このような遊技盤71と遊技機70(機枠72)は、その大きさおよび奥行き幅がそれぞれ大きく異なるため、それぞれの搬送に用いられる搬送ローラー103,203も幅が大きく異なり、遊技盤71を検査する検査ライン装置100と、遊技盤71が組み込まれた遊技機70(機枠72)を検査する検査ライン装置200をそれぞれ専用に設ける必要があるが、それら2台(2種類)の検査ライン装置100,200をそれぞれ設置すると設置面積の増大を招いてスペース効率が悪いという問題がある。
通常、遊技盤71を検査ライン装置100で検査した後、その検査済みの遊技盤71を機枠72に組み込んで遊技機70(機枠72)として完成させ、その遊技機70(機枠72)を検査ライン装置200で検査するのであるが、その間、検査ライン装置100は使用していない状態となっている場合や、逆に、遊技盤71が検査装置100で検査されている間、検査装置200が使用されていない状態となっている場合があり、それら検査ライン装置100,200の利用効率が悪いという問題がある。
そこで、一台の検査ライン装置で遊技盤71と遊技機70(機枠72)の双方の検査を可能とするために、例えば検査台101から盤搬送ユニット102を取り外して、代わりに枠搬送ユニット202を検査台101に取り付けて、遊技盤71用の検査ライン装置100から遊技機70(機枠72)用の検査ライン装置200へ搬送ユニット自体の交換を行い、または逆に、検査台201から枠搬送ユニット202を取り外して、代わりに盤搬送ユニット102を検査台201に取り付けて、遊技機70(機枠72)用の検査ライン装置200から遊技盤71用の検査ライン装置100へ搬送ユニット自体の交換を行う場合があった。
更にこの場合、遊技盤71用の転倒防止板105,105も天井フレーム104から取り外して、代わりに遊技機70(機枠72)用の転倒防止板205,205を天井フレーム104に取り付けることで、遊技盤71用の検査ライン装置100から遊技機70(機枠72)用の検査ライン装置200へとその搬送路を変更していた。
しかしながら、このような遊技盤71用の検査ライン装置100から遊技機70(機枠72)用の検査ライン装置100への搬送路の変更、または、遊技機70(機枠72)用の検査ライン装置200から遊技盤71用の検査ライン装置100への搬送路の変更に要する搬送ユニット102,202の組み替えおよび転倒防止板105,205の組み替えに伴う作業は、作業者にとって煩雑になりがちで作業性が悪かった。また、このような組み替えによって使用しない方の搬送ユニット102,202および転動防止板105,205を保管する場所を別途確保する必要があり、スペース効率が良くなかった。
そこで、本発明は、遊技盤用の搬送路から遊技機用の搬送路への変更、または逆に、遊技機用の搬送路から遊技盤用の搬送路への変更が簡便な遊技機検査ライン装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、遊技領域を有する遊技盤または該遊技盤が機枠に組み込まれた遊技機の検査に用いられる遊技機検査ライン装置であって、検査が行われる検査台と、該検査台の上面に取り付けられ、前記遊技機の機枠の下端が載置される枠搬送ローラーが複数並設された枠搬送ユニットと、該枠搬送ユニットの上方の所定高さの位置に支持され、前記遊技盤の下端が載置される盤搬送ローラーが複数並設された盤搬送ユニットとが備えられ、前記盤搬送ユニットは、前記遊技機の搬送方向における前記枠搬送ユニットの基台の一端側および他端側に設けられたスタンドピンによって下方から支持可能であると共に、前記スタンドピンから着脱可能に構成され、前記盤搬送ユニットを前記スタンドピンから取り外した際には、前記スタンドピンは前記盤搬送ユニットを支持することが可能な起立状態から前記盤搬送ユニットを支持することが困難な傾倒状態に変位可能に構成したことを要旨とするものである。
上記構成を有する遊技機検査ライン装置によれば、遊技盤搬送用の盤搬送ユニットが、遊技機搬送用の枠搬送ユニットの上方位置で、その枠搬送ユニットの搬送方向における一端側および他端側に設けられたスタンドピンによって支持可能であると共に、それらスタンドピンは、それぞれ盤搬送ユニットを支持する起立状態から傾倒状態へと変更可能(可変可能)となっているので、一台の検査ライン装置を簡便に遊技盤用から遊技機用、または遊技機用から遊技盤用へとその搬送路を変更することができる。
