JP5081554B2 - 現像装置およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような現像装置は、トナーの劣化や環境の変化によりトナーの帯電性能が低下しやすくなり、これに起因して現像ローラからトナーが飛散しやすかった。現像ローラから飛散した飛散トナーが感光体ドラム上に付着すると、トナー像と共に転写されるため、画像品質の低下を招くこととなる。
また、特許文献2には、現像ローラの近傍にトナー回収ローラと、該トナー回収ローラの表面に当接する摩擦帯電手段と、トナー回収ローラのローラ表面に付着したトナーを除去するトナー剥離手段とを配設した現像装置が開示されている。特許文献2によれば、トナー回収ローラとトナー剥離手段とを接触帯電させることで、飛散トナーの回収効率を高めている。
そのため、一旦、回収ローラに飛散トナーが引き付けられて付着すると、回収ローラにクリーニング部材を取り付けても飛散トナーを除去することは困難になり、画像形成装置を長期間運転すると、回収ローラの表面全体を飛散トナーが被覆してしまい、回収ローラと飛散トナーとの間で作用するファンデルワールス力が低下しやすかった。その結果、飛散トナーが回収ローラに引き付けられにくくなり、回収ローラの回収性能が低下しやすかった。
[現像装置]
図1は、本発明の一実施形態例である現像装置の概略図である。この例の現像装置10は、トナーを感光体ドラムDの周面に供給するべく当該感光体ドラムDに隣設された現像装置本体(装置本体部)20と、この現像装置本体20に着脱自在に装着されてトナーを補給するトナーカートリッジ(現像剤供給部)80とを備えた基本構成を有している。
現像ローラ30には、ブレード31が設けられており、該ブレード31により現像ローラ30の表面に付着したトナーの膜厚を調整する。ブレード31の材質としては、ウレタン樹脂が好ましい。
また、回収ローラ40には、ブレード41が設けられており、該ブレード41により表面に付着した飛散トナーを除去する。ブレード41の材質としては、例えば、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。中でも、ウレタン樹脂が好ましい。
回収ローラ40の表面が樹脂にて被覆されることにより、回収ローラ40と飛散トナーとの間で作用するファンデルワールス力を適度に抑制できるので、回収ローラ40に付着する飛散トナーをブレード41にて容易に除去できる。
また、回収ローラ40の表面を樹脂にて被覆する際は、例えば、5〜30μm程度の厚さになるように被覆するのが好ましい。厚さが5μm以上であれば、回収ローラ40と飛散トナーとの間で作用するファンデルワールス力をより抑制できる。一方、厚さが30μm以下であれば、飛散トナーの付着力が十分なものとなる。
また、前記樹脂(a)は、該樹脂(a)の仕事関数(A)と前記ブレード41の仕事関数(C)との差(A−C)が0.10eV以上であり、好ましくは0.15〜0.40eVである。
ここで、仕事関数とは、物質表面から1つの光電子を放出するのに必要な、最小の紫外線照射エネルギのことであり、例えば、理研計器社製の大気中光電子分光装置「AC−1」より求めることができる。
現像装置に収容されるトナーが負帯電性の場合、負極性であるフッ素系の樹脂を回収ローラ40の表面に被覆すれば、ブレード41と擦れることで回収ローラ40の表面が負帯電性になりやすくなる。また、仕事関数の差(A−C)が0.10eV以上であれば、ブレード41自身の電子が、フッ素系の樹脂を表面に被覆した回収ローラ40側に移行しやすくなり、回収ローラ40の表面が十分にマイナスに帯電するため、正帯電性の飛散トナーを引き付けやすくなり、飛散トナーの回収性能が向上する。
仕事関数の差(A−C)が0.10eV以上となるような、シリコーン系の樹脂としては、例えば、ストレートシリコーン、フッ素変性シリコーン、RTVシリコーンなどが挙げられる。中でも、ストレートシリコーンが好ましい。また、シリコーン系の樹脂としては市販のものを用いてもよく、例えば、東レ・ダウコーニング社製のストレートシリコーン「SR2406」などが好適である。
また、前記樹脂(b)は、該樹脂(b)の仕事関数(B)と前記ブレード41の仕事関数(C)との差(B−C)が−0.10eV以下であり、好ましくは−0.15〜−0.40eVである。
仕事関数の差(B−C)が−0.10eV以下となるような、シリコーン系の樹脂としては、例えば、ストレートシリコーン、フッ素変性シリコーン、RTVシリコーンなどが挙げられる。中でも、ストレートシリコーンが好ましい。また、シリコーン系の樹脂としては市販のものを用いてもよく、例えば、東レ・ダウコーニング社製のストレートシリコーン「AY42−170」などが好適である。
バイアス電圧を印加する際は、現像装置に収容されるトナーと同極性のバイアス電圧を印加する。
回収ローラ40に回収された飛散トナーは、回収ローラが回転することによりブレード41にて回収ローラ40から除去される。除去された飛散トナーは、循環手段43に備わる捕獲部材(図示略)により捕獲され、循環手段43内を通ってハウジング50内に供給される。
このように、循環手段43を設けることで、飛散トナーを再利用することができる。
なお、上述した循環手段43はトナー受入口61に連結しており、回収された飛散トナーは、トナーカートリッジ80に収容されている未使用のトナーと共に適宜トナー受入口61からハウジング50内に装填され、循環搬送路51を循環することによって正規な帯電性を付与される。
かかるトナーカートリッジ80は、前記蓋体60のトナー受入口61と対向するように穿設されたトナー排出口83が設けられ、トナーカートリッジ80がハウジング50に装着された状態で、トナーカートリッジ80内のトナーがこのトナー排出口83および蓋体60のトナー受入口61を介してハウジング50内に供給されるようになっている。
