以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の車載通信システムの構成を示す模式図である。車載通信システムは、電子制御装置(ECU)を用いた車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dと、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12d間を接続する車内通信回線21,22と、車内通信回線21,22を接続する中継装置3とを備える。なお、本発明の車載通信システムを構成する車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車輌の車種又はオプションによってはいずれかの車載装置が取り外されるか又は稼動しないようにする。実施の形態1では、車載装置11c,11d,12c,12dは、オプションによっては稼動しないように設定される場合がある。
車載装置11a,11b,11c,11dは、車内通信回線21に夫々バス型で接続されている。車載装置11a,11b,11c,11dは、測定によって得られた測定値、計算処理によって得られた計算値、制御によって得られた制御値等のデータを含むメッセージを車内通信回線21へ送信することによりデータを送信する。車内通信回線21へ送出されたメッセージは共通して車載装置11a,11b,11c,11dで受信することが可能である。また、車内通信回線22には中継装置3が接続されており、中継装置3は、車載装置11a,11b,11c,11dから送信されるメッセージを受信することができる。車載装置11a,11b,11c,11dは、メッセージを送受信することによってデータのみならず、送信要求、エラー情報等を送受信する。
同様にして車載装置12a,12b,12c,12dは、車内通信回線22に夫々バス型で接続されており、車載装置12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージは共通して車載装置12a,12b,12c,12dで受信することが可能である。また、車内通信回線21には中継装置3が接続されており、中継装置3は、車載装置12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージを受信することができる。
車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、電子制御装置(ECU)を用い、例えば図示しないセンサと接続されてセンサが検知した温度、角度、速度等のデータを含むメッセージの送信を行なう。例えば一の車載装置11aは、操舵角を検知する図示しないセンサに接続されている。車載装置11aはセンサから入力された操舵角の測定値に基づいて、操舵角の数値を示すデータを含むメッセージを車内通信回線21を介して他の車載装置11b,11c,11d及び中継装置3へ送信する。また、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、他の車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dからのデータを含むメッセージを受信し、エンジン、ブレーキ等の各種装置のマイクロコンピュータによる制御が可能である。
車内通信回線21,22はCAN(Control Area Network)のプロトコルに基づく通信回線であり、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは車内通信回線21,22を介してCANに基づく信号の発生/検出によりメッセージの送受信が可能である。実施の形態1では、車内通信回線21,22としてCANに基づく通信回線を例に説明する。しかしながら本発明の車載通信システムで使用する車内通信回線21,22はこれに限らずLIN(Local Interconnect Netwowk)、FlexRay(登録商標)等のプロトコルに基づく通信回線であってもよい。さらに、送受信されるメッセージが含むデータの種類に応じてメッセージの送受信のスピードが夫々異なるプロトコルの車内通信回線21,22で構成してもよい。
CANに基づく車内通信回線21,22は2つの信号線からなり、信号線間に発生する差動電圧を検出することで信号を検知しメッセージを受信する。2つの信号線は夫々CAN_Hレベル、CAN_Lレベルの電位に設定されており、2つの信号線間の差動電圧がない状態がデジタル信号の「1」、差動電圧がある状態がデジタル信号の「0」に該当する。車内通信回線21,22に接続される車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車内通信回線21,22の信号線間に差動電圧を発生させることで信号を発生してメッセージを送信する。
中継装置3は、車内通信回線21,22に夫々接続される車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dからのデータ信号(データフレーム)を検知してデータを含むメッセージを受信する。
なお、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dからは、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dで検知される測定値、計算処理によって得られた計算値、制御によって得られた制御値等のデータを含むメッセージが夫々に設定された周期に従って車内通信回線21,22へ送信される。
