JP5063390B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5063390B2
JP5063390B2 JP2008019184A JP2008019184A JP5063390B2 JP 5063390 B2 JP5063390 B2 JP 5063390B2 JP 2008019184 A JP2008019184 A JP 2008019184A JP 2008019184 A JP2008019184 A JP 2008019184A JP 5063390 B2 JP5063390 B2 JP 5063390B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold material
recording head
layer
jet recording
ink jet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008019184A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009178907A (ja
Inventor
正紀 大角
純 山室
正久 渡部
啓治 枝松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2008019184A priority Critical patent/JP5063390B2/ja
Publication of JP2009178907A publication Critical patent/JP2009178907A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5063390B2 publication Critical patent/JP5063390B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、高精度で高品質なインクジェット記録ヘッドを低価格で提供するインクジェット記録ヘッドの製造方法に関する。
インクジェット記録ヘッドは、印刷用インクの微小な液滴を記録用紙上の所望の位置に吐出させて、所定色相の画像に印刷する装置である。このようなインクジェット記録ヘッドは、インク液滴の吐出メカニズムによって2つの方式に大別される。その1つは、熱源を用いてインクにバブルを発生させ、当該バブルの膨張力によってインク液滴を吐出させる熱駆動方式のインクジェット記録ヘッドである。他の1つは、圧電体を使用して、その圧電体の変形によりインクに加えられる圧力によりインク液滴を吐出させる圧電駆動方式のインクジェット記録ヘッドである。
熱駆動方式のインクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを液体に作用させて、液滴吐出の原動力を得るという点において、圧電駆動方式のインクジェット記録ヘッドとは異なる特徴を有している。即ち、熱駆動方式による記録法では、熱エネルギーの作用を受けた液体が過熱されて気泡を発生し、この気泡発生に基づく作用力によって、インクジェット記録ヘッド先端のオリフィスから液滴が形成され、この液滴が被記録部材に付着して情報の記録が行われる。この記録法に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に、液体を吐出するために設けられたオリフィス(吐出口)と、このオリフィスに連通する液流路とを有する液吐出部を有している。液流路には、液滴を吐出するための熱エネルギーが液体に作用する部分である熱作用部を構成の一部として有している。また、熱作用部には、熱エネルギーを発生する手段である発熱抵抗素子と、それをインクから保護する上部保護層と、蓄熱するための下部保護層とを具備している。
従来、発熱抵抗素子と吐出口間の距離を高い精度で短くかつ再現よく設定可能な高品位記録が可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法として、特許文献1では、以下の工程を有する方法が提案されている。
(1)溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程、
(2)常温にて固体状のエポキシ樹脂を含む被覆樹脂を塗布する工程、
(3)インク吐出口を形成する工程、
(4)溶解可能な樹脂の層を溶解する工程。
さらに、特許文献2では、発熱抵抗素子の上に絶縁膜及び耐キャビテーション層としてのTa膜を設ける一方、基板と被覆樹脂とをポリエーテルアミド樹脂からなる密着層を介して接合する方法が提案されている。
ここで、図6(A)〜(F)は、従来のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。
まず、図6(A)に示すように、複数の発熱抵抗素子3が形成されている基板1の上には、犠牲層2と保護膜4とを形成する。なお、発熱抵抗素子3の配線や、発熱抵抗素子3を駆動するための半導体素子は、不図示である。基板1としては、結晶方位100のシリコン基板を用いることができる。犠牲層2は、アルカリ溶液でエッチングできるものであり、ポリシリコンや、エッチング速度の速いアルミニウム、アルミニウムシリコン、アルミニウム銅、アルミニウムシリコン銅などで形成される。また、基板1の裏面は、その全面がSiO2等の酸化膜6で覆われている。