つまり、枠搬送ユニットの搬送方向における一端側および他端側において、起立状態(起立姿勢)と傾倒状態(傾倒姿勢)とに可変可能なスタンドピンを起立状態にし、その起立状態にされたスタンドピンによって盤搬送ユニットを枠搬送ユニットの上方位置で支持する構成になっているので、遊技機搬送用の枠搬送ユニットを取り外すことなく、その上方位置に遊技盤搬送用の盤搬送ユニットを配置固定(取付)するだけで、簡便に遊技機を搬送する搬送路を、遊技盤を搬送する搬送路へと変更することができる。また、逆にその状態の枠搬送ユニットから盤搬送ユニットを取り外すだけで、簡便に遊技盤71を搬送する搬送路を、遊技機70(機枠72)を搬送する搬送路へと変更することができる。更に、前記スタンドピンを傾倒状態にした際には、前記スタンドピンは前記枠搬送ユニットの前記枠搬送ローラーを含めた搬送面の上端部の高さよりも低くなるように構成することにより、スタンドピンは、使用していないときは、枠搬送ユニットの搬送面の高さよりも低くなるように傾倒させることができるので、枠搬送ユニット上の遊技機に干渉するおそれもなく、遊技機の検査の邪魔にならない。
この場合、前記枠搬送ユニットには、前記スタンドピンを起立状態に保持するピン保持部が設けられている構成にすると良い。このような構成にすれば、枠搬送ユニットの上方位置で盤搬送ユニットが安定して支持される。また、盤搬送ユニットをスタンドピンに取り付ける(支持させる)際に、ピン保持部によってスタンドピンが起立姿勢に保持させることが可能となっているので、盤搬送ユニットの取り付けが簡便である。
また、前記スタンドピンの先端にはネジ部が形成され、前記盤搬送ユニットの基台には前記スタンドピンのネジ部が下側から挿入されるネジ挿入孔が開口されると共に、該ネジ挿入孔から上方に突出した前記スタンドピンのネジ部には蝶ナットが螺合されて、前記盤搬送ユニットが前記スタンドピンの先端によって支持されるようにした構成にすると良い。このような構成によれば、起立状態(起立姿勢)のスタンドピンのネジ部を、盤搬送ユニットの基台に形成されたネジ挿入孔に挿入して、そのネジ部に蝶ナットを螺合するという簡易な作業で、枠搬送ユニットの上方の所定高さの位置に盤搬送ユニットを配置固定することができる。
そして、前記枠搬送ユニットには、傾倒された前記スタンドピンの先端が載置されるピン先端載置部が設けられていると共に、該ピン先端載置部の上面には樹脂製のパッドが貼り付け固定されている構成にすると良い。このような構成によれば、傾倒姿勢になったスタンドピンの先端がピン先端載置部に載置されているので、検査時に作業者の手や他の部材がスタンドピンの先端に引っかかってしまうことが防止される。また、ピン先端載置部の上面(載置面)にゴムなどの樹脂製のパッドが貼り付けられているので、スタンドピンの先端にネジ部が形成されている場合には、そのネジ部が破損してしまうことが防止される。
更に、前記枠搬送ユニット上の前記遊技機の上端部の前後に配置される該遊技機の転倒防止用および前記盤搬送ユニット上の前記遊技盤の上端部の前後に配置される転倒防止用に共用される一対の転倒防止板が備えられると共に、該一対の転倒防止用板の間の間隔を、前記遊技機の上端部用と前記遊技盤の上端部用とに変更可能にする長孔が前記一対の転倒防止板のそれぞれに形成されている構成にすると良い。このような構成によれば、枠搬送ユニット上の遊技機の上端部の前後に配置される転倒防止用の一対の転倒防止板を、その間の間隔を変更して盤搬送ユニット上の遊技盤の上端部の前後に配置される転倒防止用としても用いることができるので、従来技術で説明したように遊技機用と遊技盤用とで対になった板の間の間隔が異なる2種類の転倒防止板を用意する必要がなく、また、使用しない一方の転倒防止板を保管する場所を設ける必要もなくなる。
また、前記一対の転倒防止板の高さを、前記遊技機の上端部用と前記遊技盤の上端部用とに変更可能にする転倒防止板昇降手段が備えられている構成にすると良い。このような構成によれば、枠搬送ユニット上の遊技機の高さと、盤搬送ユニット上の遊技盤の高さが異なる場合でも、それぞれの高さに応じて、エアシリンダなどの昇降手段によって転倒防止板の高さを変更することができ、安定して枠搬送ユニット上の遊技機および盤搬送ユニット上の遊技盤の転倒を防止することが可能となる。
そして、前記検査台には、使用していない前記盤搬送ユニットを収容可能な収容部が設けられている構成にすると良い。このような構成によれば、使用していない盤搬送ユニットの保管場所を別途用意する必要がなく、また、盤搬送ユニットを紛失するおそれもない。
