも低い。
シリコーン樹脂層14とガラス基板16の層とは、弱い接着力やファンデルワールス力に起因する結合力で結合していると考えられる。シリコーン樹脂層14を形成した後その表面にガラス基板16を積層する場合、シリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂が接着力を示さないほど充分に架橋している場合はファンデルワールス力に起因する結合力で結合していると考えられる。しかし、シリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂は、ある程度の弱い接着力を有することが少なくない。たとえ接着性が極めて低い場合であっても、ガラス積層体10製造後その積層体上に電子デバイス用部材を形成する際には、加熱操作などにより、シリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂はガラス基板16面に接着し、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の層との間の結合力は上昇すると考えられる。
場合により、積層前のシリコーン樹脂層14の表面や積層前のガラス基板16の第1主面16aに両者間の結合力を弱める処理を行って積層することもできる。積層する面に非接着性処理などを行い、その後積層することにより、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の層の界面の結合力を弱め、剥離強度(y)を低くすることができる。
また、シリコーン樹脂層14は、接着力や粘着力などの強い結合力で支持基材12表面に結合されている。たとえば、上述したように、架橋性オルガノポリシロキサンを支持基材12表面で架橋硬化させることにより、架橋物であるシリコーン樹脂を支持基材12表面に接着して、高い結合力を得ることができる。また、支持基材12表面とシリコーン樹脂層14との間に強い結合力を生じさせる処理(例えば、カップリング剤を使用した処理)を施して支持基材12表面とシリコーン樹脂層14との間の結合力を高めることができる。
シリコーン樹脂層14と支持基材12の層とが高い結合力で結合していることは、両者の界面の剥離強度(x)が高いことを意味する。
シリコーン樹脂層14の厚さは特に限定されないが、2〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、7〜20μmであることがさらに好ましい。シリコーン樹脂層14の厚さがこのような範囲であると、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間に気泡や異物が介在することがあっても、ガラス基板16のゆがみ欠陥の発生を抑制することができる。また、シリコーン樹脂層14の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではなく、耐熱性が低下する場合がある。また、シリコーン樹脂層14の厚さが薄すぎると、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との密着性が低下する場合がある。
なお、シリコーン樹脂層14は2層以上からなっていてもよい。この場合「シリコーン樹脂層14の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、シリコーン樹脂層14が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂が異なる架橋シリコーン樹脂からなってもよい。
シリコーン樹脂層14に含まれるシリコーン樹脂は架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、シリコーン樹脂は3次元網目構造を形成している。
架橋性オルガノポリシロキサンの種類は特に制限されず、所定の架橋反応を介して、架橋硬化し、シリコーン樹脂を構成する架橋物(硬化物)となれば特にその構造は限定されず、所定の架橋性を有していればよい。架橋の形式は特に制限されず、架橋性オルガノポリシロキサン中に含まれる架橋性基の種類に応じて適宜公知の形式を採用できる。例えば、ヒドロシリル化反応、縮合反応、または、加熱処理、高エネルギー線処理若しくはラジカル重合開始剤によるラジカル反応などが挙げられる。
より具体的には、架橋性オルガノポリシロキサンがアルケニル基またはアルキニル基などのラジカル反応性基を有する場合、上記ラジカル反応を介したラジカル反応性基同士の反応により架橋して硬化物(架橋シリコーン樹脂)となる。
また、架橋性オルガノポリシロキサンがシラノール基を有する場合、シラノール基同士の縮合反応により架橋して硬化物となる。
さらに、架橋性オルガノポリシロキサンが、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン)、および、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)を含む場合、ヒドロシリル化触媒(例えば、白金系触媒)の存在下、ヒドロシリル化反応により架橋して硬化物となる。
なかでも、シリコーン樹脂層14の形成が容易で、ガラス基板の剥離性により優れる点で、架橋性オルガノポリシロキサンが、両末端および/または側鎖にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(以後、適宜オルガノポリシロキサンAとも称する)と、両末端および/または側鎖にハイドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(以後、適宜オルガノポリシロキサンBとも称する)とを含む態様が好ましい。
なお、アルケニル基としては特に限定されないが、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシニル基などが挙げられ、なかでも耐熱性に優れる点から、ビニル基が好ましい。
また、オルガノポリシロキサンAに含まれるアルケニル基以外の基、および、オルガノポリシロキサンBに含まれるハイドロシリル基以外の基としては、アルキル基(特に、炭素数4以下のアルキル基)が挙げられる。
オルガノポリシロキサンA中におけるアルケニル基の位置は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンAが直鎖状の場合、アルケニル基は下記に示すM単位およびD単位のいずれかに存在してもよく、M単位とD単位の両方に存在していてもよい。硬化速度の点から、少なくともM単位に存在していることが好ましく、2個のM単位の両方に存在していることが好ましい。
なお、M単位及びD単位とは、オルガノポリシロキサンの基本構成単位の例であり、M単位とは有機基が3つ結合した1官能性のシロキサン単位、D単位とは有機基が2つ結合した2官能性のシロキサン単位である。シロキサン単位において、シロキサン結合は2個のケイ素原子が1個の酸素原子を介して結合した結合であることより、シロキサン結合におけるケイ素原子1個当たりの酸素原子は1/2個とみなし、式中O1/2と表現される。
Figure 0006194893
オルガノポリシロキサンA中におけるアルケニル基の数は特に制限されないが、1分子中に1〜3個が好ましく、2個がより好ましい。
オルガノポリシロキサンB中におけるハイドロシリル基の位置は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンAが直鎖状の場合、ハイドロシリル基はM単位およびD単位のいずれかに存在してもよく、M単位とD単位の両方に存在していてもよい。硬化速度の点から、少なくともD単位に存在していることが好ましい。
オルガノポリシロキサンB中におけるハイドロシリル基の数は特に制限されないが、1分子中に少なくとも3個有することが好ましく、3個がより好ましい。
オルガノポリシロキサンAとオルガノポリシロキサンBとの混合比率は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンB中のケイ素原子に結合した水素原子と、オルガノポリシロキサンA中の全アルケニル基のモル比(水素原子/アルケニル基)が0.7〜1.05となるように調整することが好ましい。なかでも、0.8〜1.0となるように混合比率を調整することが好ましい。
