JP5091100B2 - 軟磁性材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄を含有するとともに表面に絶縁被膜を有する軟磁性粉末から形成される軟磁性材料およびその製造方法に係り、特に絶縁被膜の改良に関する。
モータやトランスなどの電磁気部品には軟磁性材料が使用されている。図6は、従来の軟磁性材料の製造方法を説明するための図であり、各工程での生成物の概略構成を表す図である。なお、図6(A),(B)では、便宜的に軟磁性粉末の一粒子のみを記載している。従来の軟磁性材料の製造方法では、図6(A)に示すように鉄を含有する軟磁性粉末101を準備し、図6(B)に示すように軟磁性粉末101の表面に絶縁被膜102を形成する。続いて、図6(C)に示すように、その軟磁性粉末101を金型内(図示略)で圧縮成形することにより成形体103を作製する。
次いで、成形体103に熱処理を行うことにより、圧縮成形時に生じた成形体103の歪みを除去する。以上のようにして、軟磁性粉末の表面および界面に絶縁被覆処理が施された軟磁性材料が製造される。なお、熱処理後に絶縁被膜102が形成された軟磁性粉末101が空隙と接している部分(たとえば図6(C)では符号101S)を軟磁性粉末101の表面、絶縁被膜102が形成された軟磁性粉末101どうしが接している部分(たとえば図6(C)では符号101I)を軟磁性粉末101の界面と定義している。
軟磁性金属粉末101の表面101Sおよび界面101Iの絶縁被膜102は、電磁気部品の磁気特性を向上するために形成されている。具体的には、絶縁被膜102は、交流磁界の通過時における渦電流の発生を抑制することにより電磁気部品の効率を高めている。軟磁性材料の製造方法では、歪みの除去を効果的に行うために上記熱処理を高温下で行うことが望ましいから、絶縁被膜102としては、耐火性に劣る樹脂などではなく、金属酸化物などの無機質のものが用いられている。そのような金属酸化物としては、たとえば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ソフトフェライトがある。また、特許文献1では、電気抵抗率の最適化を図るために、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種を含む酸化物が提案されている。
しかしながら、金属酸化物などの無機質の絶縁被膜は硬いため、次のような問題があった。図7は、従来の軟磁性材料の製造方法の圧縮成形工程を表し、(A)は側断面図、(B)は(A)の構成を簡略化した拡大図である。なお、図7(B)では、便宜的に成形体の一粒子のみを記載している。図7(A)に示すように圧縮成形により作製される成形体103の密度が低いため、軟磁性材料の単位体積あたりの磁気特性が低下する。また、図7(B)に示すように成形時に絶縁被膜102にクラックCなどの損傷が生じやすいため、渦電流損失が大きくなり、軟磁性材料の磁気特性がさらに低下する。さらに、そのような成形体103は強度が低いため、成形後の工程において、割れなどの損傷が発生しやすく、ハンドリング性が悪いため、軟磁性材料の生産性が低下する。なお、図7の符号D1,D2は金型の上型,下型を示している。
一方、絶縁被膜の絶縁性向上のために高抵抗化を図ることを目的として、非磁性元素やその化合物を絶縁被膜として厚くコーティングしたり、絶縁被膜に添加しているが、この場合、磁気特性が劣化する。このように高抵抗化および磁気特性の向上を両立することが困難である。
特開2005−79511号公報
したがって、本発明は、生産性の向上を図ることができるとともに、高抵抗化と磁気特性の向上を両立することができる軟磁性粉末から形成される軟磁性材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の軟磁性材料は、鉄を含有するとともに、表面に絶縁被膜が形成された軟磁性粉末の成形により作製された軟磁性材料であって、絶縁被膜は、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜であり、絶縁被膜の膜厚は0.7nm〜10μmであり、軟磁性材料は圧縮成形体であることを特徴としている。
本発明の第2の軟磁性材料は、鉄を含有するとともに、表面に第1絶縁被膜が形成されている軟磁性材料であって、第1絶縁被膜は、金属、半金属、および、それら酸化物の少なくとも一つからなる無機被膜と、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる第2絶縁被膜とから構成され、第2絶縁被膜の膜厚は0.7nm〜10μmであり、軟磁性材料は圧縮成形体であることを特徴としている。この場合、無機被膜と第2絶縁被膜とが軟磁性材料表面から順に形成されていてもよいし、その逆でもよい。
本発明の第2の軟磁性材料は種々の構成を用いることができる。たとえば、軟磁性材料は、成形体への熱処理により得、無機被膜は、熱処理時の金属および半金属の少なくとも一つからなる被膜の酸化により得ることができる。
本発明の軟磁性材料の第1の製造方法は、鉄を含有する軟磁性粉末の表面にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、絶縁被膜が形成された軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、絶縁被膜の形成では、絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴としている。
本発明の軟磁性材料の第1の製造方法では、鉄を含有する軟磁性粉末の表面にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成している。これにより、本発明の第1の軟磁性粉末が製造される。続いて、その軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製している。このように作製された軟磁性材料は、本発明の第1の軟磁性材料である上記圧縮成形体であって、高周波用途として好適である。
ここで、軟磁性粉末の表面に形成されている絶縁被膜は、潤滑性および変形性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる。これにより絶縁被膜は、軟磁性粉末の塑性変形に追従することができるので、圧縮成形により作製される成形体の密度を高くすることができ、かつ絶縁被膜にクラックなどの損傷の発生を防止することができる。したがって、磁気特性の向上を図ることができる。また、成形体の強度を向上させることができるので、成形後の工程でのハンドリング性を向上させることができ、その結果、生産性の向上を図ることができる。また、従来のように非磁性元素やその化合物を、絶縁被膜として厚くコーティングすることや絶縁被膜に添加することが不要となり、以上のような効果は、絶縁被膜の全膜厚が同等である従来の軟磁性材料と比較して、より良く得ることができる。このように高抵抗化と磁気特性の向上を両立することができる。
本発明の軟磁性材料の第1の製造方法は種々の構成を用いることができる。たとえば成形体に熱処理を行うことができる。このように作製された軟磁性材料は、本発明の軟磁性材料である上記圧縮成形体への熱処理により得られた材料であって、高磁気特性用途として好適である。
上記態様では、成形体に熱処理を行うことにより、圧縮成形時に生じた成形体の歪みを除去する。ここで、絶縁被膜は、耐熱性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、熱処理による絶縁破壊の発生が防止される。したがって、絶縁性を良好とすることができるから、渦電流損失はもちろんのこと、ヒステリシス損失を低減することができ、その結果、さらに磁気特性の向上を図ることができる。
また、たとえば絶縁被膜の形成は、非極性溶媒あるいは極性溶媒にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つを溶かした溶液を用いて行うことが好適である。この態様では、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つが溶剤化され、その溶剤の粘度は低いから、絶縁被膜を軟磁性粉末表面に薄く均一に形成することができる。したがって、さらに磁気特性の向上を図ることができる。また、このように絶縁被膜の形成では、溶液を用いるから、抵抗加熱や電子ビームなどが不要であるから、製造方法が容易となる。
本発明の軟磁性材料の第2の製造方法は、鉄と酸素を含有する軟磁性粉末の表面に、金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜を形成し、無機被膜の表面に、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、無機被膜および絶縁被膜が形成された軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、成形体に熱処理を行うことにより、無機被膜を酸化して無機酸化膜を形成し、絶縁被膜の形成では、絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴としている。
本発明の軟磁性材料の第3の製造方法は、鉄と酸素を含有する軟磁性粉末の表面に、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、絶縁被膜の表面に、金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜を形成し、絶縁被膜および無機被膜が形成された軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、成形体に熱処理を行うことにより、無機被膜を酸化して無機酸化膜を形成し、絶縁被膜の形成では、絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴としている。
本発明の軟磁性材料の第2,3の製造方法では、金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜は、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜と同様に延性が大きいから、圧縮成形時に無機被膜は、軟磁性粉末の塑性変形に追従することができる。その結果、第1の製造方法と同様に、圧縮成形後の効果(磁気特性および生産性の向上)を得ることができる。そして、成形体への熱処理によって、無機被膜を酸化して無機酸化膜を形成する。この場合、無機酸化膜は高強度を有するとともに、絶縁被膜は残存する。したがって、成形性を阻害することなく、絶縁性の向上および高強度化を図ることができる。その結果、磁気特性および生産性の向上をより良く得ることができる。このような効果は、絶縁被膜の全膜厚が同等である従来の軟磁性材料と比較して、より良く得ることができる。このように高抵抗化と磁気特性の向上を両立することができる。
