JP2004185196A - 処方薬剤による病態推測データベース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】過去に発行された処方箋の処方例が記憶された処方データベースと、処方薬剤毎の作用や副作用、相互作用、適応される傷病の種類を対応させて記憶された薬剤データベースと、傷病毎の投薬条件や注意事項等が記憶された傷病データベースとからなり、前記各データベースを互いに関連付けて検索可能とした。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬局において、処方箋に記載された薬剤を薬剤師が調剤する際、患者に対する投薬の安全性を確認するために使用される病態推測データベースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院や診療所等の医療機関で診察を受けた患者は、医師によって薬剤を処方され、処方箋が発行されて、院内または院外の薬局で薬剤が与えられる。
【0003】
薬剤には、通常、副作用があるため、医師および薬剤師は、患者の病歴や薬歴、現在の症状等を考慮して、患者が重篤な副作用を発症しないように留意する必要がある。
【0004】
即ち、処方薬剤は、患者の病気の種類や症状の程度、および薬剤の効能や副作用等を考慮し、総合的に判断して患者に適合する薬剤が選択されなければならず、そのためには、医師による医学的診断と、薬剤師による薬学的診断との両面から診断されることが必要である。
【0005】
しかしながら、医師が発行する処方箋には、薬剤名および用法、用量のみが記載され、患者の病名や症状に関する情報は記載されていないので、従来より、薬剤師は、患者の病態を鑑みることなく調剤しなければならなかった。
【0006】
従って、症状によっては適用外となる薬剤があるにも関わらず、薬剤の専門家である薬剤師が薬学的診断をするための情報が乏しく、医学的診断および薬学的診断の両面で診断することにより患者に対して安全且つ適切な薬剤を投与するというシステムが十分に機能していなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、薬剤師が、患者の病態を考慮して処方薬剤に関する薬学的診断を行い、患者に対して適切な薬剤を効率的に投与するためのデータベースを提供するものとした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、過去に発行された処方箋の処方例が記憶された処方データベースと、処方薬剤毎の作用や副作用、相互作用、適応される傷病の種類を対応させて記憶された薬剤データベースと、傷病毎の投薬条件や注意事項等が記憶された傷病データベースとからなる各データベースが、互いに関連付けて検索可能であるものとした。
【0009】
処方箋に記載された薬剤の名称を薬剤データベースと照合して傷病の種類を推測し、更に、傷病データベースによって、その傷病の投薬条件と処方箋の内容とを照合すれば、症状の程度や進行状況等を推測できるため、薬剤師は、処方された薬剤が、患者の病態に対して適応可能であるかどうかを薬学的に診断することができる。
【0010】
また、通常適応される傷病以外の症状に関して、医師が有効であると判断して適応外の薬剤が処方される場合があるため、そのような適応外の傷病の種類が記憶された適応外データベースを格納することによって、更に正確に病態を推測して薬学的診断を行うことができる。
【0011】
更に、患者毎の体質や病歴、薬歴等を記憶した患者情報データベースを格納することにより、個々の患者に対して、よりきめ細かく安全性をチェックしたり服薬指導を行ったりすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の病態推測データベースを格納した記憶装置11を備えた端末機2の構成を示すものであり、CPU12と記憶装置11とからなる本体10が、本体10へデータを入力する際に用いられる入力装置13、本体10の処理内容が表示される表示装置14、および印刷装置15に接続されている。このような端末機2は薬局に設置され、病態推測データベースの検索やレセプト処理等を行う際に使用される。
【0014】
病態推測データベースは、図2に示すように、処方箋データベース、薬剤データベース、傷病データベース、患者情報データベースから構成されていて、各データベースを互いに関連付けて検索することができるリレーショナルデータベースとなっている。
【0015】
処方箋データベースには、受け付け済みの処方箋の内容が、処方例として蓄積して記録される。薬剤データベースは、処方薬剤毎に、適応される傷病の種類を対応させた傷病名テーブル、作用機序を示す作用テーブル、起こりうる副作用の症状を示す副作用テーブル、併用時等の注意事項等を示す相互作用テーブル、および、傷病名テーブルに登録されている適応傷病以外の症状に関して有効であると判断して処方される可能性がある適応外の傷病の種類を対応させた適応外テーブルから構成されている。そして、傷病データベースは、傷病名毎に、副作用等のトラブルが生じた際の対策を示す対策テーブル、薬剤が投与される症状の程度等を示す投薬条件テーブル、投薬や服薬時の注意事項等を示す注意事項テーブルから構成されている。更に、患者情報データベースには、患者毎に性別や年齢、アレルギー等の体質、病歴、薬歴等の問診情報の他、連絡先や保険証データ等のように、薬局内のレセプト処理や顧客管理のために必要な内容のデータが記録される。
【0016】
図3は薬局における処方箋の処理業務の一般的な手順を示すものである。
【0017】