ヒドロシリル化触媒としては、白金族金属系触媒を用いることが好ましい。白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒として用いることが経済性、反応性の点から好ましい。白金族金属系触媒としては、公知のものを用いることができる。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、あるいは白金のオレフィン錯体、アルケニルシロキサン錯体、カルボニル錯体などがあげられる。
ヒドロシリル化触媒の使用量としては、オルガノポリシロキサンAとオルガノポリシロキサンBとの合計質量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
架橋性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は特に制限されないが、取扱い性に優れると共に、成膜性にも優れ、高温処理条件下におけるシリコーン樹脂の分解がより抑制される点で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1,000〜5,000,000が好ましく、2,000〜3,000,000がより好ましい。
架橋性オルガノポリシロキサンの粘度は10〜5000mPa・sが好ましく、15〜3000mPa・sがより好ましい。なお、とくに断りのない場合、本明細書に記載の粘度の値は25℃で測定した値である。
また、架橋性オルガノポリシロキサンの具体的に市販されている商品名または型番としては、芳香族基を有さない架橋性オルガノポリシロキサンとして、KNS−320A、KS−847(いずれも信越シリコーン社製)、TPR6700(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、ビニルシリコーン「8500」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11364」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11365」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせなどが挙げられる。
シリコーン樹脂層14には、シリコーンオイルが含まれる。シリコーンオイルは、上記架橋性オルガノポリシロキサンと異なり、架橋性オルガノポリシロキサンとは反応しない、架橋性を有さない非架橋性(非反応性)のオルガノポリシロキサンである。
シリコーンオイルの種類は特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのストレートシリコーンオイル、ストレートシリコーンオイルの側鎖または末端にポリエーテル基、ハロゲン基等を導入した変性シリコーンオイルが例示される。
なお、シリコーンオイルの具体的に市販されている商品名または型番としては、芳香族基(例えば、フェニル基)を有するシリコーンオイルとして、KTSF433(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KF−50、KF−53、KF−54(信越化学工業社製)、SH550(東レダウコーニング社製)などが挙げられる。
芳香族基を有さないシリコーンオイルとしては、SH200(東レダウコーニング社製)、KNS−330(信越化学社製)などが挙げられる。
シリコーンオイルの粘度は特に制限されないが、シリコーン樹脂層14表面にブリードアウトしやすくガラス基板16の剥離性がより優れる点、および、剥離されたガラス基板16の透明性がより優れる点で、100〜6000cPが好ましく、100〜3000cPがより好ましく、125〜1000cPがさらに好ましい。
シリコーン樹脂層14中におけるシリコーンオイルの含有量は特に制限されないが、ガラス基板16の剥離性が優れると共に、剥離されたガラス基板の透明性がより優れる点で、シリコーン樹脂100質量部に対して、6〜20質量部が好ましく、6〜15質量部がより好ましく、8〜15質量部がさらに好ましい。
上述したシリコーン樹脂層14を構成するシリコーン樹脂とシリコーン樹脂層14に含まれるシリコーンオイルのいずれか一方は芳香族基を有し、他方は芳香族基を実質的に有さない。言い換えると、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルのいずれか一方のみが芳香族基を有する。上述したように、このような態様であればシリコーン樹脂とシリコーンオイルとの相溶性が良くないため、結果としてシリコーンオイルがシリコーン樹脂層14表面にブリードアウトしやすくなり、高温加熱処理後においてもガラス基板16の剥離がしやすくなる。
なお、シリコーン樹脂またはシリコーンオイルが芳香族基を実質的に有さないとは、本発明の効果に影響がでない範囲であれば芳香族基を有していてもよい旨を意図しており、より具体的には、シリコーン樹脂またはシリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうち芳香族基の含有率が1モル%未満であることを意図している。
シリコーン樹脂またはシリコーンオイルが芳香族基を有するとは、上記含有率以上で芳香族基が含まれることを意図する。
芳香族基の種類は特に制限されず、1価の芳香族基(例えば、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基)などが挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂またはシリコーンオイルの調製が容易である点から、芳香族炭化水素基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
上記態様としては、より具体的には、シリコーンオイルが芳香族基を有し、シリコーン樹脂が芳香族基を実質的に有さない場合(態様A)、シリコーン樹脂が芳香族基を有し、シリコーンオイルが芳香族基を実質的に有さない場合(態様B)と、の2つのパターンがある。なかでも、シリコーン樹脂層14の調製がより容易であり、ガラス基板16の剥離性がより優れる点で、態様Aの場合が好ましい。
態様Aの場合、シリコーンオイルに含まれる芳香族基はフェニル基であることが好ましく、なかでも、高温加熱処理後のガラス基板16の剥離性がより優れると共に、剥離されたガラス基板16の透明性がより優れる点で、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうち芳香族基(特に、フェニル基)の含有率が5〜50モル%であることが好ましく、5〜30モル%であることがより好ましく、10〜30モル%であることがさらに好ましい。
なお、態様Aの場合、シリコーンオイル中における芳香族基の結合位置は特に制限されず、両末端および/または側鎖が挙げられる。また、シリコーンオイルに含まれるフェニル基以外の基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)が挙げられる。
一方、態様Bの場合、シリコーン樹脂に含まれる芳香族基はフェニル基であることが好ましく、なかでも、高温加熱処理後のガラス基板16の剥離性がより優れる点で、シリコーン樹脂中のケイ素原子に結合した全有機基のうち芳香族基(特に、フェニル基)の含有率が5〜90モル%であることが好ましく、30〜90モル%であることがより好ましい。なお、態様Bの場合、シリコーン樹脂に含まれるフェニル基以外の基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)が挙げられる。
なお、芳香族基を有するシリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂との相溶性の関係が優れる点で、例えば、メチルフェニルシリコーンオイルが好ましく挙げられる。
また、芳香族基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、フェニル基を有する架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させたシリコーン樹脂が挙げられる。
[ガラス積層体およびその製造方法]
本発明のガラス積層体10は、上述したように、支持基材12とガラス基板16とそれらの間にシリコーン樹脂層14が存在する積層体である。
本発明のガラス積層体10の製造方法は特に制限されないが、剥離強度(x)が剥離強度(y)よりも高い積層体を得るために、支持基材12表面上で所定の架橋性オルガノポリシロキサンを架橋硬化させてシリコーン樹脂層14を形成する方法が好ましい。すなわち、架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を支持基材12の表面に形成し、支持基材12表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層14(架橋シリコーン樹脂)を形成し、次いで、シリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂面にガラス基板16を積層して、ガラス積層体10を製造する方法である。