本発明の軟磁性材料の第2,3の製造方法は種々の構成を用いることができる。たとえば、無機酸化膜の酸化物は、標準生成自由エネルギーの絶対値が鉄酸化物よりも大きいことが好適である。この態様では、金属および半金属は、熱処理において、鉄と酸素を含有する軟磁性粉末中の酸素を還元することができるので、容易に酸化膜を形成することができる。また、絶縁被膜の形成では、本発明の軟磁性材料の第1の製造方法と同様な溶液を用いることができる。
本発明の第1の軟磁性材料によれば、絶縁被膜が潤滑性、変形性、および、耐熱性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、高強度および高磁気特性を有することができる。
本発明の第1の軟磁性材料の製造方法によれば、絶縁被膜が潤滑性、変形性、および、耐熱性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、高強度および高磁気特性を有する軟磁性材料を製造することができ、かつ生産性の向上を図ることができる。
本発明の第2の軟磁性材料によれば、本発明の第1の軟磁性材料の効果をより良く得ることができる。
本発明の第2,3の軟磁性材料の製造方法によれば、本発明の第1の軟磁性材料の製造方法の効果をより良く得ることができる。
(1)第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る第1実施形態の軟磁性材料の製造方法を説明するための図であり、各工程での生成物の概略構成を表す図である。図1(A),(C)では、軟磁性粉末の一粒子のみを記載している。
まず、図1(A)に示すように、Fe(鉄)を含有する軟磁性粉末1を準備する。軟磁性粉末1の材料としては、特に限定されるものではなく、たとえば純Fe、Fe-Ni、Fe-Si、Fe-Co、Fe-Al-Siを用いる。
続いて、図1(B)に示すように、たとえばフラーレンからなる粒子状材料Pを溶媒Sに溶解して、粒子状材料Pを溶剤化する。この場合、フラーレンの代わりに、フラーレン化合物あるいはそれらの混合物を用いてもよい。フラーレンとしては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96、C100以上の高次フラーレンの単体およびそれら単体の混合体が挙げられる。また、フラーレン化合物としては、C60x、C60x、C60 Clx、C60 OHx(元素記号右下のXは係数)、C601、C60などのフラーレン化合物の単体およびそれら単体の混合体が挙げられる。
溶媒Sとしては、特に限定されるものではないが、粒子状材料Pとしてフラーレンを用いる場合、フラーレンが溶解するベンゼン系溶媒などの非極性溶媒が挙げられる。また、この場合、粒子状材料Pが非極性溶媒への溶解後、その非極性溶媒を揮発性の高い極性溶媒と混合してもよい。また、粒子状材料Pとしてフラーレン化合物を用いる場合、フラーレン化合物は極性溶媒にも溶解するから、溶媒Sは、非極性および極性のいずれであってもよい。さらに、粒子状材料Pの溶媒Sへの混合法は、特に限定されるものではなく、容器回転式や、機械撹拌式、流動撹拌式などの各種混合法が適用可能である。
次に、図1(C)に示すように、粒子状材料Pが溶解してフラーレン溶剤となった溶媒Sを、軟磁性粉末1の表面に均一に塗布し、その軟磁性粉末1を乾燥させることにより、フラーレンを軟磁性粉末1に固着させる。これによりフラーレンからなる絶縁被膜2が軟磁性粉末1の表面に形成される。このような絶縁被膜2の形成では、粘度が低いフラーレン溶剤を用いているので、絶縁被膜2は軟磁性粉末1表面に薄く均一に形成される。なお、絶縁被膜2が表面にされた軟磁性粉末1は、本発明の一実施形態の軟磁性粉末である。
絶縁被膜2の具体的な形成方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、超音波照射、気流噴霧法、あるいは、バレル混合が挙げられる。絶縁被膜2の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.7nm〜10μmであることが好適である。絶縁被膜2の膜厚が0.7nm未満の場合、最小フラーレン分子の直径以下となるから、絶縁効果が小さくなる。一方、絶縁被膜2の膜厚が10μm超の場合、透磁率が大きく低下するため、実用性がなくなる。
次いで、図1(D)に示すように、絶縁被膜2が表面に形成された軟磁性粉末1を金型内(図示略)で圧縮成形することにより成形体3(圧縮成形体)を作製する。成形圧力は、特に限定されないが、100MPa〜2500MPaとすることが好適である。成形圧力が100MPa未満の場合、成形体4の密度が高くならず、磁気特性が良好とならない。一方、成形圧力が2500MPa超の場合、金型の寿命が短くなり、コスト増大や生産性低下が招かれるため、実用的ではない。成形温度は、特に限定されるものではなく、常温だけでなく、温度を高めた温間でもよい。また、圧縮成形時の潤滑剤は、必要に応じて用いる。
