JP5069460B2 - 封孔処理剤、溶射被膜被覆部材および軸受 - Google Patents

封孔処理剤、溶射被膜被覆部材および軸受 Download PDF

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Description

本発明は、封孔処理剤、溶射被膜被覆部材および軸受に関し、特にエポキシ樹脂系封孔処理剤および該処理剤により処理されて得られる溶射被膜被覆部材および軸受に関する。
鋼等から構成される機械部品の基材表面に金属またはセラミックスなどの硬質粒子および粉体を溶射し、耐熱性や耐摩耗性、耐食性を高める技術は以前より実施されている。一般に溶射被膜はその被膜形成の過程で生じる空隙や間隙、ボイド等の気孔を有しており、この気孔は種々の特性を被膜自体に付与している。気孔の中で、あるものは基材表面から基材素地に通じる連通孔の形態を示し、被膜表層が接している環境と、被膜が被覆されている基材とを連通している。この連通孔を通じて、溶射被膜外部に接触した気体や液体が基材素地まで浸透、拡散したりする現象がみられる。その結果、溶射材自身が腐食劣化したり、素地基材が炭素鋼などの場合は、被膜と基材の接触界面で、基材が選択的に腐食劣化して、溶射被膜の基材に対する接合性が損なわれ剥離したりする場合がある。また、機械部品本体と、それが設置/具備される部材との間の絶縁性を確保する目的でセラミックス溶射がなされる場合があるが、上述の気体や液体の浸透拡散現象によって絶縁破壊され、所望の絶縁抵抗が発揮されなくなる場合もある。
そこで、溶射被膜を形成した後、何らかの封孔処理を施し、被膜の環境遮断性を高める封孔処理が行なわれてきた。従来から広く知られる一般的な封孔処理方法として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂を有機溶剤に溶解させた封孔処理剤を溶射被膜に塗布する方法がある。しかし、この方法では、溶射被膜表面に塗布されるだけで細孔の底部までは浸透しない。したがって形状(寸法)精度を保つために、封孔処理後に溶射被膜表面を研削あるいは研磨などで除去した場合、溶射被膜に対する封孔処理効果はほとんど期待できないことがある。また、使用している過程で摩耗により合成樹脂の塗膜がすり減ってしまい、封孔処理の効果が持続しない場合も見られる。
一方、封孔処理を施すことで、金属基材と溶射被膜材との密着力を向上させようとする試みもしばしば行なわれる。
一般的な溶射被膜は、被膜を製膜させたい表面とは化学的な結合を形成するのではなく、機械的な締結力(アンカー効果、投錨効果などという。)が主となって基材との密着力を構成する。特に歯車や軸受、スピンドルなど、金属基材からなる寸法精度の要求が厳しい機械部品表面に対し溶射を適用する場合、これら機械部品の表面は研摩で仕上げることが多く、表面粗さRaが 1μm 未満になっていることが多い。よって、これら金属部品の表面に溶射を行なう場合、ショットブラストあるいはタンブラー処理などの公知の表面改質手法にて、表面粗さRaを 1μm 以上程度まで増大させる処理を行なうことが多い。この手法により、ある程度溶射被膜と基材との間の接着力の向上は可能であるが、表面改質の程度次第では基材の寸法精度が悪化したり、表層部の焼き鈍りが起こることで基材材質の物性が低下するなどの弊害が起こりうる。結果的に、この手法による密着力の向上手法には限界がある。
そこで、物理的な密着力を補助するために化学的な接着力を併用するよう努力がなされてきたが、上記に示す一般的な封孔処理方法では、溶射被膜表面に塗布されるだけで細孔の底部の基材界面まで浸透しないため、溶射被膜の最外表面近傍のセラミックス粒子間の接着力のみを高めるだけに留まってしまい、金属基材と溶射被膜材との間で化学的な接着力を発揮させるには到らない。
これらを改善する方法として、例えば、封孔処理剤に、可視光線により硬化する光硬化性樹脂を利用する方法(特許文献1参照)、電着塗料により、塗料粒子の電気泳動現象で溶射被膜の細孔中に析出・充填させようとする方法(特許文献2参照)、ガラス質物質を形成するB23 を添加した溶射材を母材表面に溶射した後、溶射被膜を加熱してB23 を溶融させ、溶射被膜中に発生している間隙に充填する方法(特許文献3参照)、溶射材料中にガラス質物質を形成するB23 を添加して被膜を形成し、その後の加熱処理で溶融B23 が気孔充填作用を行なうもの(特許文献3参照)などが知られている。しかし、これらの方法は、加圧または減圧工程に加え、いずれも特殊な装置や煩雑な工程を必要とするなど、工業的生産方法に適さないという問題がある。