架橋性オルガノポリシロキサンを支持基材12表面で硬化させると、硬化反応時の支持基材12表面との相互作用により接着し、シリコーン樹脂と支持基材12表面との剥離強度は高くなると考えられる。したがって、ガラス基板16と支持基材12とが同じ材質からなるものであっても、シリコーン樹脂層14と両者間の剥離強度に差を設けることができる。
以下、架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を支持基材12の表面に形成し、支持基材12表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層14を形成する工程を樹脂層形成工程、シリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂面にガラス基板16を積層してガラス積層体10とする工程を積層工程といい、各工程の手順について詳述する。
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程では、架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を支持基材12の表面に形成し、支持基材12表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層14を形成する。
支持基材12上に架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を形成するためには、架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを溶媒に溶解させたコーティング用組成物を使用し、この組成物を支持基材12上に塗布して溶液の層を形成し、次いで溶媒を除去して架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層とすることが好ましい。組成物中における架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルの濃度の調整などにより、架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層の厚さを制御することができる。
溶媒としては、作業環境下で架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを容易に溶解でき、かつ、容易に揮発除去させることのできる溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、酢酸ブチル、ヘプタン、2−ヘプタノン、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、トルエン、キシレン、THF、クロロホルム等を例示することができる。
支持基材12表面上に架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む組成物を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。
その後、必要に応じて、溶媒を除去するための乾燥処理が実施されてもよい。乾燥処理の方法は特に制限されないが、例えば、減圧条件下で溶媒を除去する方法や、架橋性オルガノポリシロキサンの硬化が進行しないような温度で加熱する方法などが挙げられる。
次いで、支持基材12上の架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させて、シリコーン樹脂層14を形成する。より具体的には、図2(A)に示すように、該工程では支持基材12の少なくとも片面の表面上にシリコーン樹脂層14が形成される。
硬化(架橋)の方法は、上述したように、架橋性オルガノポリシロキサンの架橋形式に応じて適宜最適な方法が選択され、例えば、加熱処理や露光処理が挙げられる。なかでも、架橋性オルガノポリシロキサンがヒドロシリル化反応、縮合反応、ラジカル反応により架橋する場合、ガラス基板16に対する密着性および耐熱性に優れるシリコーン樹脂が得られる点で、熱硬化によりシリコーン樹脂層14を製造することが好ましい。
以下、熱硬化の態様について詳述する。
架橋性オルガノポリシロキサンを熱硬化させる温度条件は、シリコーン樹脂層14の耐熱性を向上し、ガラス基板16と積層後の剥離強度(y)を上記のように制御しうる範囲内で特に制限されないが、150〜300℃が好ましく、180〜250℃がより好ましい。また、加熱時間は、通常、10〜120分が好ましく、30〜60分がより好ましい。熱硬化の温度が低すぎると、耐熱性やシリコーン樹脂層14の平坦性が低下し、一方、温度が高すぎると剥離強度(y)が低くなりすぎ、いずれもガラス基板16とシリコーン樹脂層14との密着性が弱くなる場合がある。
なお、架橋性オルガノポリシロキサンはプレキュア(予備硬化)を行った後、後硬化(本硬化)を行って硬化させてもよい。プレキュアを行うことにより、耐熱性により優れたシリコーン樹脂層14を得ることができる。プレキュアは溶媒の除去に引き続き行うことが好ましく、その場合、層から溶媒を除去して架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を形成する工程とプレキュアを行う工程とは特に区別されない。
(積層工程)
積層工程は、上記の樹脂層形成工程で得られたシリコーン樹脂層14のシリコーン樹脂面上にガラス基板16を積層し、支持基材12の層とシリコーン樹脂層14とガラス基板16の層とをこの順で備えるガラス積層体10を得る工程である。より具体的には、図2(B)に示すように、シリコーン樹脂層14の支持基材12側とは反対側の表面(シリコーン樹脂層の第1主面)14aと、第1主面16aおよび第2主面16bを有するガラス基板16の第1主面16aとを積層面として、シリコーン樹脂層14とガラス基板16とを積層し、ガラス積層体10を得る。
ガラス基板16をシリコーン樹脂層14上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、常圧環境下でシリコーン樹脂層14の表面上にガラス基板16を重ねる方法が挙げられる。なお、必要に応じて、シリコーン樹脂層14の表面上にガラス基板16を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層14にガラス基板16を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層14とガラス基板16の層との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板16のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
ガラス基板16を積層する際には、シリコーン樹脂層14に接触するガラス基板16の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。クリーン度が高いほど、ガラス基板16の平坦性は良好となるので好ましい。
なお、ガラス基板16を積層した後、必要に応じて、プレアニール処理(加熱処理)を行ってもよい。該プレアニール処理を行うことにより、積層されたガラス基板16のシリコーン樹脂層14に対する密着性が向上し、適切な剥離強度(y)とすることができ、後述する部材形成工程の際に電子デバイス用部材の位置ずれなどが生じにくくなり、電子デバイスの生産性が向上する。
プレアニール処理の条件は使用されるシリコーン樹脂層14の種類に応じて適宜最適な条件が選択されるが、ガラス基板16とシリコーン樹脂層14の間の剥離強度(y)をより適切なものとする点から、300℃以上(好ましくは、300〜400℃)で5分間以上(好ましく、5〜30分間)加熱処理を行うことが好ましい。
なお、シリコーン樹脂層14の形成は、上記方法に限られるものではない。
例えば、シリコーン樹脂表面に対する密着性がガラス基板16よりも高い材質の支持基材12を用いる場合には、架橋性オルガノポリシロキサンを何らかの剥離性表面上で硬化してシリコーン樹脂のフィルムを製造し、このフィルムをガラス基板16と支持基材12との間に介在させ同時に積層することができる。
