JP5087473B2 - 鉄筋用スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋用スペーサに関する。つまり、鉄筋コンクリート構造物を施工する際に配筋される主筋または配力筋に装着し、コンクリート打設時に型枠との間でかぶり寸法を確保するために使用されるスペーサに関するものである。
鉄筋用スペーサは、鉄筋コンクリート構造物を施工する際に使用されるものであるところ、コンクリート内に埋没される鉄筋と、当該鉄筋を覆うコンクリートの表面までの距離(これを「かぶり」といい、その個別の長さを「かぶり寸法」という)が重要とされている。これは、配設される鉄筋が適度のかぶりを有しつつコンクリート内に埋設されることによって、当該鉄筋とコンクリートが一体化し、所定の強度を得ることができるとともに、弾性変形をも可能にするためである。そして、このようなかぶりを確保するために、以前より種々のスペーサが開発されているが、これらのスペーサは大別すると配力筋(横筋)に装着されるものと、主筋(縦筋)に装着されるものがあった。
配力筋(横筋)に装着される従来のスペーサとしては、概略ドーナッツ型に構成されたものがあった(特許文献1参照)。これは、ドーナッツ型の内径(内輪部)において鉄筋を保持し、この鉄筋の軸回りにスペーサが回転することを想定した場合、鉄筋の中心からスペーサの外周縁(外輪部)までの距離が一定であるため、かぶり寸法を均一に維持させることができるものであった。また、同様に配力筋(横筋)に装着されるスペーサとしては、コンクリート製またはモルタル製の本体に鋼線(鉄筋部)が設けられ、この鋼線は本体外方において湾曲されたフックが設けられ、さらにフックを含む平面に対して直交方向に折曲して構成された係止部分が設けられたものがあった(特許文献2参照)。
他方、主筋(縦筋)に装着されるものとしては、薄板状体を略円形状に湾曲させた湾曲部と、その湾曲部の両端から拡開状に縁設された板バネ状の翼状部とで構成されるキャッチャーを備えたものがあり(特許文献3参照)。また、コンクリート製のブロック体の側面に凹設された溝に鋼線が支持され、この鋼線を折曲して鉄筋規制部と、これに対向する鉄筋捕捉部とを構成備え、この鉄筋捕捉部は先端を対向側ブロック方向に折曲して鉄筋押え部を構成するものがあった(特許文献4参照)。
実開平5−16937号公報(図1、図4) 特開2004−270431号公報(2頁、図1−図3) 特開2001−198912号公報(3頁、図1・図4) 特開2002−61333号公報(3頁−4頁、図2) 特開2005−200940号公報(6頁−8頁、図6・図8)
上記技術のうち、第一の技術は、外輪部から内輪部までの距離によってかぶり寸法を確保する構成であるため、かぶり寸法が大きくなればスペーサ全体が大型にならざるを得ず、さらに、その大型化に伴い重量も大きくならざるを得なかった。また、上記スペーサは、内輪部の開口端から軸心に向かって延出された支持腕および突出片を設け、内輪部に案内された鉄筋が当該内輪部から離脱しないように構成されたものであるが、上記支持腕または突出片による鉄筋の保持力は強力なものではなく、軸回りに回転できる程度であるため、主筋(縦筋)に装着するときには、軸線方向に滑り落ちる可能性があった。従って、主筋(縦筋)に装着することはできなかった。
第二の技術は、鋼線で構成されるフックの先端に係止部分が設けられていることから、フックを配力筋(横筋)に引っ掛け、係止部分を主筋(縦筋)に係止させることによって本体の位置を安定させるものである。すなわち、フックを配力筋(横筋)に引っ掛けた状態では、コンクリート製またはモルタル製の本体が重く、バランスを失することとなるため、フック先端の係止部分を主筋(縦筋)に係止させることにより、全体のバランスを維持する構成のものである。つまり、フックを配力筋(横筋)に引っ掛けた状態で装着される構成であるため、これを主筋(縦筋)に装着することはできなかった。