上記構成を有する遊技機検査ライン装置によれば、枠搬送ユニットの基台の一端側および他端側に設けられた起立状態と傾倒状態とに可変可能なスタンドピンによって、盤搬送ユニットを枠搬送ユニットの上方位置で支持する構成になっているので、盤用と枠用の検査ラインを別々に設けたり、搬送ユニット自体を交換したりすることなく、その上方位置に遊技盤搬送用の盤搬送ユニットを配置固定することが可能になっており、簡便に遊技機を搬送する搬送路を、遊技盤を搬送する搬送路へと変更することができるため、検査ラインの設置面積の増大を抑制すると共に、作業効率を向上させることが可能となる。
以下、本発明に係る遊技機検査ライン装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、遊技機検査ライン装置1の遊技盤71検査時の態様と遊技機70(機枠72)検査時の態様のそれぞれを示しており、左側が遊技盤71を検査するときの遊技機検査ライン装置1の外観斜視図、右側が遊技機70(機枠72)を検査するときの遊技機検査ライン装置1の外観斜視図である。尚、以下の遊技機検査ライン装置1およびその構成部材の説明においては、図1に示される遊技機検査ライン装置1(遊技盤71および遊技機70(機枠72))の前面側を前方、その反対側を後方として説明する。例えば、図2においては、右下側が前方および左上側が後方となり、図4においても右下側が前方および左上側が後方となる。
図示されるように、遊技機検査ライン装置1は、検査台2と、この検査台2の上面に取り付けられ、遊技機70(機枠72)を搬送可能にするための枠搬送ユニット10と、この枠搬送ユニット10の上方の所定高さに配置されるように取り付けられ、遊技盤71を搬送可能にするための盤搬送ユニット20と、遊技盤71または遊技機70(機枠72)の上端部の前後に配置されてそれらの転倒を防止するための転倒防止ユニット30を備えている。
先ず、枠搬送ユニット10および盤搬送ユニット20について、主に図2および図3を用いて説明する。図2および図3(b)に示されるように、枠搬送ユニット10は、略H形を有する金属板からなる基台11と、この基台11の長手方向(左右方向)に沿って延びると共に、対向する一対の架台12,12を備える。これら架台12,12間には、その長手方向に沿って複数の枠搬送ローラー(搬送コロ)13が回転可能に取り付けられている。この枠搬送ローラー13のローラー幅は、載置される遊技機70(機枠72)の下端の厚さ(奥行き幅)に合わせた長さを有しており、この場合、遊技機70(機枠72)の下端の厚さよりも長くなっている。
架台12,12は金属板の折り曲げ加工により断面コ字形状に成形されており、その上面には、長手方向に沿って樹脂製のガイド14,14が取り付けられている。したがって、枠搬送ローラー13やガイド14,14によって遊技機70(機枠72)を搬送可能にする搬送面10aが構成されると共に、枠搬送ローラー13上に載置された遊技機70(機枠72)は、これらガイド14,14の間でその下端が挟まれるように配置(位置決め)されるので、枠搬送ローラー13上から前後にずれ落ちないように防止されている。この場合、ガイド14,14は、遊技機70(機枠72)の打球機(操作ハンドル)74や制御基板ケース73等の突出部材が接触しない高さに構成されている。
また、枠搬送ユニット10の基台11には、その四隅角部から前方および後方に延設されたブロック取付部11aが形成されており、そのブロック取付部11aの上面には、アルミ材の切削加工により断面コ字形状に成形された支持ブロック15が取り付けられている。この場合、支持ブロック15の内側には、アルミ材からなるスタンドピン16がその下端部を中心にして回動可能になるように、そのスタンドピン16の下端部が固定ネジ17によって軸支されている。このスタンドピン16の先端には、ネジ部16aが形成されており、後述する盤搬送ユニット20の基台21に形成されたネジ挿入孔21aに挿入されて、蝶ネジ24が螺合されるようになっている。
また、支持ブロック15の上面には、樹脂製のピン保持部材18が取り付けられており、このピン保持部材18によってスタンドピン16を起立状態(起立姿勢)に保持することが可能になっている。この場合、ピン保持部材18には、起立状態のスタンドピン16の軸支された下端部より上方の途中部位を保持(把持)する円弧形状を有した保持爪18aが設けられている。