また、架橋性オルガノポリシロキサンの硬化による接着性がガラス基板16に対して充分低くかつその接着性が支持基材12に対して充分高い場合は、ガラス基板16と支持基材12の間で架橋性オルガノポリシロキサンを硬化させてシリコーン樹脂層14を形成することができる。
さらに、支持基材12がガラス基板16と同様のガラス材料からなる場合であっても、支持基材12表面の接着性を高める処理を施してシリコーン樹脂層14に対する剥離強度を高めることもできる。例えば、シランカップリング剤のような化学的に固定力を向上させる化学的方法(プライマー処理)や、フレーム(火炎)処理のように表面活性基を増加させる物理的方法、サンドブラスト処理のように表面の粗度を増加させることにより引っかかりを増加させる機械的処理方法などが例示される。
(ガラス積層体)
本発明のガラス積層体10は、種々の用途に使用することができ、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品を製造する用途などが挙げられる。なお、該用途では、ガラス積層体10が高温条件(例えば、350℃以上)で曝される(例えば、1時間以上)場合が多い。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。
[部材付きガラス基板およびその製造方法]
本発明においては、上述した積層体を用いて、ガラス基板と電子デバイス用部材とを含む部材付きガラス基板(電子デバイス用部材付きガラス基板)が製造される。
該部材付きガラス基板の製造方法は特に限定されないが、電子デバイスの生産性に優れる点から、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造し、得られた電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として部材付きガラス基板とシリコーン樹脂層付き支持基材とに分離する方法が好ましい。
以下、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造する工程を部材形成工程、電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として部材付きガラス基板とシリコーン樹脂層付き支持基材とに分離する工程を分離工程という。
以下に、各工程で使用される材料および手順について詳述する。
(部材形成工程)
部材形成工程は、上記積層工程において得られたガラス積層体10中のガラス基板16上に電子デバイス用部材を形成する工程である。より具体的には、図2(C)に示すように、ガラス基板16の第2主面16b(露出表面)上に電子デバイス用部材20を形成し、電子デバイス用部材付き積層体22を得る。
まず、本工程で使用される電子デバイス用部材20について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(電子デバイス用部材(機能性素子))
電子デバイス用部材20は、ガラス積層体10中のガラス基板16上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材20としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品などに用いられる部材(例えば、表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路)が挙げられる。
例えば、太陽電池用部材としては、シリコン型では、正極の酸化スズなど透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、電子部品用回路としては、CCDやCMOSでは、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられ、その他に圧力センサ・加速度センサなど各種センサやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板などに対応する各種部材等を挙げることができる。
(工程の手順)
上述した電子デバイス用部材付き積層体22の製造方法は特に限定されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、ガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b表面上に、電子デバイス用部材20を形成する。
なお、電子デバイス用部材20は、ガラス基板16の第2主面16bに最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。シリコーン樹脂層14から剥離された部分部材付きガラス基板を、その後の工程で全部材付きガラス基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
また、シリコーン樹脂層14から剥離された、全部材付きガラス基板には、その剥離面(第1主面16a)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。また、全部材付き積層体を組み立て、その後、全部材付き積層体から支持基材12を剥離して、電子デバイスを製造することもできる。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚の支持基材12を剥離して、2枚のガラス基板を有する部材付きガラス基板を製造することもできる。
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、ガラス積層体10のガラス基板16のシリコーン樹脂層14側とは反対側の表面上(ガラス基板16の第2主面16bに該当)に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
また、例えば、TFT−LCDを製造する場合は、ガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、レジスト液を用いて、CVD法およびスパッター法など、一般的な成膜法により形成される金属膜および金属酸化膜等にパターン形成して薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、別のガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成するCF形成工程と、TFT形成工程で得られたTFT付き積層体とCF形成工程で得られたCF付き積層体とを積層する貼合わせ工程等の各種工程を有する。
TFT形成工程やCF形成工程では、周知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板16の第2主面16bにTFTやCFを形成する。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
なお、TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板16の第2主面16bを洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
貼合わせ工程では、TFT付き積層体の薄膜トランジスタ形成面と、CF付き積層体のカラーフィルタ形成面とを対向させて、シール剤(例えば、セル形成用紫外線硬化型シール剤)を用いて貼り合わせる。その後、TFT付き積層体とCF付き積層体とで形成されたセル内に、液晶材を注入する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法、滴下注入法がある。
(分離工程)
分離工程は、図2(D)に示すように、上記部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層体22から、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との界面を剥離面として、電子デバイス用部材20が積層したガラス基板16(部材付きガラス基板)と、支持基材12とに分離して、電子デバイス用部材20およびガラス基板16を含む部材付きガラス基板24を得る工程である。
剥離時のガラス基板16上の電子デバイス用部材20が必要な全構成部材の形成の一部である場合には、分離後、残りの構成部材をガラス基板16上に形成することもできる。