他方、第三および第四の技術にあっては、装着すべき鉄筋を挟持または掴持するようにキャッチャーまたは鉄筋捕捉部が設けられていることから、当該キャッチャーまたは鉄筋捕捉部により、鉄筋に強固に装着されるものではあるが、キャッチャーまたは鉄筋捕捉部の先端が鉄筋の表面に当接する構成であるため、スペーサに対し鉄筋の軸回りに回転するような外力が作用するとき、上記キャッチャーまたは鉄筋捕捉部の先端が鉄筋表面を摺動し、スペーサ全体の位置に変動を生じさせることとなっていた。すなわち、配力筋(横筋)に装着するときには、コンクリート製またはモルタル製の本体部分の重量により、キャッチャーまたは鉄筋捕捉部に対し回転モーメントを作用することとなり、さらに、コンクリート打設時に上方から生コンクリートを流下させる際に強力な回転モーメントが作用することとなり、結果的に配力筋(横筋)に装着することは適切ではなかった。
そこで、本願の発明者は、主筋(縦筋)および配力筋(横筋)のいずれにも強固に装着できるスペーサを提案している。このスペーサは、板状の支持部を分割溝によって二枚に分割してなる構成であって、この二枚の支持部を手前側の鉄筋の両側に配置しつつ奥側の鉄筋に当接するように湾曲させて使用するものである(特許文献5参照)。しかしながら、この技術は、施工現場において支持部を湾曲させる作業が必須であるため、作業に要する時間が長期化するというおそれがあった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、主筋および配力筋の双方に使用でき、かつそれらの装着を容易にしてなる鉄筋用スペーサを提供することである。
そこで、本発明は、コンクリート製またはモルタル性のスペーサ本体と、このスペーサ本体に突設されてなる金属製の線状部材とを備えた鉄筋用スペーサにおいて、上記線状部材は、一本の連続した部材のほぼ中央に折返し部を設けて二重に構成されてなり、両端に所定間隔を保持しつつ該両端付近をスペーサ本体に埋設される埋設領域と、その他の部分で構成される突出領域とに区分された線状部材であり、上記突出領域は、かぶり方向に対して直交方向に配置される突出基部と、この突出基部に対向して設けられた鉄筋保持部と、この鉄筋保持部によって保持されるべき鉄筋の軸線方向に向かって折曲されてなる係止突起とで構成されてなることを特徴とする鉄筋用スペーサを要旨とする。
上記構成によれば、二重の線状部材によって構成された鉄筋保持部によって、鉄筋を二個所で保持することができることから、主筋(縦筋)に装着する場合には、十分な保持力を発揮させることができる。また、鉄筋保持部の先端に係止突起が形成されていることから、配力筋(横筋)に装着するとき、当該係止突起を近接する主筋(縦筋)に係止させることにより、配力筋(横筋)の軸回りへの回転を阻止することができる。そして、埋設領域における線状部材両端は、所定の間隔を有しているから、上記のいずれの装着状態においても、当該線状部材に作用する外力を分散させることができる。
また、本発明は、かぶり方向の一端にかぶり方向に直交する適宜面積の平面部を有するコンクリート製またはモルタル性のスペーサ本体と、このスペーサ本体の平面部に突設されてなる金属製の線状部材とを備えた鉄筋用スペーサにおいて、上記線状部材は、一本の連続した部材のほぼ中央に折返し部を設けて二重に構成され、両端付近に所定間隔を保持しつつスペーサ本体に埋設される埋設領域と、スペーサ本体から突出する突出領域とに区分された線状部材であり、上記埋設領域は、かぶり方向に向かって延出し、上記スペーサ本体の内部に配置される基礎埋設部と、この基礎埋設部の先端付近を折曲してなるアンカー部とで構成され、上記突出領域は、上記スペーサ本体の平面部の表面上に該平面部と平行に配置される突出基部と、この突出基部からかぶり方向後ろ向きに立設される立設部と、この立設部に連続しつつ上記突出基部に対向する位置に所定間隔を有して構成される鉄筋保持部と、この鉄筋保持部によって保持されるべき鉄筋の軸線方向に向かって折曲されてなる係止突起とで構成されてなることを特徴とする鉄筋用スペーサをも要旨としている。
