JP5087370B2 - 運搬カート - Google Patents

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Description

本発明は、運搬カート、特に収納物が外部から見えないように側面にカバーが設けられた運搬カートに関する。
ビルメンテナンスの際、運搬カートに業務用清掃用具等を集中的に搭載し、ビル内を移動しつつ各所の清掃等を行っている。このような目的に使用される運搬カートの従来例を図10に示す。
同図に示された運搬カートS1は、フレーム状のカート本体A1にハンドル131と車輪118a,118bを備えており、床上を移動可能である。カート本体A1は、ほうき、モップ、ちり取り、雑巾、洗剤、スプレー、バケツ等の各種の清掃用具やトイレットペーパ、消臭剤等の備品、補充品類を集中的に搭載または保持できるように構成されている。ほうきやモップ等の長尺物はカート本体A1の側面に保持される。その他の雑巾、洗剤、スプレー、備品、補充品類等の小物類は、プラスチック製のトレイ134やボックス内に収納した状態でカート本体A1に搭載される。
カート本体A1には、上記のトレイ134やボックスを都合よく搭載できるように、カート本体A1を構成する左右のフレーム101,102の適所にたとえば断面L字状の複数組の横桟部材114,124が取付けられており、このような左右の横桟部材114,124に上記のトレイ134やボックスの左右底部を載せることができるようになっている。
最近では、搭載された清掃用具などが外部から見えないようにするためにカート本体A1の周囲にカバーを設けた運搬カートの需要が増加している。このような需要に対応した運搬カートとして、図11に示す運搬カートが開発されている。
同図に示された運搬カートS2は、カート本体A2のハンドル131側およびその反対側に、カバー104,108が固着されている。また、カート本体A2の他の2つの側面には、それぞれ扉105,106が設けられている。この2つの扉105,106を閉じることで、運搬カートに搭載された清掃用具が外部から見えないようにすることができる。
特開平11‐129911号公報
しかしながら、上記の運搬カートS2には、トレイやボックスに搭載された小物類のうちハンドル131側に搭載された搭載物が取り出しにくいという問題がある。ハンドル131側にも扉を設けるという方法もあるが、部品数および製造工程における工程数が増加するという問題がある。
また、上記運搬カートS2から搭載物を取り出す場合、開ける扉と反対側の側面を壁面に寄せて運搬カートS2を停止することになる。たとえば、扉106側に搭載されている搭載物を取り出す場合、使用者は、運搬カートS2の扉105側の側面を壁面に寄せて停止し、扉106を開け、運搬カートS2の扉106側に立って、搭載物を取り出すことになる。このとき、この停止場所が狭い通路の場合、運搬カートS2と使用者とで通路を塞ぐことになり通行者の妨げとなることがある。また、広い通路の場合でも、扉106を開けることにより、運搬カートS2の内部が通行者の目につくことになる。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、ハンドル側に搭載された搭載物を取り出しやすく、搭載物を取り出すときに通行の妨げになりにくく、かつ、内部が通行者の目につきにくく、部品数および製造工程の工程数が増加しない運搬カートを提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される運搬カートは、複数の縦部材と隣接する上記縦部材どうしを適宜連結する連結部材とを備えることにより4つの側面部が形成され、かつ、内部に略直方体形状の収納空間が形成されるカート本体と、上記側面部を覆う複数のカバーと、を備えた運搬カートであって、上記複数のカバーの少なくとも一つは、一の側面部の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉鎖時に上記一の側面部ないしこれと上記回動軸とは反対側に隣接する側面部の全部もしくは一部を覆い、開放時に上記隣接する側面部から上記収納空間の搭載物を取り出すことを可能とすることを特徴とする。
