JP2007217774A - 耐プラズマ性溶射部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハロゲン系腐食性ガス、プラズマ等に対する耐食性に優れ、かつ、体積抵抗率を容易に制御可能であり、半導体・液晶製造装置等、特に、静電チャック等のプラズマ処理装置用の部材として好適に使用することができる耐プラズマ性溶射部材を提供する。
【解決手段】金属または金属電極を備えたセラミックスからなる基材上の最表面に、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜を形成する。
【選択図】なし
【解決手段】金属または金属電極を備えたセラミックスからなる基材上の最表面に、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜を形成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ハロゲン系腐食性ガスやプラズマに対する耐食性に優れ、半導体・液晶製造用等のプラズマ処理装置、特に、静電チャックに好適に用いることができる、イットリア系溶射膜で被覆された耐プラズマ性溶射部材に関する。
半導体製造装置のうち、プラズマプロセスが主流であるエッチング工程、CVD成膜工程、レジストを除去するアッシング工程における装置用部材は、反応性の高いフッ素、塩素等のハロゲン系腐食性ガスに曝される。
このため、上記のような工程においてハロゲンプラズマに曝される部材には、高純度アルミナ、窒化アルミニウム、イットリア、YAG等のセラミックスが用いられている。
このため、上記のような工程においてハロゲンプラズマに曝される部材には、高純度アルミナ、窒化アルミニウム、イットリア、YAG等のセラミックスが用いられている。
上記部材の中でも、静電チャックは、静電作用によりウェーハを吸着保持することから、耐プラズマ性に加えて、所定の体積抵抗率を有する誘電層を備えている必要があり、その材質としては、従来は、体積抵抗率を制御した窒化アルミニウムが用いられていた。
また、例えば、特許文献1には、アルミナセラミックス等の基材表面に、大気プラズマ溶射法により、主成分のアルミナと、チタニアおよび5A族金属を含む抵抗率調整成分とからなる誘電層を形成することにより、安定した低い体積抵抗率の誘電層を有する静電チャックが得られることが記載されている。
特開2003−282693号公報
しかしながら、一般的なセラミックスは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上と高く、帯電しやすく、反応生成物を引き寄せて、パーティクルを発生しやすいという課題を有していた。
また、体積抵抗率を制御した窒化アルミニウムセラミックスであっても、静電チャックとする場合には、電極をホットプレス焼成等により埋設する必要があるため、焼成時における電極の変形のおそれ等があり、作製が容易とは言えず、また、コスト高であるという課題も有していた。
また、体積抵抗率を制御した窒化アルミニウムセラミックスであっても、静電チャックとする場合には、電極をホットプレス焼成等により埋設する必要があるため、焼成時における電極の変形のおそれ等があり、作製が容易とは言えず、また、コスト高であるという課題も有していた。
また、ウェーハ吸着面と電極間の誘電層にジョンソン−ラーベック(JR)力を発現させるタイプの静電チャックにおいては、誘電層の体積抵抗率が108〜1011Ω・cm程度である必要がある。
このため、このような静電チャック等の用途においては、耐プラズマ性に優れ、かつ、使用条件に応じて、体積抵抗率を容易に制御可能な材料が求められていた。
このため、このような静電チャック等の用途においては、耐プラズマ性に優れ、かつ、使用条件に応じて、体積抵抗率を容易に制御可能な材料が求められていた。
そこで、本発明者らは、上記技術的課題を解決するために、プラズマ処理装置に用いられる耐プラズマ性部材において、アルミナよりも耐プラズマ性に優れたイットリアを用いた溶射膜によって、体積抵抗率を制御することを検討した。
その結果、イットリアに所定量のタングステンまたはモリブデンを添加し、プラズマ溶射膜により被覆することが有効であることを見出した。
その結果、イットリアに所定量のタングステンまたはモリブデンを添加し、プラズマ溶射膜により被覆することが有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、ハロゲン系腐食性ガス、プラズマ等に対する耐食性に優れ、かつ、体積抵抗率を容易に制御可能であり、半導体・液晶製造装置等、特に、静電チャック等のプラズマ処理装置用の部材として好適に使用することができる耐プラズマ性溶射部材を提供することを目的とするものである。
本発明に係る耐プラズマ性溶射部材は、基材が金属または金属電極を備えたセラミックスからなり、前記基材上の最表面には、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜が形成されていることを特徴とする。