上記構成によれば、埋設領域の線状部材は、スペーサ本体に十分な深さまで埋設され、かつ、先端にアンカー部が存在することから、突出領域に外力が作用したとき、特に、引張り荷重が作用したときにおいて、線状部材がスペーサ本体から分離することを回避し得る。また、装着されるべき鉄筋は、突出領域の突出基部と鉄筋保持部との間に存在することとなるため、当該鉄筋がスペーサ本体の表面に当接することがなく、スペーサに対する外力は、スペーサ本体の表面を力点としてベクトル分解されることがない。さらに、線状部材の全体は、折返し部によって折り返された一本の線状部材を二重に構成したものであるから、突出領域の一部(二重構造の片方)に外力が作用するとき、折返し部を介して突出領域全体(二重構造の他方)に分散されることとなり、荷重が集中することを回避し得るものである。
上記発明における基礎埋設部およびアンカー部は、線状部材の両端付近が同じ形状に折曲された二本が平行に配置されてなる構成とすることができる。この場合、突出領域において受けた外力を均等に分散させる。
また、上記発明における基礎埋設部は、線状部材の両端付近が接近するように傾斜してなる構成とすることができる。この場合、線状部材の埋設領域が、スペーサ本体の外部壁面に接近することがないため、線状部材によってスペーサ本体の強度を低下させることがない。また、基礎埋設部の先端の間隔が突出基部付近の間隔に対して徐々に接近することから、線状部材に対して引き抜かれる方向に外力が作用するとき、基礎埋設部の摩擦抵抗を贈出させることができ、上記引き抜き方向の外力に抵抗することができる。
さらに、上記各発明における鉄筋保持部は、二つの斜状当接部により山形に成形されてなる構成とすることができる。この場合において、弾性変形可能な材料により線状部材を構成すれば、その弾性変形により鉄筋の表面に押圧されることとなるのであるが、その際、突出基部と二つの斜状当接部による三点支持の状態で保持されることとなる。これは、円滑でない鉄筋表面に対して確実に鉄筋表面に当接できるものである。また、二重の線状部材の各突出基部が必ず鉄筋に当接されるので、外力を二重の線状部材により分散させることが可能となる。
本発明によれば、二重に構成されてなる線状部材が二個所で鉄筋を保持することとなるから、主筋(縦筋)に装着する場合、当該主筋(縦筋)から脱落することなく使用できるものである。また、配力筋(横筋)に装着する場合には、係止突起を近傍の主筋(縦筋)に係止することができるので、当該配力筋(横筋)の軸回りに回転することを防止できることとなる。従って、主筋(縦筋)および配力筋(横筋)の双方に使用できものである。この場合、生コンクリートを打設する際、当該生コンクリートをスペーサの上方から流下させるために、スペーサ本体に対して下向きの外力が作用することとなるが、その外力を二重に構成された線状部材がそれぞれに方向に分散させ、上記外力によるスペーサの崩壊または向きの変更を防止することができる。
さらに、主筋(縦筋)に装着する際は、鉄筋保持部によって当該鉄筋を保持させればよく、配力筋(横筋)に装着する場合は、鉄筋保持部によって当該鉄筋を保持させたうえで、係止突起を主筋(縦筋)に係止させればよいことから、比較的容易に装着できるものである。特に、線状部材の材質を弾性変形可能なバネ材で構成することにより、鉄筋保持部の変形を可能にするとともに、装着後の保持力を確保することができることとなる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のスペーサは、図1に示すように、スペーサ本体1と、金属製の線状部材とで構成されている。コンクリート製またはモルタル製のスペーサ本体1は、所定形状の型に固化前のコンクリートまたはモルタルを流入して成型されるものであり、この固化前のコンクリートまたはモルタルに線状部材2の埋設領域3を埋没させた状態で固化させることにより、両者1,2を一体的に構成するものである。このスペーサ本体1は、固化後の離型のために、勾配を有する型によって成型され、その開放面は流入させたコンクリート等の液面によって平面部11が形成されるのである。本実施形態では、かぶり寸法Kを確保するための長手方向(これをかぶり方向という)を上下に合わせ、型枠側先端(かぶり方向前端)12を下向きに成型している。従って、鉄筋側先端(かぶり方向後端)が型の開放面となって平面部11が構成され、この平面部11から線状部材2の突出領域4が突設されている。
