図1に示す遊技機1は、遊技媒体として遊技球を用いるパチンコ遊技機であって、遊技機の外枠W1に遊技盤保持枠W2がヒンジ部H1で開閉可能に取り付けられ、前記遊技盤保持枠W2の前面側にはガラス枠W3が前記ヒンジ部H1で開閉可能に取り付けられている。図2は遊技機1の分解斜視図である。前記ガラス枠W3は、枠部材の内側にガラス板等の透明部材が装着されたものであり、前記遊技盤保持枠W2の前面側に、遊技盤保持枠W2の下部の一部を露出させた状態で取り付けられている。遊技盤保持枠W2には、前記ガラス枠W3の透明部材で覆われる略中央部分に遊技盤2が取り付けられ、前記ガラス枠W3を通して遊技者が遊技盤2の表面を視認可能になっている。また、前記遊技盤2が取り付けられた遊技盤保持枠W2の背面側(裏面側)には、機構板W4が取り付けられて前記外枠W1内に収納されている。
前記機構板W4には主制御基板110、サブ制御基板115、サブドライブ基板120、音声・表示制御基板125、払出制御基板130等の制御基板が取り付けられている。各基板はケースで覆われている。前記主制御基板110はCPU、RAM、ROM、複数のカウンタを備えたワンチップマイクロコンピュータを備え、遊技に係る主制御を行う。前記サブ制御基板115は、主制御基板110から送信されたコマンドを受信し、対応する制御基板にコマンドを出力する。前記サブドライブ基板120は、サブ制御基板115が制御するランプ装置等を点灯させるためのドライバICが搭載されている。前記音声・表示制御基板125は、サブ制御基板115からのコマンドに基づきスピーカからの音声及び表示装置における図柄等の表示制御を行う。前記払出制御基板130は、前記主制御基板110から出力されるコマンドを受信して払出装置(賞球及び貸球払出装置)131を制御する。なお、前記払出装置131への遊技球の供給は、球貯留タンク91に貯留された遊技球が前記球誘導樋92を通り、球供給樋(図示せず)を経て行われる。前記払出装置131は、払出モータが回転することにより、回転球受け体(例えばスクリュー形式のもの)を回動し、回転球受け体の球受部に受け入れた遊技球を回転球受体の回転により球送りして1球ずつ排出する公知のものである。
前記ガラス枠W3の前面側には上部にランプ装置35と、効果音等を発するスピーカー38が設けられ、下部側には払い出された遊技球を受けるための上側球受け皿36、該上側球受け皿36の飽和時に遊技球を受けるための下側球受け皿37、遊技者の発射操作に応じて遊技球を弾発発射する発射装置の操作用ハンドル64が設けられている。
図3に遊技盤を示す。遊技盤2の表面(前面)の縁には、外レール3及び内レール4で構成される遊技球誘導レール3Aが略円形に設けられている。前記外レール3及び内レール4は、図6に示すように、遊技盤側となる一側端部(遊技盤側とも記す)3e、4e(すなわち遊技機の前後方向における後方側)で遊技盤2の表面に固定され、前面側をガラス枠W3の透明部材に覆われることで遊技球の前後方向への移動を規制している。前記外レール3は前記遊技領域6の左下部から左側部と上部を通って右上部まで円弧状に設けられている。一方、前記内レール4は、前記遊技領域6の右側部の上部から遊技領域の下部を通って左側部の上部まで設けられ、前記遊技領域6の下部から左側部の上部までの部分が前記外レール3より内側に位置し、前記遊技領域6の右側部の上端で前記外レール3と連結されている。また、前記内レール4の左側部の下部外面には、内レール分岐部4aが前記遊技盤2の中心線下方へ向けて斜めに延設されている。前記遊技領域6の下部から左側部までの外レール3と内レール4(内レール分岐部4aを含む)間が、発射された遊技球を遊技領域6内に誘導する発射球誘導路5を構成し、前記発射球誘導路5の遊技領域への出口5aには、バネ片5bが取り付けられている。前記出口5aのバネ片5bは、発射球誘導路5から遊技領域6へ遊技球を進入可能にする一方、遊技領域6に至った遊技球が遊技領域6内の部材等で跳ね返されて発射球誘導路5内へ戻るのを防ぐものであり、通常時は発射球誘導路5の出口5aを塞ぎ、発射された遊技球により発射球誘導路5の内側から押された際に遊技領域6内側へ屈曲して発射球誘導路5の出口5aを開くようになっている。なお、本実施例における前記遊技領域6は略円形とされているが、円形に限るものではなく、例えば少なくとも一部が略直線状とされたものでもよい。
