JP5084797B2 - 型締装置および型締装置の作動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置および型締装置の作動方法に関するものである。
射出成形機に用いられる型締装置としては、トグル機構のように型開閉と型締を同一の機構により行う装置と、型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置とが存在する。後者のハーフナットと型締シリンダを用いたタイプとしては、特許文献1ないし特許文献5に記載されたものが知られている。特許文献1の図1に示されるタイプのものは、受圧盤(ブラケット30)に型締シリンダが取付けられ、型締シリンダの円筒状のラムの先端側にハーフナットが設けられている。一方可動盤の背面にはメカニカルラム(型開閉シリンダ12)が固定され、メカニカルラムの円筒面にはハーフナットが係合可能な溝が形成されている。また前記メカニカルラムの内部には型開閉用サーボモータによって作動される型開閉機構が設けられている。このタイプの型締装置は、小型から中型の型締装置に多く見られる。また特許文献2の図1に示されるタイプのものは、固定盤と可動盤の間に型開閉装置が設けられ、可動盤の背面側に、型締装置が設けられた駆動プレートが取付けられている。そして駆動プレートの背面側にはハーフナットが設けられている。また可動盤に挿通されるタイバ(タイロッド)にはハーフナットが係合可能なネジ部が形成されている。
更に特許文献3に示されるタイプのものは、固定盤の四隅に型締シリンダが設けられ、型締シリンダのラムに、リング溝が形成されたタイバが固設されている。そして可動盤に設けられたハーフナットがタイバのリング溝に係止されるようになっている。また特許文献3では、型締シリンダとは別に副シリンダが設けられ、稼動運転時の型締工程の前に、前記副シリンダによりラムを補正した位置に戻している。しかしながら特許文献3は、副シリンダによりラムを移動させる際に、型締シリンダ内の油をドレンに逃がすタイプのものであるので、サイズの大きいバルブ等が必要となり、ラムの移動にも時間がかかるものであった。また特許文献3は、型締装置の盤内ではなく外側に独立して副シリンダを取付ける必要があり、装置の全長が長くなるという問題もあった。
前記の問題に対処するものとして、特許文献4に示されるタイプのものが知られている。特許文献4では、特許文献3の副シリンダに相当する部分が小径シリンダとして盤内に収められている。また特許文献4は、型締側と型開側の大油室を連通させて油圧差を無くした状態で、前記小径シリンダを作動させるものである。しかし特許文献4は、型開時については型締側と型開側の大油室を同じ圧力として油圧作動面積の差により型開方向への移動を行うように作動されるが、その際に双方の大油室の圧力を上昇させる必要があり、型開時の作動が遅くなるという問題があった。更には特許文献5についても盤内に設けられた型締シリンダに小径シリンダを設けたものである。そして特許文献5では、型開時に小径シリンダ室に作動油を送る際に大径シリンダの型締側の第1シリンダ室と型開側の第2シリンダ室を連通させ、圧油を還流させることにより型締シリンダへ供給する作動液の流量の軽減を図っている。しかしながら特許文献5については、タイバを元の状態に戻す際には大径シリンダの第1シリンダ室へ作動油を供給するために、大容量の作動油が必要となるとともに、作動が遅くなるという問題があった。
特開2001−212828号公報(0029、図1) 特開2002−103403号公報(0012、0013、図1) 特開平8−276482号公報(0021、図1) 特開2002−127216号公報(0023、0024、0025、0026、図2) 特開2007−167897号公報(0046、図4)
上記の特許文献4および特許文献5の技術は、型締シリンダの型締側の型締シリンダ室である第1シリンダ室と型開側の第2シリンダ室等は連通される構造を有するものの、型締側、型開側の両方に小径のシリンダ室を有していないので、双方向に型締シリンダを移動させる際に、それぞれ少流量の作動油で移動させることができず、油室の作動油の供給に時間がかかるので、トータルの成形サイクル時間を短縮することは出来ないものであった。或いはトータルの成形サイクル時間を短縮しようとすると、油圧回路のポンプやバルブ等のサイズを短時間に大量の作動油を供給可能なものを準備する必要があり、前記油圧回路をコンパクトにすることが出来ないものであった。従って本発明では上記の問題を鑑みて、型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置において、油圧回路のポンプやバルブ等のサイズを大型化させずに、成形サイクルを短縮することを可能とした型締装置やその作動方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の型締装置は、型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置において、前記型締シリンダの型締ピストンの一側には型締用の第1シリンダ室と、該第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第2シリンダ室が設けられ、前記型締ピストンの他側には前記第1シリンダ室よりも受圧面積が小さく型開する際にポンプから作動油が供給される第3シリンダ室と、前記第1シリンダ室に管路およびバルブを介して接続される第4シリンダ室とが設けられたことを特徴とする。従って油圧回路のポンプやバルブ等のサイズを大型化させずに、型締シリンダを両方向に比較的速く移動させることができ、成形サイクルを短縮することができる。
本発明の請求項2に記載の型締装置は、請求項1において、前記型締シリンダは、型締装置の盤の内部に配設され、いずれかの側から第2シリンダ室、第1シリンダ室、第4シリンダ室、および第3シリンダ室の順に同軸上に配置されており、第4シリンダ室の受圧面積は、第1シリンダ室の受圧面積よりも小さく、かつ第3シリンダ室の受圧面積よりも大きいことを特徴とする。従って請求項1の作用効果に加えて、第1シリンダ室の作動油を一定以上、第4シリンダ室に送り、型締ピストンを高速移動させることができる。
本発明の請求項3に記載の型締装置の作動方法は、型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置の作動方法において、前記型締シリンダの型締ピストンの一側には型締用の第1シリンダ室と、該第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第2シリンダ室が設けられ、前記型締ピストンの他側には前記第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第3シリンダ室と、前記第1シリンダ室に管路およびバルブを介して接続される第4シリンダ室とが設けられ、ラムを型閉方向へ移動させる際は、第2シリンダ室に作動油を供給するとともに、少なくとも第4シリンダ室の作動油を第1シリンダ室へ送って型締ピストンを型閉方向へ移動させ、型開する際は、第3シリンダ室にポンプから作動油を供給するとともに、第1シリンダ室の作動油を少なくとも第4シリンダ室へ送って型締ピストンを型開方向へ移動させることを特徴とする。従って油圧回路のポンプやバルブ等のサイズを大型化させずに型締シリンダを両方向に比較的速く移動させることができ、成形サイクルを短縮することができる。
本発明の型締装置または型締装置の作動方法は、前記型締シリンダの型締ピストンを境にして、型締用の第1シリンダ室よりも受圧面積が小さくて作動油が供給されると型締ピストン側に向けて推力を発生させる第2シリンダ室と前記第1シリンダ室よりも受圧面積が小さく型開する際にポンプから作動油が供給され型締ピストン側に向けて推力を発生させる第3シリンダ室が備えられているので、油圧回路のポンプやバルブ等のサイズを大型化させずに型締シリンダを両方向に比較的速く移動させることができ、成形サイクルを短縮することができる。
図1は、本実施形態の型締装置の一部断面図である。 図2は、本実施形態の型締装置の型締シリンダとその油圧回路を示す図である。 図3は、本実施形態の型締装置の高速型閉工程、高速型開工程を示す図である。 図4は、本実施形態の型締装置の型締シリンダ型閉工程を示す図である。 図5は、本実施形態の型締シリンダの型締工程を示す図である。 図6は、本実施形態の型締シリンダの圧抜工程を示す図である。 図7は、本実施形態の型締シリンダの強力型開工程と型締シリンダ型開工程を示す図である。 図8は、本実施形態の型締装置の作動を示すチャート図である。 図9は、別の実施形態の型締装置の型締シリンダを示す図である。
本発明の実施形態の射出成形機の型締装置について、図1を参照して説明する。射出成形機11は、一側に設けられた型締装置12とその他側に設けられた射出装置13から基本的な部分が構成される。型締装置12について説明すると、ベッド14上の他側(射出装置側)には、固定金型15が取付けられる固定盤16が立設されている。またベッド14上には型開閉方向に向けて直動ガイド17が固定され、前記直動ガイド17上に移動型締盤18が型開閉方向に移動可能に設けられている。そして移動型締盤18には、脚部である架台19が固定盤側に向けて一体に固定されており、架台19の上には可動金型20が取付けられる可動盤21が、移動型締盤18に対して型開閉方向に移動可能に設けられている。また本実施形態では移動型締盤18には型締シリンダ22が設けられている。また型締シリンダ22のラム23は、可動盤21の背面に固着されている。移動型締盤18と可動盤21の間には、移動型締盤18に対する可動盤21の位置を検出する位置センサ30が取付けられている。なお型締シリンダ22の数は1個に限定されない。
ベッド14の一側(後方側)にはタイバ保持板24が立設されている。そして固定盤16の四隅近傍には水平方向にタイバ25が固定され、タイバ25は、可動盤21、移動型締盤18、タイバ保持板24にそれぞれ挿通されている。またタイバ25の中間よりも一側の部分には、所定長さにわたって複数の溝が形成された係止部25aが設けられている。そして移動型締盤18の一側の面18a(背面)のタイバ25が挿通される孔の周囲にはハーフナット29が配設されている。ハーフナット29は、ハーフナット作動機構31によりタイバ25と直交する方向に移動可能となっている。またハーフナット29の歯とタイバ25の係止部25aの溝との関係は、ハーフナット29の歯が前記溝に噛合された際に、両者の間に型開閉方向に僅かに隙間が設けられるようになっている。またベッド14上の一側に設けられたブラケットには型開閉機構のサーボモータ26が固定されるとともに、型開閉機構のボールネジ27が軸支され、移動型締盤18に固定されたボールネジナット28に前記ボールネジ27が挿通されている。よってベッド14および固定盤16に対する移動型締盤18の位置は、サーボモータ26に取付けられたロータリエンコーダにより検出可能となっている。なお型開閉機構は他のアクチュエータや機構を用いたものでもよい。また型開閉機構は固定盤16と移動型締盤18の間に取付けられたものでもよく、いずれの側にサーボモータが取付けられたものでもよい。
次に型締装置12の移動型締盤18(盤内)に配置される型締シリンダ22について説明する。図2に示されるように型締シリンダ22の大径の型締ピストン32の一側の軸芯には、小径の第1ピストン33が固定され、他側の軸芯には前記型締ピストン32よりは小径であって第1ピストン33よりは径の大きい第2ピストン34が固定されている。そして前記第2ピストン34の前方には第2ピストン34よりも更に小径のラム23が固定されている。一方移動型締盤18の内部には、中央に前記型締ピストン32が摺動自在に挿通される型締シリンダ筒部35が形成され、その一側(移動型締盤18の背面寄り)には、前記第1ピストン33が摺動自在に挿通される小径の第1シリンダ筒部36が形成されている。また型締シリンダ22の他側(可動盤寄り)には、第2ピストン34が摺動自在に挿通される第2シリンダ筒部37が形成され、更に他側にはラム23が摺動自在に挿通される孔が形成されている。
前記型締シリンダ22は、型締ピストン32を境にして一側には、型締ピストン32の背面、型締シリンダ筒部35の内周面、および第1ピストン33の外周面によって囲まれて型締シリンダ室である型締用の第1シリンダ室38が形成されている。また第1シリンダ室38の更に一側には、第1ピストン33の端面、第1シリンダ筒部36の内周面と端面によって囲まれて早送りシリンダ室である第2シリンダ室39が設けられている。そして本実施形態では、第2シリンダ室39の受圧面積と型締シリンダ室である第1シリンダ室38の受圧面積の比は、1:9であって、型締ピストン32を移動させる際に作動油が供給される第2シリンダ室39の受圧面積のほうが小さく設けられている。また前記型締シリンダ22の型締ピストン32を境にして他側には、型締ピストン32の前面、第2シリンダ筒部37の内周面、および第2ピストン34の外周面によって囲まれて第1シリンダ室38の作動油を給排する給排シリンダ室である第4シリンダ室40が形成されている。また該第4シリンダ室40の更に他側には、第2ピストン34の前面、第2シリンダ筒部37の内周面、およびラム23の外周面によって囲まれて型開シリンダ室である第3シリンダ室41が設けられている。そして第2シリンダ室39と第3シリンダ室41は、型締シリンダ22の型締ピストン32を境にして配設され、それぞれ作動油が供給されると型締ピストン32側に向けて推力を発生させる。
本実施形態では、第1シリンダ室38の受圧面積と第4シリンダ室40の受圧面積と第3シリンダ室41の受圧面積は、9:5:2であって、前記第1シリンダ室38よりも型締ピストン32を移動させる際に作動油が供給される第3シリンダ室41の方が受圧面積が小さく設けられている。そして前記により型締シリンダ22は、一側から第2シリンダ室39、第1シリンダ室38、第4シリンダ室40、および第3シリンダ室41の順に同軸上に配置されている。なお第1シリンダ室38を軸芯側(軸方向においては型締ピストン32から遠い側)に配置して早送りシリンダ室である第2シリンダ室39を軸芯から外側(軸方向においては型締ピストン32側)に配置することや、型開室である第3シリンダ室41を軸芯から外側(軸方向においては型締ピストン32側)に配置して給排用シリンダ室である第4シリンダ室40を軸芯側(軸方向においては型締ピストン32から遠い側)に配置することも可能ではある。
次に型締シリンダ22の油圧回路51について説明する。図2に示されるように可変ポンプ52からの主管路に四方向切換バルブ53が配置され、一方の管路54は型締シリンダの第1シリンダ室38と第2シリンダ室39に接続されている。そして第2シリンダ室39への管路54aを分岐した後の第1シリンダ室38への管路54bには圧力調整可能なチェック付シーケンスバルブ55が取付けられている。また第1シリンダ室38と第4シリンダ室40との間は、ノーマルオープン型のカートリッジバルブ56が取付けられた管路57により接続されている。また前記四方向切換バルブ53から他方へ分岐した管路58は、ノーマルオープン調圧型(クラッキング圧以上で開)のパイロットチェックバルブ59を介して型開シリンダ室である第3シリンダ室41に接続されている。また第1シリンダ室38と第4シリンダ室40を接続する前記管路57と、第3シリンダ室41とは、管路60により接続され、管路60にはパイロットチェックバルブ59と同様のパイロットチェックバルブ61が設けられている。そして管路57,60は、第1シリンダ室38と第3シリンダ室41、第4シリンダ室40との間で作動油を給排するランアラウンド回路を構成している。なお第3シリンダ室41については、第1シリンダ室と接続せずにランアラウンド回路を構成しないようにしてもよい。
油圧回路51には、パイロットチェックバルブ59,61、カートリッジバルブ56、チェック付シーケンスバルブ55を作動させるために、切換バルブ62,63,64が取付けられている。四方向切換バルブ53の供給側の別のポートはタンク65に接続されている。また図2においては、可変ポンプ52からの主管路から分岐したリリーフバルブや主管路に設けたチェックバルブ等や圧力制御バルブ等の一部のバルブや圧力センサは省略して記載してある。なお型締シリンダ22の油圧回路については、図2の例に限定されず、電磁バルブにより管路のバルブを開閉するものでもよい。また圧抜工程等において別の管路やバルブから第1シリンダ室38等の作動油をドレンへ落とす回路を設けるようにしてもよい。
次に本実施形態の型締装置12の作動方法、とりわけ型締シリンダ22の作動方法について、図3ないし図8により説明する。まず図3および図8に示されるように高速型閉工程を行う。高速型閉工程では、型開完了位置にある移動型締盤18とその架台19上に載置された可動盤21および可動金型20を型開閉機構のサーボモータ26を作動させて型閉側へ移動させる。そして固定金型15に対して可動金型20を当接させる直前の位置において、サーボモータ26の駆動を停止させ、移動型締盤18を停止させる。この際までに型締シリンダ22は、四方向切換バルブ53が図2中の左側に移動されるように切換られ管路58、パイロットチェックバルブ59を介して型開シリンダである第3シリンダ室41に作動油が送られて封じ込められ、ラム23および型締ピストン32が後退限に押付けられ保持された状態にある。この際切換バルブ62は切換えられ、切換バルブ64はノーマル位置であり、パイロットチェックバルブ61はパイロット圧により閉鎖されている。高速型閉工程の際の第3シリンダ室41へ送られる作動油の油圧は、一例として5MPaに設定される。
次に図4に示されるように型締シリンダ型閉工程を行う。型締シリンダ型閉工程では、移動型締盤18が停止されサーボモータ26がサーボロックされた状態で、四方向切換バルブ53を図2中の右側へ移動させるように切換えて、管路54,54aを介して型締シリンダ22の第2シリンダ室39に作動油を供給し可動盤21を前進させる。この際に第2シリンダ室39は第1シリンダ室38と比較して小面積であり小容量の作動油で可動盤21を比較的高速で移動させることができる。またチェック付シーケンスバルブ55の設定圧は比較的高圧(一例として5MPa)に設定されており、可変ポンプ52から第1シリンダ室38へは作動油は供給されない。また第2シリンダ室39に供給された作動油により推力が発生し、型締ピストン32が図4において右側へ移動するにつれて第3シリンダ室41と第4シリンダ室40の容積が減少されるが、第3シリンダ室41と第4シリンダ室40内の作動油は、ランアラウンド回路である管路60,57を介して第1シリンダ室38へ供給される。なお第3シリンダ室41が第1シリンダ室38と接続されていない場合、型締ピストン32の型閉方向への移動により第3シリンダ室41の作動油はドレンに落とされるが、少なくとも第4シリンダ室40の作動油は第1シリンダ室38へ供給される。
従ってこの際は切換バルブ64が切換られてパイロットチェックバルブ59がパイロット圧により閉鎖され、第3シリンダ室41および第4シリンダ室40の作動油がドレン側へ戻されないようになっている。そして型締シリンダ型閉工程において可動盤21が移動されている途中でハーフナット作動機構31を作動させ、ハーフナット29をタイバ25の係止部25aに向けて移動させ係止させる。そして更に可動盤21の型閉移動を継続し、固定金型15に対して可動金型20を当接させる。そして更に第2シリンダ室39への作動油の供給を継続することにより、ハーフナット29の歯とタイバ25の係止部25aの溝の間の隙間が解消される。この際も第2シリンダ室39のみへ、チェック付シーケンスバルブ55の設定圧より低い圧力の作動油を供給して移動型締盤18およびハーフナット29を後退させることができ、移動時間を短縮できる。また金型の当接と同時か少し前に型開閉機構のサーボモータ26のサーボロック状態を解除して移動型締盤18の後退時に追従制御させる。なおハーフナット29の歯とタイバ25の溝の係止は、移動型締盤18の停止と同時から型当接までの間に完了させればよく、そのことによりハーフナット29の作動が並行して行われるので、ハーフナット29のロックによる待ち時間は発生せずにタイムロスにならない。
次に図5に示されるように型締工程を行う。型締工程では、ハーフナット29の歯の側面とタイバ25の係止部25aの溝の側面が当接されることにより移動型締盤18の後退が停止されて第2シリンダ室39および管路54,54aの作動油が昇圧され、チェック付シーケンスバルブ55の設定圧を超えると管路54bを介して第1シリンダ室38の側へも作動油が供給される。型締工程の際の第1シリンダ室38へ送られる作動油の油圧は、一例として21MPaに設定される。型締工程の際は、切換バルブ63が切換られ、パイロット圧によりカートリッジバルブ56は閉鎖されている。そして容積が減少した第3シリンダ室41と第4シリンダ室40の作動油は、パイロットチェックバルブ59,61、四方向切換バルブ53を介してドレンへ落とされるが、その流量は少量であり、第3シリンダ室41と第4シリンダ室40の圧力はパイロットチェックバルブ59,61のクラッキング圧以下になることはない。そして型締工程の間は、型締シリンダ22の作動によりタイバ25が引き伸ばされ、型締された固定金型15と可動金型20の間に形成されたキャビティ(図示せず)に射出装置13から溶融樹脂を射出充填し、キャビティ内で溶融樹脂の冷却固化を行う。また射出装置13においては次の成形のための計量工程を行う。
次に図6に示されるように圧抜工程を行う。圧抜工程では四方向切換バルブ53を切換えて、型締シリンダ室である第1シリンダ室38および第2シリンダ室39の作動油をドレンに落とす。圧抜工程を行うことにより、僅かに型締ピストン32およびラム23は、図2中の左側へ移動される。そして型締装置12の引き伸ばされたタイバ25は元の状態に戻され、固定金型15と可動金型20の型締は完了する。また圧抜工程の間、可変ポンプ52はアンロードされる。なお圧抜工程では第1シリンダ室38および第2シリンダ室39の作動油、または第3シリンダ室41および第4シリンダ室40の作動油は、別の経路によりドレンに落とすようにしてもよい。
次に図7に示されるように強力型開工程を行う。強力型開工程では型開閉機構のサーボモータ26を前進方向に移動させて型締工程で当接されていた側のハーフナット29の歯の側面と係止部25aの溝の側面の当接を解除し、ハーフナット29の歯の反対側の側面と溝の反対側の側面の間の隙間(型締工程の際に形成されていた隙間)を解消して当接する。そして前記隙間の解消と同時かまたは前後して型締シリンダ22を用いて可動盤21を型開方向へ移動させる。型締シリンダ22を用いることにより大きな力で強力型開を行うことができ、また型開閉機構のサーボモータ26を、移動型締盤18等の移動専用に小型化させることもできる。強力型開工程では、油圧回路51の四方向切換バルブ53を切換えて管路58を介して型開室である第3シリンダ室41に作動油を供給する。そして第3シリンダ室41に作動油が供給されて型締ピストン32側に向けて推力が発生されると、型締ピストン32、ラム23、および可動盤21等が型開方向(図1、図2、図7において左側)へ移動され、第1シリンダ室38および第2シリンダ室39の容積は減少される。この際切換バルブ62が切換えられ、パイロットチェックバルブ61が閉鎖されており、カートリッジバルブ56は開放されているので、第1シリンダ室38の作動油の多くは、管路57を介して給排室である第4シリンダ室40へ送られる。(第1シリンダ室38の作動油は、少なくとも第4シリンダ室40へ送られる。)また第1シリンダ室38の作動油の一部と早送りシリンダである第2シリンダ室39の作動油は、四方向切換バルブ53を介してドレンへ落とされる。強力型開工程の際の第3シリンダ室41へ送られる作動油の油圧は、一例として7MPaに設定される。
そして第3シリンダ室41の作動油による推力が第2ピストン34に加えられラム23が後退方向に向けて移動されると、固定金型15から可動金型20が移動開始され、成形品を一方の金型のキャビティから離型させる。なお離型の当初は比較的大きい力が必要となるから、第3シリンダ室41の受圧面積は小さすぎてもよくない。しかしながら強力型開工程および次の型締シリンダ型開工程の間、移動型締盤18を比較的高速で移動させることも必要であるので、第3シリンダ室41の受圧面積を第1シリンダ室38と比較してあまり大きくせずに(10〜50%)とし、第3シリンダ室41へ送る作動油が少なくても済むようにすることが望ましい。強力型開工程により可動盤21が所定位置まで後退させられると、次に型締シリンダ型開工程に移行する。
図7に示されるように、型締シリンダ型開工程では、型開閉機構のサーボモータ26を後退方向に僅かに移動させてハーフナット29の歯の側面と、タイバ25の係止部25aの溝の側面の当接を解除される。そしてサーボモータ26をロックした状態でハーフナット作動機構31が作動され、ハーフナット29の作動が解除される。そして更に第3シリンダ室41に作動油を供給が継続され、図3に示されるように、第3シリンダ室41の作動油の油圧による推力により可動盤21は後退され続け、型締ピストン32が後退限まで移動されて型締シリンダ22内で押付けられ固定されるようにする。強力型開工程と型締シリンダ型開工程では、油圧回路51のバルブのポジション(作動油の流れ方向)は同じだが、図示しない圧力制御バルブにより設定圧が一例として2MPa低下されて5MPaとされ、より高速でラム23および可動盤21が後退移動されるようになっている。
次に高速型開工程へ移行する。高速型開工程では、型締シリンダ22は図3の状態に保持され、型開閉機構であるサーボモータ26を作動させ、移動型締盤18と可動盤21を型開完了位置まで移動させる。そして型開完了位置において成形品を取り出して、再び高速型閉工程に移行して高速型閉を行う。高速型開工程の際の第3シリンダ室41へ送られる作動油の油圧は、継続して5MPaに設定される。
次に図9に示される別の実施形態の型締装置71の型締シリンダ72について説明する。図9の別の実施形態の型締シリンダ72は、先行技術である特許文献3ないし特許文献5に示されるような固定金型73が取付けられる固定盤74と可動金型が取付けられる可動盤の2枚の盤からなる型締装置71の盤内に設けられる。型締シリンダ72は、上記の実施形態と同様に、型締ピストン75を境にして一側(固定金型側)に大径の型締シリンダ室76(第1シリンダ室)と、小径のタイバの位置調整に用いる早送りシリンダ室77(第2シリンダ室)が設けられている。そして早送りシリンダ室77の中心側はタイバ78となっている。また型締ピストン75を境にして他側(射出装置側)には大径の給排シリンダ室79(第4シリンダ室)と、小径の型開室80(第3シリンダ室)が形成されている。そして小径の型開室80を形成するロッド81の端部は、盤から他側へ突出していており、位置センサ82が取付けられている。別の実施形態の型締装置71の油圧回路および成形サイクルにおける型締シリンダ72の作動は、上記の実施形態とほぼ同様であるので説明を省略する。また別の実施形態において型締シリンダ72が設けられる盤は、可動盤であってもよい。また更に別の実施形態として、図示は省略するが、特許文献1に示されるように受圧盤に型締シリンダが取付けられ可動盤にメカニカルラムが固定された型締装置にも本発明の型締シリンダを取付けることが可能である。
なお上記の実施形態の型締シリンダ22の作動方法では、固定金型15と可動金型20が当接する直前で型開閉機構のサーボモータ26を停止させ、型締シリンダ22の早送りシリンダ室である第2シリンダ室39に作動油を供給して、固定金型15と可動金型20を当接させる例について記載した。しかし型開閉機構により金型当接位置や射出圧縮成形における圧縮開始位置まで可動盤および可動金型を前進させた後、ハーフナットを係止し、ハーフナットとタイバ等の係止部の隙間分を無くす分だけ、第2シリンダ室に作動油を供給して型締ピストン等を移動させるようにしてもよい。
本発明の型締装置は、射出成形機の他、ダイカスト成形機、およびプレス装置等、固定金型(加圧板を含む)と可動金型(加圧板を含む)を型閉した後、型締(増圧)する全ての装置に使用することができる。また射出成形機に用いる場合、射出圧縮成形、射出プレス成形、発泡成形等を行うものであってもよく、成形材料も限定されない。また固定金型と可動金型の間に別の中間可動金型が配設されるものや、1以上の固定金型(ロータリテーブル上を回転するものを含む)と1以上の可動金型(ロータリテーブル上を回転するものを含む)を使用したものでもよい。また型締装置は縦型のものでもよい。
11 射出成形機
12 型締装置
15 固定金型
18 移動型締盤
20 可動金型
21 可動盤
22 型締シリンダ
23 ラム
25 タイバ
25a 係止部
29 ハーフナット
32 型締ピストン
38 第1シリンダ室
39 第2シリンダ室
40 第4シリンダ室
41 第3シリンダ室
54,57,58,60 管路

Claims (3)

  1. 型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置において、
    前記型締シリンダの型締ピストンの一側には型締用の第1シリンダ室と、該第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第2シリンダ室が設けられ、
    前記型締ピストンの他側には前記第1シリンダ室よりも受圧面積が小さく型開する際にポンプから作動油が供給される第3シリンダ室と、前記第1シリンダ室に管路およびバルブを介して接続される第4シリンダ室とが設けられたことを特徴とする型締装置。
  2. 前記型締シリンダは、型締装置の盤の内部に配設され、いずれかの側から第2シリンダ室、第1シリンダ室、第4シリンダ室、および第3シリンダ室の順に同軸上に配置されており、第4シリンダ室の受圧面積は、第1シリンダ室の受圧面積よりも小さく、かつ第3シリンダ室の受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の型締装置。
  3. 型開閉機構により固定金型に対して可動金型を接近または当接させ、ハーフナットと係止部を係止した後に、型締シリンダにより型締を行う型締装置の作動方法において、
    前記型締シリンダの型締ピストンの一側には型締用の第1シリンダ室と、該第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第2シリンダ室が設けられ、
    前記型締ピストンの他側には前記第1シリンダ室よりも受圧面積が小さい第3シリンダ室と、前記第1シリンダ室に管路およびバルブを介して接続される第4シリンダ室とが設けられ、
    ラムを型閉方向へ移動させる際は、第2シリンダ室に作動油を供給するとともに、少なくとも第4シリンダ室の作動油を第1シリンダ室へ送って型締ピストンを型閉方向へ移動させ、
    型開する際は、第3シリンダ室にポンプから作動油を供給するとともに、第1シリンダ室の作動油を少なくとも第4シリンダ室へ送って型締ピストンを型開方向へ移動させることを特徴とする型締装置の作動方法。
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