このため、封孔処理剤の必須組成として、(i)合成樹脂、(ii)重合性有機溶剤、並びに(iii)フッ素系界面活性剤およびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させる方法が知られている(特許文献4参照)。この方法は、(i)合成樹脂の硬化時、「(ii)重合性有機溶剤を単独で」あるいは「(i)合成樹脂と複合的に」硬化物を形成させることを意図しているものであるが、(ii)重合性有機溶剤の単純な加熱のみでは、溶液中の溶存酸素などが重合を阻害するため、実際に溶剤部分が硬化することが困難である。特に、特許文献4の実施例に示されたような、代表的なビニル基含有有機化合物である「スチレンモノマー」を重合性溶剤とした場合、エポキシ樹脂の硬化温度では重合反応は充分に行なわれず、エポキシ樹脂中に未反応の重合性溶剤が残存し、硬化後封孔樹脂の長期的な安定性に懸念が生じる。重合性溶剤の重合反応を促進する目的で、特許文献4にも記載があるとおりラジカル重合開始剤などを配合したり、一方で、封孔処理剤の系に溶存する酸素を高度に除去することが必要となる。しかしながら、高温型ラジカル重合開始剤は一般的に反応性が高く爆発などの危険性が高い有機過酸化物からなるため、取扱上の注意が必要であった。一方で低温型重合開始剤を選択すればかかる懸念事項は緩和されるが、低温においても重合開始剤の分解反応が進行するため、未硬化封孔処理剤のポットライフに留意する必要が生じる。また、溶存酸素量の観点からも、保存安定性を高めるために細い注意事項の遵守が常に要求されるという問題がある。
上述のとおり、従来技術においては、たとえ基材表面まで封孔処理剤を浸透させることに成功しても、重合性溶剤をエポキシ樹脂に配合することによる懸念事項が存在している。
また、エポキシ樹脂系封孔処理剤は硬化剤で硬化されるが、硬化剤として酸無水物系化合物を用いると硬化温度が高くなったり、酸無水物の種類によっては粘度が上昇したりする問題がある。さらに、脂肪族アミン系硬化剤を用いると室温で硬化反応が進行する場合があり、硬化剤配合後の可使時間(ポットライフ)が短くなるという問題がある。これにより溶射被膜に浸透中の封孔処理剤の粘度が急速に上昇し、完全に浸透が終了する前に浸透が終了する懸念がある。可使時間が短くなると、封孔処理剤を交換する頻度が高くなり、生産性にも劣ることになる。
特開平5−106014号公報 特開平6−212391号公報 特開平10−259469号公報 特開2003−183806号公報
本発明は、かかる問題に対処するためになされたものであり、可使時間(ポットライフ)を長くできることにより、封孔処理剤を交換することなしに、繰返し処理実施可能であると共に、気孔(間隙)に対する浸透性および充填性に優れ、溶射被膜材の間隙が実質的に全て充填されている状態まで封孔処理を施すことができ、経時的な封孔特性の劣化を回避できる封孔処理剤および封孔処理方法、ならびに研削または研磨除去されても封孔処理剤の浸透・充填層が十分存在し、更に機械的性質、電気的性質などの物性をも向上させることができる溶射被膜被覆部材、およびそれを用いた軸受の提供を目的とする。
本発明の封孔処理剤は、エポキシ基含有成分と硬化剤とを含み、重合性ビニル基含有溶剤を含まない、溶射被膜の封孔処理剤であって、上記エポキシ基含有成分は、1分子中に含まれるエポキシ基の数が3個以上のポリグリシジルエーテル化合物を必須成分とし、1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個のアルキレンジグリシジルエーテル化合物および環状脂肪族ジエポキシ化合物から選ばれた少なくとも1つを含む混合物であり、上記エポキシ基含有成分は、硬化剤を除く、エポキシ基含有成分全体に対して、ポリグリシジルエーテル化合物の配合割合が 10 重量%〜80 重量%配合され、上記硬化剤が脂環式アミノ化合物であることを特徴とする。
上記エポキシ基含有成分は、更に1分子中に含まれるエポキシ基の数が1個のモノグリシジルエーテル化合物を含むことを特徴とする。
また、上記脂環式アミン化合物が脂環式ジアミノ化合物を含むことを特徴とする。
本発明の溶射被膜被覆部材は、金属基材上に上記封孔処理剤で封孔処理された溶射被膜を有する溶射被膜被覆部材であることを特徴とする。
本発明の軸受は上記溶射被膜被覆部材が軸受構成部材表面に形成されていることを特徴とする。
本発明の封孔処理剤は、エポキシ基含有成分と脂環式アミノ化合物を硬化剤として含み、重合性ビニル基含有溶剤を含まない、溶射被膜の封孔処理剤であって、上記エポキシ基含有成分が所定のポリグリシジルエーテル化合物を主成分とする混合物である。そのため、封孔処理剤の可使時間(ポットライフ)が長くなり、封孔処理剤の交換をすることなしに、連続して封孔処理を実施できる。また、封孔処理剤における溶剤の揮発による空隙の発生を効果的に抑制し、溶射被膜材の間隙が実質的に全て充填されている状態まで封孔処理を施すことができる。