線状部材2は、上記のように、スペーサ本体1に埋没される埋設領域3と、平面部11から外方に突出する突設領域4に区分され、埋設領域3は線状部材2の全体を支持し、突出領域4は鉄筋を保持するために所定形状に折曲されている。そこで、線状部材2の全体構造は、そのほぼ中央に折返し部21が設けられ、各部位が二重に構成されつつ両端31,32がスペーサ本体1の内部に埋設されるものである。なお、上記の二重構造は、接近した二重構造とは異なり、所定の間隔L1,L2を有するものである。
埋設領域3は、上述のとおり、線状部材2の両端31,32とその近傍33,34,35,36がスペーサ本体1の内部に埋設される部分であって、スペーサ本体1の平面部11からかぶり方向に延出する基礎埋設部33,34と、その先端に直角に折曲されたアンカー部35,36とが構成されている。基礎埋設部33,34が十分な長さで構成されることにより、アンカー部35,36がスペーサ本体1の内部において、適度な深さに埋設されることとなる。また、両端31,32は適宜間隔L1を有して配置されることから、アンカー部35,36は、この所定間隔L1に分かれてそれぞれ埋設されることとなる。
突出領域4は、上記基礎埋設部33,34に連続するその他の部分であり、スペーサ本体1の平面部11に最も近い部分には、突出基部41,42が構成されている。この突出基部41,42は、上記平面部11の表面上において、その平面部11の表面に沿って(または表面に平行に)配置されており、突出領域4の基準となるべき部分である。この突出基部41,42に対向する位置には、山形の鉄筋保持部43,44が設けられ、上記突出基部41,42との間に鉄筋を位置させることにより、当該鉄筋を保持できるものである。なお、上記鉄筋保持部43,44が突出基部41,42から適宜距離を有するように構成するため、突出基部41,42の先端に立設部45,46が設けられている。この立設部45,46は、突出基部41,42の先端において垂直に折曲されて構成されており、装着すべき鉄筋の径によって当該立設部45,46の長さが変更されることとなる。また、鉄筋保持部43,44は、山形に構成されているため、突出基部41,42との間に配置される鉄筋表面に三点で支持されることとなる。
上記鉄筋保持部43,44に連続する部分には、L字状の折曲部47,48が設けられており、その長尺部が上記鉄筋保持部43,44によって保持されるべき鉄筋の軸線方向に向けて配置されている。このL字状折曲部47,48により、その先端に位置する折返し部21を中心とした周辺部分が係止突起49として機能することとなる。すなわち、鉄筋保持部43,44によって保持されるべき鉄筋に対し、保持されるべき位置から当該鉄筋の軸線方向に離れた位置に折返し部21が位置することとなり、当該鉄筋に直交する鉄筋の表面に折返し部21の周辺部分49を当接することが可能となるのである。
次に、突出領域4の作動態様を図2および図3に基づいて説明する。本実施形態の構成は上記のとおりであるから、突出基部41,42と鉄筋保持部43,44との間に装着すべき鉄筋Bを挿通させることにより、当該鉄筋BにスペーサAを装着することができることとなる。この場合、鉄筋保持部43,44の山形を形成する斜状当接部43a,43b,44a,44bのうち、L字形折曲部47,48に連続する斜状当接部43a,44aと突出基部41,42との間に、開放部5が形成されるものであるから、上記開放部5を経由させて鉄筋Bを鉄筋保持部43,44の内側に配置させるのである(図2(a))。
そこで、鉄筋Bは、鉄筋保持部43,44の弾性変形による復元力によって突出基部41,42との間で押圧され、両者間において保持されることから、当該鉄筋Bが突出基部41,42と鉄筋保持部43,44との間に配置されるためには、鉄筋保持部43,44を弾性変形させつつ、間隙を拡幅しなければならないのである(図2(b))。そして、このような間隙の拡幅を維持しつつ鉄筋Bの表面に鉄筋保持部43,44の両斜状当接部43a,43b,44a,44bが当接するとき、鉄筋保持部43,44による鉄筋Bの保持が完了するのである(図2(c))。従って、鉄筋Bを保持する状態では、鉄筋保持部43,44の弾性力(復元力)が作用することとなるから、鉄筋保持部43,44が元の位置まで戻るのではなく、復元の途中段階で完了するのである。
