JP5329706B1 - 病名推定装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受け付けた処方せん内容と過去の処方せん内容とに基づく病名から、前記過去の処方せん内容に基づく病名が病気の平均期間を経過した場合に除外し、さらに予防薬に基づく病名を除外したものを患者の病名と推定する病名推定手段と、前記推定された病名を用いて、前記受け付けた処方せんに記載された薬剤が前記患者に禁忌であると推定されることを表示する表示制御手段と、を備える病名推定装置。
【選択図】図3
Description
他方、病気の治療を目的としない薬剤(例えば、他の副作用を抑制するために投与する薬剤等)が処方されている場合には、現在、患者が罹っていない病気の病名までも推定してしまい、正確に病名を推定することはできない。
図1を参照して、本発明の病名推定システム100は、管理者装置1と薬局側の担当者により用いられる病名推定装置2a・・・2n及び、患者に薬剤提供業務の進捗状況を知らせるディスプレイ3と、を含んで構成される。
ここで、図2(1)を参照して、薬剤提供業務は、窓口において患者から処方箋を受け付けた後に、処方箋に従い薬剤を調剤し、調剤が適切であると最終監査において認められた場合に、窓口において患者に当該薬剤を提供するといった一連の流れにより構成される。このような薬剤提供業務は、一例として図2(2)に示す各作業、即ち「受付」「薬歴確認」「処方監査」「患者情報収集」「調剤設計」「服薬に関する説明」「調剤決定」「調剤」「最終監査」「薬剤交付会計」により構成することができる。これら各作業は、互いに独立して進行できるものもあり、本実施形態では、これら各作業を複数の担当者により分業することとしている。例えば、薬剤提供業務を構成する各作業のうち、「受付」「患者情報収集」「調剤」「薬剤交付会計」を薬剤師Aが担当し、「薬歴確認」「処方監査」「調剤設計」「服薬に関する説明」「調剤決定」を薬剤師Bが担当し、「最終監査」を薬剤師Cが担当することとしている。
このような本実施形態では、例えば、病名推定装置2aは薬剤師Aにより用いられ、病名推定装置2bは薬剤師Bにより用いられ、病名推定装置2cは薬剤師Cにより用いられることになる。もちろん病名推定装置2a・・・2nは、一人の担当者により用いられるだけでなく、複数の担当者が共有して用いることとしてもよい。なお、病名推定装置2a・・・2nの構成は、基本的に同一であるため、以下単に「病名推定装置2」と呼ぶことがある。
管理者装置1は、例えば、薬剤提供業務を構成する作業の種類や数等の設定を変更することができ、本実施形態においては、管理者装置1は、薬剤と病気と関連性、病気の平均期間及び予防薬として用いられる薬剤の条件等の設定を行う。
ここで、推定病名とは、過去の処方せんに記載された薬剤に基づいて判断する病名であって、現在患者が罹っている可能性があると推定される病名をいう。また、この推定病名は、特定の来院時の処方せんに記載された薬剤と過去の処方せんに記載された薬剤とに基づいた病名から、過去の処方せんに記載された薬剤に基づく一部の病名を除外したもの(後述する病気の平均期間に基づく除外を行ったもの)であっても良い。さらに、この推定病名は、特定の来院時の処方せんに記載された薬剤に基づいた病名から、予防薬に基づく病名を除外したもの(後述する予防薬条件に基づく除外を行ったもの)であっても良い。
これら管理者装置1及び病名推定装置2は、所定のネットワーク回線により接続され、互いに協働して患者に対する薬剤の提供業務を支援する。
本実施形態において、病名推定装置2は、主に「処方監査」を行う場合に用いられる。即ち、病名推定装置2は、処方せんの記載事項や、患者情報・薬歴に基づく処方内容の確認を行うに際して、現在患者が罹っている病気の病名を推定し、処方せんの薬剤を患者に投与してもよいかを確認する業務を補助するために用いられる。
続いて、図3を参照して、管理者装置1及び病名推定装置2の構成について説明する。
管理者装置1は、制御部11において、病名記憶手段111と、推定条件設定手段112とを有し、記憶部12の一領域において、添付文書DB121と、病名DB122と、処方せんDB123と、推定条件DB124とを有している。病名推定装置2は、制御部21において、受付手段211と、抽出手段212と、病名推定手段213と、表示制御手段214とを有するようになっている。