複数のポリグリシジルエーテル化合物の混合物は、分子構造が類似するので相溶性に優れるため、相分離などが生じるおそれがないことから気孔内に容易に浸透することができる。このため溶射被膜材の封孔状態や経時的な封孔特性の劣化の恐れを回避でき、使用時における溶射被膜の剥離などの破損を防止し、機械部品の寿命を向上させることができる。
本発明の封孔処理剤は硬化剤として脂環式アミノ化合物を使用する。この脂環式アミノ化合物を使用することで、特に以下に示す効果が得られる。
(1)硬化反応が緩やかになるため硬化樹脂の内部応力の低減化に有効であり、封孔処理後の耐ヒートサイクル性に優れる。
(2)それ自身の粘度も低いため封孔処理剤の粘度を大幅に低下させることができる。
(3)粘度が低く硬化速度も緩やかなため、ポットライフを長くすることができ、連続処理が可能となり、製造コストを低減できる。
(4)粘度が低く硬化速度も緩やかなため、焼成前の保持時間中も溶射皮膜内の微小な空隙部への浸透をより確実に行なえる。
(5)硬化後の樹脂収縮が少ないため、多湿雰囲気下でも水分の浸入を抑え長期間絶縁性能を維持できる。
(6)臭気や毒性が低く、良好な作業環境を維持できる。
また、本発明の溶射被膜被覆部材は、上記封孔処理剤を用いて形成されるので、溶射被膜の気孔(間隙)に対する浸透性および充填性に優れ、封孔処理後に溶射被膜表層部分を研削あるいは研磨除去した場合でも封孔処理剤の浸透・充填層が十分存在し、その結果被膜の基材保護性を大幅に向上させ、更に機械的性質、電気的性質などの物性を向上させることができ、軸受に用いることができる。
溶射被膜材の封孔特性の劣化や使用時における溶射被膜の破損を防止でき、かつ封孔処理剤の交換をすることなしに、連続して封孔処理を実施できる封孔処理剤について鋭意検討した結果、エポキシ基含有成分として、1分子中に含まれるエポキシ基の数が異なる所定のポリグリシジルエーテル化合物等の混合物を含む封孔処理剤を用い、硬化剤として脂環式アミノ化合物を用いて封孔処理された溶射被膜は、気孔(間隙)に対する浸透性および充填性に優れ、封孔処理後に溶射被膜表層部分を研削あるいは研磨除去した場合でも封孔処理剤の浸透・充填層が十分存在し、その結果被膜の基材保護性を大幅に向上させ、更に機械的性質、電気的性質などの物性をも向上させ得ることを見出した。
これは優れた浸透性および充填性により粒子境界に侵入した封孔処理剤が粒子境界を適切に充填し、優れた接着力により粒子境界と強固に接着し、かつ重合性ビニル基含有溶剤を含まないので、溶剤の揮発による空隙の発生を効果的に抑制することにより、溶射被膜材の間隙が実質的に全て充填されている状態まで封孔処理を施すことができることによるものと考えられる。本発明はこのような知見に基づき完成されたものである。
本発明の封孔処理剤は、1分子中に含まれるエポキシ基の数が3個以上のポリグリシジルエーテル化合物を必須成分とし、この必須成分に加えて、1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個のアルキレンジグリシジルエーテル化合物および/または1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個の環状脂肪族ジエポキシ化合物を含む混合物である。ポリグリシジルエーテル化合物および環状脂肪族ジエポキシ化合物はその分子内にオキシラン環が解裂して形成される繰り返し単位を含まない化合物である。本発明に用いる混合物は硬化剤と反応して硬化物を形成する。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が3個以上のポリグリシジルエーテル化合物としては、トリグリシジルエーテル化合物、テトラグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
ポリグリシジルエーテル化合物の例としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルを挙げることができる。
これらの中で、封孔処理剤の粘度を下げる観点から、トリグリシジルエーテル化合物が好ましく、特にトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個のアルキレンジグリシジルエーテル化合物としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを挙げることができる。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個の環状脂肪族ジエポキシ化合物は、脂環式化合物の環を形成する炭素原子において、隣接する2つの炭素原子がオキシラン環を形成している、いわゆる脂環式エポキシ化合物であって、オキシラン環を2つ含む脂環式ジエポキシ化合物、例えば、1,2,8,9−ジエポキシリモネンが挙げられる。封孔処理剤の粘度を低下させつつ処理物の物性の低下を効果的に防止する好ましい化合物である。
