JP5079996B2 - 車両のホイールに取り付けられた圧力センサにより送信される情報をフィルタリングする方法及び装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両のホイールに取り付けられたホイールユニット内に配置された圧力センサにより為された圧力測定に基づいて、前記車両に取り付けられた中央ユニットに対して送信される情報をフィルタリングする方法及び装置に関する。

益々多くの自動車が、安全性の理由から、車両の各ホイールに取り付けられた圧力センサを含む監視システムを有するようになってきている。これらの圧力センサは、専らホイールに取り付けられたタイヤの中の圧力を測定し、測定された圧力に異常な変化があれば、その変化を運転者に知らせることを目的としている。

従来、これらの監視システムは、
−車両の各ホイールに取り付けられた−ホイールユニットと呼ばれる−ボックス、特に、センサ、バッテリにより給電されるマイクロプロセッサ、及び、送信器、例えば高周波送信器又は誘導性送信器を収容したボックスと、
−送信器により送信された信号を受信するための車両に取り付けられた中央ユニット、特に、高周波受信器又は誘導性受信器のようなアンテナに接続された受信器が組み込まれたコンピュータを備えた中央ユニット
を有している。

通常、各タイヤについて、
−該当する圧力センサによりこのタイヤ内の空気の圧力の測定が周期的に行われ、
−順次測定された各々の圧力値の間に圧力変化ΔＰがあれば、その圧力変化がこれらの測定値から導出され、
−最後に、２つの圧力測定値の間の圧力変化ΔＰが絶対値において所定の閾値Ｓｐよりも大きい場合には、圧力変化を表す信号の中央ユニットへの送信が命令される。

一方、中央ユニットは各ホイール内のセンサにより送信された信号を処理し、特に前記信号を比較し相関させた後に、車両のいずれか１つのホイールにおける異常な圧力変化を運転者に通知することのできるメッセージを発し、該当するホイールを特定するようにプログラムされている。

このような設計の１つの短所は、所定の閾値よりも高いタイヤ圧の変化がすべて中央ユニットへの信号送信を生じさせてしまうことにある。しかし、中央ユニットは、その計算能力ならびに様々なセンサから受信した信号を比較し相関させるその能力のゆえに、受信信号が実際にタイヤ圧の本当のアノマリーを表すものであるか否かを決定するように受信信号を処理することしかできない。

ところが、中央ユニットが行う処理は、このユニットに送信された信号の大部分がタイヤ圧を表しておらず、これらの信号はしたがって送信されるべき正当性がないということを明らかにしている。

それゆえ、この観察から、非常に多くの信号がホイールユニットによって不必要に中央ユニットに送信されており、そのため、ホイールに取り付けられたマイクロプロセッサへの給電に使用されるバッテリの寿命が短くなり、不必要に且つ著しく車両の周囲の環境が「汚染」され、それにより近隣車両間の寄生妨害の危険性が高まることが明らかである。

本発明はこの短所を解消することを狙いとしており、その主目的は車両に装備された監視システムの中央ユニットへ送信される信号をフィルタリングする方法を提供することである。

上記課題は、タイヤを備えた車両のホイールに取り付けられたホイールユニット内に配置された圧力センサにより為された圧力測定に基づいて、前記車両に取り付けられた中央ユニットに対して送信される情報をフィルタリングする方法において、
前記ホイールユニットにより、
−タイヤ内の空気の圧力を表す値を周期θで周期的に測定し、この値から、順次測定された圧力値の間に圧力変化ΔＰがあれば、その圧力変化を導出し、
−並行して同じ周期θでタイヤ内の空気の温度を表す値を測定し、
−２つの順次測定された圧力値の間の圧力変化ΔＰが予め決められた閾値Ｓｐよりも絶対値において大きい場合には、
前記圧力測定値と同じ瞬間に測定された２つの温度値の間の温度差ΔＴを計算し、
この温度差からＣｐ＝ΔＰ／ΔＴとなるような補正係数Ｃｐを導出し、
ａ）ΔＴ＝０のとき、又は
ｂ）補正係数Ｃｐが正であり、かつ所定の閾係数Ｃｐ１よりも高いとき、又は
ｃ）補正係数Ｃｐが負であり、かつ最小閾値と最大閾値の間にないときには、
圧力変化を表す信号を中央ユニットに送信するようにホイールユニットに命令することにより解決される。

