JP5073967B2 - 単一細胞の遺伝子発現定量方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単一細胞由来のcDNAを担体に固定化してなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを解析試料とした遺伝子発現の定量解析方法に関する。本発明はまた、少量の細胞由来のcDNAを担体に固定化してなるcDNA固定化担体ライブラリーを解析試料とした遺伝子発現の定量解析方法に関する。
代表的な従来の遺伝子発現解析方法として、マイクロアレイ法およびリアルタイムPCR法があり、これら従来法では複数細胞からなる組織片、あるいは多数の培養細胞(〜106個)を解析試料として用いることが多い。実際の細胞内では時間と共に遺伝子の発現量が種々に変化するため、同じ組織でも場所により細胞毎に遺伝子の発現に時間的なずれが生じる。したがって、組織や多数の細胞を試料とした解析では、細胞毎の違いを平均化して測定することになる。このようなデーターからはダイナミックに変化する、生きている生命の詳細情報を得ることは難しい。生命を持って生物活動を行う最小単位である細胞1つ1つの中で生じる生命現象が異なっている以上、複数の細胞を解析試料とする従来の遺伝子発現解析では、細胞単独および細胞間の生命活動を統合的に解析することは困難なのである。
最近、生命をシステムとして捉えようとする動きが活発化してきた。生命システムとしての最小単位は細胞であることから、生命システムを理解するためには、単一細胞に含まれる全ての分子を分析し、細胞を統一的に解析していくことが必要である。例えば、ホルモンや神経伝達物質など生体内の情報伝達に関与する組織、および発生段階の胚組織では、遺伝子発現量が各細胞で大きく異なっていると考えられる。したがって、単一細胞レベルの遺伝子発現解析の必要性は高い。
近年、試薬・検出装置等に関する著しい技術発展により単一細胞レベルの遺伝子発現解析が実現可能となり、興味深い分子生物学的知見が報告され、注目されている。しかし、単一細胞に含まれるmRNAが極めて微量であることから、検出感度の問題は完全に解決されておらず、依然解析可能な遺伝子は高発現なものに限られている。
ゲノム解析の時代には如何に未知のDNA配列を効率よく読みとるかに重点が置かれ、技術開発がなされてきた。これに対しポストゲノムの時代には、細胞をシステムとして理解するため、各々の単一細胞に発現しているmRNA中には、どのような遺伝子由来のmRNAが、どの程度存在しているのかを高感度に解析する手法が求められる。このような状況下、効率よくmRNA分子を回収し、cDNAを合成させる手法として、オリゴ(dT)固定化磁気ビーズを用いてmRNAを捕捉させ、逆転写反応を行う手法が提案されている(特許文献1および特許文献2)。
上述した従来の技術には、次のような技術的問題があり得る。まず、特許文献1および特許文献2に係る手法では、複数細胞からRNA 1 μg(105細胞分に相当)を予め抽出・精製し、これを希釈した微量RNA溶液を出発材料としている。すなわち、実際に単一細胞からRNAを抽出していない。特許文献1および特許文献2記載のRNA抽出法および精製法は、チューブから別チューブへ試料を繰り返し移動させる操作や、RNAをカラム吸着させてそのカラムを繰り返し洗浄するといった操作が必要であり、RNA試料の損失を伴うため、単一細胞に含まれる極微量のRNA(約10 pg)を回収することは困難である。また、このような従来法では、サンプル毎に回収率のバラつきが生じてしまうため、定量解析には不向きである。さらに、特許文献1および特許文献2に係る手法では、磁気ビーズ上で逆転写反応した後、いずれも通常のPCR増幅工程を実施するため、この工程により元の試料中にあった様々な遺伝子由来のmRNA分子の絶対数および存在比が変化してしまい、定量解析試料として適用できない。
一方、単一細胞の遺伝子発現解析用に、1チューブ内で細胞溶解工程、DNase処理工程、逆転写工程を行うための試薬キットが市販されている。本試薬によるcDNA合成は、操作が容易であり、通常の核酸抽出・精製に伴う解析試料の損失および回収率のバラつきといった問題がない。しかし、この試薬を用いて合成したcDNA溶液には残留試薬が持込まれるため、PCR増幅反応が阻害され、単一細胞由来cDNA全量を用いたリアルタイムPCR解析を行うことは困難である。したがって、残留試薬によるPCR増幅阻害を低減するため、単一細胞由来のcDNAをさらに分割したものを解析試料として使用しなければならず、リアルタイムPCR解析の検出感度が大幅に低下してしまう。また解析に伴い、単一細胞由来のcDNAは消費されてしまうので、解析可能な遺伝子の種類が限られてしまう。
特開2002−238575号公報 特開2005−46138号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、単一細胞の遺伝子発現を好適に定量解析する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、採取した単一細胞を1チューブ内で細胞溶解する工程およびDNA分解酵素で処理する工程を行い、さらに該1チューブ内で、オリゴ(dT)を表面に固定化した担体を用いた逆転写反応工程を実施することで、単一細胞内に存在していた極微量mRNAから、cDNAを担体表面上で損失なく合成できることを確認した。これにより、単一細胞の極微量mRNAが担体に固定された、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製でき、従来法では困難であった単一細胞レベルの微量cDNAが容易に精製・回収できることを見出した。
さらに、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを、そのまま解析試料としてリアルタイムPCRを実施しても定量性が損なわれず、また解析後、この単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを洗浄することにより、繰り返し解析試料として定量解析に用いることが可能であるという知見を得た。これにより、試料中に持込まれた残留試薬によるPCR阻害、解析試料の分割による感度の低下問題、および限られた数の遺伝子しか解析できないという、従来法の問題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)少なくとも単一細胞を含む試料から単一細胞を採取する工程と、
採取された単一細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程と、
溶出された核酸のうちDNA分解酵素によりDNAを分解するDNA分解工程と、
該単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程と、
担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程
を有する、核酸検出方法。
(2)細胞溶解工程と、
DNA分解工程と、
該単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程
を1チューブ内で行う、(1)に記載の核酸検出方法。
(3)担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程の後に、
担体を回収して洗浄する工程aと、
担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程bと
をさらに有する、(1)に記載の核酸検出方法。
(4)工程bの後に、工程aおよび工程bを繰り返す工程をさらに有する、(3)に記載の核酸検出方法。
(5)単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程において、単一細胞に含まれるmRNAの実質的に全てをハイブリダイズさせる、(1)に記載の核酸検出方法。
(6)担体が粒子であり、粒子の総表面積が0.1cm2以上である、(1)に記載の核酸検出方法。