なお、トナーカートリッジ80にはトナーを掻き取るための撹拌部材84と、カートリッジ側シャッタ部材85が備わっており、撹拌部材84とカートリッジ側シャッタ部材85とが同期回転することで、トナーをトナー排出口83へ向けて搬送する。
上述したトナーカートリッジ80に収容されるトナーとしては、特に制限されないが、例えば結着樹脂中に着色剤、電荷制御剤、離型剤等を分散して造粒し、所望により帯電制御剤、流動性向上剤等を外添したものを用いることができる。
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリスチレン等のビニル芳香族樹脂、スチレン−アクリル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、電荷制御剤を使用せず、電荷制御作用の一部を結着樹脂に行わせる場合には、結着樹脂の一部として、アニオン性またはカチオン性の極性基を有する樹脂を用いる。カチオン性極性基としは、第1級、第2級または第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、アミド基、イミノ基、イミド基、ヒドラジノ基、グアニジノ基、アミジノ基等の塩基性窒素含有基が挙げられる。アニオン性極性基としては、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸等の極性基が挙げられる。
このように、配合する電荷制御剤を適宜選択することにより、トナーの帯電性をプラスまたはマイナスに調整できる。
また、トナーは、キャリアと組み合わせて二成分現像剤として用いてもよく、単独で一成分系現像剤として用いてもよい。キャリアとしては、磁性体の粒子、または結着樹脂中に磁性体を分散させた樹脂粒子など公知のものを使用できる。
本発明の現像装置は、電子写真法による画像形成装置に備える現像装置として好適に使用できる。
ここで、図2を用いて、本発明の現像装置を備えた画像形成装置の一実施形態例について説明する。この例の画像形成装置100は、4つの感光体ドラムDが中間転写ベルト(中間転写体)上に配列された間接転写タンデム方式のカラー画像形成装置である。
画像形成ユニット120は、上述した現像装置10、および帯電装置121、露光装置122、クリーニング装置123が感光体ドラムD(D1、D2、D3、D4)の周囲にそれぞれ配設された構造を有している。タンデム方式ではこれらをコンパクトに設計することが重要である。これらの感光体ドラムDは、中間転写ベルト145の移動方向に沿って順に配列されている。
なお、各現像装置10には、トナーT1(マゼンタトナー)、トナーT2(シアントナー)、T3(イエロートナー)、T4(ブラックトナー)がそれぞれ収容されている。
また、本発明の画像形成装置は上述したものに限らず、例えば中間転写体を有さず、感光体ドラムから記録材に直接転写を順次繰り返すシステム(直接転写タンデム方式)のカラー画像形成装置に、本発明の現像装置を備えることもできる。
[トナーの製造]
<正帯電性トナーの製造>
スチレン80質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート20質量部、着色剤としてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部、低分子量ポリプロピレン3質量部、電荷制御剤として4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学工業社製、「P−51」)2質量部、架橋剤としてジビニルベンゼン1質量部の混合溶液に重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2質量部加え、これらを精製水400質量部に加え、さらに懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム5質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、回転数7000rpmで20分間攪拌し、さらに窒素雰囲気下、70℃、100rpmで10時間重合反応させ、体積平均粒径6.3μmの粉体を得た。この粉体に疎水性シリカ粉末を1.5質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて混合することにより体積平均粒径6.3μmの正帯電性のシアントナーを得た。なお、体積平均粒径は、マルチマイザーIII(コールスターカウンター社製)にて測定した。
電荷制御剤として、4級アンモニウム塩化合物の代わりに負帯電性の電荷制御剤(オリエント化学工業社製、「E−84」)を2質量部用いた以外は、正帯電性トナーの製造を同様にして、負帯電性のシアントナーを製造した。該シアントナーの体積平均粒径は6.5μmであった。
<仕事関数の測定>
回収ローラの表面を被覆する樹脂、および回収ローラに備わるブレードの仕事関数は、大気中光電子分光装置(理研計器社製、「AC−1」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件にて測定した。
回収ローラにおける飛散トナーの付着力は、粒子間付着力測定装置(岡田精工社製、「PAF−300N」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件にて測定した。
<実施例1−1>
現像装置は図1に示す構造のものを用いた。また、画像形成装置は、京セラミタ社製のプリンタ(LS−C8026)を改造したものを用い、先の現像装置を取り付け、先に得られた負帯電性トナーを現像装置に収容した。