次いで、図6(B)に示すように、基板1の表面にポリエーテルアミド樹脂7、基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂8を塗布し、ベークにより硬化させた後、それぞれをパターニングする。ポリエーテルアミド樹脂7,8のパターニングは、その上にポジ型レジストをスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂7,8をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを剥離することで行う。
次いで、図6(C)に示すように、基板1の表面にポジ型レジストの層を形成し、パターニングすることで、インク流路となる型材10を形成する。
次いで、図6(D)に示すように、型材10の上に、感光性樹脂からなる被覆樹脂層12をスピンコート等により形成し、さらに、撥水材13のドライフィルムをラミネート等により積層した上で、吐出口14を形成する。吐出口14は、被覆樹脂層12を紫外線やDeepUV光等による露光、現像を行うことでパターニングして形成する。
次いで、図6(E)に示すように、型材10及び被覆樹脂層12等が形成されている基板1の表面及び側面を覆うように、保護材15をスピンコート等により塗布する。その後、基板1の裏面のSiO2膜6は、ポリエーテルアミド樹脂8をマスクとしてウエットエッチングされ、異方性エッチングの開始面となるSi面を露出させる。そして、基板1を例えばTMAH等の強アルカリ溶液によるエッチングを行い、インク供給口16が形成される。このエッチングでは、基板1の結晶方位が100のため、基板1の表面に形成した犠牲層2に到達する。
次いで、図6(F)に示すように、ポリエーテルアミド樹脂8及び保護材15を除去し、さらに型材10を吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路17及び発泡室が形成される。
以上の工程後に、基板1をダイシングソー等により切断分離、チップ化し、発熱抵抗素子3を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドが完成する。
このようなインクジェット記録ヘッドにおいて、特に高精細な画像が得られる小さな液滴、例えば10pl以下の主滴を実現するためには、発熱抵抗素子3とオリフィス間のOH距離18の制御が重視される。そして、従来の型材10を用いてインク流路パターンを形成した基板1に対して、ノズルプレートとなる感光性樹脂を塗布した場合、凸状のコーナー部分付近でのノズルプレートの被覆状態が不均一となる。そこで、特許文献3では、型材10の端部付近や周辺部分に型材料を設け、被覆樹脂層が薄くなることを防ぐ方法が提案されている。
特開平6−286149号公報 特開平11−348290号公報 特開平9−1809号公報
ところが、従来のインクジェット記録ヘッドを形成する製造方法において、以下の課題が挙げられる。まず、発熱抵抗素子3が形成された基板1と被覆樹脂層12との間の密着層であるポリエーテルアミド樹脂7のパターンの形成と、インク流路となる型材10のパターン形成とで、各々仕上り寸法公差が発生するため、一定のノズル寸法設計の制約が発生する。また、密着層としてのポリエーテルアミド樹脂7と型材10との仕上り寸法公差が、基板1と被覆樹脂層12との密着力の低下や、吐出性能に影響を与える可能性がある。密着層としてのポリエーテルアミド樹脂7の寸法ばらつきを向上させるため、従来のケミカルドライエッチングから、RIEによるエッチングの採用などの精度向上の試みがなされてきている。ただし、一般に、高機能なドライエッチング装置は高価格であり、製造コストの上昇が問題となる。
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、高精度で高品質なインクジェット記録ヘッドを低価格で提供することを目的とする。
本発明は、複数の発熱抵抗素子が形成されている基板の上に、ポリエーテルアミド樹脂からなる密着層を形成する工程と、
前記密着層の上に、インク流路となる型材及び前記型材を被覆する被覆樹脂層を形成する工程と、
前記被覆樹脂層に吐出口を形成する工程と、
前記型材を除去して、インク流路を形成する工程と
を有し、
前記型材と接する領域の前記密着層にUV光を照射して、その領域の前記密着層を前記型材に溶解可能な状態に変性することで、前記型材の除去と同時に前記変性された密着層を除去することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、高精度で高品質なインクジェット記録ヘッドを低価格で提供できる。より具体的には、高精細化に必要であった高価な高精度エッチング装置を使用せずに、高密度な吐出口配置を、高精度に形成可能となる。そして、高精度エッチング装置のコストが削減され、密着層パターニングに使用するレジストも必要なくなる。さらに、レジストが必要なくなることで、剥離洗浄工程が削減されるので、低価格でインクジェット記録ヘッドを製造することができる。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図2に本実施形態において製造するインクジェット記録ヘッドの模式的断面図を示す。また、図3に本実施形態において製造するインクジェット記録ヘッドの一部を破断した状態の模式的斜視図を示す。なお、図2は、図3のA−A断面に相当する。
このインクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)は、インク吐出エネルギー発生素子(液体吐出エネルギー発生素子)である発熱抵抗素子3が所定のピッチで2列並んで形成された基板1としてのシリコン基板を有している。基板1の上には、密着層であるポリエーテルアミド樹脂7の層が形成されている。また、シリコンの異方性エッチングによって形成されたインク供給口(液体供給口)16が、発熱抵抗素子3の2つの列の間に開口されている。さらに、基板1の上には、発熱抵抗素子3の上方に開口する吐出口(液体吐出口)14、及びインク供給口16から各吐出口14に連通するインク流路17の上部を形成する被覆樹脂層12を有している。なお、被覆樹脂層12の上には、撥水材13の層が形成されている。このインクジェット記録ヘッドは、インク供給口16を介してインク流路内に充填されたインク(液体)に、発熱抵抗素子3により発生する圧力を加えることによって、吐出口14からインク液滴を吐出させ、被記録媒体に付着させることにより記録を行う。
このインクジェット記録ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、このインクジェット記録ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックなど種々の被記録媒体に記録を行うことができる。なお、本発明において「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することとだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することとも意味する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1−1及び1−2(これらをあわせて「図1」と称する)は、第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図1(A)〜(J)が各工程における模式的断面図である。なお、図1(A)〜(J)は、図3のA−A断面に相当する。
まず、図1(A)に示すように、複数の発熱抵抗素子3が形成されている基板1の上には、犠牲層2と保護膜4とを形成する。なお、発熱抵抗素子3の配線や、発熱抵抗素子3を駆動するための半導体素子は、不図示である。基板1としては、結晶方位100のシリコン基板を用いることができる。犠牲層2は、アルカリ溶液でエッチングできるものであり、ポリシリコンや、エッチング速度の速いアルミニウム、アルミニウムシリコン、アルミニウム銅、アルミニウムシリコン銅などで形成される。また、基板1の裏面は、その全面がSiO2等の酸化膜6で覆われている。
次いで、図1(B)に示すように、基板1の表面に密着層となるポリエーテルアミド樹脂7、基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂8を塗布し、ベークにより硬化させる。ポリエーテルアミド樹脂のベーク後の厚さは、通常1〜3μmの範囲とする。本実施形態では、日立化成製のHIMAL(商品名)を使用して、ベーク後の厚さが2μmになるように膜厚を調整した。その後、アルカリ性の溶液によってインク供給口16を形成するために、基板1の裏面に形成したポリエーテルアミド樹脂8をパターニングする。具体的には、基板1の裏面側に、ポジ型レジストをスピンコート等により塗布、露光、現像し、ポリエーテルアミド樹脂8をドライエッチング等によりパターニングした後、ポジ型レジストを剥離する。
次いで、図1(C)に示すように、基板1の表面に形成したポリエーテルアミド樹脂7のうち、型材と接する領域のみにUV光(DeepUV光)を照射可能なマスク20を介して、UV光を照射する。UV光としては、例えば波長200〜400nmの光を用いることができる。こうすることで、図1(D)に示すように、その照射された領域のポリエーテルアミド樹脂7が、型材10に溶解可能な状態に変性したポリエーテルアミド樹脂21となる。実験によって、UV光が照射されたポリエーテルアミド樹脂7は、そのUV光照射量で型材に溶解する量が変わることが分かっている。本実施形態では、厚さ2μmのポリエーテルアミド樹脂7を溶解させるため、波長313nmのUV光を300Jとなる量で照射した。
次いで、図1(E)に示すように、基板1の表面にポジ型レジストからなる型材10を形成する。型材10を形成するポジ型レジストとしては、アクリル系樹脂のPMMAやPMIPKなどを用いることができる。型材10の厚さは、通常10〜20μmの範囲とする。本実施形態では、東京応化製のODUR(商品名)を厚さ13μmとなるように塗布し、乾燥することで、型材10を形成した。この乾燥時に、変性したポリエーテルアミド樹脂21は型材10に溶解したポリエーテルアミド樹脂22となる。
次いで、図1(F)に示すように、型材10をパターニングして、インク流路となるパターンの形状にする。
次いで、図1(G)に示すように、型材10を被覆するように感光性樹脂からなる被覆樹脂層12をスピンコート等により形成し、さらに、撥水材13のドライフィルムをラミネート等により積層した上で、吐出口14を形成する。被覆樹脂層12の厚さは、通常OH距離18が20〜100μmとなる範囲とする。本実施形態では、OH距離18が25μmとなるように被覆樹脂層12を形成した。吐出口14は、被覆樹脂層12を紫外線やDeepUV光等による露光、現像を行うことでパターニングして形成する。