また、水素添加ビスフェノールA、テトラヒドロフタル酸のジグリシジルエーテルなどの脂環式化合物のジグリシジルエーテルも使用することができる。
本発明の封孔処理剤は、取り扱い性の向上や、溶射被膜材への更なる浸透性向上の目的で、1分子中に含まれるエポキシ基の数が1個のモノグリシジルエーテル化合物を配合することができる。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が1個のモノグリシジルエーテル化合物としては、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルモノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル等、公知のモノグリシジルエーテル化合物を挙げることができる。
トリグリシジルエーテル化合物は、溶射被膜と金属基材との間の接着力を飛躍的に高める封孔処理剤成分として使用できる。同時に該化合物自体の粘度が低いために、後述するジグリシジルエーテル化合物等と混合することによって、キシレン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤や、重合性ビニル基含有溶剤などの添加を必要とせず、封孔剤に対し、充分な浸透性を付与できる。
また、樹脂中に含む塩素イオン量を 0.5 重量%以下とすることで、湿潤雰囲気下における絶縁抵抗などの電気特性の低下や、基材の腐食性などが抑えられる。
トリグリシジルエーテル化合物の 25℃における粘度は 500 mPa・s 以下であることが好ましい。500 mPa・s を超えると浸透性に劣る。
混合物全体に対して、トリグリシジルエーテル化合物の配合割合が 10〜80 重量%であることが好ましく、より好ましくは 20〜50 重量%である。10 重量%未満のときは、封孔液自体の粘度を低く設定できるため、硬化物の浸透性は高まるものの、一方ではトリグリシジルエーテル化合物の接着性向上効果が得られにくくなるため、基材との接着力は減少する。また、トリグリシジルエーテル化合物の配合割合が 80 重量%を超えるときは封孔処理剤の粘度が高くなるため浸透性に劣る。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個のアルキレンジグリシジルエーテル化合物は、それ自体が低粘度のエポキシ化合物であるため、ポリグリシジルエーテルへの添加によって封孔剤の粘度を低下させることができるため好ましい。また、1,2,8,9−ジエポキシリモネンに示されるような環状脂肪族ジエポキシ化合物の添加も好ましい。これら化合物は、硬化反応時にエポキシ分子と共重合することで一体化するため、配合による硬化物の物性低下や、硬化時の体積減少を防ぐことができるため好ましい。
アルキレンジグリシジルエーテル化合物の 25℃における粘度は 30 mPa・s 以下であることが好ましい。30 mPa・s を超えると封孔剤の粘度が上昇するため浸透性が劣る。
混合物全体に対して、アルキレンジグリシジルエーテル化合物の配合割合が 10〜80 重量%であることが好ましく、より好ましくは 50〜80 重量%である。10 重量%未満のときは封孔剤の粘度低減効果が小さくなり、封孔剤の浸透性を高めることができない。また、80 重量%を超えると、封孔剤の浸透性は高まるが、相対的に硬化時に高密度の架橋構造を形成する役割を持つトリグリシジルエーテル化合物の配合割合が減少するため、硬化後のエポキシ樹脂の物性は低下する。
アルキレンジグリシジルエーテル化合物は、上記トリグリシジルエーテル化合物と所定量混合することで、トリグリシジルエーテル化合物単体の持つ基材密着力や、分子の架橋密度、樹脂硬度を大幅に低下させることなく、封孔処理剤の浸透度を確保することで溶射被膜用の封孔処理剤として充分な機能が発現させることができる。
1分子中に含まれるエポキシ基の数が1個のモノグリシジルエーテル化合物は単官能基を介して樹脂の一部と結合することができる。また、それ自身が低粘度のエポキシ化合物であるため封孔処理剤の粘度を低下させることができ、一方で、硬化後の樹脂内部の残留応力の低減や、硬化速度の調整効果を与えることができる。
モノグリシジルエーテル化合物の配合量は、混合物全体に対して、0〜50 重量%とすることが好ましい。
モノグリシジルエーテル化合物の添加量が 50 重量%を超えると、揮発量が増加したり、トリグリシジルエーテル化合物の量が相対的に減少し、硬化後樹脂の架橋密度が不足し、物性が大きく低下したり硬化物が形成しにくくなる。またポリグリシジルエーテル化合物の配合量も減少するため、溶射被膜と基材間の密着力が小さくなる。