なお、回収ローラとしては、アルミニウム製の金属ローラを用い、その表面をスプレードライにより、フッ素系の樹脂(三井・デュポンフロロケミカル社製、「DL−902」)にて被覆した。また、回収効率を向上させる目的で、トナーと同極性(マイナス)のDCバイアス電圧(−500V)を印加し、回転数10rpmにて回収ローラを回転させた。また、回収ローラには、ウレタン製のブレードを備えた。該ブレードの仕事関数は5.5eVであった。
2000枚印字毎に、中間転写ベルト上に付着した飛散トナーを計測し、これを飛散トナー量とした。
また、ブレードにて回収ローラに付着した飛散トナーを除去する際のクリーニング性能を目視にて評価し、クリーニング性能が良好な場合を「○」、不良である場合を「×」とした。
また、回収ローラの飛散トナー回収性能について、10000枚の耐久試験後の、飛散トナー量の累計が1.0g以下の場合を良好と判断して「○」とし、飛散トナー量の累計が1.0gを超える場合を不良と判断して「×」とした。
各評価結果を表1に示す。
樹脂として、表1に示すようにシリコーン系の樹脂(東レ・ダウコーニング社製、「SR2406」)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表1に示す。
回収ローラの表面を樹脂にて被覆しなかった以外は、実施例1−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表1に示す。
樹脂として、表1に示すようにアクリル系の樹脂(三井化学社製、「アルマッテクス」)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表1に示す。
樹脂として、表1に示すようにシリコーン系の樹脂(東レ・ダウコーニング社製、「SR2510」)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表1に示す。
また、回収ローラの表面が樹脂にて被覆されていたので、回収ローラと飛散トナーとの間で作用するファンデルワールス力が抑制され、回収ローラに付着する飛散トナーをブレードにて容易に除去でき、クリーニング性能が良好であった。従って、10000枚の耐久試験後であっても、飛散トナー量が0.1〜0.2gであり、回収性能を低下させることなく、長期にわたって飛散トナーを回収できた。
比較例1−2、1−3は、回収トナーの表面を樹脂にて被覆したので、クリーニング性能は良好であったが、比較例1−2は仕事関数の差(A−C)が−0.2eVであり回収トナーの表面がプラスに帯電したため、一方、比較例1−3は仕事関数の差(A−C)が0.0eVであり回収トナーの表面が帯電しなかったため、飛散トナーが引き付けられにくく、実施例に比べて飛散トナーの回収性能が劣っていた。
<実施例2−1>
負帯電性のトナーの代わりに、正帯電性のトナーを現像装置に収容し、回収ローラの表面を被覆する樹脂として、表2に示すようにアクリル系の樹脂(三井化学社製、「アルマッテクス」)を用い、回収ローラにトナーと同極性(プラス)のDCバイアス電圧(+500V)を印加した以外は、実施例1−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表2に示す。
樹脂として、表2に示すようにシリコーン系の樹脂(東レ・ダウコーニング社製、「AY42−170」)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表2に示す。
回収ローラの表面を樹脂にて被覆しなかった以外は、実施例2−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表2に示す。
樹脂として、表2に示すようにフッ素系の樹脂(三井・デュポンフロロケミカル社製、「DL−902」)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表2に示す。
樹脂として、表1に示すようにシリコーン系の樹脂(東レ・ダウコーニング社製、「SR2510」)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして耐久試験を実施し、飛散トナー量を求め、クリーニング性能および飛散トナー回収性能を評価した。結果を表2に示す。
また、回収ローラの表面が樹脂にて被覆されていたので、回収ローラと飛散トナーとの間で作用するファンデルワールス力が抑制され、回収ローラに付着する飛散トナーをブレードにて容易に除去でき、クリーニング性能が良好であった。従って、10000枚の耐久試験後であっても、飛散トナー量が0.1gであり、回収性能を低下させることなく、長期にわたって飛散トナーを回収できた。
比較例2−2、2−3は、回収トナーの表面を樹脂にて被覆したので、クリーニング性能は良好であったが、比較例2−2は仕事関数の差(B−C)が0.2eVであり回収トナーの表面がマイナスに帯電したため、一方、比較例2−3は仕事関数の差(B−C)が0.0eVであり回収トナーの表面が帯電しなかったため、飛散トナーが引き付けられにくく、各々実施例に比べて飛散トナーの回収性能が劣っていた。
Claims (2)
- 現像ローラと、該現像ローラに対向して配置された、飛散トナーを回収する回収ローラとを具備し、正帯電性のトナーを収容する現像装置であって、
前記回収ローラは、表面がアクリル系またはシリコーン系の樹脂にて被覆され、かつ、前記飛散トナーを除去するブレードを備え、
前記樹脂の仕事関数(B)と前記ブレードの仕事関数(C)との差(B−C)が−0.10eV以下であることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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