ここで、病気の平均期間とは、ある薬剤が投薬された期間に基づきある病気の治療に要する期間を算出したものをいう。例えば、糖尿病・高血圧等の生活習慣病は病気の平均期間は比較的長期となり「1年以上」となるが、インフルエンザは病気の平均期間は比較的短期となり「1週間」となる。
また、予防薬とは、病気のために投与される薬剤の副作用を抑制する場合や発症する可能性のある病気を予防する場合等のように、予防的に投与され病気の治療を目的としない薬剤をいう。予防薬条件とは、所定の薬剤が予防薬に該当する場合の条件をいう。
例えば、○○○という病気の患者に薬剤のAと薬剤Cが処方されている場合に、薬剤のAは○○○を治療するために処方されているが、薬剤Cは薬剤のAの副作用を抑制するためであって○○○を治療するために処方されるわけではないので、薬剤Cは予防薬となる。他方、△△△という病気の患者に薬剤Cが処方されている場合には、薬剤Cは△△△の治療のために処方されていることになり、薬剤Cは予防薬ではない。このように、同じ薬剤であっても、予防のために用いられることもあれば、治療のために用いられることもあり、特に予防薬として薬剤Cを処方していることを示す処方条件を予防薬条件という。
このような病気の平均期間及び予防薬条件は、以下で示すように現在患者が罹っている病名を正確に推定するために必要である。
例えば、図6の処方せんDB123のデータを参照しながら説明する。推定条件設定手段112は、患者甲の処方せんのデータが2月1日に薬剤のA,3月1日に薬剤のA、以下図示しないが毎月1日に薬剤Aとする処方が1年以上なされているとすると、1月おきに1年以上同一薬剤が処方されているため、患者甲に対する薬剤のAの処方期間は1年以上と判定する。
同様に、推定条件設定手段112は、他の患者乙等に対しても処方期間を判定する。
推定条件設定手段112は、複数の患者甲及び乙等の薬剤のAの処方期間を集計して薬剤Aの処方期間の平均を算出する。そして、推定条件設定手段112は、算出した薬剤の処方期間の平均を、薬剤のAに関連付けられた病気と対応付けて、病気の平均期間として、推定条件DB124に記憶する。
例えば、図6の処方せんDB123のデータを参照しながら具体例を説明する。処方せんのデータのうち、処方された薬剤の種類が複数である処方せんのデータとして、薬剤のA,Cが処方されている「000001」、「000002」及び「000004」等を抽出し、そのうち同一の薬剤が処方されている「000001」及び「000002」をまとめて、「薬剤A,C 2件」のように表示部14に表示をする。そして、これを閲覧した管理者が表示された薬剤が予防薬であるか否かを判断した上で、薬剤Cは、薬剤Aと併用される場合には予防薬であると判断し、薬剤Cの予防薬条件(薬剤Aと併用)を設定し、推定条件DB114に記憶する。
ここで、使用上の注意とは、服薬指導を行う際に参考とする、添付文書に記載された薬剤の投与が禁止・制限される病気や併用薬剤に関する注意を促す情報であって、その注意の度合いから使用上の注意は、警告、禁忌、原則禁忌、慎重投与等のように段階的に記載されている。なお、警告及び禁忌等は、添付文書において使用上の注意とは独立した項目となっているが、本実施形態においては、使用上の注意に含むように構成してもよい。
処方せんDB123は、後述推定条件設定手段112が推定条件を設定する場合に参照するほか、後述する抽出手段212及び後述する病名推定手段213が参照する。
もっとも、特定の来院時に受け付けた処方せんに記載されている薬剤で治療する病気(例えば、風邪等。)については、比較的に患者からヒアリングをすることが容易であるが、特定の来院時に受け付けた処方せんに記載されている薬剤で治療を行わない持病(例えば、糖尿病等)については、特定の来院時に受け付けた処方せんの薬剤から推定できず、患者も協力的ではないためヒアリングも困難である。現在、患者が罹っている病気の病名をヒアリングすることができなれば、薬剤師は、患者の罹っている病気を知らないがために、本来であれば患者が特定の病気に罹っている場合には提供してはならない薬剤を提供してしまうおそれがある。薬剤師が提供してはならない薬剤を提供してしまった結果、患者にその薬剤を原因とする副作用が生じる危険性が生じる。
そのため、患者が罹っている病気を漏れなく推定して正確に推定する必要がある。