この構成によると、上記開閉カバーは、閉じた状態で上記一の側面部と上記隣接する側面部の全部もしくは一部を覆うので、上記カート本体の上記一の側面部と上記隣接する側面部から上記収納空間が見えないようにすることができる。また、上記開閉カバーを開くと、上記隣接する側面部から上記収納空間に搭載された搭載物を取り出すことができる。この開閉カバーを上記カート本体に取り付ける作業は、上記一の側面部のみを覆う開閉カバーを取り付ける作業と変わらない。したがって、製造工程における工程数は増加しない。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記4つの側面部は、左右の側面部と、前部側面部と、後部側面部であり、後部側面部の上方には、カート本体を前後方向に押動するためのハンドルが形成されている一方、上記カバーは、上記前部側面部を固定状に覆う前部カバーと、上記左側面部の上記前部側面部側の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉位置において上記左側面部ないし上記後部側面部の左半分を覆う左開閉カバーと、上記右側面部の上記前部側面部側の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉位置において上記右側面部ないし上記後部側面部の右半分を覆う右開閉カバーと、からなっている。
この構成によると、上記前部カバーと上記左開閉カバーと上記右開閉カバーとにより、側面部から上記収納空間が見えないようにすることができる。また、上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーを開くと、上記後部側面部から上記収納空間に搭載された搭載物を取り出すことができる。この各開閉カバーを上記カート本体に取り付ける作業は、上記後部側面部を覆わない開閉カバーを取り付ける作業と変わらない。したがって、製造工程における工程数は増加しない。さらに、上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーを少し開くだけで、使用者は上記運搬カートの上記後部側面部から上記搭載物を取り出すことができる。したがって、上記運搬カートは、停止場所が狭い通路の場合でも通行者の妨げとなりにくく、上記収納空間に搭載された上記搭載物が上記通行者の目につくことを抑制することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カート本体の上記左右の側面部の下部には、上記左開閉カバーおよび上記右開閉カバーの下縁を案内して閉位置に導き保持するためのガイド部材が設けられている。
この構成によると、上記各開閉カバーは閉位置に導かれて保持されるので、上記各開閉カバーが勝手に開いてしまうことを防ぐことができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーのうち一方は、その後側部分の表側面の端部中央付近に係止フックを備え、上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーのうち他方は、その後側部分の表側面の端部中央付近に係止突起を備え、上記係止フックおよび上記係止突起は、上記左開閉カバーおよび上記右開閉カバーを閉状態に保持する。
この構成によると、上記各開閉カバーは閉状態に保持されるので、上記各開閉カバーが勝手に開いてしまうことを防ぐことができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記収納空間の上側の面を覆うように開閉可能に設けられた上部開閉カバーをさらに備えている。
この構成によると、上記上部開閉カバーにより、上部から上記収納空間が見えないようにすることができる。したがって、上記収納空間に搭載された上記搭載物が外部から見えないようにすることができる。また、上記上部開閉カバーを開くと、上部から上記収納空間に搭載された搭載物を取り出すことができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、略U字状であり、その開口部が上記カート本体の上記ハンドルに固着されたフック部材をさらに備えている。
この構成によると、柄の持ち手部分が略L字状の長尺物や柄付きちり取りなどを、上記フック部材と上記ハンドルとで構成される環状部分に上記持ち手部分の先端を挿入して、上記持ち手部分を上記フック部材の上部内側と上記ハンドルの上部とに当接させることにより保持することができる。また、持ち手部分を含む柄の先端部分が環状となっている長尺物や柄付きちり取りなどを、柄の先端の環状部分を上記フック部材に掛止して、吊り下げることにより保持することができる。したがって、上記収納空間に搭載できない上記長尺物を、上記運搬カートに搭載することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カート本体の上記左側面部または上記右側面部の下部に設けられた受け皿と、上記受け皿の上方に設けられた長尺物固定部材と、をさらに備えている。
