JP5088878B2 - 車両における車室前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車室前部に設置されるインスツルメントパネルに荷物掛け吊り用の掛吊装置を取り付けるようにした車両における車室前部構造に関するものである。
車両における車室構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車室の構成部品である天井部が、板金製の天井内板と、この天井内板を車室側から覆う化粧板とを備えている。この化粧板には開口が形成され、この開口に嵌入されて上記天井内板に締結される荷物掛け吊り用の掛吊装置が設けられている。この掛吊装置は、上記開口に嵌入されて上記天井内板に締結される収納ケースと、この収納ケースに内有されてこの収納ケースに回動可能に枢支される掛吊フックとを備えている。
上記掛吊フックを一方向に回動させて、そのフック部を上記収納ケースの内部から車室内に突出させれば、上記掛吊フックへの荷物の掛け吊りが可能とされる。一方、上記掛吊フックを逆方向に回動させれば、この掛吊フックは収納ケースの内部に収納される。
実開昭61−190730号公報
ところで、上記従来の技術では、掛吊装置は、車室の構成部品である化粧板に形成された開口に嵌入され、かつ、同上車室の構成部品である天井内板に締結されることにより、上記車室の構成部品に組み付けられている。つまり、上記掛吊装置は、車室の構成部品である複数の部品に関連しながら組み付けられており、このため、この掛吊装置の組み付け作業は煩雑になりがちである。
そこで、上記天井内板にかかわりなく、化粧板にのみ掛吊装置を取り付けるようにすることが考えられる。しかし、一般に、化粧板は強度が低いものであり、また、これに加えて、掛吊装置に掛け吊りされる荷物には、重いものがある。このため、上記した化粧板にのみ掛吊装置を取り付けるという構成では、上記化粧板における掛吊装置の支持強度が不足するおそれを生じる。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車室の構成部品であるインスツルメントパネルのいずれかの部位に荷物掛け吊り用の掛吊装置を設けるようにした場合において、この掛吊装置をインスツルメントパネルにのみ取り付けるようにして、掛吊装置の組み付け作業が容易にできるようにすると共に、上記インスツルメントパネルにおける掛吊装置の支持強度が十分に確保されるようにすることである。
請求項1の発明は、車体2の幅方向に延び、車室3の前部を通って上記車体2の左右各側壁4に架設されるクロスメンバ5と、このクロスメンバ5に少なくとも第1〜第3固着具21〜23により固着されるインスツルメントパネル26と、このインスツルメントパネル26のいずれかの部位に設けられる荷物27掛け吊り用の掛吊装置28とを備えた車両における車室前部構造において、
上記クロスメンバ5とインスツルメントパネル26とのうち、インスツルメントパネル26にのみ上記掛吊装置28を取り付け、上記車体2の幅方向における上記インスツルメントパネル26の中央部を後方に向けて膨出させてセンタコンソール部30を形成し、このセンタコンソール部30を上記第1固着具21により、上記クロスメンバ5に固着すると共に、上記センタコンソール部30の一側方における上記インスツルメントパネル26の上、下部を上記第2、第3固着具22,23により上記クロスメンバ5に固着し、車体2の前後方向に沿った視線で見て(図1)、上記第1〜第3固着具21〜23を仮想線46で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に上記掛吊装置28を配置したことを特徴とする車両における車室前部構造である。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、車体の幅方向に延び、車室の前部を通って上記車体の左右各側壁に架設されるクロスメンバと、このクロスメンバに少なくとも第1〜第3固着具により固着されるインスツルメントパネルと、このインスツルメントパネルのいずれかの部位に設けられる荷物掛け吊り用の掛吊装置とを備えた車両における車室前部構造において、
上記クロスメンバとインスツルメントパネルとのうち、インスツルメントパネルにのみ上記掛吊装置を取り付けている。
