JP5089204B2 - 加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱装置、より詳しくは、半導体デバイスの製造工程で基板として用いられるウエハ又はその他の被加熱材を保持又は加熱するための加熱装置に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハ上へ各種の被膜を形成する等のために加熱処理が施される。この半導体ウエハを加熱するための加熱装置には、半導体ウエハが載置されて加熱される平面的な上面を有する円盤状のセラミックス基体を備え、このセラミックス基体の内部又は表面に発熱体が設けられた加熱装置がある。
例えば、AlN(窒化アルミニウム)セラミックス基体の内部に、Mo等の導電体が埋設された加熱装置(ヒータ)がある。このような構造の加熱装置は、この導電体が抵抗発熱体として機能し、この基体の上面に載置された被加熱材、例えば半導体ウエハを加熱することができる。また、同様のAlNセラミックス基体の内部に、高融点金属等の導電体が埋設された構造を有する構造体は、加熱装置ばかりでなく、この導電体が静電力発生用の電極として機能する静電チャックや、この導電体がプラズマ発生用の高周波電極として機能する高周波電極内蔵サセプタに適用される。
これらの加熱装置等は、半導体製造装置における処理室内に取り付けられ、成膜のため、エッチングのため又はクリーニングのために、フッ素を含むガス雰囲気のプラズマに高温で暴露される。すると、これらの加熱装置等におけるAlNよりなる基体は、フッ素プラズマと反応し、その結果、基体表面でフッ化アルミニウムが形成される。このフッ化アルミニウムは、450℃程度から昇華し始めることから、成膜、エッチング又はクリーニング処理時の温度では、基体表面に形成されたフッ化アルミニウムは基体表面に残らず昇華する。フッ化アルミニウムが昇華した後に基体表面に露出しているAlNは、あらためてフッ素プラズマと反応してフッ化アルミニウムが形成され、この形成されたフッ化アルミニウムが昇華することから、AlN基体は次第に腐食される。
腐食されたAlN基体は、次第に厚さが薄くなることから、基体強度の低下などが生じる。また、昇華したフッ化アルミニウムは、処理室内で低温となる領域、例えば処理室の内壁面などで析出し、パーティクルとなる。このパーティクルは加熱装置に載置された半導体ウエハに付着する可能性があり、半導体デバイスの製造歩留まりを低下させるおそれがある。
フッ素プラズマに対する耐食性を高めた部材として、アルカリ土類金属の高密度フッ化物焼結体がある(特許文献1)。また、AlNの表面に形成された耐食層を備え、この耐食層が希土類元素及びアルカリ土類からなる群から選ばれた1種以上の元素のフッ化物を含有している耐食性部材がある(特許文献2)。
特開2000−86344号公報 特開平11−80925号公報
特許文献1に記載されたような、高密度フッ化物焼結体は、加熱装置の基体に適用したときには、この基体全体がフッ化物でできていることになるため、この基体は熱伝導率が低く、強度が低い。また、特に熱膨張係数が大きいため、半導体製造プロセスにおいて頻繁に繰り返される加熱冷却により基体に生ずる熱応力によって基体の破壊が生じるおそれがあり、実用に耐えられない。
また、特許文献2に記載されたような、希土類元素のフッ化物やアルカリ土類元素のフッ化物よりなる耐食層を有する耐食性部材を加熱装置の基体に適用したときには、この耐食層の厚さは、好適には10μm以下であって、このような厚さの耐食層では、耐食層による耐食効果には限界があり、加熱装置の寿命を効果的に延長させることが難しかった。また、この耐食層の厚さを厚くした場合には、基体と耐食層との熱膨張差に起因して耐食層に割れやクラックを生じたり、耐食層が基体表面から剥離したりするため、耐食層を厚くすることは難しかった。