また、処方せんに記載された薬剤の適応症(病名DB内の薬剤に対応した「病名」をいう)に基づいてこれを患者の現在の病気と推定した場合に、複数種類の薬剤が処方されているときは、真にその患者の現在の病気の治療を目的とする主な薬剤のほか、予防薬として処方された薬剤に基づく適応症についても患者の現在の病名であると推定してしまうことになる。その結果、薬剤師は、患者が罹っていない病気に気をとられて、患者が罹っている病気を見落としてしまい、本来であれば患者が特定の病気に罹っている場合には提供してはならない薬剤を提供してしまうおそれがある。
そのため、患者が罹っている病気を過剰なく推定して正確に推定する必要がある。
例えば、患者の甲の病名を推定する場合に、現在の処方せん内容の薬剤が「B」であり、抽出手段212が抽出した過去の処方せん内容の薬剤が「E」及び「A,C」である場合に、薬剤の「A,C」のうち、Aと併用するCについては、予防薬であると判断して除外し、薬剤のA,B,Eについて病名の抽出を行う。
例えば、患者の乙の病名を推定する場合に、現在及び過去の処方せん内容の薬剤が「C,D」である場合には、推定条件DB124を参照しても予防薬と判断される条件がないため、薬剤の除外は行われない。
例えば、患者の甲の病名を推定する場合に、薬剤のA,B,Eに関連付けられた病名である、「筋無力症」、「出血性疾患」、「前立腺肥大」及び「インフルエンザ」を病名DB122より抽出する。
例えば、受付手段211において、4月15日に「甲 薬剤B,F」とする処方せんを受け付けた場合には、上述のように「筋無力症」、「出血性疾患」、「前立腺肥大」及び「インフルエンザ」が病名として抽出されるが、「3月5日」の「インフルエンザ」については、「2週間以内」の病気の平均期間であるところ、「3月5日」から「2週間」以上経過しているため、「インフルエンザ」は除外される。一方、過去の処方せん内容の薬剤に基づいて抽出した「3月1日」の「筋無力症」、「出血性疾患」については病気の平均期間内であるため除外しない。そのため、甲の推定病名は「筋無力症」、「出血性疾患」及び「前立腺肥大」になる。
表示領域V2には、処方された薬剤が患者「東日本 五十郎」に投与された場合の使用上の注意の個数が表示されている。使用上の注意の各項目や推定病名に基づくものかにおいて項目が分かれており、禁忌・推定禁忌・重複・注意・確認の欄が設けられている。
推定禁忌の欄は、特定の来院時の処方せんに記載された所定の薬剤について、添付文書DB121の警告、禁忌又は警告及び禁忌の両方等の比較的危険度の高い項目に、推定病名が含まれる場合に、警告、禁忌又は警告及び禁忌の両方等の数(禁忌等に含まれる薬剤の数であっても良いし、病名の数であってもよい)が所定の薬剤の行に表示される欄である。
重複の欄は、同一の推定病名が複数推定される場合に、特定の来院時の処方せんに記載された所定の薬剤について、添付文書DB121の警告、禁忌又は警告及び禁忌の両方等の比較的危険度の高い項目に、複数推定された推定病名が含まれるときに、警告、禁忌又は警告及び禁忌の両方等の数が所定の薬剤の行に表示される欄である。
注意とは、特定の来院時の処方せんに記載された所定の薬剤について、添付文書DB121の慎重投与等の比較的危険度の低い項目に、特定の来院時の処方せんに記載された他の薬剤が含まれる場合に、慎重投与等の個数が所定の薬剤の行に表示される欄である。
確認とは、特定の来院時の処方せんに記載された所定の薬剤が、長期投与チェック薬存在、長期投与チェック薬投与中、ハイリスク薬、初回処方薬(薬剤が患者に初めて投与される場合)等に該当する場合に、長期投与チェック薬存在、長期投与チェック薬投与中、ハイリスク薬、初回処方薬の数が所定の薬剤の行に表示される欄である。
例えば、V3aの上枠には、過去の処方せんで処方されていた薬剤Aが表示されており、薬剤Aから推定される病名「筋無力症」が表示されている。薬剤Aは、過去の処方せんのみに含まれていたものであるため「過去」の表示がされている。また、V3aの下枠には、薬剤Aから推定される「筋無力症」の患者には、薬剤Fを投与することが禁忌であることが表示されている。薬剤師は、このような表示を閲覧して患者に筋無力症に罹患しているかを確認して、患者が筋無力症であると回答した場合には、処方せんを発行した医師に薬剤Fの投与を中止するかの確認を行う。
続いて、図9を参照して、管理者装置1及び病名推定装置2の動作について説明する。