上記グリシジルエーテル化合物の混合物に対して配合される硬化剤としては、室温で液状である化合物が好ましく、特に 25℃における粘度が 20 mPa・s 以下の化合物が好ましい。
脂環式アミノ化合物の例としては、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(商品名:イソフォロンジアミン)、メンセンジアミン(商品名:プライメンMD)、水添3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
これらの中で、脂環式ジアミノ化合物が封孔処理剤系全体の粘度を顕著に低下でき、また、封孔処理剤のポットライフを長くすることができるので好ましく、特に3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、メンセンジアミンが好ましい。
脂環式アミノ化合物硬化剤の配合量は、エポキシ基1当量に対して 0.9〜1.1 当量とすることが好ましい。
また、封孔処理剤を硬化させる雰囲気によっては、硬化時間が必要以上に長期化する場合も考えられるが、それを調整する目的で、公知の硬化促進剤を併用できる。アミン硬化剤用の硬化促進剤で公知のものなら使用可能であり、具体的にはサリチル酸、乳酸などのカルボキシル基含有化合物が好適に用いられる。
本発明の封孔処理剤には、その他材料として界面活性剤を添加できる。特に効果のある界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤が挙げられ、特に公知のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。本発明において、公知のアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤を使用できる。本発明の封孔処理剤に、フッ素系界面活性剤を配合する場合は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、シリコーンオイルなど界面活性効果や浸透効果を高める添加剤であれば、発明の特徴を妨げない範囲で使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル等を使用できる。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩、アミノハロゲン塩等を使用できる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンエステル型、ポリオキシエチレンエーテル型、ソルビタンエステル型等を使用できる。両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、ベタイン型等を使用できる。
封孔処理方法は、鋼等の基材金属の表面に金属、合金、酸化物セラミックス、炭化物サーメット等の溶射材を公知の溶射方法で形成した溶射被膜に対し、本発明の封孔処理剤を用いて溶射被膜の気孔を封孔処理するものである。
溶射材として用いる金属としてはAl、Zn、Cr、Ni等を、合金としてはステンレス鋼等を、酸化物セラミックスとしてはアルミナ、ジルコニア、チタニア等を、炭化物サーメットとしてはクロム炭化物、タングステン炭化物等を、それぞれ挙げることができる。
溶射方法としては、例えばプラズマ溶射法、高速ガス炎溶射法等を用いることができる。溶射被膜の膜厚は、溶射材料の種類や得られる溶射被膜被覆部材の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、炭素鋼を基材として、溶射材をアルミナとした場合、20〜2000μm 程度、好ましくは 50〜1000μm 程度である。
上記封孔処理方法において封孔処理剤の浸透・充填性は、処理される溶射被膜を形成している粒子境界の融着構造により左右されるので、溶射被膜の粒子境界の融着構造や、封孔後の溶射被膜の要求特性に適した最適な封孔処理剤を選択するのが望ましい。
例えば、本発明の封孔処理剤は、形成された溶射被膜の気孔率が 10%以下である場合の封孔処理に用いることが好ましい。また、本発明の封孔処理剤は、溶射材としてセラミック粉末や炭化物サーメット等を用いてプラズマ溶射、高速ガス炎溶射法によって形成した溶射被膜の気孔率 10 %以下である場合の封孔処理に用いることが好ましい。本発明の封孔処理剤を用いてこれら溶射被膜に封孔処理を施した場合、非常に優れた封孔効果を発揮し、表層を、例えば 200μm 程度、研削除去しても封孔効果を確認することができる。
このように、本発明の封孔処理剤を用いることにより、溶射被膜の気孔(間隙)がエポキシ基を重合して得られる樹脂で実質的に全て充填されるので、間隙のない連続被膜表面を有する溶射被膜被覆部材を得ることができる。