前記遊技領域6には、中心線上にその上部から下部に向かって順に表示装置9、第1始動入賞口10、第2始動入賞口11、大入賞口15、アウト口19が設けられている。また、前記表示装置9の左右には左ゲート21と右ゲート23が設けられている。前記第1始動入賞口10及び第2始動入賞口11の左側には、風車7の下方に左第1入賞口25、左第2入賞口27、左第3入賞口29が上から順に設けられ、一方、前記第2始動入賞口11の右側には右入賞口31が設けられている。前記第1始動入賞口10、第2始動入賞口11、大入賞口15、左第1入賞口25、左第2入賞口27、左第3入賞口29、右入賞口31は、入賞装置であり、遊技領域6に発射された遊技球が入賞(入球)すると、所定数の遊技球が賞品球として前記払出装置131により払い出される。なお、遊技領域6に発射された遊技球が何れの入賞装置にも入賞しなかった場合には、前記アウト口19から遊技機の背面側へ排出される。
前記表示装置9の外周を囲むようにセンター役物(表示装置周囲飾り)50が前記遊技盤2の表面に遊技者側へ突出して設けられている。また、前記遊技領域6には、前記遊技領域6に打ち込まれた遊技球を誘導する誘導釘(図では省略)が立設されている。遊技領域6内の主要な部分について詳述する。
前記表示装置9は、遊技が大当たりか否かの判定結果を特別図柄の組合せで表示する図柄表示部に相当する。前記表示装置9内の左下には、遊技が普通図柄当たりか否かの判定結果を表示する普通図柄表示部42が設けられている。前記表示装置9は、液晶,ドットマトリックス若しくはLED表示装置等の表示装置からなる。本実施例では、液晶表示器(TFT−LCDモジュール)で構成されている。
前記表示装置9は、左側位置に左特別図柄、中央位置に中特別図柄、右側位置に右特別図柄がそれぞれ変動表示及び停止表示可能とされ、停止表示された特別図柄の組み合わせで大当たりの当否判定結果が表示され、遊技者に報知される。本実施例における左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄は、それぞれ『0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11』の12種類の図柄で構成されている。大当たりの場合、前記左特別図柄、中特別図柄及び右特別図柄が、いわゆるぞろ目、すなわち数字が同一の特別図柄からなる大当たり図柄の組合せ(例えば‘0,0,0’、‘1,1,1’等)で停止表示されることにより、大当たりであることを示す。
前記普通図柄表示部42は、普通図柄当たりの判定図柄として記号或いは絵(キャラクタ)等からなる普通図柄が変動表示及び停止表示可能とされている。本実施例における普通図柄は、『0,1,2,3,4,5,6,7,8,9』の10通りの図柄とされており、普通図図柄当たりの場合には、前記普通図柄表示部42に奇数の普通図柄で停止表示するようになっている。前記普通図柄表示部42は、液晶,ドットマトリックス若しくはLED表示装置等からなる。
前記第1始動入賞口10は、前記表示装置9の真下の位置に、上方へ向けて開口して設けられ、上方から流下してくる遊技球が入球(入賞)可能となっている。
前記第2始動入賞口11は、前記第1始動入賞口10の真下に設けられ、2つの可動片11a、11bを備えると共に、前記2つの可動片11a、11bの先端間が入球可能領域とされ、前記可動片11a,11bが背面の始動入賞口用ソレノイドにより略垂直にされて入球(入賞)のし難い入球可能領域狭小状態と、略V字形(逆ハの字形)に拡開して入球(入賞)のし易い入球可能領域拡大状態間を変化可能に制御されている。前記第2始動入賞口11の入球可能領域拡大は、前記普通図柄表示部42の普通図柄が変動した後に予め決められた特定の普通図柄(本実施例では奇数の図柄)で停止表示されて普通図柄当たりが成立した時に行われる。
前記遊技盤2の裏側には、前記第1始動入賞口10に入賞(入球)した遊技球を検出する第1始動入賞口検出スイッチ(第1始動入賞口センサ)と、前記第2始動入賞口11に入賞(入球)した遊技球を検出する第2始動入賞口検出スイッチ(第2始動入賞口センサ)が設けられている。本実施例では、前記第1始動入賞口検出スイッチあるいは第2始動入賞口検出スイッチにより入賞球が検出されると、遊技の大当たりを判定するための大当たり判定用乱数が取得され、前記表示装置9で特別図柄の変動が開始される。そして、前記取得された大当たり判定用乱数が大当たりであった場合に、前記表示装置9で特別図柄が大当たり図柄の組合せで停止表示されて大当たりが表示されると共に、大当たりまでの通常遊技に比べ遊技者にとって有利な特別遊技が実行される。