初めに、所定の期間が経過することに応じて、管理者装置1の病名記憶手段111は、添付文書DB121から病名データの生成処理を行う(ステップS1)。その後、管理者装置1の推定条件設定手段112は、病気の平均期間及び予防薬条件を含む推定条件の設定処理を行う(ステップS2)。ここで、病名データの生成処理及び推定条件の設定処理は、推定病名の表示処理を行わない時間帯に、所定の期間の経過ごとに行うことが望ましい。所定の期間とは、新たに添付文書が蓄積されうる期間や処方せんDB123に処方せん内容のデータがある程度蓄積されうる期間かという観点から定められ、例えば、1週間のように設定することができる。
続いて、病名推定装置2の受付手段211、抽出手段212、病名推定手段213及び表示制御手段は、処方せん内容を受け付けて、処方せん内容に基づいて、推定病名の表示制御処理を行う(ステップS3)。
また、本発明によれば、過去の処方せん内容のみならず、現在の処方せん内容に基づいても、現在患者が罹っている病名を推定するため、現在患者が罹っている病気の変遷を把握することができ、また、現在患者が罹っている病気の可能性の高低も判断することができ、このような正確な病名の推定に基づいて薬剤師のヒアリングを行えば、患者から現在罹っている病気の病名を容易に聞き出すことができ、薬剤師の負担を軽減するとともに、患者に高い安全性をもたらすことができる。
また、本発明によれば、予防薬であると判断する薬剤を除外するため、現在罹っていない病気まで推定病名としてあげることはなく、患者が罹っている病気の病名をより正確に推定することができ、このような正確な病名の推定に基づいて薬剤師のヒアリングを行えば、患者から現在罹っている病気の病名を容易に聞き出すことができ、薬剤師の負担を軽減するとともに、患者に高い安全性をもたらすことができる。
また、本発明によれば、病気の平均期間を経過した病名を除外するため、現在罹っていない病気まで推定病名としてあげることはなく、患者が罹っている病気の病名をより正確に推定することができ、このような正確な病名の推定に基づいて薬剤師のヒアリングを行えば、患者から現在罹っている病気の病名を容易に聞き出すことができ、薬剤師の負担を軽減するとともに、患者に高い安全性をもたらすことができる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
2 病名推定装置
3 ディスプレイ
11 制御部
12 記憶部
21 制御部
23 入力部
24 表示部
111 病名記憶手段
112 推定条件設定手段
121 添付文書DB
122 病名DB
123 処方せんDB
124 推定条件DB
211 受付手段
212 抽出手段
213 病名推定手段
213a 薬剤除外手段
213b 病名推定手段
213c 病名除外手段
214 表示制御手段
Claims (4)
- 受け付けた処方せん内容に基づいて過去の処方せん内容を記憶部から抽出する抽出手段と、
受け付けた処方せん内容及び過去の処方せん内容に基づいて患者の病名を記憶部から抽出して推定する病名推定手段と、
前記推定された病名を用いて、受け付けた処方せんに記載された薬剤が前記患者に禁忌であると推定されることを表示部に表示する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、更に前記推定された病名が過去の処方せん内容と現在の処方せん内容と何れに基づくかが区別可能となるように情報を表示部に表示する、
病名推定装置。 - 前記表示制御手段は、前記推定された病名が病気の平均期間を経過していない場合に限り、前記受け付けた処方せんに記載された薬剤が前記患者に禁忌であると推定されることを表示部に表示する、
請求項1に記載の病名推定装置。 - 前記表示制御手段は、前記推定された病名が予防薬に基づくものではない場合に、前記受け付けた処方せんに記載された薬剤が前記患者に禁忌であると推定されることを表示部に表示する、
請求項1又は2に記載の病名推定装置。 - 受け付けた処方せん内容に基づいて過去の処方せん内容を記憶部から抽出する抽出ステップと、
受け付けた処方せん内容及び過去の処方せん内容に基づいて患者の病名を記憶部から抽出して推定する病名推定ステップと、
前記推定された病名を用いて、受け付けた処方せんに記載された薬剤が前記患者に禁忌であると推定されることを表示部に表示する表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記表示制御ステップは、更に前記推定された病名が過去の処方せん内容と現在の処方せん内容と何れに基づくかが区別可能となるように情報を表示部に表示するステップである、
プログラム。
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