JP5066073B2 - 測定装置、測定方法、試験装置、試験方法、及び電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、被測定信号を測定する測定装置及び測定方法、被試験デバイスを試験する試験装置及び試験方法、並びに電子デバイスに関する。特に本発明は、被試験デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する測定装置、測定方法、試験装置、及び試験方法に関する。本出願は、下記の米国特許出願に関連する。文献の参照による組み込みが認められる指定国については、下記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の一部とする。
出願番号 11/362,536 出願日 2006年2月27日
出願番号 11/550,811 出願日 2006年10月19日
半導体回路等の電子デバイスの試験項目として、電子デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する試験が考えられる。例えば、被測定信号をタイムインターバルアナライザ、オシロスコープ等に入力することにより、被測定信号のジッタを測定している。タイムインターバルアナライザ等を用いる場合、例えば被測定信号のエッジの位相誤差を測定することにより、ジッタを算出することができる。
また、電子デバイスの試験項目として、電子デバイスが出力する被測定信号のパターンが、期待値パターンと一致するか否かを判定するファンクション試験も考えられる。当該試験は、電子デバイスに所定の試験パターンを入力したときに電子デバイスが出力する被測定信号の電圧値を閾値電圧と比較することにより、被測定信号のデータパターンを検出する。そして、当該データパターンが、期待値パターンと一致するか否かを判定する。
このように、ジッタ試験及びファンクション試験を行う場合、ジッタ測定用の装置と、ファンクション試験用の装置とを用意する必要がある。このため、ジッタ試験にはコストがかかってしまう。
また、ファンクション試験用の装置は、被測定信号の電圧値を、設定されるタイミングで閾値電圧と比較する。このため、当該タイミングを徐々にずらすことにより、被測定信号のデータパターンが遷移するタイミングを検出し、被測定信号のエッジを検出することができる。このため、当該機能を利用して、ファンクション試験用の装置を用いてジッタを測定することも考えられる。
現在、関連する特許文献等は認識していないので、その記載を省略する。
しかし、従来のファンクション試験用の装置は、被測定信号の周期に同期したテストレートにおける、サンプリングタイミングを設定するものである。このため、各テストレート内において、被測定信号に対するサンプリングタイミングの相対位相を徐々にずらすためには、それぞれのテストレートに対して、サンプリングタイミングの位相を設定する必要がある。このため、ジッタ試験を行う場合には煩雑なタイミング設定をしなければならず、試験時間も非常に長くなっていた。また、相対位相に応じてタイミングをシフトさせるので、その測定精度は試験に適するものではない。
また、オシロスコープ等を用いてジッタを測定する場合、入力される被測定信号にはタイミングノイズ成分に加え、振幅ノイズ成分が含まれている。このため、被測定信号のタイミングノイズのみを精度よく測定することが困難である。
このため本発明の一つの側面においては、上記の課題を解決することができる測定装置、測定方法、試験装置、試験方法、及び電子デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、被測定信号を測定する測定装置であって、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部とを備える測定装置を提供する。
本発明の第2の形態においては、被試験デバイスを試験する試験装置であって、被試験デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する測定装置と、測定装置が測定したジッタに基づいて、被試験デバイスの良否を判定するジッタ判定部とを備え、測定装置は、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部とを有する試験装置を提供する。
本発明の第3の形態においては、所定の周期を有する被測定信号を測定する測定方法であって、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する比較段階と、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生段階と、コンパレータの比較結果を格納する格納段階と、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理段階とを備える測定方法を提供する。
本発明の第4の形態においては、被試験デバイスを試験する試験方法であって、被試験デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する測定段階と、測定段階において測定したジッタに基づいて、被試験デバイスの良否を判定するジッタ判定段階とを備え、測定段階は、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する比較段階と、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生段階と、コンパレータの比較結果を格納する格納段階と、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理段階とを有する試験方法を提供する。
本発明の第5の形態においては、所定の周期を有する被測定信号を測定する測定装置であって、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる第1の参照電圧値及び第2の参照電圧とを順次比較し、3値の比較結果を出力するコンパレータと、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部とを備える測定装置を提供する。
本発明の第6の形態においては、被測定信号を出力する電子デバイスであって、被測定信号を生成する動作回路と、被測定信号を測定する測定装置とを備え、測定装置は、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリとを有する電子デバイスを提供する。
本発明の第7の形態においては、被測定信号を測定する測定装置であって、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、第1の被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する第1のコンパレータと、第2の被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを、第1のコンパレータと略同時に順次比較する第2のコンパレータと、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、第1及び第2の被測定信号のそれぞれの瞬時位相を算出し、それぞれの瞬時位相に基づいて、第1の被測定信号及び第2の被測定信号の間の確定スキューを算出するデジタル信号処理部とを備える測定装置を提供する。
本発明の第8の形態においては、被測定信号を測定する測定装置であって、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、第1の前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する第1のコンパレータと、第2の被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを、第1のコンパレータと略同時に順次比較する第2のコンパレータと、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、キャプチャメモリが格納した比較結果に基づいて、第1及び第2の被測定信号のそれぞれの瞬時位相を算出し、それぞれの瞬時位相に基づいて第1及び第2の被測定信号の瞬時位相雑音を求め、それぞれの瞬時位相雑音から、第1の被測定信号及び第2の被測定信号の不規則スキューを算出するデジタル信号処理部とを備える測定装置を提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の実施形態に係る試験装置100の構成の一例を示す図である。 ストローブタイミング発生器30が生成するストローブ信号の例を示す図である。 図3(A)、図3(B)、及び図3(C)は、コンパレータ20の構成例を示す図である。 図3(A)に示したコンパレータ20を用いた場合の、測定装置10の動作の一例を示す図である。 図5(A)及び図5(B)は、デジタル信号処理部60の構成例を示す図である。 図6(A)及び図6(B)は、線形位相除去部68の動作例を示す図である。 従来のジッタ測定法によるジッタの実測値と、試験装置100によるジッタの実測値との比較を示す。 図8(A)及び図8(B)は、帯域制限部62の構成例を示す図である。 フィルタ74が通過させる周波数帯域の一例を示す図である。 測定装置10の構成の他の例を示す図である。 コンパレータ20及びストローブタイミング発生器30の動作の一例を示す図である。 測定装置10の構成の他の例を示す図である。 