前記左ゲート21と右ゲート23は、上方から流下してきた遊技球が通過可能とされ、遊技球が前記両ゲート21,23に入球したことを検出する普通図柄変動開始スイッチを備えている。前記普通図柄変動開始スイッチで遊技球が検出されると、普通図柄当たりを判定するための普通図柄当たり判定用乱数が取得され、前記普通図柄表示部42で普通図柄の変動が開始する。取得された普通図柄判定用乱数が普通図柄当たりの場合には、前記普通図柄表示部42で普通図柄が特定の図柄(本実施例では奇数の図柄)で停止表示されることによって普通図柄当たりが表示され、前記第2始動入賞口11の可動片11a,11bが拡開状態になる。
また、前記左第1入賞口25、左第2入賞口27、左第3入賞口29、右入賞口31には、それぞれの入球(入賞)を検出する入賞口用検出スイッチが、それぞれ対応する遊技盤背面に設けられている。
前記大入賞口15は、遊技盤背面の大入賞口開放用ソレノイド(図示せず)によって開閉する開閉板16を備えている。前記大入賞口15は、通常は開閉板16が閉じた状態とされ、特別遊技(大当たり遊技)の際に開いて上方から流下してくる遊技球を開閉板16で受け止めて大入賞口15へ入賞可能とする。前記大入賞口15内には、前記大入賞口15に入賞した入賞球を検出する大入賞口入賞球数カウントスイッチ(図示せず)が設けられている。
前記大当たりとなった場合に行われる特別遊技では、前記大入賞口15の開閉板16が開いて前記遊技領域6の表面を流下してくる遊技球を開閉板16で受け止め易くし、前記大入賞口15へ入賞可能にする。前記大入賞口15への入賞があると、前記払出装置131により所定数の遊技球が賞品球として払い出される。前記開閉板16は、所定時間(例えば29.5秒)経過後、或いは前記入賞球数カウントスイッチで検出された入賞球数が所定個数(例えば10個)となった時点で閉じるようにされ、所定回数(例えば15回)前記開閉板16の開放を繰り返すようになっている。
前記ガラス枠W3を開いた状態を示す図4のように、前記遊技盤保持枠W2における前記遊技盤2の下方の前面側には、略中央に発射レール41(図5に示す)と発射装置53及び球供給部材57が取り付けられたベース部材51が固定されている。また、前記遊技盤保持枠W2における前記遊技盤2下方の前面側には前記遊技盤2の遊技球誘導レール3Aと前記ベース部材51間に経路部材61が取り付けられている。図5は、前記球供給部材57をベース部材51から外した状態を示す。また、図6には前記遊技盤保持枠W2と、前記遊技盤2と、前記発射装置53を有するベース部材51と、前記球供給部材57を示す。図7にはベース部材51に取り付けられた球供給部材57を回動させて開いた状態を示す。
図5及び図7に示すように、前記ベース部材51は本実施例では長方形の金属製板状体からなり、発射装置53が前記ベース部材51の遊技機背面側と前面側に設けられている。また、前記ベース部材51の右端に形成された回動支持部511に前記球供給部材57が回動可能に取り付けられ、図4及び図7のように球供給部材57を閉じた際に前記発射装置53の遊技機前面側に被さるようになっている。前記ベース部材51は、縁に形成されたネジ用孔512(図7に示す)に通したネジ類によって前記遊技盤保持枠W2の所定位置に固定される。また、球供給部材の取付位置はベース部材に限定されるものではなく、例えば前記ガラス枠W3の背面側に取り付けられてもよいし、前記ガラス枠W3の背面側に一体形成されていてもよい。つまり、ガラス枠W3自体で球供給部材の役割を有していてもよいとする。更に、ガラス枠W3は、透明部材を保持するガラス保持部と上側球受け皿36が一体に形成されているが、別体に構成し、何れか一方に球供給部材を一体的に設けてもよい。