このような圧縮成形では、軟磁性粉末1の表面の絶縁被膜2は、潤滑性および変形性を有するフラーレンからなるから、軟磁性粉末1の塑性変形に追従することができる。これにより、図2(A)に示すように圧縮成形により作製される成形体3の密度を高くすることができ、かつ、図2(B)に示すように絶縁被膜2にクラックなどの損傷の発生を防止することができる。以上のようにして、本発明の一実施形態の軟磁性材料として、絶縁被覆処理が表面1S,1Iに施された軟磁性粉末からなる圧縮成形体が製造される。この軟磁性材料は、高周波用途として好適である。
次いで、成形体3に熱処理を行うことにより、圧縮成形時に生じた成形体3の歪みを除去する。熱処理の雰囲気は、特に限定されるものではなく、真空中、アルゴン、あるい窒素などの不活性雰囲気や、水素などの還元雰囲気が挙げられる。熱処理温度は、特に限定されるものではなく、400℃以上が好適である。400℃未満では、成形時に生じた歪みの除去を十分に行うことができない。
このような熱処理では、絶縁被膜2は、耐熱性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、熱処理による絶縁破壊の発生が防止される。しかも、絶縁被膜2には、上記のように損傷がないから、絶縁被膜2の絶縁性は良好である。以上のようにして、本発明の一実施形態の軟磁性材料として、軟磁性粉末の表面1Sおよび界面1Iに絶縁被覆処理が施された被熱処理材料が製造される。このような軟磁性材料は、高磁気特性用途として好適である。なお、熱処理後に絶縁被膜2が形成された軟磁性粉末1が空隙と接している部分を表面1S、熱処理後に絶縁被膜2が形成された軟磁性粉末1どうしが接している部分を界面1Iと定義している。
以上のように第1実施形態の軟磁性材料の製造方法では、軟磁性粉末1表面の絶縁被膜2が潤滑性および変形性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、圧縮成形により作製される成形体3の密度を高くすることができ、かつ絶縁被膜2にクラックなどの損傷の発生を防止することができる。したがって、磁気特性の向上を図ることができる。また、成形体3の強度を向上させることができるので、成形後の工程でのハンドリング性を向上させることができ、その結果、生産性の向上を図ることができる。以上のような効果は、潤滑性および変形性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つにより絶縁被膜2を構成するだけで得られるので、従来のように非磁性元素やその化合物を絶縁被膜として厚くコーティングしたり、絶縁被膜に添加することが不要となる。その結果、高抵抗化と磁気特性の向上を両立することができる。
特に、絶縁被膜2が耐熱性を有するフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなるから、熱処理による絶縁破壊の発生が防止される。したがって、絶縁性を良好とすることができるから、渦電流損失はもちろんのこと、ヒステリシス損失を低減することができ、その結果、さらに磁気特性の向上を図ることができる。
また、絶縁被膜2の形成では、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる粒子状材料Pを溶剤化し、その低粘度の溶剤を軟磁性粉末1に塗布している。したがって、絶縁被膜2を軟磁性粉末表面に薄く均一に形成することができるので、さらに磁気特性の向上を図ることができる。また、このような絶縁被膜2の形成では、溶液を用いるから、抵抗加熱や電子ビームなどが不要であるから、製造方法が容易となる。
(2)第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図3,4は、第2実施形態の軟磁性材料の製造方法を説明するための図であり、各工程での生成物の概略構成を表す図である。図3(A),(B)では、軟磁性粉末の一粒子のみを記載している。第2施形態では、第1実施形態と同様な構成には同符号を付し、第1実施形態と同様な作用を有する構成要素の説明は省略している。
まず、図3(A)に示すように、Feおよび酸素を含有する軟磁性粉末1を準備する。軟磁性粉末1に十分に酸素を含有させるために、熱処理を施しておいてもよい。軟磁性粉末1の鉄材料としては、第1実施形態と同様のものを用いる。
続いて、図3(B)に示すように、軟磁性粉末1の表面に金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜12を形成する。無機被膜12は、金属あるいは半金属からなる被膜であり、その材料としてはたとえば、その酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値が鉄酸化物よりも大きいものを用いる。具体的には、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Mg(マグネシウム)、Nb(ニオブ)、Li(リチウム)、Gd(ガドリニウム)、Y(イットリウム)、Pr(プラセオジウム)、La(ランタン)、Nd(ネオジム)を用いる。