この発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、フッ素プラズマに対する耐久性に優れ、長期間使用することができる加熱装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決する、本発明の加熱装置は、AlNを主成分とするセラミックスからなり、平面的な上面を有する基体と、この基体の少なくとも上面を含む表面を覆って形成された耐食層とを備え、この耐食層は、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、低熱膨張セラミックス微粒子とを含むことを特徴とする。
本発明の加熱装置によれば、耐食層が優れた耐食性を有し、かつ、基体との熱膨張係数差が小さいので耐食層の厚さを厚くすることができ、耐久性に優れた加熱装置とすることができる。
以下、本発明の加熱装置の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る加熱装置の一実施例の断面図である。図1に示される加熱装置1は、AlNセラミックスよりなる円盤状の基体2を備えている。この基体2の上面2aは、この加熱装置1により加熱される被加熱材としての例えば半導体ウエハWと対向する側の面であり、この半導体ウエハWが載置可能なように平面状になっている。この上面2aに載置された半導体ウエハWを加熱するために、基体2の内部に、導電体よりなる抵抗発熱体3が埋設されている。この基体2の背面2bの中央部近傍から抵抗発熱体3に向けて端子4が挿入されていて、この端子4は、抵抗発熱体3と接続されている。この端子4は、基体2の背面2b側に設けられた給電棒5と接続されている。基体2の背面2bには、基体2を支持する中空の支持部材6が固着されている。給電棒5は、この支持部材6の中空部6aに位置するように設けられている。給電棒5は、加熱装置1の使用時における腐食性雰囲気から支持部材6により遮蔽される。給電棒5に図示しない電源から電力を供給することにより、この給電棒5に端子を介して接続している抵抗発熱体3は発熱し、これにより基体2の上面に載置された被加熱材を加熱することが可能となる。
この基体2の少なくとも上面2aを含む表面に耐食層11が形成されている。図1に示した本実施例では、耐食層11が、基体2の上面2aのみならず、側面2c及び背面2bにおける支持部材6との接続部よりも周縁側、並びに支持部材6の基体2との接続部近傍にも形成されている。
この耐食層11は、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、低熱膨張セラミックス微粒子とを含む。これらの成分を含む耐食層11は、フッ素プラズマを含む環境下で優れた耐食性を有しているので、基体が腐食して減肉することが抑制される。また、耐食層11の熱膨張係数と基体2の熱膨張係数との相違が小さいため、耐食層11が基体2との熱膨張係数差により生ずる熱応力により割れたり剥がれたりすることが抑制される。更に、上記熱応力により割れたり剥がれたりすることが抑制されることから、耐食層の厚さを従来公知の耐食層よりも厚くすることができるので、耐食性がより向上する。
したがって、上述の耐食層11を具備する本実施例の加熱装置1は、耐食層11の熱膨張係数が基体2のAlNの熱膨張係数との差が小さく、又は熱膨張係数がほぼ同等であるので、半導体プロセスにおける加熱冷却によってもクラックや剥離が生じない極めて厚い耐食層11を有することが可能となり、フッ素プラズマに暴露されても長期にわたって良好な初期特性を維持することができる加熱装置である。耐食層11は、フッ化物の一部がガラス状となって耐食層11のマトリックスとなっている中に、低熱膨張セラミックスの微粒子が分散されている構造を有している。この低熱膨張セラミックスの種類と割合が適切に調整された耐食層11の熱膨張係数は、AlNの熱膨張係数と近くなり、室温から高温までの使用で割れや剥離を生じない。また、加熱装置1において、フッ素プラズマと接触する部分を覆って、フッ化物を含む耐食層11が形成されているので、フッ素プラズマによる腐食を受けず、減肉等が生じない。