コンパレータ20の構成の他の例を示す図である。 図13に示したコンパレータ20及びストローブタイミング発生器30の動作の一例を示す図である。 サンプリングタイミングの誤差を補正する方法の一例を示すフローチャートである。 サンプリングタイミングの誤差を補正する方法の一例を示すフローチャートである。 試験装置100の構成の他の例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電子デバイス400の構成の一例を示す図である。 ストローブタイミング発生器30が生成するストローブ信号の例を示す図である。 図20(A)及び図20(B)は、デジタル信号処理部60の動作例を説明する図である。 図21(A)及び図21(B)は、デジタル信号処理部60の動作例を説明する図である。 被測定信号を、被測定信号の周期との差分周期値(Δ)をもつストローブ信号でサンプリングし,もとめられる瞬時位相雑音Δφ(t)の一例を示す。 それぞれの周期の差分値(Δ)に対して算出されるジッタ値の観測帯域幅依存性を例示する図である。 それぞれの周期の差分値(Δ)に対して算出したジッタ値の、測定誤差の一例を示す図である。 図17に示した試験装置100が備えるパターン発生器65の構成の一例を示す図である。 図21において説明した、被測定信号の瞬時位相φ(t)及び直線位相および瞬時位相雑音Δφ(t)の例を示す。 試験装置100のジッタ測定結果と、従来のジッタ測定器におけるジッタ測定結果とを比較する図である。
符号の説明
10・・・測定装置、20・・・コンパレータ、22・・・比較器、25・・・クロック再生器、30・・・ストローブタイミング発生器、40・・・キャプチャメモリ、50・・・デジタル信号変換部、55・・・パターン比較部、60・・・デジタル信号処理部、62・・・帯域制限部、64・・・位相歪推定部、65・・・パターン発生器、66・・・瞬時位相推定部、67・・・パターン生成部、68・・・線形位相除去部、69・・・ドライバ、70・・・判定部、72・・・ゼロクロスタイミング推定部、74、75・・・フィルタ、76・・・ヒルベルト変換器、77・・・ジッタ判定部、78、82・・・ミキサ、90・・・入力部、100・・・試験装置、200・・・被試験デバイス、400・・・電子デバイス、410・・・動作回路
以下、発明の実施の形態を通じて本発明の一つの側面を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る試験装置100の構成の一例を示す図である。試験装置100は、半導体回路等の被試験デバイス200を試験する装置であって、測定装置10及び判定部70を備える。測定装置10は、被試験デバイス200が出力する被測定信号のジッタを測定する。ここで、被測定信号は、所定の周期を有する信号である。例えば、被測定信号は、クロック信号であってよく、またデータ信号であってもよい。また、測定装置10は、被測定信号のタイミングジッタを測定してよい。
判定部70は、測定装置10が測定した被測定信号のジッタに基づいて、被試験デバイス200の良否を判定する。例えば判定部70は、被測定信号のタイミングジッタ量が、予め定められた基準値以上であるか否かに基づいて、被試験デバイス200の良否を判定してよい。当該基準値は、要求される被試験デバイス200のスペック等により定められてよい。
測定装置10は、コンパレータ20、ストローブタイミング発生器30、キャプチャメモリ40、デジタル信号変換部50、及びデジタル信号処理部60を有する。コンパレータ20は、順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する。
ストローブタイミング発生器30は、略等しい時間間隔で、ストローブ信号を順次生成する。ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期に同期して、ストローブ信号を順次生成してよい。また、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期とは独立して、ストローブ信号を順次生成してもよい。ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期とは異なる周期に同期して、ストローブ信号を順次生成してもよい。
キャプチャメモリ40は、コンパレータ20が出力する比較結果を格納する。例えばキャプチャメモリ40は、コンパレータ20が、それぞれのストローブ信号に応じて順次出力する比較結果を、対応するストローブ信号の位相に応じて整列して格納する。
デジタル信号処理部60は、キャプチャメモリ40が格納した比較結果に基づいて、被測定信号のジッタを算出する。デジタル信号処理部60は、例えば図5(A)及び図5(B)に関連して後述する方法により、被測定信号のジッタを算出してよい。また、デジタル信号処理部60は、他の公知の技術により被測定信号のジッタを算出してもよい。
デジタル信号処理部60には、デジタル信号処理部60における信号処理の方法に応じたデータを入力することが好ましい。例えば、デジタル信号処理部60が、被測定信号のゼロクロス点等に基づいて、被測定信号のジッタを算出する場合、デジタル信号処理部60には、振幅の絶対値がn(但し、nは実数)より小さい範囲の離散的な値を示す信号を入力することが好ましい。
本例における測定装置10は、キャプチャメモリ40が格納した比較結果を、デジタル信号処理部60に入力すべきデジタル信号に変換する。例えば、デジタル信号変換部50は、キャプチャメモリが格納する比較結果に基づいて、被測定信号のそれぞれの電圧値を、その絶対値がn(但しnは実数)より小さい範囲のデジタル値に変換したデジタル信号を生成する。例えば、デジタル信号変換部50は、比較結果を、おおよそデジタル値1から−1の間のデジタル値に変換してよい。
一例として、コンパレータ20が、それぞれのストローブ信号のタイミングにおける被測定信号の電圧値をひとつの参照電圧と比較し、論理値H又は論理値Lを比較結果として出力する場合を説明する。この場合、デジタル信号変換部50は、論理値Hをデジタル値1に変換し、論理値Lをデジタル値−1に変換したデジタル信号を出力する。また、コンパレータ20が、3値の比較結果を出力する場合、デジタル信号変換部50は、それぞれの比較結果の論理値に応じて、それぞれの比較結果をデジタル値1、0、−1に変換する。
このような信号変換により、デジタル信号処理部60における信号処理を容易にすることができる。
図2は、ストローブタイミング発生器30が生成するストローブ信号の例を示す図である。本例においては、被測定信号の周期をTとして説明する。上述したように、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期Tに同期して、又は非同期で、ストローブ信号を略等しい時間間隔で順次生成する。
一般に試験装置100は、被測定信号の周期Tと同期した動作周期(テストレート)に応じたサイクル毎(T0、T1、T2、・・・)に動作する。ストローブタイミング発生器30は、図2のストローブ信号(1)及び(2)に示すように、テストレートに応じたサイクル毎に、単一のストローブ信号を生成してよく、複数のストローブ信号を生成してもよい。また、ストローブタイミング発生器30は、図2の(3)に示すようにテストレートと非同期にストローブ信号を生成してもよい。このとき、それぞれのサイクルに対して生成されるストローブ信号の本数は、ストローブタイミング発生器30がストローブ信号を生成する周期、及びテストレートにより定まる。例えば、ストローブタイミング発生器30は、試験装置100における動作周期とは独立して動作する発振回路であってよい。
また、被測定信号の周期Tと、試験装置100のテストレートは一致していてよく、一致していなくともよい。試験装置100が、後述するファンクション試験をも行う場合には、被測定信号の周期Tと、テストレートとは一致していることが好ましい。
このように、ストローブタイミング発生器30が生成するストローブ信号の間隔TSを設定することにより、被測定信号に対して位相が徐々にずれたストローブ信号をも順次生成することができる。また、ストローブタイミング発生器30は、略等時間間隔にストローブが配置されたストローブ信号として、(1)テストレート毎に、単一のストローブを配置したストローブ信号、(2)テストレート毎に、複数のストローブを配置したストローブ信号、(3)テストレートに独立してストローブを配置したストローブ信号、のいずれかを生成してよい。
以上では、試験装置100のテストレートが被測定信号の周期Tと等しい例を示したが、本発明におけるテストレートは、ファンクション試験を行わない場合、被測定信号の周期Tと等しい必要はなく、周期Tと独立に設定してよい。
図3(A)、図3(B)、及び図3(C)は、コンパレータ20の構成例を示す図である。図3(A)に示すコンパレータ20は、第1の参照電圧VOHと、第2の参照電圧VOLが与えられ、3値の比較結果を出力する。本例においては、第2の参照電圧VOLが、第1の参照電圧VOHより小さい場合を説明する。例えばコンパレータ20は、被測定信号の電圧値が第1の参照電圧VOHより大きい場合、被測定信号の電圧値が第1の参照電圧VOH以下であり且つ第2の参照電圧VOLより大きい場合、及び被測定信号の電圧値が第2の参照電圧VOL以下である場合のそれぞれの場合において、それぞれ異なる比較結果を出力する。
当該コンパレータ20は、第1の比較器22−1及び第2の比較器22−2を有する。第1の比較器22−1及び第2の比較器22−2は、被測定信号が分岐して与えられる。また第1の比較器22−1及び第2の比較器22−2には、ストローブタイミング発生器30から略同一のタイミングを示すストローブ信号が与えられる。