ガラス基板16と支持基材12とを剥離する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス基板16とシリコーン樹脂層14との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体22の支持基材12が上側、電子デバイス用部材20側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材20側を定盤上に真空吸着し(両面に支持基材が積層されている場合は順次行う)、この状態でまず刃物をガラス基板16−シリコーン樹脂層14界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基材12側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうするとシリコーン樹脂層14とガラス基板16との界面やシリコーン樹脂層14の凝集破壊面へ空気層が形成され、その空気層が界面や凝集破壊面の全面に広がり、支持基材12を容易に剥離することができる。
また、支持基材12は、新たなガラス基板と積層して、本発明のガラス積層体10を製造することができる。
なお、電子デバイス用部材付き積層体22から部材付きガラス基板24を分離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、シリコーン樹脂層14の欠片が部材付きガラス基板24に静電吸着することをより抑制することができる。
上述した部材付きガラス基板24の製造方法は、携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置の製造に好適である。表示装置は主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。基本的にパッシブ駆動型、アクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも適用することができる。
上記方法で製造された部材付きガラス基板24としては、ガラス基板と表示装置用部材を有する表示装置用パネル、ガラス基板と太陽電池用部材を有する太陽電池、ガラス基板と薄膜2次電池用部材を有する薄膜2次電池、ガラス基板と電子デバイス用部材を有する電子部品などが挙げられる。表示装置用パネルとしては、液晶パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネルなどを含む。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の実施例1〜5、比較例1〜2では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦200mm、横200mm、板厚0.2mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持基材としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦240mm、横240mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
<実施例1>
初めに、板厚0.5mmの支持基材を純水洗浄した後、さらにUV洗浄して清浄化した。
次に、両末端にビニル基を有するオルガノアルケニルポリシロキサン(ビニルシリコーン、荒川化学工業社製、8500)と、分子内にハイドロシリル基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(荒川化学工業社製、12031)とを配合した。オルガノアルケニルポリシロキサン中の全ビニル基とメチルハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子とのモル比は、1:1になるようにした。白金系触媒(荒川化学工業社製、CAT12070)は、樹脂分100質量部に対し5重量部添加した。さらに、メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)と、ヘプタンを添加して架橋性オルガノポリシロキサンを含む溶液を作製した。この溶液をスピンコーター(回転数:300rpm、15秒)にて支持基材の第1主面上に塗布して、未硬化の架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を支持基材上に設けた(塗工量20g/m2)。
なお、メチルフェニルシリコーンオイルの使用量は、オルガノアルケニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの合計質量100質量部に対して、8質量部とした。また、ヘプタンの使用量は、オルガノアルケニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの合計質量100質量部に対して、100質量部とした。なお、メチルフェニルシリコーンオイルに含まれるフェニル基の含有率は、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基に対して、5モル%であった。
次に、230℃に10分間大気中で加熱硬化して、支持基材の第1主面に厚さ10μmのシリコーン樹脂層を形成した。なお、この態様においては、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂は芳香族基を有さず、シリコーンオイルであるメチルフェニルシリコーンオイルが芳香族基(フェニル基)を有する。また、シリコーン樹脂層は、透明であった。
その後、ガラス基板と、支持基材のシリコーン樹脂層面とを、室温下で真空プレスにより貼り合わせ、ガラス積層体Aを得た。
得られたガラス積層体Aにおいては、支持基材とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
次に、ガラス積層体Aを窒素雰囲気下にて350℃で60分間加熱処理をおこない、室温まで冷却したところ、ガラス積層体Aの支持基材とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
そして、ガラス積層体Aの4箇所のうち1箇所のコーナー部におけるガラス基板と支持シリコーン樹脂層の界面に厚さ0.1mmのステンレス製刃物を挿入させて剥離の切っ掛け部を形成しながら、ガラス基板と支持基材それぞれの剥離面でない面に真空吸着パッドを吸着させ、互いにガラス基板と支持基材が分離する方向に外力を加えて、ガラス基板と支持基材を破損すること無く分離した。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行った。具体的には、形成した空隙へ向けてイオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら真空吸着パッドを引き上げた。
なお、シリコーン樹脂層は支持基材と共にガラス基板から分離され、該結果より、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度(y)よりも高いことが確認された。また、剥離されたガラス基板表面は、透明であった。
<実施例2>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)の代わりに、メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度3000cp)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Bを得た。
なお、使用したメチルフェニルシリコーンオイルに含まれるフェニル基の含有率は、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基に対して、5モル%であった。
また、シリコーン樹脂層の外観は、製造直後も透明であり、その上にガラス基板を積層した後も透明であった。
得られたガラス積層体Bにおいては、支持基材とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
次に、ガラス積層体Bを実施例1と同様の加熱処理をおこなったところ、ガラス積層体Bの支持基材とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
そして、ガラス積層体Bを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、ガラス基板と支持基材とが破損すること無く分離した。なお、シリコーン樹脂層は支持基材と共にガラス基板から分離された。該結果より、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度(y)よりも高いことが確認された。また、剥離されたガラス基板表面は、透明であった。