中継装置3は、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから周期的に送信されるメッセージを受信し、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dのいずれかへ要求に応じて送信する。中継装置3は、受信したメッセージを各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dのいずれへ送信するかを認識するため、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから夫々の受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを受信する。中継装置3は、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dからの受信すべきデータの識別情報に応じて、夫々のデータを含むメッセージを送信する。
中継装置3からのメッセージの送信タイミングは、例えば中継装置3は車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから周期的に送信されるメッセージに含まれるデータを、メッセージを受信する都度記憶しておき、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの受信すべきデータの識別情報に基づいてデータ毎に定められた周期で他の車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dへ送信する。なお、中継装置3の制御部30は、データの値が変化する都度、データを含むメッセージを送信する構成でもよい。また、他の車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dからの送信要求のメッセージを受信する都度送信する構成でもよい。
また、中継装置3は、車内通信回線21に接続されている各車載装置11a,11b,11c,11dからメッセージを受信する都度、他の車内通信回線22に接続されている各車載装置12a,12b,12c,12dについての受信すべきデータの識別情報に基づいて順次各車載装置12a,12b,12c,12dへ送信し、逆に車内通信回線22に接続されている各車載装置12a,12b,12c,12dからメッセージを受信する都度、他の車内通信回線21に接続されている各車載装置11a,11b,11c,11dについての受信すべきデータの識別情報に基づいて順次各車載装置11a,11b,11c,11dへ送信する構成でもよい。中継装置3は各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dへメッセージを送信する場合、メッセージに含まれるデータの種類に応じて付与された優先度に従った順序で送信する構成でもよい。
図2は、本発明の車載通信システムを構成する車載装置11a及び中継装置3の内部構成を示すブロック図である。車載装置11aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部100と、各構成部へ電力を供給する電源回路101と、制御に必要なデータを記憶する記憶部102と、車内通信回線21との通信を制御する通信制御部103と、図示しないセンサからの信号を入力する入力部104と、図示しない制御対象装置へ制御信号を出力する出力部105とを備える。他の車載装置11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dについては車載装置11aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。なお、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dによっては入力部104及び出力部105は、いずれか一方のみ備える構成でもよい。
車載装置11aの制御部100は、オルタネータから電源回路101を介して電力の供給を受け入力部104を介して車載装置11aに接続されるセンサからの信号を検知し、出力部105を介して車載装置11aに接続されるコントロール回路等へ制御信号を送信する。また車載装置11aの制御部100は、処理の過程で発生する各種情報を記憶部102に記憶する。
通信制御部103は、ネットワークコントローラチップを有して車内通信回線21との通信を実現する。制御部100は、通信制御部103を介して上述のように車内通信回線21の信号線間に差動電圧を発生させて「0」,「1」で表される信号を送信し、信号線間の差動電圧を検出して信号を受信する。車載装置11aの制御部100は、例えば10ミリ秒の一定時間毎にセンサからの信号を入力部104により検知し、検知した信号が示す測定値のデータを含むメッセージを通信制御部103から送信する。
車載装置11aの記憶部102には、車載装置11aの制御部100がセンサからの信号を検知して得られる測定値に対するデータの種類即ち操舵角を示す識別情報が記憶されている。また、車載装置11aの記憶部102には、車載装置11aの動作に使用するために受信すべきデータの種類、例えば車輪速、エンジン回転数等の種類を示す識別情報が記憶されている。
車載装置11aの制御部100は、車輪速、エンジン回転数等の種類のデータを受信するため、記憶部102に記憶されている車輪速、エンジン回転数等の種類を示す識別情報を中継装置3へ受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを送信する。