この構成によると、長尺物の本体部分を上記受け皿に載せ、上記長尺物の柄などを上記長尺物固定部材で固定して、上記長尺物を保持することができる。したがって、上記収納空間に搭載できない上記長尺物を、上記運搬カートに搭載することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る運搬カートの一例を示す斜視図である。図2は、図1のII-II断面図である。図3は、図2のIII-III断面図であり、図4は、図2のIV-IV断面図である。図5は、本発明に係る運搬カートのカート本体の一例を示す斜視図である。すなわち、図1に示す運搬カートから各開閉カバーをはずした状態を示している。図2〜5においては、小物類を搭載するためのトレイやボックスを省略している。
運搬カートSは、カート本体A、前部カバー4、左開閉カバー5、右開閉カバー6、上部開閉カバー7により構成されている。図5によく表れているように、カート本体Aの上部一端部には、運搬カートSの使用者が両手で持って運搬カートSを前後方向に押動するためのハンドル31が設けられている。使用者は、ハンドル31の手前に立って運搬カートSを操作することになる。このため、本実施形態では、説明の便宜上、運搬カートSの各部の左右方向は上記使用者からみた左右方向とする。また、運搬カートSの各部のうち、進行方向である上記使用者から遠い側を前側として説明する一方、使用者から近い側を後側として説明する。
図5によく表れているように、カート本体Aは、左フレーム1、右フレーム2、ハンドル31、連結部材32,33を具備している。左フレーム1および右のフレーム2は、左右対称な構造に形成されており、いずれも側面視略U字状に形成されている。より具体的には、左フレーム1は、一定間隔を隔てて位置して鉛直方向に延びる前側縦部材11および後側縦部材12と、前側縦部材11および後側縦部材12の上端部を互いに繋ぐ横桟部材13を具備している。
これらの部材は、いずれも金属製パイプによって構成されており、フレーム全体の軽量化が図られている。本実施形態では、前側縦部材11と横桟部材13とが、1本の金属製パイプを屈曲することによって一体的に形成されているが、本発明はこれに限定されず、前側縦部材11と横桟部材13とを別体の部材で形成した上で、溶接あるいはボルト止めなどの手段によって互いに連結してもよい。横桟部材13の後端部は、後側縦部材12の上端部との連結部分よりも後側に延設されている。
右フレーム2も、左フレーム1と同様に、前側縦部材21、後側縦部材22、および横桟部材23を具備している。詳細は、左フレーム1と同様なので省略する。
左フレーム1の前側縦部材11と後側縦部材12との間には断面L字状の横桟部材14が、右フレーム2の前側縦部材21と後側縦部材22との間には断面L字状の横桟部材24が、それぞれ取り付けられている。両横桟部材14,24は、小物類を収納したトレイやボックスの左右底部を載せるための台となる。
左フレーム1の前側縦部材11と後側縦部材12との間の下方には受け皿15が、右フレーム2の前側縦部材21と後側縦部材22との間の下方には受け皿25が、それぞれ取り付けられている。両受け皿15,25は、ほうきやモップ等の長尺物をカート本体Aの側面に保持したときに受け皿となるものである。
左フレーム1の前側縦部材11の左側の2箇所の所定の位置には前部カバー取付具16aが、右フレーム2の右側縦部材21の外側の2箇所の所定の位置には前部カバー取付具26aが、それぞれ固着されている。各前部カバー取付具16a,26aは、後述する前部カバー4を取り付けるためのものである。
左フレーム1の前側縦部材11の後側の2箇所の所定の位置には左開閉カバー取付具16bが、右フレーム2の前側縦部材21の後側の2箇所の所定の位置には右開閉カバー取付具26bが、それぞれ固着されている。左開閉カバー取付具16bは後述する左開閉カバー5を開閉回動可能に取り付けるためのものであり、右開閉カバー取付具26bは後述する右開閉カバー6を開閉回動可能に取り付けるためのものである。本実施形態では、左開閉カバー取付具16bおよび右開閉カバー取付具26bは、蝶番としている。各取付具16a,16b,26a,26bの固着位置は、上記に限定されず、適宜設計変更可能である。