図3(b)は、遊技機70(機枠72)を搬送する態様の枠搬送ユニット10を示しており、4本のスタンドピン16は、基台11の左右長手方向においてそれぞれ内側に傾倒されている。この傾倒姿勢になったスタンドピン16の先端のネジ部16aは、基台11の中央から前後に延設されたピン先端載置部11bに載置されるようになっている。この場合、ピン先端載置部11aの上面(載置面)にはゴム製のパッド19が貼り付けられており、載置されたスタンドピン16のネジ部16aが破損しないようにされている。
次に、図2に示されるように、盤搬送ユニット20は、矩形を有する金属板からなる基台21と、この基台21の長手方向(左右方向)に沿って延びると共に、対向する一対の架台22,22を備える。これら架台22,22間には、その長手方向に沿って複数の盤搬送ローラー(搬送コロ)23が回転可能に取り付けられている。この盤搬送ローラー23のローラー幅は、載置される遊技盤71の下端の厚さ(奥行き幅)に合わせた長さを有しており、この場合、遊技盤71の下端の厚さよりも長くなっている。この場合、盤搬送ローラー23の左右両端には、遊技盤71が載置される部分のローラー外径よりも太径のフランジ部23a,23aが形成されている。したがって、盤搬送ローラー23上に載置された遊技盤71は、これらフランジ部23a,23aの間でその下端が挟まれるように配置(位置決め)されるので、盤搬送ローラー23上から前後にずれ落ちないように防止されている。尚、架台22,22は金属板の折り曲げ加工により断面コ字形状に成形されており、その上面からは、盤搬送ローラー23の両端のフランジ部23a,23aの上端がやや突出されるように配置されている。
このような盤搬送ユニット20の基台21の四隅角部には、ネジ挿入孔21aが上下に貫通形成されており、上述した枠搬送ユニット10が備えるスタンドピン16のネジ部16aが挿入されるようになっている。
この場合、盤搬送ユニット20は、図3(a)に示されるように、枠搬送ユニット10上方の所定高さの位置に配置(支持)されるように、その枠搬送ユニット10に取り付けることが可能になっている。このような取り付けの手順としては、先ず、枠搬送ユニット10が備える4本のスタンドピン16を、図3(b)に示される傾倒状態から図2に示される起立状態(起立姿勢)へと起こす。このときスタンドピン16は、ピン保持部材18が有する凹部18bに挿着することで凹部18bに形成された保持爪18aによって起立状態(鉛直方向に立った姿勢)に保持される。次に、4本のスタンドピン16のネジ部16aを、盤搬送ユニット20の基台21のネジ挿入孔21aに挿入して、盤搬送ユニット20をスタンドピン16の先端に載せる。次いで、ネジ挿入孔21aから上方に突出したネジ部16aに、蝶ネジ24を螺合させると、図3(a)に示されるように、盤搬送ユニット20は、枠搬送ユニット10上方の所定高さの位置に配置(支持)されるように取り付けられることになる。
次に、転倒防止ユニット30について、主に図4〜図6を用いて説明する。図4に示されるように転倒防止ユニット30は、左右方向に延びる長方形の前側転倒防止板31と、この前側転倒防止板31に対向配置される同じく左右方向に延びる長方形の後側転倒防止板32と、これら前側転倒防止板31および後側転倒防止板32が固定ネジ34を介して取り付けられる天板33を備えている。
前側転倒防止板31は、その上端から後方に延設された取付部31aを有した逆L字形になるように金属板の折り曲げ加工によって成形されている。この前側転倒防止板31の下端部の内側(後側)の面には、樹脂製のガイド35が貼り付け固定されている。また、取付部31aの左右両端には、前後に延びる長孔31bが開口形成されている。
後側転倒防止板32は、その上端から前方に延設された取付部32aを有した逆L字形になるように金属板の折り曲げ加工によって成形されている。この後側転倒防止板32の下端部の内側(前側)の面には、樹脂製のガイド36が貼り付け固定されている。また、取付部32aの左右両端には、前後に延びる長孔32bが開口形成されている。
天板33は、左右方向に延びる長方形を有した金属板で構成されており、下面の中央より左側と右側のそれぞれの領域には、前側転倒防止板31および後側転倒防止板32が、固定ネジ34によって取り付けられるようになっている。この場合、天板33の4箇所には、固定ネジ34が螺合されるネジ孔33aが形成されている。また、天板33の上面の中央には、エアシリンダ37の上下に伸縮可能なロッド37aが連結固定されている。このエアシリンダ37は、天井フレーム3の下面に垂下するように固定されている。したがって、転倒防止ユニット30は、昇降手段としてのエアシリンダ37によって上下に昇降動可能になっており、その高さ(検査台2上面からの高さ)を変更できるようになっている。