なお、CANでは車輪速(前右/前左/後右/後左)、エンジン回転数、オイル温度等に対する測定値、計算値、制御値であるデータに対し、データの種類毎にID(IDentifier)が割り振られている。車載装置11aの制御部100が中継装置3へ送信を要求するデータのIDが、受信すべきデータの識別情報として表される。
中継装置3は、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部30と、各構成部へ電力を供給する電源回路31と、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されたメッセージに含まれるデータを記憶する記憶部32と、車内通信回線21と接続する第1通信部33と、車内通信回線22と接続する第2通信部34と、外部からの操作を受け付ける受付部35とを備える。
記憶部32は揮発性のメモリからなり、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから受信したメッセージに含まれるデータが記憶される。中継装置3の制御部30は、車輌のオルタネータから電源回路31を介して電力の供給を受けてメッセージを受信し、メッセージに含まれる測定値、計算値、制御値等のデータを、夫々の種類に割り振られたID毎に対応付けて記憶部32のDB(Data Base)321に記憶する。なお、記憶部32は揮発性メモリであるが図示しない電池を内蔵し、記憶しているデータを保持することが可能である。
中継装置3の記憶部32には、車載通信システムを構成する車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせパターンが複数記憶されており、そのパターンの内の一が設定されている。実施の形態1では、中継装置3がいずれの車種又はオプションに対しても同様の構成である場合も、車種又はオプションによって車載装置11c,11d,12c,12dのいずれかを使用しない構成とすることがあるからである。
中継装置3の記憶部32には、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせ毎に、組み合わせを構成する車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージに含まれるデータの識別情報を記憶している。
さらに、中継装置3の記憶部32には、DB321に記憶しているデータを各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの内のいずれの車載装置、即ちいずれの車内通信回線21,22に送信すべきかを示す情報が記憶されている。例えば中継装置3の記憶部32には、制御部30が車輪速及びエンジン回転数のデータの識別情報を受信すべきデータの識別情報として車載装置11aから受信した場合は、受信したデータの識別情報に応じて車載装置11aが接続されている車内通信回線21へ車輪速及びエンジン回転数のデータを含むメッセージを送信すべきことが記憶されている。さらに、中継装置3の記憶部32には、車輪速及びエンジン回転数のデータを含むメッセージを車内通信回線21へ送信する場合に、その送信タイミングが記憶されていてもよい。例えば車輪速のデータを含むメッセージは1秒毎等に周期的に送信すべきことが記憶され、温度のデータを含むメッセージは温度が変化した場合に送信すべきことが記憶されている。
中継装置3の第1通信部33及び第2通信部34は、ネットワークコントローラチップを有して車内通信回線21,22との通信を実現する。中継装置3の制御部30は、第1通信部33を介して車内通信回線21の信号線間の差動電圧を検出して信号を検知しデータ又は受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを車載装置11a,11b,11c,11dから受信する。同様にして中継装置3の制御部30は、第2通信部34を介して車内通信回線22の信号線間の差動電圧を検出して信号を検知しデータ又は受信するデータの識別情報を含むメッセージを車載装置12a,12b,12c,12dから受信する。
中継装置3の受付部35は、車載装置の有無をオン/オフで夫々設定することが可能なディップスイッチにより構成される。実施の形態1では、車載装置11c,11d,12c,12dが車種又はオプションによっては取り外される可能性があるので、受付部35は車載装置11c,11d,12c,12d夫々についてのディップスイッチにより構成される。中継装置3の制御部30は、受付部35を介して車載装置11c,11d,12c,12dの有無の設定を検知し、記憶部32に記憶してある車載装置の組み合わせのいずれかに設定する。
図3は、本発明の車載通信システムを構成する中継装置3の記憶部32に記憶されている組み合わせ及び組み合わせ毎に対応付けて記憶されている、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージに含まれるデータの識別情報の内容例を示す説明図である。図3(a)には、中継装置3の記憶部32に記憶されている組み合わせの内容例が示されている。組み合わせはオプションの種類で分類されており、「オプション1」、「オプション2」、「オプション3」、「オプション4」で夫々識別されている。オプション毎に車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの有無が示されている。なお、車載装置11a,11b,12a,12bは必須の装置である。図3(b)には、組み合わせ毎に対応付けられて、設定された組み合わせに対して各車載装置から送信されるメッセージに含まれるデータの識別情報が示されている。送信されるメッセージに含まれるデータは、対応付けられている組み合わせが設定された場合に組み合わせを構成する車載装置の内のメッセージを送信する車載装置の識別情報11A,11D,12A,12Cによって識別されている。