<実施例3>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)の代わりに、メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−54、粘度400cp)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Cを得た。
なお、使用したメチルフェニルシリコーンオイルに含まれるフェニル基の含有率は、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基に対して、25モル%であった。
また、シリコーン樹脂層の外観は、製造直後やや白濁しており、その上にガラス基板を積層した後は透明となった。
得られたガラス積層体Cにおいては、支持基材とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
次に、ガラス積層体Cを実施例1と同様の加熱処理をおこなったところ、ガラス積層体Cの支持基材とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
そして、ガラス積層体Cを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、ガラス基板と支持基材とが破損すること無く分離した。なお、シリコーン樹脂層は支持基材と共にガラス基板から分離された。該結果より、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度(y)よりも高いことが確認された。なお、剥離されたガラス基板表面は、やや白濁していた。
<実施例4>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)の代わりに、メチルフェニルシリコーンオイル(東レダウコーニング社製、SH550、粘度125cp)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Dを得た。
なお、使用したメチルフェニルシリコーンオイルに含まれるフェニル基の含有率は、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基に対して、25モル%であった。
また、シリコーン樹脂層の外観は、製造直後やや白濁しており、その上にガラス基板を積層した後は透明となった。
得られたガラス積層体Dにおいては、支持基材とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
次に、ガラス積層体Eを実施例1と同様の加熱処理をおこなったところ、ガラス積層体Dの支持基材とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
そして、ガラス積層体Dを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、ガラス基板と支持基材とが破損すること無く分離した。なお、シリコーン樹脂層は支持基材と共にガラス基板から分離された。該結果より、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度(y)よりも高いことが確認された。なお、剥離されたガラス基板表面は、やや白濁していた。
<実施例5>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)の代わりに、メチルフェニルシリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、TSF433、粘度450cp)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Eを得た。
なお、使用したメチルフェニルシリコーンオイルに含まれるフェニル基の含有率は、シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基に対して、25モル%であった。
また、シリコーン樹脂層の外観は、製造直後やや白濁しており、その上にガラス基板を積層した後は透明となった。
得られたガラス積層体Eにおいては、支持基材とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。
次に、ガラス積層体Eを実施例1と同様の加熱処理をおこなったところ、ガラス積層体Eの支持基材とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
そして、ガラス積層体Eを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、ガラス基板と支持基材とが破損すること無く分離した。なお、シリコーン樹脂層は支持基材と共にガラス基板から分離された。該結果より、支持基材の層とシリコーン樹脂層の界面の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層とガラス基板の界面の剥離強度(y)よりも高いことが確認された。なお、剥離されたガラス基板表面は、やや白濁していた。
なお、以下に、実施例1〜5で使用したシリコーンオイルの粘度およびフェニル基含有率について、まとめて示す。
Figure 0006194893
<比較例1>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Xを得た。
得られたガラス積層体Xを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、シリコーン樹脂層とガラス基板とが剥離しづらく、ガラス基板が割れてしまうこともあった。
<比較例2>
メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−50、粘度100cP)の代わりに、メチルシリコーンオイル(東レダウコーニング社製、SH200、粘度200cP)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス積層体Yを得た。なお、本態様は、先行文献(WO2011/142280号パンフレット)の実施例7の態様に該当し、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルのいずれにも芳香族基が含まれていない。
得られたガラス積層体Yを実施例1と同様の方法で支持基材とガラス基板との分離を行ったところ、シリコーン樹脂層とガラス基板とが剥離しづらく、ガラス基板が割れてしまうこともあった。
実施例1〜5では、高温加熱処理を施した後であっても、厚みの薄いガラス基板を容易に剥離することができた。なお、実施例1および2においては剥離されたガラス基板の表面(剥離面)は透明なままであったのに対して、実施例3〜5においてはやや白濁していた。これは実施例3〜5においては、シリコーン樹脂層の表面ブリードアウトしたシリコーンオイルの一部がガラス基板上に転写されたためと推測される。これらの結果より、実施例1および2で使用したシリコーンオイルの場合、剥離されたガラス基板表面の清浄性がより優れることが確認された。
一方、シリコーンオイルを使用しなかった比較例1、および、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルの両方に芳香族基が含まれない比較例2においては、剥離性が悪かった。
<実施例6>
本例では、実施例1で得たガラス積層体Aを用いてOLEDを製造する。