(7)担体が粒子であり、増幅反応溶液に含まれる粒子全体の総和が液量全体の1%以下である、(1)に記載の核酸検出方法。
(8)担体が粒子であり、増幅反応溶液における粒子の占有体積率が0.1%以下である、(1)に記載の核酸検出方法。
(9)担体に固定されたオリゴ(dT)の総分子量が1012分子以上である、(1)に記載の核酸検出方法。
(10)粒子の径が1μmであり、粒子の数が107〜108である、(6)〜(9)のいずれかに記載の核酸検出方法。
(11)粒子の径が2.8μmであり、粒子の数が106〜107である、(6)〜(9)のいずれかに記載の核酸検出方法。
(12)粒子が磁気ビーズである、(6)〜(11)のいずれかに記載の核酸検出方法。
(13)細胞を含む試料から103個以下の複数細胞を採取する工程と、
採取された細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程と、
溶出された核酸のうちDNA分解酵素によりDNAを分解するDNA分解工程と、
該細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、該細胞由来のcDNAが担体に固定されてなるcDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程と、
担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程
を有する、核酸検出方法。
本発明によれば、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製することで、従来は困難とされていた単一細胞レベルの微量cDNAの精製および回収が、容易に実施できる。さらに、従来法では試料中に持込まれていた残留試薬(細胞溶解試薬およびDNase試薬など)を除去することが可能となるため、残留試薬によるPCR阻害を考慮しなくてよく、単一細胞由来のcDNA試料を分割することなく全量を増幅反応に使用できる。すなわち、従来よりも高い感度でPCR解析が可能となる。
本発明は、以下の工程:
少なくとも単一細胞を含む試料から単一細胞を採取する工程と、
採取された単一細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程と、
溶出された核酸のうちDNA分解酵素によりDNAを分解するDNA分解工程と、
該単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程と、
担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程
を有する、核酸検出方法に関する。尚、試料の損失を防ぐため、細胞溶解工程から単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程までは、1チューブ内で実施することが好ましい。
少なくとも単一細胞を含む試料は、動物、植物および微生物等の細胞および組織等のmRNAを含むものであれば特に制限されない。試料から単一細胞を採取する工程は、当技術分野で慣用の方法により実施できる。例えば、培養細胞をトリプシンで処理することにより細胞を剥離・浮遊させ、トリプシンを失活させた後、細胞懸濁液を遠心して上清を除去し、得られた細胞塊を緩衝液に懸濁し、血球計算板等を用いて細胞数をカウントしながら500細胞/mL程度に希釈し、顕微鏡下、ピペットを用いて細胞希釈液の液滴から単一細胞を吸引してチューブに吐出する。RNA分解を回避するため、採取した細胞は低温に維持することが好ましい。
単一細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程は、Proteinase Kのような蛋白分解酵素、チオシアン酸グアニジン・グアニジン塩酸といったカオトロピック塩、TweenおよびSDSといった界面活性剤を用いて実施できる。当該工程により、上記工程で採取された単一細胞に含まれる核酸、すなわちDNAおよびRNAを溶出させることができる。
続いて、上記細胞溶解工程で溶出された核酸のうち、DNAを、DNA分解酵素(DNase)により分解する。これにより、細胞溶解試料に含まれるゲノムDNAを分解することができ、核酸としてRNAのみを含む試料が得られる。具体的には、細胞溶解試料にDNase I等を加えてインキュベートし、反応後速やかにEDTA添加して加熱することにより、DNase Iを失活させる。
次の工程で、単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる。好ましくは、単一細胞に含まれるmRNAの実質的に全てをハイブリダイズさせる。mRNAはポリA配列を含むことから、該配列と相補的なオリゴ(dT)を用いてこれにハイブリダイズさせることにより、単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAのみを担体に結合させることができる。オリゴ(dT)は常法により合成でき、オリゴ(dT)の重合度は、mRNAのポリA配列とハイブリダイズして、mRNAをオリゴ(dT)が固定された担体に結合しうる重合度であればよい。すなわち、オリゴ(dT)の重合度を一定以上とすることにより、ポリA配列とのハイブリダイズが弱くなってmRNAの捕捉率が低下するのを防止でき、オリゴ(dT)の重合度を一定以下とすることによりオリゴ(dT)の担体表面における固定率の低下を防止し、自ら高次構造を形成することによるmRNAのポリA配列とのハイブリダイズの阻害を防止できる。したがって、オリゴ(dT)の重合度は、通常5〜200、好ましくは20〜40である。また、オリゴ(dT)に代えてポリU等の、mRNAのポリA配列に相補的な配列を含んでいるものも使用することができ、これらの使用も本発明に包含される。
オリゴ(dT)を固定化する担体は、水不溶性で、加熱変性時に溶融しないものであれば特に制限されない。その材料としては、例えば、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、白金、チタン、ニッケル等の金属;ステンレス、ハステロイ、インコネル、モネル、ジュラルミン等の合金;シリコン;ガラス、石英ガラス、溶融石英、合成石英、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライトおよび感光性ガラス等のガラス材料;ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 樹脂)、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂および塩化ビニル樹脂等のプラスチック;アガロース、デキストラン、セルロース、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、キチン、キトサンが挙げられる。また、担体の形状についても、特に限定はなく、タイタープレート、平板、フィルム、チューブおよび粒子等が挙げられる。担体として粒子を用いることによって、単位体積あたりより大きな表面積を利用することができるので、反応を促進し、迅速かつ効率的な処理を行うことができる。さらに、粒子として磁化されたまたは磁化可能な磁気ビーズを用いることによって、分離処理等について、自動化、効率化または迅速化することができる。
オリゴ(dT)を担体に固定化する方法は、特に限定されないが、例えば、共有結合、イオン結合、物理吸着、生物学的結合(例えば、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジンとの結合、抗原と抗体との結合など)によって固定化する方法などを例示することができる。オリゴ(dT)はスペーサー配列、例えば1〜10個の炭素原子を含む炭化水素基を介して、担体に固定してもよい。