左フレーム1と右フレーム2とは、ハンドル31、連結部材32,33により連結されている。ハンドル31は、左フレーム1の延設された後端部と右フレーム2の延設された後端部との間に、これを掛け渡すようにして固着されている。ハンドル31は、先述したように、使用者が運搬カートSを移動させるときにその手前に立って両手で持って、運搬カートSを操作するためのものである。
連結部材32は、左フレーム1の前側縦部材11の下方部と右フレーム2の前側縦部材21の下方部とに固着されている。連結部材33は、左フレーム1の後側縦部材12の下方部と右フレーム2の後側縦部材22の下方部とに固着されている。連結部材32,33は、断面L字状の金属製であり、各縦部材に溶接により固着されている。連結部材32,33は、左フレーム1と右フレーム2とを連結してカート本体Aを形成すると同時に、小物類を収納したトレイやボックスの前後底部を載せるための台となる。
左フレーム1と右フレーム2との間の空間が、小物類を収納したトレイやボックスを搭載するための収納空間となる。
なお、本実施形態では、カート本体Aを、左フレーム1と右フレーム2とを連結部材32,33で連結する構成としたが、これに限られず、複数の縦部材を連結部材で連結することにより収納空間が形成されればよい。例えば、左フレーム1の後側縦部材12と右フレーム2の後側縦部材22とハンドル31とが1本の金属製パイプを屈曲することによって一体的に形成されていてもよい。その場合は、左フレーム1の前側縦部材11と右フレーム2の前側縦部材21とを1本の金属製パイプを屈曲することによって一体的に形成し、前側縦部材11,21と後側縦部材12,22とをそれぞれ連結部材で連結するようにすればよい。
左フレーム1の前側縦部材11および後側縦部材12の下端部にはそれぞれ車輪18a,18bが、右フレーム1の前側縦部材21および後側縦部材22の下端部にはそれぞれ車輪28a,28bが、設けられている。前側の各車輪18a,28aは車輪の向きが任意に変更できるように水平方向に回転可能なものであり、後側の各車輪18b,28bは車輪の向きが固定されたものである。したがって、この運搬カートSは、4つの車輪18a,18b,28a,28bを利用して床面上を楽に移動させることができ、またその移動時には容易にその進行方向を変更することができる。
図2および図4に示すように、前部カバー4は、カート本体Aの前側に、運搬カートSの内部を外部から見えないように隠すために設けられている。前部カバー4は、カート本体Aの収納空間の前面を覆う大きさの略矩形形状の板であり、高衝撃性ポリスチレンなどの樹脂により形成される。前部カバー4は、その内側面(図2における下側の面であり、図4における右側の面)上部の左右2箇所および下部の左右2箇所で、左フレーム1に設けられた2つの前部カバー取付具16aおよび右フレーム2に設けられた2つの前部カバー取付具26aにボルト止めするなどして、固着されている。
なお、前部カバー4の材質、形状、および取り付け方法は、上記に限られない。材質は、ある程度の強度を有するものであれば、他の樹脂であってもよいし、アルミや鉄などの金属であってもよい。形状は、運搬カートSの内部が外部から見えなければ、左開閉カバー5、右開閉カバー6および上部開閉カバー7の開閉の妨げとならない範囲で自由に設計可能である。取り付け方法は、前部カバー4をカート本体に固定可能であればよく、着脱可能な取り付け方法でもよい。また、前部カバー4の左右の一方にカート本体Aとの間で蝶番構造などを設けて、カバー4を開閉カバーとして開閉回動可能に取り付けてもよい。
図1、図2および図3に示すように、左開閉カバー5は、カート本体Aの左側に、運搬カートSの内部を外部から見えないように隠すために設けられている。左開閉カバー5は、高衝撃性ポリスチレンなどの樹脂により形成されており、閉じられた状態でカート本体Aの収納空間の左側面および後面の左半分を覆う。左開閉カバー5の内側面(図2および図3において、右側の面)の前側部分には、取付部51が設けられている。取付部51は、2つの左開閉カバー取付具16bを固着するためのものである。左開閉カバー5に左開閉カバー取付具16bを直接固着すると、左開閉カバー5の自重により当該固着部分が破損する可能性がある。これを防ぐために、金属などの強度の大きい取付部51を左開閉カバー5にボルト止めなどで固着し、この取付部51に左開閉カバー取付具16bを溶接やボルト止めにより固着している。左フレーム1に設けられた2つの左開閉カバー取付具16bは蝶番なので、左開閉カバー5は、水平方向に開閉回動可能となっている。