無機被膜12の形成では、たとえば図5に示す粉体スパッタリング装置200を用いる。粉体スパッタリング装置200は、真空ポンプ(図示略)により内部が真空雰囲気とされるハウジング201を備え、その内部には所定方向(たとえば図の左側の矢印方向)に回転可能な回転バレル202が設けられている。回転バレル202の内部には、軟磁性粉末1が供給される回転バレル202の底部上面と対向するように被膜12の材料のターゲット203が配置されている。軟磁性粉末1は、試料ボックス204から供給される。
このような粉体スパッタリング装置200では、ターゲット203に高電圧を印加することにより、イオン化された希ガス元素や窒素をターゲット203に衝突させる。すると、ターゲット203の表面からはじき飛ばされた原子が、回転バレル202の底部上面の軟磁性粉末1に到達し、軟磁性粉末1表面に無機被膜12が形成される。ここで、回転バレル202を回転させることにより、軟磁性粉末1を流動させているので、無機被膜12の形成は、軟磁性粉末1の粉末粒子の全表面で行われる。
無機被膜12の形成手法は、上記のようなスパッタリングに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、スパッタリングの代わりに、熱蒸着やイオンプレーティングなどの気相成膜法や、メッキなどの湿式成膜法、熱分解や気相還元などの化学気相法、メカノフージョンやハイブリダイゼーションなどの機械的成膜法などを用いてもよい。
続いて、図3(C)に示すように、第1実施形態と同様、たとえばフラーレンからなる粒子状材料Pを溶媒Sに溶解して、粒子状材料Pを溶剤化する。次に、図3(D)に示すように、第1実施形態と同様、粒子状材料Pが溶解してフラーレン溶剤となった溶媒Sを、軟磁性粉末1の酸化膜11の表面に均一に塗布し、その軟磁性粉末1を乾燥させることにより、フラーレンを軟磁性粉末1に固着させる。これによりフラーレンからなる絶縁被膜2が無機被膜12の表面に形成される。次いで、図3(E)に示すように、第1実施形態と同様、無機被膜12および絶縁被膜2が表面に形成された軟磁性粉末1を金型内(図示略)で圧縮成形することにより成形体13(圧縮成形体)を作製する。
このような圧縮成形では、軟磁性粉末1の表面の無機被膜12は延性が大きく、かつ無機被膜12の表面の絶縁被膜2は、上記のように潤滑性および変形性を有するフラーレンからなるから、無機被膜12および絶縁被膜2は、軟磁性粉末1の塑性変形に追従することができる。これにより、無機被膜12および絶縁被膜2にクラックなどの損傷の発生を防止することができる。
次いで、第1実施形態と同様、図4に示すように、成形体13に熱処理を行うことにより、圧縮成形時に生じた成形体13の歪みを除去するとともに、成形体13を構成する軟磁性粉末1の表面1Sおよび界面1Iの無機被膜12を酸化して、無機酸化膜14を形成している。無機酸化膜14の形成では、無機被膜12は、軟磁性粉末1中の酸化膜11を構成する酸化鉄中の酸素と反応している。
このような熱処理では、上記のように軟磁性粉末1表面の無機被膜12には損傷がないから、無機酸化膜14の絶縁性は良好である。金属どうし、半金属どうし、および、金属および半金属どうしでは、酸化物どうしの場合よりも低温で結合が開始され、その結合反応とともに無機被膜12は酸化膜へと変化するので、さらに強度を向上させることができる。以上のようにして、軟磁性粉末1の表面1Sおよび界面1Iに絶縁被覆処理が施された被熱処理材料15が製造される。なお、熱処理後に絶縁被膜が形成された軟磁性粉末1が空隙と接している部分を表面1S、絶縁被膜が形成された軟磁性粉末1どうしが接している部分を界面1Iと定義している。
以上のように第2実施形態の製造方法では、無機被膜12は、圧縮成形時に軟磁性粉末1の塑性変形に追従することができるから、第1の実施形態の製造方法と同様に、圧縮成形後の効果(磁気特性および生産性の向上)を得ることができる。そして、成形体13への熱処理によって、無機被膜12を酸化して無機酸化膜14を形成したとき、無機酸化膜14は高強度を有するとともに、絶縁被膜2は残存する。したがって、成形性を阻害することなく、絶縁性の向上および高強度化を図ることができる。その結果、磁気特性および生産性の向上をより良く得ることができる。このような効果は、絶縁被膜の全膜厚が同等である従来の軟磁性材料と比較して、より良く得ることができる。このように高抵抗化と磁気特性の向上を両立することができる。
なお、第2実施形態において、絶縁被膜2の形成後、軟磁性粉末1への熱処理により無機被膜12を酸化して無機酸化膜14を形成することにより、無機酸化膜14および絶縁被膜2が表面から順に形成された軟磁性粉末を製造することができる。また、そのような軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、無機酸化膜14および絶縁被膜2が表面から順に形成された軟磁性粉末から構成される成形体(圧縮成形体)を作製することができる。また、軟磁性粉末1の表面からの無機酸化膜14と絶縁被膜2との形成順序を逆にしてもよい。
以下、具体的な実施例を参照して本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
(1)実施例1(第1実施形態の実施例(絶縁被膜のみによる被覆))
(A)成形体の特性評価