第1の比較器22−1は、与えられるストローブ信号毎に、被測定信号の電圧値と第1の参照電圧VOHとを比較する。例えば第1の比較器22−1は、被測定信号の電圧値が第1の参照電圧VOHより大きい場合にHighを示す論理値を出力し、被測定信号の電圧値が第1の参照電圧VOH以下である場合にLowを示す論理値を出力する。
第2の比較器22−2は、与えられるストローブ信号毎に、被測定信号の電圧値と第2の参照電圧VOLとを比較する。例えば第2の比較器22−2は、被測定信号の電圧値が第2の参照電圧VOLより大きい場合にHighを示す論理値を出力し、被測定信号の電圧値が第2の参照電圧VOL以下である場合にLowを示す論理値を出力する。
コンパレータ20は、第1の比較器22−1が出力する論理値と、第2の比較器22−2が出力する論理値との組み合わせを、比較結果として出力する。すなわち、コンパレータ20は、第1の比較器22−1が出力する論理値をMとし、第2の比較器22−2が出力する論理値をNとすると、被測定信号の電圧値に応じて、(M,N)=(High、High)、(Low、High)、(Low、Low)の3値の比較結果を出力する。
この場合、デジタル信号変換部50は、それぞれの比較結果(High、High)、(Low、High)、(Low、Low)を、例えばそれぞれ1、0、−1のデジタル値に変換する。
図3(B)に示すコンパレータ20は、被測定信号の電圧値が与えられる参照電圧値VTより大きいか否かにより、それぞれ異なる比較結果を出力する。即ち、本例におけるコンパレータ20は、2値の比較結果を出力する。当該コンパレータ20は、参照電圧VTと、被測定信号とが入力される比較器22を有する。比較器22は、ストローブタイミング発生器30から与えられるストローブ信号に応じて、被測定信号の電圧値と参照電圧値VTとを比較する。例えば、被測定信号の電圧値が参照電圧値VTより大きい場合、Highを示す論理値を出力し、被測定信号の電圧値が参照電圧値VT以下である場合、Lowを示す論理値を出力する。コンパレータ20は、比較器22が出力する論理値を比較結果として出力する。
この場合、デジタル信号変換部50は、それぞれの比較結果High、Lowを、例えばそれぞれ1、−1のデジタル値に変換する。
図3(C)に示すコンパレータ20は、複数の比較器22を有する。それぞれの比較器22には、それぞれ異なる参照電圧VT1、VT2、・・・が与えられる。また、それぞれの比較器22には、被測定信号が分岐して入力される。また、それぞれの比較器22には、略同一のタイミングのストローブ信号が、ストローブタイミング発生器30から与えられる。
それぞれの比較器22は、与えられるストローブ信号に応じて、対応する参照電圧VTxと、被測定信号の電圧値とを比較する。それぞれの比較器22の動作は、図3(B)に示した比較器22と同様である。コンパレータ20は、それぞれの比較器22が出力する論理値の組み合わせを、比較結果として出力する。
つまり、本例におけるコンパレータ20は、3種類以上の異なる参照電圧VTが与えられ、被測定信号の電圧値が、隣接する2つの参照電圧により規定されるそれぞれの電圧範囲のいずれに属するかにより、それぞれ異なる比較結果を出力する。
例えば、デジタル信号変換部50は、全ての比較器22が出力する論理値がHighを示す比較結果を1のデジタル値に変換し、全ての比較器22が出力する論理値がLowを示す比較結果を−1のデジタル値に変換する。また、他の比較結果を、その論理値に応じて1から−1の間の所定のデジタル値に変換する。
図3(A)から図3(C)において説明したコンパレータ20に与えられるそれぞれの参照電圧は、可変できることが好ましい。例えば、測定装置10は、それぞれの参照電圧を、被測定信号の測定すべき振幅レベルの情報に基づいて、制御してよい。
図4は、図3(A)に示したコンパレータ20を用いた場合の、測定装置10の動作の一例を示す図である。測定装置10には、図4に示すような被測定信号が入力される。当該入力信号には、時間方向のジッタであるタイミングノイズと、振幅方向の振幅ノイズが含まれる。例えば、被測定信号のエッジ部分は、タイミングノイズによるジッタが支配的となり、被測定信号の定常部分は、振幅ノイズが支配的となる。
図4に示すように、被測定信号の垂直方向のアイ開口度は振幅ノイズにより減少し、水平方向のアイ開口度はタイミングノイズにより減少する。理想的には、被測定信号の水平方向のアイ開口度は、タイミングノイズのみの影響を受ける。しかし、一種の振幅変調−位相変調変換により、振幅ノイズも、水平方向のアイ開口に影響を与えてしまう。この結果、振幅ノイズは、比較的高い確率でタイミングノイズに変換される。
以上のことから、振幅ノイズによる影響を排除して、タイミングジッタを測定することが望まれる。これに対し本例における測定装置10は、第1の参照電圧VOHより大きい被測定信号の電圧値をデジタル値1に変換し、第2の参照電圧VOLより小さい被測定信号の電圧値をデジタル値−1に変換する。これにより、振幅ノイズの影響を自動的に排除できる。そして、第1の参照電圧VOH以下であり、且つ第2の参照電圧VOLより大きい被測定信号の電圧値をデジタル値0に変換する。当該デジタル値が検出されるタイミングは、タイミングノイズのみにより与えられる。このため、コンパレータ20の比較結果に基づいて、振幅ノイズの影響を排除し、タイミングノイズを精度よく測定することができる。
また、図4に示すように、コンパレータ20に入力されるストローブ信号は、被測定信号の定常周期とは独立して、略等間隔に配置される。このため、タイミングノイズの時間依存を除いた測定を行うことができる。ストローブ信号がコンパレータ20に入力される周波数は、ナイキスト周波数より大きいことが好ましい。例えば、ストローブ信号は、被測定信号の各周期に4つ以上配置されてよい。
図5(A)及び図5(B)は、デジタル信号処理部60の構成例を示す図である。図5(A)に示すデジタル信号処理部60は、帯域制限部62及び位相歪推定部64を有する。帯域制限部62は、デジタル信号の測定すべき周波数成分を通過させる。また、本例における帯域制限部62は、デジタル信号を解析信号に変換する。帯域制限部62は、ヒルベルト変換対を生成することにより、解析信号を生成してよい。
上述したように、デジタル信号変換部50が、コンパレータ20が出力する比較結果を、例えば1、0、−1のデジタル値を示すデジタル信号に変換する。このため、デジタル信号変換部50は、当該デジタル信号に応じた信号を生成することができ、例えば解析信号cos(2πft)+jsin(2πft)を生成することができる。上述したように、当該解析信号は、被測定信号の振幅ノイズの影響が排除されている。
位相歪推定部64は、帯域制限部62が出力するデジタル信号の位相雑音を算出する。本例における位相歪推定部64は、瞬時位相推定部66及び線形位相除去部68を有する。
瞬時位相推定部66は、帯域制限部62が出力する解析信号に基づいて、デジタル信号の瞬時位相を示す瞬時位相信号を生成する。デジタル信号の瞬時位相は、解析信号の実数部分と虚数部分との比の逆正接により求めることができる。
線形位相除去部68は、瞬時位相信号の線形成分を除去し、被測定信号の位相雑音を算出する。例えば、線形位相除去部68は、被測定信号の周期に基づいて、瞬時位相信号の線形成分を算出してよく、また瞬時位相信号を直線で近似した線形成分を算出してもよい。当該線形成分は、被測定信号に時間方向のジッタが無いと仮定した場合の被測定信号の瞬時位相である。また、被測定信号の平均周期を測定し、当該周期に基づいて線形成分を算出してもよい。線形成分に対する瞬時位相信号の差分は、それぞれのタイミングにおける被測定信号の位相雑音を示す。
図5(B)に示すデジタル信号処理部60は、帯域制限部62及び位相歪推定部64を有する。帯域制限部62は、デジタル信号の測定すべき周波数成分を通過させる。位相歪推定部64は、ゼロクロスタイミング推定部72及び線形位相除去部68を有する。ゼロクロスタイミング推定部72は、帯域制限部62が出力するデジタル信号に基づいて、被測定信号のゼロクロスタイミング系列を推定する。ゼロクロスタイミング系列は、例えばデジタル信号がデジタル値0を示すタイミングを順次示すデータである。
線形位相除去部68は、ゼロクロスタイミング系列の線形成分を除去し、被測定信号の位相雑音を算出する。当該線形成分は、図5(A)に示した線形位相除去部68と同様の方法で算出することができる。
図6(A)及び図6(B)は、線形位相除去部68の動作例を示す図である。図6(A)は、横軸を時間t、縦軸を瞬時位相φ(t)とした、デジタル信号の瞬時位相を示す。上述したように、瞬時位相と、その線形成分との差分を求めることにより、デジタル信号の位相誤差を求めることができる。
図6(B)は、横軸を時間t、縦軸をゼロクロスタイミングとした、それぞれのゼロクロスタイミングをプロットした図である。上述したように、それぞれのゼロクロス点における線形成分との差分を求めることにより、それぞれのゼロクロス点の位相誤差、即ち被測定信号のエッジの位相誤差を求めることができる。
図7は、従来のジッタ測定法によるジッタの実測値と、試験装置100によるジッタの実測値との比較を示す。図7における従来のジッタ測定法は、被測定信号を8ビットのADCでデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部60と同様の方法でジッタを測定する。また、試験装置100は、3値のデジタル信号を出力するコンパレータ20を用いてジッタを測定する。
