JP4771374B2 - イットリアセラミックス焼成体 - Google Patents
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Description
このため、上記のような工程でハロゲンプラズマに曝される部材には、高純度アルミナ、窒化アルミニウム、イットリア、YAG等のセラミックスが用いられている。
これらの中でも、ハロゲンガス等の腐食性ガスやプラズマに対する耐食性の高い材料として、特に、イットリアやYAG等のセラミックスが、プラズマ処理装置に用いられていた。
このため、アルミニウムとイットリア焼成体との複合材や、アルミニウム上に耐プラズマ性の高い膜、特に、イットリア溶射膜を形成したもの等、表面の耐食性を向上させた部材が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
このパーティクルは、チャンバ内の構成部材がハロゲン系腐食性ガスやプラズマに曝されて腐食し、蒸発したハロゲン化物がチャンバ内壁等に堆積して、これが落下することにより生じる。
タングステンおよびジルコニアを添加することにより、フッ素、塩素等のハロゲン系プラズマの耐食性に優れているというイットリアの特徴を維持しつつ、高強度化および耐熱衝撃性の向上を図ることができる。
上記範囲の体積抵抗率を有することにより、プラズマプロセスにおける帯電によるパーティクルの発生を抑制することができる。
また、前記イットリアセラミックス焼成体からなる部材を用いれば、ハロゲンプラズマプロセスにおいても、パーティクルの発生が抑制されるため、後の工程において製造されるデバイス等の歩留まり向上に寄与し得る。
本発明に係るイットリアセラミックス焼成体は、イットリアに、タングステンおよびジルコニアが分散したセラミックス焼成体である。このタングステンの添加量は、イットリアに対して5重量%以上300重量%以下であり、また、ジルコニアの添加量は、イットリアに対して0.05重量%以上60重量%以下である。
特に、タングステンの添加量がイットリアに対して50重量%以上になると、サーメット状態となり、導電性を示すようになり、導電性セラミックスを作製することが可能となる。
純度99%未満である場合は、十分に緻密化したセラミックスが得られず、また、プラズマ処理装置の部材に用いた際に、原料中の不純物に起因するダストの発生を招くおそれがある。
前記添加量が5重量%未満である場合、耐熱衝撃性の向上効果が認められない。
一方、前記添加量が300重量%を超える場合、耐プラズマ性が低下し、セラミックスの消耗により、パーティクルが発生しやすくなる。
一般的に、セラミックスの強度は、結晶粒径に比例して低下することから、結晶粒径は小さい方が高強度となる傾向にある。よって、ジルコニアの添加により、粒成長を制御し、平均結晶粒径を10μm以下とすることにより、強度の向上が図ることができる。
特に、正方晶のジルコニアを添加することにより、耐熱衝撃性をより向上させることができる。イットリアセラミックス焼成体中に分散しているジルコニアは、正方晶の結晶状態で存在していると、熱衝撃時に、単斜晶への相変態を起こして、発生するクラックの進展エネルギーを吸収し、クラックの進展を妨げる。
また、イットリアセラミックス焼成体中では、イットリアが、ジルコニアを正方晶で安定させるための安定化剤として働くため、好都合である。
前記添加量が0.05重量%未満である場合、上記のような耐熱衝撃性の向上効果が認められない。
一方、前記添加量が60重量%を超えると、粒成長制御の効果がなくなり、また、ジルコニアは耐食性に劣ることから、ハロゲン系腐食性ガスおよびそのプラズマによる腐食を受けやすくなる。
ここでいう耐熱衝撃温度とは、水中投下法による耐熱衝撃性により求められるものであり、所定温度に加熱された焼成体を水中に投下した場合に、クラックを生じる限界の温度差を意味する。例えば、270℃に加熱されたセラミックス焼成体を20℃の水中に投下しても、焼成体にクラックが発生しない場合、該セラミックス焼成体の耐熱衝撃温度は250℃以上とする。
前記耐熱衝撃温度が150℃未満である場合は、該イットリアセラミックス焼成体からなる部材は、プラズマプロセスにおいて破損するおそれがある。
前記開気孔率が0.2%を超える場合、プラズマプロセスにおいて、気孔に起因する該部材のエッチングの進行が加速され、パーティクルが発生しやすくなる。