共有結合を介したオリゴ(dT)の担体への固定化は、例えば、オリゴ(dT)に官能基を導入しかつ該官能基と反応性の官能基を担体表面に導入して両者を反応させることにより実施できる。例えば、オリゴ(dT)にアミノ基を導入し、担体に活性エステル基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボジイミド基、イソチオシアネート基またはイソシアネート基を導入することにより共有結合を形成できる。また、オリゴ(dT)にメルカプト基を導入し、担体に活性エステル基、マレイミド基またはジスルフィド基を導入してもよい。活性エステル基としては、例えば、p−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド基等が挙げられる。
官能基を担体の表面に導入する方法の一つとしては、所望の官能基を有するシランカップリング剤によって担体を処理する方法が挙げられる。カップリング剤の例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−β−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、あるいはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を用いることができる。結合部位となる官能基を担体に導入する別の方法としては、プラズマ処理が挙げられる。このようなプラズマ処理により、固相の表面に、水酸基やアミノ基等の官能基を導入することができる。プラズマ処理は、当業者には既知の装置を用いて行うことができる。
物理吸着によってオリゴ(dT)を担体に固定する方法としては、ポリ陽イオン(ポリリシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等)で表面処理した担体に、オリゴ(dT)の荷電を利用して静電結合させる方法などが挙げられる。
担体に固定されたオリゴ(dT)の総量は、1012分子以上であることが好ましい。
担体として粒子を用いる場合、粒子の径は、通常50μm以下である。また、オリゴ(dT)を固定化して単一細胞由来のmRNAをハイブリダイズさせる粒子の総表面積は0.1cm2以上、および溶液中における粒子の占有体積率は1%以下であることが好ましい。用いる粒子の好適な数は、粒子に固定されたオリゴ(dT)数および粒子の径によって適宜選択することが好ましい。オリゴ(dT)固定量が約5x1012分子/cm2の条件の際、粒子の径が特に1.0μmである場合、粒子の数は好ましくは107〜108であり、粒子の径が特に2.8μmである場合、粒子の数は好ましくは106〜107である。
単一細胞内に存在する全てのmRNA分子は105〜106分子であるため、その分子数より多い107個の粒子を用いると、粒子1個あたりに多くともmRNA 1分子が捕捉されると考えられる。粒子1個の表面へ固定され得るオリゴ(dT)は非常に多いため、より少ない数の粒子で逆転写反応を行っても、逆転写反応効率は低下しないと推測される。したがって、リアルタイムPCRを用いて定量解析を行う場合は、逆転写反応効率が低下しない範囲内であれば、複数のオリゴ(dT)が固定された粒子1個あたりに、複数の遺伝子に由来する複数のmRNA分子を捕捉して、複数の遺伝子に由来するcDNAを合成してもよい。
オリゴ(dT)が固定された担体にmRNAをハイブリダイズさせる反応は、オリゴ(dT)固定化担体とポリA配列を有するmRNAを含む試料とを緩衝液中でインキュベーションすることにより実施できる。かかるハイブリダイゼーションのためのインキュベーションは、温度70℃で5分程度穏やかな攪拌下で行い、その後0.1℃/秒程度でゆっくりと室温にまで温度を低下させることが好ましい。上記緩衝液としては、RNase活性が極力除去された緩衝液が好ましい。また、インキュベーション後、試料中の担体非結合成分を洗浄・除去することが好ましい。
次の工程で、オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する。cDNAの合成は、オリゴ(dT)をプライマーとし、ハイブリダイズしたmRNAを鋳型として、デオキシヌクレオチドの存在下、逆転写酵素を用いて反応させることにより実施できる(図2参照)。
逆転写反応後、担体を緩衝液で洗浄して上清を除去する操作を実施することにより、残留試薬、例えば、細胞溶解試薬およびDNA分解酵素を除去することができ、その後のPCR増幅反応が阻害されることなく進行する。したがって、単一細胞由来のcDNA試料を分割することなく全量を解析に使用することができる。その結果、検出精度を向上させることができる。担体として磁気ビーズを用いる場合は、各チューブ内の磁気ビーズをマグネットで捕捉し、cDNA調製に要した残留試薬を含む上清を除去し、さらに各チューブ内の磁気ビーズを緩衝液に懸濁し、マグネットで捕捉後、上清を除去する洗浄操作を行うことにより、残留試薬を含まない単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーをより簡便に調製することができる。
上記の工程により得られた単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを用いてPCRを実施しながらその増幅量を光学的に検出することにより、単一細胞に含まれる特定の遺伝子に由来するmRNAを検出・定量することができる。好ましくは、上記単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを用いてリアルタイムPCRを実施する。
リアルタイムPCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れている。この方法には、通常、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置を用いる。まず、段階希釈した既知量のDNAをスタンダードとしてPCRを行い、これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を縦軸に、初発のDNA量(分子数)を横軸にプロットし、検量線を作成する。未知濃度のサンプルについても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求め、この値と検量線から、サンプル中の目的のDNA量を測定することができる。
以下、担体に固定されたcDNAについてPCRを行いながらその増幅量を検出する工程の一実施形態について説明する。単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーに存在する、特定の遺伝子に由来するcDNAが固定された担体において、PCR溶液中に存在するリアルタイムPCRプライマー(R)が当該遺伝子由来のcDNAへアニールする。その後、相補鎖伸長反応により該cDNAに対して相補的なPCR産物(R鎖)が合成される。さらに熱変性後、上記反応が繰り返されるとともに、PCR溶液中に存在していたリアルタイムPCRプライマー(F)が、生じたPCR産物(R鎖)へアニールし、相補鎖伸長反応が進んでPCR産物(F鎖)が生じる。このように、始めのPCRサイクルでは、担体上に固定されたcDNA分子を鋳型として反応が進むが、それに続くPCRは液相系へシフトし、PCR産物(R鎖)およびPCR産物(F鎖)にはそれぞれリアルタイムPCRプライマー(F)およびリアルタイムPCRプライマー(R)がそれぞれアニールして、PCR産物は指数的に液相中へ蓄積されていく。