このような溶射部材をハロゲンプラズマプロセスにおける装置用部材として用いれば、部材の帯電によるパーティクルの発生を抑制することができる。
このような溶射部材をハロゲンプラズマプロセスにおける装置用部材として用いれば、部材の帯電によるパーティクルの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る他の態様の耐プラズマ性溶射部材は、基材が金属または金属電極を備えたセラミックスからなり、前記基材上には、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜が形成され、前記溶射膜上の最表面には、純度99.9%以上のイットリア溶射膜が形成されていることを特徴とする。
最表面を高純度イットリア溶射膜とすることにより、部材から生じるタングステン元素またはモリブデン元素による汚染を効果的に防止することができる。
最表面を高純度イットリア溶射膜とすることにより、部材から生じるタングステン元素またはモリブデン元素による汚染を効果的に防止することができる。
前記イットリア系プラズマ溶射膜の室温での体積抵抗率が106Ω・cm以上1013Ω・cm未満であることが好ましい。
体積抵抗率が上記範囲内である耐プラズマ性溶射部材であれば、上記のパーティクル発生の抑制において、より効果的であり、また、静電チャックにも好適である。
体積抵抗率が上記範囲内である耐プラズマ性溶射部材であれば、上記のパーティクル発生の抑制において、より効果的であり、また、静電チャックにも好適である。
さらに、前記耐プラズマ性溶射部材は、最表面の溶射膜の表面粗さRaを0.8μm以下とすることにより、静電チャックとして好適に用いることができる。
上述したとおり、本発明に係る耐プラズマ性溶射部材は、ハロゲン系腐食性ガス、プラズマ等に対する耐食性に優れ、かつ、比較的安価で、かつ、容易に、体積抵抗率を制御することができるため、半導体や液晶等の製造工程において、プラズマ処理装置用部材、特に、静電チャックとして好適に用いることができる。
さらに、前記耐プラズマ性溶射部材を用いれば、耐久性の向上、クリーニングサイクルの長期化が図られ、また、ハロゲンプラズマプロセスにおいても、パーティクルの発生が抑制されるため、後の工程において製造される半導体チップ等の歩留まり向上にも寄与し得る。
さらに、前記耐プラズマ性溶射部材を用いれば、耐久性の向上、クリーニングサイクルの長期化が図られ、また、ハロゲンプラズマプロセスにおいても、パーティクルの発生が抑制されるため、後の工程において製造される半導体チップ等の歩留まり向上にも寄与し得る。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明に係る耐プラズマ性溶射部材は、金属電極を備えたセラミックスまたは金属からなる基材上の最表面に、イットリア系プラズマ溶射膜が形成されているものである。そして、前記溶射膜は、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であることを特徴とするものである。
このように、それ自体が耐プラズマ性を有するイットリアに、高融点金属であるタングステンまたはモリブデンを添加したものを、溶射膜として形成することによって、部材の体積抵抗率を低下させることができる。
すなわち、本発明に係る溶射部材は、フッ素系、塩素系等のハロゲン耐プラズマ性に優れており、高融点金属であるタングステンまたはモリブデンの添加量によって、体積抵抗率の調整を可能としたものである。
このため、前記溶射部材をハロゲンプラズマプロセスにおける装置用部材として用いた場合、該部材の帯電によるパーティクルの発生を抑制することができ、また、ウェーハ等のエッチングにおいて、ウェーハ面内でのエッチングレートの均一性を保持することができる。
本発明に係る耐プラズマ性溶射部材は、金属電極を備えたセラミックスまたは金属からなる基材上の最表面に、イットリア系プラズマ溶射膜が形成されているものである。そして、前記溶射膜は、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であることを特徴とするものである。
このように、それ自体が耐プラズマ性を有するイットリアに、高融点金属であるタングステンまたはモリブデンを添加したものを、溶射膜として形成することによって、部材の体積抵抗率を低下させることができる。
すなわち、本発明に係る溶射部材は、フッ素系、塩素系等のハロゲン耐プラズマ性に優れており、高融点金属であるタングステンまたはモリブデンの添加量によって、体積抵抗率の調整を可能としたものである。
このため、前記溶射部材をハロゲンプラズマプロセスにおける装置用部材として用いた場合、該部材の帯電によるパーティクルの発生を抑制することができ、また、ウェーハ等のエッチングにおいて、ウェーハ面内でのエッチングレートの均一性を保持することができる。
本発明においては、上記のように、溶射膜におけるイットリアに対するタングステンまたはモリブデンの添加量は5重量%以上60重量%未満とする。