図7に示すように、試験装置100は、従来法より簡易な構成で、ノイズが少ない被測定信号、及びノイズが多い被測定信号の双方について、従来法との差異が4%以下である測定を行うことができる。
図8(A)及び図8(B)は、帯域制限部62の構成例を示す図である。本例における帯域制限部62は、図5(A)に示したデジタル信号処理部60に用いられる。図8(A)に示す帯域制限部62は、フィルタ74とヒルベルト変換器76とを有する。
フィルタ74は、デジタル信号変換部50が出力するデジタル信号を受け取り、測定すべき周波数成分を通過させる。ヒルベルト変換器76は、フィルタ74が出力するデジタル信号をヒルベルト変換する。例えば、ヒルベルト変換器76は、デジタル信号の位相を90度遅らせた信号を生成する。帯域制限部62は、フィルタ74が出力するデジタル信号を実数部とし、ヒルベルト変換器76が出力する信号を虚数部とする解析信号を出力する。
図8(B)に示す帯域制限部62は、フィルタ74、ミキサ78、及びミキサ82を有する。フィルタ74は、図8(A)に示したフィルタ74と同一である。ミキサ78及びミキサ82は、フィルタ74が出力するデジタル信号を分岐して受け取り、直交変調して出力する。例えば、ミキサ78とミキサ82には、位相が90度異なるキャリア信号が入力され、デジタル信号とキャリア信号とを乗算して出力する。帯域制限部62は、ミキサ78が出力するデジタル信号を実数部とし、ミキサ82が出力するデジタル信号を虚数部とする解析信号を出力する。
このような構成により、被測定信号の測定すべき周波数成分を有する解析信号を生成することができる。フィルタ74は、被測定信号の周波数成分のうち、被測定信号のキャリア周波数周辺の成分を通過させてよく、被測定信号のキャリア周波数を含まない周波数帯域の周波数成分を通過させてもよい。
図9は、フィルタ74が通過させる周波数帯域の一例を示す図である。上述したように、フィルタ74は、被測定信号の周波数成分のうち、キャリア周波数を含まない帯域を通過させる。被測定信号のキャリア周波数成分は、ノイズ成分ではなく、且つ他の周波数成分に比べエネルギーが大きい。このため、キャリア周波数の成分を除去しない場合、ノイズ測定においては不要な成分にも関わらず、キャリア周波数のエネルギーを測定できる測定レンジ、演算処理レンジが必要となる。このため、キャリア周波数の成分に対して微小なエネルギーのノイズ成分に対して、演算処理等において十分な分解能を確保できず、精度よくノイズ成分を測定することができない。
これに対し、本例における測定装置10は、被測定信号のキャリア周波数成分を除去し、測定すべきノイズ成分を抽出して処理を行うので、ノイズ成分を精度よく測定することができる。また、フィルタ74は、キャリア周波数成分の高調波成分も除去することが好ましい。
図10は、測定装置10の構成の他の例を示す図である。測定装置10は、図1に関連して説明した測定装置10の構成に加え、フィルタ75を更に備える。図10に示したフィルタ75は、図8に示したフィルタ74と同一の機能を有してよい。他の構成要素は、図1において同一の符号を付して説明した構成要素と同一又は同様の機能及び構成を有する。本例におけるフィルタ75は、被試験デバイス200が出力する被測定信号を受け取り、測定すべき周波数成分を通過させてコンパレータ20に入力する。
図11は、コンパレータ20及びストローブタイミング発生器30の動作の一例を示す図である。本例において測定装置10は、被測定信号を繰り返し受け取り、それぞれの被測定信号に対し、ストローブ信号の位相をずらして測定することにより、等価的にストローブ信号の発生周波数の整数倍の周波数で被測定信号を測定する。本例においては、測定装置10が同一の被測定信号を2回(被測定信号A及び被測定信号B)受け取る場合を説明する。
まず、被測定信号Aに対し、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期又はテストレートと同期して(又は非同期で)、略等時間間隔に配置されたストローブ信号Aを生成する。ここで、ストローブタイミング発生器30は、コンパレータ20に対して入力するストローブ信号を、被測定信号に同期したトリガ信号の位相を基準として生成する。例えばストローブタイミング発生器30は、被測定信号Aに対して所定の位相を有するトリガ信号を基準として、所定のオフセット時間が経過してから、ストローブ信号Aの出力を開始する。
そして、被測定信号Aの次に受け取る被測定信号Bに対して、ストローブタイミング発生器30は、同様にトリガ信号を基準として、所定のオフセット時間が経過してから、ストローブ信号Bの出力を開始する。ストローブ信号Bは、ストローブ信号Aと同一の時間間隔でストローブが配置される。
ここで、被測定信号Aの基準となるトリガ信号の位相と、被測定信号Bの基準となるトリガ信号の位相は略同一であり、ストローブ信号A及びストローブ信号Bの各ストローブ間隔も同一である。また、ストローブ信号Aのトリガ信号に対するオフセットと、ストローブ信号Bのトリガ信号に対するオフセットは、ストローブ間隔の略半分異なってよい。即ち、ストローブ信号Aとストローブ信号Bとを重ね合わせた場合に、ストローブ信号Aとストローブ信号Bとが略等間隔で交互に配置される。
係るストローブ信号A及びストローブ信号Bを生成することにより、ひとつのコンパレータ20を用いて、ストローブ信号の発生周波数の2倍の周波数で等価的にサンプリングすることができる。ストローブタイミング発生器30は、例えば所定の時間間隔でストローブが配置されたストローブ信号を生成する発振回路と、当該発振回路の出力を遅延させる遅延回路とを備えてよい。この場合発振回路は、ストローブ信号A及びストローブ信号Bを順次生成する。そして、遅延回路は、それぞれのストローブ信号が有するべきオフセットに応じて、それぞれのストローブ信号を順次遅延させる。
また、本例においては、ストローブ信号A及びストローブ信号Bを用いて説明したが、他の例においては、ストローブタイミング発生器30は、更に多くのストローブ信号を順次生成してもよい。これらのストローブ信号のオフセットを順次変化させることにより、より高周波数での等価時間測定を行うことができる。
図12は、測定装置10の構成の他の例を示す図である。本例における測定装置10は、図1に関連して説明した測定装置10の構成に加え、クロック再生器25を更に備える。他の構成については、図1から図11に関連して説明した測定装置10と同一であるので、その説明を省略する。クロック再生器25は、被測定信号に基づいて、被測定信号に同期した再生クロックを生成し、当該再生クロックをトリガ信号としてストローブタイミング発生器30に入力する。このような構成により、図11において説明したストローブ信号A及びストローブ信号Bの生成開始のタイミングを制御し、所定の位相差を有するストローブ信号A及びストローブ信号Bを生成することができる。
図13は、コンパレータ20の構成の他の例を示す図である。本例における測定装置10は、二つのコンパレータ(20−1、20−2、以下20と総称する)を有する。それぞれのコンパレータ20は、図3(A)において説明したコンパレータ20と同一である。また、それぞれのコンパレータ20には、同一の第1の参照電圧VOH及び第2の参照電圧VOLが与えられる。また、それぞれのコンパレータ20には、被測定信号が分岐して入力される。測定装置10は、被測定信号を分岐してそれぞれのコンパレータ20に並列に入力する入力部90を更に備えてよい。この場合、ストローブタイミング発生器30は、それぞれのコンパレータに対して、位相の異なるストローブ信号を入力する。例えば、コンパレータ20−1に対しては、図11に示したストローブ信号Aを入力し、コンパレータ20−2に対しては、図11に示したストローブ信号Bを入力する。これにより、二つのコンパレータ20を用いてインターリーブサンプリングを行うことができ、ストローブ信号の発生周波数の2倍の周波数で、被測定信号を測定することができる。
図14は、図13に示したコンパレータ20及びストローブタイミング発生器30の動作の一例を示す図である。上述したように、ストローブタイミング発生器30は、ストローブ信号A(1、2、3、・・・)及びストローブ信号B(A、B、C、・・・)を生成し、それぞれのコンパレータ20に入力する。
キャプチャメモリ40は、二つのコンパレータ20における比較結果を、対応するストローブ信号の位相に応じて整列して格納する。例えば、キャプチャメモリ40は、図14に示すストローブ1、ストローブA、ストローブ2、ストローブB、・・・に対応する比較結果を順に整列させて格納する。係る場合、ストローブ信号A及びストローブ信号Bは同時に生成されるので、トリガ信号を基準としてそれぞれのストローブ信号を生成しなくてもよい。ストローブ信号A及びストローブ信号Bを重ね合わせたストローブ群が略等時間間隔に配置されればよい。例えば、ストローブタイミング発生器30は、ストローブ信号Aを生成する回路と、ストローブ信号Aを遅延させてストローブ信号Bを生成する回路とを有してよい。
また、本例においては2つのコンパレータ20を有する例を説明したが、他の例においては、更に多くのコンパレータ20を有してもよい。この場合、それぞれのコンパレータ20に入力されるストローブ信号のオフセットを異ならせることにより、より高周波数の測定を行うことができる。
しかし、図11から図14に説明したサンプリング手法では、いずれかのストローブ信号の位相が、予め定められた位相に対して誤差を有すると、測定結果に誤差が生じてしまう。このため、ストローブ信号の位相、即ちサンプリングタイミングの誤差に基づく測定誤差を補正することが好ましい。