左開閉カバー5の収納空間の左側面を覆う部分は、外側に膨らんだ形状となっている。これは、左開閉カバー5を閉じたときに、左開閉カバー5の内側面とカート本体Aの左側面に保持されている長尺物とが接触しないようにするためである。左開閉カバー5の上端部には、2つの切り欠き部52が設けられている。この切り欠き部52は、左開閉カバー5を閉じたときに、左開閉カバー5の上端部がカート本体Aの左側面に保持されている長尺物の柄と接触しないようにするためのものである。
なお、左開閉カバー5の材質、形状、および取り付け方法は、上記に限られない。材質は、ある程度の強度を有するものであれば、他の樹脂であってもよいし、アルミや鉄などの金属であってもよい。形状は、運搬カートSの内部が外部から見えなければ、上部開閉カバー7および左開閉カバー5自身の開閉の妨げとならない範囲で自由に設計可能である。取り付け方法も適宜設計変更可能である。例えば、左開閉カバー5が金属製などであり十分な強度を有する場合は、取付部51を設けずに、左開閉カバー5に左開閉カバー取付具16bを直接固着するようにしてもよい。また、左開閉カバー5がカート本体Aに対して開閉可能であればよく、蝶番以外の構造でもよい。
図1、図2および図3に示すように、右開閉カバー6は、カート本体Aの右側に、運搬カートSの内部を外部から見えないように隠すために設けられている。右開閉カバー6は、高衝撃性ポリスチレンなどの樹脂により形成されており、閉じられた状態でカート本体Aの収納空間の右側面および後面の右半分を覆う。右開閉カバー6の内側面(図2および図3において、左側の面)の前側部分には、取付部61が設けられている。取付部61は、取付部51と同様、2つの右開閉カバー取付具26bを固着するためのものである。右フレーム2に設けられた2つの右開閉カバー取付具26bは蝶番なので、右開閉カバー6は、水平方向に開閉回動可能となっている。
右開閉カバー6の収納空間の右側面を覆う部分は、外側に膨らんだ形状となっている。これは、右開閉カバー6を閉じたときに、右開閉カバー6の内側面とカート本体Aの右側面に保持されている長尺物とが接触しないようにするためである。右開閉カバー6の上端部には、2つの切り欠き部が設けられている。この切り欠き部は、右開閉カバー6を閉じたときに、右開閉カバー6の上端部がカート本体Aの右側面に保持されている長尺物の柄と接触しないようにするためのものである。なお、右開閉カバー6の材質、形状、および取り付け方法は上記に限られず、上述した左開閉カバー5と同様に、設計変更可能である。
図1に示すように、左開閉カバー5の後側部分の表側面の端部中央付近には、係止突起53が設けられており、右開閉カバー6の後側部分の表側面の端部中央付近には、係止フック63が当該表側面と平行に回転可能に設けられている。本実施形態においては、運搬カートSを移動させる場合、係止フック63を係止突起53に係止することで、左開閉カバー5および右開閉カバー6を閉じた状態に保つ。なお、左開閉カバー5および右開閉カバー6を閉じた状態に保つ方法はこれに限られず、他の方法を用いてもよい。
図1、図3および図4に示すように、上部開閉カバー7は、カート本体Aの上側に、運搬カートSの内部を外部から見えないように隠すために設けられている。上部開閉カバー7は、カート本体Aの収納空間の上面を覆う大きさの箱形状であり、肉厚を薄くし軽くすることや強度などを考慮し、ポリ塩化ビニルなどの樹脂により形成される。図4に示すように、上部開閉カバー7は、その前側端部において、前部カバー4の上端部に、蝶番72を用いて取り付けられている。したがって、上部開閉カバー7は、カート本体Aに対して開閉回動可能となっている。上部開閉カバー7の後端部には、2つの切り欠き部71が設けられている。この切り欠き部71は、上部開閉カバー7を閉じたときに、上部開閉カバー7の後端部が左フレーム1の横桟部材13および右フレーム2の横桟部材23に接触しないようにするためのものである。
なお、上部開閉カバー7の材質、形状、および取り付け方法は、上記に限られない。材質は、ある程度の強度を有するものであれば、他の樹脂であってもよいし、アルミや鉄などの金属であってもよい。形状は、運搬カートSの内部が外部から見えなければ、左開閉カバー5、右開閉カバー6および上部開閉カバー7自身の開閉の妨げとならない範囲で自由に設計可能である。取り付け方法は、蝶番以外の構造で上部開閉カバー7がカート本体Aに対して開閉回動可能としてもよい。また、上部開閉カバー7をカート本体Aに取り付けず、上部開閉カバー7をカート本体Aの上側に嵌合する構造としてもよい。