ここで、溶射被膜の気孔(間隙)が「実質的に全て充填されている」とは、溶射被膜表面に塗膜形状で存在している封孔処理剤により形成された層(封孔処理剤に含まれる成分の硬化物などからなる)を含めた溶射被膜の最外層部分(例えば、表面から厚さ 0.2 mm 程度)を研削・研磨して除去した後、JIS H 8666に基づく染色浸透試験において、着色が見られないことを意味する。
上記封孔処理方法は、上述の封孔処理剤が溶射被膜底部まで浸透し充填性が向上することにより、粒子間境界の間隙が確実に埋められることで粒子間の個々の結合力や、基材との密着力が増大し、粒子間境界の間隙を全て埋めることができる。このため大気中における環境水分や異物の侵入が遮断され、酸化物セラミックス溶射被膜の固有の値を低減させることなく、絶縁抵抗値および絶縁破壊値の低下を抑制することができる。また得られた封孔処理済みの溶射被膜は表面を研削または研磨などした場合にも露出する間隙が存在しない。
したがって、溶射被膜自体の機械的強さや基材との密着強さを高める手段、絶縁抵抗値および絶縁破壊値など電気特性の低下抑制手段などとして利用できる。
本発明の封孔処理剤を用いて封孔処理を施すと、溶射被膜の間隙が封孔処理剤で実質的に全て充填された後、溶射被膜表層を隠蔽する形で封孔処理剤による塗膜状の薄い層が形成される。この塗膜状の薄い層を有する被覆部材はそのまま使用することもできるが、被覆部材の寸法精度を保つためには、研削砥石、研磨紙、不織布バフなどを用いて溶射被膜の表面を研削・研磨してかかる層を除去することができる。
封孔処理は、溶射後の溶射被膜に対し速やかに施すことが好ましい。溶射被膜は、粒子径分布のある多数の粒子が粒子間表層のみで融着して形成された被膜である。必然的に粒子境界に間隙が生成するため、被膜形成の直後から粒子境界の間隙をぬって水分や異物が侵入するなど、環境条件の影響を受けることが多い。したがって封孔効率の低下を防ぐには溶射後、溶射被膜の封孔処理をできる限り早く施すことが望ましい。
本発明の溶射被膜被覆部材は、鋼等から構成される機械部品の基材表面に金属またはセラミックスなどの硬質粒子および粉体を溶射して溶射被膜を形成した後、本発明の封孔処理剤を用いて、溶射被膜材の間隙が実質的に全て充填されている状態まで封孔処理を施して得られる被覆部材である。したがって、得られた溶射被膜被覆部材は、機械的強さや基材との密着強さが高められ、更に絶縁抵抗値および絶縁破壊値など電気特性が向上する溶射被膜を機械部品基材に被覆するので、機械部品を周囲の環境から完全に遮断し、水や異物の侵入を防ぎ保護することができる。
また、研削砥石、研磨紙、不織布バフなどを用いて溶射被膜の表面を研削・研磨することにより、被覆部材の寸法精度を保つことができる。
本発明の溶射被膜被覆部材は、軸受を構成している部材表面に好適に応用できる。軸受としては、転がり軸受、すべり軸受のいずれにも用いることができる。転がり軸受は、外周面に内輪転走面を有する内輪と内周面に外輪転走面を有する外輪とが同心に配置され、内輪転走面と外輪転走面との間に複数個の転動体が配置される。さらに、この複数個の転動体を保持する保持器および外輪等に固定されるシール部材とにより構成される。
本発明の溶射被膜被覆部材は、深溝玉軸受および円筒/円錐ころ軸受等の転がり軸受の外輪部に処理されるセラミック溶射被膜の封孔処理剤として好適に用いることができる。
溶射被膜被覆部材で外輪部表面が処理された軸受はハウジングに外輪外径面を摺動させながら圧入することで固定される。本発明の溶射被膜被覆部材を設けることで、封入樹脂の作用により、溶射被膜が強化されるため、圧入時に起こりうるハウジングとの衝突による被膜の破損リスクを減少させることができる。
また、本発明の溶射被膜被覆部材は、すべり軸受の摺動面としても用いることができる。
実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例3
表1で用いた材料を以下に示す。
(1)グリシジルエーテル化合物
(1−1)トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル:ナガセケムテックス社製、デナコールEX−321L、粘度; 500 mPa・s (25℃)
(1−2)アルキレンジグリシジルエーテル:ジャパンエポキシレジン社製、YED216M、粘度; 15 mPa・s (25℃)
(1−3)アルキレンモノグリシジルエーテル:ジャパンエポキシレジン社製、YED111E、粘度; 7 mPa・s (25℃)
(2)硬化剤、硬化促進剤
(2−1)脂環式ジアミン系硬化剤:ロームアンドハース社製、プライメンMD、粘度; 20 mPa・s (25℃)
(2−2)脂環式ジアミン系硬化剤:デグザ社製、イソフォロンジアミン、粘度; 20 mPa・s (25℃)
(2−3)酸無水物系硬化剤:大日本インキ化学工業社製、エピクロンB−570、粘度; 40 mPa・s (25℃)