図15及び図16は、サンプリングタイミングの誤差を補正する方法の一例を示すフローチャートである。当該補正は、デジタル信号処理部60が行ってよい。まず、理想位相差算出段階S300において、それぞれのストローブ信号に応じてサンプリングしたそれぞれのデータ系列の、サンプリングタイミングの位相差の理想値を算出する。例えば、当該位相差は、それぞれのストローブ信号のオフセットの差分の理想値をΔtとし、被測定信号の平均周期をTとすると、2π(Δt/T)で与えられる。
次に、基準スペクトラム算出段階S302において、複数のデータ系列のうち、任意のデータ系列を基準として選択し、当該データ系列のスペクトラムを算出する。当該スペクトラムは、当該データ系列の高速フーリエ変換で求めることができる。
次に、比較スペクトラム算出段階S304において、基準データ系列とは異なるデータ系列を選択し、当該データ系列のスペクトラムを算出する。当該スペクトラムは、当該データ系列の高速フーリエ変換で求めることができる。
次に、クロススペクトラム算出段階S306において、基準データ系列のスペクトラムと、比較対象データ系列のスペクトラムとのクロススペクトラムを算出する。当該クロススペクトラムは、基準データ系列のスペクトラムの複素共役スペクトラムと、比較対象データ系列のスペクトラムとの複素乗算により求めることができる。
次に、位相差算出段階S306において、基準データ系列と、比較対象データ系列との位相差を算出する。当該位相差は、S306において算出したクロススペクトラムに基づいて算出することができる。つまり、当該クロススペクトラムの位相成分が、基準データ系列と比較対象データ系列との位相差を示す。
S304及びS306においては、二つのデータ系列のクロススペクトラムを用いて位相差を算出したが、他の方法により当該位相差を算出してもよい。例えば、二つのデータ系列のスペクトラムの相互相関に基づいて、位相差を算出してもよい。
次に、S310において、全ての比較対象データ系列に対して、位相差を算出したか否かを判定する。基準データ系列との位相差を算出していないデータ系列が存在する場合、当該データ系列に対して、S304からS306の処理を繰り返す。
全ての比較対象データ系列に対して位相差を算出している場合、エラー訂正段階S312において、それぞれの比較対象データ系列の位相差に基づいて、測定誤差を補正する。例えば、それぞれの比較対象データ系列の位相差と、S300において求めた理想位相差との差分に基づいて、それぞれのデータ系列を補正する。
図16は、エラー訂正段階S312の処理の一例を示すフローチャートである。まず、タイミングエラー算出段階S314において、基準データ系列と、比較対象データ系列との位相差に基づいて、比較対象データ系列のサンプリングタイミングエラーを算出する。当該タイミングエラーは、理想位相差に基づいて算出することができる。
次に、比較段階S316において、当該タイミングエラーが、所定の基準値より大きいか否かを判定する。タイミングエラーが基準値以下である場合、対応するデータ系列に対する補正を行わず、S320の処理に移行する。また、タイミングエラーが基準値より大きい場合、訂正段階S318において、対応するデータ系列を補正する。例えば、当該データ系列のスペクトラムの位相を、当該タイミングエラーに基づいてシフトすることにより、当該データ系列を補正してよい。
次に、全てのデータ系列について、タイミングエラーの訂正を行ったか否かを判定する。タイミングエラーの訂正を行っていないデータ系列が存在する場合、当該データ系列に対してS314からS318の処理を繰り返す。全てのデータ系列に対してタイミングエラーの訂正を行った場合、データ系列生成段階S322において、それぞれタイミングエラーを訂正したデータ系列を生成する。例えば、タイミングエラーの訂正を行ったそれぞれのデータ系列のスペクトラムを、高速フーリエ逆変換することにより、タイミングエラーが訂正されたデータ系列を得ることができる。
そして、整列段階S324において、それぞれのデータ系列を整列させる。例えば、それぞれのデータのサンプリングタイミングに応じて、それぞれのデータを整列させる。このような処理により、サンプリングタイミングの誤差により生じる測定誤差を補正することができる。このため、より精度よくジッタを測定することができる。
図17は、試験装置100の構成の他の例を示す図である。本例における試験装置100は、図1から図16において説明した試験装置100が行うジッタ試験を行う機能に加え、被試験デバイス200のファンクション試験を行う機能を更に備える。
また、本例における試験装置100は、図1から図16に関連して説明した試験装置100の構成に加え、パターン発生器65、及びパターン比較部55を更に備える。また、判定部70は、ロジック判定部75及びジッタ判定部77を有する。他の構成要素については、図1から図16において同一の符号を付して説明した構成要素と同一又は同様の機能及び構成を有する。
パターン発生器65は、被試験デバイスのファンクション試験を行う場合に、所定のデータパターンを有する試験信号を被試験デバイス200に入力する。コンパレータ20は、被試験デバイス200が出力する被測定信号の電圧値を、与えられるストローブ信号のタイミングで所定の参照電圧と比較することにより、被測定信号のデータパターンを検出する。
このとき、ストローブタイミング発生器30は、ストローブ信号を生成するが、ファンクション試験を行う場合、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期に同期したテストレートに応じて、ストローブ信号を生成する。例えば、ストローブタイミング発生器30は、各テストレートの略中央のタイミングで、1つのストローブ信号を生成する。これにより、コンパレータ20は、被測定信号の各周期におけるデータ値を検出する。
上述したように、ジッタ試験を行う場合、ストローブタイミング発生器30は、テストレートとは独立したストローブ信号を生成してよい。ストローブタイミング発生器30は、例えばストローブ信号を生成する発振回路を有しており、ファンクション試験を行う場合に当該発振回路の動作をテストレートにより制御してよく、ジッタ試験を行う場合には当該発振回路の動作をテストレートでは制御しなくてよい。また、ストローブタイミング発生器30は、ファンクション試験を行う場合のストローブ信号を生成する第1の発振回路と、ジッタ試験を行う場合のストローブ信号を生成する第2の発振回路とを有してよい。この場合、第1の発振回路の動作はテストレートにより制御され、第2の発振回路はテストレートとは独立して動作する。
ファンクション試験を行う場合、パターン比較部55は、キャプチャメモリ40に格納された比較結果により定まる被測定信号のデータパターンが、予め定められた期待値パターンと一致するか否かを比較する。当該期待値パターンは、パターン発生器65が試験信号のデータパターンに基づいて生成してよい。
ロジック判定部75は、パターン比較部55における比較結果に基づいて、被試験デバイス200の良否を判定する。デジタル信号変換部50、デジタル信号処理部、及び判定部70は、ソフトウェアが組み込まれた計算機であってよい。この場合、試験装置100は、従来のファンクション試験用の試験装置を用いて、ハードウェアを追加することなく、ジッタ試験をも行うことができる。このため、被試験デバイス200の試験を低コストで行うことができる。
図18は、本発明の実施形態に係る電子デバイス400の構成の一例を示す図である。電子デバイス400は、被測定信号を生成する動作回路410と、測定装置10とを備える。例えば電子デバイス400は、樹脂、セラミック等のパッケージの内部に、動作回路410、及び測定装置10の一部の構成を備えてよい。
動作回路410は、例えば外部から入力される信号に応じて動作し、被測定信号を外部に出力する。測定装置10は、動作回路410が出力する被測定信号を測定する。
測定装置10は、図1から図16に関連して説明した測定装置10と同様の構成を有してよい。例えば、測定装置10は、コンパレータ20及びキャプチャメモリ40を有してよい。この場合、コンパレータ20には、図1から図16に関連して説明したストローブ信号が与えられる。当該ストローブ信号は、外部から与えられてよく、電子デバイス400の内部で生成してもよい。
電子デバイス400の内部でストローブ信号を生成する場合、電子デバイス400は、ストローブタイミング発生器30を更に備えることが好ましい。図1から図16に関連して説明したように、キャプチャメモリ40には、等価的に高周波数で被測定信号を測定した測定結果が格納される。
このため、キャプチャメモリ40が格納した比較結果を読み出すことにより、電子デバイス400のジッタを精度よく算出することができる。この場合、外部の装置は、被測定信号を高速に測定する必要がなく、当該装置のコストを低減することができる。
図19は、ストローブタイミング発生器30が生成するストローブ信号の例を示す図である。本例におけるストローブタイミング発生器30は、図1及び図10のいずれの測定装置10に用いてもよい。本例におけるストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期(T)に対して所定値(Δ)異なる周期(T+Δ)で、ストローブ信号を順次生成する。つまり、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号に対する相対位相が徐々に変化するストローブ信号を生成する。本例において被測定信号は、周期(T)で略同一の波形を示す信号である。