上記により装着されたスペーサAの線状部材2は、図3に示すように、係止突起49が、装着された鉄筋Bの軸線方向に沿って配置される状態となっている。ここで、この鉄筋Bに直交する他の鉄筋Cが配筋されている場合には、この直交する鉄筋Cに係止突起49を係止することが可能となる。すなわち、係止突起49の突出方向は、鉄筋保持部43,44によって保持されるべき鉄筋Bの軸線方向であったことから、装着すべき鉄筋Bに対して、鉄筋保持部43,44により保持させて装着を実現するとき、係止突起49は、図示のとおり、常に鉄筋Bの軸線方向に略平行となるのである。そこで、装着されるべき鉄筋Bに直交する他の鉄筋Cが配筋されているときには、この鉄筋Cの軸線に対して交差する方向に突出するのである。従って、この鉄筋Cの表面に係止突起49を当接させることにより、当該係止突起49による係止が可能となるのである。
ここで、係止突起49による係止の状態を詳細に説明すると、図4に示すように、二本のL字状折曲部47,48が鉄筋Cに対して均一に当接しているわけではないのである。すなわち、二本のL字状折曲部47,48で包囲される平面(仮想平面)は、鉄筋Cの軸線に対して僅かに傾斜する状態となっていることから、最も外側に位置する折曲部48のみが鉄筋Cに当接することとなるのである図4(a))。この理由は、上述のように、鉄筋保持部43,44によって鉄筋Bを保持する際、鉄筋保持部43,44の弾性力(復元力)により、当該鉄筋保持部43,44が突出基部41,42との間で鉄筋Bを挟持させるように当接することから、その弾性力(復元力)が作用するように、鉄筋保持部43,44が完全に元の位置まで戻らないことによる。
上記のように外側の折曲部47のみが直交する鉄筋Cの表面に当接した状態において、スペーサAに対して下向きの力Fが作用するとき、スペーサ本体1に対して作用する外力は、基礎埋設部33,34およびアンカー部35,36を介して線状部材2の全体に及ぶこととなる。そして、線状部材2の全体に対しては、保持する鉄筋Bの軸回りに回転するように作用するが、係止突起49の周辺が直交する鉄筋Cに係止されることから、当該軸回りに回転することなく同じ状態を維持することとなる。
つまり、鉄筋Bの軸回りに作用する外力は、鉄筋保持部43,44の片方の斜状当接部と鉄筋Bの表面との接点Xを支点として、係止突起49を外向きに回転させるように作用するが、直交する鉄筋Cの表面に外側L字状折曲部47が当接する点Yにおいて回転を阻止することから、結果的には、線状部材2は回転しないこととなる。その結果、上記外力は、鉄筋保持部43,44、立設部45,46およびL字状折曲部47,48に吸収されることとなる。そして、L字状折曲部47,48に対しては、鉄筋Bとの接点Xと鉄筋Cとの接点Yとの間で折り曲げ応力となし、突出基部41,42、鉄筋保持部43,44および立設部45,46に対しては、鉄筋Bと鉄筋保持部43,44との接点Xと、突出基部41,42と鉄筋Bとの接点Zとの間において、突出基部41,42が鉄筋Bの表面を押圧する方向に作用する。従って、上記外力Fは、線状部材2の弾性変形可能な範囲において当該線状部材2を変形させるが、この弾性変形は、終局的には鉄筋Bを保持するように作用するものである。
なお、係止突起49における接点Yは、上述のとおり、外側L字状折曲部47における接点Yのみであり、本実施形態のように先端が折返し部21によって連続して構成されることにより、それぞれのL字状折曲部47,48は異なる弾性変形を示すこととなる。すなわち、外側L字状折曲部47については、図4(b)に示すように、鉄筋保持部43と鉄筋Bとの接点X1から係止突起49の接点Yまでの略L字形部分が弾性変形することとなる。このとき、上述のように、両接点X1,Yは位置に変動がないため、係止突起49の接点Yが鉄筋Cを強く押圧することとなる。これに対し、内側L字状折曲部48については、図4(c)に示すように、L字形部分の先端に連続する折返し部21を含めた複雑な形状が弾性変形することとなる。このとき、直交する鉄筋Cとの接点Yは、上記と同じであるため、折返し部21を省略して鉄筋保持部44と保持鉄筋Bとの接点X2から直交鉄筋Cまでを直線で結んだ線上において弾性変形することとなる。この場合、両接点X1,Yの中間を直交鉄筋Cから離れる方向に隆起させるように弾性変形することから、その中間に位置する内側L字状折曲部48は直交鉄筋Cに当接することがないのである。そして、上記二つのL字状折曲部47,48がそれぞれに弾性変形することによって、上記外力を分散することができるのである。
次に、本実施形態の使用態様について説明する。図5は、主筋(縦筋と称する場合もあるが、以下・主筋と表示する)Dに本実施形態のスペーサAを装着した場合を示している。主筋Dにスペーサを装着する必要性のある場合は、専ら主筋Dが配力筋(横筋と称する場合もあるが、以下・配力筋と表示する)Eよりも外側に位置する場合、すなわち主筋Dが配力筋Eよりも型枠CMに接近している場合である。この場合のかぶり寸法Kは、主筋Dの外側表面から型枠CMまでの距離となるから、当該かぶり寸法Kを確保するためには、主筋DにスペーサAを装着することが要求されるのである。
このように主筋Dに本実施形態のスペーサAを装着するときは、図5(a)に示しているとおり、二つの鉄筋保持部43,44が所定間隔を有しつつ上下に分かれて主筋Dを保持することとなるから、スペーサ本体1に対して下向きの外力が作用した場合、下方に位置する突出基部41と、上方に位置する鉄筋保持部44によって、偶力を支持することとなり、スペーサAの離脱を防止できることとなる。このとき、係止突起49は上向きに配置されているが、この係止突起49が何かに係止されていない状態においても上記偶力に対抗させ得ると考えられる。
また、図5(b)に示すように、係止突起49を下向きにした状態で主筋Dに装着するときも同様であり、下方に位置する突出基部42と、上方に位置する鉄筋保持部43とで偶力を支持させることができる。さらに、この場合において、装着すべきスペーサAの下方に配力筋Eが近接する場合には、係止突起49を配力筋Eに係止させてもよい。このような使用形態においては、係止突起49をも含めて上記偶力に抵抗し得ることとなるので、スペーサAの装着状態を一層堅固にすることができる。なお、上記いずれの場合においても、主筋Dが異形鉄筋(竹節鉄筋)である場合には、主筋Dの軸線方向に断続して構成される節によって下向きの摺動が制限されることとなり、上記偶力に対抗するのみならず、重力による落下を容易に回避するものである。
他方、配力筋Eに装着する場合を図6に示している。図6(a)に示されているように、配力筋Eの軸線に対して鉄筋保持部43,44を直交させて、当該配力筋Eの軸回りに装着することにより、配力筋Eに対するスペーサAの装着は完了する。その後に、係止突起49を主筋Dに係止することにより、スペーサAが配力筋Eの軸回りへの回転を防止するのである。係止突起49による係止の状態および下向きの力が作用した場合の各部の状態は、既に説明したとおりである。
また、図6(b)に示すように、L字状折曲部47,48の折曲方向を反対にしたスペーサAを使用することにより、装着すべき位置の反対側に主筋Dが位置する場合においても使用可能となる。すなわち、何らかの理由により、主筋Dの片側に位置する配力筋Eに装着できない場合があったとしても、主筋Dの他方側に位置する配力筋Eに装着することができるのである。
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲おいて種々の態様をとることができる。例えば、上記実施形態の説明においては、二本の基礎埋設部33,34およびアンカー部35,36が同じように折曲され、かつ双方が平行に配置された構成を図示しつつ説明したが、基礎埋設部33,34の先端付近を接近するように傾斜させる構成としてもよい。
すなわち、図7(a)に示すように、基礎埋設部33,34のみを傾斜させる構成のほかに、図7(b)に示すように、突出領域4も含めて基礎埋設部33,34を傾斜させる構成とすることができる。この場合、基礎埋設部33,34の先端が接近するように傾斜させるとき、この傾斜角度をスペーサ本体1の外部壁面の傾斜に応じて変化させることにより、スペーサ本体1の外部壁面から基礎埋設部33,34までの距離(深さ)が極端に短く(浅く)なることがないので、スペーサ本体1に外力が作用する場合においても当該スペーサ本体1が崩壊することを防止できる。