このため、車室の構成部品であるクロスメンバとインスツルメントパネルとに共に関連しながら掛吊装置を取り付けることに比べて、上記車室の構成部品への掛吊装置の組み付け作業は容易にできる。
また、上記車体の幅方向における上記インスツルメントパネルの中央部を後方に向けて膨出させてセンタコンソール部を形成している。
このため、上記センタコンソール部自体の剛性が向上すると共に、このセンタコンソール部により補強されて、このセンタコンソール部周りのインスツルメントパネルの他部分の剛性も向上する。
そして、上記センタコンソール部を上記第1固着具により、上記クロスメンバに固着すると共に、上記センタコンソール部の一側方における上記インスツルメントパネルの上、下部を上記第2、第3固着具により上記クロスメンバに固着し、車体の前後方向に沿った視線で見て、上記第1〜第3固着具を仮想線で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に上記掛吊装置を配置している。
このため、上記第1〜第3固着具により囲まれて十分の剛性が確保された上記インスツルメントパネルの部分に、上記掛吊装置が強固に取り付けられることとなる。よって、前記したように、インスツルメントパネルにのみ掛吊装置を取り付けることにより、この掛吊装置の組み付け作業が容易にできるようにしたものでありながら、上記インスツルメントパネルにおける掛吊装置の支持強度が十分に確保される。
本発明の車両における車室前部構造に関し、車室の構成部品であるインスツルメントパネルのいずれかの部位に荷物掛け吊り用の掛吊装置を設けるようにした場合において、この掛吊装置をインスツルメントパネルにのみ取り付けるようにして、掛吊装置の組み付け作業が容易にできるようにすると共に、上記インスツルメントパネルにおける掛吊装置の支持強度が十分に確保されるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
即ち、車両における車室前部構造は、車体の幅方向に延び、車室の前部を通って上記車体の左右各側壁に架設されるクロスメンバと、このクロスメンバに少なくとも第1〜第3固着具により固着されるインスツルメントパネルと、このインスツルメントパネルのいずれかの部位に設けられる荷物掛け吊り用の掛吊装置とを備えている。
上記クロスメンバとインスツルメントパネルとのうち、インスツルメントパネルにのみ上記掛吊装置が取り付けられる。上記車体の幅方向における上記インスツルメントパネルの中央部が後方に向けて膨出させられてセンタコンソール部が形成されている。このセンタコンソール部が上記第1固着具により、上記クロスメンバに固着されると共に、上記センタコンソール部の一側方における上記インスツルメントパネルの上、下部が上記第2、第3固着具により上記クロスメンバに固着されている。車体の前後方向に沿った視線で見て、上記第1〜第3固着具を仮想線で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に上記掛吊装置が配置される。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図において、符号1は自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記車両1の前方に向かっての車体2の幅方向をいうものとする。
上記車体2の内部が車室3とされ、車体2の前部は、この車体2の骨格部材を構成する左右一対の側壁4と、車体2の幅方向に延び、上記車室3の前部を通って上記左右各側壁4に架設されるクロスメンバ5とを備えている。上記各側壁4は板金製のフロントピラーで構成されている。また、符号6は、上記車体2の幅方向の中央である車体中心を示している。
上記クロスメンバ5は、車体2の幅方向にほぼ直線的に延び、車室3の前端部を通って上記各側壁4に架設される円形パイプ製のピラーツーピラーメンバ9と、上記車体中心6の一側方(左側方)で、上記ピラーツーピラーメンバ9から下方に向かって突設される左右一対の第1、第2支持アーム10,11と、上記車体中心6の一側方近傍で、上記ピラーツーピラーメンバ9から後下方に向かって突設される第3支持アーム12とを備えている。
また、上記クロスメンバ5は、上記車体中心6の他側方(右側方)近傍で、上記ピラーツーピラーメンバ9から下方に向かって突設される第4支持アーム13と、この第4支持アーム13の長手方向の中途部から後方に向かって突設される第5支持アーム14と、上記第4支持アーム13の中途部から他側方に向かって突設される第6支持アーム15と、上記第3、第4支持アーム12,13の長手方向の各中途部同士を結合させる補強用の結合バー16とを備えている。