また、本例におけるストローブタイミング発生器30は、被測定信号に対してナイキスト定理を満たさない周期でストローブ信号を生成してよい。つまり、本例におけるストローブタイミング発生器30は、被測定信号をアンダーサンプリングする。例えば、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期の半分より大きい周期でストローブ信号を生成する。本例では、図19に示すように、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期より大きい周期で等間隔のストローブ信号を生成する。
このように、略同一の波形が繰り返される被測定信号に対するストローブ信号の相対位相を徐々に変化させて測定することにより、等価的に高周波のサンプリングを行うことができる。例えば、被測定信号の周期が400psであり、ストローブ信号の周期が405psである場合、被測定信号に対するストローブ信号の相対位相は、各サイクルで5psずつ変化する。被測定信号の各サイクルにおいて略同一の波形であるので、等価的に、5psの周期で被測定信号をサンプリングすることができる。
キャプチャメモリ40は、コンパレータ20がストローブ信号に応じて出力する比較結果を時系列に格納してよい。デジタル信号変換部50は、キャプチャメモリ40が格納した比較結果のうち、所定のポイント数の比較結果を取り出してデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部60に入力してよい。例えば、デジタル信号変換部50は、被測定信号の複数サイクルに対応するポイント数の比較結果を、キャプチャメモリ40から取り出してよい。つまり、デジタル信号変換部50は、被測定信号の周期を、ストローブ信号の周期と被測定信号の周期との差分で除算し、キャプチャメモリ40が時系列に格納した比較結果のデータのうち、当該除算結果の整数倍のポイント数の連続するデータを取り出してよい。
上記の例のように、被測定信号の周期が400psであり、ストローブ信号の周期が405psである場合、被測定信号の1サイクルに対応する比較結果のポイント数は160ポイントである。この場合、デジタル信号変換部50は、160の整数倍のポイント数の比較結果を離散化波形(discrete waveform)として、キャプチャメモリ40から取り出してよい。この結果、Hanning窓関数などの窓関数を離散化波形に乗じることなく、フーリエ変換等の処理をほどこせる(perform)。したがって、窓関数をもちいるときに比べ、高い周波数分解能の測定を実現できる.測定時間も最小にできる。また、デジタル信号変換部50は、キャプチャメモリ40が格納した比較結果のポイント数の範囲内で、被測定信号の1サイクルに対応する比較結果のポイント数の整数倍のうちの最大のポイント数を取り出してよい。
図20及び図21は、デジタル信号処理部60の動作例を説明する図である。デジタル信号処理部60は、デジタル信号変換部50から入力されるデジタル信号をフーリエ変換し、周波数領域の信号に変換する。図20(A)は、周波数領域のデジタル信号の一例を示す。このとき、デジタル信号処理部60は、デジタル信号変換部50から入力されるデータのポイント数が2のべき乗である場合に、取り出したデータを高速フーリエ変換してよい。また、デジタル信号処理部60は、デジタル信号変換部50から入力されるデータのポイント数が2のべき乗でない場合に、取り出したデータを混合基数(mixed−radix)のアルゴリズムでフーリエ変換してよい。例えばデジタル信号処理部60は、データのポイント数が2のべき乗である場合、即ち基数が2のみである場合、1次元の高速フーリエ変換を行ってよい。またデジタル信号処理部60は、データのポイント数が複数の基数の積(混合基数)で表される場合、基数のポイント数に応じた混合基数や素数やスプリット基数の高速フーリエ変換(the mixed−radix FFT or the prime factor FFT or the split−radix FFT)で計算してよい。
次に、デジタル信号処理部60は、被測定信号のキャリア周波数近傍の周波数成分を抽出する。図20(B)は、抽出される周波数成分の一例を示す。図20(B)はでは、被測定信号のキャリア周波数が16MHz程度であり、カットオフ周波数が15MHz±5MHz程度の場合に抽出される周波数成分の一例を示す。
次に、デジタル信号処理部60は、抽出した周波数成分をフーリエ逆変換し、時間領域の信号に変換する。図21(A)は、時間領域の信号の一例を示す。このような処理により、被測定信号の解析信号(analytic signal)を得ることができる。
次に、デジタル信号処理部60は、解析信号に基づいて、被測定信号の瞬時位相φ(t)を算出する。また、当該瞬時位相から直線成分を除去することにより、被測定信号の瞬時位相雑音Δφ(t)を算出する。瞬時位相φ(t)から瞬時位相雑音Δφ(t)を求める方法は、図6(A)に示した方法と同様である。図21(B)は、算出される瞬時位相雑音Δφ(t)の一例を示す。
図6(B)において説明したように、デジタル信号処理部60は、瞬時位相雑音Δφ(t)から、被測定信号のジッタを算出することができる。尚、算出される瞬時位相雑音Δφの精度は、被測定信号の周期と、ストローブ信号の周期との差分値、すなわち時間分解能に応じて変化する。
図22は、被測定信号の周期と、ストローブ信号の周期との差分値(Δ)を変化させた場合に算出される瞬時位相雑音Δφ(t)の一例を示す。本例では、周期の差分値(Δ)を5ps、10ps、20ps、40psとした場合のそれぞれの瞬時位相雑音を示す。図22に示すように、差分値(Δ)を変化させた場合、算出される瞬時位相雑音の波形が変化する。このため、周期の差分値(Δ)を,被測定信号のジッタ値やその標準偏差(standard deviation)やその実効値(rms値)と同程度より小さい値に選ぶのが望ましい。
図23は、それぞれの周期の差分値(Δ)に対して算出されるジッタ値の観測帯域幅依存性を例示する図である。本例においては、被測定信号に含まれるジッタ振幅の実効値が2psである場合に、それぞれの周期の差分値(Δ)に対して算出されるジッタ値を示す。尚、図23における横軸は、図20(B)に示したカットオフ周波数に対応する。
図24は、それぞれの周期の差分値(Δ)に対して算出したジッタ値の、測定誤差の一例を示す図である。本例においては、周期の差分値(Δ)が5psである場合の測定値を真値とする。
図23及び図24に示すように、周期の差分値(Δ)が大きくなるに従い、ジッタ値の測定誤差が急激に増大する。ストローブタイミング発生器30は、周期の差分値(Δ)がより小さくなるように、ストローブ信号の周期を設定してよい。例えば、ストローブタイミング発生器30において、ストローブ信号の周期として複数種類の周期が選択できる場合、ストローブタイミング発生器30は、当該周期の差分値(Δ)がより小さくなる周期を選択してよい。
また、ストローブタイミング発生器30は、ストローブ信号の周期と、被測定信号の周期との差分が、測定すべきジッタの振幅、又はジッタを算出すべき時間分解能に応じた値となるように、ストローブ信号の周期を設定してよい。例えば、ストローブタイミング発生器30は、測定すべきジッタの振幅値又は算出すべきジッタの時間分解能の値が与えられ、ストローブ信号の周期と、被測定信号の周期との差分が、ジッタの実効値の3倍又は時間分解能の値より小さくなるように、ストローブ信号を順次設定してよい。ここで、測定すべきジッタ値は、タイミングジッタのピークツウピーク値であってよい。また、ストローブタイミング発生器30は、被測定信号の周期の値が与えられることが好ましい。
被測定信号の各エッジのタイミングと、理想的なタイミングとのずれ(即ちタイミングジッタ)の最大値は、タイミングジッタの振幅値により定まる。つまり、被測定信号の各エッジのタイミングは、理想的なタイミングの前後のそれぞれで、ジッタの振幅値に応じて変化しうる。このため、被測定信号の各エッジのタイミングは、理想的なタイミングを中心として、ジッタ値の2〜3倍の幅で変化しうる。このため、周期の差分値(Δ)をジッタ値の2〜3倍より小さくすることにより、被測定信号のタイミングのずれ(即ちタイミングジッタ)をより精度よく検出することができる。
また、周期の差分値(Δ)を、ジッタ値を算出すべき時間分解能より小さくすることにより、当該時間分解能でのジッタ値をより精度よく算出することができる。
図25は、図17に示した試験装置100が備えるパターン発生器65の構成の一例を示す図である。パターン発生器65は、試験信号の信号パターンを生成するパターン生成部67と、信号パターンに基づいて試験信号を出力するドライバ69とを有する。ドライバ69は、予め定められたテストレートに応じて動作し、被試験デバイス200にテストレートまたはその整数倍のテストレートに応じた周期の被測定信号を出力させる。本例では、ドライバ69は、テストレートTに応じた周期のタイミング信号が与えられ、被試験デバイス200に当該周期に応じた被測定信号を出力させる。
これに対し、ストローブタイミング発生部30は、テストレートTより所定値大きい周期T+Δでストローブ信号を生成する。このような動作により、低い動作周期で、高速な被測定信号を精度よく測定することができる。ストローブタイミング発生部30には、テストレートTに対して設定可能なストローブ信号の周期の差分Δが複数種類用意されることが好ましい。例えば、ストローブタイミング発生部30に対して設定可能なタイミングセットが複数用意されており、それぞれのタイミングセットを設定した場合における、テストレートとストローブ信号との周期の差分値Δが予め測定されていてよい。