実施例1では、本発明の第1実施形態の試料11および比較試料11,14の軟磁性材料としての成形体、比較試料13の軟磁性材料としての被熱処理材料の特性評価を行った。第1実施形態の試料11では、C60およびC70の混合体であるフラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼン(溶解度17.9mg/ml)にて溶解し、その溶液を揮発性の高いエタノールと混合した。これにより、フラーレン溶剤を所定量作製した。続いて、そのフラーレン溶剤(フラーレン含有量0.1wt.%)と水アトマイズ純鉄粉末とをビーカ内で仮混合した後、で超音波照射を行った。超音波照射条件は、40kHz、250W、60minとした。
次いで、5kPa以下の真空下において超音波照射を行いながら乾燥させ、粉末表面に絶縁被膜として絶縁被膜であるフラーレン膜を形成した。超音波照射条件は、40kHz、50W、60minとした。次に、外形40mm、内径25mmのリング形状の金型を用い、フラーレン膜が形成された粉末に圧縮成形を行った。成形圧力は、600MPaに設定した。これによりリング形状の成形体を作製した。
比較試料11では、試料11と同様な金型を用い、試料11と同様な水アトマイズ純鉄粉末のみに圧縮成形を行った。成形圧力は、試料11と同様に設定した。これによりリング形状の成形体を作製した。
比較試料3では、試料1と同様な水アトマイズ純鉄粉末にステアリン酸石鹸を0.5wt.%%、エポキシ樹脂を1.5wt.%混合し、粉末表面に絶縁被膜として樹脂膜を形成した。続いて、試料1と同様な金型を用い、その粉末に圧縮成形を行った。成形圧力は、試料1と同様に設定した。これによりリング形状の成形体を作製した。次に、大気中130℃で、成形体に熱処理を行った。これにより、リング形状の被熱処理材料を製造した。
比較試料14では、試料11と同様な水アトマイズ純鉄粉末に絶縁被膜としてフェライト膜を形成した。続いて、試料11と同様な金型を用い、フェライト膜が形成された粉末に圧縮成形を行った。成形圧力は、試料11と同様に設定した。これによりリング形状の成形体を作製した。
試料11および比較試料11,14の成形体および比較試料3の被熱処理材料の密度、電気抵抗率、および、磁気特性を測定した。密度については、重量と寸法を測定し、数1で示される次式より相対密度として算出した。
相対密度(%)=(成形体密度/真密度)×100
電気抵抗率は、4端子法にて測定した。磁気特性について、0.6mmのマグネットワイヤを用いて1次側100ターン、2次側30ターンの巻き線を施し、B−Hアナライザ(岩通製SY−8232)にて透磁率、ヒステリシス損失、および、渦電流損失を測定した。鉄損はヒステリシス損失および渦電流損の和として得た。その結果を表1に示す。なお、表1における各測定結果では、比較試料11の成形体の結果を基準(=1)とし、試料11の成形体、比較試料13の被熱処理材料、および、比較試料14の成形体の結果を表記している。
Figure 0005091100
表1に示すように、フラーレン膜を表面に有する純鉄粉末から作製した試料11の成形体の密度は、被膜を表面に有しない純鉄粉末から作製した比較試料1の成形体のものと同じであった。そして、試料11の成形体の密度は、樹脂膜を表面に有する純鉄粉末から作製した比較試料13の被熱処理材料およびフェライト膜を表面に有する純鉄粉末から作製した比較試料14の成形体のものより高くなった。しかも、試料11の成形体では、割れや微少な欠けなどが確認されず、成形性は良好であった。また、試料11の成形体の電気抵抗率は、比較試料11の成形体の5.39倍であった。これにより試料11の成形体の絶縁性が良好であることが判った。以上のように試料11の成形体は、高密度を有し、かつ成形性および絶縁性が良好であることを確認した。
また表1に示すように、試料11の成形体では、比較試料11の成形体と比較して、渦電流損失が75%低減され、鉄損が6%低減された。また、試料11の成形体では、比較試料13の被熱処理材料および比較試料14の成形体のそれぞれと比較して、透磁率を1.68倍および1.54倍としつつ、鉄損が4%および52%低減された。以上のように試料11の軟磁性材料としての成形体は、高磁気特性を有することを確認した。このような試料11の成形体は、高周波用途として好適である。
(B)被熱処理材料の特性評価
次に、本発明の第1実施形態の試料12および比較試料12,15の軟磁性材料としての被熱処理材料の特性評価を行った。第1実施形態の試料12では、フラーレン膜を表面に有する純鉄粉末から作製した第1実施形態の試料11の成形体に、500℃で熱処理を行った。これにより、リング形状の被熱処理材料を製造した。比較試料12では、被膜を表面に有しない純鉄粉末から作製した比較試料11の成形体に、500℃で熱処理を行った。これにより、リング形状の被熱処理材料を製造した。比較試料15では、フェライト膜を表面に有する純鉄粉末から作製した比較試料14の成形体に、500℃で熱処理を行った。これにより、リング形状の被熱処理材料を製造した。
試料12,比較試料12,15の被熱処理材料の密度、電気抵抗率、および、透磁率、ヒステリシス損失、および、渦電流損失を測定した。鉄損はヒステリシス損失および渦電流損の和として得た。その結果を表2に示す。なお、表2には、上記比較試料3の結果を併記している。各測定手法は、上記成形体特性評価で行ったものと同様である。表2における各測定結果では、比較試料12の被熱処理材料の結果を基準(=1)とし、試料12,比較試料13,15の被熱処理材料の結果を表記している。
