以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機1の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
図1~図2に示すように、射出成形機1は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機1の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機1の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機1の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110と間隔をおいて配設されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130とを連結するタイバー140と、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する圧力検出器360と、を有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インタフェース703と、出力インタフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インタフェース703で外部からの信号を受信し、出力インタフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や表示画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネルは、制御装置700による制御下で、表示画面を表示する。タッチパネルの表示画面には、例えば、射出成形機1の設定、現在の射出成形機1の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネルの表示画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の入力操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネルは、ユーザによる表示画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、表示画面に表示される情報を確認しながら、表示画面に設けられた入力操作部を操作して、射出成形機1の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが表示画面に設けられた入力操作部を操作することにより、入力操作部に対応する射出成形機1の動作を行わせることができる。なお、射出成形機1の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機1の動作は、表示装置760としてのタッチパネルに表示される表示画面の切り替え等であってもよい。
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネルとして一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
<資料作成機能>
制御装置700は、手順書等の資料(以下「マニュアル」とも称する。)を作成する資料作成機能を有している。制御装置700の資料作成機能について、図3を用いて説明する。図3は、制御装置700の機能ブロック図である。なお、作成されるマニュアルは、文書ファイルとして作成されてもよく、動画ファイルとして作成されてもよい。また、作成される資料(マニュアル)は、手順書に限られるものではなく、射出成形機1の異常や不具合を報告するための資料等を含んでもよい。また、ユーザが所望する操作記録を、資料として作成してもよい。
制御装置700は、表示画面を生成して表示装置760に表示させる表示画面制御部711と、マニュアルを作成するマニュアル作成部721と、マニュアル作成の設定を行うマニュアル作成設定部722と、マニュアルを編集するマニュアル編集部723と、作成されたマニュアル等が記憶される記憶部724と、を備える。制御装置700は、ユーザによる操作を受け付ける操作装置750と接続される。操作装置750への操作は、制御装置700に入力される。制御装置700は、表示画面を表示する表示装置760と接続される。制御装置700は、表示画面を生成し、生成した表示画面を表示装置760に表示させる。
表示画面制御部711は、ユーザによる操作装置750の操作に基づいて、表示装置760に表示する表示画面を生成し、生成した表示画面を表示装置760に表示させる。
マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けた操作に基づいて、マニュアルを作成する。具体的には、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けた操作の静止画および/または動画を撮像し、撮像した静止画および/または動画を含むマニュアルを作成する。作成されたマニュアルは、記憶部724に記憶される。
マニュアル作成設定部722は、ユーザによる操作装置750の操作に基づいて、表示装置760にマニュアルを作成する際の設定を入力する設定画面を表示させ、設定を行う。設定は、記憶部724に記憶される。
マニュアル編集部723は、ユーザによる操作装置750の操作に基づいて、マニュアル作成部721で作成されたマニュアルを編集する。なお、マニュアルの編集には、ファイルの閲覧、編集、削除、複製(外部出力)等が含まれる。
記憶部724は、作成されたマニュアルやマニュアルを作成する際の設定が記憶される。
また、制御装置700は、インタフェース712を備えていてもよい。インタフェース712は、例えば外部マイク771、外部カメラ772が接続可能に構成されている。外部マイク771は、例えばオペレータが操作装置750を操作している際の音声を取得する。外部マイク771で取得した音声情報は、インタフェース712を介して制御装置700に入力される。外部カメラ772は、例えばオペレータの作業(例えば、金型装置の取り付け作業等)を静止画および/または動画で撮像する。外部カメラ772で撮像した映像情報は、インタフェース712を介して制御装置700に入力される。また、インタフェース712は、外部記憶媒体(図示せず)が接続可能に構成されていてもよい。外部記憶媒体には、例えば、制御装置700で作成されたマニュアルを記憶させることができる。
図4は、表示装置760に表示される表示画面の一例である。ここでは、操作装置750および表示装置760は、タッチパネルで構成され、表示画面上に操作装置750としての操作ボタン等が配置されている。
表示装置760には、表示画面761が表示されている。表示画面761には、表示部762が設けられている。表示部762には、各種の設定項目等が表示される。ユーザは、表示部762に設けられるボタンを操作したり、入力欄に数値等を入力することにより、射出成形機1の成形条件を入力することができる。また、表示部762に各種の情報が表示されることにより、ユーザは、設定等を確認することができる。
また、表示画面761には、マニュアル作成ボタン751a、一時停止ボタン751b、マニュアル作成設定ボタン751c、マニュアル確認ボタン751dが設けられている。
マニュアル作成ボタン751aは、マニュアル作成を開始または終了するボタンである。一時停止ボタン751bは、マニュアル作成中に操作されることによりマニュアル作成を一時停止し、一時停止中に操作されることによりマニュアル作成を再開するボタンである。マニュアル作成設定ボタン751cは、マニュアル作成時の設定を開始するためのボタンである。マニュアル確認ボタン751dは、マニュアル編集を開始するためのボタンである。
次に、制御装置700によるマニュアルの作成について、図5を用いて説明する。図5は、マニュアル作成時のフローチャートの一例である。
ユーザがマニュアル作成ボタン751aを操作することにより、制御装置700のマニュアル作成部721はマニュアル作成を開始する。まず、ステップS101において、マニュアル作成部721は、マニュアル作成ボタン751aが操作されたか否かを判定する。マニュアル作成ボタン751aが操作されていない場合(S101・No)、制御装置700の処理はステップS101を繰り返す。マニュアル作成ボタン751aが操作されてた場合(S101・Yes)、制御装置700の処理はステップS102に進む。
ステップS102において、制御装置700の表示画面制御部711は、表示装置760に段取りを選択する画面を表示させる。図6は、段取り選択画面の一例である。ここでは、マニュアルを作成する射出成形機1の段取りを選択する。図6に示す例において、表示装置760には段取りボタン752a~752dが表示されている。段取りボタン752aは、金型取付のマニュアルの作成を開始するボタンである。段取りボタン752bは、金型装置800の型締設定のマニュアルの作成を開始するボタンである。段取りボタン752cは、射出装置300の可塑化設定のマニュアルの作成を開始するボタンである。段取りボタン752dは、射出装置300の温調設定のマニュアルの作成を開始するボタンである。ユーザがいずれかの段取りボタン752a~752dを操作することにより、制御装置700の処理はステップS103に進む。
ステップS103において、表示画面制御部711は、マニュアル作成中であることを示す表示を行う。例えば、マニュアル作成ボタン751aのアイコンの色を緑色から赤色に変更する。これにより、ユーザは、マニュアル作成中であるか否かを容易に判別することができる。
マニュアル作成中において、ユーザは、マニュアルに登録したい手順に沿って表示部762に設けられるボタンを操作したり、入力欄に数値等を入力する。ステップS104において、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けたユーザによる操作を記憶部724に記憶し、記録されたユーザによる操作に基づいて、マニュアルを作成する。なお、マニュアル作成部721は、表示画面の画像を作成されるマニュアルに含めてもよい。また、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けた操作に基づいて、文字情報を生成し、生成した文字情報を作成されるマニュアルに含めてもよい。また、マニュアル作成部721は、外部マイク771で録音された音声情報を作成されるマニュアルに含めてもよい。また、マニュアル作成部721は、外部カメラ772で撮影した動画情報を作成されるマニュアルに含めてもよい。また、マニュアル作成部721は、外部マイク771で録音された音声情報を文字情報に変換し、変換された文字情報を作成されるマニュアルに含めてもよい。
なお、マニュアル作成中に一時停止ボタン751bが操作されると、マニュアル作成部721はマニュアル作成を一時停止する。一時停止中は、ユーザによる操作がマニュアルに登録されないようになっている。また、一時停止中に一時停止ボタン751bが操作されると、マニュアル作成部721はマニュアル作成を再開する。
マニュアルに登録したい手順の入力が終了すると、ユーザはマニュアル作成ボタン751aを操作して、マニュアルの作成を終了させる。これにより、ユーザによる操作のマニュアルへの登録が終了する。ステップS105において、マニュアル作成部721は、マニュアル作成ボタン751aが操作されたか否かを判定する。マニュアル作成ボタン751aが操作されていない場合(S105・No)、制御装置700の処理はステップS104を繰り返す。マニュアル作成ボタン751aが操作されてた場合(S105・Yes)、制御装置700の処理はステップS106に進む。
ステップS106において、マニュアル作成部721は、表示装置760に作成したマニュアルの保存名称を入力する入力画面を表示させる。入力が完了すると、マニュアル作成部721は、記憶部724にマニュアルを記憶する。そして、制御装置700の処理は、ステップS107に進む。
ステップS107において、表示画面制御部711は、マニュアルの非作成中であることを示す表示を行う。例えば、マニュアル作成ボタン751aのアイコンの色を赤色から緑色に変更する。これにより、ユーザは、マニュアル設定中でないことを容易に判別することができる。
このように、本実施形態に係る射出成形機1では、手順書等の操作記録資料(マニュアル)を容易に作成することができる。即ち、ユーザは、マニュアル作成ボタン751aを操作してマニュアルの作成を開始した後、マニュアルに登録したい手順に従って操作装置750を操作することにより、容易にマニュアルを作成することができる。
なお、ステップS101でマニュアル作成ボタン751aが操作され、ステップS105で再びマニュアル作成ボタン751aが操作される間に、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けたユーザによる操作を記憶部724に記憶し、記録されたユーザによる操作に基づいて、マニュアルを作成する(S104)ものとして説明したが、これに限られるものではない。
操作の受け付けと、マニュアルの作成を分けてもよい。即ち、ステップS101でマニュアル作成ボタン751aが操作され、ステップS105で再びマニュアル作成ボタン751aを操作される間に、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けた操作を記憶部724に記憶する。そして、ステップS105でマニュアル作成ボタン751aが操作されると、マニュアル作成部721は、操作の記憶を終了して、記憶部724に記憶された操作に基づいて、マニュアルを作成する構成であってもよい。
また、ステップS101でマニュアル作成ボタン751aが操作され、ステップS105で再びマニュアル作成ボタン751aが操作される間に、マニュアル作成部721は、操作装置750で受け付けた操作に基づいてマニュアルの骨子を作成し、作成したマニュアルの骨子を記憶部724に記憶する。そして、ステップS105でマニュアル作成ボタン751aが操作されると、マニュアル作成部721は、マニュアルの骨子の作成を終了して、記憶部724に記憶されたマニュアルの骨子に基づいて、マニュアルを編集する構成であってもよい。
そして、マニュアル作成部721は、作成したマニュアルを出力する(記憶部724に記憶する。外部記憶媒体に記憶する。表示装置760に表示する。)構成であってもよい。
マニュアル作成ボタン751aは、操作装置750で受け付けた操作を記憶部724に記憶させる記憶の開始操作部として機能する。また、マニュアル作成ボタン751aは、記憶部724に記憶された操作に基づいて、マニュアルを作成(編集)するマニュアル作成の開始操作部として機能する。また、マニュアル作成ボタン751aは、作成したマニュアルを出力するマニュアル出力の開始操作部として機能する。
次に、マニュアル作成の設定について、図7を用いて説明する。図7は、表示装置760に表示される表示画面の一例である。ユーザがマニュアル作成設定ボタン751cを操作することにより、図7に示す表示画面が表示される。
段取り一覧753aには、図5のステップS102において選択可能な段取りの一覧が表示される。なお、段取りは、あらかじめ登録されている基本的な段取りに加えて、ユーザが任意の段取りを新たに設定することもできる。なお、段取り一覧自体が無くてもよい。この場合、ユーザが所望の操作記録を資料として作成するようにしてもよい。この場合、マニュアル(操作記録)作成ボタンが操作されると(S101)、操作記録の作成が開始される(S103,S104)。
ページ保存設定753bには、マニュアルとして表示画面を保存する際の表示画面の保存動作を設定することができる。例えば、「ページを遷移した時」は、表示画面を切り替えた際、切り替える直前の表示画面を保存してマニュアルに追加するか否かを設定する。これにより、例えば、切り替える前の表示画面に遷移ボタンがあり、表示画面上の遷移ボタンを操作して、切り替え後の表示画面に切り替える際、切り替える前の表示画面(操作する遷移ボタンが表示されている表示画面)をマニュアルに含めることができる。「設定を変更した時」は、設定を保存した直後に表示画面を保存してマニュアルに追加するか否かを設定する。「SW-Boxのボタンを操作した時」は、スイッチボックスにあるボタンが操作された際、スイッチボックスがボタン操作されたことを、マニュアルに追加するか否かを設定する。また、設定ボタン753b1を操作することにより、スイッチボックスの操作をマニュアルを追加した際に表示画面を保存してマニュアルに追加するか否かを設定することができる。なお、スイッチボックスのボタンは、射出成形機1や射出成形機1の構成装置を作動させるためのボタンであり、例えば、射出装置300の前進や後退、型締装置100による金型装置800の型開や型閉、等を制御装置700に行わせるためのボタンである。また、スイッチボックスのボタンは、タッチパネルに配置されてもよい。「外部入力があった時」は、任意に選択された外部入力装置(例えば、外部マイク771、外部カメラ772)からの入力がされた時に、外部入力を、マニュアルに追加するか否かを設定する。また、設定ボタン753b2を操作することにより、外部入力をマニュアルを追加した際に表示画面を保存してマニュアルに追加するか否かを設定することができる。
強調表示753cには、数値などを変更した際に変更箇所を強調表示するか否かを設定する。強調表示を選択した場合、保存した表示画面に変更箇所を明確にするためのアイコンや強調枠等を重畳して表示させる。
次に、作成済のマニュアルを確認等する際の表示画面について、図8を用いて説明する。図8は、表示装置760に表示される表示画面の一例である。ユーザがマニュアル確認ボタン751dを操作することにより、図8に示す表示画面が表示される。
マニュアル一覧754aには、射出成形機1の記憶部724に記憶されているマニュアルの一覧が表示される。
表示ボタン754bは、マニュアル一覧754aで選択されたマニュアルを全画面表示させるためのボタンである。
ポップアップ表示ボタン754cは、マニュアル一覧754aで選択されたマニュアルをポップアップ表示させるためのボタンである。これにより、ポップアップ表示されたマニュアルを参照しながら、設定画面を操作することができる。
編集ボタン754dは、マニュアル一覧754aで選択されたマニュアルの編集を開始するためのボタンである。なお、マニュアルの編集では、ページの入れ替え、ページの削除、ページの追加、メモ(コメント)の追加、強調表示の追加等を行うことができる。また、ページを追加した場合、射出成形機1に保存されている画像や、インタフェース712に接続された外部記憶媒体の画像・動画等を挿入することができる。
新規作成ボタン754eは、新たにマニュアルを作成するためのボタンである。なお、マニュアル作成ボタン751a(図4等参照)では、表示画面の操作に基づいてマニュアルを作成するのに対し、新規作成ボタン754eでは、表示画面に依らないマニュアルを作成することができる。なお、マニュアル作成ボタン751aからマニュアル作成を開始した際には、マニュアルにインタフェース712に接続された外部記憶媒体の画像・動画等を挿入することができる。
削除ボタン754fは、マニュアル一覧754aで選択されたマニュアルを削除するためのボタンである。
外部出力ボタン754gは、マニュアル一覧754aで選択されたマニュアルをインタフェース712に接続された外部記憶媒体に複製する(外部出力する)ためのボタンである。なお、マニュアルの外部出力は、外部記憶媒体を介しての出力に限られるものではなく、制御装置700とパソコン等の外部端末とをネットワークで接続して、制御装置700から外部端末にマニュアルを出力する構成であってもよい。
図9は、マニュアル作成部721によって作成されるマニュアル9の一例である。ここでは、制御装置700によって文書ファイルとしてマニュアルが作成された場合を例に説明する。また、図9に示すマニュアル9は、射出成形機1の表示装置760上で閲覧可能となっていてもよく、プリントされた紙媒体として閲覧可能となっていてもよい。
マニュアル9には、ステップS102で選択された対象段取91が記載されている。また、ステップS106で入力されたマニュアル名称92が記載されている。また、資料の作成日時93が記載されている。
また、マニュアル9には、ステップS104における操作に対応して、ページ94~98が記載されている。1つのページ94には、操作情報94aと、メディア情報94bと、メモ情報94cとが、それぞれ含まれている。ページ95~98についても同様である。
操作情報94aには、ユーザの操作の順番と、ユーザの操作を文字情報として記載している。ここでは、ユーザは、操作装置750(スイッチボックス)の「型開ボタン」を操作したものとする。マニュアル作成部721は、操作装置750の操作に基づいて、操作情報94aのテキストを生成する。なお、マニュアル作成部721は、操作装置750の操作と操作情報94aのテキストとを対応付けしたデータベース(図示せず)を有しており、操作装置750の操作に基づいて操作情報94aのテキストを出力してもよい。
メディア情報94bには、表示装置760の表示画面、外部カメラ772で撮像した画像(静止画・動画)等が表示される。なお、マニュアル作成部721は、操作装置750の操作とメディア情報94bの種類とを対応付けしたデータベース(図示せず)を有しており、操作装置750の操作に基づいて用いるメディア情報94bを選択して取得してもよい。
例えば、ページ94のようにスイッチボックスの「型開ボタン」を操作した場合には、マニュアル作成部721は、予め記憶されているスイッチボックスの画像に型開ボタンを示す強調表示94b1を重畳表示した画像をメディア情報94bとして記載する。
また、ページ95のように「金型のプラテン間への挿入」の際には、外部カメラ772で撮像した画像をメディア情報94bとして記載する。なお、外部カメラ772で撮像した画像に限られず、イメージ画像をメディア情報94bとして記載してもよい。イメージ画像は、例えば記憶部724に予め記憶されている。また、ページ96のようにスイッチボックスの「型閉ボタン」を操作した場合には、マニュアル作成部721は、予め記憶されているスイッチボックスの画像に型閉ボタンを示す強調表示96b1を重畳表示した画像をメディア情報96bとして記載する。また、ページ98のように表示画面の設定値を変更した場合には、マニュアル作成部721は、表示装置760の表示画面を保存してメディア情報98bとして記載する。また、マニュアル9に表示画面を記載する際には、強調表示98b1,98b2,98b3を記載して、変更箇所や操作箇所の特定が容易になるようにしてもよい。
メモ情報94cには、テキスト情報が記載される。ここでは、マニュアル作成部721は、操作装置750の操作に基づいて、メモ情報94cのテキストを生成してもよい。なお、マニュアル作成部721は、操作装置750の操作とメモ情報94cのテキストとを対応付けしたデータベース(図示せず)を有しており、操作装置750の操作に基づいてメモ情報94cのテキストを出力してもよい。また、図8に示す編集ボタン754dで呼び出される編集画面において入力されたテキストをメモ情報94cに出力してもよい。
以上、本実施形態に係る射出成形機1では、手順書等の操作記録資料(マニュアル)を容易に作成することができる。これにより、例えば、表示画面ごとにスクリーンショットを撮像し、撮像した表示画面を外部記憶媒体に保存し、パソコン等の外部端末を用いてマニュアルを作成する等の作成負荷を削減することができる。
以上、射出成形機1の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
マニュアル作成部721は、操作装置750の操作時において表示装置760に表示される表示画面の画像・動画を作成される操作記録資料(マニュアル)に含めるものとして説明したがこれに限られるものではない。図10は、マニュアル作成部721で生成される合成画面780の一例である。マニュアル作成部721は、表示装置760に実際に表示される表示画面781と、表示装置760には表示されていない拡張画面782とを合成した合成画面780の画像・動画を作成される資料に含めてもよい。例えば、操作や表示している表示画面781とともに、各種センサが検出した検出値の時間偏移を表示する波形表示画面や射出成形機10の実績値を表示する実績値表示画面を拡張画面782として資料に含めることができる。これにより、手順書等の資料だけでなく、射出成形機1の異常や不具合を報告するための資料も容易に作成することができる。
また、制御装置700で作成されるマニュアルは、動画ファイルであってもよい。この場合、ユーザによってマニュアル作成ボタン751aが操作されると、マニュアル作成部721は、表示画面761の録画を開始する。また、インタフェース712に接続された外部マイク771で収録された音声も併せて録音してもよい。そして、ユーザによってマニュアル作成ボタン751aが再び操作されると、マニュアル作成部721は、表示画面761の録画を終了する。これにより、手順書等の操作記録資料(マニュアル)を動画ファイルとして容易に作成することができる。
また、制御装置700は、手順書等の操作記録資料(マニュアル)として作成された動画ファイルを、動画編集する機能を有していてもよい。例えば、動画のトリミング、複数動画の結合、動画内へのテキストや図形の追加、タイトルの挿入等の動画編集機能を有していてもよい。また、外部マイク771で取得した音声情報をテキストに変換して、変換されたテキストを作成される動画に含めてもよい。なお、テキストは、録画された表示画面に重畳表示されてもよく、録画された表示画面の欄外に表示されてもよい。