<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係るシフトレバー10の要部の構造が斜視図により示されており、図4には本シフトレバー10の要部の構造が断面図により示されている。
これらの図に示されるように、シフトレバー10はレバー本体12を備えている。レバー本体12は、合成樹脂材又は金属材料によって内部が中空の筒形状に形成されている。
詳細な図示は省略するが、レバー本体12の基端側(図4の下側)は、例えば、車体に取り付けられる略箱形状のハウジングの内側に入り込んでおり、両端がハウジングの側壁に支持されたシャフトにより、例えば、略車両左右方向を軸方向とする軸周りにレバー本体12が回動可能に軸支される。
また、図1及び図4に示されるように、レバー本体12の内側には、移動体としての棒状のディテントロッド14が、レバー本体12の長手方向に沿って移動可能に収容されている。ディテントロッド14は、その長手方向一端部(図4における上端部)がレバー本体12の先端部(図4における上端部)に形成された開口端から突出している。
図5に示されるように、レバー本体12の内部は基端側が閉止されている。レバー本体12内底部とディテントロッド14との間には、第2付勢部材としての圧縮コイルスプリング15が配置されており、圧縮コイルスプリング15がディテントロッド14をレバー本体12の先端側(すなわち、図5の上方)へ付勢している。
さらに、ディテントロッド14の長手方向基端側における外周部からは、一対のディテントピン17が突出形成されている。これらのディテントピン17に対応してレバー本体12の基端側の外周部には、レバー本体12の内外を連通するスリット孔19が形成されている。
ディテントピン17は、これらのスリット孔19を通過して、先端側がレバー本体12の外周部に突出している。スリット孔19は、レバー本体12の長手方向に沿って長手とされ、ディテントピン17は、スリット孔19を通過した状態でスリット孔19の長手方向、すなわち、レバー本体12の長手方向に移動できる。
これらのスリット孔19から突出したディテントピン17の先端側に対応して、上記のハウジングの側壁にはディテント孔(図示省略)が形成されており、ディテントピン17の先端側はディテント孔の内側に入り込んでいる。ディテント孔の内周部のうち、下側(更に詳細にはレバー本体12の回動半径方向中央側)を向いた面の所定部位には突出部(図示省略)が形成されており、レバー本体12が所定の回動位置(シフト位置)に到達すると、レバー本体12の回動周方向に沿って突出部とディテントピン17とが対向する。
このように、突出部とディテントピン17とが対向した状態でレバー本体12を回動させようとすると、突出部がディテントピン17に干渉する。これにより、ディテントピン17の回動、ひいては、レバー本体12の回動を規制する。
但し、上記の圧縮コイルスプリング15の付勢力に抗してディテントロッド14をレバー本体12の基端側へ移動させると、ディテントピン17と突出部との対向状態が解除される。この状態でレバー本体12を回動させるとディテントピン17は突出部を回避し、これにより、レバー本体12を回動させることができる構造になっている。
一方、図1乃至図4に示されるように、レバー本体12の先端部にはノブ16が設けられている。ノブ16はノブ本体を構成するベース18を備えている。ベース18は金属又は比較的硬質の合成樹脂材によって形成されている。ベース18は筒状部20を備えている。筒状部20は両端が開口した筒形状に形成されている。
筒状部20の貫通方向中間部よりも一端側(図4の下側)は、レバー本体12の開口端からレバー本体12の内側に入り込んで、レバー本体12に機械的に連結されており、上記のディテントロッド14の一端側が筒状部20の内側に入り込んでいる。
また、ベース18は保持部22を備えている。保持部22は、筒状部20の貫通方向(図4における上下方向)に対して直交する方向の一方へ向けて開口した本体24を備えている。本体24は所定の隙間を除いて筒状部20の他端(上端)に一体的に連結されている。さらに、本体24の上端部は保持壁26が連続して形成されており、本体24の上端部は保持壁26により閉止されている。
これらの筒状部20及び保持部22により構成されたベース18の外側には被覆部28が設けられている。被覆部28は、ベース18よりも軟質で且つ弾性変形可能な合成樹脂材によって車両乗員が把持しやすい形状に形成されている。また、被覆部28には装着孔30が形成されている。装着孔30は本体24の開口方向に沿って開口しており、この装着孔30からはホルダ32が嵌挿される。
ホルダ32は一対の側壁34を備えている。一対の側壁34は、筒状部20の貫通方向及び上記の本体24の開口方向の双方に対して直交する方向に互いに対向して設けられている。
また、ホルダ32は上壁36及び縦壁38を備えている。上壁36は、一対の側壁34の上端部に沿って設けられており、縦壁38は一対の側壁34の幅方向に沿った一方(本体24の開口方向とは反対側)の端部に沿って設けられ、これらの上壁36及び縦壁38によって一対の側壁34は一定の間隔を維持した状態で一体的に連結されている。
また、一対の側壁34の上端部近傍で且つ装着孔30の近傍には支持片40が設けられている。これらの支持片40にはシャフト42が設けられている。シャフト42は、その長手方向一端側が一方の支持片40を貫通して、一方の支持片40を介して他方の支持片40とは反対側へ突出していると共に、シャフト42の長手方向他端側は他方の支持片40を貫通して、他方の支持片40を介して一方の支持片40とは反対側へ突出している。
シャフト42にはボタン44が取り付けられている。ボタン44の上端部近傍には一対の取付片46が形成されている。一対の取付片46はシャフト42の軸方向に沿って互いに対向しており、上記の一対の支持片40の外側でシャフト42の端部が一対の支持片40の各々に入り込んでいる。
これにより、ボタン44はシャフト42周りに回動可能にシャフト42に支持されている。また、シャフト42には、第1付勢部材としての捩じりコイルスプリング48が設けられている。捩じりコイルスプリング48の一端は上壁36の上面側に延出されており、他端はボタン44に形成された係止片50の上面に自らの付勢力で圧接している。上記のように、ボタン44はシャフト42周りに回動可能の状態でボタン44の係止片50に捩じりコイルスプリング48が圧接しているため、ボタン44は捩じりコイルスプリング48によりシャフト42周りに装着孔30の開口方向内方側に付勢されている。したがって、捩じりコイルスプリング48の付勢力に抗する力が作用しなければ、ボタン44はその一部が装着孔30の内側に入り込む。
一方、一対の側壁34の下端部近傍で且つ装着孔30の近傍には支持片52が設けられている。これらの支持片52の一方にはシャフト54の一端部が支持され、他方の支持片52にはシャフト54の他端部が支持されている。シャフト54はシャフト42に対して平行に設けられている。シャフト54には、上記の一対の側壁34の間に配置された操作部材としてのリンク部材56が回動可能に支持されている。
リンク部材56は一対の側壁58を備えている。これらの側壁58は上記の一対の側壁34の対向方向に沿って互いに対向している。これらの側壁58の端面形状は略「く」字形状に屈曲しており、その屈曲部分よりも一端側にて上記のシャフト54が貫通している。
また、側壁58の屈曲部分よりも他端側における幅方向一端部には連結壁60が設けられ、連結壁60によって一対の側壁58は所定の間隔を維持した状態で互いに一体的に連結されている。さらに、側壁58の屈曲部分よりも他端側は、弾性部材としての被覆部90を構成する弾性部材本体としての本体部分92によって被覆されている。
本体部分92は、例えばゴム材又はゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材によって断面矩形の有底筒状に形成されており、その開口端側から両側壁58及び連結壁60が入り込んだ状態で本体部分92がリンク部材56に装着されている。
また、被覆部90は当接部94を備えている。当接部94は本体部分92と同じ材質により連結壁60と平行な板状に形成されている。当接部94は連結壁60の厚さ方向に本体部分92から離間して設けられ、更に、当接部94はその外周部にて本体部分92に対して一体的に結合されている。
実質的には、本体部分92と当接部94とは一体成形されており、当接部94と本体部分92との間は空隙部としての中空の空洞部96とされている。
一方、本体部分92の当接部94とは反対側の壁部は押圧部98とされている。押圧部98は、シャフト54周りの一方に側壁58(すなわち、リンク部材56)が回動すると、ディテントロッド14の先端(上端)に当接し、更に、押圧部98が圧縮コイルスプリング15の付勢力に抗してディテントロッド14をレバー本体12の基端側へ押し下げる。
また、押圧部98が圧縮コイルスプリング15の付勢力に抗してディテントロッド14をレバー本体12の基端側へ所定ストローク押し下げた際のリンク部材56の回動位置に対応して、筒状部20の上端上には弾性部材としての当接部100が設けられている。当接部100は被覆部28と同じ材質の合成樹脂材により形成されている。
図4、図6、及び図7に示されるように当接部100は被覆部28の内周部から連続して延出されており、実質的には被覆部28と当接部100とは一体成形されている。被覆部28から延設された当接部100は、縦壁38の下端部における幅方向略中央に形成された連通部110及び装着孔30の開口方向に沿って本体24の縦壁38に対向する部分での下端部における幅方向略中央に形成された連通部112を通過してホルダ32の内側へ入り込んでいる。
図2及び図3に示されるように、当接部100は、弾性部材本体としての上壁102を備えている。上壁102は、筒状部20の上端開口部の開口方向に沿って厚さ方向とされた平板状に形成されている。また、筒状部20の上端開口部の開口方向及び装着孔30の開口方向の双方に対して直交した方向に沿った上壁102の幅方向両端には縦壁104が形成されている。
これらの縦壁104は、上壁102との結合部分とは反対側の端部が筒状部20の上端に当接しており、上壁102を筒状部20の上端から離間させた状態で上壁102を支持している。このように、上壁102が筒状部20の上端から離間させられた状態で支持されることで、上壁102と筒状部20の上端との間に空隙部106が形成されている。
また。筒状部20の上端とは反対側の上壁102の端面には、突出部108が空隙部106とは反対側へ向けて突出形成されている。突出部108は、上壁102の幅方向に沿った寸法が上壁102よりも十分に小さく、被覆部28からの上壁102の延出方向に沿って上壁102に連続して形成されている。
一方、側壁58の屈曲部分には、シャフト42、54と平行な係合ピン64が貫通している。係合ピン64に対応してボタン44には一対のガイド壁66が形成されている。一対のガイド壁66は上記の側壁34、58の対向方向に沿って互いに対向している。
これらのガイド壁66にはガイド溝68が形成されている。ガイド溝68は、内幅寸法が上記の係合ピン64の外径寸法よりも極僅かに大きく、両端が一対の側壁58の外側に突出した係合ピン64の端部がガイド溝68の内側に入り込んでいる。これによって、ボタン44とリンク部材56とが機械的に連結されている。
このように、両端がガイド溝68に入り込んだ係合ピン64は、ガイド溝68の長手方向一端から他端までの間でボタン44に対して相対的に移動可能である。しかしながら、ガイド溝68の幅方向に沿ったボタン44に対する相対的な移動は、ガイド溝68の内壁が干渉することで規制されている。
このため、シャフト42周りにボタン44が回動すれば、ガイド溝68の内壁が係合ピン64に干渉して係合ピン64を押圧し、シャフト54周りにリンク部材56を回動させる。また、これとは逆に、リンク部材56がシャフト54周りに回動すれば、係合ピン64がガイド溝68の内壁に干渉してガイド溝68の内壁を押圧し、ボタン44をシャフト42周りに回動させる。
ここで、上記のように、ボタン44は、捩じりコイルスプリング48により装着孔30の内側へ入り込む方向へ付勢されており、この付勢力が作用しているボタン44はシャフト54周りに押圧部98をディテントロッド14に押圧させる。
但し、上記のようにディテントロッド14は圧縮コイルスプリング15の付勢力によりレバー本体12の上方側へ付勢されている。したがって、ディテントロッド14は押圧部98を押し上げようとする。
すなわち、本実施の形態では、捩じりコイルスプリング48の付勢力に対して圧縮コイルスプリング15の付勢力が対抗するように作用する。ここで、本実施の形態では、圧縮コイルスプリング15のばね係数が捩じりコイルスプリング48のばね係数よりも大きい。
このため、捩じりコイルスプリング48の付勢力と同方向、すなわち、ボタン44を装着孔30の内側へ押し込む方向への外力が、捩じりコイルスプリング48の付勢力とは別にボタン44に付与されていない状態では、圧縮コイルスプリング15に付勢されたディテントロッド14が押圧部98を押し上げ、ボタン44を装着孔30の外側へ押し出している。
さらに、これらのガイド溝68は、長手方向一端から他端までの間で、装着孔30側の所定部位を中心とした所定の曲率で湾曲している。
このようなボタン44やリンク部材56が取り付けられているホルダ32は、装着孔30からノブ16の内側に嵌挿され、上壁36に形成された弾性嵌合片70が保持部22に形成された嵌合孔72に嵌合することで、装着孔30の外側への抜け止めがなされ、ノブ16に装着される構造になっている。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本シフトレバー10は、ノブ16を把持した状態で基端側の軸支部分を中心に回動させて、予め設定された回動位置(シフト位置)に到達させると、レバー本体12の回動位置が上記のハウジングに設けられたホール素子等の磁気センサやマイクロスイッチ等の位置検出装置によりレバー本体12の回動位置が検出される。位置検出装置におけるレバー本体12の回動位置の検出結果に対応する電気信号は自動変速機を制御するECUに入力される。ECUでは入力された電気信号(すなわち、レバー本体12の回動位置の検出結果)に応じて自動変速機のシフトレンジを変更する。
また、例えば、車輪へのエンジンの駆動力の伝達を遮断するニュートラルレンジに対応したシフト位置(以下、このシフト位置を便宜上「N位置」と称する)にレバー本体12が到達した状態では、N位置からエンジンの駆動力を車輪に伝えて車両を後退させるリバースレンジに対応したシフト位置(以下、このシフト位置を便宜上「R位置」と称する)へレバー本体12を回動させる際のディテントピン17の回動軌跡上に、ディテント孔に形成された突出部が位置してディテントピン17と対向している。
この状態で、単にレバー本体12をR位置側へ回動させようとすると、ディテント孔の突出部がディテントピン17に当接してディテントピン17の回動を規制する。このようにディテントピン17の回動が規制されることで、レバー本体12のR位置側への回動が規制される。これにより、N位置からR位置へレバー本体12が不用意に回動することを防止できる。
一方、上記のようにN位置にレバー本体12が到達した状態で、ノブ16に設けられたボタン44を押圧してシャフト42周りにボタン44を回動させると、図7に示されるように、ボタン44の下端側がノブ16の内方側へ移動する。このように、ボタン44が回動するとガイド溝68の内壁がボタン44と共に回動し、係合ピン64の外周部をボタン44の回動周方向に押圧する。
但し、係合ピン64は、その長手方向中間部にてリンク部材56の両側壁58に一体的に連結されており、更には、係合ピン64が連結されたリンク部材56は、シャフト54に支持されていることで、係合ピン64の移動はシャフト54周りの回動に制限されている。したがって、ガイド溝68の内壁からの押圧力を受けた係合ピン64は、リンク部材56を伴ってシャフト54周りの一方(図4及び図7の右回り方向)に回動する。
このように、リンク部材56がシャフト54周りの一方に回動すると、リンク部材56に設けられた押圧部98がレバー本体12の内部に設けられた圧縮コイルスプリング15の付勢力に抗してディテントロッド14の先端部を押圧し、ディテントロッド14をレバー本体12の基端側へ下降(移動)させる。
このように、ディテントロッド14を下降させることでディテントロッド14と一体のディテントピン17が下降し、これにより、N位置からR位置へレバー本体12を回動させる際のディテントピン17の回動方向に沿ったディテントピン17とディテント孔の突出部との対向状態が解消される。
したがって、この状態でレバー本体12をN位置からR位置へ回動させても、ディテントピン17はディテント孔の突出部を回避して回動する。このため、レバー本体12はN位置からR位置へ回動でき、自動変速機のシフトレンジをリバースレンジに変更できる。
ところで、本シフトレバー10では、上記のようにガイド溝68の内壁が係合ピン64の外周部を押圧することで、係合ピン64がリンク部材56を伴ってシャフト54周りに回動する構成である。ガイド溝68の内壁が係合ピン64の外周部を押圧した際の押圧力は、ガイド溝68の内壁からの押圧力が係合ピン64に作用する部位、すなわち、ガイド溝68の内壁と係合ピン64の外周部との接触部位における接線方向に対して直交し、係合ピン64の軸心側を向く。
この押圧力は、図4、図6、及び図7における水平方向の成分(すなわち、装着孔30の開口方向に沿ってノブ16の内方側を向く成分)と、上下方向の成分(すなわち、筒状部20の貫通方向上方側を向く成分)とに分けられるが、リンク部材56の回動に寄与するのは水平方向の成分である。したがって、このガイド溝68の内壁が係合ピン64に付与する押圧力の水平方向成分の増減が少ないほどボタン44に付与する力の大きさを一定にできることになる。
ここで、本実施の形態では、上記のようにガイド溝68の長手方向一端から他端までの間で、装着孔30側の所定部位を中心とした所定の曲率で湾曲している。これにより、ボタン44の回動に伴いガイド溝68が回動してもガイド溝68の内壁と係合ピン64の外周部との接触部位での接線方向が変化しないか、又は、接線方向の向きの変化率が少ない。
このため、ガイド溝68の内壁が係合ピン64に付与する押圧力の上下方向成分と水平方向成分との比率の変化を小さくできる。これにより、ボタン44を回動させる際に必要となる力をボタン44の押圧開始時から終了時まで略一定の大きさにできる。
しかも、本実施の形態では、上記のように、ガイド溝68を湾曲させるだけでよく、更には、ボタン44の回動軸心であるシャフト42から係合ピン64とガイド溝68の内壁との接触部位までの距離を大きく変化させなくてもよいため、ノブ16の大型化を抑制できる。
さらに、それまでガイド溝68が直線的な設計であったとしても、ガイド溝68を湾曲させるだけで上記の効果を得られるため、従来のシフトレバー10への流用が容易で、大きな設計変更も要しないため安価なコストにて実現できる。
一方、上記のように、係合ピン64がリンク部材56を伴ってシャフト54周りの一方(図4、図6、及び図7の右回り方向)に回動してリンク部材56がシャフト54周りの一方に回動すると、リンク部材56の被覆部90が設けられた方の先端が筒状部20の上端に接近する。さらに、N位置からR位置へレバー本体12を回動させる際のディテントピン17の回動方向に沿ったディテントピン17とディテント孔の突出部との対向状態が解消されるまで押圧部98が圧縮コイルスプリング15の付勢力に抗してディテントロッド14を下降させると、概ね、筒状部20の上端開口部の開口方向に筒状部20の上端面と押圧部98の先端とが対向する。
但し、上述したように、筒状部20の上端面には押圧部98の先端に対応して当接部100が設けられており、筒状部20の上端面に接近する方向へ被覆部90が設けられた側でのリンク部材56の先端が回動すると、図6に示されるように、当接部100に押圧部98が当接する。
当接部100の上壁102は、縦壁104を介して筒状部20の上端面に支持されているため、押圧部98、ひいてはリンク部材56は、当接部100を介して筒状部20の上端面に干渉され、それ以上のリンク部材56の回動が筒状部20の上端面によって規制される。
ここで、本実施の形態では、押圧部98は被覆部90の一部であり、ゴム材やゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材により形成されるため、リンク部材56の回動で押圧部98が当接部100に当接した際の衝撃が、押圧部98、ひいては、被覆部90自身の弾性変形で吸収される。これにより、押圧部98が当接部100に当接した際の衝撃に起因する衝撃音等の発生を効果的に抑制又は防止できる。
また、上記のように、当接部100の上壁102には突出部108が形成されているため、図6に示されるように、上記のようにリンク部材56の回動により押圧部98が当接部100に当接する際には、先ず、突出部108に押圧部98が当接する。
ここで、上壁102の幅方向に沿った突出部108の寸法は、上壁102の幅寸法よりも十分に小さい。このため、仮に突出部108を形成しないことで上壁102に押圧部98が直接当接した場合に比べると、突出部108を形成した本実施の形態では、押圧部98との接触面積を小さくできる。
このように、押圧部98が当接した初期の段階で、押圧部98との接触面積を小さくできることで、押圧部98が当接部100に当接した際の衝撃に起因する衝撃音を効果的に緩和又は防止できる。
さらに、上記のように突出部108に当接した押圧部98は、更なるリンク部材56の回動により、図7に示されるように、突出部108を押圧して突出部108を弾性変形させ、上壁102に当接する。ここで、押圧部98が突出部108に当接してから上壁102に当接するまでの間に突出部108の弾性によってリンク部材56の回動速度が遅くなる。
このように、上壁102に当接する際の押圧部98の回動速度が減速されることで、上壁102に押圧部98が当接する際の衝撃は小さくなる。しかも、押圧部98が上壁102に当接した際には上壁102が弾性変形するため、上壁102に押圧部98が当接した際の衝撃は上壁102に吸収される。
さらに、上壁102と筒状部20の上端との間には空隙部106が形成されているため、上壁102が押圧部98から受けた衝撃が筒状部20の上端に伝わり難い。このため、押圧部98が上壁102に当接した際に生じる衝撃音を緩和又は衝撃音の発生を防止できる。
一方、ボタン44に付与していた押圧力を解除すると、圧縮コイルスプリング15に付勢されたディテントロッド14が押圧部98を押し上げる。これにより、リンク部材56がシャフト54周りに回動すると、係合ピン64がガイド溝68の内壁を押圧して、捩じりコイルスプリング48の付勢力に抗してボタン44をシャフト42周りに回動させる。これにより、ボタン44が装着孔30の外側へ押し出される。
ここで、上記のように、リンク部材56が回動すると、リンク部材56の連結壁60は縦壁80の下端部に接近する。縦壁80にリンク部材56の連結壁60が縦壁80の下端部に所定距離接近すると、図4に示されるように、被覆部90を構成する当接部94が縦壁80の下端部に当接する。
このように、当接部100が縦壁80の下端部に当接することで、リンク部材56の連結壁60が、被覆部90の本体部分92、空洞部96、及び当接部94を介して縦壁80の下端部に干渉される。これにより、捩じりコイルスプリング48の付勢力によるリンク部材56のそれ以上の回動が規制され、ひいては、ボタン44の回動が規制される。
ここで、被覆部90はゴム材又はゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材によって形成されている。このため、当接部94が縦壁80の下端部に当接して押圧した際の押圧反力で、当接部94が弾性変形する。この当接部94の弾性変形によって当接部94が縦壁80の下端部に当接した際の衝撃が吸収される。これにより、このような衝撃に起因する衝撃音を緩和又は衝撃音の発生を防止できる。
また、当接部94は被覆部90の本体部分92から離間して形成されていることで、本体部分92と当接部94との間には中空の空洞部96が形成されている。したがって、当接部94が縦壁80の下端部に当接した状態では、連結壁60と当接部94の下端部との間に空洞部96が介在することになり、当接部94が縦壁80の下端部に当接した際の衝撃は連結壁60に伝わり難い。これによっても、上記の衝撃に起因する衝撃音を緩和又は衝撃音の発生を防止できる。
さらに、被覆部90は、その本体部分92もまたゴム材又はゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材によって形成されている。このため、仮に、当接部94が縦壁80の下端部に当接した際の衝撃が本体部分92に伝わっても、本体部分92における弾性により衝撃が吸収される。したがって、これによっても、上記の衝撃に起因する衝撃音を緩和又は衝撃音の発生を防止できる。
このように、本実施の形態では、リンク部材56が筒状部20の上端や縦壁80の下端部に回動規制を受ける場合に、衝撃が吸収又は衝撃の伝播が阻害される。このため、上記のように衝撃音の発生を極めて効果的に緩和又は防止でき、ボタン44を押圧操作した際の静粛性能を効果的に向上できる。
また、このように、衝撃を吸収できることで、ボタン44を操作した際に、衝撃がボタン44を押圧した指等に伝わることを効果的に緩和又は防止でき、ボタン44を押圧操作した際の操作感を向上できる。
さらに、本実施の形態では、上記のようにボタン44を介してリンク部材56を付勢する捩じりコイルスプリング48の付勢力は、ディテントロッド14を介してリンク部材56を介して押圧部98(すなわち、リンク部材56)を押圧する圧縮コイルスプリング15の付勢力に対抗している。
このため、リンク部材56の押圧部98は捩じりコイルスプリング48の付勢力により常にディテントロッド14の付勢力で圧接されている。これにより、リンク部材56が回動することで押圧部98がディテントロッド14の先端に衝突することはない。
一方で、捩じりコイルスプリング48によるボタン44の付勢方向を逆にすることで、縦壁80の下端に当接部94が当接するまでリンク部材56が回動した状態では、ディテントロッド14の上端と押圧部98とが離間する構成にすることもできる。
ここで、このような構成にしても、被覆部90の一部である押圧部98は当然ゴム材又はゴム材程度の弾性を有する合成樹脂材によって形成される。このため、仮に、押圧部98がディテントロッド14の上端に接近して当接しても、当接時の衝撃は押圧部98の弾性変形により吸収される。したがって、このような衝撃に起因する衝撃音の発生を効果的に緩和又は防止できる。
また、本実施の形態では、上記のように、押圧部98の先端に対応して筒状部20の上端面に当接部100を設けた構成である。ここで、本実施の形態では、当接部100が被覆部28と同じ材質の合成樹脂材により形成され、更に、被覆部28から延設された当接部100は、連通部110、112を通過して筒状部20の上端面に設けられる構造である。このため、例えば、被覆部28を成形するための成形金型内に予め成形されたベース18を配置し、成形金型内に合成樹脂材を充填することで被覆部28を成形しつつベース18の外表面の所定範囲を被覆部28で被覆するような成形方法、所謂インサート成形を採用した場合には、被覆部28と共に当接部100も成形しつつ押圧部98の先端側に対応した部位に当接部100を設けることができる。
一方、ベース18と被覆部28とを予め別体で構成したうえで、ベース18に被覆部28を装着する構成にした場合には、被覆部28をベース18に装着することで押圧部98の先端側に対応した部位に当接部100を設けることができる。
このように、本実施の形態では、被覆部28をベース18に設けるだけで押圧部98の先端側に対応した部位に当接部100を設けることができる。このため、当接部100の装着工程(取付工程)が実質的に不要になる。これにより、シフトレバー10の組み立てに要する作業工数を軽減できる。
しかも、被覆部28と当接部100とが同じ材質で一体に形成されているため、実質的に当接部100を被覆部28の一部として形成できる。これにより、部品点数の増加を抑制でき、部品コストの上昇を抑制できる。
なお、本実施の形態では、上記のようにボタン44及びリンク部材56が何れも回動する構成であった、しかしながら、特許請求の範囲に記載した本発明の観点からすればボタン44やリンク部材56の移動の態様が回動に限定されるものではなく、直線的な変位であってもよい。
さらに、本実施の形態では、操作部材をリンク部材56とした構成であったが、特許請求の範囲に記載した本発明の観点からすれば操作部材がリンク部材56に限定されるものではない。すなわち、例えば、リンク部材56を設けずにボタン44でディテントロッド14を直接押圧する構成であったり、また、リンク部材56のような中間部材を設けたにせよ、このような中間部材に対してボタン44が離間して設けられ、移動したボタン44が中間部材に当接して更に中間部材を移動させる構成とした場合等には、ボタン44を操作部材として把握することもできる。
また、本実施の形態では、ボタン44の回動によるガイド溝68の内壁と係合ピン64の外周部との接触部位での接線方向が変化を抑制する構成とした。しかしながら、上記の接線方向の変化を抑制する構成に本発明が限定されるものではない。
例えば、捩じりコイルスプリング48や圧縮コイルスプリング15等は、その形状の変化量が大きくなるにつれて付勢力が増加するという特徴を有する。すなわち、これを本実施の形態に当てはめると、ボタン44を押圧して回動させれば、捩じりコイルスプリング48の付勢力が増加し、また、ディテントロッド14を下降させると圧縮コイルスプリング15の付勢力が増加する。
このような付勢部材の付勢力の増減も考慮して、ボタン44を押圧して回動させるにつれて上記の接線方向の水平方向に対する上下方向への傾きが大きくなり、ガイド溝68の内壁が係合ピン64の外周部に付与する押圧量の水平方向成分を増大させる構成としてもよい。
さらに、本実施の形態では、ガイド溝68をボタン44に形成して係合ピン64をリンク部材56に設けた構成であったが、ガイド溝68をリンク部材56に形成して係合ピン64をボタン44に設ける構成としてもよい。
また、本実施の形態は、レバー本体12の回動位置をホール素子等の磁気センサやマイクロスイッチ等の位置検出装置により検出する構成であった。しかしながら、レバー本体12の回動位置を検出する構成がこのような位置検出装置に限定されるものではない。
例えば、レバー本体12の回動に伴いレバー本体12との連結部分が変位するワイヤやケーブル等の接続部材を設け、この接続部材を介してレバー本体12を直接又は間接的に自動変速機に連結して、レバー本体12の回動位置を接続部材の変位方向及び変位量に基づき自動変速機で検出する構成としてもよい。