図示されるように、天板33に前側転倒防止板31と後側転倒防止板32を取り付ける際には、先ず、天板33の下側に、前側転倒防止板31の取付部31aを重ねるように配置し、次にその取付部31aに、後側転倒防止板32の取付部32aを重ねるように配置する。このとき、天板33に形成されたネジ孔33aと、前側転倒防止板31の取付部31aに形成された長孔31bと、後側転倒防止板32の取付部32aに形成された長孔32bが上下方向で一致するように重ねる。そして、固定ネジ34のネジ部34aを、取付部31aの長孔31bと、取付部32aの長孔32bを通して、天板33のネジ孔33aに螺合させることで、図5および図6に示されるように、前側転倒防止板31および後側転倒防止板32が天板33の下面に取り付けられることになる。
このような構成の転倒防止ユニット30においては、天板33のネジ孔33aへの固定ネジ34の螺合を緩めることで、前側転倒防止板31および後側転倒防止板32は、取付部31aの長孔31bおよび取付部32aの長孔32bを介して、前後に所定長さスライドさせることが可能となっている。したがって、前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)の間の間隔を、図5に示されるように狭めたり、図6に示されるように広げたりすることが可能になっている。
この場合、図5に示される状態の前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)の間の間隔は、図1および図7に示されるような遊技盤71の上端部の前後のそれぞれに対して、前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)がやや隙間を有するように配置される間隔となっている。また、図6に示される状態の前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)の間の間隔は、図1および図8に示されるような遊技機70(機枠72)の上端部の前後のそれぞれに対して、前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)がやや隙間を有するように配置される間隔となっている。
更に、図5に示される状態の前側転倒防止板31と後側転倒防止板32の高さ、つまり転倒防止ユニット30の高さは、図1および図7に示されるような遊技盤71の上端の高さに合わせて、エアシリンダ37の昇降動によって調整されている。また、図6に示される状態の前側転倒防止板31と後側転倒防止板32、つまり転倒防止ユニット30の高さは、図1および図8に示されるような遊技機70(機枠72)の上端の高さに合わせて、エアシリンダ37の昇降動によって調整されている。この場合、図1に示されるように、盤搬送ユニット20上の遊技盤71の高さは、枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)の高さよりも低いため、転倒防止ユニット30は、エアシリンダ37によって機枠72の高さよりも低い遊技盤71或いは遊技盤71の高さよりも高い遊技機70(機枠72)のそれぞれの上端の高さに合わせて昇降動される。
尚、上述した遊技機検査ライン装置1には、図示しないが、遊技盤71および遊技機70(機枠72)に電源を供給する電源部、エアシリンダ37に圧縮エアを供給するエア配管やエア切換バルブ、更には検査の際に用いられる各種スイッチなどが備えられている。また、遊技機検査ライン装置1には、天井フレーム3を支持する図示しない支柱が備えられている。
図7は、遊技機検査ライン装置1の遊技盤71検査時の態様を示している。図示されるように、盤搬送ユニット20は、検査台2上で長手方向に沿って複数(この実施例では3台)並設されて遊技盤搬送路が形成されており、この遊技盤搬送路に沿って遊技盤71は搬送可能になっている。この場合、盤搬送ユニット20の盤搬送ローラー23上に、遊技盤71の下端が載置されると共に、その遊技盤71の上端部の前後には、転倒防止ユニット30の転倒防止板31,32が配置されて、遊技盤71が前後に倒れてしまわないようにされている。