また、上記のように基礎埋設部33,34の先端が接近するように傾斜させることにより、スペーサ本体1と線状部材2との引っ張り強度が増大し、一体的な構成を維持することができる。すなわち、スペーサ本体1に作用する外力は、線状部材2の弾性変形によって吸収されるが、埋設領域の基礎埋設部33,34およびアンカ部35,36に対しては、結果的に引き抜き(引っ張り)力として作用することとなり、線状部材2のうちの埋設領域がスペーサ1から引き抜かれなければ両者の一体性は維持されるのである。そこで、基礎埋設部33,34が引っ張り力の作用する方向に対して斜状であれば、引っ張り力は分散されることから、その結果として、引き抜きに対抗することができるのである。なお、その際には、図7(c)に示すように、基礎埋設部33,34を中間地点で折曲し、突出領域に近い部分を平行に、先端に向かって斜状に形成する構成とすることも可能である。
本発明の実施形態を示す斜視図である。 線状部材の状態を示す説明図である。 鉄筋と線状部材との関係を示す説明図である。 使用状態を示す説明図である。 使用態様を示す説明図である。 使用態様を示す説明図である。 他の実施形態を示す説明図である。
符号の説明
1 スペーサ本体
2 線状部材
3 埋設領域
4 突出領域
11 スペーサ本体の平面部
12 スペーサ本体の先端部
21 折返し部
31,32 線状部材両端
33,34 基礎埋設部
35,36 アンカー部
41,42 突出基部
43,44 鉄筋保持部
43a,43b,44a,44b 斜状当接部
45,46 立設部
47,48 L字状折曲部
49 係止突起
A スペーサ
B,C,D,E 鉄筋
CM 型枠
K かぶり寸法
X,X1,X2 鉄筋保持部と鉄筋との接点
Y 係止突起と鉄筋との接点
Z,Z1,Z2 突出基部と鉄筋との接点
K かぶり寸法

Claims (5)

  1. コンクリート製またはモルタル性のスペーサ本体と、このスペーサ本体に突設されてなる金属製の線状部材とを備えた鉄筋用スペーサにおいて、上記線状部材は、一本の連続した部材のほぼ中央に折返し部を設けて二重に構成されてなり、両端に所定間隔を保持しつつ該両端付近をスペーサ本体に埋設される埋設領域と、その他の部分で構成される突出領域とに区分された線状部材であり、上記突出領域は、かぶり方向に対して直交方向に配置される突出基部と、この突出基部に対向して設けられた鉄筋保持部と、この鉄筋保持部によって保持されるべき鉄筋の軸線方向に向かって折曲されてなる係止突起とで構成されてなることを特徴とする鉄筋用スペーサ。
  2. かぶり方向の一端にかぶり方向に直交する適宜面積の平面部を有するコンクリート製またはモルタル性のスペーサ本体と、このスペーサ本体の平面部に突設されてなる金属製の線状部材とを備えた鉄筋用スペーサにおいて、上記線状部材は、一本の連続した部材のほぼ中央に折返し部を設けて二重に構成され、両端付近に所定間隔を保持しつつスペーサ本体に埋設される埋設領域と、スペーサ本体から突出する突出領域とに区分された線状部材であり、上記埋設領域は、かぶり方向に向かって延出し、上記スペーサ本体の内部に配置される基礎埋設部と、この基礎埋設部の先端付近を折曲してなるアンカー部とで構成され、上記突出領域は、上記スペーサ本体の平面部の表面上に該平面部と平行に配置される突出基部と、この突出基部からかぶり方向後ろ向きに立設される立設部と、この立設部に連続しつつ上記突出基部に対向する位置に所定間隔を有して構成される鉄筋保持部と、この鉄筋保持部によって保持されるべき鉄筋の軸線方向に向かって折曲されてなる係止突起とで構成されてなることを特徴とする鉄筋用スペーサ。
  3. 前記基礎埋設部および前記アンカー部は、前記線状部材の両端付近が同じ形状に折曲された二本が平行に配置されてなる基礎埋設部およびアンカー部である請求項2記載の鉄筋用スペーサ。
  4. 前記基礎埋設部は、前記線状部材の両端付近が接近するように傾斜してなる基礎埋設部である請求項2記載の鉄筋用スペーサ。
  5. 前記鉄筋保持部は、二つの斜状当接部により山形に成形されてなる鉄筋保持部である請求項1ないし4のいずれかに記載の鉄筋用スペーサ。
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