更に、本実施例の加熱装置1の基体2は、熱膨張係数がSiと同等であり、かつ、熱伝導係数が高く、電気絶縁性に優れる窒化アルミニウムよりなることから、例えば、基体2内に抵抗発熱体3が埋設された加熱装置1として極めて好適に使用することができる。この窒化アルミニウムは熱伝導率に優れているので、均熱性の高い耐食性に優れたヒータとなる。なお、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスの内部に導電体が埋設され、このセラミックスの表面に上述した耐食層を具備する構造体は、加熱装置のみならず、静電チャック又は高周波電極内蔵サセプタとして使用できる。
本発明における加熱装置の耐食層は、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、低熱膨張セラミックス微粒子とを含んでいる。アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物は、いずれもフッ素プラズマ等の腐食性ガスに対して高い耐食性を有している。しかも、フッ化アルミニウムに比べて高温でも昇華し難いことから、フッ素プラズマ等の腐食性ガスに対して顕著な耐食性を示す。耐食層中に、これらのアルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物を二種以上含むことが重要である。これらのフッ化物を二種以上含むことにより、これらのフッ化物の共融が生じて各フッ化物を単独で含む場合よりも融点が下がる。したがって、耐食層の形成時には各フッ化物を単独で含む場合よりも低い温度で溶融するので、耐食層の焼結性が高く、フッ化物を単独で含む場合よりも、より緻密な膜が得られ、耐食性が向上するからである。
耐食層中に、低熱膨張セラミックス微粒子が分散して存在することにより、耐食層の熱膨張係数が基体のセラミックスの熱膨張係数とほぼ同じにすることができるので、耐食層の耐久性を向上させ、ひいては加熱装置の耐久性を向上させることができる。
耐食層のフッ化物は、MgF、CaF、SrF、YF、LaF及びCeFから選ばれるフッ化物であることが好ましい。これらのフッ化物は、いずれもフッ素プラズマに対する耐久性が高く、また、高温でも昇華し難いからである。なかでもLaF、SrF、CaFは、これらのフッ化物の中で融点が高いので、これらのフッ化物の含有量が高い場合には、耐熱性が高く、比較的高温まで加熱装置を使用できるので好ましい。
低熱膨張性セラミックスが、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)、黒鉛、ジルコン(ZrSiO)及びSiCから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることが好ましい。コージェライト、黒鉛、ジルコン及びSiCは、いずれも熱膨張係数が小さい。したがって、基体のAlNよりも熱膨張係数が高い上記フッ化物中にこれらの低熱膨張セラミックスを分散させることにより、耐食層は、基体のAlNと同等の熱膨張係数を得ることができる。また、これらの低熱膨張セラミックスは、耐食層の耐熱性の向上にも貢献する。
耐食層の厚さは、10〜300μm程度であることが好ましい。耐食層の厚さが10μmに満たないと、基体の表面に耐食層が形成されていることによる耐食効果を十分に発揮させることが難しく、また、300μm程度の厚さがあれば実用上は十分であるからである。
耐食層は、フッ化物を20〜50体積%の割合で含むことが好ましい。20体積%以上であることで、耐食層の耐食性が顕著に良好になる。また、50体積%以下とすることで、耐食層の熱膨張係数を7.5ppm/K以下にすることができるので、この耐食層がAlN基体としっかりと密着し、耐食層にクラックの発生がなくなる。
耐食層は、フッ化物の体積%をA(%)、低熱膨張セラミックス微粒子の熱膨張係数をλc(ppm/K)、低熱膨張セラミックス微粒子の体積%をD(%)としたとき、次式
λ=(13A+λc・D)/100
で表されるλの値が4ppm/K以上7.5ppm/K以下であることが好ましい。このλは、耐食層の平均的な熱膨張係数を意味し、このλの値が4ppm/K以上7.5ppm/K以下であることにより、耐食層がAlN基体としっかりと密着し、耐食層にクラックの発生がなくなる。したがって、λの値が4ppm/K以上7.5ppm/K以下となるように、フッ化物及び低熱膨張セラミックスの種類及び割合を調整して混合した耐食層とすることが好ましい。