前記発射装置53は、図7に示すように、発射レール531と遊技球を弾発する槌部材533と、前記槌部材533を回転駆動させる駆動源537とで構成されている。前記発射レール531と槌部材533はベース部材51の遊技機前面側に取り付けられ、一方、前記駆動源537は前記ベース部材51の遊技機背面側に取り付けられている。前記発射レール531は、上面に遊技球を保持可能な略V字形の溝部532を有する略M字形の横断面形状からなり、前記溝部の深さ及び幅は、溝部532の中心に向けて遊技球が安定して設置されるように構成され、図6に示すように先端531aを前記遊技球誘導レール3Aへ向けて、すなわち前記遊技球誘導レール3Aの発射球誘導路5へ向けて前記ベース部材51に、前記発射レール531の遊技盤側端部(すなわち遊技盤側となる一側端部)531e(図7に示す)で取り付けられている。前記発射レール531の遊技盤側端部(すなわち遊技盤側となる一側端部)531eは、前記ベース部材51が前記遊技盤保持枠W2に取り付けられた際に、前記遊技球誘導レール3Aの遊技盤側端部(すなわち遊技盤側となる一側端部)3e、4eと、遊技機前後方向の位置が略同一となるように構成されている。(例えば一側を同一面上に設けることで発射を安定させるように構成されている。)前記槌部材533は、前記発射レール531側の先端534にコイルバネを有し、槌部材533の略中央部で前記駆動源537の回動軸538に取り付けられている。そして本実施例では、遊技球誘導レール3Aと前記発射レール531の遊技機前後方向の幅は異なり、遊技球を前記発射レール531から遊技球誘導レール3Aへ円滑に誘導させるために前記遊技球誘導レール3Aの遊技機前後方向の幅を前記発射レール531のレール幅jよりも大に構成されている。
前記駆動源537は、前記槌部材533を該槌部材533の先端534が前記発射レール531に対して遠い位置から接近するように回動させるものであり、本実施例ではロータリーソレノイドで構成されている。前記ロータリーソレノイドからなる駆動源537は、電源断の状態で前記槌部材533の先端534を前記発射レール531から遠ざかった位置にし、電源入によって前記槌部材533の先端534を前記発射レール531へ接近させるように前記槌部材533を回動させ、前記発射レール531上の発射位置(略V字型の溝部)に供給された遊技球を槌部材533の先端534で弾発発射させる。また、前記駆動源537は、遊技球を一球発射後に再び前記槌部材533の先端534を発射レール531から離れた元の位置に戻す。符号539は、前記槌部材533の先端534が発射レール531から離れた元の位置に戻った際に、前記槌部材533の一部が当たってそれ以上の回動を阻止する戻り時のストッパーであり、一方、符号540は、前記槌部材533の先端534が前記発射レール531上の遊技球を弾発発射させた際に、前記槌部材533の一部が当たってそれ以上の回動を阻止する発射時のストッパーである。前記駆動源537の回動速度、すなわち前記槌部材533による遊技球の発射強度は、前記操作ハンドル64の操作量(回転角度)に応じて変化する。
前記遊技球の発射強度を調節する操作ハンドル64は、前記遊技盤保持枠W2の前面右下部に回動可能に取り付けられている。前記操作ハンドル64は、図8に示すように、遊技者が握る把持部641と前記遊技盤保持枠W2に取り付けられる軸部642とを有し、前記軸部642に対して前記把持部641が回転可能となっている。前記把持部641は回転によって抵抗値が変化する可変抵抗器を有しており、また前記把持部641の外周には、遊技者が接触したことを検知する接触検知部643と、遊技者が押すことが可能な単発スイッチ644が設けられている。
前記操作ハンドル64と前記発射装置53の駆動源537とは、図9に示すように、発射制御基板135と電気的に接続されている。前記発射制御基板135は、前記遊技盤保持枠W2における操作ハンドル64の背面側に設けられている。前記槌部材533の回動は次のように行われる。まず、前記操作ハンドル64の接触検知部643に遊技者が接触したことが検知されると、前記発射制御基板135は前記発射装置53の駆動源537に通電を開始する。そして、前記操作ハンドル64の把持部641の回転量(回転角度)の変化によって可変抵抗器の抵抗値が変化して電圧が調整され、発射強度信号として前記発射制御基板135へ送信される。前記発射制御基板135は、受信した発射強度信号に基づく電流を前記駆動源537へ出力し、電流に応じた回転速度(発射強度)で図10に示すように、前記槌部材533を発射レール531から遠い位置533Aから、前記発射レール531へ向けて533Bの位置へ回転駆動させ、前記発射レール531上の発射位置にある遊技球P1を槌部材533の先端534で打ち、発射させる。