したがって、本発明によれば、ホイールユニットにより測定された圧力の変化が相応する温度変化に対応しているように見えないときにだけ、ホイールユニットにより圧力警告メッセージが中央ユニットに送られる。圧力変化と温度変化との間のこの非相関は３つの異なるケースにおいて生じる。
第１のケース：温度変化なしに圧力変化が存在する（ΔＴ＝０のケース）。
第２のケース：温度上昇に伴う圧力上昇、又は温度低下に伴う圧力低下が存在するが、これらの変化が正常な相関に対応していない（Ｃｐが正だが閾値を超えているケース）。
第３のケース：圧力変化と温度変化が逆方向であり（一方が上昇するときに他方は低下する）、ＣｐがＣｐ最小値とＣｐ最大値との間にない（所定の帯域幅内にない）。

これら３つのケースの各々において、圧力変化と温度変化との間に正常な相関が存在していないので、ホイールユニットは中央ユニットに警告メッセージを送る。他のすべてのケースでは、圧力変化と温度変化は相関しており、ホイールユニットによってメッセージが送られることはない。

圧力変化閾値Ｓｐは絶対値で表されており、実際には、負の圧力変化の閾値Ｓｐｎと正の圧力変化の閾値Ｓｐｐは絶対値において異なっていてよいことに注意されたい。

このようにして、本発明はホイールユニットにより中央ユニットに送信されるメッセージのフィルタリングを可能にする。本当の圧力異常に対応していると思われるメッセージだけが処理のために中央ユニットに送られる。

本発明は、それゆえ、ホイールユニットにより送信されるメッセージの数を低減することができ、したがってホイールユニットの電力消費を制限する。これにより、ホイールユニットに給電するバッテリの寿命が延びる。

圧力変化と温度変化との間に存在する「正常」な相関は、完全気体の法則に似た法則をタイヤ内に含まれている空気に適用することから生じる。この法則は下記のタイプのものである：
ＰＶ＝ｎＲＴ
ここで、
Ｐ：空気圧
Ｖ：ｎモルにより占有される空気の体積
ｎ：空気のモル数
Ｒ：完全気体定数
Ｔ：空気の絶対温度
圧力変化と温度変化との間の相関を決定する法則は単に完全気体の法則に似ているに過ぎない。というのも、
−空気は完全気体ではない、
−測定値Ｐ及びＴは空気の圧力及び温度を表しているが、振動、ノッキング、ホイールリム温度のような他の要因によって「汚染」されている、
−正確に求めることはできないにしても、空気の体積はタイヤの変形とともに変化する、
−圧力はほぼ瞬間的に測定できるが、温度測定はタイヤの周辺（ホイールリム、タイヤなど）によって妨害されるため空気温度の本当の発展に比べて遅延する
からである。

したがって、完全気体の法則に似た（車両とタイヤのタイプごとに経験的に確立された）この法則によれば、測定された圧力における変化が付随する温度変化と相関しているか否かを決定することが可能である。完全気体の法則に似たこの法則を適用することによって、１０ｍｂａｒの圧力変化は、例えば同時に所定の車両タイプに関して１°Ｃのオーダーの温度変化があれば、正常と見なされる。

閾値Ｃｐ１（Ｃｐが正のとき）と最小及び最大閾値（Ｃｐが負のとき）が典型的な車両の各々について決定される。同様にして、それを超えると有意な温度変化が生じたと見なされる閾値Ｓｐは、圧力が十分に変化したときにのみ本発明によるフィルタリング方法が実施されるように予め設定されている。この閾値のレベルがタイヤ圧監視システムの感度の設定を可能にする。

もちろん、同時発生の温度変化と相関した圧力変化はタイヤ内に含まれている空気の量の変化を意味するものとは解釈されない。その結果として、これらの圧力変化は中央ユニットへの信号送信を生じさせず、これらの送信の数は現在の監視システムにおいて記録される数に比べて著しく低減される。

例えば、信号送信の著しい減少は車両停止に続く冷却フェーズの最中に生じる。

有利には、本発明によれば、ホイールユニットは、上でポイントａ）〜ｃ）に列挙された条件が所定の時間よりも長い持続時間ｔにわたって満たされたときにのみ、中央ユニットに信号を送信するよう命令を受ける。

この追加条件により、特に、温度変化と相関していない持続時間の短いタイヤ圧の変化は有意と見なされないことになる。例えば、この有利な実施形態により、車両がカーブを切ったときのタイヤの「つぶれ」から生じる圧力上昇を「フィルタリング」することが可能である。