Figure 0005091100
表2に示すように、フラーレン膜を表面に有する純鉄粉末から作製した試料12の被熱処理材料の電気抵抗率は、被膜を表面に有しない純鉄粉末から作製した比較試料12の被熱処理材料の21.56倍であった。これにより、第1実施形態の試料12の被熱処理材料の絶縁性は、比較試料12の被熱処理材料のものよりも非常に良好であることを確認した。
また、試料12の被熱処理材料では、比較試料12の被熱処理材料と比較して、渦電流損失が90%低減された。これにより、フラーレン被膜には、熱処理による絶縁破壊が発生しないことを確認した。さらに試料2の被熱処理材料では、熱処理前の試料11の成形体と比較してヒステリシス損失が23%低減され、その試料12の被熱処理材料のヒステリシス損失は、比較試料12の被熱処理材料のものと同程度であった。加えて、試料12の被熱処理材料では、比較試料12の被熱処理材料と比較して、鉄損が74%低減された。また、試料12の被熱処理材料では、樹脂膜を表面に有する純鉄粉末から作製した比較試料13の被熱処理材料およびフェライト膜を表面に有する純鉄粉末から作製した比較試料15の被熱処理材料のそれぞれと比較して、透磁率を2.28倍および1.31倍としつつ、鉄損が1%および9%低減された。
以上のように第1実施形態の試料12の軟磁性材料としての被熱処理材料は、高磁気特性を有することを確認した。このような試料12の被熱処理材料は、高磁気特性用途として好適である。
(2)実施例2(第2実施形態の実施例(絶縁被膜と無機酸化膜による被覆))
実施例2では、本発明の第2実施形態の試料21および比較試料21〜23の軟磁性材料としての被熱処理材料の特性評価を行った。なお、試料22は、本発明の第1実施形態の試料である。
第2実施形態の試料21では、酸素を0.1%含有した水アトマイズ純鉄粉末を準備し、スパッタリングによって、その水アトマイズ純鉄粉末に、無機被膜としてアルミニウム膜を約15nmの厚さで形成した。なお、膜厚の算出については、アルミニウム膜が粉末の全表面に均一に被覆されているものと仮定して、純鉄粉末の比表面積およびアルミニウムの被覆量からアルミニウム膜の厚さを算出した。続いて、実施例1と同様な手法で、アルミニウム膜の表面にフラーレン膜を形成した。次いで、外径40mm、内径25mmのリング形状の金型を用い、アルミニウム膜が形成された粉末に圧縮成形を行った。成形圧力は、600MPaに設定した。これにより直方体形状およびリング形状の成形体を作製した。この成形体では、割れや微少な欠けなどが確認されず、成形性は良好であった。次に、大気中500℃で熱処理を成形体に行った。これにより、リング形状の被熱処理材料を製造した。
比較試料21では、アルミニウム膜の表面にフラーレン膜を形成しない以外は、第2実施形態の試料21と同様な手法で、リング形状の被熱処理材料を製造した。比較試料22では、アルミニウム膜の表面にフラーレン膜を形成する代わりに、潤滑剤(ケノルーブ)からなる潤滑膜を形成した以外は、第2実施形態の試料21と同様な手法で、リング形状の被熱処理材料を製造した。比較試料23では、アルミニウム膜およびフラーレン膜を形成する代わりに、潤滑剤(kenolube)からなる潤滑膜を形成した以外は、第2実施形態の試料21と同様な手法で、リング形状の被熱処理材料を製造した。
試料21,22および比較試料21〜23の電気抵抗率、透磁率、ヒステリシス損失、渦電流損失、および、強度を測定した。鉄損はヒステリシス損失および渦電流損の和として得た。その結果を表3に示す。電気抵抗率、透磁率、ヒステリシス損失、渦電流損失測定は、実施例1と同様に行った。3点曲げ強度試験は、JIS R 1601に準じて行った。この場合、スパンを30mm、クロスヘッドスピードを0.1mm/minとした。表3における各測定結果では、試料21の結果を基準(=1)とし、試料22および比較試料21〜23の結果を表記している。
Figure 0005091100
表3に示すように、試料21の被熱処理材料は、試料22および比較試料21〜23と比較して、鉄損が最も小さかった。また、試料21の被熱処理材料は、実施例1の試料22と比較して、強度が大幅に向上していた。
さらに、試料21の被熱処理材料では、酸化アルミニウム膜およびフラーレン膜の2層が軟磁性粉末の表面に形成されているため、その透磁率は、軟磁性粉末の表面に1以下の層が形成された試料22および比較試料21,22の被熱処理材料と比較すると小さかった。しかしながら、試料21の被熱処理材料の透磁率は、軟磁性粉末の表面に酸化アルミニウム膜および潤滑膜という同じく2層が形成された比較試料23の被熱処理材料と比較すると、大きかった。これにより、試料21の被熱処理材料では、透磁率を保持しつつ、鉄損の低減化を図ることができることを確認した。
以上のように第2実施形態の試料21の軟磁性材料としての被熱処理材料は、高強度および高磁気特性を有することを確認した。
本発明に係る第1実施形態の軟磁性材料の製造方法の各工程での生成物の概略構成を表す図である。 本発明に係る第1実施形態の軟磁性材料の製造方法の圧縮成形工程を表し、(A)は側断面図、(B)は(A)の構成を簡略化した拡大図である。 本発明に係る第2実施形態の軟磁性材料の製造方法の各工程での生成物の概略構成を表す図である。 図3に続く工程での生成物の概略構成を表す図である。 本発明に係る第2実施形態の軟磁性材料の製造方法のスパッタリングで用いられる粉体スパッタリング装置の構成の一例を表す概略側断面図である 従来の軟磁性材料の製造方法の各工程での生成物の概略構成を表す図である。 従来の軟磁性材料の製造方法の圧縮成形工程を表し、(A)は側断面図、(B)は(A)の構成を簡略化した拡大図である。