前記添加量が60重量%以上である場合、溶射膜の耐プラズマ性が著しく低下し、該溶射部材をハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、該部材の消耗により発生するパーティクルが増加する。
一方、前記添加量が5重量%未満である場合、体積抵抗率はほとんど低下しない。
前記添加量が60重量%以上である場合、溶射膜の耐プラズマ性が著しく低下し、該溶射部材をハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、該部材の消耗により発生するパーティクルが増加する。
一方、前記添加量が5重量%未満である場合、体積抵抗率はほとんど低下しない。
また、前記溶射膜の開気孔率は5%以下とする。
前記開気孔率が5%を超える場合、該溶射部材をハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、プラズマによって気孔周辺部分が集中的に腐食し、部材自体がエッチングされて、パーティクルが発生しやすくなる。
前記開気孔率が5%を超える場合、該溶射部材をハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、プラズマによって気孔周辺部分が集中的に腐食し、部材自体がエッチングされて、パーティクルが発生しやすくなる。
一般に、溶射膜の形成方法としては、フレーム溶射、プラズマ溶射等の方法があるが、本発明においては、プラズマ溶射法により膜を形成することが好ましい。
フレーム溶射法は、プラズマ溶射法に比べて、低温で行われるため、イットリアのような高融点材料を十分に溶融させることは困難である。
一方、プラズマ溶射法は、プラズマ炎を使用するため、溶射材であるイットリアを十分に溶融して高速で基材に衝突させることができ、緻密な膜を形成することができる。
溶射膜が緻密でない、すなわち、気孔率が高い場合は、耐プラズマ性の低下のみならず、長時間の使用により、溶射膜中の気孔を通過した腐食性ガスが基材を徐々に腐食するため、基材と溶射膜との密着性が低下し、膜剥離を生じる。この剥離した溶射膜自体がパーティクルとなり、さらに、膜剥離により露出した基材表面がプラズマと反応して、パーティクル源となり得る。
したがって、溶射膜によって耐プラズマ性を発現させるためには、均一かつ緻密な膜を形成させることが求められることから、溶射方法としては、プラズマ溶射法を用いることが好ましい。
フレーム溶射法は、プラズマ溶射法に比べて、低温で行われるため、イットリアのような高融点材料を十分に溶融させることは困難である。
一方、プラズマ溶射法は、プラズマ炎を使用するため、溶射材であるイットリアを十分に溶融して高速で基材に衝突させることができ、緻密な膜を形成することができる。
溶射膜が緻密でない、すなわち、気孔率が高い場合は、耐プラズマ性の低下のみならず、長時間の使用により、溶射膜中の気孔を通過した腐食性ガスが基材を徐々に腐食するため、基材と溶射膜との密着性が低下し、膜剥離を生じる。この剥離した溶射膜自体がパーティクルとなり、さらに、膜剥離により露出した基材表面がプラズマと反応して、パーティクル源となり得る。
したがって、溶射膜によって耐プラズマ性を発現させるためには、均一かつ緻密な膜を形成させることが求められることから、溶射方法としては、プラズマ溶射法を用いることが好ましい。
また、本発明における溶射部材の基材は、タングステン等からなる金属電極を備えたセラミックスまたは金属とし、セラミックスまたは金属の種類は、イットリア系溶射膜を形成可能な材質である限り、溶射部材の用途に応じて、適宜選択することができる。
例えば、セラミックスとしては、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、YAG等を用いることができる。また、金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。
前記基材は、溶射膜との密着性を向上させる観点から、セラミックスの場合には、表面粗さRaが1〜8μm、金属の場合には、表面粗さRaが2〜15μmとなるように、表面を粗面化処理しておくことが好ましい。
例えば、セラミックスとしては、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、YAG等を用いることができる。また、金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。
前記基材は、溶射膜との密着性を向上させる観点から、セラミックスの場合には、表面粗さRaが1〜8μm、金属の場合には、表面粗さRaが2〜15μmとなるように、表面を粗面化処理しておくことが好ましい。
また、前記イットリア系プラズマ溶射膜の体積抵抗率は、室温(25℃)において、106Ω・cm以上1013Ω・cm未満であることが好ましい。