図3(a)(b)には、「オプション1」の組み合わせは必須の装置以外では車載装置11cを含むことが示され、「オプション1」の組み合わせが設定されている場合に車内通信回線21,22に送信されるメッセージに含まれるデータは、車載装置11a及び12aから送信されるメッセージに含まれるデ−タのみであることが示されている。中継装置3の制御部30は、受付部35を構成するディップスイッチにおいて車載装置11cに対するスイッチのみがオンに設定され、他の車載装置11d,12c,12dに対するスイッチがオフに設定されていることを検知した場合、車載装置の組み合わせを「オプション1」に設定する。具体的には、中継装置3の制御部30は、設定された組み合わせの識別情報「オプション1」を記憶部32に記憶する。
「オプション2」の組み合わせは車載装置11d,12dを含み、「オプション2」の組み合わせが設定されている場合に車内通信回線21,22に送信されるメッセージに含まれるデータは、車載装置11a,11d及び12aから送信されるデータである。中継装置3の制御部30は、受付部35のディップスイッチにおいて車載装置11d,12dに対するスイッチがオンに設定されており、他の車載装置11c,12cに対するスイッチがオフに設定されていることを検知した場合は組み合わせを「オプション2」に設定する。
「オプション3」の組み合わせは車載装置11c,12cを含み、「オプション3」の組み合わせが設定されている場合に車内通信回線21,22に送信されるメッセージに含まれるデータは、車載装置11a,12a及び12cから送信されるメッセージに含まれるデータである。中継装置3の制御部30は、受付部35のディップスイッチにおいて車載装置11c,12cに対するスイッチがオンに設定されており、他の車載装置11d,12dに対するスイッチがオフに設定されていることを検知した場合は組み合わせを「オプション3」に設定する。
「オプション4」の組み合わせは車載装置11d,12c,12dを含み、「オプション4」の組み合わせが設定されている場合に車内通信回線21,22に送信されるメッセージに含まれるデータは、車載装置11a,11d,12a,12cから送信されるメッセージに含まれるデータである。中継装置3の制御部30は、受付部35のディップスイッチにおいて車載装置11cに対するスイッチのみがオフに設定されており、他の車載装置11d,12c,12dに対するスイッチがオンに設定されていることを検知した場合は組み合わせを「オプション4」に設定する。
なお、ディップスイッチではオプションに応じて取り外し可能な各車載装置11c,11d,12c,12d毎に有無を設定することが可能であるが、各車載装置11c,11d,12c,12dの有無に対する全ての組み合わせを記憶しておく必要はない。車種又はオプションは数種類用意されていればよく、数種類の車種又はオプションに対してディップスイッチの設定に制限が設けられている構成でもよい。中継装置3は、オプション1〜オプション4以外の各車載装置11c,11d,12c,12d毎の有無の組み合わせをディップスイッチで設定した場合、組み合わせの設定を行なわない。
中継装置3の制御部30は、電源回路31からの電力の供給を受けて起動した場合、設定されている車載装置の組み合わせを記憶部32から読み出し、更に読み出した組み合わせに対応付けて記憶されているデータ、即ち送信されるデータの識別情報を含むメッセージを車内通信回線21,22へ送信する。
本発明の車載通信システムでは、車種又はオプションによっては車載装置11c,11d,12c,12dの内のいずれかの車載装置が取り外されるか又は稼動しないようにされることで車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせが変更される。したがって、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dが夫々他の車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dとの組み合わせに対応した動作に使用するために受信すべきデータの種類の記憶を変更する。
車載装置11aの制御部100は、組み合わせの設定に伴い中継装置3から送信されたデータの識別情報を含むメッセージに基づいて他の車載装置11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから得られるデータを検知し、必要に応じて得られるデータの識別情報を受信すべきデータの識別情報として含むメッセージを送信する処理を行なう。以下に、中継装置3の制御部30が、送信されるデータの識別情報を含むメッセージを送信する処理について、及び送信されるデータの識別情報を含むメッセージを受信した車載装置11aの制御部100が、データの識別情報に対して受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを送信する処理について、フローチャートに基づき説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における車載通信システムを構成する中継装置3及び車載装置11aが車載装置の組み合わせに対応する処理手順を示すフローチャートである。
中継装置3の制御部30は、電源回路31を介して電源がオンになったか否かを判断する(ステップS11)。中継装置3の制御部30は電源がオンになっていないと判断した場合(S11:NO)、処理をステップS11へ戻して電源がオンになったと判断するまで待機する。