次いで、図1(H)に示すように、型材10及び被覆樹脂層12等が形成されている基板1の表面及び側面を覆うように、保護材15をスピンコート等により塗布する。保護材15としては、装置搬送等のキズ防止の保護材として利用でき、異方性エッチングを行う際に使用する強アルカリ溶液に十分耐えうる材料を用いる。すなわち、異方性エッチングを行うことによる撥水材13等の劣化防止を可能とするものである。その後、基板1の裏面のSiO2膜6は、ポリエーテルアミド樹脂8をマスクとしてウエットエッチングされ、異方性エッチングの開始面となるSi面を露出させる。
次いで、図1(I)に示すように、基板1を例えばTMAH等の強アルカリ溶液によるエッチングを行い、インク供給口16が形成される。このエッチングでは、基板1の結晶方位が100のため、基板1の表面に形成した犠牲層2に到達する。その後、ポリエーテルアミド樹脂8を除去した後、保護材15を除去する。
次いで、図1(J)に示すように、型材10を吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路17及び発泡室が形成される。型材10の除去は、DeepUV光による全面露光を行った後、現像、乾燥を行えばよく、必要に応じて現像の際、超音波浸漬すればよい。このとき、型材10に溶解したポリエーテルアミド樹脂22も同時に溶出される。これにより、インク流路17が貫通してノズル部が完成する。
以上の工程により、ノズル部が形成された基板1をダイシングソー等により切断分離、チップ化し、発熱抵抗素子3を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドが完成する。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図4−1及び4−2(これらをあわせて「図4」と称する)は、第2の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図4(A)〜(K)が各工程における模式的断面図である。なお、図4(A)〜(K)は、図3のA−A断面に相当する。
まず、図4(A)に示すように、複数の発熱抵抗素子3が形成されている基板1の上には、犠牲層2と保護膜4とを形成する。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(A)についての説明と同様である。
次いで、図4(B)に示すように、基板1の表面に密着層となるポリエーテルアミド樹脂7、基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂8を塗布し、ベークにより硬化させる。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(B)についての説明と同様である。
次いで、図4(C)に示すように、ポリエーテルアミド樹脂7の上に、被覆樹脂層12の下部を構成する下部被覆樹脂層23を感光性樹脂により形成する。具体的には、ポリエーテルアミド樹脂7の上に感光性樹脂をスピンコート等により塗布し、露光、現像をして下部被覆樹脂層23を形成する。下部被覆樹脂層23を形成する感光性樹脂としては、被覆樹脂層12を形成する感光性樹脂と同種の材料を用いることができ下部被覆樹脂層23の厚さは、通常1〜8μmの範囲とする。本実施形態では、厚さ5μmの下部被覆樹脂層23を形成した。
次いで、図4(D)に示すように、全面にUV光(DeepUV光)を照射する。UV光としては、例えば波長200〜400nmの光を用いることができる。こうすることで、図4(E)に示すように、下部被覆樹脂層23を形成しなかった領域のポリエーテルアミド樹脂7が、型材10に溶解可能な状態に変性したポリエーテルアミド樹脂21となる。なお、下部被覆樹脂層23を形成した領域のポリエーテルアミド樹脂7は、下部被覆樹脂層23がマスクとなるため、UV光照射の影響は少ない。実験によって、UV光が照射されたポリエーテルアミド樹脂7は、そのUV光照射量で型材に溶解する量が変わることが分かっている。本実施形態では、厚さ2μmのポリエーテルアミド樹脂7を溶解させるため、波長313nmのUV光を300Jとなる量で照射した。
次いで、図4(F)に示すように、基板1の表面にポジ型レジストからなる型材10を形成する。型材10を形成するポジ型レジストとしては、アクリル系樹脂のPMMAやPMIPKなどを用いることができる。型材10の厚さは、通常10〜20μmの範囲とする。本実施形態では、東京応化製のODUR(商品名)を厚さ13μmとなるように塗布し、乾燥することで、型材10を形成した。この乾燥時に、変性したポリエーテルアミド樹脂21は型材10に溶解したポリエーテルアミド樹脂22となる。
次いで、図4(G)に示すように、型材10をパターニングして、インク流路となるパターンの形状にする。
次いで、図4(H)に示すように、型材10を被覆するように感光性樹脂からなる被覆樹脂層12をスピンコート等により形成し、さらに、撥水材13のドライフィルムをラミネート等により積層した上で、吐出口14を形成する。被覆樹脂層12と下部被覆樹脂層23との合計厚さは、通常OH距離18が20〜100μmとなる範囲とする。本実施形態では、OH距離18が25μmとなるように被覆樹脂層12を形成した。吐出口14は、被覆樹脂層12を紫外線やDeepUV光等による露光、現像を行うことでパターニングして形成する。
次いで、図4(I)に示すように、型材10及び被覆樹脂層12等が形成されている基板1の表面及び側面を覆うように、保護材15をスピンコート等により塗布する。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(H)についての説明と同様である。