例えば、操作ハンドル64の把持部641が初期位置(回転角度0度)の場合は、前記可変抵抗器の電圧が1.7Vとなり、対応する電流が1.24Aとなる。この場合、前記駆動源537は、遊技球が遊技領域6に到達しない強さで前記槌部材533を回転駆動させる。また前記把持部641を初期位置から右一杯(回転角度105度)まで回転させると、可変抵抗器の電圧が3.5Vとなり、対応する電流は2.55Aとなる。この場合、前記駆動源537は、遊技球が遊技領域の右側へ到達可能な強さで前記槌部材533を回転駆動させる。また、前記単発スイッチ644が押された状態が検知されると、前記発射制御基板135は前記駆動源537への通電を停止し、前記駆動源537による槌部材533の回転を停止して遊技球が発射されるのを停止する。
前記球供給部材57は、図11に示すように、遊技盤側(遊技機背面側と同じ)とされる背面側ケース半体571と遊技前面側とされる前面側ケース半体572とからなる箱状のケース570と、前記ケース570内に設けられた構成部よりなる。前記球供給部材57は背面側ケース半体571を遊技盤側(遊技機背面側)として、前記発射装置53の遊技機前面側に被さる(すなわち重なる)ようにして前記ベース部材51に取り付けられる。
図12は前面側ケース半体572を外した状態の球供給部材57の正面図である。また、図13は、図12の(C)の状態を前記ベース部材51及び発射装置53と共に示した図である。図12を用いて、前記球供給部材57の各構成部を説明する。図12の(A)に示すようにケース570内に右上から左側へ所定角度で下方へ傾斜した球通路573と、前記球通路573の左端側の下面に形成された開口部574と、前記開口部574を開閉するスライド部材575と、前記球通路573の開口部574の下方に設けられて前記スライド部材575の開時に前記球通路573と通じ、閉時に遮断される球排出通路579と、前記球通路573の左端の左側に設けられた送出部581と、前記送出部581の上方に設けられた球送りソレノイド590とを有する。
前記球通路573は、遊技球P2が転動可能な大きさからなり、前記前面側ケース半体572に形成された入球口595(図11に示す)と右端側で通じ、前記上側球受け皿36からの遊技球が前記入球口595を通って前記球通路573の右端側に入り、前記球通路573を左側へ転動可能となっている。
前記スライド部材575はバネ部材576によって左方へ付勢され、該付勢によって前記球通路573の下面の開口部574を塞ぎ、前記開口部574を塞ぐスライド部材575上を通って球通路573内を遊技球が左方へ転動可能となっている。前記スライド部材575は、該スライド部材575に設けられたつまみ577を右方へ動かすことにより、前記バネ部材576に抗して右方へスライドし、前記球通路573の下面の開口部574を開放し、前記球通路573内の遊技球P2を開口部574から前記球排出通路579へ流下可能となっている。
前記球排出通路579は、下部において前面側ケース半体572に形成された球出口580(図11に示す)を経て前記下側球受け皿37と通じており、前記開口部574の開放時、前記球通路573の遊技球を球排出通路579を経て下側球受け皿37へ排出可能となっている。
前記送出部581は、前記球通路573側が上下揺動可能なように前記ケース570に軸582で取り付けられている。前記送出部581において前記球通路573の左端と対向する右端面に内方へ窪んだ球受け凹部583が形成され、前記球受け凹部583の上方が上側突部584、下方が下側突部585となって両突部が前記球通路573側へ突出している。また、前記上側突部584の上面には球送りソレノイド590の作動によって吸引可能な鉄などの金属片586が設けられている。前記送出部581は、図12の(A)、(C)のように、下方へ自重で揺動した際に、前記球受け凹部583の上方の上側突部584が前記球通路573の左端に位置すると共に前記球受け凹部583が前記球通路573の左端の下方に位置し、、一方、図12の(B)のように、前記球送りソレノイド590の作動によって前記送出部581が上方へ揺動した際に、前記球受け凹部583が前記球通路573の左端と対向する位置となるように構成されている。前記球受け凹部583は、前記球通路573から転動してくる遊技球を1球だけ受ける大きさからなる。また、前記下側突部585の上面、すなわち前記球受け凹部583において遊技球を受ける下面は、前記ケース570の遊技機背面側へ向けて下方へ傾斜し、前記ケース570の背面側ケース半体571に形成された発射球供給出口591(図7及び図16に示す)を通って前記発射レール531上の発射位置へ遊技球を誘導可能に形成されている。
前記球送りソレノイド590は、通電により励磁されると前記送出部581の金属片586を吸引して前記球送出部581を上方へ揺動させ、一方、通電が停止されると磁力が無くなって前記金属片586の吸引を解除し、前記球送出部581を自重により下方へ揺動させる。
前記操作ハンドル64と前記球送出部581の作動について説明する。前記球送出部581は、前記球送りソレノイド590に通電されていないときは、図12の(A)のように、自重によって下方へ揺動した位置にあって前記球通路573から遊技球P2が転動してくるのを、前記上側突部584で阻止する。その状態で、前記操作ハンドル64を遊技者が握って右側へ回転させると、前記球送りソレノイド590及び前記発射装置53の駆動源537に通電が開始される。前記球送りソレノイド590は、通電されると、前記駆動源537の作動による発射装置53の発射動作に同期して励磁されて磁力を発生し、前記球送出部581を図12の(B)のように上方へ揺動させ、前記球通路573から遊技球を1球だけ前記球受け凹部583に収容保持する。その後、前記球送りソレノイド590への通電が停止され、図12の(C)及び図13のように、前記球送出部581が下方へ自重で揺動し、それまで前記球受け凹部583に保持されていた遊技球が、前記下側突部585の上面(すなわち前記球受け凹部583において遊技球を受ける下面上)を転動して前記背面側ケース半体571に形成されている前記発射球供給出口591(図7及び図16に示す)から前記発射レール531上の発射位置に送り出される。
前記球供給部材57は、図14及び図15に示すように、前記発射装置53の遊技機前面側に被さる(重なる)ようにして前記ベース部材51に取り付けられ、前記発射レール531上を転動する遊技球が通過可能な発射通路60の少なくとも一部が、前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aと対向する前記背面側ケース半体571の壁面571aと、前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aとの間で構成される。前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aと対向する前記背面側ケース半体571の壁面571aは、図16に示すように、前記背面側ケース半体571における外面で構成される。
前記発射通路60は、前記発射レール531の上方に位置する。図15に示すように、前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aと前記背面側ケース半体571の壁面571aとの間隔dは、前記発射レール531における遊技機前後方向のレール幅jより大にされて後述する球回収口615の遊技機前後方向の開口幅k(図18に示す)と略同一にされ、発射通路60及び球回収口615は遊技球誘導レール3Aから発射レール側へ戻ってくる遊技球を受け入れ可能である。実施例上では、球回収口615の開口幅kは、前記遊技球誘導レール3Aから前記発射レール側へ戻ってくる遊技球を受け入れ可能な幅となっているため、前記間隔d及び球回収口615の開口幅kは、前記発射レール531のレール幅jより大にされていることから、前記発射通路60の幅は球回収口との間に段差が生じないように開口幅kの幅に合わせた構成となっている。daは前記発射通路60における遊技機前後方向の通路幅を示す。また前記遊技球誘導レール3Aが設けられた発射球誘導路5の遊技機前後方向の幅を、前記球回収口615の遊技機前後方向の開口幅kと略同一にしたり、少なくとも前記遊技球誘導レール3Aと球回収口615の一側を略同一面に設けることで前記球回収口の開口幅kを前記遊技球誘導レール3Aより大にしてもよい。