中継装置3の制御部30は、電源がオンになったと判断した場合(S11:YES)、受付部35のディップスイッチから車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせを検知する(ステップS12)。中継装置3の制御部30は、検知した組み合わせに対応付けられている各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるデータの識別情報を記憶部32から読み出し(ステップS13)、読み出したデータの識別情報を含むメッセージを第1通信部33及び第2通信部34から送信する(ステップS14)。
車載装置11aの制御部100は、中継装置3から送信された、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるデータの識別情報を含むメッセージを受信する(ステップS15)。車載装置11aの制御部100は、受信したメッセージに含まれたデータの識別情報、即ち各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるデータの識別情報に基づいて記憶部102に記憶してある、受信すべきデータの識別情報を変更する(ステップS16)。車載装置11aの制御部100は、受信すべきデータの識別情報を変更するかについては、記憶部102に受信すべきデータ夫々に対して優先順位を付加して記憶しておき、より優先順位の高いデータを受信することが可能であると判断できる場合のみ変更するようにしてもよい。
車載装置11aの制御部100は、変更した受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを中継装置3へ送信する(ステップS17)。
中継装置3の制御部30は受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを受信し(ステップS18)、受信したメッセージに含まれるデータの識別情報に基づいて、記憶部32に記憶してあるDB321の各データをいずれの車内通信回線21,22を介して送信すべきかを示す情報の設定を変更し(ステップS19)、処理を終了する。
このような処理手順により、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは他の各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージに含まれるデータを検知することができる。
本発明の車載通信システムを構成する中継装置3が送信する、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージに含まれるデータの識別情報について説明する。図5は、本発明の実施の形態1における車載通信システムを構成する中継装置3の制御部30及び車載装置11aの制御部100によって送信される、データの識別情報の内容例を示す説明図である。図5(a)には、中継装置3の制御部30によって送信されるメッセージ、即ち各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるデータの識別情報を含むメッセージの内容例を示す。図5(b)には車載装置11aの制御部100によって送信されるメッセージ、即ち車載装置11aが受信すべきデータの識別情報を含むメッセージの内容例を示している。
図5(a)に示すように、送信されるデータの識別情報を含むメッセージは、CANに基づいて表されている。送信されるデータの識別情報を含むメッセージは、送信されるデータに割り振られたIDを記述したデータフィールドを含むデータフレームである。図5(a)に示すように、送信されるデータの識別情報を含むメッセージでは、送信されるデータの識別情報を含むことを示すために割り振られたIDがデータフレームのアービトレーションフィールドに記述される。また、データフィールドには送信されるデータの種類を示すIDが11ビットで夫々表される。データフィールドは最大8バイトであり、2バイト毎に区切ってデータの種類に割り振られたIDを11ビットで表す。8バイト目は使用しないようにreservedフィールドとしてもよい。また、データの種類毎に送信対象として関係する車載装置の識別情報を記憶しておき、図5(a)に示すデータフィールドの先頭の1バイトには、送信されるデータを必要とする車載装置の識別情報を記述してもよい。
図5(b)に示すように、受信すべきデータの識別情報を含むメッセージは同様に、CANに基づいて表されている。受信すべきデータの識別情報を含むメッセージは、受信すべきデータに割り振られたIDを記述したデータフィールドを含むデータフレームである。送信されるデータの識別情報を含むメッセージと同様にして、データフレームのデータフィールドに受信するデータを含むことを示すために割り振られたIDが表される。データフィールドが最大の8バイトである場合の8バイト目は使用しないようにreservedフィールドとしてもよい。また、図5(b)に示すデータフィールドの先頭の1バイトには、受信すべきデータの識別情報を含むメッセージの送信元として車載装置11aを識別する識別情報を記述してもよい。
上述のような構成により、本発明の車載通信システムを構成する各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車種又はオプションに対する車載装置の組み合わせによって送信されるメッセージに含まれるデータが異なるのに対し、中継装置3から送信されるデータの識別情報を含むメッセージを受信することによって、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから送信されるメッセージに含まれるデータの種類を検知することができる。