図8は、遊技機検査ライン装置1の遊技機70(機枠72)検査時の態様を示している。図示されるように、図7の状態から盤搬送ユニット20が取り外されている。枠搬送ユニット10は、検査台2上で長手方向に沿って複数(この実施例では3台)並設されて遊技機搬送路が形成されており、この遊技機搬送路に沿って遊技機70(機枠72)は搬送可能になっている。この場合、枠搬送ユニット10の枠搬送ローラー13上に、遊技機70(機枠72)の下端が載置されると共に、その遊技機70(機枠72)の上端部の前後には、転倒防止ユニット30の転倒防止板31,32が配置されて、遊技機70(機枠72)が前後に倒れてしまわないようにされている。
遊技機検査ライン装置1の図7に示されるような遊技盤71を検査する態様から、図8に示されるような遊技機70(機枠72)を検査する態様への変更の手順について説明する。
先ず、図7に示される遊技機検査ライン装置1において、盤搬送ユニット20を枠搬送ユニット10のスタンドピン16の先端に固定している蝶ネジ24を全て外して、盤搬送ユニット20を枠搬送ユニット10上から取り外す。取り外した盤搬送ユニット20は、蝶ネジ24と共に、検査台2の下方に設けられた収容部2aに収容させる。次いで、枠搬送ユニット10の全てのスタンドピン16を、ピン保持部18による保持を解除して起立姿勢から傾倒姿勢へと倒して、その先端(ネジ部16a)をピン先端載置部11bに載置させる。
次に、転倒防止ユニット30の固定ネジ34の螺合を緩めて、天板33に対して前側転倒防止板31および後側転倒防止板32をそれぞれ前後にスライド可能にする。そして、前側転倒防止板31を前方へ所定距離引き出す(スライドさせる)と共に、後側転倒防止板32を後方へと所定距離押し出し(スライドさせ)、前側転倒防止板31(ガイド35)と後側転倒防止板32(ガイド36)の間の間隔を、遊技機70(機枠72)用に変更する。次いで、その状態で固定ネジ34を締め直して、天板33に前側転倒防止板31および後側転倒防止板32を固定する。
そして、最後にエアシリンダ37を駆動して転倒防止ユニット30を上昇させ、その高さを、遊技機70(機枠72)用に変更する。このような手順によって、遊技機検査ライン装置1は、図7に示されるような遊技盤71を検査する態様から、図8に示されるような遊技機70(機枠72)を検査する態様へと変更される。尚、図8に示されるような遊技機70(機枠72)を検査する態様から、図7に示されるような遊技盤71を検査する態様への変更は、上述した手順の逆の手順を経ることで変更可能となっている。
以上説明した遊技機検査ライン装置1によれば、遊技盤71搬送用の盤搬送ユニット20が、遊技機70(機枠72)搬送用の枠搬送ユニット10の上方位置で、その枠搬送ユニット10の四隅角部に立設される4本のスタンドピン16によって支持可能であると共に、それら4本のスタンドピン16は、それぞれ盤搬送ユニット20を支持する起立状態から傾倒状態へと変更可能(可変可能)となっているので、一台の検査ライン装置1を簡便に遊技盤71用から遊技機70(機枠72)用、または遊技機70(機枠72)用から遊技盤71用へとその搬送路を変更することができる。
つまり、枠搬送ユニット10の基台の一端側および他端側の四隅角部において、起立状態(起立姿勢)と傾倒状態(傾倒姿勢)とに可変可能な4本のスタンドピン16を起立状態にし、その起立状態にされたスタンドピン16によって盤搬送ユニット20を枠搬送ユニット10の上方位置で支持する構成になっているので、遊技機70(機枠72)搬送用の枠搬送ユニット10を取り外すことなく検査台2上に固定したままで、その上方位置に遊技盤71搬送用の盤搬送ユニット20を取り付けるだけで、簡便に遊技機70(機枠72)を搬送する搬送路を、遊技盤71を搬送する搬送路へと変更することができる。また、逆にその状態の枠搬送ユニット10から盤搬送ユニット20を取り外すだけで、簡便に遊技盤71を搬送する搬送路を、遊技機70(機枠72)を搬送する搬送路へと変更することができる。更に、4本のスタンドピン16は、使用していないとき、つまり盤搬送ユニット20を支持していないときは、枠搬送ユニット10の枠搬送ローラー13を含めた搬送面10aの上端部の高さよりも低くなるように傾倒させるように構成することで、枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)に干渉するおそれもなく、遊技機70(機枠72)の検査の邪魔にならない。
また、枠搬送ユニット10には、盤搬送ユニット20を枠搬送ユニット10の上方位置で支持するためのスタンドピン16を起立状態に保持する凹部18bを有するピン保持部18が設けられているので、枠搬送ユニット10の上方位置で盤搬送ユニット20が安定して支持される。また、盤搬送ユニット20をスタンドピン16に取り付ける(支持させる)際に、ピン保持部18によってスタンドピン16が起立姿勢に保持させることが可能となっているので、盤搬送ユニット20の取り付けが簡便である。