λの値は、特に4ppm/K以上5.5ppm/K以下とすることが、より好ましい。4ppm/K以上5.5ppm/K以下の範囲にすることにより、耐食層の耐熱衝撃特性が更に上がる。すなわち基体のAlNの熱膨張係数は、副成分の有無などにもよるが、5.5〜5.7ppm/K程度であり、耐食層が、この基体よりも小さい熱膨張係数を有するものであることにより、耐食層を形成する時に、高温で焼結した耐食層が室温付近に降温する間に基体のAlNとの熱膨張係数差で耐食層に圧縮応力が発生する。そのため、加熱装置の曲げ強度が高くなる。
耐食層は、加熱装置における基体のプラズマに曝される部分のみに形成されていても、フッ素プラズマに対する耐食性の向上を果たすことができるが、基体2の全体(基体が支持部材と接合している場合には、支持部材に覆われていることにより腐食ガスに暴露されない部分を除くことができる。)を被覆するように形成されていることが好ましい。特に耐食層の熱膨張係数が5.5ppm/K以下である場合には、耐食層と窒化アルミニウムの基体との熱膨張係数の差異によって、加熱装置表面に圧縮応力を発生させることができるため、基体全体を耐食層で覆うことにより、温度の低い半導体ウエハWを載置させることによる熱衝撃に対する耐性が高まり、更に長期にわたって、表面にクラック等が生じない加熱装置とすることができる。
耐食層を形成させる基体は、AlNを主成分とするセラミックス基体である。すなわち、AlNセラミックスよりなる基体であってもよいし、AlN以外の副成分を含有するセラミックスよりなる基体であってもよい。もっとも、本発明の加熱装置は、別途に耐食層を有しているので、基体中には、フッ素プラズマと反応してフッ化物を形成するような成分を含む必要はない。
基体に埋設される抵抗発熱体は、Mo等、AlNセラミックスに埋設される導電体として知られている高融点金属を用いることができる。
基体に固着される支持部材は、AlN基体と同種のセラミックスよりなることが、熱膨張係数が同等になるために両者の接合部にクラックを生じさせず、好ましい。この支持部材の表面にも耐食層を形成させることは、支持部材の耐食性を向上させるためにより好ましい。
本発明に係る加熱装置の製造方法としては、平面的な上面を有する基体を用意し、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、低熱膨張セラミックス微粒子とを含む釉材を用意し、この釉材を前記基体の少なくとも上面を含む表面に塗布し、不活性ガス中で加熱するのが好ましい。
基体は、従来知られている方法により作製することができる。また、基体と支持部材との接合は、固相接合法や液相接合法などの公知の方法を用いることができる。
耐食層を形成させるための釉材は、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、低熱膨張セラミックス微粒子とを含む原料を、混合して用意する。
この釉材を前記基体の少なくとも上面を含む表面に塗布する。塗布の方法は、釉材を液中に分散させてスラリーを形成し、このスラリーをスプレー塗布したり、スラリーが収容された容器中に基体をディッピングしたりすること等が好適である。スラリーとしては、有機溶剤系、水系のいずれでもよい。有機溶剤系は水濡れ性が良好でない黒鉛の分散に有効である。水系の場合は、アルカリ金属を含ませない界面活性分散剤を用いると良い。原料粉末と溶剤、界面活性分散剤の量は、塗布方法に合わせて適宜、調整すればよい。
塗布後、150℃程度までの低温で乾燥させる。更に好適には、80℃以下の低温で乾燥させると、塗布膜の緻密度が上がるので好適な結果を生む。乾燥後の加熱時に用いる不活性ガスとしては、Ar、窒素が好適である。特に、耐食層中に黒鉛等のC(炭素)成分を含む場合には、Arが好ましい。空気を用いることもできるが、水分は、高温でフッ化物と反応し、HFを生成して加熱炉を傷めるので、脱湿を行って加熱雰囲気中にないことが望ましい。加熱炉は、黒鉛系の抵抗発熱体を有するものが好適に用いることができる。焼成温度としては、原料粉末がYFを多く含む場合は900〜1100℃、YFを含まない場合には1050〜1250℃の焼成温度が望ましい。焼成時間は、耐食層が緻密になるに十分な時間のみ加熱すればよく、最高温度で30分程度とすることが望ましい。更に、加熱炉内には黒鉛製の鞘で、釉材が塗布された加熱装置を覆うようにすることが望ましい。そうすることで、耐食層からのフッ化物の揮発を抑制することができ、加熱炉の劣化を抑制することができる。