医療機関で発行された処方箋が薬局に提出されると、薬剤師は、病態推測データベースを検索して薬剤診断を行う。初めて薬局を訪れた患者には、保険証番号や住所、氏名、生年月日、連絡先等の他、過去から現在に至る主な病歴や、薬剤または食品等に対するアレルギーの有無、現在他の薬剤を使用しているかどうか等を問診して、患者情報データベースに記録してから、薬剤診断を行う。
【0018】
以下に、薬剤診断の手順を図4に基づいて説明する。
【0019】
処方箋の内容を端末機2に入力すると、例えば図5に示すように、医療機関、診療科、担当医師、処方薬剤の名称、用法がコード表示されて、その処方箋の内容が、処方箋データベースに登録される。
【0020】
そして、処方薬剤と、薬剤データベースの傷病名テーブルとが照合されて、その薬剤が適用される傷病名が推測される。複数の薬剤が処方されている場合には、図6に示すように、それぞれの薬剤毎に照合が行われて傷病名がリストアップされ、傷病名の候補が順位付けされて表示される。
【0021】
薬剤師は、リストアップされた傷病名の中から、患者の傷病として考えられるものを選択したり、自動的に選択された傷病名を確認することによって、推測される傷病名を確定する。リストアップされた傷病名の中からの推測が困難な場合や、複数の薬剤同士の間に矛盾が生じている場合等には、処方薬剤と適応外テーブルとを照合して、更に傷病名候補を追加リストアップしてから、傷病名を推測する。
【0022】
同時に、処方薬剤毎に、薬剤データベースの作用テーブルを照合して、薬剤の作用機序を検索するとともに、副作用テーブルを照合して、それぞれの薬剤を使用する際に起こりうる副作用の種類を検索する。これらの検索結果は、必要に応じて、文字または画像や図表等によって服薬指導書に印刷され、患者に提示される。更に、相互作用テーブルを照合し、他の薬剤との相互作用の有無等を検索し、それぞれの薬剤同士が併用禁忌等に触れないかどうかを薬剤師がチェックする。
【0023】
傷病名が推測されると、その傷病名と傷病データベースの各テーブルとを照合する。図7に示すように、対策テーブルでは、患者に起こりうる副作用の症状によって、投薬を中止したり他の薬剤に変更したりするための指示事項が表示される。そして、投薬条件テーブルでは、投薬される患者の症状の程度が表示されるので、薬剤師が患者の症状の程度や進行状況等を推測することができる。また、注意事項テーブルでは、病態によって適応されない薬剤の種類や服薬に際する注意事項等が表示されるので、推測される患者の病態や、患者情報データベースに登録された患者に特有の体質や過去の病歴、薬歴等を考慮して、処方薬剤が適切がどうかをチェックする。そして、表示されたこれらの情報は、必要に応じて服薬指導書に印刷し、患者へ提示される。
【0024】
このようにして、処方された全ての薬剤が、患者の病態や体質等に対して適応可能であるかどうか、即ち、適切な作用によって効果をもたらすとともに重大な副作用が起こりやすい状況でないかどうかを、薬剤師が薬学的に診断する。
【0025】
そして、全ての薬剤が適応可能であると診断されたら、処方薬剤を調剤し、処方薬剤に関する効能や副作用、注意事項等を記載した服薬指導書を作成して印刷する。処方薬剤のうち、不適切なものがあると判断された場合には、処方箋を発行した医師に疑義照会を行い、必要に応じて処方箋の修正等が行われる。
【0026】
その後、調剤された薬剤と服薬指導書とを患者に渡して、薬剤師による服薬指導、および会計処理を行って、処方箋に関する業務が終了する。
【0027】
図5は、本発明の病態推測データベースを格納した記憶装置11およびCPU12が、薬剤情報を統括管理する機関に設置されたサーバ20内に設けられ、各薬局の端末機2から、インターネットを介してサーバ20へ接続して病態推測データベース内の各データベースやテーブルの内容を検索できるようにしたハードウェア構成図である。この場合には、薬局にパソコン等からなる端末機2を設置すれば、安価且つ容易に本発明を実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によると、薬剤師が、患者の病態を推測して処方薬剤の薬学的診断を行うことにより、患者の傷病に対して、適切で安全な投薬および服薬指導を効率的に行い、重篤な副作用の発現を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す構成図である。
【図3】薬局業務の手順を示す流れ図である。
【図4】本発明を用いた薬剤診断の手順を示す流れ図である。
【図5】入力された処方箋の表示例を示す正面図である。
【図6】処方薬剤と薬剤データベースとを照合した結果の表示例を示す正面図である。
【図7】傷病名と傷病データベースとを照合した結果の表示例を示す正面図である。
【図8】本発明を実施するためのハードウェア構成の異なる例を示す概略図である。
【符号の説明】
2 端末機、11 記憶装置、12 CPU、13 入力装置、14 表示装置、15 印刷装置、20 サーバ
Claims (3)
- 過去に発行された処方箋の処方例が記憶された処方データベースと、処方薬剤毎の作用や副作用、相互作用、適応される傷病の種類を対応させて記憶された薬剤データベースと、傷病毎の投薬条件や注意事項等が記憶された傷病データベースとからなり、前記各データベースが互いに関連付けて検索可能であることを特徴とする処方薬剤による病態推測データベース。
- 請求項1記載の各データベースと、処方薬剤毎に通常適応される傷病以外の症状に関して処方される可能性がある傷病の種類が記憶された適応外データベースとが、互いに関連付けて検索可能であることを特徴とする処方薬剤による病態推測データベース。
- 請求項1または2記載の各データベースに加えて、患者毎の体質や病歴、薬歴等が記憶された患者情報データベースが格納されていることを特徴とする処方薬剤による病態推測データベース。
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