JP5072138B2 - 薬歴管理システム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、病院等で医師によって作成された処方箋に基づいて患者に薬剤を調剤する調剤薬局において、各患者の薬歴や既往症等に照らして処方された薬剤の安全性を確認するための薬歴管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、病院や診療所で受診した患者は、医師によって薬剤を処方され、その処方箋に基づいて、院内または院外の調剤薬局で薬剤が与えられる。
【0003】
調剤薬局に初めて来局した患者は、住所や氏名、年齢などの基本情報とともに、過去の主な病歴や、他に現在使用中の薬剤があるか、また、過去にアレルギー等の不適合を起こした薬剤や食品等があるかどうかなどを、個人情報として、所定の用紙に記入する。
【0004】
このようにして収集された各患者の個人情報は、従来は、書面のままでファイルされたり、或いはパソコン等にその内容を入力して、調剤薬局内で保管されていた。
【0005】
そして、薬剤師は、処方された薬剤に対する服用指導情報と薬剤に関する個人情報とを対比して、処方された薬品がその患者にとって不適合となる成分を含んでいないか、また、一人の患者に複数の薬剤が処方されている場合には、処方された薬品同士の相互作用によって、患者に悪影響を及ぼすことがないかどうか等を確認していた。このようにして、通常、医師により処方された薬剤を、薬剤師が調剤時にチェックし、更に、必要な場合には処方した医師に対して疑義照会を行う等をすることにより、患者が不適切な薬剤を服用しないように、薬剤の安全性が確認されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、薬剤師が、処方された服用指導情報に基づいて、カードなどに記載された患者の薬歴や病歴等の個人情報を1項目ずつチェックして、処方された薬剤が不適合でないことを確認していく作業は、極めて面倒であった。
【0007】
即ち、薬剤師は、処方された薬剤の成分とは関係のない情報も含めて個人情報の全てを確認しなければならないため、無駄な時間を要していた。殊に大規模な薬局においては、混雑時には大勢の患者が集中し、薬局業務の効率向上を図らなければ、更なる混雑を招く原因となっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、各患者についての薬剤に関する個人情報と、各薬剤についての服用指導情報とを記憶させる記憶装置を有し、特定の患者に関する前記個人情報を検索してモニタの画面に表示するとともに、前記個人情報の中で、処方された薬剤に対する服用指導情報に関連する事項を検索照合して前記モニタの同一画面に表示し、処方された薬剤をその患者が服用しても不適合でないかどうかを前記モニタ画面により確認できることにした。
【0009】
こうして、薬剤に関する個人情報の中から、処方された薬剤の成分に関する情報等の服用指導情報があるかどうかを検索することによって、処方された薬剤の適不適を迅速に確認することができるとともに、チェック漏れを防ぐことができる。
【0010】
また、各薬剤の服用指導情報において、各薬剤を成分別に分類し、それぞれの成分同士の相互作用や禁忌等を自動算出することができるようにすれば、同時に処方された複数の薬剤や、他にその患者が併用している薬剤との相互作用や禁忌等のチェックを迅速且つ確実に行うことができる。
【0011】
更に、医療機関との間で、処方箋の入力および疑義照会が可能な通信手段を有していれば、薬局で薬剤の不適合等が検出された場合、処方箋を発行した医師に対して、迅速に疑義照会を行い、必要に応じて処方箋の修正などを即時に行うことができる。
【0012】
また、個人情報および薬剤情報を、本部のホストコンピュータに記憶させ、ホストコンピュータと複数の端末機とをネットワークで繋ぐことによって、複数の端末機から情報の追加や引き出しを行うことができるようにすれば、例えば、同じ薬局内で複数の端末機を用いて、同時に複数の患者についての薬歴をチェックしたり、或いは、複数の支店を有する調剤薬局では、他の店舗からでも個人情報の検索や追加情報の入力が可能となる。
【0013】
そして、モニタ上に表示された内容を印刷可能なカラープリンタを備えていれば、薬剤の使用方法の説明や副作用、注意事項等、モニタ画面を見ながら患者に説明するとともに、同じ内容の情報をプリントアウトして、その場で患者に渡すことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明のシステムについてのフローチャートの一例を示すものである。
【0016】