この製造方法によれば、AlN基体の上に均一な膜厚で本発明の耐食層を形成することができる。特に、2種以上のフッ化物を混合すると、共融によって焼結がいっそう促進されるので、緻密な耐食層を得ることができる。また、AlN基体の表面が一部フッ化され、Al−F化合物となり、これが耐食層のフッ化物と共融するため、基体と耐食層との密着性が高い耐食層を得ることができる。また、釉材を塗布して焼成することにより、耐食層とAlN基体との熱膨張係数差によりAlN基体に圧縮応力を付与することができる。
耐食層を形成する他の適用できる方法としては、黒鉛製焼成治具の中に窒化アルミニウム基体を置き、ホットプレスする方法がある。この方法によれば、原料粉末を塗布して所定の雰囲気ガス中で加熱する方法よりも100〜200℃程度低い温度で耐食層を形成することが可能となり、フッ化物の揮発を更に抑制することができる。また、フッ化物が揮発したとしても、揮発したフッ化物は黒鉛製焼成治具にトラップされるため、加熱炉の劣化を更に抑制することができる。また、得られる耐食層も、さらに緻密にすることができる。更に、塗布による耐食層の形成方法よりも厚い耐食層を形成することができ、より長期間にわたって耐食性を有することができる。もっとも、耐食層は、基体の窒化アルミニウムと比較して熱伝導率が低いので、実質的には耐食層の厚みは1mm以下となるように研削加工することが好ましい。
表1に示す種々の耐食層を備える試料を作成した。この試料の作成のために、耐食層の原料として、平均粒径1〜5μmの種々の粉末を用意した。これらの原料粉末を、種々の混合比となるように粉末を混合し、PVA(ポリビニルアルコール)及び分散剤を含む種々の水系スラリー(釉材)を調製した。
これらの水系スラリーを直径100mm、厚み10mmの円盤状の窒化アルミニウム試料の表面(上面の全面と、側面の全面と、下面の外周30mmの領域)にスプレーがけして、約150μmの厚みにコートし、空気中80℃にて乾燥した。
乾燥後の各試料を黒鉛製加熱炉内に設置し、Arガス雰囲気、1気圧中にて表2に示した焼成温度に加熱し、30分間保持した。保持後の冷却速度は600〜700℃の間を1℃/minとし、他の温度範囲では10℃/minとした。
Figure 0005089204
Figure 0005089204
このようにして作成されたサンプルについて、室温まで冷却後の耐食層のクラックや剥離の有無を、蛍光探傷法及び目視で調査した。その結果を表2に併記する。
次に、作成したサンプルをフッ素プラズマに暴露し、重量減少量を評価した。このフッ素プラズマはICP(inductively coupled plasma)で13.56MHz、1.5kWの条件で流量100sccmのNFガスを励起して発生させた。サンプルをICPチャンバー中の700℃に保持したステージに置いて、120時間フッ素プラズマに暴露したのち、重量減少値を測定した。その結果を表2に示した。
一方、同様にして作成したサンプルを窒素中で加熱し、所定の温度に保持してから、室温の水中に投下して、耐食層にクラックや剥離が生じるかを観察した。50℃刻みで加熱温度を上げていき、水中投下を繰り返し、クラックや剥離が発生した時の加熱温度を耐熱衝撃温度として、表2に記載した。
表2に示されるように、本発明に従う実施例は、耐食層にクラックや剥離が生じず、また、耐食性に優れていた。
なお、実施例21では、耐食層の計算熱膨張係数λが3.5ppm/Kであって、4ppm/K未満であるため、加熱処理後に耐食層に剥離が生じた。実施例22ではλが7.9ppm/Kであって、7.5ppmppm/Kを超えていたため、加熱処理後に耐食層にクラックが生じていた。