リアルタイムPCRにおいて、その増幅量の検出(PCR産物の検出)は、当技術分野で通常用いられる方法により実施することができる。例えば、インターカレーター法、蛍光プローブ法などが挙げられる。インターカレーター法は、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(例えば、インターカレーター:SYBR(登録商標)Green I)をPCR反応系に加える方法である。インターカレーターは、PCR反応によって合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発するため、この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターすることができる。増幅DNAの融解温度を測定することもできる。蛍光プローブ法は、5'末端を蛍光物質(FAMなど)で、3'末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチド(遺伝子特異的プローブ)をPCR反応系に加える方法である。蛍光プローブは、アニーリングステップで鋳型DNAに特異的にハイブリダイズするが、プローブ上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制される。伸長反応ステップのときに、Taq DNA ポリメラーゼのもつ5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にハイブリダイズした遺伝子特異的プローブが分解されると、蛍光色素がプローブから遊離し、クエンチャーによる抑制が解除されて蛍光を発する。この蛍光強度を測定することで、増幅産物の量をモニターすることができる。本発明の核酸検出方法においては、蛍光プローブ法を用いるのが好ましい。
蛍光発光は微弱ではあるが、非特異的な蛍光発光を伴う蛍光発光インターカレーター法に比べ、非特異的な蛍光発光がほとんど無い蛍光プローブ法の方がバックグラウンドを低く抑えることができるため、より高感度な測定(より高いS/N比)が可能となる。従って、単一細胞から得られる極微量核酸を定量する場合には、蛍光プローブ法が適している。
一実施形態において本発明の核酸検出方法は、担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程の後に、担体を回収して洗浄する工程aと、担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程bとをさらに含む。本実施形態は、特定の遺伝子由来のcDNAについて増幅反応を実施してその増幅量を検出することにより当該遺伝子の発現解析を実施した後、担体を回収して洗浄することにより、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを再利用するものである。単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーは、洗浄操作により繰り返し解析試料として利用可能であることから、同一の単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを用いて、同一細胞における様々な遺伝子のmRNAコピー数を定量することが可能となる。
別の実施形態において本発明の核酸検出方法は、上記工程bの後に、工程aおよび工程bを繰り返す工程をさらに有する。本実施形態は、発現定量解析を行う遺伝子の数だけ、工程aおよび工程bを繰り返すものである。したがって、工程aおよび工程bを繰り返す回数は特に制限されず、目的の遺伝子数に応じて適宜設定すればよい。
本発明によれば、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製することで、従来は困難とされていた単一細胞レベルの微量cDNAの精製および回収が、容易に実施できる。さらに、従来法では試料中に持込まれていた残留試薬(細胞溶解試薬およびDNase試薬など)を除去することが可能となるため、残留試薬によるPCR阻害を考慮しなくてよく、単一細胞由来のcDNA試料を分割することなく全量を増幅反応に使用できる。すなわち、従来よりも高い感度でPCR解析が可能となる。また従来は、解析する毎に試料を消費してしまうため、単一細胞由来の極微量なcDNAによって解析できる遺伝子の数は限られていたが、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーは、洗浄操作により繰り返しPCR解析試料として利用可能であることから、同一細胞における様々な遺伝子の発現定量解析が可能となる。
上記の単一細胞由来のcDNAを担体に固定化してなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを解析試料とした核酸検出方法は、複数細胞を解析資料とした複数細胞由来cDNAを担体に固定化してなるcDNA固定化担体ライブラリーを用いた核酸検出方法として応用できる。特に、少数の細胞に対し有利に適用できる。103細胞以下のような少数の細胞を解析試料として用いた場合、従来の発現解析法では感度が足りないという問題や、測定誤差が大きいという問題が伴う。これに対し、本発明の方法を適用すれば、少量の細胞を用いても、高精度に定量解析することが可能である。
すなわち一実施形態において本発明は、
細胞を含む試料から103個以下の複数細胞を採取する工程と、
採取された細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程と、
溶出された核酸のうちDNA分解酵素によりDNAを分解するDNA分解工程と、
該細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、該細胞由来のcDNAが担体に固定されてなるcDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程と、
担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程
を有する、核酸検出方法に関する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
予め解析対象遺伝子として複数個選択した遺伝子に関し、解析試料である単一細胞中に各遺伝子由来のmRNA分子がどの程度存在するかを定量する解析方法を、図1記載のフローに示すように工程1-1から工程1-6までの操作に従って実施した。すなわち、単一細胞を採取し(工程1-1)、続いて、細胞溶解(工程1-2)、単一細胞中のゲノムDNAを除去するDNase処理(工程1-3)、およびオリゴ(dT)が固定された担体を用いた逆転写反応を行い、単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製した(工程1-4)。単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する上で、cDNA合成効率を高め、またその試料間のバラつきを最小限に抑えるため、この工程1-1から工程1-4は、1チューブ内で実施した。作製した単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを用いて、リアルタイムPCRを行い、単一細胞における解析対象遺伝子の発現定量を行った(工程1-5)。また、この単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを回収・洗浄することで(工程1-6)、解析試料として再利用し、複数の遺伝子に関して定量解析を実施した。各工程に関する詳細を、以下に説明する。
単一細胞採取
まず始めに、図1の工程1-1に示す単一細胞採取を実施するため、American Type Culture Collection(ATCC)より提供されているヒト大腸がん細胞(HCT116)を、適量のAdvanced D-MEM培養液(GIBCO社)(グルタミン 5 %、非働化ウシ胎児血清 10 %含有)で懸濁し、この溶液を滅菌フラスコに入れ、37℃、CO2 5 %の条件下で1〜2日間培養した。微生物等による汚染がなく、正常に細胞が増殖したことを顕微鏡下で確認した。続いて、滅菌フラスコ底に付着している培養細胞をリン酸緩衝液(pH 7.4、GIBCO社)3 mLで洗浄し、トリプシン1 mL(GIBCO社)を添加して37℃、3分間インキュベーションを行い、細胞を剥離・浮遊させた。細胞懸濁液中のトリプシンを失活させるため、Advanced D-MEM培養液(グルタミン 5 %、非働化FBS 10 %含有)を3 mL添加した。この細胞懸濁液(約4 mL)を15 mLチューブへ移し、遠心(1000 rpm、3分間、4℃)後、上清を除去した。15 mLチューブ底へ集められた細胞塊を、10 mL程度のリン酸緩衝液(pH 7.4)で懸濁し、血球計算板(Burker−Turk型)を用いて細胞数をカウントした。尚、この血球計算板でカウント可能な細胞数は105〜107個/mL程度であるため、カウントした細胞懸濁液を、500細胞/mL程度へさらに希釈調整した。この細胞希釈液100 μL(すなわち約50個の細胞を含む)を、96ウェルプレート(FALCON社)の蓋の窪み(面積;2 cm2)へ移し、液滴を形成した。続いて顕微鏡下(倍率100倍)で、ピペット(Drummond社、チップ先端径;190 μm)を用い、1 μLのリン酸緩衝液(pH 7.4)とともに単一細胞を吸引した。急激に吐出すると細胞が破砕してしまうため、PCRチューブ(Axygen Scientific社、低吸着性チューブ)の底に予めリン酸緩衝液(pH 7.4)1 μLを添加しておき、その中へチップの先端を挿入し、ゆっくりと単一細胞を吐出した。同様の操作で、単一細胞試料(リン酸緩衝液2 μL中に単一細胞を含む)を6回、ネガティブコントロール用として0細胞(リン酸緩衝液2 μLのみ)試料を1回サンプリングした。またRNA分解を回避するため、ピックアップした細胞は氷上に静置し、速やかに次の工程へ進んだ。