患者が、病院または診療所等の医療機関を受診して薬が必要であるときには、医師により処方箋が発行されるが、この処方箋は直接患者に渡される。患者は、薬を受け取る調剤薬局が初めての場合には、例えば問診カードに自分の個人情報を記入する。個人情報としては、住所、氏名、年齢、連絡先等の基本情報の他、過去から現在に至る主な病歴や、薬剤または食品等に対するアレルギーの有無、更に、現在他の薬剤を使用しているかどうか等が記入される。
【0017】
これらの個人情報は、薬局内のコンピュータに入力され、通常は、整理の都合上、患者にはコード番号が付けられる。尚、個人情報の入力は、問診カードの内容を薬局員等が直接或いはレセプトコンビュタを介して入力してもよいが、患者自身或いは家族などのように患者の情報を熟知した者が、医療機関や調剤薬局に設置した端末器機を介して入力してもよく、特に、端末器機に付属するタッチ式のモニターの画面を介して或いは音声などにより入力が可能な場合には入力の手間が軽減される。また、当日処方された薬剤およびその用法等は、処方歴として入力され、来局する度に、個人情報として追加される。そして、例えば図2に示すように、住所や氏名等の患者基本情報欄と、処方歴、疑義照会・指導などの薬歴欄が、処方医療機関欄とともにモニタの同一画面上に表示される。
【0018】
本実施の形態では、処方歴の欄は、処方歴日付順に表示されており、各日付の部分をマウスによりクリックすると処方内容が参照できるようになっている。
【0019】
一方、各薬剤には、それぞれ、成分や効果、副作用、他の薬剤との併用や他に疾患を有する患者に対する禁忌等の薬剤情報が、予めコンピュータに記憶されており、図2の処方歴に表示された薬剤名から、例えば図2の上部欄に形成された服薬指導項目を表示するチェックマスをマウスでクリック操作することにより、自動的に照合検索して疑義照会・指導などの薬歴欄に表示される。
【0020】
更に、図2の処方歴の欄に表示されている薬剤名をマウスでクリック操作することにより、図3に示すように、その薬剤に関する全ての服用指導情報を参照することができる。この場合にも、表示されたプルダウンメニューにより必要項目をクリックすることにより、その項目だけを表示させることもできる。
【0021】
更にまた、前記個人情報は、例えば患者氏名、生年月日、電話番号、保険証番号、自動車免許証番号等のように各項目毎に検索可能となっており、また、薬剤に関する服用指導情報は、薬剤名、服用種別、成分、効能等の項目毎に検索可能であって、例えば特定の患者に関する全個人情報、または、その患者の個人情報の中に、ある薬剤の特定の成分に関する情報があるかどうか等が、即時に検索できるようになっている。
【0022】
従って、処方された薬剤に含まれる成分に関する情報と患者の個人情報とを検索照合したときに、ヒットするものがあれば、その患者にとって不適合な薬剤である可能性があるということになり、ヒットするものがない場合には、患者に不適合な成分を含まないと判断され、そのまま投薬される。
【0023】
また、薬剤服用指導情報の中には、各薬剤を成分別に分類し、それぞれの成分同士の相互作用や禁忌等を自動算出するプログラムを組み込んでおくことにより、複数の薬剤が処方されている場合や、他に併用している薬剤がある場合には、それらの薬剤間に、併用禁忌等に触れるものがあるかどうかが予め設定したプログラムにより自動的に参照検索される。
【0024】
そして、上記の照合検索によって不適合が検出された場合には、薬剤師が必要に応じて医療機関に疑義照合を行って、処方箋の修正等が行われる。これらは、薬局と医療機関との間に形成される通信手段を有することによって、即時に詳細な情報の交換を行うことが可能となっている。
【0025】
従って、様々な薬歴や病歴を有する患者が複数の薬剤を処方される場合でも、各患者に対する薬剤の安全性が漏れなく確認されるとともに、その確認が極めて迅速に行われる。加えて、これらの情報はコンピュータまたは調剤薬局や医療機関に配置された端末機器に接続されたモニタの画面に表示されので確認が容易且つ簡単である。
【0026】
即ち、処方された薬剤が患者にとって不適合でないと判断された場合には、薬剤師は、調剤された薬剤とともに、モニタ画面に表示されている図3に示すような薬剤情報に従って処方された薬剤に関する説明を行う、尚、必要であればモニタ画面を患者に見せて説明してもよい。同時に、モニタ画面上の情報に例えば薬剤のカラー写真等を加えて、カラープリンタによって印刷し、薬剤および薬剤の説明書を患者に渡す。薬剤の説明書は、薬袋に印刷してもよいし、別紙として患者に渡してもよい。
【0027】
そして、個人情報には、処方歴や疑義照会事項をその都度追加登録させるとともに、処方された薬に対して強い副作用やアレルギー反応が現れた場合には、患者が次回来局したときに申請することによって、追加登録される。従って、長期投薬の継続的な薬学的管理を行うこともできる。