ストローブタイミング発生部30は、これらのタイミングセットのうち、周期の差分値Δが最も小さくなるタイミングセットを選択してよく、また周期の差分値Δが、測定すべきジッタ値の2〜3倍より小さくなるタイミングセットを選択してもよい。
図26は、図21において説明した、被測定信号の瞬時位相φ(t)及び直線位相および瞬時位相雑音Δφ(t)の例を示す。図26の上図は、被測定信号の瞬時位相φ(t)と直線位相2πft+φを示し、下図は被測定信号の瞬時位相雑音Δφ(t)を示す。試験装置100は、2つの信号の当該瞬時位相φ(t)の所定時刻における値に基づいて、(φ−φ)/( 2πf)を計算し,2つの信号間の確定(deterministic)スキューを求めてよい。ここで、確定スキューとは、2つの信号が伝播する経路の電気長の差である。(Δφ(t)|−Δφ(t)|)/(2πf)を計算し,2つの信号間の不規則(random)スキューを求めてよい。
例えば、試験装置100は、コンパレータ20を並列に2つ有する。そして、これらのコンパレータ20に同時に信号を入力する。また、これらのコンパレータ20に同一のストローブ信号を与える。つまり、試験装置100は、コンパレータ20に入力する2つの信号を同時にアンダーサンプリングする。
そして、それぞれの信号に対して瞬時位相φ(t)を求め、それぞれの瞬時位相φ(t)について、所定の時刻(例えばt=0)の値を求める。求めた値の差分が確定スキューを示す。係る処理は、デジタル信号変換部50及びデジタル信号処理部60が行ってよい。また、試験装置100は、2つのコンパレータ20に対応して2つのキャプチャメモリ40を有してよい。デジタル信号変換部50は、2つのキャプチャメモリ40からデータを受け取り、上述した確定スキューや不規則スキューを算出する。
図27は、試験装置100のジッタ測定結果と、ジッタ測定器E5052Aをもちいたジッタ測定結果とを比較する図である。図27では、ジッタ測定器におけるジッタ測定結果の範囲を点線で示す。ジッタ測定器とは、ジッタを測定する機能を有する一般的な測定器であってよい。
また、図27では、試験装置100のジッタ測定結果を丸印及び三角印でプロットした。図27に示すように、試験装置100における測定結果は、ジッタを測定する目的で用いられる測定器での測定結果とよくあっている。つまり、試験装置100を用いてジッタを高精度に測定できることが示されている。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
上記説明から明らかなように、本発明によれば、被試験デバイスのジッタ試験を低コストで行うことができる。また、タイミングノイズを振幅ノイズから分離して測定できるので、タイミングジッタを精度よく測定することができる。また、ストローブタイミング発生器が生成できるストローブ信号の最大周波数より高速な測定を行うことができる。
添付書類(Appendix)を参照により本出願に組み込み、本出願の一部とする。
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Claims (36)

  1. 被測定信号を測定する測定装置であって、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、
    略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、
    前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部と
    を備え、
    前記ストローブタイミング発生器は、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する測定装置。
  2. 前記ストローブタイミング発生器は、前記被測定信号の周期の半分より大きい周期で前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記ストローブタイミング発生器は、前記ストローブ信号の周期と、前記被測定信号の周期との差分が、測定すべきジッタ値に応じた等価サンプリング間隔(equivalent sampling interval)となるように、前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  4. 前記ストローブタイミング発生器は、測定すべきジッタ値が与えられ、前記ストローブ信号の周期と、前記被測定信号の周期との差分が、前記ジッタ値のN(但し、Nは正の整数)倍より小さくなるように、前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項3に記載の測定装置。
  5. 前記ストローブタイミング発生器は、前記ストローブ信号の周期と、前記被測定信号の周期との差分が、ジッタを算出すべき時間分解能に応じた値となるように、前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  6. 前記ストローブタイミング発生器は、ジッタを算出すべき前記時間分解能が与えられ、前記ストローブ信号の周期と、前記被測定信号の周期との差分が、前記時間分解能より小さくなるように、前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項5に記載の測定装置。
  7. 前記デジタル信号処理部は、前記被測定信号の周期を、前記ストローブ信号の周期と前記被測定信号の周期との差分で除算し、前記キャプチャメモリが時系列に格納した前記比較結果のデータのうち、当該除算結果の整数倍のポイント数の連続するデータを取り出し、取り出したデータに基づいて前記ジッタを算出する
    請求項1に記載の測定装置。
  8. 前記デジタル信号処理部は、取り出したデータのポイント数が2のべき乗である場合に、取り出したデータを高速フーリエ変換した結果に基づいて前記ジッタを算出し、取り出したデータのポイント数が2のべき乗でない場合に、取り出したデータを混合基数や素数やスプリット基数のアルゴリズムでフーリエ変換した結果に基づいて前記ジッタを算出する
    請求項7に記載の測定装置。
  9. 前記キャプチャメモリが格納する前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のそれぞれの電圧値を、その絶対値がn(但しnは実数)より小さい範囲のデジタル値に変換したデジタル信号を生成するデジタル信号変換部を更に備え、
    前記デジタル信号処理部は、前記デジタル信号に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出する
    請求項1に記載の測定装置。
  10. 前記コンパレータは、前記被測定信号の電圧値が前記参照電圧値より大きいか否かにより、それぞれ異なる比較結果を出力する
    請求項9に記載の測定装置。
  11. 前記デジタル信号変換部は、前記被測定信号の電圧値が前記参照電圧値より大きいことを示す比較結果をデジタル値1に変換し、前記被測定信号の電圧値が前記参照電圧値以下であることを示す比較結果をデジタル値0に変換する
    請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記コンパレータは、第1の参照電圧と、前記第1の参照電圧より電圧値が低い第2の参照電圧が与えられ、前記被測定信号の電圧値が前記第1の参照電圧より大きいか、前記被測定信号の電圧値が前記第1の参照電圧以下であり且つ前記第2の参照電圧より大きいか、又は前記被測定信号の電圧値が前記第2の参照電圧以下であるかによりそれぞれ異なる比較結果を出力する
    請求項9に記載の測定装置。
  13. 前記デジタル信号変換部は、前記被測定信号の電圧値が前記第1の参照電圧より大きいことを示す前記比較結果をデジタル値1に変換し、前記被測定信号の電圧値が前記第1の参照電圧以下であり且つ前記第2の参照電圧より大きいことを示す前記比較結果をデジタル値0に変換し、前記被測定信号の電圧値が前記第2の参照電圧以下であることを示す前記比較結果をデジタル値−1に変換する
    請求項12に記載の測定装置。
  14. 前記コンパレータは、3種類以上の異なる前記参照電圧が与えられ、前記被測定信号の電圧値が、隣接する2つの前記参照電圧により規定されるそれぞれの電圧範囲のいずれに属するかにより、それぞれ異なる比較結果を出力する
    請求項1又は9に記載の測定装置。
  15. 前記ストローブタイミング発生器は、前記測定装置の動作周期とは独立して、略等時間間隔に配置された前記ストローブ信号を生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  16. 前記ストローブタイミング発生器は、前記測定装置の動作周期毎に1つの前記ストローブ信号を生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  17. 前記ストローブタイミング発生器は、前記測定装置の動作周期毎に、複数の前記ストローブ信号を生成する
    請求項1に記載の測定装置。
  18. 前記デジタル信号処理部は、
    前記デジタル信号の測定すべき周波数成分を通過させる帯域制限部と、
    前記帯域制限部が出力する前記デジタル信号の位相雑音を算出する位相歪推定部と
    を有する請求項9に記載の測定装置。
  19. 前記帯域制限部は、前記デジタル信号を解析信号に変換し、
    前記位相歪推定部は、前記解析信号に基づいて、前記被測定信号の瞬時位相を示す瞬時位相信号を生成する瞬時位相推定部と、
    前記瞬時位相信号の線形成分を除去し、前記被測定信号の位相雑音を算出する線形位相除去部と