符号の説明
1…軟磁性粉末、2…絶縁被膜(絶縁被膜,第2絶縁被覆)、3…成形体(圧縮成形体、軟磁性材料)、12…無機被膜、13…成形体(圧縮成形体、軟磁性材料)、14…無機酸化膜、15…被熱処理材料(軟磁性材料)、S…溶媒、P…粒子状材料

Claims (12)

  1. 鉄を含有するとともに、表面に絶縁被膜が形成された軟磁性粉末の成形により作製された軟磁性材料において、
    前記絶縁被膜は、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜であり、前記絶縁被膜の膜厚は0.7nm〜10μmであり、
    前記軟磁性材料は圧縮成形体であることを特徴とする軟磁性材料。
  2. 前記圧縮成形体への熱処理により得られたことを特徴とする請求項1に記載の軟磁性材料。
  3. 鉄を含有するとともに、表面に第1絶縁被膜が形成された軟磁性粉末の成形により作製された軟磁性材料において、
    前記第1絶縁被膜は、金属、半金属、および、それら酸化物の少なくとも一つからなる無機被膜と、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる第2絶縁被膜とから構成され、前記第2絶縁被膜の膜厚は0.7nm〜10μmであり、
    前記軟磁性材料は圧縮成形体であることを特徴とする軟磁性材料。
  4. 前記軟磁性材料は、前記圧縮成形体への熱処理により得られ、
    前記無機被膜は、前記熱処理時の金属および半金属の少なくとも一つからなる被膜の酸化により得られたことを特徴とする請求項3に記載の軟磁性材料。
  5. 前記無機被膜の酸化物は、標準生成自由エネルギーの絶対値が鉄酸化物よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の軟磁性材料。
  6. 鉄を含有する軟磁性粉末の表面にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、
    前記絶縁被膜が形成された前記軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、
    前記絶縁被膜の形成では、前記絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴とする軟磁性材料の製造方法。
  7. 前記成形体に熱処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の軟磁性材料の製造方法。
  8. 前記絶縁被膜の形成は、非極性溶媒あるいは極性溶媒にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つを溶かした溶液を用いて行うことを特徴とする請求項6または7に記載の軟磁性材料の製造方法。
  9. 鉄と酸素を含有する軟磁性粉末の表面に、金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜を形成し、
    前記無機被膜の表面に、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、
    前記無機被膜および前記絶縁被膜が形成された前記軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、
    前記成形体に熱処理を行うことにより、前記無機被膜を酸化して無機酸化膜を形成し、
    前記絶縁被膜の形成では、前記絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴とする軟磁性材料の製造方法。
  10. 鉄と酸素を含有する軟磁性粉末の表面に、フラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つからなる絶縁被膜を形成し、
    前記絶縁被膜の表面に、金属および半金属の少なくとも一つからなる無機被膜を形成し、
    前記絶縁被膜および前記無機被膜が形成された前記軟磁性粉末に圧縮成形を行うことにより、その軟磁性粉末の成形体を作製し、
    前記成形体に熱処理を行うことにより、前記無機被膜を酸化して無機酸化膜を形成し、
    前記絶縁被膜の形成では、前記絶縁被膜の膜厚を0.7nm〜10μmとすることを特徴とする軟磁性材料の製造方法。
  11. 前記無機酸化膜の酸化物は、標準生成自由エネルギーの絶対値が鉄酸化物よりも大きいことを特徴とする請求項9または10に記載の軟磁性材料の製造方法。
  12. 前記絶縁被膜の形成は、非極性溶媒あるいは極性溶媒にフラーレンおよびフラーレン化合物の少なくとも一つを溶かした溶液を用いて行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の軟磁性材料の製造方法。
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