前記体積抵抗率が1013Ω・cmを超える場合、該溶射膜は、帯電しやすく、ハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、パーティクルの発生を抑制することは困難である。また、体積抵抗率が1013Ω・cm未満であれば、JRタイプの静電チャックに適用する場合、誘電層として好適であり、十分な吸着力が得られる。
一方、前記体積抵抗率が106Ω・cm未満である場合、絶縁性が十分とは言えず、この場合も、上記のようなパーティクルの発生の抑制の効果は得られず、また、静電チャックにおける誘電層には適さず、十分な吸着力が得られない。
前記体積抵抗率が1013Ω・cmを超える場合、該溶射膜は、帯電しやすく、ハロゲンプラズマプロセス装置用部材として用いた際、パーティクルの発生を抑制することは困難である。また、体積抵抗率が1013Ω・cm未満であれば、JRタイプの静電チャックに適用する場合、誘電層として好適であり、十分な吸着力が得られる。
一方、前記体積抵抗率が106Ω・cm未満である場合、絶縁性が十分とは言えず、この場合も、上記のようなパーティクルの発生の抑制の効果は得られず、また、静電チャックにおける誘電層には適さず、十分な吸着力が得られない。
上記のような本発明に係る耐プラズマ性溶射部材は、イットリア粉末に、該イットリア粉末中のイットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステン粉末を添加混合したものを、金属電極を備えたセラミックスまたは金属からなる基材表面に、プラズマ溶射法で成膜させることによって得ることができる。
具体的には、例えば、純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径2〜20μm)に、タングステン粉末またはモリブデン粉末(平均粒径0.2〜4.0μm)を所定量添加し、ボールミルにて混合する。そして、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、平均粒径10〜70μmの造粒粉を得る。この造粒粉を溶射用粉末として用い、プラズマ溶射を行うことにより、イットリア系溶射膜を形成することができる。
具体的には、例えば、純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径2〜20μm)に、タングステン粉末またはモリブデン粉末(平均粒径0.2〜4.0μm)を所定量添加し、ボールミルにて混合する。そして、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、平均粒径10〜70μmの造粒粉を得る。この造粒粉を溶射用粉末として用い、プラズマ溶射を行うことにより、イットリア系溶射膜を形成することができる。
また、金属電極を備えたセラミックスを基材として、静電チャックを作製する場合には、セラミックス基材に粗面化処理を施した後、タングステン粉末(平均粒径0.2〜4.0μm)を用いて、プラズマ溶射法によって電極パターン状に溶射して電極を形成した後、その上に、上記のようなイットリア系溶射膜を形成する。
プラズマ溶射法により作製されたタングステン電極は、緻密な溶射膜となるため、導電性を有しており、金属電極を備えたセラミックス基材を、比較的安価かつ容易に作製することができる。
プラズマ溶射法により作製されたタングステン電極は、緻密な溶射膜となるため、導電性を有しており、金属電極を備えたセラミックス基材を、比較的安価かつ容易に作製することができる。
前記イットリア系溶射膜は、溶融が十分である場合には、表面粗さRaが2〜8μmとなるが、該溶射部材を静電チャックに適用する場合には、発現した吸着力の効果を十分に発揮させるため、表面粗さRaが0.8μm以下となるように研磨加工を施しておくことが好ましい。
また、前記溶射膜は、厚すぎると基材から離れるにつれて気孔が増大するため、膜厚は1000μm以下であることが好ましい。
また、前記溶射膜は、厚すぎると基材から離れるにつれて気孔が増大するため、膜厚は1000μm以下であることが好ましい。
また、前記耐プラズマ性溶射部材が、タングステン元素またはモリブデン元素が汚染源として懸念されるような工程で使用される場合には、ガスプラズマ溶射法等によって、純度99.9%以上の高純度イットリア粉末を用いて、イットリア溶射膜を最表面に形成しておくことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜5]
純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径1〜10μm)に、純度99.9%のタングステン(W)粉末(平均粒径0.2〜4.0μm)を前記イットリア粉末中のイットリアに対して、表1の実施例1〜7、比較例1〜5に示す量添加し、それぞれ、ボールミルにて混合後、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、溶射用粉末(平均粒径10〜60μm)を調製した。
得られた各粉末を用いて、アルミナセラミックス基材表面に、ガスプラズマ溶射法によりイットリア系溶射膜を形成した。