図5に示すように、左フレーム1に取り付けられている受け皿15の右側面の前端付近にはガイド部材17が、右フレーム2に取り付けられている受け皿25の左側面の前端付近にはガイド部材27が、それぞれ固着されている。各ガイド部材17,27は、それぞれ、各開閉カバー5,6を、閉じている状態である所定の位置に導き保持するためのものである。代表してガイド部材27について、図6を参照して説明する。ガイド部材17もガイド部材27と同様であるので、説明は省略する。
図6は、図4のVI-VI断面図であり、右フレーム2側のガイド部材27を説明するための図である。同図に示すように、ガイド部材27は、断面略L字状の金属製の板である。その下側部分は、屈曲部27aから中央部27bに向けて上方に盛り上がり、中央部27bで最も上方に達した後下方へと転じ、端部27cが最も下に位置する形状を成す。ガイド部材27の下側部分の端部27cは、右開閉カバー6がその自重により下に沈んだ状態の下端より下に位置する。右開閉カバー6を閉じるとき、その下端部分はガイド部材27の下側部分の端部27cから当該下側部分の上面に添って上昇する。同図に仮想線で示した右開閉カバー6’は、その下端部分がガイド部材27の下側部分の端部27cから少し中央部27bに向けて進んだ状態である。さらに右開閉カバー6を閉じると、その下端部分はガイド部材27の下側部分の中央部27bを超えて屈曲部27aに導かれる。
同図に示す右開閉カバー6は、閉じている状態である。右開閉カバー6を閉じている状態から開く場合、右開閉カバー6の下端部分がガイド部材27の下側部分の中央部27bを超えるまで、開く方向に力を加える必要がある。したがって、ガイド部材27は、右開閉カバー6を閉じている状態に保持し、勝手に開いてしまうことを防ぐことができる。なお、ガイド部材17,27の材質、形状、固着場所は、上記に限定されない。
図1に示すように、ハンドル31の中央部には、フック部材31aが設けられている。フック部材31aは、金属棒を略U字状に変形したものであり、ハンドル31の所定の位置に溶接などで固着されている。
図7は、フック部材31aで柄付きちり取りを保持する方法を説明するための図である。柄付きちり取りをカート本体Aの側面に保持した場合、ちり取り部分の厚みのため、左開閉カバー5または右開閉カバー6を閉じるとことができなくなる。したがって、ハンドル31に設けられたフック部材31aを用いて、柄付きちり取りを保持する。
同図(a)は、柄の持ち手部分が略L字状の柄付きちり取りB1をフック部材31aで保持している状態を示す。柄付きちり取りB1は、フック部材31aとハンドル31とで構成される環状部分に持ち手部分の先端が挿入され、持ち手部分がフック部材31aの上部内側とハンドル31の上部とに当接することにより保持されている。同図(b)は、持ち手部分を含む柄の先端部分が環状となっている柄付きちり取りB2をフック部材31aで保持している状態を示す。柄付きちり取りB2は、柄の先端の環状部分がフック部材31aに掛止され、吊り下げられることにより保持されている。
図5に示すように、左フレーム1の後側縦部材12の左側の、横桟部材14と受け皿15との間の所定の位置には、長尺物固定部材19が固着されている。長尺物固定部材19は、金属棒をV字状に変形し当該V字状の金属棒が成す面に対して略直角となるようにその両端部を同じ方向に折り曲げたものであり、後側縦部材12の所定の位置に溶接などで固着されている。
図8は、長尺物固定部材19で長尺物を固定する方法を説明するための図である。モップCなどの長尺物をカート本体Aに保持させる場合、柄をモップ本体と略平行となるように折り曲げ、この折り曲げられたモップCの先端を左フレーム1に設けられている受け皿15に載せ、モップ本体および柄を長尺物固定部材19と横桟部材14との間に挟むように固定する。
なお、長尺物固定部材19の形状および固着位置は上記に限定されない。形状はU字状でもよいし、金属板を適宜加工したものでもよい。固着場所は、前側縦部材11でもよいし、右フレーム2の前側縦部材21あるいは後側縦部材22でもよい。
図5に示すように、右フレーム2の前側縦部材21と後側縦部材22との間の上方には長尺物固定部材29が取り付けられている。