まず、ガラス積層体Aにおけるガラス基板の第2主面上に、プラズマCVD法により窒化シリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンの順に成膜する。次に、イオンドーピング装置により低濃度のホウ素をアモルファスシリコン層に注入し、窒素雰囲気下450℃60分間加熱処理し脱水素処理をおこなう。次に、レーザアニール装置によりアモルファスシリコン層の結晶化処理をおこなう。次に、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングおよびイオンドーピング装置より、低濃度のリンをアモルファスシリコン層に注入し、N型およびP型のTFTエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法により酸化シリコン膜を成膜してゲート絶縁膜を形成した後に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成する。次に、フォトリソグラフィ法とイオンドーピング装置により、高濃度のホウ素とリンをN型、P型それぞれの所望のエリアに注入し、ソースエリアおよびドレインエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法による酸化シリコンの成膜で層間絶縁膜を、スパッタリング法によりアルミニウムの成膜およびフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりTFT電極を形成する。次に、水素雰囲気下450℃60分間加熱処理し水素化処理をおこなった後に、プラズマCVD法による窒素シリコンの成膜で、パッシベーション層を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法により平坦化層およびコンタクトホールを形成する。次に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより画素電極を形成する。
続いて、蒸着法により、ガラス基板の第2主面側に、正孔注入層として4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、正孔輸送層としてビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン、発光層として8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したもの、電子輸送層としてAlq3をこの順に成膜する。次に、スパッタリング法によりアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより対向電極を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化型の接着層を介してもう一枚のガラス基板を貼り合わせて封止する。上記手順によって、ガラス基板上に有機EL構造体を形成する。ガラス基板上に有機EL構造体を有するガラス積層体A(以下、パネルAという。)が、本発明の電子デバイス用部材付き積層体(支持基材付き表示装置用パネル)である。
続いて、パネルAの封止体側を定盤に真空吸着させたうえで、パネルAのコーナー部のガラス基板とシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板とシリコーン樹脂層の界面に剥離のきっかけを与える。そして、パネルAの支持基材表面を真空吸着パッドで吸着した上で、吸着パッドを上昇させる。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行う。次に、形成した空隙へ向けてイオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら真空吸着パッドを引き上げる。その結果、定盤上に有機EL構造体が形成されたガラス基板のみを残し、シリコーン樹脂層付き支持基材を剥離することができる。
続いて、実施例1と同様の方法で分離したガラス基板の剥離面を清浄化し、分離されたガラス基板をレーザーカッタまたはスクライブ−ブレイク法を用いて切断し、複数のセルに分断した後、有機EL構造体が形成されたガラス基板と対向基板とを組み立てて、モジュール形成工程を実施してOLEDを作製する。こうして得られるOLEDは、特性上問題は生じない。
<実施例7>
本例では、実施例1で得たガラス積層体Aを用いてLCDを製造する。
まず、2枚のガラス積層体Aを準備して、片方のガラス積層体A1におけるガラス基板の第2主面上に、プラズマCVD法により窒化シリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンの順に成膜する。次に、イオンドーピング装置により低濃度のホウ素をアモルファスシリコン層に注入し、窒素雰囲気下450℃60分間加熱処理し脱水素処理をおこなう。次に、レーザアニール装置によりアモルファスシリコン層の結晶化処理をおこなう。次に、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングおよびイオンドーピング装置より、低濃度のリンをアモルファスシリコン層に注入し、N型およびP型のTFTエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法により酸化シリコン膜を成膜しゲート絶縁膜を形成した後に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成する。次に、フォトリソグラフィ法とイオンドーピング装置により、高濃度のホウ素とリンをN型、P型それぞれの所望のエリアに注入し、ソースエリアおよびドレインエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法による酸化シリコンの成膜で層間絶縁膜を、スパッタリング法によりアルミニウムの成膜およびフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりTFT電極を形成する。次に、水素雰囲気下450℃60分間加熱処理し水素化処理をおこなった後に、プラズマCVD法による窒素シリコンの成膜で、パッシベーション層を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法により平坦化層およびコンタクトホールを形成する。次に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより画素電極を形成する。
次に、もう片方のガラス積層体A2を大気雰囲気下450℃60分間加熱処理する。次に、ガラス積層体Aにおけるガラス基板の第2主面上に、スパッタリング法によりクロムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより遮光層を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、ダイコート法によりカラーレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法および熱硬化によりカラーフィルタ層を形成する。次に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、対向電極を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、ダイコート法により紫外線硬化樹脂液を塗布し、フォトリソグラフィ法および熱硬化により柱状スペーサを形成する。次に、ロールコート法によりポリイミド樹脂液を塗布し、熱硬化により配向層を形成し、ラビングをおこなう。
次に、ディスペンサ法によりシール用樹脂液を枠状に描画し、枠内にディスペンサ法により液晶を滴下した後に、上記で画素電極が形成されたガラス積層体A1を用いて、2枚のガラス積層体Aのガラス基板の第2主面側同士を貼り合わせ、紫外線硬化および熱硬化によりLCDパネルを得る。
続いて、ガラス積層体A1の第2主面を定盤に真空吸着させ、ガラス積層体A2のコーナー部のガラス基板とシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板の第1主面とシリコーン樹脂層の剥離性表面との剥離のきっかけを与える。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行う。次に、形成した空隙へ向けてイオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら真空吸着パッドを引き上げる。そして、ガラス積層体A2の支持基材の第2主面を真空吸着パッドで吸着した上で、吸着パッドを上昇させる。その結果、定盤上に、ガラス積層体A1の支持基材が付いたLCDの空セルのみを残し、シリコーン樹脂層付き支持基材を剥離することができる。
次に、第1主面にカラーフィルタが形成されたガラス基板の第2主面を定盤に真空吸着させ、ガラス積層体A1のコーナー部のガラス基板とシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板の第1主面とシリコーン樹脂層の剥離性表面との剥離のきっかけを与える。そして、ガラス積層体A1の支持基材の第2主面を真空吸着パッドで吸着した上で、吸着パッドを上昇させる。その結果、定盤上にLCDセルのみを残し、シリコーン樹脂層が固定された支持基材を剥離することができる。こうして、厚さ0.1mmのガラス基板で構成される複数のLCDのセルが得られる。