(2−4)3級アミン系硬化促進剤:エアープロダクツ社製、DMP−30
(2−5)イミダゾール系硬化促進剤:四国化成工業社製、OR−2E4MZ
(3)重合性ビニル基含有溶剤
(3−1)スチレンモノマー:和光純薬社製、試薬
表1に示す各成分を室温で充分に撹拌混合し、混合樹脂中の気泡を抜くため 30 分静置して封孔処理剤を得た。得られた封孔処理剤の評価を焼成後重量減少率試験により行なった。
<焼成後重量減少率試験>
得られた封孔処理剤を、140℃×2 時間の条件で充分に乾燥させ、異物付着のない(容量 3 ml )のガラス製容器に約 2 g 秤量し、焼成前秤量値とした。その後、ガラス容器の口を開放したまま、80℃×1 時間予備焼成し、その後 120℃×2 時間焼成を行ない、焼成後の重量を測定し焼成後秤量値とし、下記の式にしたがって封孔処理剤の重量減少率を計測した。測定結果を表1に示す。なお、測定結果に対する判定基準は、重量減少率が 1 %を超えると溶射被膜に残存する微小空隙内で硬化後に空隙部を生じたり、発生ガスによって硬化物中の残留気泡の発生が多くなったりする懸念があるため「不可」と判定され、1 %以下を「可」と判定できる。また、「未硬化」は上記焼成条件において固体状にならなかった場合である。

焼成後重量減少率(%)=100×(焼成前秤量値−焼成後秤量値)/焼成前秤量値
次に、φ20 mm×25 mm のSUJ2製円柱試験片(以下「試験片基材」と記す)を準備し、その円柱端面に膜厚 400μm のアルミナセラミック溶射被膜を大気プラズマ溶射法により形成した。
溶射面の表面に室温雰囲気下において、ポリアミド製ブラシを用いて表1に示す封孔処理剤を塗布し 30 分静置した。その後ポリエチレン製のヘラで表面付着分の過剰な封孔処理剤を掻き取った状態をもって、封孔処理剤の塗布済み試験片とした。その後、これら塗布済み試験片を 80℃×1 時間予備焼成し、その後 120℃×2 時間焼成を行ない、封孔処理剤を硬化させた。次に、セラミック平面と平行にダイヤモンド砥石を用いて研削除去を行なった。研削除去量は、下記に示す2水準を設定した。
(1)表層部の硬化樹脂層を重点的に除去する目的でセラミック部を約 10μm 研削除去した。
(2)硬化試験片の表面から約 200μm の深さまでの樹脂浸透層を除去する目的で、約 200μm 研削除去した。
表面を研削除去して得られた硬化試験片を用いて以下に示す浸透性試験、密着力試験、絶縁抵抗試験、耐電圧特性試験により浸透性、密着力、絶縁抵抗値、耐電圧特性、耐湿性、連続処理性を測定した。
<浸透性試験>
硬化試験片の浸透性試験は、封封孔処理を施した硬化試験片の被膜面に対しJIS H 8666に基づくフェロキシル試験を適用して行なった。フェロキシル試験の概略を図1に示す。試験条件は、図1に示す試験液を浸漬させたろ紙3、スズ板4、ウエイト5の形状が試験片に合わせたもの(φ16 mm )となっている点を除き、試験液組成、試験面圧、放置時間等の条件はすべてJIS H 8666に準拠した。ろ紙3が着色することは、溶射被膜2に試験片基材1と外部空間とを連結する連通孔があるため、フェロキシル試験溶液が試験片基材1の鉄イオンに接触して青色に呈色したことを示す。判定基準は、元来白色であったろ紙3の表面に青色の斑点が 1 個以上見られたものを「斑点あり」とし、青色の斑点が 0 個であったものを「斑点なし」とし、浸透性測定結果を表1に併記する。
<密着力試験>
密着力試験の概略を図2に示す。焼成後の表層部分を 200μm 研削除去した硬化試験片に対し、高粘度エポキシ系接着剤を介して引張治具6(接着部の形状:φ16 mm )をエポキシ接着面2aで接着し、引張圧縮試験機にて矢印方向に引っ張って単位面積あたりの溶射被膜2の密着力を測定した。測定結果を表1に併記する。判定基準は、密着力が 2 MPa 以上で「可」、2 MPa より下回ると「不可」と判定される。
<絶縁抵抗試験>
絶縁抵抗試験の概略を図3に示す。硬化試験片を 80℃の温水に 1 時間浸漬後、配線9に取り付けた 1000 V DC絶縁抵抗計8を用いて、溶射被膜2表面と試験片基材1間の絶縁抵抗を測定した。7は電極である。測定結果を表1に併記する。判定基準は、2000 MΩ以上(表中に>2000 として表示)の抵抗率を示す場合は「可」、2000 MΩより下回る抵抗率の場合は「不可」と判定される。
<耐電圧特性試験>
耐電圧特性試験の概略を図4に示す。配線9に取り付けた高電圧発生装置10により、交流電圧を 1 min 間だけ印加し、モニタ11により絶縁破壊が検出されなければ、0.1 kV ずつ印加電圧を上昇させ、同じ操作を繰り返すことで、溶射被膜2と試験片基材1との間の耐電圧特性を評価した。7は電極である。判定基準は、5 kV 以上の耐電圧を示す場合は「可」、それよりも下回る場合を「不可」とした。測定結果を表1に併記する。