細胞溶解
SuperScript III CellsDirect cDNA Synthesis System(Invitrogen社)添付のResuspension Buffer 8 μLおよびLysis Enhancer 0.8 μLを混和して細胞溶解用試薬Mixを調製し、これを試料の入った各チューブへ1.1 μLずつ分注して75℃、10分間の熱処理を行うことにより細胞を溶解した(図1の工程1-2)。
DNase(DNA分解酵素)処理
続いて試料中に含まれるゲノムDNAを分解するため、試料を氷上にて3分間冷却後、DNase I(1 U/μL、Invitrogen社)4.0 μLおよび10 x DNase I Buffer 2.88μLを混和し、DNase処理用試薬Mixを調製し、これを試料の入った各チューブへ0.86 μLずつ分注して室温で5分間インキュベートした。反応後速やかに2.5 mMのEDTA 1.2μLを試料の入った各チューブへ添加し、70℃ 5分間の加熱処理を行い、DNase Iを失活させた(図1の工程1-3)。
磁気ビーズ表面へのオリゴ(dT) 30 固定化
以下の操作により、磁気ビーズにオリゴ(dT)30(配列番号1)を固定化した。表面をストレプトアビジンでコートした磁気ビーズ(直径1 μm、107 個/μL、DYNAL BIOTECH社)をよく懸濁して一様な濃度にし、100 μL(磁気ビーズ109個を含む)を1.5 mLチューブへ採取した。マグネットを1.5 mLチューブに近接させて磁気ビーズを捕捉し、上清を除去した。さらにBinding & Washing Buffer(5 mM Tris-HCl(pH 7.5)、0.5 mM EDTA、1 M NaCl)100 μLを磁気ビーズへ混和し、マグネットで磁気ビーズを捕捉後、上清を除去することにより磁気ビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した。5’末端にビオチン2分子を修飾し、続いてカーボン6つをスペーサー配列として含むオリゴ(dT)30(100 pmol/μL)6.67 μLへ、Binding & Washing Bufferを加えてオリゴ(dT)30希釈液400 μL(1.67 pmol/μL、4.0 x 1014分子含有)に調製した。このオリゴ(dT)30希釈溶液400 μLを、洗浄した磁気ビーズへ添加し、ローターで60分間よく攪拌させ、ストレプトアビジン−ビオチン結合を利用して磁気ビーズ表面へオリゴ(dT)30を結合させた。磁気ビーズへ結合しなかった過剰なオリゴ(dT)30を取り除くため、マグネットで磁気ビーズを捕捉して上清を除去し、Binding & Washing Bufferで2回ビーズの洗浄を行った。さらにRNaseを取り除くため、溶液A(0.1N NaOH、0.05M NaCl、DEPC処理)で2回、溶液B(0.1M NaCl、DEPC処理)で1回洗浄後、200μLの滅菌水を添加して、オリゴ(dT)30が固定した磁気ビーズ懸濁液(0.5 x 107個/μL、推定オリゴ(dT)30固定数:約2.0 x 105分子/磁気ビーズ1個)を調製した。
磁気ビーズ表面上でのmRNA逆転写反応
上述で調製したオリゴ(dT)30が固定された磁気ビーズ懸濁液(0.5 x 107 個/μL)16 μL、dNTP Mix(それぞれ10 mM)8μL、及び0.1%Tween溶液124.8μLを混和した溶液を作製し、試料が入った各チューブへ18.6 μL(磁気ビーズ107個含有)ずつ分注し、70℃ 5分間の加熱処理後4℃へ冷却した。これにより、図2の磁気ビーズ(201)に固定されたオリゴ(dT)30 (202)へ、mRNA(203)の3’末端にあるポリA配列(204)がハイブリダイズする。続いて、5 x RT Buffer 48 μL、DTT(0.1 M)8μL、RNase OUT(40 U/μL)8 μL、およびSuper Script III RT(200 U/μL)8 μLを混和した溶液を、試料が入った各チューブへ9 μLずつ分注して50℃ 50分間→85℃ 5分間の加熱処理を行い、4℃へ冷却してcDNA溶液(約33 μL)を得た(図1の工程1-4)。すなわち、図2記載のように、鋳型であるmRNA(203)から、磁気ビーズ表面上における逆転写反応によりcDNA(205)が合成される。逆転写反応後、各チューブ内の磁気ビーズをマグネットで捕捉し、cDNA調製に要した残留試薬を含む上清を除去した。さらに各チューブ内の磁気ビーズをTris-HCI(10 mM、pH 7.5)100 μLで懸濁し、マグネットで捕捉後、上清を除去する洗浄操作を2回行った。これにより、単一細胞由来のcDNA固定化磁気ビーズライブラリー(磁気ビーズ107個)を得た。上記の操作により、単一細胞内に存在する全てのmRNA 105〜106分子はその分子数より多い107個の磁気ビーズを用いて逆転写されるため、磁気ビーズ1個あたりに多くともmRNA1分子が捕捉され、逆転写される。
磁気ビーズ1個の表面へ固定され得るオリゴ(dT)30(202)は約2 x 105分子と多いため、107個よりも少ない数の磁気ビーズで逆転写反応を行っても、逆転写反応効率は低下しないと推測される。したがって、リアルタイムPCRを用いて定量解析を行う場合は、逆転写反応効率が低下しない範囲内であれば、例えば、図3に記載するように、約2 x 105分子のオリゴ(dT)30(301)が固定された磁気ビーズ1個(302)あたりに、遺伝子A由来のmRNA 1分子(303)、遺伝子B由来のmRNA 1分子(304)、遺伝子C由来のmRNA 2分子(305)を、各々のポリA配列(306、307、308)をオリゴ(dT)30(301)にハイブリダイズさせることにより捕捉し、遺伝子A由来のcDNA 1分子(309)、遺伝子B由来のcDNA 1分子(310)、遺伝子C由来のcDNA 2分子(311)を合成することもできる。
b2M検量線作成用の標準試料の調製
単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー(磁気ビーズ107個)の中に、b2M遺伝子由来のcDNAが何分子存在するのかを定量するためリアルタイムPCRを行った。まず始めに、既知分子数のb2M遺伝子配列DNA(PCR産物)を磁気ビーズ表面上へ固定し、リアルタイムPCRの検量線用標準試料を以下のようにして調製した。
オリゴ(dT)30を磁気ビーズへ固定した上述操作と同様に、表面をストレプトアビジンでコートした磁気ビーズ(直径1 μm、107 個/μL、DYNAL BIOTECH社)をよく懸濁して一様な濃度にし、50 μL(磁気ビーズ5 x 108個)を1.5 mLチューブへ採取した。マグネットを1.5 mLチューブに近接させて磁気ビーズを捕捉し、上清を除去した。さらにBinding & Washing Buffer 50 μLを磁気ビーズへ混和し、マグネットで磁気ビーズを捕捉後、上清を除去することにより磁気ビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返し、その後Binding & Washing Buffer 50 μLで磁気ビーズを懸濁した。続いて、リアルタイムPCRプライマーセット(配列番号10および配列番号11)よりも外側に位置する標準鋳型調製用PCRプライマーセット(配列番号2および配列番号3)((R)プライマーは5’末端にビオチン2分子修飾)を用いてb2MをPCR増幅し、これにより264 bpのb2M_PCR産物((R)鎖の5’末端にビオチン2分子が付加)を得た。Binding & Washing Bufferで濃度106分子/μLに希釈したb2M_PCR産物溶液50μLを、洗浄した磁気ビーズ50μLへ5μLずつ10回に小分けして混和しながら添加し、振とう機でよく攪拌し(600 rpm、60分間、室温)、ストレプトアビジン−ビオチン結合を利用して磁気ビーズ表面へb2M_PCR産物を固定した(計100μL)。磁気ビーズへ結合しなかったb2M_PCR産物を除去するため、マグネットで磁気ビーズを捕捉して上清を除去し、Binding & Washing Buffer 100μLで3回、磁気ビーズの洗浄を行った(尚、上清および洗浄液中のb2M_PCR産物残留量をリアルタイムPCRで調べ、ほぼ全量のPCR産物が磁気ビーズ表面へ固定されていることを確認した)。さらに、このb2M_PCR産物が固定された磁気ビーズをNaOH(0.1M) 50μL で洗浄することでb2M_PCR産物の1本鎖化を試みた。すなわち、この操作によってビオチン2分子が付加されているb2M_PCR産物(R)鎖のみが磁気ビーズに固定され、b2M_PCR産物(F)鎖は除去される。続いてTris-HCl(10mM、 pH7.5) 50μL で2回洗浄した後、同溶液 50μL で磁気ビーズを懸濁することで、1本鎖DNAであるb2M_PCR産物(R)鎖の濃度が106分子/μLとなる標準試料(磁気ビーズ濃度;107個/μL)を得た。これを未固定磁気ビーズ(洗浄済み、107 個/μL)で10倍希釈を繰り返すことで、磁気ビーズの濃度は一定(107個/μL)で、かつb2M_PCR産物(R)鎖の鋳型濃度が106分子/μL〜101分子/μLとなる標準希釈系列試料Aを調製した。また、磁気ビーズへ固定されていないb2M_PCR産物(R)鎖(106/μL)を、Tris-HCl(10 mM、pH 7.5)で同様に希釈し、106分子/μL〜101分子/μLの標準希釈系列試料Bを作製した。
b2M由来mRNA分子のリアルタイムPCR測定
続いて、氷上にて2 x TaqMan Universal PCR Master Mix(ABI社)80μL、10 μMのリアルタイム用PCRプライマー(F)(配列番号10)および(R)(配列番号11)を各16 μLずつ、さらに遺伝子特異的プローブ(配列番号18)(2.5 μM)16 μL、0.1%Tween溶液 32 μLを混和したPCR 溶液Aを調製し、このPCR溶液を単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)へ20μLずつ分注し、よく懸濁して試料の反応溶液とし、384ウェルマイクロプレートへ移した。さらに、氷上にて2x TaqMan Universal PCR Master Mix(ABI社)390μL、10 μMのリアルタイム用PCRプライマー(F)(配列番号10)および(R)(配列番号11)を各78μL、さらに遺伝子特異的プローブ(配列番号18)(2.5 μM)78μL、0.1%Tween溶液117 μLを混和してPCR溶液Bを調製し、このPCR Mixを19 μLずつ384ウェルマイクロプレートへ分注し、そこへ標準希釈系列試料Aおよび標準希釈系列試料Bを各1 μLずつ鋳型として添加した。また、正確な検量線を作成するため、各標準希釈系列はn=3ずつ測定することとした。各反応溶液を入れた384ウェルマイクロプレートを光学検出用シールで密閉し、リアルタイムPCR装置にて、95℃ 10分間の熱変性後、95℃ 15秒間→60℃ 1分間を50サイクル行い、各増幅サイクルにおけるPCR産物から蛍光を検出した。
図4に本発明におけるリアルタイムPCRの一実施形態を示す。単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)中に存在する、b2MのcDNA 1分子(401)が固定された磁気ビーズ(402)では、まず始めに、PCR溶液中に存在していたb2MリアルタイムPCRプライマー(R)(403)がb2MのcDNA(401)へアニールする。その後、相補鎖伸長反応によりb2MのcDNA(401)に対して相補的なPCR産物(R鎖)(404)が合成される。さらに熱変性後、上記反応が繰り返されるとともに、PCR溶液中に存在していたリアルタイムPCRプライマー(F)(405)が、生じたPCR産物(R鎖)(404)へアニールし、相補鎖伸長反応が進んでPCR産物(F鎖)(406)が生じる。このように、始めのPCRサイクルでは、磁気ビーズ上に固定されたb2MのcDNA分子(401)を鋳型として反応が進むが、それに続くPCRは液相系へシフトし、PCR産物(R鎖)(404)およびPCR産物(F鎖)(406)にはそれぞれリアルタイムPCRプライマー(F)(405)およびリアルタイムPCRプライマー(R)(403)がそれぞれアニールして、PCR産物は指数的に液相中へ蓄積されていく。続いて、このPCR産物(R鎖)(404)へb2M遺伝子特異的プローブ(407)がハイブリダイゼーションし、同時にPCR産物(R鎖)(404)の3’末端へリアルタイムPCRプライマー(F)(405)もアニールして伸長反応が進む。b2M遺伝子特異的プローブ(407)の3’末端には消光体およびTm温度調整分子が修飾されており、その5’末端には蛍光体(FAM)修飾されているため、そのままの状態では蛍光シグナルは検出されない。しかし、伸長反応においてDNA合成酵素はb2M遺伝子特異的プローブ(407)を破壊しながら相補鎖合成するため、破壊されたb2M遺伝子特異的プローブ(408)からは蛍光体(409)が遊離し、蛍光シグナルが検出される。すなわち、PCR産物数に比例した強度の蛍光シグナルが検出される。
b2M由来mRNA分子数の定量解析
付属の解析用ソフトウェアSDS ver. 2.1を用い、各増幅曲線(蛍光値を縦軸、サイクル数を横軸にプロットしたS字型の曲線)のCt値(Threshold Cycle;PCR産物が閾値に達した時のサイクル数)を算出した。検量線用試料中の鋳型数を横軸に、Ctを縦軸にプロットした検量線のグラフを図5に示す。鋳型が未固定である(すなわち磁気ビーズを含まない)標準希釈系列試料Bの検量線に比べ、鋳型が磁気ビーズ表面に固定された標準希釈系列試料Aの検量線は、その傾きが-3.717から-4.027へとシフトしており、若干PCR増幅効率が低下していることが認められるが、R2値は0.9995と高値であることから定量性は損なわれていないことが確かめられた。すなわち、磁気ビーズ(107個)表面上の鋳型を定量する手法としてリアルタイムPCRが適していることが確認できた。単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)から得たCt値を標準希釈系列試料Aの検量線にプロットすることで、単一細胞中に含まれているb2MをコードしたmRNAコピー数を算出した(図6)。
磁気ビーズに固定された他遺伝子のmRNA定量解析
同じ単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)を再利用し、その他の遺伝子に関しても単一細胞あたりのmRNAコピー数を定量測定することを試みた(すなわち、図1の工程1-6および工程1-5を繰り返した)。
まず、上記記載のb2M遺伝子の場合と同様にして、遺伝子ごとに標準鋳型調製用PCRプライマーセット((R)プライマーの5’末端には2分子のビオチンが修飾されている)(EEF1G:配列番号4、配列番号5)(SDHA:配列番号6、配列番号7)(TBP:配列番号8、配列番号9)を用いて各々PCR増幅を行い、このPCR産物をストレプトアビジン−ビオチン結合を利用して磁気ビーズ表面へ固定し、NaOH(0.1M)による1本化を施して、磁気ビーズ濃度が107個/μLと一定で、かつPCR(R)鎖の鋳型濃度が106分子/μL〜101分子/μLである標準希釈系列試料をそれぞれ作製した。