前記通路幅daは前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aと前記球供給部材57における背面側ケース半体571の壁面571a間に設けられた通路規制部605により、前記球回収口側601とは反対側602へ向けて徐々に狭くされている。前記発射通路60における球回収口側601の通路幅d1は、前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aと前記背面側ケース半体571の壁面571aとの間隔dと同一、すなわち、前記発射レール531のレール幅jより大(例えば遊技球1.5個分の幅)にされて球回収口615の開口幅kと略同一(遊技球誘導レール3Aから戻ってくる遊技球を受け入れ可能な幅)とされている。このように、前記通路幅daを球回収口側601から該球回収口側601とは反対側602へ向けて徐々に狭くすることで、前記遊技球誘導レール3Aから発射レール531側へ戻ってくる遊技球を前記発射レール531上へ誘導可能にしている。また、本実施例では、前記通路幅daは遊技球の発射位置近くで前記発射レール531の略V字形の溝部に遊技球を誘導可能に構成され、前記発射レール531のレール幅jと略同一(例えば少なくとも遊技球一個分の幅)にすることで溝部に誘導可能な幅にしているため、複数の遊技球が発射通路に戻ってきた場合に、槌部材の先端が触れる位置にある遊技球の弾発位置(先端が遊技球に当たる位置)にズレが生じないようにしている。d2は遊技球の発射位置近くの通路幅である。
前記通路規制部605は、本実施例では、前記球供給部材57における背面側ケース半体571の壁面571aから前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aへ向けて突出したリブ状の突起で構成されている。前記通路規制部605を構成する突起は、図7、図14、図15及び図16に示すように、前記発射レール531の上方側において該発射レール531上を戻って転動する遊技球の側面と当接可能な位置に、前記発射レール531の長さ方向に沿って形成されている。前記通路規制部605を構成する突起は、平行に複数本設けられている。
また、前記通路規制部605を構成する各突起は、前記球回収口側601から前記球回収口側601とは反対側602(すなわち槌部材側)へ向けて、前記ベース部材51の発射レール取付側の面51aへ傾斜している。これにより、前記通路規制部605を構成する各突起は、前記背面側ケース半体571の壁面571aから前記ベース部材51へ向かう突出量(すなわち突出高さ)が、前記球回収口側601で少なく(低く)され、前記球回収口側601とは反対側602(すなわち槌部材側)で大に(高く)なっている。そのため、前記遊技球誘導レール3Aから後述の回収口65を超えて発射レール531上の発射通路60へ戻ってきた遊技球は、前記球回収口側601で幅広の発射通路60内に容易に進入し、前記球回収口側601とは反対側602(すなわち槌部材側)へ進むに従い、前記通路規制部605(リブ状突起)によってベース部材51側へ通路幅が狭くなっているため、前記発射レール531上の発射位置へ正しく遊技球が誘導され、遊技球が背面側ケース半体571の壁面571aと発射レール531間の隙間に詰まる球ガミの発生を抑制することが可能である。
また、本実施例における通路規制部605を構成する複数のリブ状突起は、図16に示すように、下側の複数本605aについては、前記背面側ケース半体571に形成されている発射球供給出口591の位置で終了している。前記発射球供給出口591は、前記発射レール531における遊技球発射位置と対応する位置となっており、前記送出部581の球受け凹部583に保持された遊技球が、前記下側突585上を転動して前記発射球供給出口591から発射レール531上に供給されることにより、発射位置に配置される。
さらに図15に示すように、前記送出部581の下側突部585は、前記発射球供給出口591から遊技機背面側(発射位置側)へ突出して、前記通路規制部605を構成する複数のリブ状突起と略同一の位置とされている。これにより、前記通路規制部605と前記送出部581の下側突部585間の段差を少なくして、遊技球をより正しく発射位置へ誘導可能となる。
以上が実施例上での通路規制部であるが、通路規制部の構成はこれに限定されるものではなく、形状や材質、幅等を発射通路に合わせて構成すればよい。