上記第1〜第6支持アーム10〜15と結合バー16とは、いずれも板金製とされている。上記第1、第2支持アーム10,11は上記ピラーツーピラーメンバ9に溶接により結合されている。上記第3、第4支持アーム12,13は上記ピラーツーピラーメンバ9に締結具18により着脱可能に固着されている。上記第5、第6支持アーム14,15と結合バー16とはそれぞれ対応する支持アームに対し溶接により結合されている。
上記クロスメンバ5にその後方から少なくとも第1〜第5固着具21〜25により固着される樹脂製のインスツルメントパネル26が設けられ、このインスツルメントパネル26に取り付けられる荷物27の掛け吊り用の掛吊装置28が設けられている。上記各固着具21〜25はいずれもグロメットとされているが締結具であってもよい。
上記車体2の幅方向で、上記第1、第2支持アーム10,11の間におけるインスツルメントパネル26の部分には、グローブボックス嵌入用の開口29が形成されている。また、上記車体2の幅方向における上記インスツルメントパネル26の中央の部分が後方に向けて膨出させられてセンタコンソール部30が形成されている。このセンタコンソール部30の膨出端には開口31が形成され、この開口31はカバー板32により開閉可能に閉じられている。
上記センタコンソール部30とカバー板32とで囲まれた内部空間33に変速操作装置35が設けられている。この変速操作装置35は、上記第3支持アーム12の下部と上記第5支持アーム14の突出端面とに跨るよう設けられ、これら各支持アーム12,14にそれぞれ締結具36により固着されている。上記変速操作装置35のうち、操作レバー37は、上記カバー板32を貫通して、このカバー板32の上方に位置させられている。
上記掛吊装置28は、その外殻を構成し、上記インスツルメントパネル26に形成された開口39に嵌入されて、この開口39の開口縁部に係脱可能に係止されて取り付けられるケーシング40と、このケーシング40に内有されてこのケーシング40に枢支軸41により回動可能に枢支される掛吊フック42とを備えている。上記ケーシング40は後方(車室3)に向かって開放させられている。
上記掛吊フック42を把持したり、指や爪で引っ掛けるなどして、この掛吊フック42を下方に回動させれば、この掛吊フック42は、そのフック部43が上記ケーシング40の外部である車室3内に突出して荷物27の掛吊を可能にする(図2中実線)。一方、上記掛吊フック42を上方に回動させれば、上記フック部43を含む掛吊フック42の全体が上記ケーシング40の内部に収納される(図2中一点鎖線)。
上記車体2の幅方向における上記センタコンソール部30の中央部の下端部が上記第1固着具21により上記第3支持アーム12の下端部に固着されている。また、上記センタコンソール部30以外のインスツルメントパネル26の他部分45において、上記センタコンソール部30の一側方(左側方)における上記他部分45の上部が上記第2固着具22により第1、第2支持アーム10,11の間におけるピラーツーピラーメンバ9の部分に固着されている。また、上記センタコンソール部30の一側方(左側方)近傍における上記他部分45の下部が上記第3固着具23により上記第2支持アーム11の下端部に固着されている。
また、上記インスツルメントパネル26の他部分45の一側端側の下端部が上記第4固着具24により上記第1支持アーム10の下端部に固着されている。また、上記センタコンソール部30の他側方近傍における上記他部分45の下端部が上記第5固着具25により上記第6支持アーム15の突出端部に固着されている。
上記車体2の前後方向に沿った視線で見て(図1)、上記掛吊装置28は、第2支持アーム11および開口29と、センタコンソール部30との間におけるインスツルメントパネル26の部分に取り付けられている。この場合、上記掛吊装置28は、上記センタコンソール部30の基部の一側方近傍で、このセンタコンソール部30により補強されて剛性が向上させられたインスツルメントパネル26の部分に取り付けられている。また、上記第1〜第5固着具21〜25のうち、上記掛吊装置28に、より近い上記第1〜第3固着具21〜23を仮想線46で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に、上記掛吊装置28の少なくとも一部分が配置されている。