【0028】
尚、処方箋は、患者が医療機関から渡されたものを薬局へ持参してもよいが、医療機関と薬局との間に通信手段が構築されていることによって、医師がオンラインで薬局へ直接処方箋を送ることが可能であり、そうすることで、患者の待ち時間を更に軽減することができる。
【0029】
また、個人情報や薬剤服用指導情報を、調剤薬局の本部のホストコンピュータに記憶させて、薬局内の複数の端末機や系列の各店舗の端末機との間を、ネットワークで繋ぐことにより、患者はいずれかの薬局で個人情報や薬歴などを入力しておけば他の薬局に行ったときに再度個人情報などの煩雑な入力をする必要がなく極めて便利である。また、薬局内で複数台の端末機を使って、同時に複数の患者に関する薬歴照合等を行ったり、ある患者の個人情報が、同じ系列の他の店舗でも同様に引き出せるとともに、それぞれの端末機から、個人情報の追加登録も自在に行うことができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によると、確実且つ迅速に、処方された薬剤が患者に対して不適合でないかどうかを検索することが可能であるので、投薬の確実な安全性の確保とともに、迅速な薬局業務ならびに患者に対する適切な服用指導を行うことができる。
【0031】
また、薬剤の成分同士の相互作用や禁忌等の照合検索を自動算出可能とすれば、複数の薬剤を処方された患者や、他に薬剤を併用している患者に対しても、容易に安全性の確認を行うことができる。
【0032】
更に、医療機関と調剤薬局との間に通信手段を構築すれば、処方された薬剤に対して不適合が検出された場合の疑義照会や、処方箋の修正等を、モニタ画面を介して即時に行うことができる。
【0033】
また、個人情報や薬剤服用指導情報を、調剤薬局の本部のホストコンピュータに記憶させ、複数の端末機との間をネットワークで繋ぐと、薬局内で同時に複数の患者に対応したり、系列の他店舗でも情報の追加や引き出しを行うことができる。
【0034】
そして、モニタ上に表示された詳細な内容を患者に説明したり、印刷可能なカラープリンタを備えることによって、モニタ上に表示された内容をそのまま印刷して患者に渡すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すチャート図である。
【図2】本発明の実施の形態のモニタ画面の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態のモニタ画面の他の例を示す図である。
Claims (2)
- 薬局内のコンピュータにおける記憶装置に各患者についての薬剤に関する個人情報と、各薬剤についての服用指導情報および検索照合手段を記憶させ、前記記憶装置に記憶させてある特定の患者に関する前記個人情報を検索して前記コンピータのモニタの画面に表示するとともに、前記モニタの画面に表示された個人情報の中で、処方された薬剤に対する服用指導情報に関連する事項と個人情報とを検索照合してその結果を前記モニタに表示し、処方された薬剤をその患者が服用しても不適合でないかどうかを前記モニタ画面により確認できる薬歴管理システムであって、前記個人情報が例えば住所、氏名、年齢、連絡先等の基本情報の他、過去から現在に至る主な病歴や、薬剤または食品等に対するアレルギーの有無、更に、現在他の薬剤を使用しているかどうか等の情報別に分類されてモニタ画面に表示されているとともに、前記処方歴の欄に表示されている薬剤名をマウスでクリック操作することにより、画面をその薬剤に関する全ての服用指導情報を参照するように切り替えることができ、前記薬剤服用指導情報の中で、各薬剤を成分別に分類し、それぞれの成分同士の相互作用や禁忌等を自動算出するプログラムを組み込んでおくことにより、複数の薬剤が処方されている場合や、他に併用している薬剤がある場合には、前記モニタ画面の服用指導情報をマウスでクリックすることによりそれらの薬剤間に、併用禁忌等に触れるものがあるかどうかが予め設定したプログラムを起動させて自動的に参照検索され、特定の患者に関する全個人情報、または前記情報別のその患者の個人情報或いは項目別の個人情報、薬剤或いは薬剤の特定の成分に関する検索情報の有無を即時に検索して前記モニタ画面の擬義照会・指導などの薬歴欄に表示されることを特徴とする薬歴管理システム。
- 前記処方歴の欄に表示されている薬剤名をマウスでクリック操作することによりその薬剤に関する全ての服用指導情報を参照する際に、表示されたプルダウンメニューにより必要項目をクリックすることにより、その項目だけを表示させることが可能である請求項1に記載の薬歴管理システム。
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