前記経路部材61は、上方が球回収口65として開口したケースからなり、前記遊技球誘導レール3Aと前記ベース部材51間における遊技盤保持枠W2の遊技機前面側に取り付けられて前記遊技球誘導レール3Aと発射レール531間に位置する。前記球回収口65の上端位置は、前記遊技球誘導レール3Aの発射球誘導路5と前記発射装置53の発射レール531を結ぶ線よりも下方に位置し、前記遊技球誘導レール3Aから発射レール531側へ戻ってくる遊技球が前記球回収口65に入球可能に構成されている。前記球回収口65は、図17及び図18に示すように、遊技機前後方向の開口幅kが前記発射レール531のレール幅jよりも大にされている。これにより、前記遊技球誘導レール3Aから発射レール531側へ戻ってきた遊技球が球回収口65に入球し易くなる。なお、前記経路部材61内は前記球回収口65から前記下側球受け皿37に通じており、前記球回収口65に入球した遊技球が前記下側球受け皿37に回収されるように構成されている。
ここで前記遊技機1における遊技について簡略に説明する。前記遊技領域6へ向けて前記発射装置53により発射された遊技球が、前記種々の入賞口に入賞すると入賞口に応じた所定数の遊技球が賞球として上側球受け皿36に払い出される。また、前記左ゲート21または右ゲート23を遊技球が通過すると、普通図柄決定用乱数値が取得され、その取得乱数値に基づいて普通図柄の当たり判定が行われ、前記普通図柄表示部42で普通図柄が変動を開始し、所定時間変動後に停止する。その際、前記普通図柄の当たり判定結果が普通図柄当たりの場合には、当たり普通図柄、この例では奇数で停止し、前記第2始動入賞口11の2つの可動片11a,11bが背面の始動入賞口用ソレノイドによって略垂直で入賞し難い狭小開放状態(通常状態)から略V字形(逆ハの字形)の入賞し易い拡開開放状態に変化し、遊技球が入賞し易くなる。そして、前記第2始動入賞口11に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が賞球として払い出される。
また、前記第1始動入賞口10および第2始動入賞口11に遊技球が入賞すると、大当たり当否判定用乱数値及び大当たり確定特別図柄の組合せ決定用大当たり図柄乱数値が取得され、前記取得された大当たり当否判定用乱数値に基づいて大当たりの当否判定が行われ、前記普表示装置9で特別図柄が変動を開始し、所定時間変動後に停止する。
前記大当たりの当否判定結果が大当たりの場合には、前記柄表示装置9に大当たり確定特別図柄組合せ、この例では『1,1,1』(いわゆる‘1’のぞろ目)や『2,2,2』(いわゆる‘2’のぞろ目)等、同一数字の組合せ)で停止表示され、遊技者に有利な大当たり遊技(特別遊技)に移行する。前記特別遊技状態になると、前記大入賞口15の開閉板16が開いて遊技領域6の表面を落下してくる遊技球を受け止め易くして、大入賞口15へ入賞可能にし、該大入賞口15への入賞があると、所定数の遊技球が賞球として払い出される。前記開閉板16は、所定時間(例えば29.5秒)経過後、或いは入賞球数が所定個数(例えば10個)となった時点で閉じるようにされている。前記大入賞口15の開放は、所定回数(例えば15回)繰り返される。
また、前記発射装置53により発射された遊技球が前記遊技領域6に至ることなく遊技球誘導レール3Aを戻ってきて球回収口65に入った遊技球は、前記下側球受け皿37に回収される。
一方、前記発射装置53により発射された遊技球が前記遊技領域6に至ることなく遊技球誘導レール3Aを戻ってきて球回収口65を跳び越え、前記発射通路60内に至る場合には、前記発射通路60の通路幅daが、前記通路規制部605によって、発射通路60における球回収口側で球回収口65の開口幅と略等しくされ、球回収口側とは反対側へ向けて徐々に狭くされ、遊技球の発射位置で発射レール531のレール幅と略等しくされているため、遊技球を発射レール531上の発射位置へ正しく誘導することが可能であり、遊技球が発射レール531と球供給部材57との間の段差部により槌部材533の先端が触れない位置で複数の遊技球の噛み合せ、いわゆる球ガミによる詰まりの発生を抑え、該球ガミによる遊技への支障を抑制することが可能となる。
なお、本発明は、前記の実施例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば本実施例では前記遊技球誘導レールの遊技機前後方向の幅と前記発射レールのレール幅jは異なるが同じでもよい。また、略同一の幅は必ずしも完全一致でなくても効果を有すればよい。