<耐湿性確認試験>
得られた封孔処理剤の耐湿性を確認すべく、温度 40℃×相対湿度 85 %RHの高湿環境下に放置した研削済み試験片の絶縁抵抗を、上記<絶縁抵抗試験>と同様の方法で高湿環境に放置開始後 50 時間毎に測定し、絶縁抵抗が初期値よりも低下するまでの時間を求めた。判定基準は、500 時間以上(表中に>500 h として表示)絶縁抵抗値が低下しなかった場合は「可」、500 時間よりも早期に絶縁抵抗値の初期値を下回った場合を「不可」とした。測定結果を表1に併記する。
<連続処理性確認試験>
得られた封孔処理剤のポットライフを確認すべく、同一の封孔処理剤で連続処理性を確認した。試験方法は、表1記載の組成を混合し脱泡処理を完了した時点から、30 分に 1 回封孔処理および硬化処理を上記の研削済み試験片の製作方法と同様の方法で行ない、上記<絶縁抵抗試験>の評価結果が不可となるまでの時間を求めるという手法を採用した。試験雰囲気条件は、室温 25℃,相対湿度 50 %RHの環境下とした。判定基準は、封孔処理剤の調製作業が 1 日 1 回で済む目安である「 8 時間以上連続処理が可能」となった場合は「可」、それよりも早期に絶縁抵抗値が不可となり封孔処理剤の再調製が必要となった場合を「不可」とした。測定結果を表1に併記する。
総合判定欄は、上記全ての特性を満足する場合「○」、その他の場合「×」とした。
Figure 0005069460
表1に示すように、各実施例は、本発明の封孔処理剤により溶射被膜の気孔(間隙)を充填することによって、基材と溶射被膜間の密着力を向上させ、更に大気中の水分の侵入を防止し、酸化物セラミックス溶射被膜の固有の値を低減させることなく、絶縁抵抗値および耐電圧特性の低下が抑制できることを示している。
また、各実施例および比較より、硬化剤が脂環式アミノ化合物であっても、酸無水物硬化系と同等以上のポットライフおよび耐湿性を有することが確認された。
本発明の封孔処理剤を用いることによって、気孔(間隙)に対する浸透性および充填性に優れ、溶射被膜材の間隙が実質的に全て充填されている状態まで封孔処理を施すことができる。このため経時的な封孔特性が劣化するおそれがなく、使用時に剥離などのない溶射被膜を形成するための封孔処理剤として好適に利用できる。
また本発明の溶射被膜被覆部材は、封孔処理剤の浸透・充填層が十分存在するので、封孔処理後に溶射被膜表層部分を研削あるいは研磨除去された場合でも溶射被膜の耐熱性や耐摩耗性、耐食性を大幅に向上させ、更に機械的性質、電気的性質などの物性をも向上させることができる。このため、高精度な後加工が要求される、鋼等から構成される各種産業機械部品の溶射被膜の保護用部材、改質部材として好適に利用できる。
フェロキシル試験の概略を示す図である。 密着力試験の概略を示す図である。 絶縁抵抗試験の概略を示す図である。 耐電圧特性試験の概略を示す図である。
符号の説明
1 試験片基材
2 封孔処理済み溶射被膜
3 フェロキシル試験溶液付きろ紙
4 スズ板
5 ウェイト
6 引張治具
7 電極
8 絶縁抵抗計
9 配線
10 高電圧発生装置
11 モニタ

Claims (5)

  1. エポキシ基含有成分と硬化剤とを含み、重合性ビニル基含有溶剤を含まない、溶射被膜の封孔処理剤であって、
    前記エポキシ基含有成分は、1分子中に含まれるエポキシ基の数が3個以上のポリグリシジルエーテル化合物を必須成分とし、1分子中に含まれるエポキシ基の数が2個のアルキレンジグリシジルエーテル化合物および環状脂肪族ジエポキシ化合物から選ばれた少なくとも1つを含む混合物であり、前記硬化剤を除く、前記エポキシ基含有成分全体に対して、ポリグリシジルエーテル化合物が 10〜80 重量%配合され、前記硬化剤が脂環式アミノ化合物であることを特徴とする封孔処理剤。
  2. 前記エポキシ基含有成分は、更に1分子中に含まれるエポキシ基の数が1個のモノグリシジルエーテル化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の封孔処理剤。
  3. 前記脂環式アミン化合物が脂環式ジアミノ化合物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の封孔処理剤。
  4. 金属基材上に封孔処理剤で封孔処理された溶射被膜を有する溶射被膜被覆部材であって、前記封孔処理剤が請求項1、請求項2、または請求項3記載の封孔処理剤であることを特徴とする溶射被膜被覆部材。
  5. 溶射被膜被覆部材が軸受構成部材表面に形成されている軸受において、前記溶射被膜被覆部材が請求項4記載の溶射被膜被覆部材であることを特徴とする軸受。
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