次いで、図4(J)に示すように、基板1を例えばTMAH等の強アルカリ溶液によるエッチングを行い、インク供給口16が形成される。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(I)についての説明と同様である。
次いで、図4(K)に示すように、型材10を吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路17及び発泡室が形成される。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(J)についての説明と同様である。
以上の工程により、ノズル部が形成された基板1をダイシングソー等により切断分離、チップ化し、発熱抵抗素子3を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドが完成する。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図5−1及び5−2(これらをあわせて「図5」と称する)は、第3の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図5(A)〜(K)が各工程における模式的断面図である。なお、図5(A)〜(K)は、図3のA−A断面に相当する。
まず、図5(A)に示すように、複数の発熱抵抗素子3が形成されている基板1の上には、犠牲層2と保護膜4とを形成する。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(A)についての説明と同様である。
次いで、図5(B)に示すように、基板1の表面に密着層となるポリエーテルアミド樹脂7、基板1の裏面にポリエーテルアミド樹脂8を塗布し、ベークにより硬化させる。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(B)についての説明と同様である。
次いで、図5(C)に示すように、ポリエーテルアミド樹脂7の上に、被覆樹脂層12の下部を構成する下部被覆樹脂層9を感光性樹脂により形成する。具体的には、ポリエーテルアミド樹脂7の上に感光性樹脂をスピンコート等により塗布し、露光、現像をして下部被覆樹脂層9を形成する。下部被覆樹脂層9を形成する感光性樹脂としては、被覆樹脂層12を形成する感光性樹脂と同種の材料を用いることができる。下部被覆樹脂層9は、通常10μmから20μmの厚さに形成する。型材10の厚さは、下部被服樹脂層9で作られた段差を埋めるために、通常12〜24μmとする。本実施形態では、厚さ14μmの下部被覆樹脂層9を形成した。
次いで、図5(D)に示すように、全面にUV光(DeepUV光)を照射する。UV光としては、例えば波長200〜400nmの光を用いることができる。こうすることで、図5(E)に示すように、下部被覆樹脂層9を形成しなかった領域のポリエーテルアミド樹脂7が、型材10に溶解可能な状態に変性したポリエーテルアミド樹脂21となる。なお、下部被覆樹脂層9を形成した領域のポリエーテルアミド樹脂7は、下部被覆樹脂層9がマスクとなるため、UV光照射の影響は少ない。実験によって、UV光が照射されたポリエーテルアミド樹脂7は、そのUV光照射量で型材に溶解する量が変わることが分かっている。本実施形態では、厚さ2μmのポリエーテルアミド樹脂7を溶解させるため、波長313nmのUV光を300Jとなる量で照射した。
次いで、図5(F)に示すように、基板1の表面に型材となる層11を形成する。このとき、型材となる層11は、下部被覆樹脂層9及びポリエーテルアミド樹脂7を被覆するように形成する。型材となる層11は、化学的機械研磨(CMP)の流路側壁倒れなどの防止用の材料で形成することができ、例えばポジ型材料等で埋め込み可能である。ポジ型レジストとしては、アクリル系樹脂のPMMAやPMIPKなどを用いることができる。型材となる層11は、下部樹脂層9で形成される段差より2割ほど厚く形成する。本実施形態では、東京応化製のODUR(商品名)を厚さ17μmとなるように塗布し、乾燥することで、型材となる層11を形成した。この乾燥時に、変性したポリエーテルアミド樹脂21は型材となる層11(型材10)に溶解したポリエーテルアミド樹脂22となる。なお、本実施形態の用途では、溶剤等が東京応化製ODUR(商品名)と同じであれば、樹脂分はCMPの特性に適してものを選ぶことも可能である。
次いで、図5(G)に示すように、型材となる層11を下部被覆樹脂層9が露出するまでCMP法で研磨して、型材10を形成する。研磨で発生するスクラッチ(微小キズ)やディシング(凹凸)を防止または抑制するために、研磨条件の圧力、回転数、研磨液(アルミナ、シリカなど)のチューニングを行い、最適条件で行うことは言うまでもない。その後、洗浄を行い、表面に研磨液など残らないようにする。
次いで、図5(H)に示すように、型材10を被覆するように感光性樹脂からなる被覆樹脂層12をスピンコート等により形成し、さらに、撥水材13のドライフィルムをラミネート等により積層した上で、吐出口14を形成する。被服樹脂層12の厚さは、通常9〜100μmの範囲とする。本実施形態では、厚さ11μmとなるように被覆樹脂層12を形成した。吐出口14は、被覆樹脂層12を紫外線やDeepUV光等による露光、現像を行うことでパターニングして形成する。
次いで、図5(I)に示すように、型材10及び被覆樹脂層12等が形成されている基板1の表面及び側面を覆うように、保護材15をスピンコート等により塗布する。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(H)についての説明と同様である。