続いて、b2MのmRNAを測定した1回目のリアルタイムPCR後、単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)が含まれた反応溶液にマグネットを近接させることによって磁気ビーズを捕捉し、上清を除去した。続いてTween0.1% 溶液40 μLで磁気ビーズを懸濁し、マグネットで磁気ビーズを捕捉後、上清を除去する操作を2回行った。この操作により単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料に含まれていたb2M遺伝子特異的プローブ(配列番号18)、リアルタイムPCRプライマーセット(F)(R)(配列番号10および配列番号11)、およびPCR産物を除去した(図1の工程1-6)。この洗浄した単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料、およびEEF1Gの標準希釈系列試料を鋳型とし、EEF1GのリアルタイムPCRプライマーセット(EEF1G:配列番号12、配列番号13)、遺伝子特異的プローブ(EEF1G:配列番号19)を用いて2回目のリアルタイムPCR定量測定を行った。さらに1回目のリアルタイムPCR後と同様にTween0.1% 溶液で洗浄した単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料、およびSDHAの標準希釈系列試料を鋳型とし、SDHAのリアルタイムPCRプライマーセット(SDHA:配列番号14、配列番号15)、遺伝子特異的プローブ(SDHA:配列番号20)を用いて3回目のリアルタイムPCR定量測定を行った。続いてTween0.1% 溶液で洗浄した単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料、およびTBPの標準希釈系列試料を鋳型とし、TBPのリアルタイムPCRプライマーセット(TBP:配列番号16、配列番号17)、遺伝子特異的プローブ(TBP:配列番号21)を用いて4回目のリアルタイムPCR定量測定を行った。
標準希釈系列試料中の鋳型分子数を横軸に、Ctを縦軸にプロットした検量線を作成し、洗浄した単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料(磁気ビーズ107個)から得たCt値を検量線にプロットして、EEF1G、SDHA、およびTBPの3遺伝子ついても単一細胞中に含まれているmRNAコピー数を算出した(図6)。6回サンプリングした各々の単一細胞試料において、測定した4遺伝子の単一細胞あたりのmRNAコピー数は、図6グラフに記載したようにEEF1Gが一番高く、1000コピー/細胞程度、ついでb2M、SDHA、TBPの順番であった。また、ネガティブコントロールである0細胞試料からは、いずれも蛍光シグナルが検出されなかったことを確認した。単一細胞試料から得られた結果の信頼性を確認するため、10細胞試料および1000細胞試料に関しても、同様な手法(図1工程1-1から工程1-6)を用いて試料中に含まれるmRNA分子数の定量解析を行った。その結果を図7に示す。低発現であるTBP遺伝子に関しては、線形性、すなわち定量性が若干低くなっているが、b2M、EEF1G、SDHAの3遺伝子に関しては、高い定量性が認められた。
単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリーの有用性の確認(残留試薬によるPCR阻害の検討)
一方、磁気ビーズを用いない従来法でも、1チューブ内で細胞溶解工程、DNase処理工程、および逆転写反応を実施してcDNAを調製できるが、磁気ビーズを用いる場合と同様の精製工程を実施できない。そのため、試料中に残留試薬が持込まれ、これに起因するPCR増幅阻害が生じる。そこで、単一細胞から調製したcDNA試料に含まれる残留試薬を100%と定義したとき、このうちの0%、3%、6%、9%の残留試薬を含む検量線(鋳型;EEF1G遺伝子の標準鋳型調製用PCRプライマーセット(配列番号4、配列番号5)で増幅したPCR産物、 リアルタイムPCRプライマー;配列番号12、配列番号13、遺伝子特異的プローブ;配列番号19)を作成し、残留試薬によるPCR阻害の影響を検討した。結果を図8に示す。
図8-1に示すように、PCR増幅効率を示す検量線の傾きは、残留試薬を含まない検量線(0%)に対して残留試薬量が増加するのに伴って大幅に低下する。また、残留試薬1%、2%、3%、6%、9%を含み、既知濃度の鋳型数をそれぞれ333分子、666分子、1000分子、2000分子、3000分子を含む試料をリアルタイムPCRで解析したところ、図8-2のような結果を得た。破線で示される理想値に対し、実線で示された実測値は、残留試薬3%までは一致するが、それ以上の残留試薬を含む場合は理想値より大きく外れ、正確な定量が不可能であった。すなわち、1チューブ内で単一細胞からcDNA調製を行う従来法では、得られた単一細胞由来のcDNA試料をさらに分割したもの(多くとも3%)を、リアルタイムPCR解析の試料として用いなければならない。これは測定感度を大幅に低下させる原因となり得る。これに対し、本発明により作製した単一細胞由来cDNA固定化ライブラリーは、逆転写反応後の精製工程が可能となるため、試料中の残留試薬は0%であり、単一細胞由来のcDNAを全量、リアルタイムPCRの解析試料として使用することが可能となる。
逆転写反応における磁気ビーズの直径および数の検討
直径が1μmおよび2.8μmの磁気ビーズでは、磁気ビーズ1個あたりに固定されるオリゴ(dT)分子数は、それぞれ約2 x 105分子、1.8 x 106分子である。オリゴ(dT)の数だけで計算すれば、1細胞中に含まれるmRNAの分子数(105〜106分子)を逆転写するのに必要な磁気ビーズは、5個(φ1μm)または1個(φ2.8μm)あればよいことになる。しかし、実際には磁気ビーズ数が少ないほど、逆転写効率は減少すると推測される。また逆に、磁気ビーズ数が多すぎると、リアルタイムPCRにおいて、蛍光発光の検出が阻害されるものと推測される。そこで、発現量が1000コピー/細胞程度であるEEF1G遺伝子を選択し、単一細胞由来のmRNAを磁気ビーズ表面上で逆転写反応する工程(図1の工程1-4)おいて、最適な磁気ビーズ数を検討した。その結果、直径が1μmの磁気ビーズでは107〜108個、直径が2.8μmの磁気ビーズでは106〜108個である場合に1000コピー程度の測定結果値が得られ、反応効率が良好であることが確認された(図9-1および図9-2)。それよりも少ない磁気ビーズを用いた場合では測定値が大幅に低下しており、逆転写効率および担体回収率がその原因と考えられる。さらに、この結果について、直径1μmおよび2.8μmの磁気ビーズ総表面積をグラフの横軸としてプロットさせると、逆転写の効率は磁気ビーズの径によらないことが分かった。この結果より、担体の総表面積が約0.1cm2以上(本実施例で用いた担体表面におけるオリゴ(dT)の固定量;約5x1013分子/cm2)である場合に逆転写反応が良好であることが確認された(図10-1)。このグラフの横軸を、担体表面に固定されたオリゴ(dT)総分子数に設定してプロットすると図10-2のようになり、単一細胞由来のmRNAを磁気ビーズ表面上で逆転写反応する工程では、1012分子以上のオリゴ(dT)を要することが確認できた。