また、送信されるデータの種類を検知した各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、送信されるデータの種類に応じて、受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを送信する。これによって中継装置3へ当該データを含むメッセージの送信を要求することができる。これにより、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車種又はオプションに対する車載装置の組み合わせの設定に対応して動作することが可能となる。
また、中継装置3は受付部35を備えることによって、外部から各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせの設定を受け付けることができる。したがって、販売時のオプションの違いに応じて車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせを設定することができ、作業が簡易になる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、車載通信システムを構成する中継装置3は、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせが設定された場合に、設定された組み合わせに対応付けて記憶してあるデータの識別情報をそのままメッセージに含めて送信する構成とした。これに対し実施の形態2では、車載通信システムを構成する中継装置3は、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせが設定された場合に、それまでに設定されていた組み合わせと比較し、新たに送信するデータの識別情報は送信を開始するデータの識別情報として、送信されなくなるデータの識別情報は送信が中止されるデータの識別情報として夫々メッセージに含めて送信する。
実施の形態2における車載通信システムのハードウェア構成は実施の形態1と同様であるので詳細な説明を省略し、実施の形態1と同一の符号を用いて、中継装置3の制御部30が設定された組み合わせと、それまでに設定されていた組み合わせとを比較して送信が開始されるデータの識別情報及び送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージを送信する処理について以下に説明する。
図6及び図7は、本発明の実施の形態2における車載通信システムを構成する中継装置3及び車載装置11aが設定された車載装置の組み合わせに対応する処理手順を示すフローチャートである。
中継装置3の制御部30は、電源回路31を介して電源がオンである場合に受付部35を介して組み合わせの設定を検知したか否かを判断する(ステップS201)。中継装置3の制御部30は、受付部35を介して組み合わせの設定を検知していないと判断した場合(S201:NO)、処理をステップS201へ戻して受付部35を介して組み合わせの設定を検知したと判断するまで待機する。
中継装置3の制御部30は、受付部35を介して組み合わせの設定を検知したと判断した場合(S201:YES)、それまでに設定されていた以前の組み合わせを記憶部32から読み出す(ステップS202)。また中継装置3の制御部30は、ステップS201で設定を検知した現在の組み合わせ及びステップS202で記憶部32から読み出した以前の組み合わせに夫々対応付けて記憶されている、送信されるデータの識別情報を記憶部32から読み出す(ステップS203)。
次に中継装置3の制御部30は、ステップS203で読み出した現在の組み合わせ及び以前の組み合わせ夫々に対応付けて記憶されている、送信されるデータの識別情報を比較して送信が開始されるデータがあるか否かを判断する(ステップS204)。具体的には、中継装置3の制御部30は、現在の組み合わせに対応付けられているデータの識別情報が以前の組み合わせに対応付けられていない場合、送信が開始されるデータがあると判断する。
中継装置3の制御部30は、送信が開始されるデータがあると判断した場合(S204:YES)、その送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージを送信する(ステップS205)。
車載装置11aの制御部100は、送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージを中継装置3から受信する(ステップS206)。
次に中継装置3の制御部30は、送信が中止されるデータがあるか否かを判断する(ステップS207)。具体的には、中継装置3の制御部30は、以前の組み合わせに対応付けられているデータの識別情報が現在の組み合わせに対応付けられていない場合、送信が中止されるデータがあると判断する。
なお、中継装置3の制御部30は、ステップS204において送信が開始されるデータがないと判断した場合は(S204:NO)、ステップS207の判断処理に進む。
中継装置3の制御部30は、送信が中止されるデータがあると判断した場合(S207:YES)、その送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージを送信する(ステップS208)。
車載装置11aの制御部100は、送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージを中継装置3から受信し(ステップS209)、送信が開始されるデータの識別情報及び送信が中止されるデータの識別情報に基づいて、記憶部102に記憶してある受信すべきデータの識別情報を変更する(ステップS210)。車載装置11aの制御部100は、変更後の受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを送信する(ステップS211)。
中継装置3の制御部30は、受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを車載装置11aから受信する(ステップS212)。
なお、中継装置3の制御部30は、ステップS207において送信が中止されるデータがないと判断した場合は(S207:NO)、ステップS212の処理に進み受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを車載装置11aから受信する。
中継装置3の制御部30は、車載装置11aから受信すべきデータの識別情報を含むメッセージを受信し、受信したメッセージに含まれる受信すべきデータの識別情報に基づいて記憶部32に記憶してあるDB321の各データをいずれの車内通信回線21,22を介して送信すべきかを示す情報の設定を変更し(ステップS213)、処理を終了する。
このような処理手順により、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dの組み合わせの設定の変更に応じて他の各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dから新たに送信が開始されるデータ及び/又は送信が中止されるデータを検知することができる。
本発明の車載通信システムを構成する中継装置3が送信するメッセージに含まれるデータの識別情報について説明する。図8は、本発明の実施の形態2における車載通信システムを構成する中継装置3の制御部30からCANに基づいて送信されるメッセージに含まれるデータの識別情報の内容例を示す説明図である。図8(a)には、中継装置3の制御部30から送信されるメッセージの内の、送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージの内容例を示す。また、図8(b)には、中継装置3の制御部30から送信されるメッセージの内の、送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージの内容例を示している。
図8(a)に示すように、送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージは、CANに基づいて表されている。送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージは、送信が開始されるデータに割り振られたIDを記述したデータフィールドに含むデータフレームである。図8(a)に示すように、送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージでは、送信が開始されるデータの識別情報を含むことを示すために割り振られたIDがデータフレームのアービトレーションフィールドに記述される。また、データフィールドには、各データの種類を示すIDが2バイト毎に区切って表される。データフィールドの8バイト目は使用しないようにreservedフィールドとしてもよい。また、データの種類毎に送信対象として関係する車載装置の識別情報を記憶しておき、図8(a)に示すデータフィールドの先頭の1バイトには、送信されるデータを必要とする車載装置の識別情報を記述してもよい。
図8(b)に示すように、送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージは、送信が開始されるデータの識別情報を含むメッセージと同様にCANに基づいて表されている。送信が中止されるデータの識別情報を含むメッセージは、送信が中止されるデータの種類に割り振られたIDを記述したデータフィールドを含むデータフレームである。送信が開始されるデータの識別情報のメッセージと同様に、アービトレーションフィールドには送信が中止されるデータの識別情報を含むことを示すために割り振られたIDが記述される。
上述のような構成により、本発明の車載通信システムを構成する各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは、車種又はオプションに対する組み合わせの設定の変更に応じて送信されるデータの開始/中止を検知することができる。したがって、各車載装置11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12dは組み合わせの設定の変更に応じて必要なデータを含むメッセージの送信を要求することができ、組み合わせの設定に対応して動作することが可能である。
なお、実施の形態1及び2では中継装置3の受付部35はディップスイッチによって構成した。しかしながら、中継装置3の受付部35は無線受信部により構成されてもよい。この場合、中継装置3の制御部30は、無線送信部を有する専用端末装置から送信されるオプションを示す信号を受信し、オプションに応じて記憶部32に記憶してある車載装置の組み合わせの設定を変更する構成でもよい。
また、実施の形態1及び2では車内通信回線を21と22とに分けて夫々に車載装置11a,11b,11c,11d、車載装置12a,12b,12c,12dが接続されている構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、車内通信回線21のみで構成されていてもよいし、さらに車内通信回線を増設して車載装置を接続している場合でも同様であることは勿論である。