次いで、図5(J)に示すように、基板1を例えばTMAH等の強アルカリ溶液によるエッチングを行い、インク供給口16が形成される。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(I)についての説明と同様である。
次いで、図5(K)に示すように、型材10を吐出口14及びインク供給口16から溶出させることにより、インク流路17及び発泡室が形成される。詳細は、前述の第1の実施形態における図1(J)についての説明と同様である。
以上の工程により、ノズル部が形成された基板1をダイシングソー等により切断分離、チップ化し、発熱抵抗素子3を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドが完成する。
第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 インクジェット記録ヘッドの構造を示す模式的断面図である。 インクジェット記録ヘッドの一部を破断した状態を示す模式的斜視図である。 第2の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 第2の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 第3の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 第3の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 犠牲層
3 発熱抵抗素子
4 保護膜
6 酸化膜
7 ポリエーテルアミド樹脂
8 ポリエーテルアミド樹脂
9 下部被覆樹脂層
10 型材
11 型材となる層
12 被覆樹脂層
13 撥水材
14 吐出口
15 保護材
16 インク供給口
17 インク流路
18 OH距離
20 マスク
21 変性したポリエーテルアミド樹脂
22 溶解したポリエーテルアミド樹脂
23 下部被覆樹脂層

Claims (4)

  1. 複数の発熱抵抗素子が形成されている基板の上に、ポリエーテルアミド樹脂からなる密着層を形成する工程と、
    前記密着層の上に、インク流路となる型材及び前記型材を被覆する被覆樹脂層を形成する工程と、
    前記被覆樹脂層に吐出口を形成する工程と、
    前記型材を除去して、インク流路を形成する工程と
    を有し、
    前記型材と接する領域の前記密着層にUV光を照射して、その領域の前記密着層を前記型材に溶解可能な状態に変性することで、前記型材の除去と同時に前記変性された密着層を除去することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記型材と接する領域の前記密着層のみにUV光を照射可能なマスクを介して、UV光を照射することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記密着層の上に前記被覆樹脂層の下部を構成する下部被覆樹脂層を形成した後、全面にUV光を照射することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記下部被覆樹脂層及び前記密着層を前記型材となる樹脂で被覆した後、前記型材となる樹脂を前記下部被覆樹脂層が露出するまでCMP法で研磨することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
JP2008019184A 2008-01-30 2008-01-30 インクジェット記録ヘッドの製造方法 Expired - Fee Related JP5063390B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008019184A JP5063390B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 インクジェット記録ヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008019184A JP5063390B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 インクジェット記録ヘッドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009178907A JP2009178907A (ja) 2009-08-13
JP5063390B2 true JP5063390B2 (ja) 2012-10-31

Family

ID=41033255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008019184A Expired - Fee Related JP5063390B2 (ja) 2008-01-30 2008-01-30 インクジェット記録ヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5063390B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62117331A (ja) * 1985-11-18 1987-05-28 Hitachi Chem Co Ltd 芳香族ポリエ−テルアミド樹脂のエツチング法