[実施例1〜7、比較例1〜5]
純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径1〜10μm)に、純度99.9%のタングステン(W)粉末(平均粒径0.2〜4.0μm)を前記イットリア粉末中のイットリアに対して、表1の実施例1〜7、比較例1〜5に示す量添加し、それぞれ、ボールミルにて混合後、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、溶射用粉末(平均粒径10〜60μm)を調製した。
得られた各粉末を用いて、アルミナセラミックス基材表面に、ガスプラズマ溶射法によりイットリア系溶射膜を形成した。
前記溶射膜について、断面画像解析法により開気孔率を測定した。この気孔率は、試料断面を研磨して、マイクロスコープによる撮影画像と既知の開孔率の指標画像とを比較することにより求めたものである。
また、体積抵抗率を、室温(25℃)にて、4端子法(JIS K 7194準拠)により測定した。
また、体積抵抗率を、室温(25℃)にて、4端子法(JIS K 7194準拠)により測定した。
また、上記と同様の方法により、イットリア系溶射膜で被覆されたプラズマ整流リングを作製した。
これを、RIE方式のエッチング装置(使用ガス:CF4、O2)に装着して、8インチのシリコンウェーハのエッチング処理を行った後、レーザパーティクルカウンタにより、ウェーハ上の0.3μm以上のパーティクル数を測定した。
また、前記ウェーハからチップ(15mm×7mm)を作製し、その歩留まりの評価も行った。
これを、RIE方式のエッチング装置(使用ガス:CF4、O2)に装着して、8インチのシリコンウェーハのエッチング処理を行った後、レーザパーティクルカウンタにより、ウェーハ上の0.3μm以上のパーティクル数を測定した。
また、前記ウェーハからチップ(15mm×7mm)を作製し、その歩留まりの評価も行った。
[実施例8〜10、比較例6,7]
純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径1〜10μm)に、純度99.9%のモリブデン(Mo)粉末(平均粒径0.2〜3.0μm)を前記イットリア粉末中のイットリアに対して、表1の実施例8〜10、比較例6,7に示す量添加し、それぞれ、ボールミルにて混合後、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、溶射用粉末(平均粒径10〜60μm)を調製した。
得られた各粉末を用いて、アルミナセラミックス基材表面に、ガスプラズマ溶射法によりイットリア系溶射膜を形成した。
得られた各溶射サンプルについて、実施例1と同様にして、各種評価測定を行った。
上記各実施例および比較例の結果をまとめて表1に示す。
純水中に純度99.9%のイットリア原料粉末(平均粒径1〜10μm)に、純度99.9%のモリブデン(Mo)粉末(平均粒径0.2〜3.0μm)を前記イットリア粉末中のイットリアに対して、表1の実施例8〜10、比較例6,7に示す量添加し、それぞれ、ボールミルにて混合後、得られたスラリーをスプレードライヤにて造粒し、溶射用粉末(平均粒径10〜60μm)を調製した。
得られた各粉末を用いて、アルミナセラミックス基材表面に、ガスプラズマ溶射法によりイットリア系溶射膜を形成した。
得られた各溶射サンプルについて、実施例1と同様にして、各種評価測定を行った。
上記各実施例および比較例の結果をまとめて表1に示す。
表1から分かるように、イットリアに対するタングステンまたはモリブデンの添加量が5重量%以上60重量%未満であり、かつ、開気孔率が5%以下である溶射膜を形成した耐プラズマ性溶射部材(実施例1〜10)については、プラズマ整流リングとして用いた場合、パーティクルの発生が抑制され、被処理ウェーハから作製されたチップの歩留まりが90%以上と高いことが認められた。
[実施例11〜13、比較例8〜13]
アルミナセラミックス基材上に、ガスプラズマ溶射にて、タングステン(W)粉末(平均粒径0.2〜2.0μm)を電極パターン状に形成した後、その上に、タングステン(W)粉末の添加量を実施例11〜13、比較例8〜13に示す量とした各溶射用粉末を調製し、実施例1と同様の方法により、イットリア系(W−Y2O3)溶射膜で被覆した。
そして、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
これらの各静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
アルミナセラミックス基材上に、ガスプラズマ溶射にて、タングステン(W)粉末(平均粒径0.2〜2.0μm)を電極パターン状に形成した後、その上に、タングステン(W)粉末の添加量を実施例11〜13、比較例8〜13に示す量とした各溶射用粉末を調製し、実施例1と同様の方法により、イットリア系(W−Y2O3)溶射膜で被覆した。
そして、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
これらの各静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
[実施例14]
実施例12と同様にして、タングステン(W)粉末を20重量%添加したイットリア溶射膜を形成した後、その上に、純度99.9%以上のイットリア(Y2O3)溶射膜を形成し、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
この静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
実施例12と同様にして、タングステン(W)粉末を20重量%添加したイットリア溶射膜を形成した後、その上に、純度99.9%以上のイットリア(Y2O3)溶射膜を形成し、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
この静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
[実施例15,16、比較例14,15]
アルミナセラミックス基材上に、ガスプラズマ溶射にて、モリブデン(Mo)粉末(平均粒径0.2〜2.0μm)を電極パターン状に形成した後、その上に、モリブデン(Mo)粉末の添加量を実施例15,16、比較例14,15に示す量とした各溶射用粉末を調製し、実施例8と同様の方法により、イットリア系(Mo−Y2O3)溶射膜で被覆した。
そして、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
これらの各静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
上記各実施例および比較例の結果をまとめて表2に示す。
アルミナセラミックス基材上に、ガスプラズマ溶射にて、モリブデン(Mo)粉末(平均粒径0.2〜2.0μm)を電極パターン状に形成した後、その上に、モリブデン(Mo)粉末の添加量を実施例15,16、比較例14,15に示す量とした各溶射用粉末を調製し、実施例8と同様の方法により、イットリア系(Mo−Y2O3)溶射膜で被覆した。
そして、表面研磨を施し、8インチ用静電チャックを作製した。
これらの各静電チャックについて、真空下、真鍮製吸着子による吸着力評価を行った。
上記各実施例および比較例の結果をまとめて表2に示す。
表2から分かるように、イットリアに対するタングステンまたはモリブデンの添加量が5重量%以上60重量%未満であり、かつ、表面粗さRaが0.8μm以下のイットリア系溶射膜を形成した静電チャック(実施例11〜16)は、優れた吸着力を有していることが認められた。
Claims (4)
- 基材が金属または金属電極を備えたセラミックスからなり、前記基材上の最表面には、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜が形成されていることを特徴とする耐プラズマ性溶射部材。
- 基材が金属または金属電極を備えたセラミックスからなり、前記基材上には、イットリアに対して5重量%以上60重量%未満のタングステンまたはモリブデンが分散し、気孔率が5%以下であるイットリア系プラズマ溶射膜が形成され、前記溶射膜上の最表面には、純度99.9%以上のイットリア溶射膜が形成されていることを特徴とする耐プラズマ性溶射部材。
- 前記イットリア系プラズマ溶射膜の室温での体積抵抗率が106Ω・cm以上1013Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐プラズマ性溶射部材。
- 前記最表面の溶射膜の表面粗さRaが0.8μm以下であり、静電チャックに適用されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の耐プラズマ性溶射部材。
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JP2006042072A JP2007217774A (ja) | 2006-02-20 | 2006-02-20 | 耐プラズマ性溶射部材 |
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JP2010261069A (ja) * | 2009-04-30 | 2010-11-18 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 溶射膜及びその製造方法 |
JP2011528755A (ja) * | 2008-07-25 | 2011-11-24 | コミコ株式会社 | 耐プラズマ性を有するセラミックコーティング体 |
-
2006
- 2006-02-20 JP JP2006042072A patent/JP2007217774A/ja not_active Withdrawn
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