図9は、長尺物固定部材29で長尺物を固定する方法を説明するための図である。長尺物固定部材29は、同図に示すように、それぞれ固定ゴム29cが取り付けられた2つの固定部29bと、この2つの固定部29bが取り付けられた横桟部材29aから成る。固定部29bは上面視U字状であり、その内側部分は通常のほうき等の柄の直径より大きく成形されている。固定ゴム29cは、両端部が固定部29bの両端部に固着され、その内側面(図9において、手前側の面)には複数の凸状部分が上下方向に形成されている。ほうきDなどの長尺物をカート本体Aに保持させる場合、ほうきDの本体部分を右フレーム2に設けられている受け皿25に載せ、ほうきDの柄を固定ゴム29cに押し当てて、固定部29bに挟んで固定する。ほうきDの柄は、固定ゴム29cに設けられている上下方向の凸状部分により固定される。
なお、長尺物固定部材29の取り付け位置は上記に限定されない。取り付け場所は、左フレーム1の前側縦部材11と後側縦部材12との間でもよい。また、上記とは異なる固定方法で長尺物を保持するようにしてもよい。
次に、本実施形態の運搬カートSの作用について説明する。
本実施形態において、運搬カートSには、図2に示すように、左開閉カバー5および右開閉カバー6が、それぞれ前側縦部材11、21付近の垂直方向の回動軸を中心として水平方向に開閉回動可能に設けられている。また、図4に示すように、上部開閉カバー7が、カート本体Aに対して開閉回動可能に設けられている。左開閉カバー5は、閉じている(図2における実線)状態のとき、カート本体Aの収納空間の左側面および後面の左半分を覆う。右開閉カバー6は、閉じている(図2における実線)状態のとき、カート本体Aの収納空間の右側面および後面の右半分を覆う。上部開閉カバー7は、閉じている(図4における実線)状態のとき、カート本体Aの収納空間の上面を覆う。したがって、運搬カートSは、前部カバー4、左開閉カバー5、右開閉カバー6、および上部開閉カバー7により、カート本体Aに搭載された清掃用具などが外部から見えないようになっている。
また、図2の仮想線に示すように、運搬カートSは、左開閉カバー5または右開閉カバー6を開くことによりカート本体Aの収納空間の後面が開放されるので、収納空間の後側に搭載された小物類を取り出しやすくなっている。各開閉カバー5,6をカート本体Aに取り付ける作業は、各側面のみを覆って後面を覆わない開閉カバーを取り付ける作業と変わらない。したがって、製造工程における工程数は増加しない。
さらに、左開閉カバー5または右開閉カバー6を少し開くだけで、使用者は運搬カートSの後側から搭載物を取り出すことができる。したがって、運搬カートSは、停止場所が狭い通路の場合でも通行者の妨げとなりにくく、カート本体Aに搭載された清掃用具などが通行者の目につくことを抑制することができる。
また、ガイド部材17,27により、各開閉カバー5,6は、閉じている状態の位置に導かれ保持される。したがって、各開閉カバー5,6が勝手に開いてしまうことを防ぐことができる。
また、図4の仮想線に示すように、運搬カートSは、上部開閉カバー7を開くことによりカート本体Aの収納空間の上面が開放されるので、収納空間の上側に搭載された小物類を取り出しやすくなっている。
また、フック部材31aおよび長尺物固定部材19,29により、収納空間に搭載することができない長尺物や柄付きちり取りなどを運搬カートSに搭載することができる。
なお、上記実施形態では、左開閉カバー5および右開閉カバー6の両方を設けた場合について説明したが、どちらか一方のみであってもよい。例えば、左開閉カバー5のみを設けて、カート本体Aの右側には固定されたカバーを設けた場合、左開閉カバー5をカート本体Aの収納空間の左側面および後面の全体を覆うようにすればよい。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、左開閉カバー5をカート本体Aの収納空間の左側面および後面の全体を覆うようにして、右開閉カバー6をカート本体Aの収納空間の右側面のみ覆うようにしてもよい。当然、左右逆の場合でもよい。
なお、上記実施形態では、左開閉カバー5および右開閉カバー6でカート本体Aの収納空間の後面を覆う場合について説明したが、左開閉カバー5および右開閉カバー6でカート本体Aの収納空間の前面を覆うようにしてもよい。この場合、使用者は運搬カートSの前側から搭載物を取り出すことになる。また、例えば、右側面を固定のカバーとし、前面と左側面の前半分を覆う前開閉カバーと後面と左側面の後ろ半分を覆う後開閉カバーとを設けてもよい。この場合、使用者は運搬カートSの左側から搭載物を取り出すことになる。