続いて、切断する工程により、複数のLCDのセルに分断する。完成された各々のLCDセルに偏光板を貼付する工程を実施し、続いてモジュール形成工程を実施してLCDを得る。こうして得られるLCDは、特性上問題は生じない。
<実施例8>
本例では、実施例1で得たガラス積層体Aを用いてOLEDを製造する。
まず、ガラス積層体Aにおけるガラス基板の第2主面上に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成する。次に、プラズマCVD法により、ガラス基板の第2主面側にさらに窒化ケイ素を成膜してゲート絶縁膜を形成し、続いてスパッタリング法により酸化インジウムガリウム亜鉛を成膜してフォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより酸化物半導体層を形成する。次に、プラズマCVD法により、ガラス基板の第2主面側にさらに窒化ケイ素を成膜してチャネル保護層を形成し、続いてスパッタリング法によりモリブデンを成膜してフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりソース電極およびドレイン電極を形成する。次に、大気中で450℃にて60分間加熱処理を行う。次に、ガラス基板の第2主面側にさらにプラズマCVD法により窒化ケイ素を成膜してパッシベーション層を形成し、続いてスパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜してフォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、画素電極を形成する。
続いて、蒸着法により、ガラス基板の第2主面側に、正孔注入層として4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、正孔輸送層としてビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン、発光層として8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したもの、電子輸送層としてAlq3をこの順に成膜する。次に、スパッタリング法によりアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより対向電極を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化型の接着層を介してもう一枚のガラス基板を貼り合わせて封止する。上記手順によって、ガラス基板上に有機EL構造体を形成する。ガラス基板上に有機EL構造体を有するガラス積層体A(以下、パネルAという。)が、本発明の電子デバイス用部材付き積層体(支持基材付き表示装置用パネル)である。
続いて、パネルAの封止体側を定盤に真空吸着させたうえで、パネルAのコーナー部のガラス基板とシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板とシリコーン樹脂層の界面に剥離のきっかけを与える。そして、パネルAの支持基材表面を真空吸着パッドで吸着した上で、吸着パッドを上昇させる。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行う。次に、形成した空隙へ向けてイオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら真空吸着パッドを引き上げる。その結果、定盤上に有機EL構造体が形成されたガラス基板のみを残し、シリコーン樹脂層付き支持基材を剥離することができる。
続いて、実施例1と同様の方法で分離したガラス基板の剥離面を清浄化し、分離されたガラス基板をレーザーカッタまたはスクライブ−ブレイク法を用いて切断し、複数のセルに分断した後、有機EL構造体が形成されたガラス基板と対向基板とを組み立てて、モジュール形成工程を実施してOLEDを作製する。こうして得られるOLEDは、特性上問題は生じない。
本出願は、2012年10月17日出願の日本特許出願2012−230092に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
10 ガラス積層体
12 支持基材
14 シリコーン樹脂層
14a シリコーン樹脂層の第1主面
16 ガラス基板
16a ガラス基板の第1主面
16b ガラス基板の第2主面
18 シリコーン樹脂層付き支持基材
20 電子デバイス用部材
22 電子デバイス用部材付き積層体
24 部材付きガラス基板

Claims (10)

  1. 支持基材の層とシリコーン樹脂層とガラス基板の層とをこの順で備え、前記支持基材の層と前記シリコーン樹脂層の界面の剥離強度が前記シリコーン樹脂層と前記ガラス基板の界面の剥離強度よりも高い、ガラス積層体であって、
    前記シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂が、架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、
    前記シリコーン樹脂層が、シリコーンオイルを含み、
    前記シリコーン樹脂層中における前記シリコーンオイルの含有量が、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、6〜20質量部であり、
    前記シリコーン樹脂層に含まれるシリコーン樹脂および前記シリコーンオイルのいずれか一方が芳香族基を有し、他方が芳香族基を実質的に有さない、ガラス積層体。
  2. 前記シリコーンオイルがフェニル基を有し、
    前記シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率が5〜50モル%である、請求項1に記載のガラス積層体。
  3. 前記シリコーンオイルの25℃における粘度が100〜6000cPである、請求項1または2に記載のガラス積層体。
  4. 前記シリコーン樹脂層の厚さが2〜100μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載のガラス積層体。
  5. 前記支持基材がガラス板である、請求項1〜のいずれか一項に記載のガラス積層体。
  6. 支持基材の片面に架橋性オルガノポリシロキサンおよびシリコーンオイルを含む層を形成し、前記支持基材面上で前記架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層を形成し、次いで前記シリコーン樹脂層の表面にガラス基板を積層する、請求項1〜のいずれか一項に記載のガラス積層体を製造する方法。
  7. 支持基材と前記支持基材面上に設けられた剥離性表面を有するシリコーン樹脂層とを有する、シリコーン樹脂層付き支持基材であって、
    前記シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂が、架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、
    前記シリコーン樹脂層が、シリコーンオイルを含み、
    前記シリコーン樹脂層中における前記シリコーンオイルの含有量が、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、6〜20質量部であり、
    前記シリコーン樹脂層に含まれるシリコーン樹脂および前記シリコーンオイルのいずれか一方が芳香族基を有し、他方が芳香族基を実質的に有さない、シリコーン樹脂層付き支持基材。
  8. 前記シリコーンオイルがフェニル基を有し、
    前記シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率が5〜50モル%である、請求項に記載のシリコーン樹脂層付き支持基材。
  9. 前記シリコーンオイル中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率が5〜30モル%である、請求項に記載のシリコーン樹脂層付き支持基材。
  10. 前記シリコーンオイルの25℃における粘度が100〜6000cPである、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂層付き支持基材。
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