本発明はタイヤを備えた車両のホイールに取り付けられたホイールユニット内に配置された圧力センサにより為された圧力測定に基づいて、前記車両に取り付けられた中央ユニットに対して送信される情報をフィルタリングする装置にも及ぶ。このフィルタリング装置においては、
前記ホイールユニットに、
−タイヤ内の空気の圧力を表す値を測定する手段と、
−タイヤ内の温度を表す値を測定する手段と、
−前記測定手段に接続された計算ユニットが設けられており、
前記計算ユニットは、
タイヤ内の空気の圧力を表す測定値を周期θで周期的に取得し、順次測定された各々の圧力値の間に圧力変化ΔＰがあれば、その圧力変化を導出し、
並行して同じ周期θでタイヤ内の空気の温度を表す測定値を取得する
ようにプログラムされており、
２つの順次測定された圧力値の間の圧力変化ΔＰが予め決められた閾値Ｓｐよりも絶対値において大きい場合には、
前記圧力測定値と同じ瞬間に測定された２つの温度値の間の温度差ΔＴを計算し、
この温度差からＣｐ＝ΔＰ／ΔＴとなるような補正係数Ｃｐを導出し、
ａ）ΔＴ＝０のとき、又は
ｂ）補正係数Ｃｐが正であり、かつ所定の閾係数Ｃｐ１よりも高いとき、又は
ｃ）補正係数Ｃｐが負であり、かつ最小閾値と最大閾値の間にないときには、
圧力変化を表す信号を中央ユニットに送信するようにホイールユニットに命令する。

Claims (4)

1. タイヤを備えた車両のホイールに取り付けられたホイールユニット内に配置された圧力センサにより為された圧力測定に基づいて、前記車両に取り付けられた中央ユニットに対して送信される情報をフィルタリングする方法において、
   前記ホイールユニットに、
   −タイヤ内の空気の圧力を表す値を測定する手段と、
   −前記タイヤ内の温度を表す値を測定する手段と、
   −前記測定手段に接続された計算ユニットが設けられており、
   前記計算ユニットは、
   −前記タイヤ内の前記空気の圧力を表す測定値を周期θで周期的に取得し、順次測定された前記圧力を表す値の間に圧力変化ΔＰがあれば、前記圧力変化を導出し、
   −並行して同じ周期θで前記タイヤ内の前記空気の温度を表す値を取得し、
   −２つの順次測定された前記圧力を表す値の間の圧力変化ΔＰが予め決められた閾値Ｓｐよりも絶対値において大きい場合には、
   前記圧力を表す値と同じ瞬間に測定された２つの前記温度を表す値の間の温度差ΔＴを計算し、
   圧力と温度の係数Ｃｐ＝ΔＰ／ΔＴを導出し、
   ａ）ΔＴ＝０のとき、
   ｂ）前記係数Ｃｐが正であり、かつ所定の閾係数Ｃｐ１よりも高いとき、
   ｃ）前記係数Ｃｐが負であり、かつ最小閾値と最大閾値の間にないとき、
   のいずれか１つの条件を満たす場合に、圧力変化を表す信号を前記中央ユニットに送信するように前記ホイールユニットに命令する、ことを特徴とするフィルタリング方法。
2. 負の圧力変化の閾値Ｓｐｎと正の圧力変化の閾値Ｓｐｐが絶対値において異なる、請求項１記載のフィルタリング方法。
3. 前記送信の条件ａ）乃至ｃ）が所定の時間よりも長い持続時間ｔにわたって有効であるときにのみ、前記中央ユニットへの信号の送信を命令する、請求項１又は２記載のフィルタリング方法。
4. タイヤを備えた車両のホイールに取り付けられたホイールユニット内に配置された圧力センサにより為された圧力測定に基づいて、前記車両に取り付けられた中央ユニットに対して送信される情報をフィルタリングする装置において、
   前記ホイールユニットに、
   −タイヤ内の空気の圧力を表す値を測定する手段と、
   −タイヤ内の温度を表す値を測定する手段と、
   −前記測定手段に接続された計算ユニットが設けられており、
   前記計算ユニットは、
   前記タイヤ内の前記空気の圧力を表す測定値を周期θで周期的に取得し、順次測定された各々の前記圧力を表す値の間に圧力変化ΔＰがあれば、前記圧力変化を導出し、
   並行して同じ周期θで前記タイヤ内の前記空気の温度を表す測定値を取得する
   ようにプログラムされており、
   ２つの順次測定された前記圧力を表す値の間の圧力変化ΔＰが予め決められた閾値Ｓｐよりも絶対値において大きい場合には、
   前記圧力を表す値と同じ瞬間に測定された２つの前記温度を表す値の間の温度差ΔＴを計算し、
   圧力と温度の係数Ｃｐ＝ΔＰ／ΔＴを導出し、
   ａ）ΔＴ＝０のとき、
   ｂ）前記係数Ｃｐが正であり、かつ所定の閾係数Ｃｐ１よりも高いとき、
   ｃ）前記係数Ｃｐが負であり、かつ最小閾値と最大閾値の間にないとき、
   のいずれか１つの条件を満たす場合に、圧力変化を表す信号を前記中央ユニットに送信するように前記ホイールユニットに命令する、ことを特徴とするフィルタリング装置。