上記構成によれば、クロスメンバ5とインスツルメントパネル26とのうち、インスツルメントパネル26にのみ上記掛吊装置28を取り付けている。
このため、車室3の構成部品であるクロスメンバ5とインスツルメントパネル26とに共に関連しながら掛吊装置28を取り付けることに比べて、上記車室3の構成部品への掛吊装置28の組み付け作業は容易にできる。
また、上記車体2の幅方向における上記インスツルメントパネル26の中央部を後方に向けて膨出させてセンタコンソール部30を形成している。
このため、上記センタコンソール部30自体の剛性が向上すると共に、このセンタコンソール部30により補強されて、このセンタコンソール部30周りのインスツルメントパネル26の他部分45の剛性も向上する。
そして、上記センタコンソール部30を上記第1固着具21により、上記クロスメンバ5に固着すると共に、上記センタコンソール部30の一側方における上記インスツルメントパネル26の上、下部を上記第2、第3固着具22,23により上記クロスメンバ5に固着し、車体2の前後方向に沿った視線で見て(図1)、上記第1〜第3固着具21〜23を仮想線46で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に上記掛吊装置28を配置している。
このため、上記第1〜第3固着具21〜23により囲まれて十分の剛性が確保された上記インスツルメントパネル26の部分に、上記掛吊装置28が強固に取り付けられることとなる。よって、前記したように、インスツルメントパネル26にのみ掛吊装置28を取り付けることにより、この掛吊装置28の組み付け作業が容易にできるようにしたものでありながら、上記インスツルメントパネル26における掛吊装置28の支持強度が十分に確保される。
なお、以上は図示の例によるが、上記インスツルメントパネル26への掛吊装置28の取り付けはグロメットや締結具などの固着具によるものであってもよい。また、上記掛吊装置28は、より剛性の大きい上記センタコンソール部30に取り付けてもよい。また、上記掛吊装置28はケーシング40を備えなくてもよく、この場合、掛吊フック42をインスツルメントパネル26に直接枢支もしくは固着させてもよい。また、上記センタコンソール部30を、固着具により直接、もしくはブラケットを介し間接にピラーツーピラーメンバ9に取り付けてもよい。
車室の構成部品をその後方から見た背面図である。 車室の構成部品の側面図である。 車室の構成部品をその後方から見た斜視図である。
符号の説明
1 車両
2 車体
3 車室
4 側壁
5 クロスメンバ
6 車体中心
9 ピラーツーピラーメンバ
10 第1支持アーム
11 第2支持アーム
12 第3支持アーム
13 第4支持アーム
14 第5支持アーム
15 第6支持アーム
21 第1固着具
22 第2固着具
23 第3固着具
26 インスツルメントパネル
27 荷物
28 掛吊装置
30 センタコンソール部
31 開口
32 カバー板
33 内部空間
39 開口
40 ケーシング
41 枢支軸
42 掛吊フック
43 フック部
45 他部分
46 仮想線

Claims (1)

  1. 車体の幅方向に延び、車室の前部を通って上記車体の左右各側壁に架設されるクロスメンバと、このクロスメンバに少なくとも第1〜第3固着具により固着されるインスツルメントパネルと、このインスツルメントパネルのいずれかの部位に設けられる荷物掛け吊り用の掛吊装置とを備えた車両における車室前部構造において、
    上記クロスメンバとインスツルメントパネルとのうち、インスツルメントパネルにのみ上記掛吊装置を取り付け、上記車体の幅方向における上記インスツルメントパネルの中央部を後方に向けて膨出させてセンタコンソール部を形成し、このセンタコンソール部を上記第1固着具により、上記クロスメンバに固着すると共に、上記センタコンソール部の一側方における上記インスツルメントパネルの上、下部を上記第2、第3固着具により上記クロスメンバに固着し、車体の前後方向に沿った視線で見て、上記第1〜第3固着具を仮想線で結ぶことにより形成された三角形状の枠内に上記掛吊装置を配置したことを特徴とする車両における車室前部構造。
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