一方、増幅量を検出する工程において、最適な磁気ビーズ数の検討を試みた。尚、鋳型としてEEF1G遺伝子の標準鋳型調製用PCRプライマーセット(配列番号4、配列番号5)で増幅したPCR産物を磁気ビーズに固定したものを用い、リアルタイムPCRプライマーセット(配列番号12、配列番号13)、および遺伝子特異的プローブ(配列番号19)を用いた。直径が1μmおよび2.8μmの磁気ビーズを用いた本実施例の結果を、それぞれ図11-1及び図11-2に示す。ともに、磁気ビーズ数の増加に伴い検量線は上方移動し、シグナル検出が阻害されることが確認できたが、その程度は磁気ビーズ数に応じて一定であることからR2値は依然高値であり、少なくとも直径1μmの磁気ビーズでは108個、直径2.8μmの磁気ビーズでは107個程度までであれば、定量測定が可能であることが確認できた。しかし、グラフ中のエラーバーで示されるように、磁気ビーズ数の増加に伴って測定誤差も増大することから、これ以上多い磁気ビーズを用いて定量解析を行うことは、測定精度の大幅な低下へつながる可能性がある。すなわち、横軸に反応溶液中の担体占有体積率、縦軸に測定誤差(Ctの標準偏差値(σ))をプロットしたグラフ(図12)で検討すると、担体占有体積率の増加に伴って測定誤差が増大し、測定精度が低下していることが確認できる。従って、反応溶液中の担体占有体積率は1%以下が適しており、さらに精度を要する定量測定の場合では反応溶液中の担体占有体積率は0.1%以下が好ましいという結果を得た。
解析試料として用いる細胞数の検討
103細胞以下のような少数の細胞を解析試料として用いた場合、従来の発現解析法では感度が足りないという問題や、測定誤差が大きいという問題が伴う。これに対し、本発明の方法は図7で示したように、複数細胞(〜103細胞)を用いても、高精度に定量解析することが可能である。
本発明の核酸検出方法の一実施形態のフローチャートを示す。 本発明における担体表面上でのmRNA逆転写反応の一実施形態を示す。 本発明における担体表面上でのmRNA逆転写反応の一実施形態を示す。 本発明におけるリアルタイムPCRの一実施形態を示す。 リアルタイムPCRにおいて、検量線用試料中の鋳型数を横軸に、Ctを縦軸にプロットした検量線のグラフを示す。検量線近似式の傾きはPCR増幅効率を示し、R2値は定量性の精度を示す。 ネガティブコントロールとしての0細胞、および単一細胞(n=6個)中に含まれている、4種の遺伝子をコードするmRNAコピー数を算出した結果を示す。尚、mRNAコピー数は単一細胞由来cDNA固定化磁気ビーズライブラリー試料から得たCt値を標準希釈系列試料の検量線にプロットし、算出した。 1細胞試料(n=6)、10細胞試料(n=3)および1000細胞試料(n=3)に関して、本発明の方法により試料中に含まれるmRNA分子数の定量解析を行った結果を示す。横軸は細胞数、縦軸はコピー数を示す。 単一細胞から調製したcDNA試料に含まれる残留試薬を100%と定義し、このうちの0%、3%、6%、9%の残留試薬を含む検量線を作成し、残留試薬によるPCR阻害の影響を検討した結果を示す。図8-1の横軸は鋳型分子数、縦軸はCt(Threshold cycle)を示す。図8-2の横軸は解析試料中に含まれる残留試薬(%)を示し、縦軸は分子数(測定値)を示す。 本発明の方法の担体表面上で単一細胞由来のmRNAを逆転写反応する工程において、最適な磁気ビーズ数を検討した結果を示す。図9-1は磁気ビーズの径が1μmである場合、図9-2は磁気ビーズの径が2.8μmである場合のグラフであり、横軸は逆転写に用いた磁気ビーズ数、縦軸はコピー数/細胞を示す。 図10-1は、本発明の方法の担体表面上で単一細胞由来のmRNAを逆転写反応する工程おいて、最適な担体の総表面積を検討した結果を示す。横軸は担体の総表面積(cm2)、縦軸はコピー数/細胞を示す。図10-2は、図10-1のグラフの横軸を、担体表面に固定されたオリゴ(dT)総分子数に設定してプロットしたグラフを示す。 本発明の方法の増幅量を検出する工程において、最適な磁気ビーズ数を検討した結果を示す。図11-1は直径1μm、図11-2は直径2.8μmの磁気ビーズを用いた時のグラフであり、横軸は鋳型分子数、縦軸はCt(Threshold Cycle)を示す。 本発明の方法の増幅量を検出する工程において、最適な反応溶液中の担体占有体積率を検討した結果を示す。グラフの横軸は反応溶液中の担体占有体積率を、縦軸は測定誤差(Ct_StdDev)を示す。
符号の説明
201:mRNA1分子をオリゴ(dT)30で捕捉している磁気ビーズ
202:磁気ビーズ表面に固定されたオリゴ(dT)30
203:mRNA1分子
204:mRNA3’末端のポリA配列
205:逆転写反応により合成されたcDNA
301:磁気ビーズ表面に固定されたオリゴ(dT)30
302:複数のmRNA分子を捕捉している磁気ビーズ
303:遺伝子AをコードするmRNA
304:遺伝子BをコードするmRNA
305:遺伝子CをコードするmRNA
306:遺伝子AをコードするmRNAのポリA配列
307:遺伝子BをコードするmRNAのポリA配列
308:遺伝子CをコードするmRNAのポリA配列
309:逆転写反応により合成された遺伝子AのcDNA
310:逆転写反応により合成された遺伝子BのcDNA
311:逆転写反応により合成された遺伝子CのcDNA
401:b2M由来cDNA1分子
402:b2M由来cDNA1分子が結合した磁気ビーズ
403:b2MリアルタイムPCRプライマー(R)
404:PCR産物(R鎖)
405:b2MリアルタイムPCRプライマー(F)
406:PCR産物(F鎖)
407:b2M遺伝子特異的プローブ
408:破壊されたb2M遺伝子特異的プローブ
409:蛍光体
410:磁気ビーズに固定されたオリゴ(dT)

Claims (12)

  1. 少なくとも単一細胞を含む試料から単一細胞を採取する工程と、
    採取された単一細胞の細胞膜を溶解し該細胞中の核酸を溶出させる細胞溶解工程と、
    溶出された核酸のうちDNA分解酵素によりDNAを分解するDNA分解工程と、
    該単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
    オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程と、
    担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程
    を有する、核酸検出方法。
  2. 細胞溶解工程と、
    DNA分解工程と、
    該単一細胞に含まれるRNAのうちmRNAを、担体に固定されたオリゴ(dT)にハイブリダイズさせる工程と、
    オリゴ(dT)にハイブリダイズしたmRNAについて逆転写反応を行い、単一細胞由来のcDNAが担体に固定されてなる単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程
    を1チューブ内で行う、請求項1に記載の核酸検出方法。
  3. 担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程の後に、
    担体を回収して洗浄する工程aと、
    担体に固定されたcDNAについて増幅反応を行いながらその増幅量を検出する工程bと
    をさらに有する、請求項1に記載の核酸検出方法。
  4. 工程bの後に、工程aおよび工程bを繰り返す工程をさらに有する、請求項3に記載の核酸検出方法。
  5. 単一細胞由来cDNA固定化担体ライブラリーを作製する工程において、単一細胞に含まれるmRNAの全てをハイブリダイズさせる、請求項1に記載の核酸検出方法。
  6. 担体が粒子であり、用いる粒子の総表面積が0.1cm2以上10cm2以下である、請求項1に記載の核酸検出方法。
  7. 担体が粒子であり、増幅反応溶液における粒子の占有体積率が1%以下である、請求項1に記載の核酸検出方法。
  8. 担体が粒子であり、増幅反応溶液における粒子の占有体積率が0.1%以下である、請求項1に記載の核酸検出方法。
  9. 担体に固定されたオリゴ(dT)の総分子量が1012分子以上1014分子以下である、請求項1に記載の核酸検出方法。
  10. 粒子の径が1μmであり、粒子の数が107〜108である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の核酸検出方法。
  11. 粒子の径が2.8μmであり、粒子の数が106〜107である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の核酸検出方法。
  12. 粒子が磁気ビーズである、請求項6〜11のいずれか1項に記載の核酸検出方法。
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