本発明に係る運搬カートは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る運搬カートの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明に係る運搬カートの一例を示す斜視図である。 図1のII-II断面図である。 図2のIII-III断面図である。 図2のIV-IV断面図である。 本発明に係る運搬カートの一例の各開閉カバーをはずした状態を示す斜視図である。 図4のVI-VI断面図である。 フック部材で柄付きちり取りを保持する方法を説明するための図である。 長尺物固定部材で長尺物を固定する方法を説明するための図である。 長尺物固定部材で長尺物を固定する方法を説明するための図である。 従来の運搬カートの一例を示す斜視図である。 従来の運搬カートの一例を示す斜視図である。
符号の説明
S 運搬カート
A カート本体
1 左フレーム
11 前側縦部材
12 後側縦部材
13,14 横桟部材
15 受け皿
16a 前部カバー取付具
16b 左開閉カバー取付具
17 ガイド部材
18a,18b 車輪
19 長尺物固定部材
2 右フレーム
21 前側縦部材
22 後側縦部材
23,24 横桟部材
25 受け皿
26a 前部カバー取付具
26b 右開閉カバー取付具
27 ガイド部材
28a,28b 車輪
29 長尺物固定部材
31 ハンドル
31a フック部材
32,33 連結部材
4 前部カバー
5 左開閉カバー
51 取付部
52 切り欠き部
53 係止突起
6 右開閉カバー
61 取付部
63 係止フック
7 上部開閉カバー
71 切り欠き部
72 蝶番

Claims (7)

  1. 複数の縦部材と隣接する上記縦部材どうしを適宜連結する連結部材とを備えることにより4つの側面部が形成され、かつ、内部に略直方体形状の収納空間が形成されるカート本体と、
    上記側面部を覆う複数のカバーと、
    を備えた運搬カートであって、
    上記複数のカバーの少なくとも一つは、一の側面部の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉鎖時に上記一の側面部ないしこれと上記回動軸とは反対側に隣接する側面部の全部もしくは一部を覆い、開放時に上記隣接する側面部から上記収納空間の搭載物を取り出すことを可能とする、
    ことを特徴とする、運搬カート。
  2. 上記4つの側面部は、左右の側面部と、前部側面部と、後部側面部であり、後部側面部の上方には、カート本体を前後方向に押動するためのハンドルが形成されている一方、
    上記カバーは、
    上記前部側面部を固定状に覆う前部カバーと、
    上記左側面部の上記前部側面部側の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉位置において上記左側面部ないし上記後部側面部の左半分を覆う左開閉カバーと、
    上記右側面部の上記前部側面部側の端部付近の垂直方向の回動軸を中心として開閉回動可能であり、かつ、閉位置において上記右側面部ないし上記後部側面部の右半分を覆う右開閉カバーと、
    からなっている、請求項1に記載の運搬カート。
  3. 上記カート本体の上記左右の側面部の下部には、上記左開閉カバーおよび上記右開閉カバーの下縁を案内して閉位置に導き保持するためのガイド部材が設けられている、請求項2に記載の運搬カート。
  4. 上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーのうち一方は、その後側部分の表側面の端部中央付近に係止フックを備え、
    上記左開閉カバーまたは上記右開閉カバーのうち他方は、その後側部分の表側面の端部中央付近に係止突起を備え、
    上記係止フックおよび上記係止突起は、上記左開閉カバーおよび上記右開閉カバーを閉状態に保持する、請求項2または3に記載の運搬カート。
  5. 上記収納空間の上側の面を覆うように開閉可能に設けられた上部開閉カバーをさらに備えている、請求項1ないし4のいずれかに記載の運搬カート。
  6. 略U字状であり、その開口部が上記カート本体の上記ハンドルに固着されたフック部材をさらに備えている、請求項2ないし5のいずれかに記載の運搬カート。
  7. 上記カート本体の上記左側面部または上記右側面部の下部に設けられた受け皿と、
    上記受け皿の上方に設けられた長尺物固定部材と、
    をさらに備えている、請求項2ないし6のいずれかに記載の運搬カート。
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