JP3957920B2 (ja) * 1998-06-11 2007-08-15 キヤノン株式会社 インクジェットヘッドの製造方法
JP3841288B2 (ja) * 2001-12-21 2006-11-01 日東電工株式会社 感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物とそれより得られる光学用ポリイミドと光導波路
JP4014519B2 (ja) * 2002-07-17 2007-11-28 日東電工株式会社 ポリマー光導波路の製造方法
JP2005125619A (ja) * 2003-10-24 2005-05-19 Canon Inc 液体噴射記録ヘッド及びその製造方法
JP4881081B2 (ja) * 2005-07-25 2012-02-22 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009178907A (ja) 2009-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4881081B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP4455282B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッドおよびインクジェットカートリッジ
JP4834426B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP5143274B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP4671200B2 (ja) インクジェットプリントヘッドの製造方法
JP4480182B2 (ja) インクジェット記録ヘッド用基板及びインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2005205916A (ja) モノリシック・インクジェット・プリントヘッドの製造方法
JP5693068B2 (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
JP4976739B2 (ja) 記録ヘッド、およびその製造方法
JP2009178906A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
US20090314742A1 (en) Method for processing substrate and method for producing liquid ejection head and substrate for liquid ejection head
JP7134831B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP4996089B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッド
JP5111477B2 (ja) インクジェットヘッド
JP4854464B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP2010142972A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP5063390B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
US7735961B2 (en) Liquid discharge head and method of producing the same
JP2006130766A (ja) 液体吐出ヘッド用基板及びその製造方法
JP2008126481A (ja) インクジェット記録ヘッド用基板の製造方法、およびインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2009226862A (ja) 液体吐出記録ヘッドの製造方法、及び液体吐出記録ヘッド
JP4671330B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2012121168A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
JP4974751B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP2007030194A (ja) インクジェット記録ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101026

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120710

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120807

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5063390

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150817

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees