JP5081123B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示される技術によると、車両の車速、操舵トルク、及びヨーレートによって車両が傾斜路を走行していることを検出した場合、車両を直進させるために運転者が操向ハンドルを転舵するときの操舵力を軽減するような補助操舵トルクを電動パワーステアリング装置で発生して、運転者の負担を軽減できる。
このように操舵反力が小さくなると、運転者が操向ハンドルから受ける操舵反力によって、タイヤ空気圧の減圧を察知することが困難になる。
図1は、車両に備わる電動パワーステアリング装置及びタイヤ空気圧検知システムの構成図、図2は、EPSECUの機能ブロック図である。
そして運転者が操向ハンドル21を転舵すると、図示しないピニオンギアがステアリング軸22と一体に回転してラック軸25aを左右方向に移動し、ラック軸25aに連結される左右の転舵輪2R,2Lが転舵する。
電動パワーステアリング装置1は、運転者が操向ハンドル21を転舵するときの操舵力を軽減する補助操舵力(補助操舵トルク)を電動力として発生し、転舵機構に付与する電動機23を備えている。
この電動機23の出力軸は、図示しないギアを介してステアリング軸22と噛合し、運転者が操向ハンドル21を転舵したときに、電動機23の出力軸の回転によってステアリング軸22に対する補助操舵トルクを発生して操舵力を軽減する。
EPSECU20の詳細は後記するが、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータおよび周辺回路などから構成され、例えばROMに格納されるプログラムを実行して電動機23を駆動制御する。
ヨーレートセンサ18は、車両Vに発生しているヨーレートを検出するセンサであり、ヨーレート信号Ysを出力する。ヨーレートセンサ18は、例えば、ヨーレートが発生していないときを「0」として、左方向のヨーレートが発生しているときに正の値、右方向のヨーレートが発生しているときに負の値を出力する構成であればよい。
そして、EPSECU20には、車速センサ17が出力する車速信号Vsとヨーレートセンサ18が出力するヨーレート信号Ysが入力され、EPSECU20は車速とヨーレートを算出できる。
空気圧センサ31は、検出したタイヤ空気圧を空気圧信号Psとし、空気圧信号Psを例えば電波を用いて、アンテナを介して無線送信する機能を有する。
そして、TPMSECU30は、入力された空気圧信号Psに基づいて、左右の転舵輪2R,2L、及び図示しない左右の後輪のタイヤ空気圧を算出できる。
1台の受信機30aが備わる場合、各車輪に備わる空気圧センサ31は、例えば、車輪ごとに異なるIDを含んで空気圧信号Psを送信する構成とすれば、1台の受信機30aで、各車輪の空気圧信号Psを識別できる。
そして、制御量設定部20hが算出した、電動機23の制御量Imは加算器20gに入力される。
操舵トルク及び車速に基づいて電動機23の制御量Imを算出する方法は公知の技術であり、その詳細な説明は省略する。
また、ゲイン設定部20eは、車速センサ17から入力される車速信号Vsに基づいて車速を算出し、車速に対応した、補正制御量IsのゲインSLTrを設定する。ゲインSLTrは、電動機23が発生する補助操舵トルクを、車速及び横断勾配に応じて調整するための感度である。
ゲイン設定部20eで設定されたゲインSLTrは乗算器20fに入力され、補正制御量設定部20dから入力される補正制御量Isに乗算される。そして、ゲインSLTrが乗算されることでゲイン調整された補正制御量Is’が加算器20gに入力される。
そして、制御部20iでは、制御量Im’に基づいて、電動機23を駆動するための駆動電流Icが算出され、電動機23に出力される。
そして、傾斜路用補助トルクを転舵機構に付与することで、車両Vが傾斜路を直進する際の運転者の負担を軽減できる。
その結果、タイヤ空気圧の減圧によって車両Vが横方向に流される際に、運転者が操向ハンドル21から受ける操舵反力が小さくなり、運転者は操舵反力を感じることができない。したがって、運転者は、操舵反力によってタイヤ空気圧の減圧を察知できない。
そこで、本実施形態に係るEPSECU20は、タイヤ空気圧検知システム3が故障した場合には、横断勾配SLTに基づいて算出される補正制御量Is’を加算しないで電動機23の駆動電流Icを算出し、傾斜路用補助トルクを転舵機構に付与しない構成とした(適宜図2参照)。
タイヤ空気圧検知システム3の自己診断機能の構成は限定するものではないが、例えば、空気圧センサ31が送信する電波を受信機30aが所定の期間受信しないときに、TPMSECU30が、タイヤ空気圧検知システム3の故障を検出する自己診断機能がある。
図3に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1において、電動機23の駆動電流Icを算出するEPS駆動電流設定処理は、TPMSECU30がタイヤ空気圧検知システム3を診断するTPMS診断処理(ステップS1)と、EPSECU20が電動機23の駆動電流Icを算出する駆動電流算出処理(ステップS2)を含んでなる。
このように、EPSECU20及びTPMSECU30がEPS駆動電流設定処理を実行することで、電動パワーステアリング装置1の電動機23の駆動電流Icを算出できる。
TPMS診断処理は、例えばEPSECU20からの指令によってTPMSECU30が実行し、タイヤ空気圧検知システム3に異常が発生しているか否かを判定する処理である。
TPMSECU30は、EPSECU20からの指令によって、TPMS診断処理を開始すると、タイヤ空気圧検知システム3の故障を検出したことを示す変数「F_TPMSNG」を読み込む(ステップS10)。変数「F_TPMSNG」は、例えばTPMSECU30がタイヤ空気圧検知システム3の故障を検出していないとき「0」が設定され、故障を検出したとき「1」が設定される。
したがって、TPMSECU30は、タイマ「TM1」の値で、タイヤ空気圧検知システム3の故障を検出した状態の継続時間を算出できる。
一方、タイマ「TM1」の値が所定値「#TM1」より小さい場合(ステップS13→No)、TPMSECU30は処理をステップS17に進める。
変数「F_PULLSTOP」は、EPSECU20に、タイヤ空気圧検知システム3の故障の診断結果を通知するための変数で、「0」が設定されているとき、EPSECU20はタイヤ空気圧検知システム3に故障が発生していないと判定して駆動電流算出処理で傾斜路用補助トルクを発生し、「1」が設定されているときは、タイヤ空気圧検知システム3に故障が発生していると判定して傾斜路用補助トルクを発生しない構成とする。
このような所定値「#TM1」は、実験等によって求めることができる。
さらに、タイマ「TM1」をリセットする。すなわち、タイマ「TM1」に「0」を設定する(ステップS16)。
そして、EPSECU20は、通知された変数「F_PULLSTOP」に基づいて、電動機23の駆動電流Icを算出する。
駆動電流算出処理は、EPSECU20が実行し、電動機23を駆動するための駆動電流Icを算出する処理である。
EPSECU20は、TPMSECU30が送信する変数「F_PULLSTOP」を受信したら、駆動電流算出処理を実行する。したがって、EPSECU20はEPS駆動電流設定処理を開始し、TPMSECU30に対して、タイヤ空気圧検知システム3を診断するTPMS診断処理を実行するように指令を与えた後、変数「F_PULLSTOP」を受信するまでは待機することになる。
そしてEPSECU20は、TPMSECU30から受信した変数「F_PULLSTOP」が「1」のとき(ステップS21→Yes)、タイヤ空気圧検知システム3が故障していると判定し、補正制御量Is’を「0」に設定する(ステップS22)。
一方、変数「F_PULLSTOP」が「0」のとき、すなわち、変数「F_PULLSTOP」が「1」ではないとき(ステップS21→No)、EPSECU20は、タイヤ空気圧検知システム3が故障していないと判定して、横断勾配検出部20a、オフセット量設定部20b、減算器20c、補正制御量設定部20d、ゲイン設定部20e、及び乗算器20fによって、前記したように補正制御量Is’を算出する(ステップS23)。
この場合、TPMSECU30は、タイヤ空気圧検知システム3の故障を、CANネットワークを介することなく、例えば内部変数の受け渡しでEPSECU20に通知することができる。したがって、CANネットワークを介したデータ通信の必要がなくなり、図3に示すEPS駆動電流設定処理の実行速度を向上できる。
そのほか、例えばヨーレートセンサ18や車速センサ17が故障したときに、傾斜路用補助トルクの発生を停止する構成としてもよく、傾斜路用補助トルクの発生を停止する条件を、幅広く設定してもよい。
2R,2L 転舵輪
3 タイヤ空気圧検知システム
20 EPSECU
21 操向ハンドル(転舵機構)
22 ステアリング軸(転舵機構)
25 ラックアンドピニオン機構(転舵機構)
25a ラック軸(転舵機構)
30 TPMSECU
31 空気圧センサ
V 車両
Claims (1)
- 横に傾斜する傾斜路で車両を直進させるための操舵力を軽減する傾斜路用補助トルクを転舵機構に付与する機能を有するとともに、
前記車両のタイヤ空気圧を検知するタイヤ空気圧検知システムが故障したときには、前記車両が前記傾斜路を直進する場合であっても、前記傾斜路用補助トルクを前記転舵機構に付与しないことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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