前記体積抵抗率が1013Ω・cmを超える場合、該セラミックス焼成体は、帯電しやすく、プラズマ処理装置用部材として用いた際、パーティクルの発生を抑制することが困難である。
特に、半導体ウエハ表面の成膜工程等における、CCl4、BCl3、HBr、CF4、C4F8、NF3、SF6等のハロゲン化合物プラズマガス、腐食性の強いClF3セルフクリーニングガスを用いる装置や、N2やO2を用いたスパッタ性の高いプラズマによりエッチングされやすい箇所に好適に用いることができる。
まず、純水中に純度99.9%イットリア原料粉末(平均粒径1〜10μm)、タングステン粉末およびジルコニア粉末(平均粒径0.3〜3μm)を添加し、樹脂ボールを用いて、ボールミルにて1時間以上混合し、均一に分散させ、スラリーを調製する。
得られたスラリーをスプレードライヤにて乾燥造粒し、造粒粉(平均粒径10〜50μm)を調製する。
そして、前記成形体を、窒化ホウ素コーティングしたカーボン製治具にセットし、アルゴン雰囲気下、ホットプレス焼成することにより、本発明に係るイットリアセラミックス焼成体が得られる。
あるいはまた、前記成形体は、アルゴンまたは水素雰囲気中、真空下にて1650〜1900℃で焼成することによっても、本発明に係るイットリアセラミックス焼成体が得られる。
[実施例1〜15、比較例1〜7]
純度99.9%のイットリア原料粉末を純水中に撹拌しながら分散し、タングステン(W)粉末(平均粒径0.5〜2.0μm)およびジルコニア(ZrO2)粉末(平均粒径0.3〜3μm)を、添加量を変えて添加し、1時間以上撹拌してスラリーを調製した後、スプレードライヤにて造粒した。
得られた各造粒粉を、1.5t/cm2でCIP成形し、得られた成形体を、水素雰囲気下、1800℃で常圧焼成し、セラミックス焼成体を作製した。
純度99.9%のイットリア原料粉末を純水中に撹拌しながら分散し、タングステン(W)粉末(平均粒径0.5〜2.0μm)3重量%、ジルコニア(ZrO2)粉末(平均粒径0.3〜3μm)5重量%を添加し、1時間以上撹拌してスラリーを調製した後、スプレードライヤにて造粒した。
得られた各造粒粉を、1.5t/cm2でCIP成形し、得られた成形体を、水素雰囲気下、1700℃で常圧焼成し、セラミックス焼成体を作製した。
開気孔率測定は、JIS R 1634準拠により行った。
平均結晶粒径は、研磨加工した試料を熱エッチングしたものを顕微鏡観察し、面積計量法により算出した。
4点曲げ強度測定は、JIS R 1601準拠により行った。
抵抗率測定は、JIS K 6911およびJIS K 7194準拠により、室温(20℃)にて行った。
耐熱衝撃温度は、3mm×4mm×40mmに加工した各10個の試料片を所定温度に加熱後、水中に投下し、試料片表面に発生するクラックの有無を探傷液により判断し、クラックの発生しない最高温度差を物性値とした。
この試料の半分をマスキングテープにて保護し、反応性イオンエッチング(RIE)方式のエッチング装置にセットした。CF4、O2雰囲気下、プラズマに3時間曝露した後、マスキングテープを剥がして表面の段差を測定し、時間当たりのエッチングレートを算出した。
なお、表1におけるエッチングレートは、純度99.9%のイットリアセラミックス焼成体(比較例1)のエッチングレートを1とした場合の相対比較値で示したものである。
Claims (4)
- イットリアに、タングステンがイットリアに対して5重量%以上300重量%以下、ジルコニアがイットリアに対して0.05重量%以上60重量%以下分散していることを特徴とするイットリアセラミックス焼成体。
- 20℃での4点曲げ強度が150MPa以上であり、かつ、耐熱衝撃温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1記載のイットリアセラミックス焼成体。
- 平均結晶粒径が10μm以下であり、かつ、開気孔率が0.2%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のイットリアセラミックス焼成体。
- 20℃での体積抵抗率が1013Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のイットリアセラミックス焼成体。
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