ここで、計算に用いた低熱膨張セラミックスの熱膨張係数は、コージェライト:1.3ppm/K、黒鉛:2.5ppm/K、ジルコン:3.3ppm/K、SiC:4.7ppm/Kである。
また、本発明に従う実施例1〜22の他に、比較例1、2として、同じ窒化アルミニウムの基材の上にスパッタリング法でMgFの膜を堆積した。MgFの膜厚が2μmでは成膜直後には膜にクラックがなかったが、膜厚が5μmでは剥離が発生した。比較例2では、本発明に比べ、著しく耐蝕膜の膜厚が薄いために、MgF膜が腐食されて、窒化アルミニウムの基体が露出したため、フッ素プラズマによる窒化アルミニウムの腐食が激しく生じ、大きな重量減少となった。
次に、実施例1の耐食層をφ300mmウエハ用の図1に示す支持筒付窒化アルミニウム製ヒータに上記の方法と同様にしてスプレー塗布加熱処理によって形成したところ、耐食層の平均厚みはプレート面上で160μmであり、クラックや剥離のない耐食層を有する高耐食性セラミックスヒーターを得ることができた。このヒータを窒素中で室温〜500℃の熱サイクルを1000回行ったところ、耐食層にクラックは全く発生しなかった。
なお、耐蝕層の形成にあたっては、釉材をスプレー塗布した後にヒータを窒素ガス中に設置して、ヒータの自己発熱によっても行うことができた。
以上、図面及び実施例に基づいて本発明に係る加熱装置の実施例を説明したが、本発明に係る構造体は、加熱装置に限られず、AlN基体内に埋設された導電体が静電力発生用の電極として機能する静電チャックや、この導電体がプラズマ発生用の高周波電極として機能する高周波電極内蔵サセプタに適用することができる。
本発明に係る加熱装置の一実施例の模式的な横断面図である。
符号の説明
1 加熱装置
2 基体
3 抵抗発熱体
11 耐食層

Claims (8)

  1. AlNを主成分とするセラミックスからなり、平面的な上面を有する基体と、
    この基体の少なくとも上面を含む表面を覆って形成された耐食層とを備え、
    この耐食層は、アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、前記基体のAlNよりも熱膨張係数が低い低熱膨張セラミックス微粒子とを含むことを特徴とする加熱装置。
  2. 前記耐食層のフッ化物が、MgF2、CaF2、SrF2、YF3、LaF3及びCeF3から選ばれるフッ化物の2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記低熱膨張セラミックスが、コージェライト、黒鉛、ジルコン及びSiCから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱装置。
  4. 前記耐食層の厚さが、10〜300μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱装置。
  5. 前記耐食層は、フッ化物を20〜50体積%の割合で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱装置。
  6. 前記耐食層は、フッ化物の体積%をA(%)、低熱膨張セラミックス微粒子の熱膨張係数をλc(ppm/K)、低熱膨張セラミックス微粒子の体積%をD(%)としたとき、次式
    λ=(13A+λc・D)/100
    で表されるλの値が4ppm/K以上7.5ppm/K以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱装置。
  7. 前記λの値が4ppm/K以上5.5ppm/K以下であることを特徴とする請求項6に記載の加熱装置。
  8. 平面的な上面を有する基体を用意し、
    アルカリ土類元素のフッ化物及び希土類元素のフッ化物から選ばれるフッ化物を二種以上と、前記基体のAlNよりも熱膨張係数が低い低熱膨張セラミックス微粒子とを含む釉材を用意し、
    この釉材を前記基体の少なくとも上面を含む表面に塗布し、不活性ガス中で加熱することを特徴とする加熱装置の製造方法。
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