    を有する請求項18に記載の測定装置。
  20. 前記位相歪推定部は、
    前記帯域制限部が出力する前記デジタル信号に基づいて、前記被測定信号のゼロクロスタイミング系列を推定するゼロクロスタイミング推定部と、
    前記ゼロクロスタイミング系列の線形成分を除去し、前記被測定信号の位相雑音を算出する線形位相除去部と
    を有する請求項18に記載の測定装置。
  21. 前記被測定信号の測定すべき周波数成分を通過させ、前記コンパレータに入力するフィルタを更に備える
    請求項1に記載の測定装置。
  22. 前記フィルタは、前記被測定信号の周波数成分のうち、前記被測定信号のキャリア周波数を含まない周波数帯域の周波数成分を通過させる
    請求項21に記載の測定装置。
  23. 前記測定装置は、並列に設けられた複数の前記コンパレータを備え、
    前記測定装置は、前記被測定信号を前記複数のコンパレータのそれぞれに並列に入力する入力部を更に備え、
    前記ストローブタイミング発生器は、それぞれの前記コンパレータに対して、位相の異なる前記ストローブ信号を入力し、
    前記キャプチャメモリは、前記複数のコンパレータにおける前記比較結果を、対応する前記ストローブ信号の位相に応じて整列して格納する
    請求項1に記載の測定装置。
  24. 被試験デバイスを試験する試験装置であって、
    前記被試験デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する測定装置と、
    前記測定装置が測定したジッタに基づいて、前記被試験デバイスの良否を判定するジッタ判定部と
    を備え、
    前記測定装置は、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、
    略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、
    前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部と
    を有し、
    前記ストローブタイミング発生器は、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する試験装置。
  25. 予め定められたテストレートに応じて動作し、前記被試験デバイスに前記テストレートに応じた周期の前記被測定信号を出力させるドライバを更に備え、
    前記ストローブタイミング発生器は、前記テストレートより所定値大きい周期で前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項24に記載の試験装置。
  26. 前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果により定まる前記被測定信号のデータパターンが、予め定められた期待値パターンと一致するか否かを判定するロジック判定部を更に備える
    請求項24に記載の試験装置。
  27. 所定の周期を有する被測定信号を測定する測定方法であって、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する比較段階と、
    略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器段階と、
    前記比較段階における比較結果を格納する格納段階と、
    納した前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理段階と
    を備え、
    前記ストローブタイミング発生器段階において、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する測定方法。
  28. 被試験デバイスを試験する試験方法であって、
    前記被試験デバイスが出力する被測定信号のジッタを測定する測定段階と、
    前記測定段階において測定したジッタに基づいて、前記被試験デバイスの良否を判定するジッタ判定段階と
    を備え、
    前記測定段階は、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する比較段階と、
    略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生段階と、
    前記比較段階における比較結果を格納する格納段階と、
    納した前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理段階と
    を有し、
    前記ストローブタイミング発生段階において、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する試験方法。
  29. 所定の周期を有する被測定信号を測定する測定装置であって、
    前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期でストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる第1の参照電圧値及び第2の参照電圧とを順次比較し、3値の比較結果を出力するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、
    前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果に基づいて、前記被測定信号のジッタを算出するデジタル信号処理部と
    を備える測定装置。
  30. 前記デジタル信号処理部は、
    前記比較結果を解析信号に変換するヒルベルト変換対生成部と、
    前記解析信号に基づいて、前記被測定信号の瞬時位相を示す瞬時位相信号を生成する瞬時位相推定部と、
    前記瞬時位相信号の線形成分を除去し、前記被測定信号の位相雑音を示す線形位相除去部と
    を有する請求項29に記載の測定装置。
  31. 被測定信号を出力する電子デバイスであって、
    前記被測定信号を生成する動作回路と、
    前記被測定信号を測定する測定装置と
    を備え、
    前記測定装置は、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較するコンパレータと、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと
    被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と
    を有する電子デバイス。
  32. 前記ストローブタイミング発生器は、略等時間間隔に配置されたストローブ信号を順次生成す
    請求項31に記載の電子デバイス。
  33. 被測定信号を測定する測定装置であって、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、第1の前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する第1のコンパレータと、
    第2の前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを、前記第1のコンパレータと略同時に順次比較する第2のコンパレータと、
    略等時間間隔に配置された前記ストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、
    前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果に基づいて、前記第1及び第2の被測定信号のそれぞれの瞬時位相を算出し、
    それぞれの前記瞬時位相に基づいて、前記第1の被測定信号及び前記第2の被測定信号の間の確定スキューを算出するデジタル信号処理部と
    を備える測定装置。
  34. 前記ストローブタイミング発生器は、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項33に記載の測定装置。
  35. 被測定信号を測定する測定装置であって、
    順次与えられるストローブ信号のタイミングにおいて、第1の前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを順次比較する第1のコンパレータと、
    第2の前記被測定信号の電圧値と、与えられる参照電圧値とを、前記第1のコンパレータと略同時に順次比較する第2のコンパレータと、
    略等時間間隔に配置された前記ストローブ信号を順次生成するストローブタイミング発生器と、
    前記コンパレータの比較結果を格納するキャプチャメモリと、
    前記キャプチャメモリが格納した前記比較結果に基づいて、前記第1及び第2の被測定信号のそれぞれの瞬時位相を算出し、
    それぞれの前記瞬時位相に基づいて前記第1及び第2の被測定信号の瞬時位相雑音を求め、
    それぞれの前記瞬時位相雑音から、前記第1の被測定信号及び前記第2の被測定信号の不規則スキューを算出するデジタル信号処理部と
    を備える測定装置。
  36. 前記ストローブタイミング発生器は、前記被測定信号の周期に対して所定値異なる周期で前記ストローブ信号を順次生成する
    請求項35に記載の測定装置。
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