また、スタンドピン16の先端にはネジ部16aが形成され、盤搬送ユニット20の基台21にはスタンドピン16のネジ部16aが下側から挿入されるネジ挿入孔21aが開口されていると共に、そのネジ挿入孔21aから上方に突出したネジ部16aには蝶ナット24が螺合されて、盤搬送ユニット20がスタンドピン16の先端によって支持されている構成にするのが好ましい。このような構成によれば、起立状態(起立姿勢)のスタンドピン16のネジ部16aを、盤搬送ユニット20の基台21に形成されたネジ挿入孔21aに挿入して、そのネジ部16aに蝶ナット24を螺合するという簡易な作業で、枠搬送ユニット10の上方の所定高さの位置に盤搬送ユニット20を配置固定することができる。
そして、枠搬送ユニット10には、傾倒されたスタンドピン16の先端が載置されるピン先端載置部11bが設けられているので、検査時に作業者の手や他の部材がスタンドピンの先端に引っかかってしまうことが防止される。また、ピン先端載置部11bの上面(載置面)にゴムなどの樹脂製のパッド19が貼り付けられているので、スタンドピン16の先端にネジ部16aが形成されている場合には、そのネジ部16aが破損してしまうことが防止される。更に、スタンドピン16を使用していない際は、スタンドピン16の先端のネジ部16aにゴムなどの樹脂製の蓋部材を装着すれば、更にネジ部16aの破損を抑制することが可能となる。
更に、枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)の上端部の前後に配置される遊技機70(機枠72)の転倒防止用と、盤搬送ユニット20上の遊技盤71の上端部の前後に配置される転倒防止用に共用される一対の転倒防止板31,32(転倒防止ユニット30)を備えると共に、一対の転倒防止用板31,32の間の間隔を、遊技機70(機枠72)の上端部用と遊技盤71の上端部用とに変更可能にする長孔31b,32bが一対の転倒防止板31,32のそれぞれに形成されている構成にするのが好ましい。このような構成によれば、枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)の上端部の前後に配置される転倒防止用の一対の転倒防止板31,32を、その間の間隔を変更して盤搬送ユニット20上の遊技盤71の上端部の前後に配置される転倒防止用としても用いることができるので、従来技術で説明したように遊技機70(機枠72)用と遊技盤71用とで対になった板の間の間隔が異なる2種類の転倒防止板205,105を用意する必要がなく、また、使用しない一方の転倒防止板を保管する場所を設ける必要もなくなる。更に、機枠72の大きさが変更されても容易に調整することができ、変更された大きさに対応させることが可能となる。
また、一対の転倒防止板31,32(転倒防止ユニット30)の高さを、遊技機70(機枠72)の上端部用と遊技盤71の上端部用とに変更可能にする転倒防止板昇降手段(エアシリンダ)37が備えられている構成にするのが好ましい。このような構成によれば、枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)の高さと、盤搬送ユニット20上の遊技盤71の高さが異なる場合でも、それぞれの高さに応じて、エアシリンダ37などの昇降手段によって転倒防止板31,32(転倒防止ユニット30)の高さを変更することができ、安定して枠搬送ユニット10上の遊技機70(機枠72)および盤搬送ユニット20上の遊技盤71の転倒を防止することが可能となる。
そして、検査台2には、使用していない盤搬送ユニット20を収容可能な収容部2aが設けられている構成にするのが好ましい。このような構成によれば、使用していない盤搬送ユニット20や蝶ナット24の保管場所を別途用意する必要もなく、また、これら盤搬送ユニット20や蝶ナット24を紛失するおそれもない。
以上本発明に係る遊技機検査ライン装置の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上述した実施形態では、検査台2の長手方向に沿って3台の枠搬送ユニット10および盤搬送ユニット20を並設した構成について説明したが、4台、5台、6台・・・と並設しても良く、更には、検査台2を複数台並設させた構成でも良く、これらの台数は上述した実施の形態の台数に限定されない。